以下、本発明の実施の形態によるドライヤ装置が、リニアモータ式圧縮機(即ち、リニアモータ式コンプレッサ)に付設された場合を例に挙げ、添付図面の図1ないし図8に従って詳細に説明する。
図1において、リニアモータ式圧縮機1は、リニアモータ2と、シリンダ11およびピストン12を有する圧縮部10と、ドライヤ装置20とを含んで構成されている。リニアモータ2は、電機子4のコイル(図示せず)に電流を流すことにより、可動子5を長手方向(軸方向)に往復動させて、圧縮部10のピストン12を同方向に駆動し往復動させるものである。
リニアモータ2は、リニアモータ式圧縮機1(圧縮部10)の駆動源として設けられ、例えば車体の床板(図示せず)上に搭載される。リニアモータ2は、その外殻を構成するケーシング3と、該ケーシング3内に配設された電機子4、可動子5、支持部材6およびばね7とを含んで構成されている。リニアモータ2のケーシング3は、軸方向の一側が閉塞され他側が開口した有底円筒状の中空容器として形成されている。ケーシング3の内部には、モータとしての電機子4、可動子5、支持部材6およびばね7が収容されている。
電機子4と可動子5とは、電機子4への通電によって両者間に磁気的な吸引力と反発力とが発生し、これにより、平板状の可動子5は、一対の電機子4間でケーシング3内を長さ方向(軸方向)に往復動を繰返すように駆動される。ばね7は、例えば圧縮コイルばねにより構成され、可動子5をケーシング3の軸方向一側(閉塞端側)に向けて常時付勢している。可動子5が軸方向で往復動するときに、ばね7は、これに伴って軸方向に伸縮するように弾性的に撓み変形される。
リニアモータ2のケーシング3は、内部に電機子4および可動子5等からなるモータを収容している。このうち、可動子5は、ケーシング3から後述のシリンダ11内に向けて突出し前記モータの駆動により往復動する出力軸5Aを有し、この出力軸5Aの突出端側には後述のピストン12が設けられている。
ケーシング3の軸方向一側(閉塞端側)には、筒状のインバータケース8が設けられ、このインバータケース8内には、二点鎖線で示すように、制御用インバータ9が設けられている。この制御用インバータ9は、例えば電機子4に通電するための高電圧を発生するパワートランジスタ等を含んで構成されている。
リニアモータ式圧縮機1の圧縮部10は、本発明のコンプレッサを構成し、リニアモータ2とドライヤ装置20との間に挟まれた状態で設けられている。コンプレッサとしての圧縮部10は、シリンダ11、ピストン12、吐出孔13、吐出弁14、取付ベース15およびシリンダヘッド18等を含んで構成されている。この圧縮部10は、リニアモータ2の可動子5と一緒にピストン12が軸方向で往復動するように駆動されるときに、シリンダ11内で空気を圧縮して圧縮空気(即ち、作動気体)を発生させる。
シリンダ11は、例えばアルミニウム等の金属材料を用いて円筒状に形成され、その内部にはピストン12が往復動(摺動)可能に挿嵌されている。ピストン12は、リニアモータ2の可動子5に連結されている。これにより、ピストン12は、リニアモータ2(ケーシング3)の軸線方向(即ち、長手方向である軸方向)で摺動変位するように設けられ、可動子5の往復動に連動してシリンダ11内を往復動する。換言すると、ピストン12は、リニアモータ2の可動子5の移動方向と同じ軸線上に配置されている。
ここで、シリンダ11には、吐出孔13と、該吐出孔13を開,閉可能に覆う吐出弁14とが設けられている。吐出弁14は、圧縮部10の吸込行程で吐出孔13を閉鎖してシリンダ11をドライヤ装置20側に対して遮断し、圧縮行程では吐出孔13を開いてシリンダ11内をドライヤ装置20に対して連通させる。また、シリンダ11には、リニアモータ2のケーシング3との間にシリンダベースとなる取付ベース15が設けられている。
取付ベース15は、リニアモータ2のケーシング3を軸方向他側から閉塞するように、取付ベース15の外周側がケーシング3の軸方向他側に嵌合して固定されている。取付ベース15の内周側には、シリンダ11の軸方向一側が一体に形成されている。可動子5の出力軸5Aは、取付ベース15の内周側をシリンダ11内に向けて軸方向に延び、その先端側(出力軸5Aの延長端側)にピストン12が設けられている。
取付ベース15は、シリンダ11と同一材料(例えば、アルミニウム等の金属材料)により一体に形成されている。また、取付ベース15には、シリンダ11の径方向外側となる位置に複数のねじ穴16が、周方向に間隔をもって設けられている。これらのねじ穴16には、シリンダヘッド18を取付ベース15に連結するために後述の連結ボルト19が螺着される。これにより、シリンダヘッド18は、取付ベース15に対して一体化するように固定されている。
シリンダ11の外周側には、取付ベース15とシリンダヘッド18との間に位置して弁収容空間17が形成されている。この弁収容空間17内には、後述のタンク電磁弁48、戻し電磁弁50、給排切換弁51および排気電磁弁54がシリンダ11の周方向に間隔をもって収容される。即ち、タンク電磁弁48、戻し電磁弁50、給排切換弁51および排気電磁弁54は、弁収容空間17内で互いに干渉することなく、周方向に隙間をあけた状態で着脱可能に配設される。
シリンダヘッド18は、シリンダ11の他端(即ち、吐出孔13)側に衝合してシリンダ11と連結するように配設されている。シリンダヘッド18は、内周側がヘッド筒18Aとなるように段付筒状に形成されている。シリンダヘッド18のヘッド筒18Aは、シリンダ11の他端(即ち、吐出孔13)側に衝合してシリンダ11と同軸をなすように設けられている。複数の連結ボルト19は、先端側が取付ベース15の各ねじ穴16に螺着され、これにより、シリンダヘッド18は取付ベース15と一体化するように固定されている。ヘッド筒18Aの内部は、吐出孔13(吐出弁14)を介してシリンダ11内と連通している。シリンダ11内でピストン12により生成された圧縮空気は、吐出弁14の開弁時にヘッド筒18Aを介してドライヤ装置20の流入口22Bに向けて流通する。
ドライヤ装置20は、シリンダヘッド18の他端側に着脱可能に嵌合して設けられている。このドライヤ装置20は、シリンダヘッド18の軸方向他側に配設され、シリンダヘッド18および取付ベース15(シリンダ11)を挟んでリニアモータ2とは反対側に設けられている。ドライヤ装置20は、後述の流入口22B側がシリンダヘッド18のヘッド筒18Aに接続され、インナケース22の内部には乾燥剤23が充填されている。
ドライヤ装置20は、アウタケース21と、該アウタケース21の内側に設けられ、ドライヤケースをアウタケース21と共に構成するインナケース22と、該インナケース22内に形成され内部に水分吸着剤(即ち、乾燥剤23)を収容した吸着室24と、該吸着室24を径方向外側から取囲むようにアウタケース21とインナケース22との間に形成された環状通路25と、後述するフィルタ部材としてのフィルタ板27,28、インナキャップ30およびスプリング32とを含んで構成されている。インナキャップ30は、吸着室24で乾燥された圧縮空気(気体)が内部を流通する他側通路29を、アウタケース21と吸着室24との間に仕切る仕切り部材である。そして、インナキャップ30と吸着室24との間にはフィルタ板28が設けられている。
アウタケース21は、例えば合成樹脂材料からなる有底筒状の密閉容器として形成され、軸方向の他側が底部21Aとなって閉塞されている。アウタケース21の軸方向一側は大径の開口端21Bとなり、この開口端21Bは、シリンダヘッド18の外周側に嵌合して固定されている。これにより、アウタケース21は密閉容器となって、シリンダヘッド18に片持ち状態で支持(固定)されている。アウタケース21の開口端21Bは、シリンダヘッド18により閉塞されている。アウタケース21とインナケース22とからなるドライヤケースは、一側にコンプレッサ(圧縮部10)が接続されると共に、他側に空圧機器(即ち、後述のエアサスペンション41)が接続される。
ドライヤ装置20のインナケース22は、例えばアルミニウム等の金属材料からなる段付円筒状の中空容器として形成されている。インナケース22の軸方向一側には、径方向内向きに延びる環状の衝合部22Aと、該衝合部22Aの内周側から軸方向一側に延びた小径筒部からなる流入口22Bとが設けられている。インナケース22は、環状の衝合部22Aがシリンダヘッド18の他側面へと気密に衝合した状態で、流入口22B側がシリンダヘッド18のヘッド筒18A内に気密に嵌合されている。
また、インナケース22の軸方向他側は、アウタケース21内を軸方向へとアウタケース21の底部21Aに接近する位置まで円筒状に延び、その先端(他端)は、アウタケース21の底部21Aとの間に隙間を形成する自由端22Cとなっている。これにより、インナケース22とインナキャップ30との間の他側通路29は、自由端22C側の隙間を介してアウタケース21とインナケース22との間に形成された環状通路25に常時連通している。
インナケース22内には、内部に多数の水分吸着剤(例えば、シリカゲル等の乾燥剤23)を収容してなる吸着室24が形成されている。この吸着室24は、インナケース22の内側で軸方向の一側が仕切板26とフィルタ板27(フィルタ部材)とにより仕切られ、軸方向の他側は他のフィルタ板28(フィルタ部材)とインナキャップ30の環状部30Aとにより仕切られている。仕切板26は、剛性をもった金属板に多数の小孔を穿設してなる例えばパンチングボードにより形成されている。フィルタ板27,28は、例えば不織布等の多孔質(メッシュ)材料で円板状に形成され、乾燥剤23の一部(例えば、微小片等)が吸着室24の外部に流出(漏出)するのを防止する。
ここで、仕切板26とインナキャップ30の環状部30Aとは、フィルタ部材(フィルタ板27,28)を背面側からバックアップし、インナケース22内に吸着室24を画成する前,後のフィルタ板27,28を補強する機能を有している。他側通路29は、インナキャップ30(仕切り部材)によりアウタケース21と吸着室24との間に仕切られた通路(即ち、吸着室24で乾燥された圧縮空気が内部を流通する通路)である。他側通路29は、インナケース22の内側に形成され、インナケース22の自由端22C側の隙間を介してアウタケース21内の環状通路25に常時連通している。
インナキャップ30は、剛性をもった金属材料により形成され、軸方向一側に位置する大径の環状部30Aと、該環状部30Aの内周側から軸方向他側に延びた小径の筒部30Bと、該筒部30Bの内側に一体形成され仕切板部30Cとを含んで構成されている。インナキャップ30の仕切板部30Cは、筒部30Bの内周側を軸方向一側の凹部30Dと他側の凹部30Eとに仕切っている。また、仕切板部30Cの中心側には、凹部30D,30E間を連通させる貫通孔30Fが穿設されている。軸方向一側の凹部30Dは、他側の凹部30Eに比較して軸方向の深さ寸法が浅く、他側の凹部30Eは、他側通路29の一部を形成するように軸方向寸法(深さ寸法)が大きくなっている。さらに、仕切板部30Cには、貫通孔30Fから離間した位置に絞り通路30F1が穿設されている。この絞り通路30F1は、後述のチェック弁34が貫通孔30Fを遮断したときにも、仕切板部30Cの前,後に空気が流通するのを許すオリフィスである。
インナキャップ30の環状部30Aは、インナケース22の内周に挿嵌されるように、環状部30Aの外径がインナケース22の内径に対応した寸法に形成されている。環状部30Aの外周側には、全周に延びるシール溝30Gが形成されている。このシール溝30Gには、インナケース22とインナキャップ30(環状部30A)との間を気密にシールするシール部材(例えば、図2に示すOリング)が装着されている。インナキャップ30の環状部30Aは、インナケース22の内周側に挿嵌され、インナケース22の軸方向に摺動変位できるようになっている。
インナキャップ30(仕切り部材の一側面)は、スプリング32(弾性部材)を載置し、他側面は、フィルタ板28を受承する受承面30Hとなっている。即ち、インナキャップ30の環状部30Aは、軸方向一側の表面がフィルタ板28を受承する受承面30Hとなっている。この受承面30Hには、フィルタ板28に当接して当該フィルタ板28との間に空気の流路を確保するリブ31が形成されている。このリブ31は、図3に示すように、受承面30Hに沿ってインナキャップ30の径方向に延びる複数の第1段部31Aと、該各第1段部31Aからインナキャップ30の周方向に延び、径方向で互いに離間して配置された複数の第2段部31Bとを含んで構成されている。
複数の第1段部31Aは、インナキャップ30の受承面30Hに沿って放射状に延び、複数の第2段部31Bは、各第1段部31Aからそれぞれ枝分かれするようにインナキャップ30の周方向に延び、かつ径方向で互いに離間して配置されている。複数の第2段部31Bは、各第1段部31Aに対して櫛歯形状をなすように形成されている。なお、リブ31の形状は、図3に示す第1,第2段部31A,31Bの形状に限らず、インナキャップ30の受承面30Hとフィルタ板28との間に空気が流通する流路を確保できる形状であれば、例えば渦巻き形状、丸形状または楕円形状等の種々の形状でリブ31を形成してもよい。
アウタケース21の底部21Aとインナキャップ30の環状部30Aとの間には、インナキャップ30を吸着室24側に向けて付勢する弾性部材としてのスプリング32が設けられている。このスプリング32は、インナキャップ30の筒部30Bの外周側を軸方向に延び、その一側がインナキャップ30の環状部30A(受承面30Hとは反対側の他側面)に当接している。スプリング32の他側は、アウタケース21の底部21Aに当接している。スプリング32は、インナキャップ30の環状部30Aとフィルタ板28とをアウタケース21の底部21Aから離れる方向に常時付勢することにより、吸着室24内の各乾燥剤23がフィルタ板27,28間でガタ付いたり、振動したりするのを抑えるための弾性部材である。
インナキャップ30の軸方向一側に位置する凹部30D内には、図4、図5に示すリテーナフィルタ33が配設されている。このリテーナフィルタ33は、円形状のフィルタ枠33Aと、該フィルタ枠33Aの内側に設けられた網目状のメッシュ部33Bと、このメッシュ部33Bをフィルタ枠33A内に固定する略十字状のメッシュ押え33Cとを含んで構成されている。メッシュ部33Bは、フィルタ枠33Aの内側に単数または複数に分離して配設されている。図2に示すように、リテーナフィルタ33は、インナキャップ30の凹部30D内に着脱可能に嵌合された状態で、凹部30Dの軸方向両側から仕切板部30Cとフィルタ板28とにより挟まれて固定されている。
ここで、インナケース22(吸着室24)内の乾燥剤23は、インナケース22の流入口22Bから仕切板26、フィルタ板27を介して吸着室24内に流入してくる圧縮空気と接触し、この圧縮空気中の水分を吸収(吸着)して空気を乾燥させる。乾燥された圧縮空気は、フィルタ板28、リテーナフィルタ33のメッシュ部33B、インナケース22の貫通孔30F等を介して他側通路29、さらには環状通路25に向けて流通する。
インナキャップ30の軸方向他側に位置する凹部30E内には、チェック弁34と他のリテーナフィルタ35とが配設され、これらは止め輪36により凹部30E内に抜止め状態で取付けられている。他のリテーナフィルタ35は、前記リテーナフィルタ33と同様に構成され、フィルタ枠35A、メッシュ部35Bおよびメッシュ押え35C(図5参照)等を有している。
チェック弁34は、インナキャップ30の凹部30E内で仕切板部30Cとリテーナフィルタ35との間に挟持され、仕切板部30Cの貫通孔30Fを開閉可能に覆うリード弁を構成している。チェック弁34は、図6および図7に示すように、弾性(ばね性)を有する円形の薄板からなり、仕切板部30Cとリテーナフィルタ35との間に挟持される外周側の基部34Aと、該基部34Aの径方向内側に位置し周方向へと円弧状に延びて形成された略円形の切欠き34Bと、該切欠き34Bの径方向内側に形成される円形状の弁部34Cとにより構成されている。
チェック弁34の弁部34Cは、周方向の一部が基部34Aと一体に接続(連結)され、この接続部位を支点としてリード弁の如く開,閉可能となっている。即ち、吸着室24から他側通路29に向けて圧縮空気が流通するときには、チェック弁34の弁部34Cが貫通孔30Fを開放するように開弁し、空気の流通を許す。しかし、他側通路29から吸着室24に向けて圧縮空気が逆流するときには、チェック弁34の弁部34Cが貫通孔30Fを閉じるように閉弁し、空気の流通量を小さく抑える。
図8に示す空圧回路では、ドライヤ装置20と後述の給排管路43(環状通路25)との間にリテーナフィルタ33,35とチェック弁34とが並列に設けられ、インナキャップ30(絞り通路30F1)とチェック弁34とは、所謂スローリターンバルブを構成している。このため、ドライヤ装置20から給排管路43(環状通路25)に向けて空気が順方向に流通するときには、チェック弁34が開いて乾燥空気がエアサスペンション41に供給されるのを許す。一方、エアサスペンション41から圧縮空気を排出するときには、チェック弁34が閉じて空気の流れを遮断する。このため、エアサスペンション41からの排気(圧縮空気)は、リテーナフィルタ33,35のメッシュ部33B,35Bを通過し、前記順方向とは反対向き(逆方向)に流通する。
図1に示すように、ドライヤ装置20は、その軸線方向がピストン12の軸線方向に沿うように直列に配置されている。即ち、ドライヤ装置20の軸線とシリンダ11(ピストン12)の軸線とは、ほぼ一直線状をなして軸方向に延びている。換言すると、ドライヤ装置20は、リニアモータ2の可動子5およびピストン12の移動方向の軸線上に配置されている。これにより、リニアモータ式圧縮機1の径方向寸法を小さく抑えることができ、圧縮機の車両搭載性を高めることができる。
ドライヤ装置20は、その外殻を構成するアウタケース21と、該アウタケース21内に配置されたインナケース22と、該インナケース22の吸着室24内に充填状態で収容された多数の乾燥剤23と、アウタケース21とインナケース22との間に形成された環状通路25とを含んで構成されている。インナケース22(吸着室24)内の乾燥剤23は、インナケース22の流入口22Bから流入してくる圧縮空気と接触し、この圧縮空気中の水分を吸収して空気を乾燥させる。乾燥された圧縮空気は、インナケース22の流出口(即ち、他側通路29)側からアウタケース21とインナケース22との間の環状通路25を介して後述の戻し電磁弁50または給排切換弁51の方に流通する。
次に、図8を参照して、本実施の形態によるリニアモータ式圧縮機1を、4輪自動車に代表される車両のエアサスペンションシステムに適用した場合を例に挙げて説明する。このエアサスペンションシステムは、リニアモータ式圧縮機1、複数のエアサスペンション41、空気導管44および複数の給排気弁45等を含んで構成されている。
複数のエアサスペンション41は、車両の各車軸側と車体側(いずれも図示せず)との間に設けられている。これらのエアサスペンション41は、後述のエア室41C内に圧縮空気が給排されることにより、エア室41Cの拡張,縮小に応じて車高調整を行う空圧機器である。
各エアサスペンション41は、例えば前記車両の車軸側に取付けられるシリンダ41Aと、該シリンダ41A内から軸方向へと伸縮可能に突出し突出端側が前記車体側に取付けられるピストンロッド41Bと、該ピストンロッド41Bの突出端側とシリンダ41Aとの間に伸縮可能に設けられ空気ばねとして作動するエア室41Cとにより構成されている。各エアサスペンション41のエア室41Cは、後述の分岐管44Aから圧縮空気が給排されることにより軸方向に拡縮される。このとき、各エアサスペンション41は、ピストンロッド41Bがシリンダ41A内から軸方向に伸縮して車両の高さ(車高)を、前記圧縮空気の給排量に応じて調整する。
ここで、エアサスペンション41は、車体を上,下方向に移動可能に支持する車高調整装置を構成している。即ち、エアサスペンション41は、リニアモータ式圧縮機1からの圧縮空気が供給または排出されると、このときの給排量(圧縮空気量)に応じて上,下に拡張または縮小して車両の車高調整を行う空圧機器である。これらのエアサスペンション41は、空気導管44を介してリニアモータ式圧縮機1の圧縮部10に接続されている。
リニアモータ式圧縮機1(圧縮部10)の吸気側には、吸気管路42が接続され、圧縮部10の吐出弁14側には、給排管路43が接続されている。この給排管路43は、例えば図2に示すドライヤ装置20の環状通路25を含んで構成され、その先端側は後述の給排切換弁51を介して空気導管44に接続される。給排管路43の途中位置には、ドライヤ装置20がスローリターンバルブ(即ち、インナキャップ30およびチェック弁34)と一緒に設けられている。
吸気管路42は、リニアモータ式圧縮機1の吸気通路を構成し、接続点42Cの位置には、後述のタンク側吸込管路47と還流管路52とが接続されている。なお、タンク側吸込管路47と還流管路52とは、接続点42Cの前,後で吸気管路42に対し別々に接続してもよいことは勿論である。
吸気管路42は、その一端側がリニアモータ式圧縮機1の外部(大気中)に開口する吸気ポート42Aとなり、この吸気ポート42Aには、空気中の塵埃等を除去するフィルタ(図示せず)が設けられる。吸気管路42の他端側は、圧縮部10の吸気側に接続され、吸気管路42の途中にはチェック弁からなる吸気バルブ42Bが設けられている。但し、図1に示すリニアモータ式圧縮機1では、吸気管路42および吸気バルブ42B等の図示を省略している。
給排管路43は、リニアモータ式圧縮機1の圧縮部10から発生した圧縮空気をエアサスペンション41のエア室41Cに給排するための給排通路を構成している。エアサスペンション41のエア室41Cに供給された圧縮空気は、車高を下げるときにエア室41Cから給排管路43を介して、例えばドライヤ装置20を逆流するように排出されたり、後述のタンク46内へと逃がすように排出されたりする。
また、給排管路43には、リニアモータ式圧縮機1の吐出弁14とドライヤ装置20との間に位置する接続点43Aから排気管路53が分岐して設けられている。ドライヤ装置20と給排切換弁51との間に位置する給排管路43の接続点43Bからは、タンク用管路49が分岐して設けられている。換言すると、ドライヤ装置20は、接続点43A,43Bの間となる位置で給排管路43に設けられている。給排管路43には、ドライヤ装置20と接続点43Bとの間となる位置にスローリターンバルブ(インナキャップ30およびチェック弁34)が設けられている。
ドライヤ装置20は、給排管路43の途中に介装して設けられた空気乾燥手段を構成している。このドライヤ装置20は、例えばシリカゲル等の乾燥剤23(図2参照)等を内蔵し、リニアモータ式圧縮機1の吐出弁14と給排切換弁51との間に配設されている。ドライヤ装置20は、圧縮部10で発生した圧縮空気がエアサスペンション41側に向けて給排管路43内を順方向へと流通するときに、この圧縮空気を内部の乾燥剤23に接触させることにより水分を吸着し、乾燥した圧縮空気をエアサスペンション41のエア室41Cに向けて供給する。
一方、エアサスペンション41のエア室41Cから排出された圧縮空気(排気)がドライヤ装置20(給排管路43)内を逆方向に流通するときには、乾燥したエアがドライヤ装置20内を逆流するので、ドライヤ装置20内の乾燥剤23は、この乾燥エアにより水分が脱着される。これにより、ドライヤ装置20の乾燥剤23は再生され、再び水分を吸着可能な状態に戻される。
エアサスペンション41のエア室41Cは、給排気弁45および空気導管44を介してリニアモータ式圧縮機1の給排管路43に接続されている。ここで、空気導管44には、複数本の分岐管44Aが互いに分岐して設けられている。各分岐管44Aの先端側は、それぞれがエアサスペンション41のエア室41Cに着脱可能に接続されている。
圧縮空気の給排気弁45は、エアサスペンション41のエア室41Cに対する圧縮空気の給排を制御するため、各分岐管44Aの途中に設けられている。給排気弁45は、例えば2ポート2位置の電磁式切換弁(ソレノイドバルブ)により構成されている。給排気弁45は、非励磁(消磁)状態で閉弁位置(a)におかれ、制御装置(図示せず)からの制御信号により励磁されると、閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えられる。
圧縮空気を貯留するタンク46は、例えば可撓性ホース等からなる接続管46Aを有している。この接続管46Aは、一方の端部がタンク46に取外し可能に接続され、他方の端部が後述のタンク側吸込管路47とタンク用管路49とに接続されている。タンク46の接続管46Aは、圧縮部10の吸気側にタンク側吸込管路47を介して接続されている。このタンク側吸込管路47は、一方の端部がタンク46(接続管46A)に接続され、他方の端部が接続点42Cの位置で吸気管路42に接続されている。即ち、接続点42Cは、圧縮部10の吸気側と吸気バルブ42Bとの間となる位置で、タンク側吸込管路47が吸気管路42から分岐するように吸気管路42をタンク側吸込管路47に接続している。
タンク側吸込管路47には、タンク46内の圧縮空気を圧縮部10の吸気側に供給,停止するためのタンク電磁弁48が設けられている。このタンク電磁弁48は、例えば2ポート2位置の電磁式切換弁(ソレノイドバルブ)により構成されている。タンク電磁弁48は、非励磁(消磁)状態で閉弁位置(c)におかれ、前記制御装置からの制御信号により励磁されると、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換えられる。タンク電磁弁48は、閉弁位置(c)と開弁位置(d)とからなるオン・オフ式の電磁弁で、汎用性の高い電磁式切換弁を採用することができ、例えば三方電磁弁のような高価な弁を不要にすることができる。なお、後述の戻し電磁弁50および排気電磁弁54についても、タンク電磁弁48と同様に、汎用性の高い電磁式切換弁を採用することができる。
また、タンク46の接続管46Aは、圧縮部10の吐出側にタンク用管路49を介して接続されている。このタンク用管路49は、一方の端部がタンク46(接続管46A)に接続され、他方の端部が接続点43Bの位置で給排管路43から分岐されるように接続されている。タンク用管路49には、タンク46内の圧縮空気を給排管路43内へと戻すように供給,停止するための戻し弁としての戻し電磁弁50が設けられている。この戻し電磁弁50は、例えば2ポート2位置の電磁式切換弁(ソレノイドバルブ)により構成されている。
戻し電磁弁50は、非励磁(消磁)状態で閉弁位置(e)におかれ、前記制御装置からの制御信号により励磁されると、閉弁位置(e)から開弁位置(f)に切換えられる。戻し電磁弁50の開弁時には、例えばエアサスペンション41内の圧縮空気をタンク用管路49を介してタンク46内へと戻すように蓄圧することができる。給排切換弁51は、エアサスペンション41側の空気導管44を給排管路43または還流管路52に対して選択的に接続する弁で、例えば3ポート2位置の電磁式方向切換弁により構成されている。即ち、給排切換弁51は、リニアモータ式圧縮機1で発生した圧縮空気をエアサスペンション41のエア室41Cに供給したり、エア室41C内の圧縮空気を給排管路43を介して排出したりする給排位置(g)と、エア室41C内の圧縮空気を還流管路52を介して圧縮部10の吸気側に還流させる還流位置(h)と、に選択的に切換えられる。
還流管路52は、圧縮部10、給排管路43およびドライヤ装置20を迂回して設けられたバイパス通路であり、その一方の端部は給排切換弁51を介してエアサスペンション41側の空気導管44に接続可能となっている。還流管路52の他方の端部は、接続点42Cの位置で吸気管路42に接続されている。このため、給排切換弁51が還流位置(h)に切換えられたときに、還流管路52は、エアサスペンション41のエア室41Cから排出される圧縮空気を、給排管路43を迂回させるように圧縮部10の吸気側に還流させる。
排気管路53は、給排管路43内の圧縮空気を外部に排気するための通路であり、その途中には排気電磁弁54が設けられている。排気管路53は、一方の端部が接続点43Aに位置で給排管路43に接続されている。排気管路53の他方の端部は、ドライヤ装置2の外部へと延び、その先端部は排気ポート53Aとなっている。
排気弁としての排気電磁弁54は、例えば2ポート2位置の電磁式切換弁(ソレノイドバルブ)により構成されている。排気電磁弁54は、非励磁(消磁)状態では閉弁位置(i)におかれ、前記制御装置からの制御信号により励磁されると、閉弁位置(i)から開弁位置(j)に切換えられる。排気電磁弁54の開弁時には、タンク46内の圧縮空気を給排管路43、ドライヤ装置20、排気管路53を介して排気ポート53Aから外部に排気(開放)したり、または、エアサスペンション41内の圧縮空気を給排管路43、ドライヤ装置20、排気管路53を介して排気ポート53Aから外部に排気(開放)したりすることができる。
さらに、空気導管44には、例えば各分岐管44Aと給排切換弁51との間となる位置に圧力検出器55が設けられている。この圧力検出器55は、全ての給排気弁45、タンク電磁弁48および排気電磁弁54を閉弁し、給排切換弁51を給排位置(g)に戻した状態で、例えば戻し電磁弁50を閉弁位置(e)から開弁位置(f)に切換えたときに、タンク46内の圧力をタンク用管路49を介して検出する。また、タンク電磁弁48、戻し電磁弁50および排気電磁弁54を閉弁した状態で、例えば給排気弁45の少なくともいずれかを開弁したときには、該当するエアサスペンション41のエア室41C内の圧力を圧力検出器55により検出することができる。
リニアモータ式圧縮機1のタンク電磁弁48、戻し電磁弁50、給排切換弁51および排気電磁弁54は、ドライヤ装置20への圧縮空気の給排を制御するソレノイドバルブを構成している。これらのソレノイドバルブ(タンク電磁弁48、戻し電磁弁50、給排切換弁51および排気電磁弁54)は、図1に示すように、シリンダ11の径方向外側に位置する弁収容空間17内に収容され、取付ベース15とシリンダヘッド18との間に配設される。
さらに、リニアモータ式圧縮機1には、給排管路43を外部の空気導管44に接続するための継手部56と、タンク46の接続管46Aが接続される他の継手部57とが設けられている。これらの継手部56,57は、例えば図1に示すシリンダヘッド18に設けられている。ドライヤ装置20は、アウタケース21の一側にコンプレッサ(圧縮部10)が接続されると共に、他側に空圧機器(エアサスペンション41)が継手部56および空気導管44を介して接続される。
本実施の形態によるリニアモータ式圧縮機1は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、リニアモータ2の電機子4のコイル(図示せず)に電流を供給(通電)すると、可動子5は軸方向に推力を受け、可動子5全体が車両の前,後方向(軸方向)に向けて駆動される。このとき、電機子4と可動子5とは、電機子4の各コイル(図示せず)への通電によって両者間に磁気的な吸引力と反発力とが発生し、これにより、平板状の可動子5は、一対の電機子4間でケーシング3内を長さ方向(軸方向)に往復動を繰返すように駆動される。
可動子5の往復動に伴う推力は、圧縮部10(シリンダ11)内のピストン12に伝えられる。ピストン12は、シリンダ11内で軸方向に往復動を繰返し、圧縮運転が行われる。即ち、ピストン12の吸込行程では、シリンダ11内が負圧傾向になり、これに伴って吸気バルブ42B(図8参照)が開弁する。これにより、シリンダ11内には、外気が吸気ポート42A(図8参照)側から吸気管路42を介して吸込まれる。
一方、ピストン12の圧縮行程では、吸気バルブ42Bが閉弁した状態で、シリンダ11内でのピストン12の変位によりシリンダ11内の圧力が上昇する。そして、シリンダ11内の圧力が吐出弁14の開弁圧力よりも高くなると、吐出弁14が開弁する。これにより、シリンダ11内で発生した圧縮空気は、シリンダヘッド18を介してドライヤ装置20(インナケース22の流入口22B)内に向けて吐出される。ドライヤ装置20は、圧縮空気を乾燥剤23に接触させることにより水分を吸着して除去し、乾燥した圧縮空気は、ドライヤ装置20の環状通路25(給排管路43)および空気導管44(各分岐管44A)を介して各エアサスペンション41のエア室41C内に供給される。
ここで、エアサスペンション41に圧縮空気を供給して、車両の車高を上げる場合には、各分岐管44Aの途中に設けた各給排気弁45を閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換える。この状態でリニアモータ式圧縮機1の圧縮部10を作動させることより、圧縮部10で発生した圧縮空気は、空気導管44の分岐管44Aを介して前,後輪側のエアサスペンション41に供給される。
車体側の車高が目標高さに達すると、車高の上げ動作を終了させるため、各給排気弁45を閉弁位置(a)に戻して分岐管44Aを閉じる。これにより、前,後輪側のエアサスペンション41に対する圧縮空気の供給は停止される。この状態で、エアサスペンション41は伸長状態を保ち、車体側の車高は目標高さに上げた状態に保持される。
一方、車高を下げる場合には、分岐管44Aの途中で各給排気弁45を開弁位置(b)に切換えると共に、例えば排気電磁弁54を閉弁位置(i)から開弁位置(j)に切換える。これにより、エアサスペンション41内の圧縮空気は、空気導管44の分岐管44A、給排切換弁51、給排管路43を介してドライヤ装置20内へと排出される。このときの圧縮空気は、ドライヤ装置20内を逆流して乾燥剤23に吸着された水分を奪い取り、この乾燥剤23を再生する。
そして、このときの圧縮空気は、給排管路43から排気管路53、排気電磁弁54、排気ポート53Aを通じて外部に排出(放出)される。この結果、エアサスペンション41から圧縮空気が排出され、エアサスペンション41が縮小されることにより、車高を下げることができる。
また、車高を下げる制御を行う場合には、エアサスペンション41のエア室41Cからタンク46に向けて圧縮空気を排気することもできる。この場合、エアサスペンション41から排気を行うため、エアサスペンション41の給排気弁45を閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換え、給排切換弁51を給排位置(g)から還流位置(h)に切換える。この上で、圧縮部10をリニアモータ2により駆動し、戻し電磁弁50を閉弁位置(e)から開弁位置(f)に切換える制御を行う。
これにより、圧縮空気は、エアサスペンション41のエア室41Cから給排切換弁51、還流管路52を介して圧縮部10の吸気側に吸込まれ、圧縮部10の吐出弁14側からドライヤ装置20、給排管路43、タンク用管路49、戻し電磁弁50を介してタンク46内に逃すように充填(排出)される。このため、エアサスペンション41の圧縮空気は、タンク46内に貯めた状態で車高を下げることができ、エアサスペンションシステム内の圧縮空気(即ち、圧縮部10で圧縮し、ドライヤ装置20で乾燥させた圧縮空気)を無駄に外部に捨てることなく、次なる車高調整に有効に活用することができる。
次に、この状態で車高を上げる制御を行う場合には、タンク46内の圧縮空気を圧縮部10を介してエアサスペンション41のエア室41Cに供給することもできる。この場合、タンク電磁弁48を閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換え、タンク46をタンク側吸込管路47と吸気管路42とに連通させる。戻し電磁弁50は、閉弁位置(e)に戻されており、タンク46はタンク用管路49に対して遮断されている。
この上で、リニアモータ2により圧縮部10を駆動し、エアサスペンション41の給排気弁45を開弁位置(b)に切換える。これにより、タンク46内の圧縮空気は、圧縮部10の作動に伴って吸気側から吸込まれ、吐出弁14側からは圧縮空気がドライヤ装置20、給排切換弁51を介してエアサスペンション41のエア室41Cに供給され、車高を上昇方向に駆動できる。このように、車高の上昇時には、圧縮部10で圧縮された空気は、ドライヤ装置20を通ることにより乾燥され、乾燥状態の圧縮空気がエアサスペンション41のエア室41C内へと供給される。
ところで、車高調整を行うエアサスペンションシステムにドライヤ装置20を適用する場合、部品点数を減らして組立て時の作業性を向上させることが望まれている。しかし、従来技術では、ドライヤケース内に吸着室を形成するため、吸着室の軸方向両側に板状のフィルタ部材とバックアップ用の仕切板(プレート)とをそれぞれ設けている。このため、構成部品が多くなり、組立て時の作業性が低下する。
そこで、本実施の形態で採用したドライヤ装置20は、密閉容器として形成され一側にコンプレッサ(圧縮部10)が接続されると共に、他側に空圧機器(エアサスペンション41)が接続されるドライヤケース(アウタケース21とインナケース22)と、アウタケース21とインナケース22の内側に形成され内部に水分吸着剤(乾燥剤23)を収容した吸着室24と、該吸着室24で乾燥された気体(圧縮空気)が流通する他側通路29をアウタケース21の底部21Aと吸着室24との間に仕切る仕切り部材としてのインナキャップ30と、インナキャップ30の環状部30Aと吸着室24との間に設けられるフィルタ板28と、アウタケース21の底部21Aとインナキャップ30の環状部30Aとの間に設けられインナキャップ30を吸着室24側に向けて付勢する弾性部材(スプリング32)と、を有している。
この上で、インナキャップ30(仕切り部材の一側面)は、スプリング32を載置し、他側面はフィルタ板28を受承する受承面30Hとなっている。即ち、インナキャップ30の環状部30Aは、軸方向一側の表面がフィルタ板28を受承する受承面30Hとなっている。この受承面30Hには、フィルタ板28に当接して当該フィルタ板28との間に空気の流路を確保するリブ31が形成されている。これにより、ドライヤ装置20の構成部品を減らして組立て時の作業性を向上することができる。
リニアモータ式圧縮機1に適用されたドライヤ装置20は、アウタケース21とインナケース22とによって密閉容器として形成され、インナケース22の内側には、フィルタ板27,28が吸着室24の両側に設置され、これらのフィルタ板27,28の間には多数の乾燥剤23が入っている。圧縮空気はインナケース22の流入口22Bから入ってきて、吸着室24内の各乾燥剤23を通過し、他側通路29から流出する。従来の構造では、流入側と流出側とに、フィルタの吸い込みを防止するために、それぞれバックアップ用の仕切板(プレート)を設置していた。
これに対し、本実施の形態では、部品点数削減のため、流出口側では前記プレートを廃止し、インナキャップ30にリブ31を設置して流路を確保し、フィルタ板28の吸い込み防止(即ち、フィルタ板28をバックアップし、乾燥剤23の一部の流出防止)を図るようにしている。前記リブ31は、図3に示すように、受承面30Hに沿ってインナキャップ30の径方向に延びる複数の第1段部31Aと、該各第1段部31Aからインナキャップ30の周方向に延びる複数の第2段部31Bとを含んで構成されている。このようなリブ31により、圧縮空気の流路を確保することができる。
換言すると、本実施の形態で採用したインナキャップ30は、軸方向一側に位置してフィルタ板28を受承する受承面30Hを有する大径の環状部30Aと、該環状部30Aの内周側から軸方向他側に延びて内部にスローリターンバルブ(インナキャップ30およびチェック弁34)が設けられた小径の筒部30Bとを含んだ一体構造に形成されている。これにより、フィルタ板28をバックアップ(補強)する仕切りプレートを、インナキャップ30の環状部30A(受承面30H)で構成でき、インナキャップ30の筒部30B内には前記スローリターンバルブを収容することができる。
このため、フィルタ板28をバックアップ(補強)する仕切りプレートをインナキャップ30で兼用することができ、ドライヤ装置20の構成部品を減らして組立て時の作業性を向上することができる。
さらに、インナキャップ30の受承面30Hに形成されるリブ31は、フィルタ板28を介して吸着室24内に水分吸着用の乾燥剤23を保持すると共に、フィルタ板28との間に圧縮空気の流路を確保する形状としている。これにより、吸着室24内で乾燥された圧縮空気を、インナキャップ30の受承面30Hとフィルタ板28との間にスムーズに流通させ、両者の間で圧縮空気の流れが滞留するのを防ぐことができると共に、フィルタの吸い込み防止を図ることができる。この結果、乾燥した圧縮空気を、凹部30D内のリテーナフィルタ33のメッシュ部33B、インナケース22の貫通孔30F等を介して他側通路29に向け円滑に流通させることができる。
なお、前記実施の形態では、ドライヤ装置20のアウタケース21とインナケース22との間に環状通路25を形成し,この環状通路25を空圧機器(エアサスペンション41)に接続する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばインナケース22だけでドライヤケースを構成するように、図2に示す他側通路29を空圧機器側に接続し、環状通路25を廃止する構成としてもよい。この場合は、アウタケース21を省略し、一側にコンプレッサが接続されると共に他側に空圧機器が接続されるドライヤケース(密閉容器)を、インナケース22によって構成することができる。
また、前記実施の形態では、リニアモータ2により駆動されるリニアモータ式コンプレッサ(リニアモータ式圧縮機1)に、ドライヤ装置20を付設する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばリニアモータ2以外の駆動源を用いた圧縮機のドライヤ装置としてもよい。また、本発明のドライヤ装置は、車両以外の機器に搭載する構成としてもよい。
一方、前記実施の形態では、ドライヤ装置(例えば、リニアモータ式圧縮機1)を、タンク46に圧縮空気を貯留可能としたクローズドタイプのエアサスペンションシステムに適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば圧縮空気の貯留タンクを使用することのないオープンタイプのエアサスペンションシステムで、圧縮空気を外部に排気するシステムに適用してもよい。
さらに、前記実施の形態では、リニアモータ2の中心軸線と圧縮部10の中心軸線とドライヤ装置20の中心軸線が一致するように、それぞれを配置する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば圧縮部の中心軸線とドライヤ装置の中心軸線とが、リニアモータの中心軸線に対して僅かにオフセットされた位置に配置される場合を排除するものではない。また、リニアモータの中心軸線とドライヤ装置の中心軸線とが、圧縮部の中心軸線に対してオフセットしていてもよいし、リニアモータの中心軸線と圧縮部の中心軸線とが、ドライヤ装置の中心軸線に対してオフセットしていてもよい。
次に、上記実施の形態に含まれるドライヤ装置として、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様としては、密閉容器として形成され、一側にコンプレッサが接続されると共に、他側に空圧機器が接続されるドライヤケースと、該ドライヤケース内に形成され、内部に水分吸着剤を収容した吸着室と、該吸着室で乾燥された気体が流通する通路を前記ドライヤケースと吸着室との間に仕切る仕切り部材と、前記仕切り部材と前記吸着室との間に設けられるフィルタ部材と、前記ドライヤケースと前記仕切り部材との間に設けられ、前記仕切り部材を前記吸着室側に向けて付勢する弾性部材と、を有するドライヤ装置であって、前記仕切り部材の一側面は、前記弾性部材を載置し、他側面は、前記フィルタ部材を受承する受承面とし、該受承面には、前記フィルタ部材に当接するリブが形成されていることを特徴としている。
ドライヤ装置の第2の態様としては、前記第1の態様において、前記仕切り部材の一側面は、オリフィスを兼ねることを特徴としている。ドライヤ装置の第3の態様としては、前記第1または第2の態様において、前記仕切り部材の受承面に形成される前記リブは、前記フィルタ部材を介して前記吸着室内に水分吸着剤を保持すると共に、前記フィルタ部材との間に前記気体の流路を確保する形状であることを特徴としている。