以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係るゲート装置1を説明する。図1(A)はゲート装置1の概略構成を示す側面図、図1(B)はゲート装置1の概略構成を示す平面図である。ゲート装置1は、本発明の実施の形態に係る検知器15を備えている。ゲート装置1は、本実施の形態では、通過体としての二輪車Bの、有料区画への入場を管理するための装置であり、具体的には、入場が許可された二輪車Bの入場を可能にし、入場が許可されない二輪車Bの入場を阻止するものである。二輪車Bは、図示は省略しているが人が移動させており、二輪車Bと人とを含めて通過体に相当する。以下、単に二輪車Bと言うときは、特に断りがある場合を除き、人も共に存在するものとする。二輪車Bの入場の可否を問う手続は、典型的には人が行う。二輪車Bは、典型的には自転車であり、オートバイを含む。
ゲート装置1は、ゲート10と、管理制御機30とを備えている。また、本実施の形態では、二輪車Bをゲート10に案内する通路Pを、区画レール38によって区画している。区画レール38は、二輪車Bが有料区画に向かって進む方向である進行方向Fで見てゲート10の上流側に設置されており、進行方向Fを向いて通路Pの右側に配置された区画レール38Rと、通路Pの左側に配置された区画レール38Lとの一対から構成されている。通路Pは、二輪車Bが複数台並走することができない幅、換言すれば二輪車Bが1台ずつしか通過することができない幅になるように、ゲート10や区画レール38等が設置されて形成されている。
ゲート10は、本実施の形態では、進行方向Fを向いて、通路Pの右側に設置された右ゲート10Aと、通路Pの左側に設置された左ゲート10Bとの2台が設けられている。右ゲート10Aと左ゲート10Bとは、概ね同様に構成されている。以下、右ゲート10Aと左ゲート10Bとを区別せずに共通の構成に言及するときは、ゲート10と総称する。ゲート10は、扉11と、検知器15と、これらを収容する筐体19とを備えている。
扉11は、通路Pを開閉するものである。ここで、通路Pを開にするとは二輪車Bの通過が可能な状態にすることであり、通路Pを閉にするとは二輪車Bの通過を阻止する状態にすることである。扉11は、本実施の形態では、開閉動作時の空気抵抗を軽減する観点からパイプにより形成されている。扉11は、耐久性を向上させる観点からは金属で形成されているとよく、軽量化を図る観点からは合成樹脂で形成されているとよい。また、扉11は、二輪車Bの共連れ等を効果的に抑制する平板状の外観を呈していてもよい。扉11の幅は、本実施の形態では右ゲート10Aの扉11と左ゲート10Bの扉11との2枚で通路Pを閉じるので、通路Pの幅の約半分の長さに形成されている。扉11の高さ方向の長さは、扉11を閉じたときに二輪車Bの通過を効果的に阻止することができる範囲でできるだけ短くすると、材料消費量削減の観点から好ましい。
扉11は、二輪車Bを牽引する人の腰から胸のあたりの高さに、あるいは二輪車BのタイヤTの中心(ハブの位置)よりやや上方からハンドルのやや上方までの高さに配置されるように、筐体19に取り付けられている。扉11は、筐体19内に収容された駆動部(不図示)に連結され、この駆動部の作動によって開閉するように構成されている。扉11は、閉のときは面の垂線(仮想直線)が進行方向Fに平行となる状態で通路Pを塞ぎ、開のときは面の垂線(仮想直線)が進行方向Fに直交する状態で面が通路Pの縁に沿った位置に存在するようになっている。また、扉11が開のときは、閉のときの位置に対して進行方向Fの下流側に位置するようになっている。扉11は、駆動部(不図示)の作動によって、閉の状態の位置と開の状態の位置との間を往復することができるように構成されている。駆動部(不図示)は、典型的にはサーボモータを含んで構成されている。
検知器15は、ゲート10付近における二輪車Bの移動の状態を検知するものである。検知器15が検知する二輪車Bの状態には、二輪車Bの有無を含む。検知器15は、右ゲート10Aに設けられた構成部材と左ゲート10Bに設けられた構成部材とが協働して所望の機能を発揮するように構成されている。以下に、検知器15の構成を詳述する。
図2は、検知器15の概略構成図である。検知器15は、光素子群100と、制御部78と、記憶部79とを備えている。図2では、光素子群100については平面の配置を示している。検知器15は、光素子群100を複数備えており、各光素子群100を区別するときは第1群101、第2群102、第3群103、・・・と呼称するが、各光素子群100を区別せずに共通の構成に言及するときは、光素子群100と総称する。光素子群100は、光を発する発光素子50と、発光素子50が発光した光を受ける受光素子60とを有している。発光素子50として、典型的には発光ダイオードを用いることができる。受光素子60として、典型的にはフォトダイオードを用いることができる。本実施の形態では、各光素子群100が、3つの発光素子50と、3つの受光素子60とで構成されている。ここで、発光素子50及び受光素子60を個々に区別するときは、第1群101を構成する3つの発光素子50の符号をそれぞれ51A、51B、51Cと、3つの受光素子60の符号をそれぞれ61A、61B、61Cと表示し、第2群102を構成する3つの発光素子50の符号をそれぞれ52A、52B、52Cと、3つの受光素子60の符号をそれぞれ62A、62B、62Cと表示し、以降の群の光素子群100についても同様の要領で符号を付して区別することとする。
光素子群100は、発光素子50と受光素子60とで通路Pを挟むように配置されている。換言すれば、光素子群100は、直交方向Wにおいて、発光素子50が通路Pの一方の側に配置され、受光素子60が通路Pの他方の側に配置されている。ここで、直交方向Wは、移動方向Dに対して直交(直交は交差の一形態である)する方向であり、交差方向の一形態である。また、移動方向Dは、二輪車Bが移動し得る方向であり、進行方向Fと、その逆向きの反対方向Eとの総称である。光素子群100は、3つずつの発光素子50及び受光素子60のそれぞれが、移動方向Dに所定の間隔をあけて配列されている。また、検知器15が備える各発光素子50及び各受光素子60が配置される高さは、検知精度向上の観点から、最も多く通路Pを通過すると予想される大きさの二輪車B(例えば24インチ、26インチ、27インチ等)のチェーンカバーあるいはチェーンリングの高さの範囲内とするのが好ましく、ボトムブラケットの高さとするのがより好ましい。
光素子群100は、制御部78によって、各発光素子50が順番に所定の周期で発光するように構成されている。例えば、第1群101で見ると、発光素子51A、発光素子51B、発光素子51Cの順に発光し、本実施の形態ではある発光素子50(例えば発光素子51A)が発光してから次に同じ発光素子50(発光素子51A)が発光するまでの時間が所定の周期に相当する。所定の周期は、移動する二輪車Bを常に検知できるように検知ラインLを出せる時間とするのが好ましい。本実施の形態では、1つの光素子群100あたり発光素子50が3個で構成されているので、所定の周期が長くなることを抑制することができ、検知時間を短縮することができて、検知漏れを抑制することができる。また、光素子群100は、1つの発光素子50が発した光をすべての受光素子60で受けることができるように構成されている。第1群101を例にすると、例えば発光素子51Aが発した光をすべての受光素子61A、61B、61Cが同時に受けることができ、発光素子51Bが発した光をすべての受光素子61A、61B、61Cが同時に受けることができ、発光素子51Cが発した光をすべての受光素子61A、61B、61Cが同時に受けることができるように構成されている。本実施の形態では、1つの光素子群100について、受光素子60が3個で構成されているため、1つの発光素子50が発した光によって3本の検知ラインLが生じるように構成されている。検知ラインLは、発光素子50と受光素子60とを結ぶ光線である。検知器15は、検知ラインLが二輪車B等の物体で遮断(遮光)されるか否かによって、検知範囲における物体の有無を判定できるように構成されている。各光素子群100では、それぞれの発光素子50が発した光の照射範囲内に、その発光素子50が属する光素子群100を構成するすべての受光素子60が入るように、受光素子60が配列されている。検知器15は、このような光素子群100の複数が、移動方向Dに配列されて構成されている。本実施の形態では、進行方向Fの上流側から下流側に向けて、第1群101、第2群102、第3群103、第4群104(不図示)、・・・の順に配列されている。
複数の光素子群100が前述の高さで移動方向Dに配列され、光素子群100ごとに各発光素子50が所定の周期で発光すると、多数の光線(検知ラインL)が現れる。光素子群100は、その構成上、図2から明らかなように、直交方向Wにおける発光素子50及び受光素子60のそれぞれに近い部分は、隣り合う検知ラインLの間隔が大きく、物体を検知可能な領域が小さい部分がある。他方、図3(A)に示すように、二輪車Bは、検知ラインLが主として検知(光線を遮断)することを想定しているボトムブラケットやチェーンカバーの位置に対して、ペダルが直交方向Wに張り出しているため、ボトムブラケット等は、筐体19に接触するまでは近づくことができず、筐体19に最大限接近した位置と筐体19との間に距離が生じる。ここで、図3(B)に示す平面視(検知ラインLの高さの仮想平面を見た図)において、ボトムブラケット等が存在できる通路Pの部分を主路Pmということとし、ボトムブラケット等が存在できない通路Pの部分(ボトムブラケット等が筐体19に最大限接近した位置と筐体19との間の部分)を側路Peということとする。図2に示す、発光素子50及び受光素子60のそれぞれに近い、物体を検知可能な領域が小さい部分は、側路Peに存在する限りにおいては、二輪車Bの検知に関与せず、検知精度の低下を回避することができる。光素子群100は、平面視において、主路Pmの範囲内で、隣接する検知ラインLの間の移動方向Dにおける距離の最大値が、二輪車BのリムR(図1参照)の高さとタイヤT(図1参照)の高さとの和の距離よりもより小さくなるように(例えば32mm以下)、発光素子50及び受光素子60が配列されていることが好ましい。ここで、リムR及びタイヤTの高さは、タイヤT(ホイール)の直径方向の距離である。このように構成されていると、図3(C)を参照するとより容易に理解できるように、二輪車Bのホイールのスポーク間に検知ラインLが貫通できる空間(透光状態となる空間)が形成されていても、多数の検知ラインLのうちの少なくとも1つの検知ラインLでタイヤT及び/又はリムRが検知されることとなり、二輪車Bの車輪部分を確実に検知することが可能になる。なお、図3(C)に示す例では、発光素子50及び受光素子60が配置される高さが、チェーンカバーCCが取り付けられた二輪車BのボトムブラケットBBの高さとなっているので、二輪車Bが光素子群100で検知されるのが、図3(C)中の二輪車Bの下に帯状に示したように、前輪のリムR及びタイヤTで2回、チェーンカバーCCで1回、後輪のスタンドで1回となり、この検知パターン(帯状の長さ及び間隔)を制御部78にあらかじめ記憶しておくことで、二輪車Bの検知の正確性を確保することができる。
移動方向Dに配列された複数の光素子群100について、ある1つの光素子群100を基準としたときに(これを「基準光素子群」ということとする。)、基準光素子群に隣接する光素子群100を「隣接光素子群」ということとする。例えば第1群101を基準光素子群とすると第2群102が隣接光素子群となり、例えば第2群102を基準光素子群とすると第1群101及び第3群103がそれぞれ隣接光素子群となる。そして、本実施の形態では、隣接光素子群の発光素子50が基準光素子群の発光素子50に対して通路Pの反対側に配置されており、隣接光素子群の受光素子60が基準光素子群の受光素子60に対して通路Pの反対側に配置されている。換言すれば、進行方向Fの上流側から下流側に向けて、通路Pの一方の側には第1群101の発光素子51A、51B、51C、第2群102の受光素子62A、62B、62C、第3群103の発光素子53A、53B、53C、・・・の順に配置されており、通路Pの他方の側には第1群101の受光素子61A、61B、61C、第2群102の発光素子52A、52B、52C、第3群103の受光素子63A、63B、63C・・・の順に配置されている。このように、本実施の形態では、通路Pの一方の側と他方の側のそれぞれにおいて、移動方向Dに配列された複数の光素子群100の1つおきに発光素子50と受光素子60との配置が入れ替わっている。このように構成されていると、基準光素子群の発光素子50から発せられた光が隣接光素子群の受光素子60で受光されることを回避することができ、想定外の検知ラインLの出現に伴う検知精度の低下を抑制することができる。また、基準光素子群の発光素子50から発せられた光が隣接光素子群の受光素子60で受光されることを回避することができるため、基準光素子群と隣接光素子群との距離(例えば、第2発光素子52Cから第2受光素子62Cへ向かう検知ラインLと、第3発光素子53Aから第3発光素子63Aへ向かう検知ラインLと、の距離)を小さくすることができ、検知漏れの抑制及び検知精度の向上を図ることができる。
制御部78は、検知器15の動作を制御する部位である。制御部78は、光素子群100ごとに、複数(本実施の形態では3個)の発光素子50から前述した所定の周期で発光させる発光制御を行うように構成されている。また、制御部78は、各受光素子60が、発光素子50から発せられた光を受けたか否か(透光状態か遮光状態か)を認識することができるように構成されている。ここで、透光状態とは、発光素子50から発せられた光が途中で遮られることなく受光素子60に到達する検知ラインLが存在する状態であり、受光素子60が透光状態であると表現したり、検知ラインLが透光状態であると表現する場合もある。遮光状態とは、発光素子50から発せられた光が途中で遮られて受光素子60に到達する検知ラインLが存在しない状態であり、受光素子60が遮光状態であると表現したり、検知ラインLが遮光状態であると表現する場合もある。制御部78は、光素子群100単位で遮光状態が存在するか否かを認識する場合、光素子群100ごとに遮光状態が存在するか否かを認識し、その光素子群100を構成するすべての受光素子60が遮光状態でない(すなわちすべての受光素子60が透光状態である)場合はその光素子群100を透光群であると認識し、その光素子群100を構成するすべての受光素子60のうちの1つでも遮光状態にある場合はその光素子群100を遮光群であると認識する。制御部78は、複数(本実施の形態では6つ)の光素子群100のそれぞれについて、透光群であるか遮光群であるかを認識する。そして、制御部78は、検知器15を構成する光素子群100のそれぞれについて、透光群であるか遮光群であるかを時間経過に沿って判断したことに基づいて、通過しようとする二輪車Bの状態を判定することができるように構成されている。
図4は、二輪車Bの状態の判定の基となる光素子群100の状態を例示するタイムチャートである。図4は、縦軸が進行方向Fを示し、横軸が時間経過tを示している。図4では、各光素子群100について、透光群の状態を線状で示し、遮光群の状態を帯状で示している。図4(A)を見ると、時刻t0から時刻t1までは、すべての光素子群100が透光群となっているので、検知器15が二輪車Bを検知していない状態である。時刻t1になると、進行方向F最上流の第1群101だけが遮光群となったので、制御部78は二輪車Bが進入したと判定する(進入判定)。引き続き、時刻t2になると新たに第2群102が遮光群となって第1群101と第2群102とが遮光群となり、時刻t3になると新たに第3群が遮光群となって第1群101と第2群102と第3群103とが遮光群となり、このように、第1群101から第6群106にかけて順次透光群から遮光群に変わっている場合は二輪車Bが一定の速度で進行方向Fに進んでいると推測できる。進入判定されてから、二輪車Bが一定の速度で進行方向Fに進んでいくと、時刻t4で第1群101が遮光群から透光群に変わっている。これは、時刻t4で二輪車Bが第1群101を脱出したことを示している。引き続き、時刻t5になると新たに第2群が透光群となり、二輪車Bが一定の速度で進行方向Fに進んでいく状況では、この後第6群106に向けて順次遮光群から透光群に変わっていくこととなる。そして、時刻t6で、進行方向F最下流に配置されている第6群106が遮光群から透光群に変わってすべての光素子群100が透光群となったので、制御部78は二輪車Bが退出したと判定する(退出判定)。
図4(B)では、時刻t0から時刻t11までに見られるすべての光素子群100が透光群となっている状態から、時刻t11で進行方向F最下流に配置されている第6群106だけが遮光群となっている。制御部78は、第6群106だけが遮光群となっている状態があらかじめ決められた時間継続したら、又は第6群106に続いて第5群105が透光群から遮光群に変わったら、二輪車Bが反対方向Eに進入したと判定する(逆進入判定)。なお、図4(B)の例では、時刻t11で第6群106のみが遮光群となった後、他の光素子群100が遮光群とならずに、時刻t12で第6群106も透光群となったので、時刻t12で二輪車Bが検知器15から脱出したと判断できる。
図4(C)では、時刻t21から時刻t22までは、第1群101から第5群105までが順次透光群から遮光群に変わっているので、この間は二輪車Bが一定の速度で進行方向Fに進んでいると推測することができる。その後、第6群106が透光群から遮光群にならず、時刻t23で遮光群から透光群になった第2群102が時刻t24で再び遮光群となり、時刻t25で第5群105が遮光群から透光群になった後、第4群104、第3群103、第2群102の順に遮光群から透光群に変わり、最後に第1群101が時刻t26で遮光群から透光群変わって、すべての光素子群100が透光群になっている。このような、進入判定後に進行方向Fに遮光群が移った後、退出判定がされずに透光群が進行方向Fの逆方向(すなわち反対方向E)に移ったパターンを検知したら、制御部78は、第1群101が遮光群から透光群に変わったときに、一旦進入した二輪車Bが未退出であったと判定する(未退出判定)。
図4(D)では、時刻t31で第1群101が透光群から遮光群になった後、第6群106にかけて進行方向Fに順次透光群から遮光群に変わっている。そして、時刻t32で第1群101が遮光群から透光群に変わった後、第6群106にかけて進行方向Fに順次遮光群から透光群に変わっていく途中、退出判定の前に(最下流の第6群106が遮光群から透光群になる前に)、時刻t33で第1群101が透光群から遮光群に変わっている。このように、進入判定の後、退出判定の前に、再び進入判定がある場合は、先に進入した二輪車Bが退出する前に後続の二輪車Bが進入したと推測できる。このようなとき、制御部78は、共連れがあったと判定する(共連れ判定)。このように、制御部78は、検知器15を構成する光素子群100のそれぞれが透光群であるか遮光群であるかを時間経過に沿って判断したことに基づいて、通過しようとする二輪車Bの状態について、進入判定、退出判定、逆進入判定、未退出判定、共連れ判定のいずれであるかを判定することができるように構成されている。
図2に戻って、記憶部79は、各受光素子60に到達する検知ラインLが遮光状態である時間を一時的に記憶しておく部位である。記憶部79は、制御部78との間で情報(データ)のやりとりができるように構成されている。記憶部79は、制御部78と物理的に離れて設置されていて電気的に接続されていてもよく、制御部78と一体に構成されていることで制御部78と情報のやりとりができるように構成されていてもよい。記憶部79が一時的に記憶する、検知ラインLが遮光状態である時間は、発光素子50及び/又は受光素子60に故障が生じたか否かを判断するのに用いられる。
図5は、光素子群100の故障の有無の判断を説明するタイムチャートである。図5は、1つの光素子群100を例示しており、各発光素子50は、第1発光素子51A、51B、51C、第2発光素子52A、52B、52C・・・等を総称して発光素子50A、50B、50Cと示し、各受光素子60は、第1受光素子61A、61B、61C、第2受光素子62A、62B、62C・・・等を総称して受光素子60A、60B、60Cと示している。図5は、縦に各発光素子50及び各受光素子60を配列し、横に時間軸tをとっている。
図5(A)は、光素子群100に異常がなく、検知がない場合を示している。この場合、時刻tAで発光素子50Aが発光すると(以下、図5では発光した状態を符号「H」で示す。)、3つの受光素子60A、60B、60Cは透光状態(以下、図5では符号「G」で示す。)となっている。次に時刻tBで発光素子50Bが発光Hすると、3つの受光素子60A、60B、60Cは透光状態Gとなっている。次に時刻tCで発光素子50Cが発光Hすると、3つの受光素子60A、60B、60Cは透光状態Gとなっている。図5(A)に示す例では、各発光素子50の発光Hに対してすべての受光素子60の受光が適切に検知されている。
図5(B)は、光素子群100に異常がなく、検知がある場合を示している。この例では、時刻tAで発光素子50Aが発光Hすると、2つの受光素子60A、60Bは遮光状態(以下、図5では符号「S」で示す。)となっており、残る1つの受光素子60Cは透光状態Gとなっている。これは、発光素子50Aから2つの受光素子60A、60Bへの2本の検知ラインL(図2参照)が遮光状態Sであることを示している。次に時刻tBで発光素子50Bが発光Hすると、1つの受光素子60Aは遮光状態Sとなっており、残る2つの受光素子60B、60Cは透光状態Gとなっている。これは、発光素子50Bから受光素子60Aへの検知ラインL(図2参照)が遮光状態Sであることを示している。次に時刻tCで発光素子50Cが発光Hすると、3つの受光素子60A、60B、60Cは透光状態Gとなっている。図5(B)に示す例では、遮光状態Sがあったのは二輪車Bの検知があったためであり、各発光素子50の発光Hに対してすべての受光素子60の受光が適切に検知されている。
図5(C)は、発光素子50Aに異常がある場合を示している。この例では、時刻tAで制御部78から発光素子50Aに発光指令が出たが実際には発光されておらず(この状態を図5では符号「H’」で示している。)、3つの受光素子60A、60B、60Cは遮光状態Sとなっている。つまり、発光素子50Aから3つの受光素子60A、60B、60Cへの3本の検知ラインL(図2参照)が遮光状態Sであることを示している。この状態は、記憶部79に記憶される。次に時刻tBで発光素子50Bが発光Hすると、3つの受光素子60A、60B、60Cは透光状態Gとなっており、時刻tCで発光素子50Cが発光Hすると、3つの受光素子60A、60B、60Cは透光状態Gとなっている。図5(C)に示す例では、3つの発光素子50A、50B、50Cが所定の周期で順番に発光を繰り返し、発光素子50Aから3つの受光素子60A、60B、60Cへの3本の検知ラインLが遮光状態Sであることが所定の時間継続したら、制御部78は、発光素子50Aに故障があったと判断するようになっている。ここで、所定の時間は、二輪車Bの通常の移動としてみると不自然な状態であると推定できるのに必要な時間である。
図5(D)は受光素子60Bに異常がある場合を示している。この例では、時刻tAで発光素子50Aが発光Hすると、2つの受光素子60A、60Cは透光状態Gとなっており、残る1つの受光素子60Bは遮光状態Sとなっている。この、発光素子50Aから受光素子60Bへの検知ラインLが遮光状態Sであることは、記憶部79に記憶される。次に時刻tBで発光素子50Bが発光Hすると、2つの受光素子60A、60Cは透光状態Gとなっており、残る1つの受光素子60Bは遮光状態Sとなっている。この、発光素子50Bから受光素子60Bへの検知ラインLが遮光状態Sであることは、記憶部79に記憶される。次に時刻tCで発光素子50Cが発光Hすると、2つの受光素子60A、60Cは透光状態Gとなっており、残る1つの受光素子60Bは遮光状態Sとなっている。この、発光素子50Cから受光素子60Bへの検知ラインLが遮光状態Sであることは、記憶部79に記憶される。図5(D)に示す例では、3つの発光素子50A、50B、50Cが所定の周期で順番に発光を繰り返し、3つの発光素子50A、50B、50Cのそれぞれから受光素子60Bへの3本の検知ラインLが遮光状態Sであることが所定の時間継続したら、制御部78は、受光素子60Bに故障があったと判断するようになっている。
制御部78は、本実施の形態では、発光素子50及び/又は受光素子60に故障があったと判断したら、その故障がある発光素子50及び/又は受光素子60を、二輪車Bの状態判定の基となる検知要素から除外するように構成されている。このようにすると、二輪車Bの検知を継続しつつ二輪車Bの状態の誤判定を抑制することができる。なお、除外は、制御部78内のデータの処理で行われるため、特別な構成を必要とせず、簡便かつ迅速に実行することができる。上述の故障の有無の判断は継続的に行われる。そして、一旦故障と判断された発光素子50及び/又は受光素子60に関連する検知ラインLが正常な透光状態Gになった場合、制御部78は、故障とした判断を解除して、再び、二輪車Bの状態判定の基となる検知要素に組み入れる。例えば、発光素子50及び/又は受光素子60の故障の原因がゴミの付着等の場合には、そのゴミが排除されると検知ラインLが正常な透光状態Gになるので、故障とした判断を解除することとしている。このように、制御部78の処理によって、故障と判断された発光素子50及び/又は受光素子60の二輪車Bの状態判定の基となる検知要素からの除外及びその解除を切り替えるので、検知器15の作動の停止を回避しつつ検知精度の低下を抑制することができる。
再び図1に戻ってゲート装置1の構成の説明を続ける。なお、以下のゲート装置1の構成の説明において、検知器15の構成に言及しているときは適宜図2及び/又は図4を参照することとする。ゲート10の筐体19に設置された検知器15は、本実施の形態では、進行方向Fの上流側から下流側に向けて配列された光素子群100について、第1群101及び第2群102が扉11の設置位置(扉11が筐体19に接続された位置)よりも進行方向Fの上流側に配置されており、これを進入検知部112ということとする。他方、第4群104乃至第6群106が扉11よりも進行方向Fの下流側に配置されており、これを移動検知部136ということとする。このような配置から、通常は、進入検知部112は、扉11に対して二輪車Bが進行方向Fに近づいたことを検知するものとなり、移動検知部136は、二輪車Bが進行方向Fに扉11から離れていくことを検知するものとなる。
管理制御機30は、管理部31と、制御装置35とを有している。管理部31は、二輪車Bに対して有料区画への入場の可否を判断する部位である。管理部31は、認証を求めた二輪車Bについて、進行方向Fに扉11を越えて移動することの可否を判定することができるように構成されている。管理制御機30は、通路P側の面に受付部32が設けられている。受付部32は、定期利用もしくは一時利用が許可された旨の情報が記録されたICカード等の各種媒体に対して情報を読み書きする装置や、一時利用券等の媒体を発券するための発券装置等が配置されている。本実施の形態では、受付部32に対する各種媒体中の情報の読み書きや一時利用券等の媒体の発券等の手続を、二輪車Bを牽引する人が行うこととしている。管理部31は、二輪車Bを牽引する人が所持する各種媒体から認証を受けた者である旨の情報を受信したとき、あるいは、二輪車Bを牽引する人が一時利用券等の媒体を発券したことを確認したときに、その二輪車Bの有料区画への入場を許可する判定をするように構成されている。制御装置35は、ゲート装置1の作動を制御する部位である。制御装置35は、管理部31と電気的に接続されており、認証の状態の情報を管理部31から受け取ることができるように構成されている。制御装置35は、扉11の駆動部と電気的に接続されており、扉11の開閉動作を制御することができるように構成されている。また、制御装置35は、検知器15(典型的にはその中の制御部78)と電気的に接続されており、物体の移動を検知したことを受信することができるように構成されている。
引き続き図1、2、4を参照してゲート装置1の作用を説明する。ゲート装置1は、検知器15が何も検知していないとき、換言すればすべての光素子群100が透光群であるとき、扉11は閉じられている。まず、図4(A)のように1台の二輪車Bが進行方向Fに一定速度で移動する場合について説明する。制御部78が進入判定をし(時刻t1)、その後、第2群102が遮光群となったら(時刻t2)、その二輪車Bの通過を管理部31が認証したことを条件に、制御装置35は、扉11を開にする。扉11が開となり、二輪車Bが扉11の脇を通過していくと、第3群103が遮光群となる(時刻t3)。扉11は、開のときは閉のときの位置に対して進行方向Fの下流側に位置しているので、開動作を継続し、完全に開状態となる。そして、制御部78が退出判定をすると(時刻t6)、制御装置35は、扉11を閉じる。制御部78は、一旦退出判定した後、図4(B)に示すように逆進入判定した場合、制御装置35を介して扉11の閉動作を緊急停止する。これは、本実施の形態では扉11が進行方向Fの下流側に開く構成となっているため、逆進入した二輪車Bを扉11で挟み込むのを回避するためである。
次に、図4(C)のように未退出判定される場合について説明する。制御部78が進入判定をし(時刻t21)、その後、第2群102が遮光群となったら管理部31の認証を条件に制御装置35が扉11を開にするのは、図4(A)に示す場合と同様である。その後、第3群103から第5群105にかけて遮光群となっていく際に、扉11は開動作を継続して完全に開の状態を維持している。図4(C)に示す場合では、第5群105が遮光群になった後、退出判定がなされずに第5群105が透光群となり、続いて第4群104、第3群103、第2群102と順次透光群となっていく。制御装置35は、第2群102が透光群となったら、扉11を閉じる。このように扉11を閉じることで、別の二輪車Bが認証なしにゲート装置1を通過することを防いでいる。
次に、図4(D)のように共連れ判定される場合について説明する。制御部78が進入判定をし(時刻t31)、その後、第2群102が遮光群となったら管理部31の認証を条件に制御装置35が扉11を開にするのは、図4(A)に示す場合と同様である。その後、第3群103から第6群106にかけて遮光群となっていく際に、扉11は開動作を継続して完全に開の状態を維持している。図4(D)の場合は、第1群101から順に透光群となって第6群106が最後に透光群となる前に、時刻t33から別の二輪車Bに起因して第1群101が遮光群となっている。このような共連れの場合は、認証なしにゲート装置1を通過することを防ぐために、第1群101から順に透光群となって時刻t34で第6群106が最後に透光群となることで、認証された二輪車Bが退出判定されたときに、別の二輪車Bに起因して第2群102が遮光群になっていなければ、制御装置35は扉11を閉じることとしている。このようにすることで、認証のない共連れの二輪車Bがゲート装置1を通過することを防いでいる。
以上で説明したように、本実施の形態に係る検知器15によれば、複数の発光素子50及び受光素子60を有する光素子群100の複数が移動方向Dに配列されているので、検知精度を向上させつつ検知時間を短縮することができる。また、移動方向Dに配列された光素子群100は、発光素子50及び受光素子60の通路Pの両側における配置が交互に入れ替わっているので、隣接する光素子群100の発光素子50が発した光を誤って受光してしまうことを回避することができる。また、制御部78が、故障と判断された発光素子50及び/又は受光素子60の二輪車Bの状態判定の基となる検知要素からの除外及びその解除を切り替えるので、検知器15の作動の停止を回避しつつ検知精度の低下を抑制することができる。また、本発明の実施の形態に係るゲート装置1によれば、二輪車Bの状態に応じて適切に扉11の開閉を行うことができる。
次に、図6を参照して、通過体の状態の判定の基となる検知器15の状態の変形例を説明する。図6は、通過体の状態の判定の基となるすべての光素子群100の状態を領域で見る例を示すタイムチャートである。前述の例(図4参照)では各光素子群100が透光群か遮光群かを帯状の波形でとらえて二輪車Bの状態の判定に用いていたが、本変形例では、すべての光素子群100を構成する発光素子50及び受光素子60の全体で透光状態か遮光状態かを見て、通過体の状態を判定することとしている。なお、すべての光素子群100を構成する発光素子50及び受光素子60の全体で透光状態か遮光状態かを見ることには、1つの光素子群100を構成する発光素子50及び受光素子60の透光状態か遮光状態かを光素子群100の透光群か遮光群かにまとめたうえですべての光素子群100全体で透光群か遮光群かを見ることを含む。図6は、縦軸が進行方向Fを示し、横軸が時間経過tを示している。図6中、白丸は透光状態(透光群)を、黒丸は遮光状態(遮光群)を、それぞれ示す。
図6(A)は、本変形例の理解を容易にするために通過体を簡略化して人とした場合(二輪車Bを含まない場合)を示している。図6(A)では、時刻t1で第1群が遮光群となったので、制御部78は通過体が進入したと判定する(進入判定)。その後、時刻t2で第2群102が遮光群となり、時刻t3で第3群103が遮光群となり、というように、一定の間隔で順番に遮光群となり、ほぼ同一の遮光を継続する。この一連の遮光によって図6(A)に現れる領域を第1の遮光領域S1とし、制御部78は第1の遮光領域S1の広さや傾き等に基づいて退出判定等を行っている。図6(A)では、時刻t5で退出判定が行われる。また、制御部78は、通過体が移動している際は、第1の遮光領域S1に隣接する透光領域G1を確認することとしている。図6(A)では、時刻t5で先行する通過体が退出判定を得る前に、時刻t4で追随する通過体(第2の遮光領域S2で表す)が進入判定されているが、制御部78は、第1の遮光領域S1と第2の遮光領域S2との間に形成された透光領域G1の広さや形等に基づいて先行する通過体と追随する通過体との距離を推測し、共連れ判定を行うと共に、その追随が問題ないか否かを判定している。
図6(B)は、通過体が二輪車Bである場合を示している。二輪車Bは、図3(C)に示したように遮光群が断続的に現れるため、遮光領域が細く形成されたり、検知範囲を適宜決定してもすべてが遮光群とならずに一部が透光群となる場合がある。制御部78は、細く形成された遮光領域S01、S02を判定から除外することとしている。このようにすることで、通過体が二輪車Bの場合であっても、その移動の検知精度を保つことができる。
図6(C)は、通過体が人で、未退出判定の例を示している。図6(C)の場合は、図6(A)の場合と比較して、第1の遮光領域S1cの形及び透光領域G1cの形が異なっている。制御部78は、第1の遮光領域S1c及び透光領域G1cの形状や傾き等を考慮しつつ、第1群101が遮光群から透光群になった時刻t26で、未退出判定を行っている。図6(D)は、通過体が二輪車Bで、未退出判定の例を示している。図6(D)の場合は、図6(B)の場合と比較して、遮光領域S01d、S02dの形及び透光領域G1dの形が異なっている。制御部78は、遮光領域S01d、S02d及び透光領域G1dの形状や傾き等を考慮しつつ、第1群101が遮光群から透光群になった時刻t36で、未退出判定を行っている。図6に示す変形例によれば、発光素子50及び受光素子60の全体で透光状態か遮光状態かを領域で見て、通過体(二輪車B)の状態を判定するので、誤検知を抑制できて検知精度を向上させることができる。また、領域で見ることにより、通過体の大きさを区別することができ(二輪車Bか、人のみか、等)、通過体の大きさが異なっても対応することができる。
以上の説明では、各光素子群100が、3つの発光素子50と、3つの受光素子60とで構成されているとしたが、発光素子50及び/又は受光素子60の数は2つ又は4つ以上でもよく、発光素子50については1つでもよい。発光素子50が1つの場合、発光素子50が所定の周期で発光することには、実質的に連続して発光することが含まれる。発光素子50及び受光素子60は同数でなくてもよい。しかしながら、検知精度の向上と検知時間の短縮とのバランスを図る観点から、1つの光素子群100を構成する受光素子60は3つとするのが好ましく、発光素子50は受光素子60と同数とするのが好ましい。
以上の説明では、移動方向Dに配列された複数の光素子群100について、隣接する光素子群100の間で発光素子50及び受光素子60の通路Pを挟んだ配置を入れ替える、換言すれば、通路Pの一方の側(他方の側)において光素子群100の1つおきに発光素子50と受光素子60とが交互に配置されているとしたが、この構成に代えて、あるいはこの構成と共に、図7に示す検知器15Mのように、発光素子50及び受光素子60のそれぞれが偏光子71を有することとして、隣接する光素子群100の間で偏光子71の向きが異なるように構成してもよい。図7に示す検知器15Mでは、例えば第2群102を基準光素子群とし、第1群101及び第3群103をそれぞれ隣接光素子群とすると、基準光素子群(第2群102)は向きが垂直である垂直偏光子71vを有しており、隣接光素子群(第1群101、第3群103)は向きが水平である水平偏光子71hを有している。このようにすると、基準光素子群(第2群102)の発光素子52A、52B、52Cが発した光を隣接光素子群(第1群101、第3群103)の受光素子61A、61B、61C、63A、63B、63Cが誤って受けてしまうことを防ぐことができる。なお、前述のように基準光素子群と隣接光素子群とは適宜入れ替えてもよく、例えば第1群101を基準光素子群とした場合は第2群102が隣接光素子群に相当することとなる。
以上の説明では、ゲート10に関し、2枚の扉11で観音開き状に開閉することとしたが、1枚の扉11で開閉することとしてもよい。
以上の説明では、制御装置35が管理制御機30に収容されているとしたが、ゲート10の筐体19内に収容されることとする等の、制御対象となる機器の近傍に配置してもよい。また、以上の説明では、制御装置35と管理部31とが一体に収容されていることとしたが、物理的に分離されて配置されていてもよい。
以上の説明では、ゲート装置1が、二輪車Bの、有料区画への入場を管理するための装置であることとしたが、有料区画からの出場を管理するための装置としてもよい。ゲート装置1を、有料区画からの出場を管理するための装置とした場合は、出場が許可された二輪車Bの出場を可能にし、出場が許可されない二輪車Bの出場を阻止するものとなる。この場合、二輪車Bが有料区画から遠ざかるように進む方向が進行方向Fとなる。また、管理部31は、二輪車Bに対して有料区画からの出場の可否を判断することとなる。