JP7158658B2 - アルミニウム合金、アルミニウム合金線、及びアルミニウム合金の製造方法 - Google Patents
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Description
Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含む組成を有する。
Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含み、残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有する。
本開示のアルミニウム合金から構成される。
Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含むアルミニウム合金から構成される素材を製造する工程と、
前記素材に熱処理を施す工程とを備える。
導電性に優れつつ、より高強度なアルミニウム合金が望まれている。
[本開示の効果]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の第一の態様に係るアルミニウム合金(以下、Al合金と呼ぶことがある)は、
Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含む組成を有する。
Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含み、残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有する。
前記組成におけるFeの含有量は1.0質量%以上2.4質量%以下である形態が挙げられる。
前記組成におけるNdの含有量は0.01質量%以上0.5質量%以下である形態が挙げられる。
母相と、化合物とを含む組織を有し、
前記母相は、Alを主体とする金属の相であり、
前記化合物は、AlとFeとを含む化合物であり、
任意の断面において、前記母相の平均結晶粒径が0.1μm以上5μm以下である形態が挙げられる。
前記平均結晶粒径が0.3μm以上5μm以下である形態が挙げられる。
母相と、化合物とを含む組織を有し、
前記母相は、Alを主体とする金属の相であり、
前記化合物は、AlとFeとを含む化合物であり、
任意の断面において、前記化合物の平均長軸長さが750nm以下である形態が挙げられる。
前記平均長軸長さが500nm以下である形態が挙げられる。
前記化合物の平均アスペクト比が3.5以下である形態が挙げられる。
前記平均アスペクト比が2.5以下である形態が挙げられる。
任意の断面において、一辺の長さが5μmである正方形の測定領域をとり、
前記測定領域に存在する前記化合物の平均個数が100個以上5000個以下である形態が挙げられる。
Ndは、前記化合物に固溶していること、及び前記母相の結晶と前記化合物との粒界に存在することの少なくとも一方を満たす形態が挙げられる。
室温での導電率が58%IACS以上であり、
室温での引張強さが200MPa超であり、
室温での破断伸びが7.5%以上である形態が挙げられる。
150℃での引張強さが150MPa以上である形態が挙げられる。
上記(1)から(14)のいずれか一つのアルミニウム合金から構成される。
線径が0.01mm以上5mm以下である形態が挙げられる。
Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含むアルミニウム合金から構成される素材を製造する工程と、
前記素材に熱処理を施す工程とを備える。
前記素材を製造する工程は、前記アルミニウム合金からなる溶湯を10,000℃/秒以上の冷却速度で急冷して、薄帯材又は粉末を製造する工程を含む形態が挙げられる。
以下、本開示の実施の形態を詳細に説明する。以下の説明において、断りが無い限り、Al合金中の元素の含有量は、Al合金を100質量%としたときの質量割合である。
(概要)
実施形態のアルミニウム合金(Al合金)は、添加元素を含み、Alを基とする合金であって50質量%を超えるAlを含んでいる。特に、実施形態のAl合金は、Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含む組成を有する。実施形態のAl合金は、代表的には、主としてAlから構成される母相が微細な結晶組織を有し、かつFeがFe-Al化合物からなる微細な粒子として母相中に分散した組織を有する。上記化合物は、Ndの作用によって微細になると考えられる。このような実施形態のAl合金は、導電性に優れると共に、高強度である。例えば、実施形態のAl合金は、室温(例、25℃)において、58%IACS以上の導電率と、200MPa超の引張強さとを有することが挙げられる。
以下、より詳細に説明する。
実施形態のAl合金は、必須の添加元素としてFe及びNdを含有する。実施形態のAl合金の代表例として、Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含み、残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有することが挙げられる。添加元素がFe及びNdの二種類であるAl合金は、製造過程において組成や熱処理条件等を調整し易い。そのため、このAl合金は製造性にも優れる。
Feは、以下の条件(I),(II)を満たす。
(I)Alに対する固溶量(平衡状態)であって、660℃、1気圧という条件におけるFeの固溶量が0.5質量%以下である。
(II)Feは、Alと化合物を形成する。AlとFeとの二元の金属間化合物のうち、Feの元素比率が最も低い化合物(例、Al13Fe4)の融点が1100℃以上である。
(ii)粗大なFe-Al化合物が少ない。そのため、Al合金の脆化が抑制され易い。
(iii)微細なFe-Al化合物は割れの起点になり難い。そのため、Al合金は破断し難い。また、Al合金は、伸びにも優れて、曲げ等が行い易く屈曲性に優れたり、繰り返しの屈曲によって破断し難く疲労強度に優れたりする。更に、曲げに対する剛性が高くなり過ぎることが抑制されて、スプリングバックも低減し易い。
(iv)微細なFe-Al化合物は母相を構成する結晶の成長を抑制する。そのため、上記結晶が微細になり易い。その結果、微細な結晶の粒界強化による強度の向上効果が得られ易い。
(v)微細なFe-Al化合物はAlの導電パスを阻害し難い。
Ndは、AlとFeとを含む化合物を微細な析出物とする作用を有すると考えられる。詳しくは、Ndは、上記化合物をエネルギー的に安定化させる作用を有すると考えられる。安定化のメカニズムの詳細は不明であるが、上記化合物が熱力学的に安定になることは、状態図の計算から示される。初期に発生した上記化合物が微細なサイズで安定することで、隣り合う上記化合物同士が合体し難い。その結果、合体によって上記化合物が粗大に成長することが抑制されると考えられる。ひいては、塑性加工や熱処理を経た最終製品状態にあるAl合金において、上記化合物が微細な析出物として存在すると考えられる。
実施形態のAl合金は、添加元素として、Fe及びNd以外の元素を含んでもよい。Fe及びNd以外の元素は、例えば、Cr(クロム),Ni(ニッケル),Co(コバルト),Ti(チタン),W(タングステン),Sc(スカンジウム),Zr(ジルコニウム),Nb(ニオブ),Hf(ハフニウム),レアアース元素(Ndを除く)、B(硼素)、C(炭素)等が挙げられる。Cr,Ni,Co,Ti(以下、第一元素と呼ぶ)は、Feと同様な作用、即ち主として強度の向上作用を期待できる。Co,W,Sc,Zr,Nb,Hf,レアアース元素,B,C(以下、第二元素と呼ぶ)は、Ndと同様な作用、即ちFe-Al化合物の微細化作用を期待できる。このAl合金は、Fe及びNdと上記に列挙する元素とを含み、残部がAl及び不可避不純物から構成される。第一元素の含有量は、例えばFeと第一元素との合計量が上述のFeの含有範囲を満たすことが挙げられる。第二元素の含有量は、例えばNdと第二元素との合計量が上述のNdの含有範囲を満たすことが挙げられる。
実施形態のAl合金において、Alに対する添加元素の固溶量が少ないほど、導電性に優れて好ましい。例えば、Feの固溶量は、母相を100質量%として、0.5質量%以下、更に0.2質量%以下が好ましい。ここでの固溶量とは、Alのうち、化合物(析出物)を構成しておらず、母相の結晶を構成する部分に含有されるFeの量である。Feの固溶量が0.5質量%以下であれば、母相中のAlの純度が高く、導電性に優れる。また、Feの固溶量が少ないほど、FeがFe-Al化合物として析出しているといえる。そのため、Fe-Al化合物の分散強化による強度の向上効果が良好に得られる。
実施形態のAl合金における不純物は、例えば、Si(珪素)、Cu(銅)、O(酸素)等が挙げられる。不純物の合計含有量は少ないほど、Al合金は強度に優れる傾向ある。この理由は、不純物である元素を含む化合物が形成され易く、この化合物の含有に起因する強度の低下が生じ得るからである。また、不純物の合計含有量は少ないほど、Al合金は導電性に優れる傾向にある。この理由は、Alに対して、不純物である元素の固溶量が少なくなり易いからである。
実施形態のAl合金は、代表的にはAlを主体とする母相と、AlとFeとを含む化合物とを含む組織を有する。Fe-Al化合物(Ndを含んでもよい)は母相に分散して存在する。このような実施形態のAl合金は、上記化合物の分散強化による強度の向上効果と、母相中のFe及びNdの固溶量が少ないことによる高い導電率の具備効果とを得られる。このようなAl合金は、高い引張強さと高い導電率とをバランスよく有し易い。
上述の母相は、AlとFeとを含む化合物といった析出物等を除く主たる金属の相である。母相はAlを主体とする金属の相であり、代表的には、98質量%以上のAlと、Alに固溶する元素と、不可避不純物とから構成される(母相を100質量%とする)。母相中のAlの含有量が多いほど(例、99.0質量%以上、更に99.5質量%以上)、Fe及びNdといった添加元素の固溶量が少ない。また、Feは実質的に析出物として存在するといえる。このようなAl合金は、上述の分散強化による強度の向上効果と、固溶量の低減による高い導電率の具備効果とを良好に得られる。母相中のAlの含有量が所定の範囲となるように、原料の組成や製造条件、特に熱処理条件等を調整するとよい。
Al合金の任意の断面において、上述の母相の平均結晶粒径が0.1μm以上5μm以下であることが挙げられる。
《大きさ》
AlとFeとを含む化合物(Ndを含んでもよい)は小さいほど、上述の効果(i)~(vi)が得られ易い。例えば、Al合金の任意の断面において、上記化合物の平均長軸長さが750nm以下であることが挙げられる。
AlとFeとを含む化合物(Ndを含んでもよい)は、上述のように微細なことに加えて、球状に近い形状であることが好ましい。上記化合物が球状に近いほど、以下の効果が得られ易い。以下の効果(a)~(c)によって、Al合金は強度及び導電性に優れる。
(a)上記化合物が母相に均一的に分散し易い。
(b)上記化合物が割れの起点になり難い。
(c)上記化合物がAlの導電パスを阻害し難い。
また、上記化合物が割れの起点になり難いことで、Al合金は伸びにも優れる。
AlとFeとを含む化合物(Ndを含んでもよい)は、上述のように微細なことに加えて、母相中に適切な量で存在することが好ましい。上記化合物が適切に存在すれば、特に上述の効果(i),(iv)が得られ易い。更に、過剰な上記化合物に起因する割れの発生の低減、Al合金の脆化の抑制といった効果も得られ易い。その結果、Al合金は強度及び導電性に優れる。また、割れの発生を低減できることで、Al合金は伸びにも優れる。
《引張強さ》
実施形態のAl合金の一例として、特性(A)室温(例、25℃)における引張強さが200MPa超であることが挙げられる。上記引張強さが200MPa超であるAl合金は、例えば特許文献1に記載されるAl合金線よりも高強度である。実施形態のAl合金は、Feに加えてNdを含むという特定の組成を備える。そのため、上述の特定の組織を有することができる。このような実施形態のAl合金では、特に上述の効果(i),(iv)が得られるため、引張強さが向上する。上記引張強さが220MPa以上、更に240MPa以上、250MPa以上であれば、Al合金は強度により優れる。上記引張強さの上限は特に設けない。
実施形態のAl合金の一例として、特性(B)室温(例、25℃)における破断伸びが7.5%以上であることが挙げられる。Feが析出すれば、母相が延性的な挙動を示し易い。また、Fe-Al化合物が微細であれば、割れの起点になり難い。このようなAl合金は、高い伸びを有し易い。
実施形態のAl合金の一例として、特性(C)150℃における引張強さが150MPa以上であることが挙げられる。上述の特定の組織を有すれば、150℃といった高温になっても、引張強さが低下し難く、高い引張強さを有し易い。この理由の一つとして、上述の特定の組織を有するAl合金では、微細なFe-Al化合物が上述のように高融点であるため、高温になっても粗大に成長し難く(針状に成長し難く)、微細な状態を維持し易いことが挙げられる。高温でも上記化合物が微細であれば、母相を構成する結晶も微細な状態に維持され易い。そのため、上述の特定の組織を有するAl合金は、高温でも、微細な化合物の分散強化による強度の向上効果と、微細な結晶の粒界強化による強度の向上効果とによって、強度に優れる。
実施形態のAl合金の一例として、特性(D)室温(例、25℃)における導電率が58%IACS以上であることが挙げられる。上記導電率が58%IACS以上であれば、Al合金は導電性に優れる。このようなAl合金は導体等に好適に利用できる。上記導電率が59%IACS以上、更に60%IACS以上であれば、Al合金は導電性により優れる。
Fe-Al化合物の平均長軸長さ、平均アスペクト比、平均密度、引張強さ、破断伸び、導電率は、例えば、Feの含有量、Ndの含有量、製造条件(例、熱処理条件等)を調整することで変更することが挙げられる。例えば、Feが上述の範囲で多いと平均長軸長さ、平均アスペクト比、平均密度が大きくなる傾向にある。Feが上述の範囲で少ないと逆の傾向にある。また、例えば、Feが上述の範囲で多いと引張強さが高くなる傾向にある。Feが上述の範囲で少ないと導電率や破断伸びが高くなる傾向にある。
実施形態のAl合金は、製造過程で種々の加工(例、塑性加工、切削加工等)が施されることで、種々の形状、大きさをとり得る。例えば、実施形態のAl合金は、線材、棒材、板材等の中実体、管等の中空体、その他の形態をとり得る。このような実施形態のAl合金は、金属素材として種々の用途に利用できる。特に、実施形態のAl合金は、導電性に優れつつ、高強度であるため、導体に好適に利用できる。また、実施形態のAl合金は、耐熱性にも優れるため、使用環境が室温だけでなく、高温(例、150℃)となり得る用途の金属材として利用できる。
実施形態のAl合金線は、実施形態のAl合金から構成される。実施形態のAl合金線は、代表的には、単線、撚線、又は圧縮撚線の状態で利用される。撚線は、複数のAl合金線が撚り合されてなる。圧縮撚線は、上記撚線が所定の形状に圧縮成形されてなる。
実施形態のAl合金線の横断面形状は、用途等に応じて適宜選択できる。例えば、横断面形状は、円形(丸線)、長方形(平角線)、楕円や六角形等といった多角形等(異形線)が挙げられる。圧縮撚線の素線を構成するAl合金線は、円形が押し潰されたような横断面形状を有する。Al合金線の横断面形状は、例えば伸線ダイスの形状、圧縮成形用のダイスの形状等で変更できる。
実施形態のAl合金線の大きさ(横断面積、線径等)は、用途等に応じて適宜選択できる。実施形態のAl合金線の一例として、線径が0.01mm以上5mm以下であることが挙げられる。ここでの線径は、上述の丸線であれば直径、上述の平角線や異形線であれば横断面形状を内包する最小円の直径とする。線径が上記の範囲であるAl合金線は例えば導体線等に利用できる。
実施形態のAl合金線を素線として含む撚線(圧縮撚線でもよい)において、撚り合せ本数、撚りピッチ、圧縮形状等は適宜選択できる。
実施形態のAl合金線や、実施形態のAl合金線を含む撚線(圧縮撚線でもよい)は、特に高強度が望まれる導体線に好適に利用できる。導体線は、絶縁被覆を有さない裸線でも、絶縁被覆を有する被覆電線でもよい。絶縁被覆の構成材料は適宜な絶縁材料が利用できる。更に、被覆電線の導体線の端部に端子を備える端子付き電線とすることができる。端子付き電線は、自動車や飛行機等に載置されるワイヤーハーネス、産業用ロボット等に利用されるワイハーネス等に利用できる。端子は、圧着端子や溶融型端子等、公知のものを利用できる。
(概要)
実施形態のAl合金は、例えば、以下の工程を備える実施形態のAl合金の製造方法(以下、本製法と呼ぶことがある)によって製造することができる。
(熱処理工程)上記素材に熱処理を施す。
以下、工程ごとに説明する。
FeとNdとを含むAl合金からなる素材は、種々の形状、大きさのものを利用できる。例えば、上記Al合金からなる薄帯材や粉末を作製して、この薄帯材や粉末を用いて、所定の形状、大きさの成形体を製造することが挙げられる。具体的には、素材の準備工程は、上記Al合金からなる溶湯を10,000℃/秒以上の冷却速度で急冷して、薄帯材又は粉末を製造する工程(以下、凝固工程と呼ぶ)を備えることが挙げられる。また、素材の準備工程は、上記薄帯材又は上記粉末を用いて成形体を製造する工程(以下、成形工程と呼ぶ)を備えることが挙げられる。上記成形体が熱処理に供する素材である。上記成形体は、塑性加工によって製造することが挙げられる。塑性加工は、例えば、鍛造、圧延、押出、引き抜き、伸線等が挙げられる。
ここで、特許文献1に記載されるような従来の連続鋳造法では、鋳造時の溶湯の冷却速度は1000℃/秒以下である。実用的な上記冷却速度は数百℃/秒以下程度である。これに対し、上記冷却速度が10,000℃/秒以上(1×104℃/秒以上)であれば、従来の連続鋳造法における上記冷却速度よりも速い。上記冷却速度が速いことで、Fe原子が分散し易くなり、局所的に集まり難くなると考えられる。その結果、初期に析出されるFe-Al化合物が微細になり易いと考えられる。従って、上述の薄帯材又は粉末を用いると共に熱履歴を調整すれば、最終製品状態であるAl合金において、上記化合物の析出サイズや母相の結晶サイズが微細になり易い。例えば、平均結晶粒径が5μm以下、更には1.5μm以下といった微細な結晶組織を有するAl合金が得られ易い。即ち、汎用材料に比べて、上述の特定の微細組織を有するAl合金(製品)が得られ易い。
この工程は、1種の塑性加工、又は2種以上の塑性加工を利用して、熱処理に供する素材(成形体)を製造することが挙げられる。つまり、上記素材は、薄帯材や薄片、又は粉末に塑性加工を施した一次加工材に、更に塑性加工を施した二次加工材等でもよい。
上述の加工温度が400℃未満である場合とは、代表的には加工温度が300℃未満である冷間加工、又は加工温度が300℃以上400℃未満である温間加工が挙げられる。又は、上述の加工温度が400℃以上500℃以下である熱間加工が挙げられる。ここでの加工温度とは、上述の薄帯材や薄片、粉末、一次加工材等といった加工対象の温度である。
薄帯材や薄片、又は粉末を用いて熱処理に供する素材(成形体)を製造する場合、最終的に得られるAl合金の相対密度が十分に高くなるように加工温度に応じて塑性加工条件を調整する。相対密度は、真密度に対する見かけ密度である。上記素材や最終的に得られるAl合金の相対密度は、例えば95%以上、更に98%以上が好ましく、理想的には100%である。
上述の素材(成形体)の一例として、上述の薄帯材に圧延を施した圧延材、上述の薄片や粉末に粉末圧延を施した圧延材が挙げられる。圧延材は、長いものとし易い上に、塑性加工(圧延)によって内部の空隙が低減されて、緻密である。そのため、圧延材を熱処理に供する素材とすれば、長く、緻密なAl合金が得られる。又は、圧延材は、塑性加工性に優れるため、一次加工材としてもよい。
上述の素材(成形体)の別例として、薄片や粉末を加圧成形した圧縮材が挙げられる。圧縮材は、加圧圧縮によって内部の空隙が低減されて、緻密である。そのため、この圧縮材を熱処理に供する素材とすれば、緻密なAl合金が得られる。又は、圧縮材は塑性加工性に優れるため、一次加工材としてもよい。例えば、圧縮材は、線径が1mm以下といった細線用素材に利用できる。
上述の素材(成形体)の更に別例として、上述の薄帯材、薄片や粉末、又は上述の圧縮材を金属管に収納して、金属管の両端を封止した封止材が挙げられる。封止材は、粉末や薄片を用いた場合でも粉末等の飛散を防止できる。また、封止材は、収納物が脆弱であっても形状等を維持し易い。封止材は、相対密度が低い傾向にあるため、一次加工材とすると、緻密なAl合金が得られる。例えば、封止材は、線径が1mm以下といった細線用素材に利用できる。
上述の素材(成形体)の更に別例として、上述の圧縮材、又は上述の封止材を押出した押出材が挙げられる。押出材は、塑性加工(押出)によって内部の空隙が低減されて、緻密である。例えば押出材の相対密度は、98%以上、更に99%以上、実質的に100%である。そのため、押出材を熱処理に供する素材とすれば、長く、緻密なAl合金が得られる。又は、押出材は、塑性加工性に優れるため、一次加工材としてもよい。例えば、押出材は、線径が1mm以下といった細線用素材に利用できる。上述の圧縮材を収納した封止材を押出した押出材は、より緻密であり、上記細線用素材に好適に利用できる。押出圧力は押出温度や押出材の形状、大きさにもよるが、例えば1GPa以上2.5GPa以下が挙げられる。押出材は、例えば押出圧力を上記の範囲とする温間加工又は熱間加工を行うことで製造することが挙げられる。
上述の素材(成形体)の更に別例として、上述の圧縮材、又は上述の封止材、又は上述の押出材を伸線した伸線材が挙げられる。上記圧縮材等の塑性加工材に更に伸線加工を施した伸線材はより緻密である。このような伸線材を熱処理に供する素材とすれば、緻密なAl合金線が得られる。
この工程では、上述の素材(成形体)に熱処理を施して、AlとFeとを含む化合物を析出させたり、既に析出している微細なFe-Al化合物の大きさを調整したりして、Fe-Al化合物が分散した組織を形成する。この目的から、熱処理条件は、Fe-Al化合物が析出し易い条件とする。例えば、熱処理条件は、引張強さが200MPa超、かつ導電率が58%IACS以上を満たすように調整することが挙げられる。また、熱処理条件は、引張強さ及び導電率が上記の範囲を満たすことに加えて、破断伸びが7.5%以上を満たすように調整することが好ましい。熱処理は、代表的にはバッチ処理が挙げられる。上記素材が伸線材といった長いものであれば、熱処理は連続処理を利用してもよい。
《加熱温度》
バッチ処理は、雰囲気炉等の加熱容器に熱処理対象を封入した状態で加熱する処理である。バッチ処理とする場合、加熱温度は例えば220℃以上500℃以下が挙げられる。バッチ処理では、加熱温度が高いほど、保持時間が短くてもFe-Al化合物が析出し易い。保持時間が短い点で製造性に優れる。特に加熱温度が500℃以下であれば、上述のように上記化合物が粗大に成長することを防止し易く、微細にし易い。また、上記化合物の熱変質等も防止され易い。更に母相を構成する結晶が粗大に成長することを防止し易い。
加熱温度が400℃以上500℃以下である場合、保持時間は例えば1秒以上6時間以下程度が挙げられる。上記加熱温度が高いほど、保持時間が短くてもFe-Al化合物を析出させ易い。保持時間が短いほど、Al合金の生産性が向上する。Feの含有量、Ndの含有量や素材の大きさ等にもよるが、保持時間は例えば0.1時間以上4時間以下、更に3時間以下、2時間以下、1.5時間(90分)以下でもよい。熱処理工程では、保持時間が経過したら加熱を止めて、析出操作を終了する。
連続処理は、ベルト炉等の加熱容器に熱処理対象を連続的に供給して加熱する処理である。連続処理は、例えば、熱処理後のAl合金の引張強さ、導電率が上述の範囲を満たすように、電流値、搬送速度、炉の大きさ等のパラメータを調整することが挙げられる。
熱処理中の雰囲気は、例えば、大気雰囲気、又は低酸素雰囲気が挙げられる。大気雰囲気は、雰囲気制御が不要であり、熱処理作業性に優れる。低酸素雰囲気は、酸素含有量が大気よりも少ない雰囲気であり、Al合金の表面酸化を低減できる。低酸素雰囲気は、真空雰囲気(減圧雰囲気)、不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気等が挙げられる。
実施形態のAl合金線を製造する場合には、本製法は、例えば、熱処理に供する上記素材として、所定の線径を有する伸線材を製造する工程を備えることが挙げられる。上記伸線材の製造条件等は、上述の《伸線材》の項を参照するとよい。
FeとNdとを含むAl合金を以下の条件で作製して、組織、機械的特性、及び電気的特性を調べた。以下の表1~表14において奇数番号の表は、製造条件及び組成を示す。以下の表1~表14において偶数番号の表は、組織、機械的特性、及び電気的特性を示す。
各試料は、以下のように製造する。まず、メルトスパン法によって薄帯材を作製する。この薄帯材を用いて、熱処理に供する素材を製造する。上記素材は、上記薄帯材にホットプレス、押出を順に施して作製した押出材である。
表5,表6に示す試料以外のAl合金は、純度3Nのアルミニウム地金を用いて作製する。また、純鉄、純ネオジムはいずれも、純度3Nの純金属を用いる。
表5,表6に示す試料No.11,No.12のAl合金はそれぞれ、純度3N、純度2Nのアルミニウム地金を用いる。
表3に示す試料No.5~No.10,No.103,No.104ではいずれも、Feの含有量が同じであるが、Ndの含有量が異なる。Ndの含有量は0.001質量%~2.50質量%から選択される値である。Feの含有量は2.0質量%である。
表5に示す試料No.11,No.12はいずれもFeの含有量及びNdの含有量が同じであるが、不純物の合計含有量が異なる。Feの含有量は2.0質量%である。Ndの含有量は0.080質量%である。
表7以降に示す試料No.13~No.36はいずれも同じ組成である。Feの含有量は2.0質量%である。Ndの含有量は0.080質量%である。
試料No.1~No.10,No.13~No.36の不純物の合計含有量は0.05質量%である。
ここでは、不純物の合計含有量は、原料のアルミニウム地金の純度、純鉄の純度によって異ならせている。
表7,表8に示す試料では、押出温度が320℃~450℃から選択される温度(℃)であり、押出圧力が1.0GPa~2GPaから選択される圧力(GPa)であり、熱処理の加熱温度が225℃~400℃から選択される温度(℃)である。
表9,表10に示す試料では、押出温度が420℃であり、押出圧力が1.2GPaであり、熱処理の加熱温度が250℃~430℃から選択される温度(℃)である。
表11,表12に示す試料では、押出温度が350℃であり、押出圧力が2GPaであり、熱処理の加熱温度が380℃~500℃から選択される温度(℃)である。
表13,表14に示す試料では、押出温度が300℃であり、押出圧力が2GPaであり、熱処理の加熱温度が225℃~480℃から選択される温度(℃)である。なお、表14の「化合物平均密度」の単位は「個/5μm-square」を意味する。
得られた各試料の熱処理材から切り出した試験片について、室温(ここでは25℃)において、引張強さ(MPa)、破断伸び(%)、導電率(%IACS)を測定する。また、150℃において、引張強さ(MPa)を測定する。測定結果を偶数番号の表に示す。
導電率(%IACS)は、ブリッジ法によって測定する。
得られた各試料の熱処理材について任意の断面をとり、断面を顕微鏡によって適宜な倍率(例、10,000倍)で観察する。ここでは、上記断面の観察に走査型電子顕微鏡(SEM)を用いるが、金属顕微鏡を用いてもよい。
結晶の平均結晶粒径(nm)は以下のように求める。
各試料の熱処理材において、上述の断面のSEM像から、一辺の長さが10μmである正方形の測定領域(視野)を30以上とる。又は、任意の断面を複数とり、各断面から一つの測定領域又は複数の測定領域をとることで、合計30以上の測定領域を確保してもよい。
各試料の熱処理材において、上述の断面のSEM像から、一辺の長さが5μmである正方形の測定領域(視野)を10以上とる。又は、任意の断面を複数とり、各断面から一つの測定領域又は複数の測定領域をとることで、合計10以上の測定領域を確保してもよい。
上述の各測定領域に存在するFe-Al化合物を全て抽出する。抽出した各Fe-Al化合物の最大長さを測定する。各Fe-Al化合物の最大長さは、以下のように測定する。図1に示すように、上述の断面のSEM像において、2本の平行線P1,P2によって、Fe-Al化合物からなる粒子1を挟み、これら平行線P1,P2の間隔を測定する。上記間隔は、平行線P1,P2に直交する方向の距離である。任意の方向の平行線P1,P2の組を複数とり、上記間隔をそれぞれ測定する。測定した複数の上記間隔のうち、最大値を粒子1の最大長さL1とする。ここでの観察の倍率は10,000倍である。ここでは、最大長さが0.01μm以上であるFe-Al化合物を抽出する。最大長さが0.01μm未満であるFe-Al化合物は平均長軸長さの算出に用いない。抽出したFe-Al化合物の最大長さを平均する。求めた平均値を平均長軸長さとする。
Fe-Al化合物のアスペクト比は、Fe-Al化合物の短軸長さに対する長軸長さの比、即ち(長軸長さ/短軸長さ)とする。上述のように各測定領域から抽出した各Fe-Al化合物について、上述のように最大長さL1(=長軸長さ)を測定する。短軸長さL2は、各Fe-Al化合物における最大長さL1に沿った方向に直交する方向の線分をとり、これらの線分の長さのうち、最大値とする。各Fe-Al化合物について、長軸長さL1と短軸長さL2とを用いて、アスペクト比を求める。ここでは、上述のように長軸長さが0.01μm以上であるFe-Al化合物について、アスペクト比を求める。求めたFe-Al化合物のアスペクト比を平均する。求めた平均値を平均アスペクト比とする。
上述の各測定領域に存在し、最大長さが0.01μm以上であるFe-Al化合物の個数を測定する。10以上の測定領域におけるFe-Al化合物の個数を合計し、この合計数を測定領域の数(10以上)で除して、平均する。求めた平均値を平均密度、即ち5μm×5μmの測定領域におけるFe-Al化合物の平均個数とする。ここでの観察の倍率は30,000倍である。
その他、各試料の熱処理材の断面において、例えばX線回折(XRD)による構造解析を行うと、AlとFeとを含む化合物の構造(例、Al13Fe4)を調べることができる。上記構造解析は、表面酸化物等を十分に除去してから行う、又は放射光を用いた透過XRD等により試料の内部を評価すると、精度よく行える。
偶数番号の表に示すように、Feを特定の範囲で含むと共に、Ndを特定の範囲で含む組成を備える試料No.1~No.36のAl合金は、特許文献1に記載されるAl合金線に比較して、同等以上の導電率を有しつつ、強度により優れることが分かる。定量的には、試料No.1~No.36のAl合金(以下、特定試料のAl合金と呼ぶ)ではいずれも、室温での導電率が58%IACS以上であり、室温での引張強さが200MPa超である。
表1,表2に示すように、Feの含有量が多いほど、室温においても高温(150℃)においても引張強さが高く、Al合金は高強度であり、耐熱性にも優れることが分かる。但し、Feが多過ぎると導電率が低下する(試料No.102)。Feの含有量が少ないほど、導電率が高い傾向にあり、Al合金は導電性に優れる。また、Feの含有量が少ないほど、伸びが高い傾向にあり、Al合金は伸びにも優れる。但し、Feが少な過ぎると強度、耐熱性が低下する(試料No.101)。
表3,表4に示すように、Ndの含有量が多いほど、室温においても高温(150℃)においても引張強さが高く、Al合金は高強度であり、耐熱性にも優れることが分かる。但し、Ndが多過ぎると導電率が低下する(試料No.104)。Ndの含有量が少ないほど、導電率が高い傾向にあり、Al合金は導電性に優れる。また、Ndの含有量が少ないほど、伸びが高い傾向にあり、Al合金は伸びにも優れる。但し、Ndが少な過ぎると強度、耐熱性が低下する(試料No.103)。
表5,表6に示すように、同じ組成のAl合金である場合、不純物の合計含有量が少ないと、強度が高く、導電性にも優れることが分かる(表3,表4の試料No.7と比較参照)。不純物の合計含有量が多過ぎると(ここでは0.3質量%)、強度が低下する理由の一つとして、不純物の元素とAlとを含む化合物が形成される(析出される)ことが考えられる。上記不純物を含む化合物の硬度は、AlとFeとを含む化合物の硬度よりも低く、分散強化による強度の向上効果を得難いと考えられる。不純物の合計含有量が多過ぎると、導電性が低下する理由の一つとして、不純物の元素がAlに固溶することが考えられる。
表7,表8に示すように、同じ組成のAl合金である場合、Al合金の母相を構成する結晶粒が小さいほど、強度、耐熱性に優れることが分かる。また、上記結晶粒が小さいほど、Fe-Al化合物が微細であり、かつ存在数量が増加する傾向にあることが分かる。これらのことから、上記結晶粒が小さいほど、結晶の粒界強化による強度の向上効果と上記化合物の分散強化による強度の向上効果とが得られ易く、強度、耐熱性が向上すると考えられる。一方、上記結晶粒が小さいほど、導電性が低下し易いといえる。この理由の一つとして、上記化合物が多くなることで、Alの導電パスを阻害し易くなると考えられる。また、上記化合物の存在数量の増加に伴って、伸びも低くなり易いといえる。
表9,表10に示すように、同じ組成のAl合金である場合、Fe-Al化合物の長軸長さが短く、微細であるほど、強度、耐熱性に優れることが分かる。また、上記長軸長さが短いほど、上記化合物の存在数量が増加する傾向にあることが分かる。これらのことから、上記化合物が微細であるほど、上記化合物の分散強化による強度の向上効果を得易く、強度、耐熱性が向上すると考えられる。更に、上記長軸長さが短いほど、母相を構成する結晶粒が微細であることが分かる。結晶粒が微細なことで、結晶の粒界強化による強度の向上効果が得易いことからも、強度、耐熱性が向上すると考えられる。
表11,表12に示すように、同じ組成のAl合金である場合、Fe-Al化合物であって、長軸長さが750nm以下であり、かつアスペクト比が小さいほど、強度、耐熱性に優れることが分かる。また、上記アスペクト比が小さいほど、上記化合物の存在数量が多く、かつ母相を構成する結晶粒が小さい傾向にあることが分かる。これらのことから、上記化合物が微細であり、かつ上記アスペクト比が小さいほど、上記化合物が母相に均一的に分散し易く、上記化合物の分散強化による強度の向上効果を得易く、強度、耐熱性が向上すると考えられる。母相の結晶粒が小さいことで、結晶の粒界強化による強度の向上効果が得易いことからも、強度、耐熱性が向上すると考えられる。
表13,表14に示すように、同じ組成のAl合金である場合、Fe-Al化合物であって、長軸長さが750nm以下であるものの存在数量が多いほど、強度、耐熱性に優れることが分かる。また、上記化合物の平均個数が多いほど、母相を構成する結晶粒が小さい傾向にあることが分かる。これらのことから、上記化合物が微細であり、かつ上記平均個数が小さいほど、上記化合物の分散強化による強度の向上効果を得易く、強度、耐熱性が向上すると考えられる。結晶粒が小さいことで、結晶の粒界強化による強度の向上効果が得易いことからも、強度、耐熱性が向上すると考えられる。
以上のことから、Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含む組成を有するAl合金は、導電性に優れつつ、高強度であることが示された。特に、上記Al合金は、上述の特定の組織を有すると、高い導電率と高い引張強さとを有し易い。
(1)溶湯の冷却速度を極めて速くして薄帯状等とすると、過飽和固溶体が得られる上に、凝固材(薄帯材)の母相を構成する結晶が微細になり易い。その結果、熱処理後に得られるAl合金では、Fe-Al化合物が微細になり易い上に、母相を構成する結晶も微細になり易い。ここでは多くの試料において、上記化合物の平均長軸長さが750nm以下であり、平均結晶粒径が5μm以下である。
(2)熱処理の加熱温度が500℃以下であれば、上記化合物が微細な粒子として分散され易い。
Claims (11)
- Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含み、残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有し、
母相と、化合物とを含む組織を有し、
前記母相は、Alを主体とする金属の相であり、
前記化合物は、AlとFeとを含み、
任意の断面において、前記母相の平均結晶粒径が0.1μm以上5μm以下であり、前記化合物の平均長軸長さが750nm以下であり、
前記化合物の平均アスペクト比が3.5以下であり、
前記任意の断面において、一辺の長さが5μmである正方形の測定領域をとり、前記測定領域に存在する前記化合物の平均個数が100個以上5000個以下であり、
Ndは、前記化合物に固溶していること、及び前記母相の結晶と前記化合物との粒界に存在することの少なくとも一方を満たす、
アルミニウム合金。 - 前記組成におけるFeの含有量は1.0質量%以上2.4質量%以下である請求項1に記載のアルミニウム合金。
- 前記組成におけるNdの含有量は0.01質量%以上0.5質量%以下である請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金。
- 前記平均結晶粒径が0.3μm以上5μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金。
- 前記平均長軸長さが500nm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金。
- 前記平均アスペクト比が2.5以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金。
- 室温での導電率が58%IACS以上であり、
室温での引張強さが200MPa超であり、
室温での破断伸びが7.5%以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金。 - 150℃での引張強さが150MPa以上である請求項7に記載のアルミニウム合金。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金から構成される、
アルミニウム合金線。 - 線径が0.01mm以上5mm以下である請求項9に記載のアルミニウム合金線。
- Feを0.1質量%以上2.8質量%以下と、Ndを0.002質量%以上2質量%以下とを含み、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金から構成される素材を製造する工程と、
前記素材に熱処理を施す工程とを備え、
前記素材を製造する工程は、前記アルミニウム合金からなる溶湯を10,000℃/秒以上の冷却速度で急冷して、薄帯材又は粉末を製造する工程を含み、
前記熱処理を経たアルミニウム合金は、
母相と、化合物とを含む組織を有し、
前記母相は、Alを主体とする金属の相であり、
前記化合物は、AlとFeとを含み、
任意の断面において、前記母相の平均結晶粒径が0.1μm以上5μm以下であり、前記化合物の平均長軸長さが750nm以下であり、
前記化合物の平均アスペクト比が3.5以下であり、
前記任意の断面において、一辺の長さが5μmである正方形の測定領域をとり、前記測定領域に存在する前記化合物の平均個数が100個以上5000個以下であり、
Ndは、前記化合物に固溶していること、及び前記母相の結晶と前記化合物との粒界に存在することの少なくとも一方を満たす、
アルミニウム合金の製造方法。
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