JP7163113B2 - 再生アスファルト混合物の製造方法及び再生アスファルト混合物 - Google Patents
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Description
例えば、従来の再生アスファルト混合物の製造方法では、アスファルト再生骨材をドライヤで加熱する。そして、加熱した再生骨材を、加熱した新規の細骨材及び粗骨材、新規のアスファルトと共にミキサーに投入して混合することで、再生アスファルト混合物を製造している。
この問題を解決するため、例えば特許文献1に記載された再生骨材では、油分が付着した表面を削り取ることによって付着した油分量を少なくし、その後の加熱工程において、再生骨材に再生用添加剤を添加してアスファルトと混合することで、再生アスファルト混合物の性能を高めるとしている。
本発明によれば、常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加することで、アスファルト再生骨材に対して再生用添加剤及び/または施工性改善剤が旧アスファルト内部に深く浸透するため、アスファルト舗装における車両等による轍掘れを抑制して動的安定度が良好で、ひび割れを起こしにくく疲労破壊回数が大きい。
また、本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、前記再生用添加剤が、飽和分、芳香族分、レジン分を含んだ石油潤滑油系のものであり、前記再生用添加剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.1質量%以上であってもよい。
また、本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、前記施工性改善剤が、脂肪酸系化合物またはグリコールエーテル系化合物であり、前記施工性改善剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.02質量%以上であってもよい。
また、本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、前記再生用添加剤及び/または前記施工性改善剤を添加するときの温度は、-10℃以上130℃以下であってもよい。
アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加して養生する期間を3日以上に設定したため、再生骨材に対して再生用添加剤及び/または施工性改善剤が旧アスファルト内部に深く浸透して高い柔軟性を確保できる。
アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加して養生した後で加熱することで、アスファルト再生骨材を乾燥させることができる。
再生用添加剤及び/または施工性改善剤をアスファルト再生骨材に噴射して添加するため、アスファルト再生骨材の表面に均一に被覆することができる。
本発明によれば、常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加して養生することで、再生用添加剤及び/または施工性改善剤が再生骨材の旧アスファルト内部まで浸透して柔軟性を回復することができるため、新規の骨材及び新規のアスファルトと共にミキサー等で混合して製造された再生アスファルト混合物は柔軟性を回復でき、アスファルト舗装の轍掘れとひび割れを長期間にわたって抑制して耐久性が向上する。
図1は本発明の実施形態による再生アスファルト混合物Aの製造装置1を示すものである。再生アスファルト混合物Aの製造装置1は、新規なアスファルトcを収容して加熱可能なアスファルト貯蔵サイロ2と、新規な粗骨材(石、砕石)bと細骨材(砂)dを加熱するための骨材加熱用ドライヤ3とを備えている。更に、この製造装置1は、アスファルト再生骨材aに再生用添加剤と施工性改善剤のいずれか一方または両方を添加して養生した後、このアスファルト再生骨材aを加熱するための再生骨材加熱用ドライヤ4と、を備えている。
新規のアスファルトcとして、例えばストレートアスファルトやブローンアスファルト、ゴムやポリマーなどを添加した改質アスファルト等の一般的に舗装に用いられるものを採用できる。
しかも、この旧アスファルトc´の針入度(1/10mm)は10以上であることが好ましい。針入度は回収されたアスファルトの硬さを示す指標であり、針入度試験によって測定される。また、旧アスファルトの圧裂係数(MPa)は1.90以下であることが好ましい。圧裂係数はアスファルト再生骨材の粘弾性(粘り強さや軟らかさ)を表す指標であり、圧裂係数試験によって測定される。
また、施工性改善剤は、再生アスファルト混合物Aの施工性を改善させる添加剤であり、具体的には再生アスファルト混合物Aの粘度を低下させることができる。そのため、スコップやレーキ等の舗装道具を用いた再生アスファルト混合物Aの敷き均し作業が容易になる。施工性改善剤として動植物油系や石油系が挙げられ、例えば脂肪酸系化合物、グリコールエーテル系化合物等がある。施工性改善剤の添加量はアスファルト再生骨材aの全質量に対して0.02質量%以上であることが好ましい。
また、再生用添加剤と施工性改善剤の両方を用いる場合には、その比率によって各添加量が設定される。
まず、前工程として、既設のアスファルト舗装の補修時や打ち換え時等に掘り起こしたアスファルト廃材を適当な大きさに破砕してアスファルト再生骨材aを製造する。破砕されたアスファルト再生骨材aの粒子は適宜の粒径、例えば粒径13mm~0mmの範囲とし、分級しなくてもよい。アスファルト再生骨材aは、例えば図3(a)に示す形状であり、粗骨材bや細骨材d等からなる塊状の骨材eの表面に旧アスファルトc´と細骨材dが付着して適宜厚さの被膜の状態とされている。
これら再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加したアスファルト再生骨材aは再生骨材貯蔵サイロ9で養生される。アスファルト再生骨材aの養生期間は、少なくとも3日とする。養生が3日より少ないと、再生用添加剤及び/または施工性改善剤の、骨材eの旧アスファルトc´への浸透が不十分であり性状を十分改善できない。ここで、再生骨材貯蔵サイロ9に代えて、再生骨材貯蔵ヤードを使用してもよい。
これに対し、図3(c)に示す従来のアスファルト再生骨材aは、加熱した状態で再生用添加剤及び/または施工性改善剤を噴霧するため、骨材eと旧アスファルトc´及び細骨材dが熱で固くなり、再生用添加剤及び/または施工性改善剤は表面に付着して被膜となり、旧アスファルトc´の内部には十分浸透しない。そのため、アスファルト再生骨材aの性状は十分回復しない。
図1に示す再生アスファルト混合物Aの製造装置1において、乾燥を終えたアスファルト再生骨材aはミキサー5に投入する。また、新規の細骨材d及び粗骨材bとアスファルトcとフィラーもミキサー5に投入して攪拌羽根で攪拌混合して、再生アスファルト混合物Aを製造する。
新規のアスファルトcは、ストレートアスファルトやブローンアスファルト、ゴムやポリマー等を添加した改質アスファルト等、一般的に舗装に用いられるものが好ましい。加熱したアスファルトcに水蒸気や水、特殊添加剤等を添加することで、アスファルトcを発泡させてもよい。アスファルトcを発泡させることでアスファルトcの体積が膨張して粘性が低下するため、通常より低い温度でフォームドアスファルト舗装の施工が可能になる。
また、再生アスファルト混合物Aの材料としてゴムチップを添加してもよい。
アスファルト再生骨材aのサンプルとして、既設のアスファルト舗装の補修時や打ち換え時等に掘り起こしたアスファルト廃材を適切なサイズに破砕したものを4種類製作し、試験例1,2,3,4とした。これら試験例1,2,3,4に再生用添加剤をそれぞれ添加するものとした。
再生用添加剤の添加量は旧アスファルトc´の劣化の程度により、再生骨材aの全質量に対して0.29質量%とした。また、製造された再生アスファルト混合物Aの配合割合は、再生用添加剤を含む再生骨材aが49.5質量%、新規骨材eが47.3質量%、新規アスファルトcが3.2質量%とした。
試験例2は、常温のアスファルト再生骨材aに0.29質量%の再生用添加剤を添加し、1日養生した。
試験例3は、常温のアスファルト再生骨材aに0.29質量%の再生用添加剤を添加し、3日養生した。
試験例4は、常温のアスファルト再生骨材aに0.29質量%の再生用添加剤を添加し、7日養生した。
放冷後の各供試体1,2,3,4を試験用に成型し、それぞれ各養生槽内で5℃に冷却した。
各供試体1,2,3,4について、舗装調査・試験法便覧B018T「アスファルト混合物の曲げ疲労試験方法」に準拠して試験を実施した。試験条件は、繰り返し載荷の振幅を300μm、周波数を10Hzとした。
そのため、上述した試験結果から、アスファルト再生骨材aに常温で再生用添加剤を添加して3日以上養生することで、従来のものよりも耐久性の高い高品質な再生アスファルト混合物Aが得られた。
また、アスファルト再生骨材aに対する再生用添加剤及び/または施工性改善剤の添加に際し、実施形態ではベルトコンベア8から再生骨材貯蔵サイロ9に投下する際に、噴射機10で噴霧するようにしたが、添加の方法は適宜の手法を採用できる。
2 アスファルト貯蔵サイロ
3 骨材加熱用ドライヤ
4 再生骨材加熱用ドライヤ
5 ミキサー
6 ダンプトラック
9 再生骨材貯蔵サイロ
10 噴射機
a 再生骨材
A 再生アスファルト混合物
b 粗骨材
c アスファルト
c´ 旧アスファルト
d 細骨材
Claims (8)
- 常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加する工程と、
前記アスファルト再生骨材を養生する工程と、
養生後の前記アスファルト再生骨材と新規の骨材及び新規のアスファルトを混合する工程と、
を備え、
前記アスファルト再生骨材は、アスファルト廃材を適切なサイズに破砕したものであり、骨材と、該骨材に付着した旧アスファルトを含み、
前記アスファルト再生骨材は、全質量に対して前記旧アスファルトが3.8質量%以上含まれていることを特徴とする再生アスファルト混合物の製造方法。 - 前記再生用添加剤は、飽和分、芳香族分、レジン分を含んだ石油潤滑油系のものであり、
前記再生用添加剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.1質量%以上である請求項1に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。 - 前記施工性改善剤は、脂肪酸系化合物またはグリコールエーテル系化合物であり、
前記施工性改善剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.02質量%以上である請求項1または請求項2に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。 - 前記再生用添加剤及び/または前記施工性改善剤を添加するときの温度は、-10℃以上130℃以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の再生アスファルト混合物の製造方法。
- 前記アスファルト再生骨材を養生する工程は3日以上とした請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
- 前記アスファルト再生骨材を養生した後で、前記アスファルト再生骨材を加熱するようにした請求項5に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
- 前記再生用添加剤及び/または前記施工性改善剤は、前記アスファルト再生骨材に噴射することで添加する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
- 再生用添加剤及び/または施工性改善剤が添加されて養生されたアスファルト再生骨材と新規の骨材及び新規のアスファルトとが混合されてなる再生アスファルト混合物であって、
前記アスファルト再生骨材はその表面から内部の旧アスファルト内に前記再生用添加剤及び/または施工性改善剤が浸透しており、
前記再生用添加剤は、飽和分、芳香族分、レジン分を含んだ石油潤滑油系のものであり、
前記再生用添加剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.1質量%以上であり、
前記施工性改善剤は、脂肪酸系化合物またはグリコールエーテル系化合物であり、
前記施工性改善剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.02質量%以上であることを特徴とする再生アスファルト混合物。
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