本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、充分な可撓性や伸縮性のようなフレキシブル性があって軽量化・薄型化・小型化が可能で、高伸展率と低応力を発現でき、伸縮の際に所定の一定方向への捻じれによる三次元変形を繰り返すことができ、優れた復元性と反復伸縮に耐え伸縮性低下を惹き起こさない堅牢性とを有し、捻じれ方向の逆転箇所を生じないために延伸時に破断し難くて耐久性に優れており、必要に応じて導電基材を有することにより、内部での高い導電性と外部への高い絶縁性とを有し、高伸展率と低応力と十分なフレキシブル性と優れた復元性と堅牢性とを示す伸縮導電配線モジュールとして用いることができる伸縮性弾性体シートを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲に記載の伸縮性弾性体シートは、ゴム弾性シート片に、貫通スリット及び/又は貫通穴と、切込スリット及び/又は切込穴とが設けられた繰返し構造ユニットを、長手方向である延伸方向に沿って直列に並び及び/又は直列と並列とに並んで複数有している伸縮性弾性体シートであって、前記繰返し構造ユニットの各々が、同一向きに傾いて延伸するように、非対称になっていることを特徴としている。
この伸縮性弾性体シートは、矩形の前記ゴム弾性シート片の前記延伸方向と交差しつつ直列に並び及び/又は直列と並列とに並ぶ複数の前記貫通スリット及び/又は複数の前記貫通穴と、前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴と前記ゴム弾性シート片の長辺との間で繋がった複数の周縁連結部からなる周縁連結部列と、前記複数の貫通スリット及び/又は前記複数の貫通穴と交互に設けられ、前記ゴム弾性シート片の両方の前記長辺から互いに内向きに向き合いつつ切れ込んだ複数の前記切込スリット及び/又は複数の前記切込穴と、夫々互いに向き合う前記切込スリット及び/又は前記切込穴の間で繋がった複数の切込間連結部とを、有し、前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴、前記周縁連結部、前記切込スリット及び/又は前記切込穴、前記切込間連結部、前記ゴム弾性シート片、前記伸縮性弾性体シートが、同一向きに傾いて延伸するように、それらの少なくとも何れかを、前記繰返し構造ユニット中で前記非対称としていることが好ましい。
この伸縮性弾性体シートは、例えば、前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴、前記周縁連結部、前記切込スリット及び/又は前記切込穴、前記切込間連結部、前記ゴム弾性シート片、前記伸縮性弾性体シートが、それらの少なくとも何れかの形、構造、位置、範囲、大きさ、幅、長さ、及び距離から選ばれる形状、厚さ、素材、及び/又は硬さによって、前記非対称としているというものである。
この伸縮性弾性体シートは、例えば、前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴、前記周縁連結部、前記切込スリット及び/又は前記切込穴、前記切込間連結部が、少なくとも何れかが各々、前記繰返し構造ユニットごとの前記延伸方向と垂直な基軸に対して、前記形状により前記非対称としているというものである。
この伸縮性弾性体シートは、前記貫通穴、前記周縁連結部、前記切込穴、前記切込間連結部の少なくとも何れかが、夫々の角で丸められており、前記延伸方向での角同士で異なるアールを有していることにより、前記繰返し構造ユニット中で前記非対称としているものであると好ましい。
この伸縮性弾性体シートは、例えば、前記異なるアールが、前記ゴム弾性シート片の横幅に対し一方を1:0~1:0.01としつつ他方を1:0.03~1:0.05とすることにより、及び/又は一方を曲率半径0~0.2mmとしつつ他方を曲率半径0.6~1mmとすることにより、前記繰返し構造ユニット中で前記非対称としているというものである。
この伸縮性弾性体シートは、前記ゴム弾性シート片が、素材、厚さ及び/又は硬さの異なる複数のゴム弾性フィルム片の積層体であることによって、前記ゴム弾性シート片が、湾曲しながら同一向きに傾いて延伸することにより、前記非対称としているというものであってもよい。
伸縮性弾性体シートは、ゴム弾性シート片に、貫通スリット及び/又は貫通穴と、切込スリット及び/又は切込穴とが、設けられ、導電層を有する可撓性の導電基材に、前記導電層の通電方向に沿って直列及び/又は並列に並び前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴に通じる抜きスリット及び/又は抜き穴で貫通した複数の抜き周縁部位と、前記切込スリット及び/又は前記切込穴に通じる抜き間隙で仕切りつつ通電可能に繋がる架橋ネックが、設けられた繰返し構造ユニットを、長手方向である延伸方向に沿って直列に並び及び/又は直列と並列とに並んで複数有しており、前記ゴム弾性シート片で前記導電基材の少なくとも一部を露出せずに封止されて被覆されている伸縮性弾性体シートであって、前記繰返し構造ユニットの各々が、同一向きに傾いて延伸するように、非対称になっていることを特徴とする。
この伸縮性弾性体シートは、矩形の前記ゴム弾性シート片の前記延伸方向と交差しつつ直列に並び及び/又は直列と並列とに並ぶ複数の前記貫通スリット及び/又は複数の前記貫通穴と、
前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴と前記ゴム弾性シート片の長辺との間で繋がった複数の周縁連結部と、前記複数の貫通スリット及び/又は前記複数の貫通穴と交互に設けられ、前記ゴム弾性シート片の両方の前記長辺から互いに内向きに向き合いつつ切れ込んだ複数の前記切込スリット及び/又は複数の前記切込穴と、夫々互いに向き合う前記切込スリット及び/又は前記切込穴の間で繋がった複数の切込間連結部とを、有し、前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴、前記周縁連結部、前記切込スリット及び/又は前記切込穴、前記切込間連結部、前記抜きスリット及び/又は前記抜き穴、前記架橋ネック、前記導電基材、前記ゴム弾性シート片、前記伸縮性弾性体シートが、同一向きに傾いて延伸するように、それらの少なくとも何れかを、前記繰返し構造ユニット中で前記非対称としていることが好ましい。
この伸縮性弾性体シートは、例えば、前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴、前記周縁連結部、前記切込スリット及び/又は前記切込穴、前記切込間連結部、前記抜きスリット及び/又は前記抜き穴、前記架橋ネック、前記導電基材、前記ゴム弾性シート片、前記伸縮性弾性体シートが、それらの少なくとも何れかの形、構造、位置、範囲、大きさ、幅、長さ、及び距離から選ばれる形状、厚さ、素材、及び/又は硬さによって、前記非対称としているというものである。
この伸縮性弾性体シートは、前記導電基材が、前記繰返し構造ユニット中で、前記抜き周縁部位と前記架橋ネックを前記周縁連結部、前記切込間連結部で覆いつつ、前記貫通スリット及び/又は前記貫通穴、前記切込スリット及び/又は前記切込穴に重ならないように湾曲又は屈曲し、前記抜きスリット及び/又は前記抜き穴、前記抜き周縁部、前記架橋ネックの少なくとも何れかが、前記延伸方向で対向する角同士で異なるアールを有することにより、前記非対称となっているものであってもよい。
この伸縮性弾性体シートは、例えば、前記異なるアールが、前記導電基材の横幅に対し一方を1:0~1:0.02としつつ他方を1:0.03~1:0.05とすることにより、及び/又は一方を曲率半径0~0.2mmとしつつ他方を曲率半径0.4~1mmとすることにより、前記繰返し構造ユニット中で前記非対称としているというものである。
この伸縮性弾性体シートは、前記導電基材に非接触であって前記延伸方向と垂直な基軸において導電していない複数のダミーパターンが、前記繰返し構造ユニット中で前記非対称としつつ、前記ゴム弾性シート片内で、前記周縁連結部、前記切込間連結部の少なくとも何れかに接して設けられていてもよい。
この伸縮性弾性体シートは、前記導電基材と前記ダミーパターンとが、エッチング層、プリント層、金属膜層、有機導電膜層、導電性無機物含有導電膜層、及び導電性ゴム層から選ばれる何れかであってもよい。
この伸縮性弾性体シートは、例えば、前記ゴム弾性シート片が、素材、厚さ及び/又は硬さの異なる複数のゴム弾性フィルム片の積層体であることによって、前記ゴム弾性シート片が、湾曲しながら同一向きに傾いて延伸することにより、前記非対称としているというものである。
伸縮性弾性体シートは、前記導電基材が可撓性支持体とその上に付された金属層である導電層とを有することにより、及び/又は前記ゴム弾性シート片が前記導電基材を挟んでいて素材、厚さ及び/又は硬さの同一又は異なる複数のゴム弾性フィルム片の積層体であり前記導電基材が前記形、前記構造、前記位置、前記範囲、前記大きさ、前記幅、前記長さ、及び前記距離から選ばれる前記形状、前記厚さ、前記素材及び/又は前記硬さを有することにより、前記非対称としているというものであってもよい。
伸縮性弾性体シートは、前記ゴム弾性シート片が導電性ゴムであってもよい。
伸縮性弾性体シートは、医療用、検診用、検査用、梱包用、車載用、半導体用、ロボット用、及びスポーツ用から選ばれる何れかであることが好ましい。
本発明の伸縮性弾性体シートは、貫通スリットや貫通穴、周縁連結部、切込スリットや切込穴、切込間連結部、抜きスリットや抜き穴、架橋ネック、導電基材、ゴム弾性シート片、伸縮性弾性体シートが、それらの何れかを、非対称としている構造により、三次元変形における捻じれ方向を専ら所定一定方向に傾いて延伸するように制御し、伸縮によって生じる歪を全体に分散させ、高耐久性を実現することができる。
この伸縮性弾性体シートは、複数の貫通スリットや貫通穴、周縁連結部、切込スリットや切込穴、切込間連結部、抜きスリットや抜き穴、架橋ネックが夫々、同形状又は相似形状で並んで設けられ、非対称となっていることにより、初めての延伸でも所定の一定な捻じれ方向に制御する。そのため、伸縮方向への引張応力印加に応じそれらが開いて三次元変形を伴う延伸と引張応力解放によってそれらが閉じる収縮との特異な伸縮特性を発現する。
この伸縮性弾性体シートは、伸縮を繰り返しても、一旦付いた捻じれ癖によって同様な捻じれ方向にのみ伸縮を繰り返すように制御し、引張応力解放後に延伸前の元の形状へ速やかに均等に回復する優れた復元性と堅牢性とを有している。
この伸縮性弾性体シートは、所定の一定な捻じれ方向に三次元変形するというゴム弾性シート片の弾性特性と形状特性により、伸縮による形状のランダムな捻じれ方向への非回復性の永久変形を抑制する。また、同じ捻じれ方向に特異的に三次元変形できるから、歪みの偏りが無いおかげで、高い耐久性と高い三次元変形特異性とを有する。
延伸方向と垂直な基軸方向において繰返し構造ユニットが対称である単調な切り紙構造を繰り返して有する従来の所謂切り紙シートは、延伸時にランダムに生じる捻じれ方向の逆転箇所に引張応力が集中し易いのでそこが脆弱な箇所になって不意に破断し易い。それに対し、この伸縮性弾性体シートは、延伸方向と垂直な基軸方向において、貫通スリットや貫通穴、周縁連結部、切込スリットや切込穴、切込間連結部、抜きスリットや抜き穴、架橋ネック、導電基材、ゴム弾性シート片、伸縮性弾性体シートが非対称であるから、その繰り返し構造に引張応力が均等にかかって、所望の一定の捻じれ方向にのみ、伸縮を制御するので、捻じれ方向の反転を引き起こさず、伸縮を繰り返しても破断し難くなっている。
この伸縮性弾性体シートは、抜き穴や抜きスリットを持ちつつ導電層を有する可撓性の導電基材を、貫通スリットや貫通穴を持ったゴム弾性シート片で封止して被覆していることにより、導電基材ごと伸縮可能となっている。このような伸縮性弾性体シートは、導電基材が複数の抜き穴や抜きスリットを有していることによって、引張に応じた延伸とその後の解放に応じた復元とで変形しても導電層が追従でき、所望の一定の捻じれ方向に伸縮が制御されていることと相俟って、導電配線として耐久性に優れている。しかもこの伸縮性弾性体シートは、延伸によって導電基材中での導電層のパス長が変化せず、しかも所望の一定の捻じれ方向に捻じれながら延伸して導電層の部分的な破断や破損を生じないから、伸縮によっても抵抗値が殆んど変化しない。そのため、配線材料として、極めて優れている。さらに、捻じれ癖が付きやすい導電基材中での導電層例えば金属箔層を有していても、不本意な方向への捻じれを生じず、回復性に優れている。
また、この伸縮性弾性体シートは、伸縮性や絶縁性を維持するために絶縁性弾性体であるゴム弾性シート片で導電基材が封止されていると、所望の一定の捻じれ方向に伸縮が制御されていることと相俟って、反復伸縮後でも伸縮性と絶縁性とを当初のまま維持できる。しかも、この伸縮性弾性体シートは、導電基材の端末で外部機器や測定対象物に接続する場合に端末を除き露出させずに封止して被覆していることにより、そこで溶液中での検出や生体信号の検出でのノイズの受信を防ぐ伸縮性弾性体シートとしても、有用である。
材料の二次元的な伸び縮みのみによって伸縮性を発現する従来の導電材料に対して、この伸縮性弾性体シートは、材料物性由来の伸縮性とは異なり、貫通スリット・貫通穴や切込スリット・切込穴のみならず抜きスリット・抜き穴による三次元的な構造変化により、導電性や可撓性を阻害しない形状のゴム弾性シート片で封止を行うことができる。それによって、変形時の力学特性がゴム弾性シート片のみではなく変形前後の立体的構造の三次元化変化に由来する特性も加わっており、所望の一定の捻じれ方向に伸縮が制御されていることと相俟って、低抵抗値と低応力による高伸展率と共に、均等伸縮性を実現することができる。
この伸縮性弾性体シートは、ゴム弾性シート片が、厚さ及び/又は硬さの異なる複数のゴム弾性フィルム片の積層体であると、延伸時に、複数のゴム弾性フィルム片ごとの伸び性が異なることにより撓む。その結果、伸縮方向に垂直な基軸に対して、貫通スリットや貫通穴、周縁連結部、切込スリットや切込穴、切込間連結部、抜きスリットや抜き穴、架橋ネックのような繰返し構造ユニットが、対称的であるか否かに関わらず、伸縮性弾性体シート自体が非対称となって、所望の一定の捻じれ方向に伸縮が制御される。
この伸縮性弾性体シートは、導電基材を有する代わりに、ゴム弾性シート片自体が導電性ゴムであって導電性を有することにより、簡易で伸縮性に優れた配線材料にすることも可能である。
この伸縮性弾性体シートは、可撓性であって伸縮性に優れたフレキシブル性を備え、軽量化・薄型化・小型化が可能で、所望の一定の捻じれ方向に伸縮が制御されて特異な変形特性を有しつつ、内部での高導電性と外部への高絶縁性とを発現し、十分な伸縮性を有しつつ反復伸縮で伸縮性の低下を引き起こさず、耐久性に優れた、伸縮性導電配線モジュールに使用することができる。
これら伸縮性弾性体シートは、伸縮性導電配線モジュールに用いた場合に、延伸時に最も断線が起きやすい捻じれ方向の反転部位の形成を抑制し、破断し難くなっている。このような構造を有することにより、切れ目のない単なるゴム製弾性シートや弾性繊維では持ち得ない反復伸縮後での優れた復元性を有しつつ、極めて小さな変形応力で十分に変形させつつ、表面又は内部の導電基材を備えることで優れた耐久性と堅牢性と低抵抗値及び高伸縮性とを有する伸縮性配線として応用することができる。
この伸縮性弾性体シートは、伸縮性弾性体シートとしてこの伸縮性導電配線モジュールに用いることができ、極めて小さな引張応力によって特に低延伸領域で構造の三次元化による特異的な変形が発生するので、ウェアラブルデバイスやフレキシブル基板、フレキシブル電極等の可撓性デバイスのために実装可能である。
この伸縮性弾性体シートは、伸縮性導電配線モジュール中で、超薄膜スキンコンタクト電極やフレキシブル基板、ロボット用配線部材等に好適な伸縮性配線部材として有用である。
この伸縮性弾性体シートは、伸縮性導電配線モジュールに用いた時に、低延伸領域で引張応力が極めて小さくても十分に延伸するから、ウェアラブルデバイスとして使用するときに装着者に不快な装着感を感じさせない。
この伸縮性弾性体シートは、医療用、検診用、検査用、梱包用、車載用、半導体用、ロボット用、及びスポーツ用のような様々な用途に使用でき、汎用性が高い。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の伸縮性弾性体シート1の好ましい第一の形態を、図1を参照しながら説明する。伸縮性弾性体シート1の第一の形態は、非導電性の伸縮性弾性体シートであって、矩形で長尺のゴム弾性シート片10Aに、貫通穴13aと切込スリット12bとが設けられた繰返し構造ユニットU1・U2・・・を、長手方向である延伸方向Dに沿って直列に並んで複数有している。
複数の貫通穴13aは、角が丸められ長辺が延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・に沿ってその基軸に対して非対称な略長方形であって、ゴム弾性シート片10Aの延伸方向Dと交差しつつ直列に並んでいる。また、切込スリット12bの複数対は夫々、ゴム弾性シート片10Aの延伸方向に沿う長辺から、内部に向かって延伸方向Dと垂直な方向へ切り込まれており、弾性シート片10Aの延伸方向Dと交差しつつ、延伸方向Dを向く対称軸にて対称となりながら、直列に並んでいる。貫通穴13aとゴム弾性シート片10Aの長辺との間は、繋がって周縁連結部15となっている。互いに向き合う対の切込スリット12bの間は、繋がって切込間連結部14となっている。隣同士の切込スリット12bに挟まれた各繰返し構造ユニットU1・U2・・・は、切込スリット12bを境に、隣り合っている。
貫通穴13aは、長手方向の一方端側(図中、左側)の両角13Lcが大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の両角13Rcが小さなアールを有していることにより、同一向きに傾いて延伸するように、その形状が非対称になっている。即ち、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・は、延伸方向と垂直な夫々の基軸B1・B2・・・に対して、非対称となっている。繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとの基軸B1・B2・・・は、たとえば隣同士の切込スリット12bの中央である。
伸縮性弾性体シート1の両端が延伸方向に引っ張られると、貫通穴13aのうち大きなアールを有する両角13Lc側が伸び易く、それに比べて小さなアールを有する両角13Rc側が伸び難い。そのため、繰返し構造ユニットU1・U2・・・は、全ての貫通穴13aでの大きなアールを有する両角13Lc側が伸び易くなっている。この非対称であることが、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・で同一向きに傾いて延伸する原動力となっている。
ゴム弾性シート片10Aの横幅は、例えば5~100mm、好ましくは10~50mmである。この範囲未満では、切り紙構造の導入が難しく、この範囲を超えると取り回し性が悪くなる。両角13Lc・両角13Rcでの異なるアールが、このゴム弾性シート片10Aの横幅に対し、大きなアールを有する両角13Lcで1:0.006~1:0.2、好ましくは0.012~0.1としつつ、小さなアールを有する両角13Rcで1:0~1:0.04、好ましくは1:0~1:0.02とすることが好ましい。なお、大きなアールを有する両角13Lcの曲率半径を0.2~2mm、好ましくは0.4~1mmとし、小さなアールを有する両角13Rcの曲率半径0~1mm、好ましくは0~0.6mmにしてもよい。
図1中、貫通穴13aとして、略長方形でその両角13Lc・両角13Rcで異なるアールを有する例を示したが、貫通穴に代えて貫通スリット、周縁連結部、切込スリット、切込穴、切込間連結部、ゴム弾性シート片、及び/又は伸縮性弾性体シートにより、延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・に対して、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに非対称であればよい。これらは、形、構造、位置、範囲、大きさ、幅、長さ、及び距離から選ばれる形状を基軸B1・B2・・・に対して各繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに非対称とするものである。貫通スリットや切込スリットは端部から破断が始まらないようにスリット端に孔を有していてもよい
例えば、図2に示すように、異なるアールを有していても有していなくてもよく、単に角が丸められていてもよい、ひねった長方形穴(同図(a))、台形穴(同図(b))、二等辺三角形穴(同図(c))や不等辺三角形穴(同図(d))のような三角形穴、半円形穴(同図(e))、円弧形穴(同図(f))、三日月形穴(同図(g))、等辺又は不等辺の四角形穴(同図(h))や五角形穴(同図(i))や六角形穴(同図(j))のような多角形穴、又はそれら何れかの組み合わせ形状の穴例えば円弧と四角とを組み合わせた形状の穴(同図(k))であってもよい。
また、非対称を形成する貫通穴13aに代えて、図3に示すように、貫通スリット13bにして、延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・方向において、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに、非対称にしてもよい。貫通スリット13bとして、端部から破断が始まらないように孔を有していてもよい貫通スリット、具体的には、円弧スリット(同図(a))、両端に孔を有する円弧スリット(同図(b))、屈曲スリット(同図(c))、長さの異なる平行スリット(同図(d))、又はそれ何れかの組み合わせ形状例えば3の字形状スリット(同図(e))であってもよい。
また、図1で貫通穴13aが開き、切込スリット12bの複数対がゴム弾性シート片10Aの内部に向かって延伸方向と垂直な方向へ切り込まれた例を示したが、それに代えて、図4に示すように、孔を有していてもよい直線状の貫通スリット13bがゴム弾性シート片10Aの内部で延伸方向と垂直な方向に設けられ、孔を有していてもよく非対称を形成する切込スリット12bを有するものであってもよい。このような切込スリット12bとして、具体的には、図4に示すように、延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・方向において、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに、基軸B1・B2・・・からずれて非対称を形成するもので、円弧スリット(同図(a))、湾曲縁スリット(同図(b))、斜縁スリット(同図(c))、屈曲縁スリット(同図(d))、長さの異なる平行辺(同図(e)、(f))、又はそれらの組み合わせ形状例えば波状スリット(同図(g))のような形状が挙げられる。
図4のような切込スリット12bに代えて、図5に示すように非対称を形成する切込穴12aを有するものであってもよい。このような切込穴12aとして、具体的には、延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・方向において、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに、斜めにひねられた形状であってもよい切込穴、具体的にはひねられた四角形切込穴(同図(a))や台形切込穴(同図(b))、三角形切込穴(同図(c))、円弧形切込穴(同図(d))、三日月形切込穴(同図(e))、不等辺多角形切込穴(同図(f))、又はそれの組み合わせ形状例えば円弧と四角とを組み合わせた形状の切込穴(同図(g))のような形状が挙げられる。同図の例は、切込間連結部14や周縁連結部15が非対称となっている例も兼ねている。
伸縮性弾性体シート1は、貫通穴13a及び/又は貫通スリット13b、周縁連結部15、切込穴12a及び/又は切込スリット12b、切込間連結部14の少なくとも何れかが各々、隣り合う切込間連結部14との異なる距離を有する形状であることによって、延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・方向において、繰返し構造ユニットU1・U2・・・中で非対称としているものであってもよい。例えば、図1のように、非対称な貫通穴13aが延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・上に位置している代わりに、図6に示すように、距離又は幅によって非対称となるように、基軸B1・B2・・・上からずれ、隣同士の切込スリット12bからの距離又は幅が異なる貫通穴13a(同図(a))、又は貫通スリット13b(同図(b))としてもよい。
図1~6に示すような伸縮性弾性体シート1では、貫通穴13a及び/又は貫通スリット13b、周縁連結部15、切込穴12a及び/又は切込スリット12b、切込間連結部14の構造によって、延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・方向において、繰返し構造ユニットU1・U2・・・中で非対称を形成していることにより、伸縮の際に所定の一定方向への捻じれによる三次元変形を繰り返すことができるというものである。
このような伸縮性弾性体シート1として、図1~6で、貫通穴13a及び/又は貫通スリット13b、周縁連結部15、切込穴12a及び/又は切込スリット12b、切込間連結部14の構造によって、非対称を形成している例を図示したが、ゴム弾性シート片の素材、厚さ、硬さによって、非対称を形成するものであってもよい(不図示)。具体的には、ゴム弾性シート片が、素材、厚さ及び/又は硬さの異なる複数のゴム弾性フィルム片の積層体が挙げられる。このような積層体は、素材、厚さ及び/又は硬さが異なるために、延伸方向Dに伸縮性弾性体シート1を引っ張ったときに、ゴム弾性フィルム片ごとの引張強度が異なる。そのため、引張強度の強い方のゴム弾性フィルム片側で曲がり難くなり、一方、引張強度の弱い方のゴム弾性フィルム片側で曲がりやすくなる結果、その積層体が、厚み方向で湾曲しながら延伸することに伴って、そのわずかな湾曲が延伸方向Dでの非対称をもたらす。その湾曲に追従して、貫通穴13a及び/又は貫通スリット13b、周縁連結部15、切込穴12a及び/又は切込スリット12b、切込間連結部14が基軸B1・B2・・・方向において対称であるか非対称であるかに関わらず、この湾曲に応じて同一向きに傾いて延伸する結果、伸縮の際に所定の一定方向への捻じれによる三次元変形を繰り返すことができる。
伸縮性弾性体シート1として、繰返し構造ユニットU1・U2・・・が直列に並んだ例を示したが、並列に並んでいてもよく、直列と並列とに並んでいてもよい。
伸縮性弾性体シート1は、複数の貫通穴13a及び/又は複数の貫通スリット13b、複数の周縁連結部15、複数の切込穴12a及び/又は複数の切込スリット12b、複数の切込間連結部14が、全て同一形状に非対称とした態様(例えば図1参照)の他、それらの少なくとも何れかを相似形状の前記非対称としているものであってもよい(不図示)。
伸縮性弾性体シート1は、貫通穴13a(図1参照)が異なるアールを有する例を示したが、図7に示すように、周縁連結部15、切込穴12a、切込間連結部14の少なくとも何れかが、夫々の角で丸められており、延伸方向Dでの角同士で異なるアールを有していることにより、繰返し構造ユニットU1・U2・・・中で非対称としているものであってもよい。
このような伸縮性弾性体シート1は、非導電性の用途、例えば関節用のサポータや包帯、湿布などの医療用、複雑な形状の貴重品や装飾品の搬送のための梱包用、保持用として用いることができる。このような伸縮性弾性体シート1は、導電性の用途に用いてもよい。
伸縮性弾性体シート1は、ゴム弾性シート片10Aが導電性ゴムであることによって、生体信号を検知する電極の対の一方として使用するものであってもよく、保護のためにゴム弾性シート片10Aがゴム弾性保護シート片で覆われていてもよい。
図1に示すような第一の態様の伸縮性弾性体シート1は、例えば以下のようにして製造される。
先ず、ゴム弾性シートから、ゴム弾性シート片10Aを切り出し、両角13Lcが大きなアールを有し両角13Rcが小さなアールを有している所定の形状の貫通穴13a及び/又は貫通スリット13b、切込穴12a及び/又は切込スリット12bを刃型で打ち抜き加工することにより、貫通させると、伸縮性弾性体シート1が製造される。
本発明の伸縮性弾性体シート1の好ましい別な第二の形態を、図8を参照しながら説明する。伸縮性弾性体シート1の第二の形態は、可撓性導電層20Aと可撓性支持体20Bとを有する可撓性で平坦な導電基材20と、それを挟んでいる矩形で平坦な絶縁性弾性体であるゴム弾性シート片10B・30Bとを、有している。
導電基材20中、絶縁性樹脂で形成された可撓性支持体20Bと、その上に付された金属層である導電層20Aとは、同形状である。この導電基材20は、導電層20Aの通電方向(延伸方向D)に沿った長尺のシート片状である。
導電基材20は、複数で略長方形の抜き穴23aが貫通して、延伸方向Dに沿って直列に並んでいる。複数の抜き穴23aは、角が丸められ長辺が延伸方向Dと垂直な基軸に向いた略長方形であって、延伸方向Dと交差しつつ直列に並んでいる。この抜き穴23aは、当初、長手方向に延伸しておらず、長方形形状の短辺が長手方向に沿い長辺が長手方向と垂直となるように、貫通している。抜き穴23aの外縁の夫々は、導電層20Aと可撓性支持体20Bとの一部を成す複数の抜き周縁部位24となっている。導電基材20は、複数の抜き周縁部位24同士の隣り合う夫々の間に、抜き間隙22を有している。隣り合う抜き周縁部位24同士は夫々、導電基材20の長手方向に沿って中央に存する架橋ネック25を有している。架橋ネック25は、抜き周縁部位24と同様に、導電層20Aと可撓性支持体20Bとの一部を成していることによって、導電層20Aで通電可能としている。
抜き穴23aは、長手方向の一方端側(図中、左側)の両角23Lcが大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の両角23Rcが小さなアールを有していることにより、同一向きに傾いて延伸するように、その形状が非対称になっている。即ち、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・の夫々は、延伸方向と垂直な基軸B1・B2・・・に対して、非対称となっている。
ゴム弾性シート片10B・30Bは、延伸方向Dで導電基材20と同長となっており、また延伸方向Dに対する垂直方向で導電基材20よりも長くなって導電基材20を包み込むようにのりしろを有するようになっている。抜き周縁部位24は、架橋ネック25ごと外界に露出しないように、ゴム弾性シート片10B・30Bで、封止されて被覆されている。
ゴム弾性シート片10B・30Bは何れも、抜き周縁部位24内の抜き穴23aの位置に合わせて、抜き穴23aよりも小さな貫通スリット13b・33bが夫々貫通している。ゴム弾性シート片10・30は、貫通スリット13b・33bが抜き穴23aよりも小さいことから、貫通スリット13b・33bの周縁が互いに接合したそれののりしろで抜き周縁部位24を包み込むように封止し接着して被覆していることによって、抜き周縁部位24が外界に露出しないようになっている。
また、ゴム弾性シート片10B・30Bは何れも、抜き周縁部位24間の抜き間隙22の位置に合わせて、抜き間隙22よりも小さな切込スリット12b・32bが夫々貫通している。切込スリット12b・32bは、ゴム弾性シート片10B・30Bの長手方向と直交するように両側から中央に向かいつつ、架橋ネック25にまで至らないように、切り込まれている。ゴム弾性シート片10B・30Bは、切込スリット12b・32bが抜き間隙22よりも小さいことから、切込スリット12b・32bの周縁が互いに接合したそれののりしろで抜き周縁部位24を包み込むように封止し接着して被覆していることによって、抜き周縁部位24及び架橋ネック25が外界に露出しないようにしている。
抜き穴23aは、長手方向の一方端側(図中、左側)の両角23Lcが大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の両角23Rcが小さなアールを有していることにより、同一向きに傾いて延伸するように、その形状が非対称になっている。即ち、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・の夫々は、延伸方向と垂直な基軸B1・B2・・・に対して、非対称となっている。
伸縮性弾性体シート1の両端が延伸方向Dに引っ張られると、抜き穴23aのうち大きなアールを有する両角23Lc側が伸び易く、それに比べて小さなアールを有する両角23Rc側が伸び難い。そのため、繰返し構造ユニットU1・U2・・・は、全ての抜き穴23aでの大きなアールを有する両角23Lc側が伸び易くなっている。この非対称であることが、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・で同一向きに傾いて延伸する原動力となっている。
この伸縮性弾性体シート1は、絶縁弾性体であるゴム弾性シート片10Bの切込スリット12b及び貫通スリット13bと、ゴム弾性シート片30Bの切込スリット32b及び貫通スリット33bとが、導電基材20の抜き周縁部位24間の抜き間隙22と抜き周縁部位24内の抜き穴23を通じて、重なり合って、そこでののりしろ同士で接着している。その結果、抜き周縁部位24が長方形形状から菱形形状への開閉可能となっており、また抜き間隙22が離反可能となっていることにより、この伸縮性弾性体シート1は、伸縮可能となっている。また、この伸縮性弾性体シート1は、抜き穴23aの両角23Rcと両角23Lcとによって非対称となっていることにより、同一向きに傾いて、伸縮可能となっている。
この伸縮性弾性体シート1は、おもて面側、裏面側にてゴム弾性シート片10B・30Bで被覆されていることにより、延伸方向Dに沿う側面の縁まで完全に封止され露出しないように被覆されているが、延伸方向Dでの両端の端部21・26の縁が露出して、必要に応じ外部機器に接続可能となっている。
導電基材20の横幅は、例えば10~50mmである。導電基材20中の抜き穴23の両角23Lc・両角23Rcでの異なるアールが、この導電基材20の横幅に対し、大きなアールを有する両角23Lcで1:0.006~1:0.2、好ましくは1:0.012~1:0.1としつつ、小さなアールを有する両角23Rcで1:0~1:0.04、好ましくは1:0~1:0.02とすることが好ましい。なお、大きなアールを有する両角23Lcの曲率半径を0.2~2mm、好ましくは0.4~1mmとし、小さなアールを有する両角23Rcの曲率半径0~0.6mmにしてもよい。
この伸縮性弾性体シート1は、導電基材20の抜き穴23aとして、略長方形でその両角23Lc・両角23Rcで異なるアールを有する例を示したが、各繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに抜き周辺部24が非対称となるのであれば、図9に示すように、異なるアールを有していても有していなくてもよく、単に角が丸められ又は角に小孔が開いていてもよい、抜き穴23aが、ひねった長方形穴(同図(a))、台形穴(同図(b))、二等辺三角形穴(同図(c))や不等辺三角形穴(同図(d))のような三角形穴、半円形穴(同図(e))、円弧形穴(同図(f))、三日月形穴(同図(g))、等辺又は不等辺の四角形穴(同図(h))や台形穴(同図(i))や五角形穴(同図(j))や六角形穴(同図(k))のような多角形穴、又はそれら何れかの組み合わせ形状の穴例えば円弧と四角とを組み合わせた形状の穴(同図(k))であってもよい。抜き穴23aは、基軸B1上からずれ、隣同士の抜き間隙22からの距離又は幅が異なるものであってもよい(同図(m))。抜き間隙22が非対称となるように、延伸方向Dの一方側で抜き周辺部24の外縁近傍に大きなアールが設けられていてもよく(同図(n))、延伸方向Dの一方側に傾いて設けられていてもよい(同図(o))。抜き穴23aに代えて、抜きスリット23bが非対称となるものであれば、円弧状(同図(p))であってもよく、鍵括弧状(同図(q))であってもよく、隣同士の抜き間隙22からの距離又は幅が異なるものであってもよい(同図(r))。
この伸縮性弾性体シート1は、抜き穴23a・抜きスリット23bが非対称であることに代えて、図10に示すように抜き間隙22の内縁近傍が延伸方向Dの一方側で大きなアールが設けられていてもよい。
この伸縮性弾性体シート1は、図8に示すように導電基材20Aの導電部位である抜き周縁部位24及び架橋ネック25が単線である例を示したが、図11(a)に示すように、延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・方向において各繰返し構造ユニットU1・U2・・・毎に、ゴム弾性シート片10B・30Bで挟んだ導電基材20Aとして複線の抜き周縁部位24a・24b及び架橋ネック25a・25bにして夫々、抜き穴23a・23bを有するようにして、抜き穴の角23aLc・23aRcと23bLc・23bRcとを非対称にしつつ、貫通スリット13bを開けていてもよい。抜き周縁部位24a・24b及び架橋ネック25a・25bを複線にした伸縮性弾性体シート1とすることにより、抜き周縁部位24及び架橋ネック25を単線にしたせいで一対用いなければならない伸縮性弾性体シート1よりも、部材点数を少なくすることができる。
この伸縮性弾性体シート1は、図11(b)に示すように、可撓性支持体20B上で、抜き周縁部位24a・24b及び架橋ネック25a・25bと並んで、抜き間隙22の内端部を取り囲むダミーパターン28a、及び/又は抜き穴23b1の外端部を取り囲むダミーパターン28bを、有していてもよい。このダミーパターン28a・28bは、導電しておらず、可撓性導電層20Aに非接触であって延伸方向Dと垂直な基軸B1・B2・・・方向において、繰返し構造ユニットU1・U2・・・中で非対称としつつ、ゴム弾性シート片10B・30B内で、周縁連結部15、切込間連結部14の少なくとも何れかに上下で接して設けられている(図8参照)。
複線の内側である抜き周縁部位24aの抜き穴23aには、長手方向の一方端側(図中、左側)の両角23aLcが大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の両角23aRcが小さなアールを有している。また複線の外側である抜き周縁部位24bの抜き穴23bには、長手方向の一端側(図中、左側)の両角23bLcが大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の両角23bRcが小さなアールを有している。
貫通スリット13bの内端部を取り囲むダミーパターン28bは、長手方向の一方端側(図中、左側)の外縁角28bLcが、内側の抜き穴23aの両角23aLcや外側の抜き穴23bの両角23bLcに対応して大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の外縁角23bRcが抜き穴23aの両角23aRcや抜き穴23bの両角23bRcに対応して小さなアールを有している。
ダミーパターン28a・28bは、抜き周縁部位24a・24b及び架橋ネック25a・25bと並んで,エッチング層、プリント層、金属膜層、有機導電膜層、導電性無機物含有導電膜層、又は導電性ゴム層として、併せて形成されるものであってもよい。
貫通穴13a・33a及び/又は貫通スリット13b・33b、周縁連結部15、切込スリット12b・32b及び/又は切込穴12a・32a、切込間連結部14、抜き穴23a及び/又は抜きスリット23b、架橋ネック25、導電基材20、ゴム弾性シート片10A・10B・30B、伸縮性弾性体シート1が、前記の第一形態と同様に、形、構造、位置、範囲、大きさ、幅、長さ、及び距離から選ばれる形状、厚さ、素材、及び/又は硬さによって、とりわけ角にアールが付くことによって非対称となっていてもよい。
ゴム弾性シート片10B・30Bは、伸縮性弾性体シート1の第一の形態でのゴム弾性シート片10Aと同様にしていてもよい。
第一又は第二の態様の伸縮性弾性体シート1の動作は、第二の態様(図8参照)の場合を例に説明すると、以下の通りである。
伸縮性弾性体シート1は、当初、平坦な導電基材20と平坦なゴム弾性シート片10B・30Bとに応じて、ほぼ平坦である。伸縮性弾性体シート1を延伸方向Dに沿って、端部11・21・31と端部16・26・36とが引き離されるように、比較的弱い引張力で引っ張ると、両角23Lcが大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の両角23Rcが小さなアールを有していることにより、抜き穴23aのうち大きなアールを有する両角23Lc側が伸び易く、それに比べて小さなアールを有する両角23Rc側が伸び難いことに起因して、繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに、両角23Lc側が先に伸び、それに追従するように両角23Rcが後で伸びる。その結果、図1と同様に(a)から(b)へと、抜き周縁部位24が多少捩じれて傾きながら開き、繰返し構造ユニットU1・U2・・・ごとに同一方向に傾くため、全繰返しユニットで、同一向きに傾いて延伸し始める。一度、同一向きに傾いて延伸し始めれば、さらに引っ張ったときに、傾きの方向が逆転しない。
そのとき、抜き周縁部位24の短辺は、引っ張り力に対抗して然程伸びず多少捩じれるだけだが、抜き周縁部位24の長辺は引っ張り力に対抗し切れず湾曲乃至屈曲し大きく捩じれる。また、切込スリット12b・32bがそれに併せて、開く。そのとき、切込スリット12b・32bが両側から切れ込まれているが架橋ネック25にまで至っていないので架橋ネック25近傍は然程捩じれないで傾きながら開く。それに応じ、導電基材20とそれに接着しているゴム弾性シート片10B・30Bとが同様に捩じれながら伸びる結果、伸縮性弾性体シート1が延伸する。
このとき、抜き周縁部位24内部が長手方向に開いて抜き穴23の長方形形状から、架橋ネック25と抜き周縁部位24内部の短辺とを角とする捩じれた略菱形形状乃至略多角形へと変形することによって、延伸に寄与する。それに対して、架橋ネック25は延び得ず捩じれないから延伸に寄与せずむしろ抜き周縁部位24の変形過剰又は変形不足となるのを防いでいる。
その結果、伸縮性弾性体シート1は、抜き周縁部位24を引裂くほど強く引っ張らない限り、自在に延伸する。また、同一向きに傾いて延伸すると、その癖が付くようになり、逆向きに傾いて延伸しなくなる。
その後、伸縮性弾性体シート1は、引っ張られるのを止めその引張力を開放すると、図1(a)と同様に、ゴム弾性シート片10B・30Bの弾性力に応じて、元の形状に戻るように、抜き周縁部位24と、切込スリット12b・32bとが、捩じれを解消しながら傾きを減少しつつ、閉じる。そのとき、抜き周縁部位24の短辺部位は、伸びも縮みもしないが捩じれが解消され、抜き周縁部位24の長辺部位は引張力が解放され、併せて切込スリット12b・32bは引張力が解消され、それに伴い、それらの湾曲乃至屈曲が元に戻るように再変形する。それに応じ導電基材20とゴム弾性シート片10B・30Bとの捩じれと傾きとを解消しながら、伸縮性弾性体シート1が元の形状にまで縮む。このとき、抜き周縁部位24内部と切込スリット12b・32bとが長手方向に沿って閉じて縮むのに寄与する。それに対して、架橋ネック25は縮まないから伸縮に寄与せずむしろ抜き周縁部位24の元の形状に戻るのを助けている。このようにして、伸縮性弾性体シート1は、延伸した形状に復元する。
この伸縮性弾性体シート1は、伸縮の際に、導電基材20の形状を、複数並んだ抜き穴23によって変形させるだけであり、ゴム弾性シート片10B・30Bで封止していることで、伸縮運動にかかる応力が殆んどない。とりわけ、低延伸領域で、応力変化がほとんど発生しない。
この伸縮性弾性体シート1は、繰返し構造ユニットU1・U2・・・で同一向きに傾いて延伸し、一度延伸すると癖が付き、ますます、同一向きにのみ傾き易くなって延伸する。しかも、伸縮性弾性体シート1は、伸縮を繰り返しても、導電基材20の形状の変化によって永久変形や破損を引き起こさず堅牢性・耐久特性に優れているばかりか、導電基材20の抵抗値変化が殆んど無く導電特性に優れている。
この伸縮性弾性体シート1は、導電基材20は、端子となり得る端部21・26の端子縁を除き、ゴム弾性シート片で確りと封止されているため、不意の漏電や放電を引き起こさず、電気特性に優れている。
なお、この伸縮性弾性体シート1は、初期状態が平面でなくてもよく、湾曲、屈曲、螺旋となっていてもよい。
伸縮性弾性体シート1は、ゴム弾性シート片10B・30Bを被覆していないときの抵抗値が最大で1kΩ、好ましくは最大で0.2kΩとなるように、導電層20Aを適宜選択することが好ましい。このような抵抗値を持つ伸縮性弾性体シート1は、均質でクラックの殆んど無い導電層20Aによって、調整することが可能である。
伸縮性弾性体シート1は、導電基材20中、導電層20Aが導電性材料でできた可撓性のものであれば銅・銀・金のような金属や合金でできた金属膜層、カーボンペースト含有導電膜層のような導電性無機物含有導電膜層、有機導電体や有機導電性インクでできた有機導電膜層など任意に選択できる。中でも導電層20Aは、低抵抗かつ高伸展である銅・銀・金であることが好ましい。導電層20Aは、1nm~1mmの厚さに任意に設定できる。この範囲を下回ると導電層20Aを均質な層状に形成し難くなって導電性が悪くなる。一方この範囲を超えると厚過ぎて可撓性を維持し難くなる。その下限は、10nmであると一層好ましく、100nmであるとなお一層好ましい。その上限は、0.5mmであると一層好ましく、0.1mmであるとなお一層好ましい。
導電基材20中、導電層20Aが可撓性支持体20Bに、印刷、エッチング、スパッタリング、貼付等で付されている。
伸縮性弾性体シート1は、導電基材20中、可撓性支持体20Bが絶縁性材料でできた可撓性で弾性のものであればポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートで例示される汎用プラスチック製、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミドで例示されるエンジニアプラスチック製、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドで例示されるスーパーエンジニアプラスチック製など任意に選択できるが、中でもポリイミド製、ポリエチレンテレフタレート製、ポリカーボネート製、ポリフェニレンサルファイド製などであると好ましい。可撓性支持体20Bは、1μm~1mmの厚さに任意に設定できる。この範囲を下回ると絶縁性や支持性を維持し難くなる。この範囲を超えると可撓性を維持し難くなる。その下限は、10μmであることが一層好ましく、50μmであるとなお一層好ましい。その上限は、0.5mmであることが一層好ましく、0.2mmであるとなお一層好ましい。
伸縮性弾性体シート1は、ゴム弾性シート片10A・10B・30Bが絶縁性材料でできた可撓性で被覆可能なものであれば、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルポリシロキサン、ポリフルオロシロキサンのようなシリコーン樹脂製やシリコーンゴム製、軟質ポリウレタン、硬質ポリウレタンのようなポリウレタン製、ポリスチレンのような塑性エラストマー製、エチレンプロピレンジエンゴムのようなエチレンプロピレンゴム製、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-プロピレン、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテルのようなフッ素ゴム製などを任意に選択できるが、中でも絶縁性・加工性に優れたシリコーン樹脂やシリコーンゴムであると一層好ましい。ゴム弾性シート片10A・10B・30Bは、10μm~10mmの厚さに任意に設定できる。この範囲を下回ると耐久性や絶縁性を維持し難くなる。その範囲を超えると可撓性を維持し難かったり、無理に引っ張らないと延伸し難くなって伸縮性に劣るようになってしまう。その下限は、10μmであることが好ましく、20μmであると一層好ましい。その上限は、5mmであることが好ましく、1mmであると一層好ましく、200μmであるとなお一層好ましい。
伸縮性弾性体シート1は、ゴム弾性シート片10A・10B・30Bの硬度をショアA硬度で10~90の範囲にて任意に選択できる。中でも強度、延伸性の良いショアA硬度で10~50であること一層好ましい。
伸縮性弾性体シート1は、図12(a)に示すように、ゴム弾性シート片10B・30Bの一端部11・31で封止された導電層20Aの一端部21に、電気接続コネクタ29a、例えば外部機器との接続用のリングスナップ端子、ケーブルクランプ端子を有していてもよい。
伸縮性弾性体シート1は、導電層20Aの導電部位である抜き周縁部位24及び架橋ネック25が単線であるときは、生体信号を検知する電極の対の一方として使用できる。伸縮性弾性体シート1は、抜き周縁部位24及び架橋ネック25が複線であるときは、両電極として使用できる。
導電基材20が、図12(b)に示すように、端部21・26を一部露出し接続コード29bに半田付けされゴム弾性シート片10B・30Bで完全に封止されて被覆されていてもよい。
このような伸縮性弾性体シート1は、1Hz~100kHzまでの信号を検知することができる。通常生体信号は、数Hz~数kHz、とりわけ筋電信号であれば100Hz前後であるから、この伸縮性弾性体シート1で、十分に検出され得る。
第二の態様の伸縮性弾性体シート1(図8参照)は、例えば、以下のようにして製造される。
先ず、導電基材20を作製する。導電基材20は、ポリイミドフィルムに、銅膜をスパッタリングで付したCuスパッタポリイミドを調製する。次いで長手方向の一方端側(図中、左側)の両角23Lcが大きなアールを有し、他方端側(図中、右側)の両角23Rcが小さなアールを有している抜き穴23aを、刃型で打ち抜き加工することにより形成する。これによって、長尺の導電基材20の中程に、抜き穴23、その間の抜き間隙22、それらによって必然的に形成される抜き周縁部位24、及び抜き穴23を繋ぐ架橋ネック25を形成し、導電基材20を得る。
次に、ゴム弾性シート片10B・30Bを作製する。シリコーンゴムシートを、導電基材20の外形よりものりしろの分だけ大き目に裁断しつつ、抜き周縁部位24内の抜き穴23aの位置に合わせて抜き穴23aよりも小さな貫通スリット13b・33bと、抜き周縁部位24間の抜き間隙22の位置に合わせて、抜き間隙22よりも小さな切込スリット12b・32bとを、切れ込ませて、ゴム弾性シート片10B・30Bを得る。
最後に、抜き穴23と貫通スリット13b・33bとを位置合わせし、抜き間隙22と切込スリット12b・32bとを位置合わせしつつ、のりしろで抜き周縁部位24を包み込むように封止し接着して被覆するように、導電基材20とゴム弾性シート片10B・30Bとを重ね合せて接着剤で接合して、伸縮性弾性体シート1を得る。
なお、長手方向の一方端側の両角23Lcが大きなアールを有し、他方端側の両角23Rcが小さなアールを有している抜き穴23aは、レーザー加工する方法や、フォトリソグラフィ技術で、形成することができる。
また、導電基材20として、Cuスパッタポリイミドを用いる代わりに、銅膜を付した可撓性支持体をエッチングして形成してもよい。抜き穴23a、抜き間隙22、及び架橋ネック25を形成した可撓性支持体に、カーボンペースト含有導電インキを付して導電インキ膜層のような導電性無機物含有導電膜層を形成したり、有機導電性インクを付して有機導電膜層を形成したりしてもよい。
導電基材20とゴム弾性シート片10B・30Bとを接着剤で接合する例を示したが、別の製法として、抜き穴23a、抜き間隙22、及び架橋ネック25を形成した導電基材20に、のりしろの分だけ大き目のシリコーンゴムシート小片のゴム弾性シート片10B・30Bを張り合わせてから、抜き周縁部位24内の抜き穴23aの位置に合わせて抜き穴23よりも小さな貫通スリット13b・33bと、抜き周縁部位24間の抜き間隙22の位置に合わせて、抜き間隙22よりも小さな切込スリット12b・32bとを、切れ込ませて、伸縮性弾性体シート1を得てもよい。
さらに別な製法として、抜き穴23a、抜き間隙22、及び架橋ネック25を形成した導電基材20の片面の何れかに、ゴム弾性シート片10B又は30Bとなるシリコーンゴムシート小片を接着剤で張り合わせてから、導電基材20の他方の面に、シリコーンゴムの硬化樹脂成分組成物を塗布、噴霧、浸漬して、他方のゴム弾性シート片30B又は10Bを形成した後、前記同様に、抜き周縁部位24内の抜き穴23の位置に合わせて貫通スリット13b・33bと、抜き間隙22の位置に合わせて切込スリット12・32とを、切れ込ませて、伸縮性弾性体シート1を得てもよい。
さらに別な製法として、抜き穴23a、抜き間隙22、及び架橋ネック25を形成した導電基材20の両面に、シリコーンゴムの硬化樹脂成分組成物を塗布、噴霧、浸漬して、ゴム弾性シート片10B及び30Bを一挙に形成した後、前記同様に、抜き周縁部位24内の抜き穴23の位置に合わせて貫通スリット13b・33bと、抜き間隙22の位置に合わせて切込スリット12b・32bとを、切れ込ませて、伸縮性弾性体シート1を得てもよい。
必要に応じて、伸縮性弾性体シート1の積層構造の形成を繰り返して、伸縮導電配線モジュールを形成する。伸縮導電配線モジュールとなる伸縮性弾性体シート1は、必要に応じ、導電層20Aの一端部21に、電気接続コネクタを取り付ける。電気接続コネクタは、半田付けで取り付けてもよく、リングスナップ端子を捻じ込んでかしめて取り付けてもよい。
伸縮導電配線モジュールとなる伸縮性弾性体シート1は、伸縮性弾性体シート1を多重に重ね、及び/又は、直列及び/又は並列に配し、着脱可能なディスポーザブルで清潔なウェアラブルデバイスとして、利用が可能である。この伸縮性弾性体シート1は、小さな筋肉、例えば顔面筋肉や掌の筋肉、大きな脚の筋肉の筋電位測定に使用するなど、幅広く利用できる。伸縮性弾性体シート1は、1対一組の両電極として、1~4組の2~8電極にして、生体筋肉の様々な部位での筋電位測定や三次元的な筋電位測定に、利用できる。
伸縮導電配線モジュールとなる伸縮性弾性体シート1は、リハビリテーションにおける筋電位を測定して回復状態を検査したり、ミオパチーと呼ばれる筋疾患の進行程度を検査したり、アスリートの運動能力を検査したりするのに用いられる。また職人の動きを筋電位の変化として記録して匠の技を後世に技術データとして残すなど、筋肉の動きに追従して、正確に筋電位を測定するのに用いることができる。
この伸縮導電配線モジュールとなる伸縮性弾性体シート1は、露出した端子を必要な個所にのみ配置しそれ以外を封止して絶縁性を保ちつつ、不要なノイズを検知せず、所望の電位を選択的に検知できるばかりか、繰り返し伸縮しても電動特性を維持できる。
以下に、本発明を適用する伸縮性弾性体シート(図8参照)と、本発明を適用外の伸縮性弾性体シートとを作成し、性能を評価して比較した結果を示す。
(実施例1)
導電基材20は、REMI-FS(北川工業株式会社製)を使用した。ゴム弾性シート片10・30は、厚さ0.2mmのシリコーンゴムシートを用いた。得られた導電基材20及びゴム弾性シート片10B・30Bを図1に示す形状にそれぞれレーザー加工し、その後、導電基材20にシリコーン系接着剤(商品名スーパーXゴールド;セメダイン株式会社製)を薄く塗布し、ゴム弾性シート片10B・30Bにて挟み込んで接着した。
これにより、図8に示すように、200μmの厚さで長手方向でシリコーンゴム製のゴム弾性シート片10B・30Bの長さが42mmであり、25μmの厚さのポリイミド製の可撓性支持体20B及びその上に付された導電層20Aからなる導電基材20の長さが42mmであり、それに垂直な幅方向でゴム弾性シート片10B・30Bの幅が12mm、導電基材20の幅が10mmであって1mmずつののりしろを備えた伸縮性弾性体シート1の試験片を得た。その導電基材20は、抜き周縁部位24での最小配線幅を0.75mmとし、抜き穴23の長手方向の長さを8.5mm、抜き周縁部位24同士間の抜き間隙22の長手方向の長さを3.5mmとし、架橋ネックの幅方向の長さを2mmにして、長手方向での両端から10mmの端部21・26の間で、抜き周縁部位24の繰返し長を22mmとし、7ユニットを有しており各ユニットごとに長手方向の一方端側の抜き穴23の両角23Lcが大きなアール(曲率半径R:0.3~0.5mm)を有し、他方端側の両角23Rcが小さなアール(曲率半径R:0.2mm)を有している伸縮性弾性体シート1を製造した。
(比較例1)
長手方向の一方端側の両角23Lcと他方端側の両角23Rcとが同じアール(曲率半径R:0.2mm)を有するものであること以外は、実施例1と同様にして、伸縮性弾性体シート1を製造した。
(性能試験1:破断するまでの延伸時の正常変形/異常変形数、破断時伸び、破断時応力の評価)
実施例1・比較例1で得た伸縮性弾性体シート1の試験片を、挟んだ両端から0.1mm/秒の速度で破断するまで引張りながら、n=3で、破断するまでの延伸時における、夫々7ユニット中での正常変形(正常向き)/異常変形(逆向き)のユニット数と、無延伸を0%として算出した破断時の伸び率と、破断時応力とを測定した。それらの結果をまとめて表1に示す。
(性能試験2:50%延伸繰返による耐久性の評価)
実施例1・比較例1で得た伸縮性弾性体シート1の試験片を、挟んだ両端から0.1mm/秒の速度で、無延伸を0%として50%までの延伸を繰返し、抵抗値が初期値から10%以上変化までの延伸繰返し回数を測定した。その結果をまとめて表1に示す。
表1から明らかな通り、本発明の実施例1での抜き穴23が非対称の伸縮性弾性体シート1は、異常な変形方向に伸びたユニットが生じず耐久性が良いのに対し、発明を適用外の比較例1での抜き穴23が対称の伸縮性弾性体シート1は、逆方向にも変形しながら伸び、耐久性に劣っていた。
(実施例2)
非対称部分を、長手方向の架橋ネック25の一方端側の両角が大きなアール(曲率半径R:0.3~0.5mm)を有し、他方端側の両角が小さなアール(曲率半径R:0.2mm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、伸縮性弾性体シート1を製造した。
(比較例2)
架橋ネック25の一方端側と他方端側との両角を同じアール(曲率半径R:0.2mm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、伸縮性弾性体シート1を製造した。
実施例2及び比較例2について、前記の性能試験1及び2を行った。その結果を、表2にまとめて示す。
表2から明らかな通り、本発明の実施例2での架橋ネック25が非対称の伸縮性弾性体シート1は、異常な変形方向に伸びたユニットが生じず、破断伸びが大きくしかも耐久性が良いのに対し、発明を適用外の比較例1での架橋ネック25が対称の伸縮性弾性体シート1は、逆方向にも変形しながら伸び、破断伸びが小さくしかも耐久性に劣っていた。
(実施例3)
非対称部分として、ゴム弾性シート片10B(上面側)・30B(下面側)を、厚さ方向にて異なる厚さ又は硬さにしたこと以外は、実施例1と同様にして、伸縮性弾性体シート1を製造した。
(比較例3)
ゴム弾性シート片10B(上面側)・30B(下面側)を同素材にしたこと以外は、実施例3と同様にして、伸縮性弾性体シート1を製造した。
実施例3及び比較例3について、前記の性能試験1及び2を行った。その結果を、表2にまとめて示す。
表3から明らかな通り、本発明の実施例3でのゴム弾性シート片10B(上面側)・30B(下面側)のゴム厚さ又はゴム硬度が相違することによる非対称の伸縮性弾性体シート1は、異常な変形方向に伸びたユニットが生じず、しかも耐久性が良いのに対し、発明を適用外の比較例1でのゴム弾性シート片10B(上面側)・30B(下面側)のゴム厚さ又はゴム硬度が同じことによる対称の伸縮性弾性体シート1は、逆方向にも変形しながら伸び、しかも耐久性に劣っていた。
次に、本発明を適用するゴム弾性シート片が導電性ゴムである導電基材20のみからなり、ゴム弾性シート片10B・30Bを用いていない伸縮性弾性体シートと、本発明を適用外の伸縮性弾性体シートとを作成し(図13参照)、性能を評価して比較した結果を示す。貫通スリット及び/又は貫通穴と、切込スリット及び/又は切込穴とレーザー加工して設けたこと及びそれの大きさを同図に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、伸縮性弾性体シートを作製した。
(実施例4(1)~(3)及び比較例4(1)~(3))
導電基材20のみからなる伸縮性弾性体シート1の外形の概略は図13(a)の通りである。比較例4(1)~(3)は、対称のもので、抜き穴23aの角が延伸方向Dの一方側と他方側とで同じアールを有するものである(同図13(b)~(d))。実施例4(1)~(3)は、非対称のもので、抜き穴23aの角が延伸方向Dの一方側と他方側とで異なるアールを有するものである(同図13(e)~(g))。
(性能試験3:変形確認試験)
伸縮性弾性体シートの各12サンプルを、約12mm/秒で延伸方向Dに引っ張って、全ユニットU1・U2・・・が同一方向にのみ傾いたものを正常変形とし、ユニットU1・U2・・・のうち1箇所以上が逆方向に傾いているものを異常変形として観察し、夫々の数を計測した結果を、表4に示す。
(性能試験4:伸縮繰返し耐久試験)
伸縮性弾性体シート1を、150mm/秒で延伸方向Dに50%伸長するまで引っ張った後、同速度で解放させる伸縮を繰返し、500回、1000回~5000回まで1000回毎に、テスターで抵抗値を確認して、抵抗値が初期値よりも10%以上悪化するまで試験を行った。その結果を、表4に示す。
(性能試験5:ピール試験)
伸縮性弾性体シート1を、50mm/分で引っ張り、伸び率と破断時応力とを測定した。その結果を、表4に示す。
表4から明らかな通り、実施例4(1)~(3)のように抜き穴23aにおける延伸方向Dの一方側と他方側とで夫々の角の曲率半径が異なる伸縮性弾性体シートは、引っ張っても正常変形しか起こさない。一方、その曲率半径が同じである比較例4(1)~(3)の伸縮性弾性体シートは、異常変形の割合が過半数であり、伸縮繰返し耐久試験やピール試験で劣っていた。
(実施例5(1)~(2)及び比較例5)
導電基材20のみからなる伸縮性弾性体シート1の外形の概略は図13(a)の通りである。比較例5は、対称のもので、架橋ネック25の角が延伸方向Dの一方側と他方側とで同じアールを有するものである(同図13(h))。実施例5(1)~(2)は、非対称のもので、架橋ネック25の角が延伸方向Dの一方側と他方側とで異なるアールを有するものである(同図13(i)~(j))。前記性能試験3~5と同様な評価を行った結果を表5に示す。
表5から明らかな通り、実施例5(1)~(2)のように架橋ネック25における延伸方向Dの一方側と他方側とで夫々の角の曲率半径が異なる伸縮性弾性体シートは、引っ張っても正常変形しか起こさない。一方、その曲率半径が同じである比較例5の伸縮性弾性体シートは、異常変形の割合が半数であり、伸縮繰返し耐久試験やピール試験で劣っていた。
(実施例6(1)~(6))
導電基材20のみからなる伸縮性弾性体シート1の外形の概略は図13(a)の通りである。実施例6(1)~(6)は、非対称のもので、抜き穴23aが隣り合う抜き間隙22同士との異なる距離を有するもの(同図(k))、抜き穴23aが非対称な多角形を有するもの(同図(l)~(m))、抜き穴23aに代え抜きスリット23bが非対称な円弧状又は鍵括弧状を有するもの(同図(n)~(o))である。前記性能試験3~5と同様な評価を行った結果を表6に示す。
表5から明らかな通り、実施例6(1)~(6)のように抜き穴23a又は抜きスリット23bにおける延伸方向Dの一方側と他方側とで非対称な伸縮性弾性体シートは、引っ張っても正常変形しか起こさない。