JP7167599B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100は電子写真方式のカラープリンターである。プリンター100の筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が取り付けられている。操作パネル51には、各種の機械的な押しボタンに加え、タッチパネル内蔵のディスプレイが配置されている。ディスプレイは、操作画面、各種情報の入力画面等のグラフィックスユーザーインターフェース(GUI)画面を表示する。タッチパネルは、アイコン、仮想ボタン、メニュー、ツールバー等、GUI画面の含むガジェットを通してユーザーの入力操作を受け付ける。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられ、その中にシートの束が収容される。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種は、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b-bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。プリンター100は、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
図2の(a)は、加熱ローラー31、定着ベルト32、定着ローラー33、および加圧ローラー34の模式的な斜視図であり、(b)は、(a)が示す直線b-bに沿ったこれら31-34の断面図である。定着部30は、これらの可動部材31-34に加え、4本のハロゲンヒーター351、352、353、354、温度センサー361、362、およびサーモスタット371、372を含む。
-構造-
図3の(a)は第4ハロゲンヒーター354の側面図である。この図が示す構造は基本的には、他のハロゲンヒーター351-353についても同様である。第4ハロゲンヒーター354は、ガラス管35A、フィラメント35B、封入ガス35C、封止部35D、および口金35Eを含む。ガラス管35Aはたとえば石英ガラス製の細長い円管であり、ヒーター354の放射する高熱に伴う摂氏数百度の高温に耐えうる。フィラメント35Bはたとえばコイル状のタングステン線であり、ガラス管35Aの内部空間を長手方向に伸びている。4本のハロゲンヒーター351-354の間ではフィラメント35Bの長さ、または長手方向における位置が異なる。第4ハロゲンヒーター354では、フィラメント35Bの長さが定着ベルト32の全長(X軸方向の長さ)とほぼ等しい。封入ガス35Cは不活性ガスと微量のハロゲンガスとの混合ガスである。たとえば不活性ガスは、窒素、アルゴン、またはクリプトンであり、ハロゲンガスは、ヨウ素、臭素、塩素、またはそれらの化合物である。ハロゲンガスは、フィラメント35Bから蒸発により気化したタングステン原子と循環型連鎖反応(ハロゲンサイクル)を繰り返すことにより、それらのタングステン原子をフィラメント35Bへ戻す。ハロゲンサイクルの存在がハロゲンランプのフィラメントを白熱電球のものよりも長寿命化する。封止部35Dは、ガラス管35Aの長手方向の各端部であり、気密に封じられている。封止部35Dにはモリブデン箔35Fが埋め込まれ、その一端がガラス管35Aの内部空間に露出してフィラメント35Bに接続されている。モリブデン箔35Fの他端は封止部35Dの中で口金35Eと導通している。口金35Eはたとえばセラミックまたは耐熱性の高い金属で形成され、ガラス管35Aの両端を固定すると共に、モリブデン箔35Fを通してフィラメント35Bを外部電源に導通させる。
図3の(b)は、加熱ローラー31の軸方向(X軸方向)における4本のハロゲンヒーター351-354それぞれの加熱範囲を示す模式図である。図3の(b)では、各ハロゲンヒーターの加熱範囲が斜線部で表されている。各範囲はたとえば、加熱ローラー31の軸方向(X軸方向)における各ヒーターのフィラメント35Bの範囲に等しい。第4ハロゲンヒーター354の加熱範囲は、加熱ローラー31の軸方向(X軸方向)において定着ベルト32が存在する範囲WAL、すなわち各ローラー31、33、34の外周面の範囲と等しい。第1ハロゲンヒーター351の加熱範囲は、加熱ローラー31の軸方向(X軸方向)において定着ベルト32の中央部WCNに位置する。第2ハロゲンヒーター352と第3ハロゲンヒーター353との加熱範囲はいずれも、加熱ローラー31の軸方向(X軸方向)において定着ベルト32の両端部WE2、WE3に位置する。第2ハロゲンヒーター352の加熱範囲WE2は第3ハロゲンヒーター353の加熱範囲WE3と内側の境界が共通する。しかし、第2ハロゲンヒーター352の加熱範囲WE2は第3ハロゲンヒーター353の加熱範囲WE3よりも外側の境界が内側に位置する。
図4はプリンター100の電子制御系統のブロック図である。この制御系統ではプリンター100の各要素10、20、30、40に加え、操作部50と主制御部60とがバス90を通して互いに通信可能に接続されている。
プリンター100の各要素10-40は、駆動部10D、20D、30D、40Dを含む。駆動部10D-40Dは、搬送ローラー12、13、24R、33、43、PCドラム21Y-21K等、同じ要素10-40に属する可動部材に対するアクチュエーター、制御回路、および駆動回路の組み合わせを含む。これらの組み合わせは一般にDC機器である。たとえば、アクチュエーターはBLDCモーターである。制御回路は、マイクロプロセッサ(MPU/CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプログラム可能な集積回路(FPGA)等の電子回路であり、アクチュエーターからフィードバックされる実際の制御量、たとえばモーターであれば回転速度に基づいて、そのアクチュエーターに対する印加電圧の目標値を駆動回路に指示する。駆動回路はスイッチングコンバーターであり、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のパワートランジスタをスイッチング素子として利用して、アクチュエーターに対して電圧を印加する。これらの制御回路と駆動回路とによるフィードバック制御を利用して、各駆動部10D-40Dはアクチュエーターの制御量を、主制御部60から指示された目標値に制御する。
操作部50は、プリンター100に実装されたユーザーと外部の電子機器とに対するインタフェースの全体であり、ユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通してジョブ処理の要求と印刷対象の画像データとを受け付け、それらを主制御部60へ伝える。操作部50は操作パネル51と外部インタフェース(I/F)52とを含む。操作パネル51は、図1の(a)が示すように、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。このディスプレイに操作パネル51はGUI画面を表示する。操作パネル51はまた押しボタンの中からユーザーが押下したものを識別し、またはタッチパネルの中からユーザーが触れた位置を検出し、その識別または検出に関する情報を操作情報として主制御部60へ伝える。特に印刷ジョブの入力画面がディスプレイに表示されている場合、操作パネル51は、印刷対象のシートのサイズ、紙種、姿勢(縦置きと横置きとの別)、部数、画質等、印刷に関する条件をユーザーから受け付けて、これらの条件を示す項目を操作情報に組み込む。外部I/F52はUSBポートまたはメモリカードスロットを含み、それらを通してUSBメモリーまたはハードディスクドライブ(HDD)等の外付けの記憶装置から直に印刷対象の画像データを取り込む。外部I/F52は更に、外部のネットワークNTWに有線または無線で接続された通信ポートを含み、そのネットワークNTWを通して他の電子機器から印刷対象の画像データを受信する。
主制御部60は、プリンター100の内部に設置された印刷回路基板に実装された集積回路である。主制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61はMPUで構成され、各種ファームウェアを実行する。RAM62は、DRAM、SRAM等の揮発性半導体メモリー装置であり、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が受け付けた印刷対象の画像データを保存する。ROM63は書き込み不可の不揮発性記憶装置と書き換え可能な不揮発性記憶装置との組み合わせで構成されている。前者はファームウェアを格納し、後者は、EEPROM、フラッシュメモリー、SSD等の半導体メモリー装置、またはHDDを含み、CPU61に環境変数等の保存領域を提供する。
定着部30の制御系統は、主制御部60とは別の印刷回路基板に実装された、MPU/CPU、ASIC、FPGA等の集積回路である。この制御系統は駆動部30Dに加え、2つの電源部30P1、30P2を含む。第1電源部30P1は第1-第3ハロゲンヒーター351-353専用の電源回路であり、第1外部電源CP1からの電力を第1-第3ハロゲンヒーター351-353へ供給する。第2電源部30P2は、定着部30の他の要素とプリンター100の他の機能部10、20、40-60との共通電源であり、第2外部電源CP2からの電力を、第4ハロゲンヒーター354と定着部30の駆動部30Dとへ供給すると共に、他の機能部10-60へ分配する。外部電源CP1、CP2はたとえばそれぞれが商用交流電源であり、互いには異なる。すなわち、プリンター100は使用可能な電力量が、外部電源を1つだけ利用する機種の2倍である。
図5の(b)は、ハロゲンヒーターによる加熱に伴い、その加熱範囲に現れる定着ベルト32の表面温度の経時変化を示すグラフである。仮にハロゲンヒーターへ電力を供給し続けた場合、そのハロゲンヒーターから定着ベルト32へ与えられる熱量が、やがては、定着ベルト32から周囲へ散逸する熱量とバランスするので、定着ベルト32の表面温度が飽和温度TSに到達する。もし、この飽和温度TSが定着ベルト32の発煙点または発火点TF以上であれば、危険である。
上記のとおり、第4ハロゲンヒーター354にはサーモスタットが接続されていない。この場合でも、定着ベルト32の飽和温度TSが発煙点または発火点TFよりも十分に低いように第4ハロゲンヒーター354の定格電力が十分に低く設定されているので、安全性には問題が無い。また、サーモスタットが接続されていなくても、第4ハロゲンヒーター354への電力供給が異常に長時間連続していることは、以下に述べる処理により、定着ベルト32の表面温度が環境温度を超えていることから検知することができる。
本発明の実施形態によるプリンター100の定着部30では、第1-第3ハロゲンヒーター351-353が第1電源部30P1に接続され、第4ハロゲンヒーター354が第2電源部30P2に接続されている。第1-第3ハロゲンヒーター351-353には更にサーモスタット371、372が直列に接続されているので、これらの定格電力は十分に高く設定されても安全性は高い。一方、第4ハロゲンヒーター354にはサーモスタットが接続されていないが、安全性は十分に高い。第4ハロゲンヒーター354の定格電力が他のハロゲンヒーター351-353の定格電力よりも十分に低いので、第4ハロゲンヒーター354への電力供給が異常に長時間連続しても、定着ベルト32の飽和温度がその発煙点と発火点とのいずれよりも低く抑えられるからである。こうして、定着部30は外部電源を複数利用する場合でもサーモスタットの数を削減可能である。
(A)上記の実施形態による画像形成装置100はカラープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、モノクロプリンター、ファクシミリ、コピー機、複合機(MFP)等、シート上のトナー像を熱定着させるもののいずれであってもよい。
10 給送部
20 作像部
30 定着部
40 排紙部
31 加熱ローラー
32 定着ベルト
33 定着ローラー
34 加圧ローラー
351 第1ハロゲンヒーター
352 第2ハロゲンヒーター
353 第3ハロゲンヒーター
354 第4ハロゲンヒーター
361、362 温度センサー
371、372 サーモスタット
TS 定着ベルトの飽和温度
TF 定着ベルトの表面温度の発煙点/発火点
Claims (8)
- 電子写真式の画像形成装置に搭載され、当該装置の作像部がシートに形成したトナー像を当該シートに熱定着させる定着装置であって、
前記シートへ熱を伝える伝熱部材と、
前記伝熱部材を加熱する第1加熱部材および第2加熱部材と、
前記伝熱部材の温度を監視し、当該温度が閾値を超えた際に前記第1加熱部材への電力供給を遮断する保護部と
を備え、
前記第2加熱部材の定格電力は前記第1加熱部材の定格電力よりも低く、前記第2加熱部材への電力供給が異常に長時間連続しても、前記伝熱部材への与熱量が前記伝熱部材からの放熱量とバランスする場合における前記伝熱部材の飽和温度が、前記伝熱部材の発煙点または発火点よりも低く設定されている
ことを特徴とする定着装置。 - 第1外部電源からの交流電力を前記第1加熱部材へ供給する第1電源部と、
第2外部電源からの交流電力を前記第2加熱部材へ供給する第2電源部と
を更に備え、
前記保護部は前記第1電源部から前記第1加熱部材への電力供給を遮断し、
前記第2電源部は更に前記第2外部電源からの交流電力を直流電力に変換して出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記第1電源部が前記第1加熱部材への電力供給を停止し、かつ前記第2電源部が前記第2加熱部材への電力供給を停止した時点から所定時間が経過した際、前記伝熱部材の温度が閾値よりも高い値を維持していれば、前記第2加熱部材の異常をユーザーへ警告する警告部
を更に備えた請求項2に記載の定着装置。 - 前記警告部が計る時間は、前記画像形成装置がスリープモードへ移行した時点からの経過時間であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
- 前記警告部はユーザーへの警告を、前記画像形成装置がスリープモードから稼働モードへ移行した時点に行うことを特徴とする請求項3または4に記載の定着装置。
- 前記第2加熱部材への電力供給は、前記画像形成装置が特定の状態を保つ間、常に維持されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の定着装置。
- 当該特定の状態は、前記画像形成装置の副電源がオンしている状態、当該副電源がオンし、かつ前記画像形成装置の動作モードがスリープモード以外である状態、または、前記第1加熱部材がオンしている状態であることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
- 像担持体上にトナー像を形成する作像部と、
当該トナー像をシートに転写する転写部と、
当該シートに転写されたトナー像を当該シートに熱定着させる、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の定着装置と
を備えた画像形成装置。
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