JP7160209B2 - 人数推定装置、人数推定方法、及び人数推定プログラム - Google Patents

人数推定装置、人数推定方法、及び人数推定プログラム Download PDF

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Description

開示の技術は、人数推定装置、人数推定方法、及び人数推定プログラムに関する。
コンサート、スポーツの大会、及び花火大会等の、大勢の来場者が見込める大規模なイベントの会場又はその会場の周辺では、大勢の来場者により混雑が発生する。混雑状況の把握、及び混雑に対する制御案の検討のために、大勢の人間の移動行動を模擬するマルチエージェントシミュレータ(MAS:Multi-Agent Simulator)がしばしば用いられる。マルチエージェントシミュレータにより正確に人の動きを再現するためには、実測された観測データを用いる事が望ましい。
観測データを用いて全体の人流を模擬するための技術として、各経路を選択した人数を推定する経路別人数推定手法が挙げられる(例えば、非特許文献1、及び非特許文献2)。これらの手法では、観測データは、観測手法として、移動方向毎の通過人数をカウントする手動計測、又は歩行する方向を識別して人数の計数が可能なカメラ若しくは人数の計数のみに対応するカメラを使用して取得することを想定している。
清水仁、松林達史、田中悠介、岩田具治、澤田宏「滞在人数を考慮した経路別人数の推定」2018年度人工知能学会全国大会(第32回),2018 清武寛、幸島匡宏、松林達史、戸田浩之「時間遅れを考慮した経路別通行人数の推定」2018年度人工知能学会全国大会(第32回),2018
移動する人数を推定する手法では、人数を計測する観測点の数が多いほど、より現実に近いシミュレーションが行えると考えられる。一方で、推定の精度を高めるために人数を計測するための観測器を多数設置すると、設置台数の増加に伴ってコストが増大してしまう。
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、観測器の設置コストを抑えつつ、精度の高い人数推定が可能な、人数推定装置、人数推定方法、及び人数推定プログラムを提供することを目的とする。
本開示の第1態様は、人数推定装置であって、観複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理する情報管理部と、前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算する係数計算部と、前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する推定部と、を備える。
本開示の第2態様は、人数推定方法であって、複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理し、前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算し、前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する処理をコンピュータが実行する。
本開示の第3態様は、人数推定プログラムであって、複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理し、前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算し、前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する処理をコンピュータに実行させる。
開示の技術によれば、方向毎の通過人数が測定可能な観測地点で測定された既知の測定値と、方向毎の通過人数を推定したい観測地点で測定された人数に関係した観測データとを用いることで、観測器の設置コストを抑えつつ高い精度での人数推定ができる。
本実施形態に係る人数推定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る人数推定装置の機能構成の例を示すブロック図である。 本実施形態に係る人数推定装置の動作例を示すフローチャートである。 道路網データの一例を示す図である。 車両の重量データについて説明する図である。 車両の重量データについて説明する図である。 重みの計算について説明する図である。
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、人数推定装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。人数推定装置10は、方向毎の通過人数が測定可能な観測地点で測定された既知の測定値と、方向毎の通過人数を推定したい観測地点で測定された人数に関係した観測データとを用いて、方向毎の通過人数を推定したい観測地点での通過人数を推定する装置である。
図1に示すように、人数推定装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、人数の計測を行っていない観測点における方向毎の通過人数を推定する人数推定プログラムが格納されている。
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
表示部16は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
通信インタフェース17は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
次に、人数推定装置10の機能構成について説明する。
図2は、人数推定装置10の機能構成の例を示すブロック図である。
図2に示すように、人数推定装置10は、機能構成として、情報管理部101、係数計算部102、及び推定部103を有する。各機能構成は、CPU11がROM12又はストレージ14に記憶された人数推定プログラムを読み出し、RAM13に展開して実行することにより実現される。
情報管理部101は、各観測地点と観測地点同士を繋ぐ道路と含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、各観測地点のリストである観測地点リスト、及び道路の方向毎の観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理する。道路網データにおいては、道路は、観測地点同士を繋ぐ線として表されうる。人間は、観測地点の間の道路を移動するものとする。観測地点のリストである観測地点リストには、各観測地点において人数が測定されているかどうかの情報が含まれうる。観測地点リストには、各観測地点が方向毎の通過人数を測定可能かどうかの情報が含まれてもよい。
係数計算部102は、道路網データ、及び観測地点の中から方向毎の通過人数が測定していない第1観測地点を情報管理部101から特定する。ここで、方向毎とは、人間の進行方向毎を意味する。係数計算部102は、観測地点の中から、第1観測地点と道路で繋がり、且つ方向毎の通過人数が測定可能な第2観測地点を特定する。そして、係数計算部102は、方向毎の通過人数を推定したい第1観測地点に対して、第2観測地点の各時間帯での観測値が寄与する重みλを計算する。係数計算部102による重みλの計算手法については後述する。
推定部103は、係数計算部102が計算した重みλ、第2観測地点での観測値、及び人数を測定していない第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する。人数に関するデータの例としては、単位時間ごとに測定された、人が乗る乗り物の重量データである。乗り物は、例えば電車の車両であり得る。本実施形態では、電車の車両の重量データを利用して、方向毎の通過人数を推定する例を述べる。なお、電車の車両の重量は電車がホームに到着したタイミング、及びホームから出発するタイミングで測定されるものとする。
推定部103は、方向毎の通過人数を推定した第1観測地点における方向毎の通過人数の推定の結果を情報管理部101に送る。情報管理部101は、推定部103から送られた、第1観測地点における方向毎の通過人数の推定の結果の整合性を判断する。
具体的には、情報管理部101は、上記第1観測地点での方向毎の通過人数の推定値と、上記第1観測地点から道路で繋がる近隣の第2観測地点における方向毎の通過人数の観測値とが乖離しているかによって整合性を判断する。情報管理部101は、推定した通過人数に整合性があると判断すると、推定部103による推定の結果が信頼できるものとする。推定部103による推定の結果が信頼できる場合は、推定部103は、推定の結果を表示部16に表示させてもよく、通信インタフェース17を通じて他の機器に送信してもよい。一方、情報管理部101は、推定した通過人数に整合性が無いと判断すると、係数計算部102に重みλの再計算を行わせる。
続いて、人数推定装置10の作用について説明する。
図3は、人数推定装置10の動作例を示すフローチャートである。
CPU11は、観測地点の間の道路の網である道路網に関する空間情報データである道路網データ、各観測地点のリストである観測地点リスト、及び道路の方向毎の観測地点での単位時間当たりの通過人数を管理する(ステップS101)。
図4は、情報管理部101が管理する道路網データの一例を示す図である。図4では、観測地点4は、駅のホーム等の、電車の車両が停車する停車地点のような地点を想定している。観測地点4では、方向毎の通過人数が不明であり、人数を直接的に測定していないが、人数に関するデータを測定可能である。観測地点3、5、6は、駅の改札のような方向毎の単位時間あたりの通過人数が分かる観測地点を想定している。観測地点4は、観測地点3、5、6とそれぞれ道路で繋がっている。
以下の説明では、人が改札を通って電車に乗り込む方向をX方向、人が電車から降りて改札から出る方向をY方向とする。
ここで、人数推定装置10の作用を説明する際に扱う変数の意味を説明する。以下の説明及び数式中において、記号(例えば、X)上に“ ̄”が付された文字を、以下では、 ̄X等として表す場合がある。また、数式中において、記号(例えば、X)上に“^”が付された文字を、以下では、^Xとして表す場合がある。
tは時刻を意味する。Tは人が該当の道路網を歩き切るのに掛かる最大の時間を意味する。mは通過人数の観測地点を意味する。xt,mは観測地点mでの時刻tにおけるX方向への実測された通過人数の観測値(人/単位時間)を意味する。yt,mは観測地点mでの時刻tにおけるY方向への実測された通過人数の観測値(人/単位時間)を意味する。Xt,mは観測地点mでの時刻tにおけるX方向への通過人数の推定値(人/単位時間)を意味する。Yt,mは観測地点mでの時刻tにおけるY方向への通過人数の推定値(人/単位時間)を意味する。Wは時刻tにおける車両の重量データを意味する。λt,mは観測地点mでの時刻tにおけるX方向への通過人数に掛かる係数を意味する。^λt,mは観測地点mでの時刻tにおけるY方向への通過人数に掛かる係数を意味する。
図5及び図6は、車両の重量データについて説明する図である。図5は時刻t=0における重量データWを説明する図である。図6は時刻t=1における重量データWを説明する図である。人数推定装置10は、重量データWとWとの変化を用いて、通過人数の推定値Xt,m及びYt,mを推定する。
ステップS101に続いて、CPU11は、管理している道路網データ、及び観測地点の中から人数を測定していない第1観測地点を取得する。そして、CPU11は、観測地点の中から方向毎の通過人数が測定可能であり、第1観測地点と道路で繋がる第2観測地点を特定する。方向毎の通過人数を推定したい第1観測地点に対して、第2観測地点の各時間帯での観測値が寄与する重みλを計算する(ステップS102)。
図7は、重みλの計算について説明する図である。図7には、観測地点3、5、6におけるX方向の人数の観測値xt,3、xt,5、xt,6と、観測地点4におけるX方向の人数の推定値Xt,4と、が示されている。図7に示したそれぞれの矩形の面積は人数を意味し、面積が大きいほど人数が多いことを意味している。
時刻tにおける車両に乗り込む人数、即ち、観測地点4におけるX方向の人数の推定値Xt,4は、観測地点4に隣接する観測地点3、5、6の方向毎の通過人数の総和であると考えられる。しかし、各観測地点3、5、6から観測地点4までの移動時間は、人によりまちまちである。例えば、時刻t=0における観測地点3での観測値x0,3と、観測地点4での推定値X0,4とは等しくならず、観測値x0,3に含まれる人の一部は次の時刻t=1での推定値X1,4に含まれ得る。そこで、本実施形態では各時間帯の人数に重みλを付ける。重みλは0以上1以下の値である。
言い換えると、ある時間帯に、改札である観測地点3を通過した人の全てが同時に電車に乗り込むわけでは無く、次に到着する電車に乗り込む人もいる。X方向の人数の観測値xt,3、xt,5、xt,6と、観測地点4におけるX方向の人数に推定値Xt,4との矢印の前後の矩形は、それぞれ面積は等しいが、形状は異なりうる。推定値Xt,4を示す矩形の幅、すなわち電車に乗り込む時間は、歩く速度、又は、到着した電車を見送って次の電車に乗り込むなどの理由から、それぞれ異なっている。このような、人の遅れ等を考慮した項が重みλである。
改札を通過した人数の総和と、電車に乗り込む人数の総和は、その駅に電車が1方向しかない場合には等しくなる。人が消えることは無いからである。ある時間帯に改札を通った人は、早かれ遅かれ電車に乗り込むことから、時刻t=0での観測地点3のX方向の通過人数x0,3にかかる重みλを全時間帯で加えると1になる。全時間帯とは、例えば、時刻t=0から起算した時間Tの範囲である。時刻t=0から時間Tが経過するまでの時間を複数の時間帯に分割し、それぞれの時間帯に1以下の重みλが与えられる。人が改札から電車(ホーム)までの道路網を歩ききる平均時間が、例えば、2/Tである場合、当該時間を含む時間帯の重みλが最大となる。2/T時点を頂点とした正規分布に基づき、各時間帯の重みλが決定されうる。
ステップS102に続いて、CPU11は、ステップS102で計算した重みλ、第2観測地点での観測値、及び人数を測定していない第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する(ステップS103)。
本実施形態では、CPU11は、第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する際に、人数を測定していない第1観測地点で観測された人数に関するデータとして、車両の重量データを用いる。時刻tと時刻t+1との電車の重量差Δwは測定値である。CPU11は、時刻tと時刻t+1との電車の重量データを取得し、その重量差Δwを以下の数式(1)のように求めることができる。Δwは、第1観測地点で観測された人数に関するデータから導出される人数変動の実測値の一例である。
Figure 0007160209000001
また、車重差は人の乗り降りによって生じた重量差である。CPU11は、観測地点4での人の移動の推定値Xt,4、Yt,4と人の平均重量 ̄wとを用いて、推定される車両の重量差ΔWを以下の数式(2)のように求めることができる。
Figure 0007160209000002
ΔWは、第1観測地点での方向毎の通過人数の推定値から導出される第1観測地点における人数変動の推定値の一例である。CPU11は、第2観測地点である観測地点3、5、6での観測値に、ステップS102で計算した重みλを反映させて、観測地点4での人の移動の推定値Xt,4、Yt,4を推定する。CPU11は、推定値Xt,4を、下記の数式(3)で算出する。
Figure 0007160209000003
同様に、CPU11は、推定値Yt,4を、下記の数式(4)で推定する。
Figure 0007160209000004
数式(3)及び(4)におけるλt,m、^λt,mは、初期値として、推定したい時間帯tに近い時間帯のλt,m、^λt,mは大きく、推定したい時間帯tに遠い時間帯の重みλt,m、^λt,mは小さくなるように傾斜をつけて設定してもよい。この際の重みの変化は一次関数であってもよく、正規分布に沿うものであってもよい。
ステップS103に続いて、CPU11は、算出した推定値Xt,4、Yt,4の整合性の有無を判断する(ステップS104)。推定値Xt,4、Yt,4に整合性が無いと判断すると(ステップS104,No)、CPU11は、ステップS102に戻って重みλの再計算を実行する。一方、推定値Xt,4、Yt,4に整合性が有ると判断すると(ステップS104,Yes)、CPU11は、推定値Xt,4、Yt,4を出力する。CPU11は、推定値Xt,4、Yt,4、又は推定値Xt,4、Yt,4を含んだ情報を、表示部16に表示させてもよいし、通信インタフェース17を通じて他の装置に送信してもよい。
具体的には、CPU11は、数式(3)及び(4)で算出した推定値Xt,4、Yt,4を数式(2)に導入して、ΔWの値とΔwの値とが大きく乖離しているかどうかで、重みλt,m、^λt,mの整合性の有無を判断する。
CPU11は、ΔWの値とΔwの値との差が所定量以上大きければ、推定値Xt,4、Yt,4に整合性が無いと判断し、重みλt,m、^λt,mの値を調整する。具体的には、観測値から求まる車両の重量差Δwが、推定値Xt,4、Yt,4から求まる、推定される車両の重量差ΔWより小さい場合には、推定値Xt,4、Yt,4に整合性が無いと考えられる。即ち、CPU11が、電車に乗る人数と、電車から降りる人数との差が実際より多くなるように推定したために、ΔwがΔWより小さくなったと考えられる。例えば、CPU11が、電車に乗る人数を実際より多く推定したか、電車から降りる人数を実際より少なく推定したか、又はその両方であったために、ΔwがΔWより小さくなったと考えられる。このように、Δwの値とΔWの値とが所定量以上乖離している場合には、CPU11は、ΔWをΔwに近づけるように重みλt,m、^λt,mの値を調整する。
また、CPU11は、次の時間帯の観測地点3、5、6(改札)の観測値yt,mの総和より観測地点4の推定値Yt,4が極端に小さい、又は大きくなる場合には、推定値Yt,4を観測値yt,mの総和に近づくよう重み^λt,mを修正する。また、CPU11は、同様に次の時間帯における観測地点3、5、6(改札)のxt,mの総和よりXt,4が極端に小さい、又は大きくなる場合には、推定値Xt,4を観測値xt,mの総和に近づくよう重みλt,mを修正する。
電車が立て続けに観測地点4である駅のホームに到着した場合に、観測地点4から観測地点3、5、6には、複数の電車から合わせてYt,m人が向かうことになる。CPU11は、観測地点4に到達する電車のダイヤを、推定値Yt,mと観測地点3、5、6の観測値yt,mの総和とを比較する際に、観測値yt,mをどのYt,mと比較するかのテーブルとして利用してもよい。図2で示した情報管理部101は、電車のダイヤの情報を管理してもよい。電車のダイヤの情報は、電車の到着時刻、又は発車時刻を含む情報であってもよい。
例えば、時刻t=0及びt=2の時点で電車が駅のホームに到着するダイヤが設定されているとする。時刻t=2の時点で観測地点3、5、6に到達した人は、駅のホームから改札までの移動に要する時間を考慮すると、時刻t=2の時点で到着した電車に乗っていた人ではなく、時刻t=0の時点で到着した電車に乗っていた人である可能性が高い。従って、上記のダイヤが設定されていた場合、CPU11は、観測値y2,mの合計を推定値Y0,mと比較すべきである、と判断してもよい。
本実施形態に係る人数推定装置10は、上述した動作により、電車の到着時の車両と出発時の車両との重量差のように、直接的な人数データでは無いが、人数に関係するデータを、方向毎の通過人数データとして扱う事ができる。結果、本実施形態に係る人数推定装置10は、観測器の数を増やさずに、人流シミュレーションで使用する観測データの数を増加させる事ができるとともに、方向毎の通過人数データの推定精度を向上させることができる。
人数推定装置10は、直接的な人数データでは無いが人数に関係するデータとして、電車の車両の重量差の他に、建物に設置されたエレベータの重量差の情報を利用してもよい。人数推定装置10は、建物の玄関等の観測地点から得られる実測値と共に、エレベータの重量差の情報を利用することで、建物の中に入っていく人の数と建物から出ていく人の数を推定することが可能となる。
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した人数推定処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、人数推定処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、人数推定プログラムがストレージ14に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記項1)
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理し、
前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算し、
前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する、
ように構成されている人数推定装置。
(付記項2)
人数推定処理を実行するようにコンピュータによって実行可能なプログラムを記憶した非一時的記憶媒体であって、
前記人数推定処理は、
複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理し、
前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算し、
前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する、
非一時的記憶媒体。
10 人数推定装置
101 情報管理部
102 係数計算部
103 推定部

Claims (8)

  1. 複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理する情報管理部と、
    前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算する係数計算部と、
    前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する推定部と、
    を備える人数推定装置。
  2. 前記推定部は、前記第1観測地点における方向毎の通過人数の推定の結果を前記情報管理部に送り、
    前記情報管理部は、前記推定部から送られた、前記第1観測地点における方向毎の通過人数の整合性を判断する請求項1記載の人数推定装置。
  3. 前記情報管理部は、前記第1観測地点での方向毎の通過人数の推定値から導出される前記第1観測地点における人数変動の推定値と、第1観測地点で観測された人数に関するデータから導出される人数変動の実測値との差が所定量より大きいかどうかによって前記通過人数の整合性を判断する請求項2記載の人数推定装置。
  4. 前記係数計算部は、前記情報管理部による人数の整合性の判断の結果に基づいて前記重みの再計算を行う請求項2又は請求項3記載の人数推定装置。
  5. 前記第1観測地点で観測された人数に関するデータは、単位時間ごとに測定された、人が乗る乗り物の重量データである請求項1~請求項4の何れか1項記載の人数推定装置。
  6. 前記乗り物は、鉄道の車両である請求項5記載の人数推定装置。
  7. 複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理し、
    前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算し、
    前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する、
    処理をコンピュータが実行する人数推定方法。
  8. 複数の観測地点と当該観測地点同士を繋ぐ道路とを含んで形成される道路網に関する空間情報データである道路網データ、前記観測地点のリストである観測地点リスト、及び前記道路の方向毎の前記観測地点での単位時間当たりの通過人数を少なくとも管理し、
    前記観測地点リストから、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数を測定していない第1観測地点を特定し、複数の前記観測地点の中で方向毎の通過人数が測定可能な観測地点であって、前記第1観測地点と前記道路で繋がる第2観測地点を特定し、前記第2観測地点の各時間帯での観測値が、前記第1観測地点における方向毎の通過人数に対して寄与する重みを計算し、
    前記重み、前記第2観測地点での観測値、及び前記第1観測地点で観測された人数に関するデータを用いて、前記第1観測地点における方向毎の通過人数を推定する、
    処理をコンピュータに実行させる人数推定プログラム。
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