JP7165393B2 - ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法、および、ビールサーバーの組立方法 - Google Patents

ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法、および、ビールサーバーの組立方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法、および、ビールサーバーの組立方法に関する。
ビールサーバー用の冷却パイプとしてステンレス鋼製の冷却パイプを用いることが知られている。ステンレス鋼の表面には不動態皮膜が形成されるため、ステンレス鋼製の冷却パイプは耐食性が高い。
関連する技術として特許文献1には、ステンレス鋼部材の表面処理方法が記載されている。特許文献1に記載の表面処理方法では、電解複合研磨により表面粗度が1μm以下となるようにしたステンレス鋼部材を、濃度10%以上の硝酸またはこれに酸化性酸を添加した液中で、40~70℃で5~180分浸漬して酸化処理をすることが記載されている。
特開平5-33156号公報
ビールサーバーを長期間使用すると、ステンレス鋼製冷却パイプの内面に汚れが付着する。
一般的には、パイプの内面の平滑度を向上させれば、パイプの内面に汚れが付着しにくくなる。しかし、ビールサーバー用のステンレス鋼製冷却パイプは、内径が小さく、湾曲形状を有し、また、全長が長いため、パイプ内面に研磨処理を施すことは困難であると考えられていた。例えば、ビールサーバー用のステンレス鋼製冷却パイプの内側に電極を配置することは実質的に不可能であるため、パイプ内面を電解研磨することはできない。また、ビールサーバー用のステンレス鋼製冷却パイプを化学研磨液に浸しても、化学研磨液を冷却パイプの内部の隅々にまで行き渡らせることは困難である。
そこで、本発明は、パイプの内面の平滑度を向上させることが可能なビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法、および、ビールサーバーの組立方法を提供することである。
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
いくつかの実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ(1)の表面処理方法は、ステンレス鋼製の冷却パイプ(1)の第1端部(11)から第2端部(12)に向けて化学研磨液(L0)を供給することにより冷却パイプ内面(10a)を研磨する化学研磨工程と、前記冷却パイプ(1)の内部から前記化学研磨液(L0)を除去する化学研磨液除去工程とを具備する。前記化学研磨工程は、前記冷却パイプ(1)の外面(10b)または前記冷却パイプ(1)を覆う鋳造体(2)が常温よりも高い温度の加熱雰囲気(AT)中に配置された状態で実行される。
上記表面処理方法において、前記加熱雰囲気(AT)は、常温よりも高い温度の水蒸気、または、常温よりも高い温度の空気を含む雰囲気であってもよい。
上記表面処理方法において、前記冷却パイプ(1)の内径は7mm以下であってもよい。また、前記冷却パイプ(1)の全長は5m以上であってもよい。また、前記冷却パイプ(1)は、湾曲流路を規定する湾曲形状部(15)を備えていてもよい。
いくつかの実施形態におけるビールサーバーの組立方法は、ステンレス鋼製の冷却パイプ(1)の第1端部(11)から第2端部(12)に向けて化学研磨液(L0)を供給することにより冷却パイプ内面(10a)を研磨する化学研磨工程と、前記冷却パイプ(1)の内部から前記化学研磨液(L0)を除去する化学研磨液除去工程と、前記第1端部(11)および前記第2端部(12)のうちの一方を、ビールサーバー(200)の注出口側配管(220)に接続する工程と、前記第1端部(11)および前記第2端部(12)のうちの他方を、ビールサーバー(200)のビール貯蔵容器側配管(210)に接続する工程とを具備する。前記化学研磨工程は、前記冷却パイプ(1)の外面(10b)または前記冷却パイプ(1)を覆う鋳造体(2)が常温よりも高い温度の加熱雰囲気(AT)中に配置された状態で実行される。
本発明により、パイプの内面の平滑度を向上させることが可能なビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法、および、ビールサーバーの組立方法を提供することができる。
図1は、第1の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を示す模式図である。 図2は、第2の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を示す模式図である。 図3は、第3の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法および表面処理システムを示す模式図である。 図4は、第4の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法および表面処理システムを示す模式図である。 図5は、第5の実施形態におけるビールサーバーの組立方法を示す模式図である。 図6は、実験結果を示す図面代用写真である。 図7は、実験結果を示す図面代用写真である。 図8は、実験結果を示す図面代用写真である。 図9は、実験結果を示す図面代用写真である。 図10は、第6の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を示す模式図である。 図11は、第7の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を示す模式図である。
以下、ビールサーバー用のステンレス鋼製の冷却パイプ1の表面処理方法、および、ビールサーバー200の組立方法に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
(用語の定義)
本明細書において、「化学研磨」とは、金属表面の平滑さを改善するため、当該金属表面を種々の組成の溶液に接触させ、平滑な光沢面を得ることを意味する。なお、JIS H 0400:1998には、「化学研磨法」について、金属表面の平滑さを改善するため、種々の組成の溶液中に浸漬し、平滑な光沢面とする方法と記載されている。
本明細書において、「酸洗い」とは、金属表面を酸溶液に接触させて、素地金属から酸化物またはその他の化合物を化学的に除去することを意味する。なお、酸洗いでは、一般的に光沢面は形成されない。
本明細書において、「スケール」とは、溶液中の不純物の析出により形成された固形物を意味する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法について説明する。図1は、第1の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を示す模式図である。
第1の実施形態において、表面処理されるビールサーバー用の冷却パイプ1Aは、ステンレス鋼製(例えば、SUS304ステンレス鋼製)の冷却パイプである。ビールサーバーの使用中、冷却パイプ1Aの外側には氷水等の冷媒が配置され、冷却パイプ中を流れるビールが当該冷媒によって冷却される。そして、冷却されたビールは、ビールサーバーの注出口から注出される。
図1に示されるように、冷却パイプ1Aの第1端部11は、化学研磨液の供給管50の接続端部51と接続される。第1端部11と接続端部51との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
冷却パイプの第2端部12は、化学研磨液の排出管54の接続端部55と接続される。第2端部12と接続端部55との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
図1に記載の例では、供給管50が、化学研磨液貯留タンク58と接続されている。そして、供給ポンプ59の作用により、化学研磨液が、供給管50と、冷却パイプ1Aと、排出管54とを通って流れるように構成されている。
第1の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法は、少なくとも化学研磨工程と、化学研磨液除去工程とを有する。
化学研磨工程では、ステンレス鋼製の冷却パイプ1Aの第1端部11から第2端部12に向けて化学研磨液L0を供給することにより、冷却パイプ内面10aが研磨される。
化学研磨は、一般的に、酸化性の環境において酸化物が形成され、その酸化物が酸に溶解するこという機構によって実現される。より具体的には、第1の実施形態において、化学研磨液として、酸化剤と酸とを含む溶液を用いる場合、冷却パイプ内面10aと化学研磨液との間に、金属酸化物の拡散層が形成され、鉄を含む金属成分が拡散層を通して化学研磨液中に拡散溶解していく。こうして、冷却パイプ内面10aは、平滑な光沢面となる。第1の実施形態において使用される化学研磨液は、例えば、硝酸等の酸化剤と、塩酸、硝酸、硫酸等の酸と、リン酸等の増粘剤とを含む。
化学研磨液除去工程では、冷却パイプ1Aの内部から化学研磨液が除去される。当該化学研磨液除去工程は、例えば、第1端部11および第2端部12のうちの一方から、第1端部11および第2端部12の他方に向けて、リンス液(例えば、水)を供給することにより実行される。
第1の実施形態では、ビールサーバー用のステンレス鋼製の冷却パイプ1Aの内面が化学研磨により平滑化される。そして、化学研磨による平滑化により、以下の4つの効果が相乗的に奏される。
第1の効果は、化学研磨による平滑化により、冷却パイプ1Aの内面に汚れが付着しにくくなることである。平滑化された表面は、平滑化されていない表面と比較して、汚れの付着または堆積が生じにくい。さらに、冷却パイプ1Aの内面に汚れが付着しにくいため、汚れの付着による熱交換効率(冷却パイプ1Aの外側(冷媒)と、冷却パイプ1Aの内側(ビール)との間の熱交換効率)の低下が抑制される。
第2の効果は、化学研磨による平滑化により、冷却パイプ1A中をビールが流れる時の圧力損失が小さくなることである。平滑化された表面に沿ってビールが流れる時の圧力損失は、平滑化されていない表面に沿ってビールが流れる時の圧力損失よりも小さい。このため、ビールサーバー用の冷却パイプとして化学研磨による平滑化が施された冷却パイプ1Aを用いる場合、注出口から注出されるビールの流速が向上するか、あるいは、ビール注出に要するエネルギが少なくて済む。
第3の効果は、化学研磨による平滑化により、冷却パイプ1Aからビールへの鉄分の溶出が低減され、ビールの味が改善されることである。より具体的には、化学研磨による平滑化により、冷却パイプ内面10aの表面積が減少するとともに、表面の欠陥が減少する。そして、表面積の減少と表面欠陥の減少とにより、冷却パイプ内面10aに露出する酸化鉄の量が減少する。その結果、冷却パイプ1Aからビールへの鉄分の溶出が低減される。さらに、化学研磨による平滑化により、冷却パイプ内面10a上の流れは層流となるため、鉄分の溶出低減効果は、更に強化される。
第4の効果は、化学研磨による平滑化により、冷却パイプ内面10a上の流れが層流となり、冷却パイプ内においてビールから気泡が発生しにくくなることである。ビールをグラスに注ぐ際、初期段階では、ビールは泡立たない方が好ましい。化学研磨処理が施された冷却パイプを使用すると、ビールサーバーの注出口から注出されるビールの泡立ちが抑制される。
なお、上記効果のうち、特に、第3の効果は、化学研磨からは予測し得ない効果であって、ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプと化学研磨との組み合わせによって奏される相乗効果である。なお、本願の発明者は、化学研磨による平滑化が施された冷却パイプ1Aを用いた場合、化学研磨による平滑化が施されていない冷却パイプを用いた場合と比較して、鉄分の溶出量が1/3~1/5程度になることを確認している。
一般的には、化学研磨は、研磨対象物品を化学研磨液に浸漬し、当該研磨対象物品を化学研磨液中で揺らすことにより実行される。しかし、ビールサーバー用のステンレス鋼製の冷却パイプ1Aの内径は小さく、かつ、冷却パイプ1Aは湾曲形状部15(例えば、螺旋形状部16)を有するため、冷却パイプ1Aの内側を化学研磨液中に浸漬することは容易ではない。これに対し、第1の実施形態では、冷却パイプ1Aの第1端部11から第2端部12に向けて化学研磨液を供給することにより、冷却パイプ内面10aを化学研磨することの困難性を克服している。
第1の実施形態における化学研磨工程において、冷却パイプ1Aの第1端部11に供給される化学研磨液の温度は、例えば、常温(例えば、摂氏30度)よりも高い温度、より具体的には、摂氏50度以上摂氏250度以下、あるいは、摂氏80度以上摂氏200度以下である。冷却パイプ内面10aを一様に研磨する観点から、冷却パイプ1Aの第1端部11に供給される化学研磨液の温度と、第2端部12から排出される化学研磨液の温度との間の温度差は小さいことが好ましい。しかし、冷却パイプ1Aは、熱交換器として使用されるものであるため熱伝導率が高い。このため、冷却パイプ1A中を流れる化学研磨液の温度は、冷却パイプ1Aを介しての熱放出により、徐々に低下する。そこで、当該温度の低下を抑制するために、第1の実施形態における化学研磨工程は、冷却パイプ1Aの外面10bが常温(例えば、摂氏30度)よりも高い温度の液体L1、より具体的には、摂氏50度以上、あるいは摂氏80度以上の液体L1に浸された状態で実行されることが好ましい。図1には、冷却パイプ1Aの外面10bが、容器C中の液体L1に浸されている様子が記載されている。
なお、液体L1を水等の中性液体とする場合、液体L1の取り扱いが容易である。加えて、万が一、化学研磨液が、冷却パイプ1Aの第1端部11と供給管50との間の継手部分、あるいは、冷却パイプ1Aの第2端部12と排出管54との間の継手部分等から漏出した場合であっても、漏出液が当該中性液体中で拡散される。このため、化学研磨液漏出時の安全性が確保される。
代替的に、液体L1は、化学研磨液であってもよい。この場合、冷却パイプ内面10aに加え、冷却パイプ1Aの外面10bも化学研磨液によって研磨される。その結果、冷却パイプ1Aの外面10bへの汚れの付着が抑制される。また、冷却パイプ1Aの外面10bへの汚れの付着が抑制されるため、汚れの付着による熱交換効率の低下が抑制される。なお、液体L1を化学研磨液とする場合には、液体L1は、冷却パイプ1A内に供給される化学研磨液と同種の化学研磨液であることが好ましい。この場合、万が一、化学研磨液が、冷却パイプ1Aの第1端部11と供給管50との間の継手部分、あるいは、冷却パイプ1Aの第2端部12と排出管54との間の継手部分等から漏出した場合であっても、漏出液が同種の化学研磨液によって受け止められる。このため、化学研磨液漏出時の安全性が確保される。
図1に記載の例では、第2端部12は、冷却パイプ1Aに対して、第1端部11と同じ側に配置されている。換言すれば、第1端部11が冷却パイプ1Aの上方側に位置するように冷却パイプ1Aの姿勢を維持すると、第2端部12も冷却パイプ1Aの上方側に位置する。このため、第1端部11および第2端部12を、供給管50および排出管54に接続する作業が容易となる。しかし、冷却パイプ1Aにおける第1端部11および第2端部12の配置は図1に記載の例に限定されず、任意である。よって、第2端部12は、冷却パイプ1Aに対して、第1端部11と反対側に配置されていても構わない。
図1に記載の例では、第1端部11および第2端部12が、液体L1の上方に位置している。代替的に、第1端部11および第2端部12が、液体L1中に浸漬されていても構わない。
(第2の実施形態)
図2を参照して、第2の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法について説明する。図2は、第2の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を示す模式図である。
第1の実施形態では、ビールサーバー用のステンレス鋼製の冷却パイプ1Aの外面10bが外部に露出している例、換言すれば、冷却パイプ1が外面露出型の冷却パイプ1Aである例について説明された。第2の実施形態では、ビールサーバー用のステンレス鋼製の冷却パイプ1Bの外面が外部に露出しておらず、鋳造体2によって覆われている点で、第1の実施形態とは異なる。第2の実施形態は、その他の点では、第1の実施形態と同様である。よって、第2の実施形態では、冷却パイプ1Bと鋳造体2との関係を中心に説明し、その他の事項についての繰り返しとなる説明は省略する。
図2に記載の例では、冷却パイプ1Bは、ステンレス鋼製(例えば、SUS304ステンレス鋼製)の冷却パイプである。また、冷却パイプ1Bの周囲は、鋳造体2によって覆われている。鋳造体2は、例えば、アルミニウム等の高熱伝導金属製である。冷却パイプ1Bを鋳型内に配置し、溶融金属を鋳型に流し込むことにより、鋳造体2の内部に冷却パイプ1Bが埋め込まれた冷却プレートPLが形成される。
第2の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法は、少なくとも化学研磨工程と、化学研磨液除去工程とを有する。
化学研磨工程では、ステンレス鋼製の冷却パイプ1Bの第1端部11から第2端部12に向けて化学研磨液を供給することにより、冷却パイプ内面10aが研磨される。
また、第2の実施形態における化学研磨工程において、冷却パイプ1Aの第1端部11に供給される化学研磨液の温度は、例えば、常温(例えば、摂氏30度)よりも高い温度、より具体的には、摂氏50度以上摂氏250度以下、あるいは、摂氏80度以上摂氏200度以下である。冷却パイプ内面10aを一様に研磨する観点から、冷却パイプ1Aの第1端部11に供給される化学研磨液の温度と、第2端部12から排出される化学研磨液の温度との間の温度差は小さいことが好ましい。図2に記載の例では、鋳造体2が常温(例えば、摂氏30度)よりも高い温度の液体L1、より具体的には、摂氏50度以上、あるいは、摂氏80度以上の液体L1に浸されている。このため、鋳造体2および冷却パイプ1Bが液体L1によって保温され、冷却パイプ1Bの第1端部11に供給される化学研磨液の温度と、第2端部12から排出される化学研磨液の温度との間の温度差が小さい。
なお、液体L1を水等の中性液体とする場合、液体L1の取り扱いが容易である。加えて、万が一、化学研磨液が、冷却パイプ1Bの第1端部11と供給管50との間の継手部分、あるいは、冷却パイプ1Bの第2端部12と排出管54との間の継手部分等から漏出した場合であっても、漏出液が当該中性液体中で拡散される。このため、化学研磨液漏出時の安全性が確保される。
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第3の実施形態)
図3を参照して、第3の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法について説明する。図3は、第3の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法および表面処理システム100Aを示す模式図である。
第3の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理システム100Aは、冷却パイプ1の内面を化学研磨する化学研磨装置120と、冷却パイプ1の内部から化学研磨液を除去する化学研磨液除去装置130とを備える。表面処理システム100Aは、冷却パイプ1の内面を酸洗いする酸洗い装置110、および、冷却パイプ1の内部からスケールを除去するスケール除去装置140のうちの少なくとも一方の装置を備えていてもよい。
第3の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法は、化学研磨工程に加え、前処理工程と、後処理工程とを含む。前処理工程は、化学研磨工程の前に実行される工程であり、後処理工程は、化学研磨工程の後に実行される工程である。化学研磨工程は、第1の実施形態または第2の実施形態における化学研磨工程と同様である。よって、化学研磨工程についての繰り返しとなる説明は省略する。
図3に記載の例では、前処理工程は、酸洗い装置110によって実行される酸洗い工程を含む。酸洗い工程では、冷却パイプ1の第1端部11は、酸溶液供給管60の接続端部61と接続される。第1端部11と接続端部61との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
また、冷却パイプ1の第2端部12は、酸溶液排出管64の接続端部65と接続される。第2端部12と接続端部65との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
図3に記載の例では、酸溶液供給管60が、酸溶液貯留タンク68と接続されている。そして、供給ポンプ69の作用により、酸溶液が、酸溶液供給管60と、冷却パイプ1と、酸溶液排出管64とを通って流れるように構成されている。
酸洗い工程では、ステンレス鋼製の冷却パイプ1の第1端部11から第2端部12に向けて酸溶液を供給することにより、冷却パイプ内面10aが酸洗いされる。なお、酸洗い工程において、冷却パイプ1の第2端部12から第1端部11に向けて酸溶液が供給されてもよい。
酸洗い工程により、スケール、錆び、その他の不純物が、冷却パイプ内面10aから除去され、内面10aが清浄化される。なお、酸洗い後の表面は、一般的に、光沢面とはならない。よって、酸洗い工程後の冷却パイプ内面10aは、非光沢面である。酸洗い工程で用いる酸溶液は、例えば、硝酸とフッ化水素酸との混合液である。
酸洗い工程は、冷却パイプ1の外面10b(または冷却パイプ1を覆う鋳造体)を液体L2に浸した状態で実行されてもよい。また、酸洗い工程の実行後、化学研磨装置120による化学研磨工程の実行前に、冷却パイプ1の内部から酸溶液を除去する酸溶液除去工程が実行されてもよい。
図3に記載の例では、後処理工程は、化学研磨液除去装置130によって実行される化学研磨液除去工程とスケール除去装置140によって実行されるスケール除去工程とを含む。
化学研磨液除去工程では、冷却パイプ1の第1端部11は、リンス液供給管70の接続端部71と接続される。第1端部11と接続端部71との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
また、冷却パイプ1の第2端部12は、リンス液排出管74の接続端部75と接続される。第2端部12と接続端部75との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
図3に記載の例では、リンス液供給管70が、リンス液貯留タンク78と接続されている。そして、供給ポンプ79の作用により、リンス液が、リンス液供給管70と、冷却パイプ1と、リンス液排出管74とを通って流れるように構成されている。
化学研磨液除去工程では、ステンレス鋼製の冷却パイプ1の第1端部11から第2端部12に向けてリンス液を供給することにより、冷却パイプ1から化学研磨液が除去される。なお、化学研磨液除去工程において、冷却パイプ1の第2端部12から第1端部11に向けてリンス液が供給されてもよい。
スケール除去工程では、冷却パイプ1の第1端部11は、第1配管80の接続端部81と接続される。第1端部11と接続端部81との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
また、スケール除去工程において、冷却パイプ1の第2端部12は、第2配管84の接続端部85と接続される。第2端部12と接続端部85との間の結合は、例えば、ねじ結合である。
スケール除去工程は、冷却パイプ1の第1端部11および第2端部12のうちの一方から、冷却パイプ1の第1端部11および第2端部12のうちの他方に向けてスケール除去体86を移動させることを含む。スケール除去体86は、第1配管80または第2配管84から供給される任意の流体(例えば、水)によって押圧駆動される。なお、スケール除去体86を押圧駆動する流体は、例えば、供給ポンプ89を用いて供給される。
スケール除去体86は、スポンジ等の固形物である。なお、スケール除去体86が、スポンジ等のように圧縮可能な固形物である場合には、当該固形物の寸法(例えば、固形物の直径)は、冷却パイプ1の内径よりも大きいことが好ましい。この場合、スケール除去体86が冷却パイプの内面を押圧しつつ、当該内面に沿って移動することとなる。
第3の実施形態では、スケール除去体86が冷却パイプ1内を移動することによって、冷却パイプ1A内に浮遊しているスケールあるいは冷却パイプ内面10aに付着しているスケールが除去される。
第3の実施形態は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の効果を奏する。また、冷却パイプ1の表面処理方法が酸洗い工程を備える場合、化学研磨工程前に冷却パイプ内面10aが清浄化される。このため、化学研磨工程後の表面の平滑度が向上する。また、冷却パイプ1の表面処理方法がスケール除去工程を備える場合、化学研磨工程によって溶解した金属酸化物が析出して冷却パイプ内面10aに付着することが抑制される。このため、化学研磨工程後の表面の平滑度が維持される。
なお、図3には、冷却パイプ1が外面露出型の冷却パイプである例が示されている。しかし、第3の実施形態における冷却パイプ1は、鋳造体2に埋め込まれた冷却パイプ1Bであっても構わない。また、第3の実施形態において、酸洗い工程およびスケール除去工程のうちの一方が省略されてもよい。
(第4の実施形態)
図4を参照して、第4の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法について説明する。図4は、第4の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法および表面処理システム100Bを示す模式図である。
第4の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理システム100Bでは、酸洗い装置110の一部と、化学研磨装置120の一部とが共用化されている。また、表面処理システム100Bでは、化学研磨装置120の一部と、化学研磨液除去装置130の一部とが共用化されている。
図3に例示される第3の実施形態では、酸溶液を冷却パイプ1に供給する管路と、化学研磨液を冷却パイプ1に供給する管路と、リンス液を冷却パイプ1に供給する管路とが、それぞれ、独立した管路である場合について説明された。
これに対し、図4に記載の例では、酸溶液を冷却パイプ1に供給する酸溶液供給管60の少なくとも一部と、化学研磨液を冷却パイプ1に供給する供給管50の少なくとも一部が共用化されている。より具体的には、図4に記載の例では、冷却パイプ1に接続される接続管101が酸溶液供給管60の一部として機能するとともに、化学研磨液を供給する供給管50の一部としても機能する。なお、接続管101の上流側には、接続管101に供給される液体の種類を切り替えるバルブ102が配置されている。
また、図4に記載の例では、化学研磨液を冷却パイプ1に供給する供給管50の少なくとも一部と、リンス液を冷却パイプ1に供給するリンス液供給管70の少なくとも一部が共用化されている。より具体的には、図4に記載の例では、冷却パイプ1に接続される接続管101が、化学研磨液を供給する供給管50の一部として機能するとともに、リンス液供給管70の一部としても機能する。
第4の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法の実行手順は、第3の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法の実行手順と同様である。ただし、第4の実施形態では、冷却パイプ1に供給する液体の種類を変更する際に、冷却パイプ1の第1端部11に直接接続される供給管を取り換える作業が不要であり、冷却パイプ1の第2端部12に直接接続される排出管を取り換える作業が不要である。
(第5の実施形態)
図5を参照して、第5の実施形態におけるビールサーバーの組立方法(例えば、製造方法)について説明する。図5は、第5の実施形態におけるビールサーバー200の組立方法を示す模式図である。
第5の実施形態におけるビールサーバー200の組立方法は、第1乃至第4の実施形態のいずれか一つにおけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を含む。また、第5の実施形態におけるビールサーバーの組立方法は、第1乃至第4の実施形態のいずれか一つにおけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法を実行した後に、冷却パイプ1の第1端部11および第2端部12のうちの一方を、ビールサーバー200の注出口側配管220に接続する工程と、冷却パイプ1の第1端部11および第2端部12のうちの他方を、ビールサーバー200のビール貯蔵容器側配管210に接続する工程とを含む。
図5に記載の例では、ビールサーバー200は、冷却パイプ1が収容される冷却部201と、ビールを注出する注出部202と、ビール貯蔵容器側配管210と、注出口側配管220とを備える。なお、ビール貯蔵容器側配管210の基端部は、ビール貯蔵容器300に接続され、注出口側配管220の先端部は、注出部202に接続される。
図5に記載の例では、ビール貯蔵容器側配管210の先端部211が冷却パイプ1の第1端部11に接続される。より具体的には、ビール貯蔵容器側配管210の先端部211が雌ネジ部(または雄ネジ部)を備え、冷却パイプ1の第1端部11が雄ネジ部(または雌ネジ部)を備え、両ネジ部がねじ結合される。
また、図5に記載の例では、注出口側配管220の基端部221が冷却パイプ1の第2端部12に接続される。より具体的には、注出口側配管220の基端部221が雌ネジ部(または雄ネジ部)を備え、冷却パイプ1の第2端部12が雄ネジ部(または雌ネジ部)を備え、両ネジ部がねじ結合される。
第5の実施形態は、第1乃至第4の実施形態のいずれかと同様の効果を奏する。加えて、第5の実施形態におけるビールサーバーの組立方法によって組み立てられたビールサーバー200は、(A)冷却パイプ内面が化学研磨によって平滑化されているため汚れが付着しにくいとの効果、(B)冷却パイプからビールへの鉄分の溶出が少なくビールの味が改善されるとの効果、(C)冷却パイプ内面が化学研磨によって平滑化されているためビールの泡立ちが抑制されるとの効果等を相乗的に奏することができる。
(冷却パイプ1のサイズおよび形状)
上述の第1の実施形態乃至第5の実施形態において使用される冷却パイプ1のサイズについて説明する。実施形態において、冷却パイプ1の内径は3mm以上7mm以下であることが好ましい。冷却パイプ1の内径が3mmよりも小さいと、単位時間当たりのビールの注出量が過少となる可能性がある。また、冷却パイプ1の内径が7mmより大きくなると、ビールの冷却が不十分となる可能性があり、また、冷却パイプ1内においてビールから気泡が発生しやすくなる。
実施形態において、冷却パイプ1の全長は5m以上であることが好ましく、冷却パイプ1の全長は10m以上15m以下であることが更に好ましい。冷却パイプ1の全長が5mよりも短いと、ビールの冷却が不十分となる可能性がある。また、冷却パイプ1の全長が15mよりも長いと、冷却パイプ1の全体のサイズが大きくなり、既存サイズのビールサーバーに収容するのが困難となる可能性がある。また、ビールが冷却パイプ1中を流れる際の圧力損失が大きくなり、注出部202からのビールの注出速度が不十分となるおそれがある。
実施形態において、冷却パイプ1は、湾曲流路(例えば、螺旋流路)を規定する湾曲形状部15(例えば、螺旋形状部16)を備えることが好ましい。冷却パイプ1が湾曲流路を含むことにより、冷却パイプ1の全体をコンパクトにすることが可能となる。
ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプは、内径が小さく、湾曲形状を有し、また、全長が長い。このため、パイプ内面に研磨処理を施すことが困難である。これに対し、実施形態では、冷却パイプの第1端部から第2端部に向けて化学研磨液を供給することにより冷却パイプ内面を積極的に化学研磨している点で画期的である。さらに、実施形態では、冷却パイプからビールへの鉄分の溶出が抑制される。このため、実施形態では、ビールの味が改善されるとの予想外の効果が奏される。
(実験結果)
図6乃至図9は、実験結果を示す図面代用写真である。実験では、ステンレス鋼板に対して、酸洗い処理および化学研磨処理を施した第1例(実施形態に対応)と、ステンレス鋼板に対して、酸洗い処理のみを施した第2例(比較例)との比較が行われた。
図6は、第1例におけるステンレス鋼板の表面を撮影した写真であり、図7は、第2例におけるステンレス鋼板の表面を撮影した写真である。第1例では、ステンレス鋼板の表面が光沢を有しているのに対し、第2例では、ステンレス鋼板の表面が光沢を有していない。
図8は、第1例におけるステンレス鋼板の表面を撮影した顕微鏡写真(倍率:500倍)であり、図9は、第2例におけるステンレス鋼板の表面を撮影した顕微鏡写真(倍率:500倍)である。第1例では、ステンレス鋼板の表面が平滑であるのに対し、第2例では、ステンレス鋼板の表面に、より多くの溝、凹凸等が存在する。
第1例におけるステンレス鋼板の表面の表面粗さRa(JIS B601:2001に準拠して測定された算術平均粗さRa)は、0.0567μmであった。他方、第2例におけるステンレス鋼板の表面の表面粗さRa(JIS B601:2001に準拠して測定された算術平均粗さRa)は、0.1116μmであった。よって、ステンレス鋼板の表面の表面粗さ(換言すれば、冷却パイプ1の内面の表面粗さRa、すなわち、JIS B601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRa)を0.1μm以下にするためには、化学研磨処理を行えばよいことがわかる。
(第6の実施形態)
図10を参照して、第6の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理方法、および、表面処理システムについて説明する。図10は、第6の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理方法を示す模式図である。
第6の実施形態では、化学研磨工程は、冷却パイプ1の外面10bが常温よりも高い温度の加熱雰囲気ATに配置された状態で実行される。上記加熱雰囲気ATは、例えば、常温よりも高い温度の気体を含む雰囲気である。上記加熱雰囲気は、常温よりも高い温度の水蒸気、または、常温よりも高い温度の空気を含む雰囲気であってもよい。
図10に記載の例では、ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理システムは、加熱雰囲気ATを規定する加熱チャンバーCHを含む。加熱チャンバーCH内には、冷却パイプ1が配置されるとともに、加熱用ガス(例えば、水蒸気、空気等のガス)が供給される。図10に記載の例では、冷却パイプ1が、加熱チャンバーCH内に配置されている。
図10に記載の例では、加熱チャンバーCHは、開閉部材Dを備える。開閉部材Dが開状態とされた状態で、冷却パイプ1を加熱チャンバーCH内に配置することが可能であり、また、開閉部材Dが開状態とされた状態で、冷却パイプ1を加熱チャンバーCHから取り出すことが可能である。なお、化学研磨工程の実行中は、上述の開閉部材Dは、閉状態にされる。開閉部材Dは、加熱チャンバー本体に取り付けられた開閉扉であってもよいし、加熱チャンバー本体から分離可能な蓋部材であってもよい。なお、加熱チャンバーCHは、断熱部材によって覆われていてもよい。
化学研磨工程の実行中において、冷却パイプ1の第1端部11から第2端部12に向けて供給される化学研磨液L0の温度は、常温(例えば、摂氏30度)よりも高い温度、より具体的には、摂氏50度以上摂氏250度以下、あるいは、摂氏80度以上摂氏200度以下である。
化学研磨工程の実行中において、加熱チャンバーCH内の加熱用ガスの温度は、常温より高い温度(例えば、摂氏50度以上、あるいは、摂氏80度以上の温度)に維持される。化学研磨工程の実行中において、加熱チャンバーCH内の加熱用ガスの温度と、冷却パイプ1の第1端部11から第2端部12に向けて供給される化学研磨液L0の温度との差は、例えば、20度以下、10度以下、あるいは、5度以下であることが好ましい。化学研磨工程の実行中に、加熱チャンバーCH内の加熱用ガスの温度が、常温より高い温度に維持されることにより、冷却パイプ1中を流れる化学研磨液L0の温度変化が小さくなる。その結果、長尺かつ小径の冷却パイプ1の内面10aをより均一に化学研磨することが可能となる。
加熱用ガスの温度を常温より高い温度にするために、ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理システムは、加熱装置9を備えることが好ましい。加熱装置9は、加熱チャンバーCH内に導入された加熱用ガスを加熱する加熱装置9bであってもよいし、加熱チャンバーCHに供給される前の加熱用ガスを加熱する加熱装置9aであってもよい。図10には、2つの加熱装置(9a、9b)が記載されているが、加熱装置9aおよび加熱装置9bのうちの一方は省略されてもよい。
加熱装置9bは、例えば、加熱チャンバーCHに取り付けられる。また、加熱装置9aは、例えば、加熱用ガスを貯蔵する貯蔵タンクTAに取り付けられる。代替的に、加熱装置9aは、加熱用ガスを加熱チャンバーCHに供給する供給配管92に取り付けられていてもよい。図10に記載の例では、加熱用ガスは、供給配管92を介して加熱チャンバーCHに供給され、加熱用ガスは、排出配管91を介して加熱チャンバーCHから排出される。また、供給配管92には、開閉バルブV1が配置され、排出配管91には、開閉バルブV2が配置されている。
なお、第6の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理方法において、第1の実施形態乃至第5の実施形態における「化学研磨液除去工程」、「前処理工程(例えば、酸洗い工程)」、「後処理工程(例えば、スケール除去工程)」、「冷却パイプ1の第1端部11および第2端部12のうちの一方を、ビールサーバー200の注出口側配管220に接続する工程」、「冷却パイプ1の第1端部11および第2端部12のうちの他方を、ビールサーバー200のビール貯蔵容器側配管210に接続する工程」のうちのいくつかの工程が採用されてもよい。これらの工程については、第1の実施形態乃至第5の実施形態において説明済みであるため、これらの工程についての繰り返しとなる説明は省略する。
また、第6の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理システムにおいて、第1の実施形態乃至第5の実施形態における「酸溶液供給管60」、「酸溶液排出管64」、「酸溶液貯留タンク68」、「供給ポンプ69」、「リンス液供給管70」、「リンス液排出管74」、「リンス液貯留タンク78」、「スケール除去体86」、「供給ポンプ89」、「酸洗い装置110」、「化学研磨液除去装置130」、「スケール除去装置」等の構成要素が採用されてもよい。これらの構成要素については、第1の実施形態乃至第5の実施形態において説明済みであるため、これらの構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
第6の実施形態は、第1の実施形態乃至第5の実施形態と同様の効果を奏する。
(第7の実施形態)
図11を参照して、第7の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理方法について説明する。図11は、第7の実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプ1の表面処理方法を示す模式図である。
第7の実施形態では、ビールサーバー用のステンレス鋼製の冷却パイプ1の外面が外部に露出しておらず、鋳造体2によって覆われている点で、第6の実施形態とは異なる。第7の実施形態は、その他の点では、第6の実施形態と同様である。よって、第7の実施形態では、鋳造体2を中心に説明し、その他の事項についての繰り返しとなる説明は省略する。
第7の実施形態における鋳造体2は、第2の実施形態における鋳造体2と同様の鋳造体である。図11に記載の例では、化学研磨工程が、冷却パイプ1を覆う鋳造体2が常温よりも高い温度の加熱雰囲気中に配置された状態で実行される。より具体的には、図11に記載の例では、冷却パイプ1および冷却パイプ1を覆う鋳造体2が加熱チャンバーCH内に配置された状態で、化学研磨工程が実行される。
第7の実施形態において、化学研磨工程の実行中における化学研磨液L0の温度は、第6の実施形態(第6の実施形態の化学研磨工程の実行中)における化学研磨液L0の温度と同様である。また、第7の実施形態において、化学研磨工程の実行中における加熱チャンバーCH内の加熱用ガスの温度は、第6の実施形態(第6の実施形態の化学研磨工程の実行中)における加熱チャンバーCH内の加熱用ガスの温度と同様である。
第7の実施形態は、第6の実施形態と同様の効果を奏する。
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態にも適用可能である。さらに、各実施形態における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
(付記1)
いくつかの実施形態におけるビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法は、ステンレス鋼製の冷却パイプ(1)の第1端部(11)から第2端部(12)に向けて化学研磨液(L0)を供給することにより冷却パイプ内面(10a)を研磨する化学研磨工程と、前記冷却パイプ(1)の内部から前記化学研磨液(L0)を除去する化学研磨液除去工程とを具備する。
(付記2)
上記表面処理方法において、前記化学研磨工程は、前記冷却パイプ(1)の外面(10b)または前記冷却パイプ(1)を覆う鋳造体(2)が常温よりも高い温度の液体(L1)に浸された状態で実行されてもよい。
(付記3)
上記表面処理方法において、前記液体(L1)は、水、または、化学研磨液であってもよい。
(付記4)
上記表面処理方法において、前記第2端部(12)は、前記冷却パイプ(1)に対して、前記第1端部(11)と同じ側に配置されていてもよい。
(付記5)
上記表面処理方法は、スケールを除去するスケール除去工程を更に具備していてもよい。また、前記スケール除去工程は、前記第1端部(11)および前記第2端部(12)のうちの一方から、前記第1端部(11)および前記第2端部(12)のうちの他方に向けてスケール除去体(86)を移動させることを含んでいてもよい。
(付記6)
上記表面処理方法において、前記冷却パイプ(1)の内径は7mm以下であってもよい。前記冷却パイプ(1)の全長は10m以上であってもよい。また、前記冷却パイプ(1)は、湾曲流路を規定する湾曲形状部(15)を備えていてもよい。
(付記7)
上記表面処理方法において、前記化学研磨工程の後の前記冷却パイプ内面(10a)の表面粗さが0.1μm以下であってもよい。
(付記8)
いくつかの実施形態におけるビールサーバーの組立方法は、ステンレス鋼製の冷却パイプ(1)の第1端部(11)から第2端部(12)に向けて化学研磨液を供給することにより冷却パイプ内面(10a)を研磨する化学研磨工程と、前記冷却パイプ(1)の内部から前記化学研磨液を除去する化学研磨液除去工程と、前記第1端部(11)および前記第2端部(12)のうちの一方を、ビールサーバー(200)の注出口側配管(220)に接続する工程と、前記第1端部(11)および前記第2端部(12)のうちの他方を、ビールサーバー(200)のビール貯蔵容器側配管(210)に接続する工程とを具備する。
1、1A、1B:冷却パイプ
2 :鋳造体
9、9a、9b:加熱装置
10a :冷却パイプ内面
10b :外面
11 :第1端部
12 :第2端部
15 :湾曲形状部
16 :螺旋形状部
50 :供給管
51 :接続端部
54 :排出管
55 :接続端部
58 :化学研磨液貯留タンク
59 :供給ポンプ
60 :酸溶液供給管
61 :接続端部
64 :酸溶液排出管
65 :接続端部
68 :酸溶液貯留タンク
69 :供給ポンプ
70 :リンス液供給管
71 :接続端部
74 :リンス液排出管
75 :接続端部
78 :リンス液貯留タンク
79 :供給ポンプ
80 :第1配管
81 :接続端部
84 :第2配管
85 :接続端部
86 :スケール除去体
89 :供給ポンプ
91 :排出配管
92 :供給配管
100A、100B:表面処理システム
101 :接続管
102 :バルブ
110 :酸洗い装置
120 :化学研磨装置
130 :化学研磨液除去装置
140 :スケール除去装置
200 :ビールサーバー
201 :冷却部
202 :注出部
210 :ビール貯蔵容器側配管
211 :先端部
220 :注出口側配管
221 :基端部
300 :ビール貯蔵容器
AT :加熱雰囲気
CH :加熱チャンバー
C :容器
D :開閉部材
L0 :化学研磨液
L1 :液体
L2 :液体
PL :冷却プレート

Claims (3)

  1. ステンレス鋼製の冷却パイプの第1端部から第2端部に向けて化学研磨液を供給することにより冷却パイプ内面を研磨する化学研磨工程と、
    前記冷却パイプの内部から前記化学研磨液を除去する化学研磨液除去工程と
    を具備し、
    前記冷却パイプの内径は7mm以下であり、
    前記冷却パイプの全長は5m以上であり、
    前記冷却パイプは、湾曲流路を規定する湾曲形状部を備え、
    前記化学研磨工程は、加熱チャンバー内に配置されたステンレス鋼製の前記冷却パイプの前記第1端部から前記第2端部に向けて摂氏50度以上摂氏250度以下の前記化学研磨液を供給することを含み、
    熱交換器として使用されるステンレス鋼製の前記冷却パイプを流れる前記化学研磨液の温度変化が小さくなるように、ステンレス鋼製の前記冷却パイプの前記第1端部から前記第2端部に向けて摂氏50度以上摂氏250度以下の前記化学研磨液を供給することが、前記加熱チャンバー内の加熱用ガスの温度を摂氏50度以上に維持した状態で実行され、前記冷却パイプの外面または前記冷却パイプを覆う鋳造体が摂氏50度以上の温度の加熱雰囲気中に配置された状態で実行される
    ビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法。
  2. 前記化学研磨工程の実行中において、前記加熱チャンバー内の前記加熱用ガスの温度と、前記冷却パイプの前記第1端部から前記第2端部に向けて供給される前記化学研磨液の温度との差が20度以下である
    請求項1に記載のビールサーバー用ステンレス鋼製冷却パイプの表面処理方法。
  3. ステンレス鋼製の冷却パイプの第1端部を、化学研磨液の供給管の接続端部にねじ結合し、前記冷却パイプの第2端部を、前記化学研磨液の排出管の接続端部にねじ結合する工程と、
    前記化学研磨液を、前記供給管と、前記冷却パイプと、前記排出管とを通るように流して、ステンレス鋼製の前記冷却パイプの前記第1端部から前記第2端部に向けて摂氏50度以上摂氏250度以下の前記化学研磨液を供給することにより冷却パイプ内面を研磨する化学研磨工程と、
    前記冷却パイプの内部から前記化学研磨液を除去する化学研磨液除去工程と、
    前記第1端部および前記第2端部のうちの一方を、ビールサーバーの注出口側配管にねじ結合で接続する工程と、
    前記第1端部および前記第2端部のうちの他方を、前記ビールサーバーのビール貯蔵容器側配管にねじ結合で接続する工程と
    を具備し、
    前記化学研磨工程は、前記冷却パイプの外面または前記冷却パイプを覆う鋳造体が摂氏50度以上の温度の加熱雰囲気中に配置された状態で実行される
    ビールサーバーの組立方法。
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