JP7156289B2 - インキ組成物及び印刷物 - Google Patents

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Description

本開示の実施形態は、インキ組成物及びそれを用いた印刷物に関する。
番号、文字、図形、記号、絵柄などで構成された情報パターンが印刷された抽選くじ、商品券、通行券、チケットその他の有価証券などのセキュリティが必要とされる印刷物が知られている。
このような印刷物においては、盗難や、印刷物を複写機(コピー機)等で複写する詐欺行為による被害が社会問題化しており、高度な真贋判定が可能な偽造防止技術の開発が急務となっている。
このような印刷物の偽造防止対策として、例えば特許文献1には、ホログラムを使用した偽造防止印刷物が開示されているが、ホログラムを使用する技術は製造コストが高くなるため、単価の低い印刷物への使用には不向きである。
また、特許文献2には、可視光領域では目視不可能で、可視光以外の一定波長の光で蛍光を発する蛍光インキの印刷がされた偽造防止証書が開示されている。このような特定の発光体を配合した、所謂セキュリティマーキングは、常時は無色透明であるが、紫外光等の特定の波長の光が照射されることで発光し、真贋判定を可能とするものであり、印刷物の美観や意匠性を損ねることなく、偽造防止することが可能である。
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、偽造技術の進歩に伴い、偽造防止効果を十分に得られなくなっている。このため、より高い偽造防止効果を得られる技術の開発が求められている。
また、特許文献3には、りん光体である発光体Xと、蛍光体である発光体Yとからなる残光性発光組成物の、励起光停止後における残光色が、励起光照射時における発光色と異なることを、視認により判別する技術が開示されている。
特開平6-278396号公報 特開平06-297888号公報 特許第5610121号公報
しかしながら、特許文献3に開示の残光性発光組成物では、りん光体の残光時間が1秒未満と小さいため、励起光照射中及び励起光照射後の色変化を判別することは、実際には困難であった。
本開示の実施形態は上記問題点に鑑みてなされたものであり、発光強度に優れ、励起光照射中や照射後の色変化が大きく、判別性に優れるインキ組成物及びこれを用いて形成された印刷物を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+、Dy3+、Ce3+、及びGd3+からなる群から選ばれる一種の三価の希土類イオンと、β-ジケトン配位子、カルボン酸配位子、ホスフィンオキシド配位子、及び含窒素芳香族複素環配位子から選ばれる少なくとも1種の有機配位子と、を含む希土類錯体と、励起光照射停止後の残光時間が1秒以上である長残光発光材料と、を含むインキ組成物を提供する。
本開示の1実施形態においては、前記長残光発光材料が、アルカリ土類金属アルミン酸塩を含有する、インキ組成物を提供する。
本開示の1実施形態においては、前記希土類錯体は、前記有機配位子として、下記一般式(1)で表されるホスフィンオキシド配位子を含む、インキ組成物を提供する。
Figure 0007156289000001
[一般式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基である。一般式(1)中、Arは、下記一般式(2a)、(2b)又は(2c)で表される二価の基であり、nは1又は2である。
Figure 0007156289000002
(前記一般式(2a)~(2c)中、Rはそれぞれ独立に一価の置換基であり、Xは硫黄原子又は酸素原子であり、Rは、水素原子又は炭化水素基であり、mは、0から、Rが結合する環における置換可能な部位までの整数である。mが2以上の整数である場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
一般式(1)中、Eは、水素原子又は下記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基である。
Figure 0007156289000003
(一般式(3)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基である。)]
本開示の1実施形態においては、前記希土類錯体は、ホスフィンオキシド二座配位子を含み、当該ホスフィンオキシド二座配位子が、二つの前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含む、インキ組成物を提供する。
本開示の1実施形態においては、前記希土類錯体は、前記有機配位子として、下記一般式(4)で表されるβ-ジケトン配位子を含む、インキ組成物を提供する。
Figure 0007156289000004
(一般式(4)中、Q及びQは、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基であり、Zは、水素原子又は重水素原子である。)
本開示の1実施形態においては、前記長残光発光材料は、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、及びCaAl:Eu,Ndからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、インキ組成物を提供する。
本開示の1実施形態は、前述したインキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する、印刷物を提供する。
本開示の実施形態は、発光強度に優れ、励起光照射中や照射後の色変化が大きく、判別性に優れるインキ組成物及びこれを用いて形成された印刷物を提供することができる。
本開示の1実施形態に係る印刷物の一例を示す概略断面図である。 実施例2に係るインキ層の、UV照射直後の発光スペクトルを示す図である。 実施例2に係るインキ層の、UV照射5秒後の発光スペクトルを示す図である。 実施例2に係るインキ層の、UV照射停止後の発光スペクトルを示す図である。 比較例3に係るインキ層の、UV照射直後の発光スペクトルを示す図である。 比較例3に係るインキ層の、UV照射5秒後の発光スペクトルを示す図である。 比較例3に係るインキ層の、UV照射停止後の発光スペクトルを示す図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定が無い限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
以下、本開示に係るインキ組成物及び印刷物について順に説明する。
[インキ組成物]
本開示の1実施形態のインキ組成物は、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+、Dy3+、Ce3+、及びGd3+からなる群から選ばれる一種の三価の希土類イオンと、β-ジケトン配位子、カルボン酸配位子、ホスフィンオキシド配位子、及び含窒素芳香族複素環配位子から選ばれる少なくとも1種の有機配位子と、を含む希土類錯体と、励起光照射停止後の残光時間が1秒以上である長残光発光材料と、を含む、インキ組成物である。
なお、本開示において残光性材料とは、励起光照射による光刺激で励起し、エネルギー変換して光を放出し、励起光照射停止後も所定の時間発光し続ける材料をいう。また、本明細書において、残光性材料のうち、励起光照射停止後、1秒未満の残光時間を有するものを短残光発光材料といい、励起光照射停止後、1秒以上の残光時間を有するものを長残光発光材料という。
本開示において、残光時間とは、励起光照射停止時点を0秒とし、この時点から発光が検出されなくなるまでの経過時間をいう。本開示においては、下記手段により測定した上記経過時間を、残光時間として定義する。分光蛍光光度計(例えば、日本分光製、FP-6600)を用いて、波長365nmの励起光を所定時間照射し、得られた発光スペクトルの極大発光ピーク波長を検出波長とし、励起光照射側のシャッタを閉じた時点を0秒とし、この時点から、検出波長の発光強度が励起光停止時点の強度値の0.01%以下になるまでの時間を残光時間とする。
本開示において励起光としては、可視光線以外の電磁波が挙げられ、例えば、紫外線、赤外線等が挙げられる。
本開示に係るインキ組成物は、三価の希土類イオンと上記した有機配位子とを含む希土類錯体と、長残光発光材料とを組み合わせて用いることで、励起光の照射により高い発光強度を得ることができ、また、励起光照射中や照射後において、色変化が大きく、判別性に優れる。
本開示に係るインキ組成物が、上記のような効果を発揮する作用としては、以下のように推定される。
本開示に係るインキ組成物に含まれる長残光発光材料は、その特性から発光強度が飽和するまでに、一定時間の猶予を要する。このため、所定の波長領域で発光する上記特定の希土類錯体の発光強度と、これとは異なる波長領域で発光する長残光発光材料の発光強度との強度差が、励起光照射直後と、励起光照射後一定時間経過後とで変化する。また、本開示に係るインキ組成物に含まれる長残光発光材料は、励起光照射停止後、1秒以上の残光時間を有する。このため、励起光照射停止後は、所定の波長領域で発光する希土類錯体の発光強度と、これとは異なる波長領域で発光する長残光発光材料の発光強度との強度差が、更に拡大する。また、長残光発光材料が、励起光照射停止後、1秒以上の残光時間を有するため、励起光照射停止後においても、発光強度の強度差の確認の時間を十分に確保することができる。以上のことから、本開示に係るインキ組成物は、色変化が大きく、判別性に優れる。
なお、本開示において、励起光照射中や照射後の色変化とは、励起光照射中や照射後に、複数の波長領域にみられる発光の強度差が変化すればよい。発光色の波長は必ずしも可視光領域の波長でなくても良く、近赤外領域や近紫外領域に該当する波長であってもよい。例えば、強くなる発光色の波長に、近赤外領域や近紫外領域に該当する波長を含む場合、適宜、当該波長領域の光を検出できる検出器を用いることができる。複数の波長領域における発光が、いずれも可視領域にある場合には、発光強度の強度差の変化を、励起光照射中や照射停止後の色変化として目視で確認することが可能となる。
また、前記特定の希土類錯体を用いた発光体は、前記有機配位子によって励起光の吸収効率が高く、励起光を効率的に利用できるため、無機発光体に比べて、発光強度が高い。そのため、本開示のインキ組成物は励起光照射中や照射後の色変化が大きくなり、判別性に優れる。さらに、前記特定の希土類錯体を用いた発光体は、有機溶剤への溶解性又は媒体への分散性、及び樹脂との相溶性に優れることから、所望のインキ組成物を調製し易く、所望のインキ層を形成し易く、各種セキュリティーマーキングに適用し易いというメリットもある。
更に、本発明者らは、本開示のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を、励起光を照射しながら、摩擦して摩擦熱を生じさせることでも、励起光照射中の色変化が大きくなり判別性に優れることを見出した。
本開示のインキ組成物に含まれる長残光発光材料は、励起光照射により生じた、電子や正孔といったキャリアが捕獲中心に一時的にトラップされ、室温の熱エネルギーにより除々に解放されて発光中心へ移動することで発光を示す。そのため、励起光を照射しながら、摩擦等により室温から瞬間的に高温状態にすると、トラップされたキャリアが急速に解放されて発光中心へ移動することで一瞬強く発光し、このときのエネルギー放出により、長残光発光材料の発光が消失する。そのため、本開示のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を、励起光を照射しながら、摩擦して摩擦熱を生じさせると、希土類錯体に起因する発光の発光強度と、長残光発光材料に起因する発光の発光強度との強度差が変化する。
本開示のインキ組成物は、長残光発光材料を、上記した発光強度の高い希土類錯体と併せて用いているため、摩擦等による加熱により、長残光発光材料が一旦強く発光し次いで消光した際に、希土類錯体に起因する発光と、長残光発光材料に起因する発光との間で、大きい発光強度差を得ることができ、優れた判別性を得ることができる。
また、本開示のインキ組成物は、長残光発光材料を、上記した発光強度の高い希土類錯体と併せて用いているため、希土類錯体に起因する発光と、長残光発光材料に起因する発光とが、いずれも可視領域にあり、これらの発光強度の強度差の変化を色変化として目視で確認できる場合には、摩擦等による加熱により、長残光発光材料が一旦発光し次いで消光した際に、前記希土類錯体による高強度の発光を目視で確認し易く、優れた判別性を得ることができる。
本開示のインキ組成物は、前記特定の希土類錯体と、長残光発光材料とを含有するものであり、効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の成分を含有してもよいものである。
以下、このようなインキ組成物の各成分について順に詳細に説明する。
<希土類錯体>
(希土類イオン)
希土類錯体に含まれる三価の希土類イオンとしては、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+、Dy3+、Ce3+、及びGd3+からなる群から選ばれる一種が挙げられる。これらの中でも、高い発光強度を得る観点から、希土類錯体は、Eu3+、Tb3+及びSm3+からなる群から選ばれる一種であることが好ましい。
(有機配位子)
三価の希土類イオンに配位する配位子としては、β-ジケトン配位子、カルボン酸配位子、ホスフィンオキシド配位子、及び含窒素芳香族複素環配位子から選ばれる少なくとも1種の有機配位子を含む。
一般に、希土類錯体に吸収された励起光は、配位子から希土類イオンに受け渡され、発光する光のエネルギーに変換される。希土類錯体が、上記した有機配位子を含むことで、希土類錯体が吸収した励起光の光エネルギーを、希土類イオンに効率よく供給することができ、また、希土類イオンにおいて、供給された光のエネルギーを高効率で、発光する光のエネルギーに変換することができる。
前記三価の希土類イオンに配位する配位子としては、本開示の効果が損なわれない限り、β-ジケトン配位子、カルボン酸配位子、ホスフィンオキシド配位子、及び含窒素芳香族複素環配位子から選ばれる少なくとも1種の有機配位子とは異なる配位子を含んでいてもよい。
有機配位子は、錯体の安定性の点から、アニオン性配位子を含むことが好ましく、β-ジケトン配位子及びカルボン酸配位子の少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、β-ジケトン配位子は、吸光係数が高いため、励起光のエネルギーを、配位した希土類イオンへ効率よく供給することができ、発光強度が高くなる点から好ましい。
また、有機配位子は、発光強度を高くする点から、中性配位子である含窒素芳香族複素環配位子及びホスフィンオキシド配位子の少なくとも一種を含むことが好ましい。含窒素芳香族複素環配位子は、吸光係数が高いため、励起光のエネルギーを配位した希土類イオンへ効率よく供給することができ、発光強度を向上する。また、ホスフィンオキシド配位子は、低振動なP=O骨格を含むため、配位した希土類イオンが受け取ったエネルギーを振動失活させないように機能する。低振動な骨格を含むと、光エネルギーの変換時における熱失活が抑制されるため、発光効率が高められ、発光強度が向上する。
また、C-X(Xはハロゲン原子:F、Cl、Br及びI)結合のようにハロゲン原子が置換されている炭素原子は、低振動な骨格(C-X結合)を含むため、上記と同様に発光効率を向上し、発光強度を向上する。低振動な骨格としては、例えば、パーハロゲン化アルキル基が挙げられ、具体例としてトリフルオロメチル基が挙げられる。
以上のことから、有機配位子としては、β-ジケトン配位子及びカルボン酸配位子の少なくとも1種のアニオン性配位子と、ホスフィンオキシド配位子及び含窒素芳香族複素環配位子の少なくとも1種とを含むことが好ましく、中でも、β-ジケトン配位子の少なくとも1種のアニオン性配位子と、ホスフィンオキシド配位子及び含窒素芳香族複素環配位子の少なくとも1種とを含むことが好ましく、これらの組み合わせの有機配位子中に、更に、ハロゲン原子が置換されている炭素原子を含むことが好ましい。
β-ジケトン配位子としては、下記一般式(4)で表されるβ-ジケトン配位子が挙げられる。
Figure 0007156289000005
(一般式(4)中、Q及びQは、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基であり、Zは、水素原子又は重水素原子である。)
一般式(4)中Q及びQにおいて、炭化水素基とは、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、及びこれらの組合せが挙げられ、前記脂肪族炭化水素基としては、飽和、若しくは不飽和の、直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数6以上14以下の芳香族炭化水素基が更に挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ジベンゾ[c,g]フェナントリル基等が挙げられる。
また、前記脂肪族炭化水素基のうち、飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1以上20以下の飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、炭素数1以上10以下の飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が更に挙げられる。このような飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のアルキル基やシクロアルキル基が挙げられる。
また、前記脂肪族炭化水素基のうち、不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数2以上20以下の不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、炭素数2以上10以下の不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。このような不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、イソプロぺニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2-エチルヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニシル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、及びアルキニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の組合せとしては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等のアラルキル基が挙げられる。
及びQにおいて、芳香族複素環基としては、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、且つ環形成炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が挙げられ、更に環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基が挙げられ、より更に4員環から7員環の芳香族複素環基が挙げられる。このような芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾフラニル基、キノリル基等が挙げられる。
前記炭化水素基、及び前記芳香族複素環基は、必要に応じて重水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br及びI)、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基及びメルカプト基などの置換基を有していてもよい。また、前記炭化水素基、及び前記芳香族複素環基は、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、炭素数1~10のアルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基などの置換基を有していてもよい。
更に、前記芳香族炭化水素基、及び前記芳香族複素環基は、炭素数~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基で置換されていても良い。
中でも、置換基として、ハロゲン原子を有し、C-X(Xはハロゲン原子:F、Cl、Br及びI)結合を有する場合には、低振動の骨格になることから、当該構造を含むと、希土類金属が受け取ったエネルギーを振動失活させないように機能し、発光効率を向上し、発光強度を向上する点から好ましい。
及びQとしては、それぞれ独立に、中でも、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上20以下のパーハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基、炭素数6以上22以下のパーハロゲン化芳香族炭化水素基、環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基、及び、環形成炭素数2以上10以下のパーハロゲン化芳香族複素環基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、炭素数3以上6以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上20以下のパーハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基、及び環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
前記一般式(4)中のZは、水素原子Hであっても重水素原子Dであってもよいが、水素原子Hであることが好ましい。ZがHである希土類金属錯体に、重水素化剤を作用させて、重水素置換反応することにより、重水素化錯体(Zが重水素原子Dである錯体)を得られる。
そのような重水素化剤は、例えば、重水素を含むプロトン性化合物、具体的には、重水;重水素化メタノール及び重水素化エタノールなどの重水素化アルコール;重塩化水素;及び重水素化アルカリなどを含む。重水素置換反応を促進するために、トリメチルアミン及びトリエチルアミンなどの塩基剤及び添加剤を加えてもよい。
β-ジケトン配位子としては、例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(2-フラニル)-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(3-ピリジル)-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-フェニル-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-{5-(2-メチルチエニル)}-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(2-ナフチル)-1,3-ブタンジオン、及び2,2-ジメチル-6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-3,5-オクタンジオン等のβ-ジケトンから誘導される配位子等が挙げられる。
カルボン酸配位子としては、カルボキシラート基(-COO)を有する配位子が挙げられ、例えば、ギ酸(ホルマト)配位子、酢酸(アセタト)配位子、プロピオン酸(プロピオナト)配位子、クエン酸配位子、サリチル酸配位子、テレフタル酸配位子、イソフタル酸配位子、2-ヒドロキシテレフタル酸配位子、1,4-ナフタレンジカルボン酸配位子、トリメシン酸配位子、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン配位子、及びビフェニル-3,3’,5,5’-テトラカルボン酸配位子等が挙げられる。
ホスフィンオキシド配位子としては、下記一般式(1)で表されるホスフィンオキシド配位子が好ましい。
Figure 0007156289000006
[一般式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基である。一般式(1)中、Arは、下記一般式(2a)、(2b)又は(2c)で表される二価の基であり、nは1又は2である。
Figure 0007156289000007
(前記一般式(2a)~(2c)中、Rはそれぞれ独立に一価の置換基であり、Xは硫黄原子又は酸素原子であり、Rは、水素原子又は炭化水素基であり、mは、0から、Rが結合する環における置換可能な部位までの整数である。Rが複数ある場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
一般式(1)中、Eは、水素原子又は下記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基である。
Figure 0007156289000008
(一般式(3)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基である。)]
一般式(1)中のAr及びAr、並びに、一般式(3)中のAr及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の芳香族基である。
当該芳香族基としては、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が挙げられる。ここでの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、前記一般式(4)で表されるQ及びQにおける、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基と同様であって良い。
一般式(1)中のAr及びAr、並びに、一般式(3)中のAr及びArの芳香族基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ジベンゾ[c,g]フェナントリル基、ピリジル基、チエニル基等が挙げられる。
一般式(1)中のAr及びAr、並びに、一般式(3)中のAr及びArの芳香族基としては、中でも、フェニル基、ピリジル基、又はチエニル基が好ましく、特にフェニル基が好ましいものとして挙げられる。
一般式(1)中のAr及びAr、並びに、一般式(3)中のAr及びArが有していても良い置換基、及び、Rとしての一価の置換基は、それぞれ、炭素数1以上20以下の炭化水素基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基等が挙げられる。
一般式(2c)中のRは、水素原子又は炭化水素基であり、当該炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられ、これらの炭化水素基は、前記一般式(4)で表されるQ及びQにおける、炭化水素基と同様であって良い。一般式(2c)中のRの炭化水素基としては、中でも、フェニル基、及び炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記一般式(2a)、(2b)及び(2c)中、mは、0から、Rが結合する環における置換可能な部位までの整数であり、中でも、0以上2以下の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
前記一般式(1)中、nは1又は2であり、Arが前記一般式(2c)で表される二価の基である場合、nは1であることが好ましい。
前記一般式(1)中、Eは、水素原子又は前記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基である。前記一般式(1)中、Eが前記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基であると、前記一般式(1)で表される前記ホスフィンオキシド配位子が二座配位子となり、該ホスフィンオキシド配位子が二つの前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含む希土類錯体を形成することができる。当該架橋構造を含む希土類錯体について、以下、錯体ポリマーという場合がある。
含窒素芳香族複素環配位子を構成する含窒素芳香族複素環式化合物としては、単環化合物の他に、環集合化合物、縮合環化合物も含まれる。芳香環を構成する原子数は、通常5以上30以下であり、5以上18以下が好ましく、入手が容易で性能も優れることから原子数が6以上10以下のものが特に好ましい。
前記含窒素芳香族複素環式化合物としては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、3-(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、ピラゾール,フラザン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、プリン、1H-インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジン、プテリジン、フェナントリジン、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、2,2'-ビピリジン、4,4'-ジメチル-2,2'-ビピリジル、4,4'-ジメチル-2,2'-ビピリジル、5,5'-ジメチル-2,2'-ビピリジル、6,6'-t-ブチル-2,2'-ジピリジル、4,4'-ジフェニル-2,2'-ビピリジル、1,10-フェナントロリン、2,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、5,6-ジメチル-1,10-フェナントロリン、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン等が挙げられる。前記含窒素芳香族複素環式化合物としては、中でも、例えば、1,10-フェナントロリン、2-2’-ビピリジル、2-2’-6,2”-ターピリジル、2,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、5,6-ジメチル-1,10-フェナントロリン、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾール等の二座配位子となるフェナントロリン類、ピリジン類が好ましく用いられる。
前記希土類錯体は、ホスフィンオキシド二座配位子を含み、当該ホスフィンオキシド二座配位子が、二つの希土類イオンに配位して形成された、架橋構造を含むことが、各種耐性、及び発光強度が向上する点から、好ましい。
中でも、当該ホスフィンオキシド二座配位子が、一般式(1)で表され、一般式(1)中のEが一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基であるホスフィンオキシド二座配位子の場合には、中でも耐光性に優れ、且つ耐溶剤性にも優れる点から、更に好ましい。従来の発光強度の高い希土類錯体は溶剤に溶けやすいため、インキ組成物や印刷物にしたときの耐溶剤性が悪く、医療現場のようなアルコールや有機溶剤を使用する現場において使用される医療用管理ラベル等へのセキュリティ性付与には不向きであるという課題があった。更に、セキュリティ印刷物は、溶剤を用いた改ざんを防止することが求められており、改ざん防止の観点からも従来の希土類錯体は適していないという課題があった。それに対して、一般式(1)で表され、一般式(1)中のEが一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基であるホスフィンオキシド二座配位子を含む希土類錯体は、メタノール、エタノールなどのアルコール類や、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、ジクロロメタンなどの有機溶媒に不溶であるため、当該二座ホスフィンオキシド配位子を含む希土類錯体を含むインキ組成物は、印刷物にしたときの耐溶剤性が高く、有機溶剤を用いる現場で使用されるセキュリティ性付与においても利用可能であり、更に、溶剤を用いた改ざんを防止できる。
発光強度に優れる点から、好ましい前記希土類錯体の少なくとも1種としては、例えば、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する希土類錯体及び下記一般式(6)で表される希土類錯体の少なくとも1種が挙げられる。中でも、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する希土類錯体を含むと、耐熱性、耐光性、及び耐溶剤性に優れた印刷物を作成することができる。
Figure 0007156289000009
(一般式(5)中、Ln3+はEu3+、Tb3+、Sm3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+、Dy3+、Ce3+、及びGd3+からなる群から選ばれる一種の三価の希土類イオンを表し、Ar、Ar及びArは前記一般式(1)と同様であり、Ar及びArは前記一般式(3)と同様であり、Q、Q及びZは前記一般式(4)と同様である。)
Figure 0007156289000010
(一般式(6)中、Ln3+はEu3+、Tb3+、Sm3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+、Dy3+、Ce3+、及びGd3+からなる群から選ばれる一種の三価の希土類イオンを表し、Ar、Ar及びArは前記一般式(1)と同様であり、Q、Q及びZは前記一般式(4)と同様である。n1は1以上5以下の整数であり、n2は1以上4以下の整数である。)
前記一般式(6)において、発光強度が向上する点から、n1は1又は2であることが好ましく、n2は2、3又は4であることが好ましく、n1が2であり且つn2が3であることが中でも好ましい。
前記希土類錯体は、例えば、希土類イオンの原料である希土類金属化合物と配位子となる化合物とを、必要に応じて触媒の存在下で、これらを溶解又は分散できる溶媒中にて撹拌する方法によって合成することができる。溶媒としては、希土類金属化合物及び配位子となる化合物に対して好適なものを混合して用いてもよく、例えば、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒を適用することができる。触媒としては、例えば、必要に応じて、トリメチルアミンや水酸化リチウム等を添加することができる。
<長残光発光材料>
長残光発光材料としては、例えば、SrAl:Eu,Dy(黄緑)、SrAl1425:Eu,Dy(青緑)、及びCaAl:Eu,Nd(紫青)、ZnS:Cu,Mn,Co(黄橙)、ZnS:Cu(黄緑)、Y22 S:Eu,Mg,Ti(赤)、Sr2 MgSi28 :Eu,Dy(青)、Sr2 MgSiO7 :Eu,Dy(青)、SrAl35 (OH):Eu,Dy(青緑)、ZnGa24 :Mn(緑)、Y22 S:Eu,Mg,Ti(赤)、GdO2 S:Eu,Mg,Ti(赤)等が挙げられる。
上記した材料の中でも、アルカリ土類金属アルミン酸塩を含むものが、入手のし易さと、耐光性及び残光輝度が高い点から好ましい。
中でも、アルカリ土類金属アルミン酸塩に、二種以上の希土類金属を添加したものは、一方の希土類金属イオンが捕獲中心となり、光照射により生成した電子または正孔をトラップさせてから、これとは異なる希土類金属イオンの発光中心に移動して発光させることができるため、発光強度が飽和するまでに所定の時間を確保し易く、また、励起光照射停止後においても、残光時間を長く確保し易いため好ましい。
希土類錯体と長残光発光材料とは、所定の励起光を照射したときの発光色が異なる組み合わせで配合することが好ましい。より好ましくは、希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)と、長残光発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)との差の絶対値が、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上であることがよい。
具体的には、長残光発光材料として、SrAl:Eu,Dy(黄緑)、SrAl1425:Eu,Dy(青緑)、CaAl:Eu,Nd(紫青)、Sr2 MgSi28 :Eu,Dy(青)、Sr2 MgSiO7 :Eu,Dy(青)、SrAl35 (OH):Eu,Dy(青緑)、及びZnGa24 :Mn(緑)からなる群から選択される一種以上を用いた場合には、希土類錯体としてはEu3+、Sm3+、Pr3+、及びHoからなる群から選択される希土類イオン一種以上を用いることが好ましい。
また、長残光発光材料として、ZnS:Cu,Mn,Co(黄橙)、Y22 S:Eu,Mg,Ti(赤)及びGdO2 S:Eu,Mg,Ti(赤)からなる群から選択される一種以上を用いた場合には、希土類錯体としてはTb3+、Er3+、Tm3+、Dy3+、Yb3+、Nd3+、Ce3+、及びGd3+からなる群から選択される一種以上を用いることが好ましい。
<その他の成分>
インキ組成物には、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更にその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、ビヒクルの他、インキに使用されている既知の補助剤、例えば、分散剤、架橋剤、乾燥促進剤、重合禁止剤、ワックス、体質顔料、着色剤、乾燥抑制剤、酸化防止剤、整面助剤、裏移り防止剤、消泡剤、又は界面活性剤等が挙げられる。
(ビヒクル)
ビヒクルは、前記希土類錯体を分散させ、塗布乃至印刷した場合に塗膜形成能力をもつ媒体である。本開示に用いられるビヒクルは、インキに使用されている既知のビヒクル成分、例えば、樹脂、溶剤、光硬化性成分等を含んでよい。
ビヒクルに含まれる樹脂としては、既知の樹脂を適宜選択して用いることができる。例えば、インキに使用されている既知の樹脂を使用してよく、油性インキに含まれる樹脂、又はUVインキに含まれる樹脂を使用してよい。
樹脂は、天然樹脂又は合成樹脂でよく、かつホモポリマー又はコポリマーでよい。油性インキの粘性を確保するためには、樹脂が固形であることが好ましい。天然樹脂としては、例えば、松脂、琥珀、シェラック、ギルソナイト等が挙げられる。
合成樹脂としては、例えば、ロジン、フェノール樹脂、変性アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、石油樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のマレイン酸樹脂、環化ゴム、アクリル樹脂、1液型ウレタン樹脂、2液型ウレタン樹脂、及びその他の合成樹脂が挙げられる。
また、水性インキとする場合には、例えば、水溶性樹脂、コロイダルディスパージョン樹脂、エマルジョン樹脂等を含んでよい。
上記で列挙した樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ビヒクルに含まれる溶剤としては、既知の溶剤を適宜選択して用いることができる。溶剤としては、有機溶剤、乾性油、半乾性油、鉱物油、水等が挙げられる。
ビヒクルに含まれる光硬化性成分としては、既知の光硬化性成分を適宜選択して用いることができる。光硬化性成分は、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤等を含む。
モノマーとしては、従来から光重合に使用されていたエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。また、オリゴマーは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を、オリゴマー化することにより得られる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸系化合物;マレイン酸系化合物;ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリオール系、植物油系化合物等で変性したエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。
光重合開始剤は、例えば紫外線照射によって活性酸素等のラジカルを発生する化合物である。光重合開始剤としては、印刷に使用されている既知の光重合開始剤を適宜選択して含有させればよい。
<インキ組成物における各成分の配合割合>
本開示のインキ組成物は、インキ組成物の固形分全量に対する前記特定の希土類錯体及び前記長残光発光材料の合計の含有割合が、発光強度の点から、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。なお、本開示において固形分とは、溶剤以外の成分をいう。
また、本開示のインキ組成物が含有する前記希土類錯体及び前記長残光発光材料の合計100質量部に対する前記希土類錯体の割合は、希土類錯体と長残光発光材料との組み合わせにより適宜選択されればよく、特に限定されないが、色変化が大きくなり易い点から、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、90質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましい。
本開示のインキ組成物が前記その他の成分を含有する場合は、インキ組成物の固形分全量に対する前記その他の成分に由来する固形分の割合が、発光強度の点から、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
また、本開示のインキ組成物が溶剤を含有する場合、溶剤を含むインキ組成物全量に対する固形分の割合は、印刷方法に応じて適宜調節され、特に限定はされないが、印刷乃至塗布適性の点から、5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
本開示のインキ組成物の製造方法としては、前述した本開示のインキ組成物が得られる方法であれば特に限定はされず、前記希土類錯体、長残光発光材料及びビヒクル等のその他の成分を、任意の順序で混合及び分散することにより、製造することができる。各成分の混合及び分散は、例えば一軸ミキサー及び二軸ミキサー等のミキサーや、例えば3本ローラーミル、ビーズミル、ボールミル、サンドグラインダー及びアトライター等の練肉機(ink mill)により行なうことができる。
以上説明した、本開示のインキ組成物によれば、上記した希土類錯体と、上記した長残光発光材料とを組み合わせて用いることで、励起光の照射により、高い発光強度を得ることができ、また、励起光照射中や照射後において、大きい色変化を得られるため、真贋判定用途、偽造防止用途、各種セキュリティ用途に好適に用いられる。
[印刷物]
本開示の1実施形態の印刷物は、前記本開示の1実施形態のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する、印刷物である。
図1は、本開示に係る印刷物の一例を示す概略断面図である。印刷物1は、基材10の一方の面にインキ層11を有している。インキ層11は、前記本開示の1実施形態のインキ組成物の固化物を含有する層であり、前記本開示の1実施形態のインキ組成物を用いて形成されている。
本開示に係る印刷物1は、単数又は複数のインキ層11を有していてよい。基材10上に複数のインキ層11が設けられている場合には、各インキ層を形成するインキ組成物の組成等は、同じであっても異なっていてもよい。インキ層11としては、任意のパターンを有することができる。
また、本開示の印刷物は、少なくともインキ層11を有し、本開示の効果を損なわない範囲において、必要に応じて更に、前記インキ層11を支持するための基材、及びその他の層を有していてもよい。
<インキ層>
本開示の印刷物1が有するインキ層11は、前記本開示のインキ組成物の固化物を含有するインキ層であり、すなわち、前記本開示のインキ組成物を用いて形成されたインキ層である。
前記本開示のインキ組成物については、前述した通りなので、ここでの説明を省略する。
本開示において、固化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化した物をいう。前記固化物としては、例えば、硬化反応により硬化した硬化物、乾燥により固化した物、熱可塑性樹脂の冷却により固化した物等が挙げられる。
前記インキ層は、例えば、支持体となる基材上に、前記本開示のインキ組成物を塗布し、固化することにより形成することができる。
前記塗布の方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、特に限定はされないが、例えば、フレキソ印刷、活版印刷、オフセット印刷、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷や、一般的な塗布方式、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法 、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法等により、得ることができる。
これらの印刷方式の中でも、印刷物の偽造を防止するためには、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、凹版印刷又はオフセット印刷が好ましい。
前記インキ組成物を固化する方法は、前記インキ組成物が含有する成分に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、前記インキ組成物が溶剤を含有する場合は、乾燥により当該溶剤を除去する方法、前記インキ組成物が光硬化性成分を含有する場合は、光照射により当該光硬化性成分を硬化させる方法、前記インキ組成物が熱硬化性成分を含有する場合は、加熱により当該熱硬化性成分を硬化させる方法、前記インキ組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合は、溶融樹脂を冷却により固化させる方法、及びこれらの方法を組み合わせた方法等が挙げられる。
前記インキ層は、基材の片面又は両面の全体に形成されたものであってもよいし、パターン状に形成されたものであってもよい。
インキ層が、前記本開示のインキ組成物の固化物を含有することは、インキ層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、例えば、ESI-Mass等の質量分析、NMR、IR、ICP発光分析、原子吸光分析、蛍光X線分析、X線吸収微細構造解析(XAFS)、およびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。希土類金属の分析は、例えば島津製作所製、マルチ型ICP発光分析装置 ICPE-9000を用いて行うことができる。
<基材>
前記基材としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等の紙類、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレート等の各種合成樹脂のプラスチックシート、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルム、あるいは基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム(いわゆる合成紙)等が挙げられる。前記基材は、必ずしもフィルム乃至シート状でなくてもよく、立体的な形状を持つ樹脂成形体等であってもよい。
<印刷物の用途>
本開示の印刷物の用途は、特に限定はされないが、本開示に係る印刷物1は、インキ層11において、励起光の照射により、高い発光強度を得ることができ、また、励起光照射中及び照射後において大きい色変化を得られるため、発光色の変化を目視又は検知器等で読み取ることにより、各種の情報管理をすることができる。また、本開示に係る印刷物1は、インキ層の発光の特殊性から、真贋判定性、偽造防止性が高いものである。
印刷物としては、例えば、手形、小切手、株券、社債券、各種証券等の有価証券、銀行券、商品券、交通機関の乗車券、有料施設やイベントの入場券、宝くじ、公営競技の投票券の当たり券、印紙類、クレジットカード等のカード、パスポート、身分証明書、各種商業印刷物、ポスター、等が挙げられる。
(真贋判定方法)
本開示に係る印刷物1についての真贋判定は、以下のようにして行うことができる。
前記本開示の1実施形態のインキ組成物の固化物を含有するインキ層11に励起光源による励起光照射を所定時間行った後、励起光の照射を停止し、励起光の照射中及び励起光照射停止後の、希土類錯体に起因する発光の発光強度と、長残光発光材料に起因する発光の発光強度との強度差を、例えばファイバ光学分光器等の検知器により測定し、その測定値が、規定の値の範囲に入っているか否かで、真贋判定することができる。
また、希土類錯体に起因する発光と、長残光発光材料に起因する発光とが、いずれも可視光領域にある場合には、励起光照射中及び照射停止後の色変化を目視で観察し、その色変化が、既定の色変化と合致するか否かで、真贋判定を行うことができる。
本開示に係る印刷物1についての真贋判定は、以下のようにして行うこともできる。すなわち、本開示の1実施形態の真贋判定方法は、前記本開示の1実施形態のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を摩擦し、その際に生じる摩擦熱によって発光色が変化することにより、真贋判定を行うものである。
前記本開示の1実施形態のインキ組成物の固化物を含有するインキ層11に励起光源による励起光照射を行いながら、インキ層11を、例えば、摩擦部を有する摩擦具によって摩擦すると、摩擦した部位のみは、摩擦する際に生じる摩擦熱によって、希土類錯体に起因する発光の発光強度と、長残光発光材料に起因する発光の発光強度との強度差が変化する。このような熱により制御される発光強度の強度差を、上記した検知器により測定し、その測定値が、規定の値の範囲に入っているか否かで、真贋判定することができる。
また、希土類錯体に起因する発光と、長残光発光材料に起因する発光とが、いずれも可視領域にある場合には、これらの発光強度の強度差の変化を、発光色の色変化として目視で確認することができる。
例えば、希土類錯体として赤色発光体を含有し、長残光発光材料として緑色の長残光発光材料を含有するインキ組成物の固化物を含有し、励起光(UV光)を照射すると室温で黄色を示すインキ層の表面を、励起光を照射しながら摩擦すると、摩擦熱によって摩擦部位が瞬間的に加熱され、長残光発光材料の捕獲中心にトラップされていた電子や正孔といったキャリアが急速に解放され、発光中心に移動し発光する。これにより、インキ層は緑色を呈し、次いで発光に伴うエネルギー放出により長残光発光材料の緑色光が消失すると、インキ層は赤色を呈する。このインキ層に対してさらに励起光の照射を継続すると、長残光発光材料にエネルギーが徐々に供給されることで、長残光発光材料が再び発光し、インキ層は黄色を呈する。次いで、励起光照射を停止すると、インキ層は緑色の残光を呈する。上記した発光色の色変化を目視で確認することで、真贋判定を行うことができる。
なお、長残光発光材料による緑色光が消失し、インキ層が赤色を呈した時点で励起光の照射を停止した場合には、長残光発光材料に発光を引き起こすキャリアが捕獲中心にトラップされていないため、励起光照射停止後の残光は得られない。
このような真贋判定方法に用いるインキ組成物の希土類錯体として、上記した発光強度の高い希土類錯体を用いることで、摩擦等による加熱により長残光発光材料が一旦発光し次いで消光した際に、希土類錯体による発光を高強度で得ることができる。このため、視認性に優れており、優れた真贋判定性を有する。
インキ層を摩擦するための用具としては、摩擦することによって、摩擦熱が生じる摩擦部を有する摩擦具を用いればよい。例えば、摩擦部としては、例えば、低摩耗性の弾性材料からなるものが挙げられ、例えば市販の熱変色性筆記具のラバー部分などの摩擦部を用いてもよい。
以上説明した本開示の印刷物によれば、インキ層において、励起光の照射により、高い発光強度を得ることができ、また、励起光照射中及び照射後において、発光強度の強度差の変化を大きく得ることができる。また、本開示の印刷物によれば、励起光照射停止後においても、発光強度の確認の時間を十分に確保することができる。このため、真贋判定を、高い精度で行うことができ、偽造防止性を向上させることができる。
下記IR測定は、日本光学社製、FT/IR-4600を用いて行った。
下記H-NMR測定は、日本電子社製、ESC400(400MHz)を用いて行い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として化学シフトを決定した。
下記ESI-Mass測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Thermo Scientic Exactiveを用いて行った。
下記元素分析において、有機微量元素分析は、エグゼター・アナリティカル社製、CE440を用いて行った。
(合成例1:1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル(dpbp)の合成)
100mLの三口フラスコをフレームドライして、内部をアルゴンガスで置換した。この三口フラスコに、1.9g(6.0mmol)の4,4’-ジブロモビフェニル及び30mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、液体窒素/エタノールで約―80℃に冷却した。この溶液に、9.3mL(15mmol)の1.6Mのn-ブチルリチウムヘキサン溶液をシリンジでゆっくり添加した。この添加は、約15分かけて行い、この間、黄色の析出物が生成した。この溶液を-10℃で3時間攪拌した。次に、溶液を再び-80℃に冷却した後、2.7mL(15mmol)のジクロロフェニルホスファイドを滴下し、14時間攪拌させながら徐々に室温に戻した。その後、反応を止め、酢酸エチルで抽出を行った。得られた溶液を飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレータで溶媒を留去した。得られた粗生成物を、アセトン及びエタノールで複数回洗浄することにより精製し、白色の粉末を得た。
次に、上記で得られた白色の粉末及び約40mLのジクロロメタンをフラスコに入れ、この溶液を0℃に冷却し、そこに30%の過酸化水素水(約5mL)を加えた。この混合物を、2時間攪拌した。生成物をジクロロメタンで抽出した後、抽出液を飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、エバポレータで溶媒を留去して、白色の粉末を得た。この白色の粉末をジクロロメタンで再結晶して、1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニルの白色の結晶を得た。白色の結晶の分析結果は以下の通りであった。
IR(ATR):1119(st、P=O)cm-1
H-NMR(400MHz,CDCl,25℃)δ7.65-7.80(m、16H;P-C,C),7.43-7.60(m、12H;P-C,C)ppm.
ESI-Mass(m/z)=555.2[M+H]
元素分析:(C3628の計算値):C,77.97;H,5.09%、(実測値):C,77.49;H,5.20%
(合成例2:Eu錯体ポリマー(化合物1)の合成)
Eu(III)イオンの原料である酢酸ユーロピウムと、1,1,1,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオンとを混合して、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト(hfa))ユーロピウム(III)2水和物を合成した。
次いで、このトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)2水和物1当量と、前記合成例1で得た1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル1当量とを、メタノール(20mL)に溶解した。この溶液を8時間攪拌しながら還流した。その後、反応溶液中に析出した白色紛体をろ別し、メタノールで複数回洗浄した後、減圧乾燥することで、下記化学式で表されるEu錯体ポリマー[Eu(hfa)(dpbp)](化合物1)を得た。
なお、得られた生成物が、下記化学式で表されるEu錯体ポリマー(化合物1)であることは、IRと元素分析により確認した。分析結果を以下に示す。
IR(ATR):1652(st,C=O)、1250(st,C-F)、1122(st,P=O)cm-1
ESI-Mass(m/z)=1675.2 [Eu(hfa)(dpbp)、1905.2 [[Eu(hfa)(dpbp)]+ Na ]
元素分析:([C5131EuF18の計算値)、C,46.14;H,2.35%、(実測値)、C,46.10;H,2.17%
Figure 0007156289000011
(合成例3:Eu錯体(化合物2)の合成)
前記合成例2と同様の方法により合成したトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト(hfa))ユーロピウム(III)、及び、トリフェニルホスフィンオキサイド(TPPO)を含むメタノール溶液を準備し、この溶液を還流しながら12時間攪拌した。その後、メタノールを減圧留去により取り除き、白色粉体を得た。この粉体をトルエンで洗浄し、未反応のトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)を吸引ろ過により取り除いた後、トルエンを減圧留去した。得られた生成物をヘキサンで洗浄し、粉体を得た後、さらにトルエン、ヘキサンの混合溶媒により再結晶を行うことにより精製して、下記化学式で表されるEu錯体(化合物2)を得た。
なお、得られた生成物が、下記化学式で表されるEu錯体[Eu(hfa)3(TPPO)2](化合物2)であることは、IRと元素分析により確認した。分析結果を以下に示す。
IR(ATR):1652(st,C=O)、1251(st,C-F)、1121(st,P=O)cm-1
ESI-Mass(m/z)=1123.1[Eu(hfa)2(TPPO)2]、1353.1[[Eu(hfa)3(TPPO)2]+Na]
元素分析:([C5133EuF18の計算値)、C,46.07;H,2.50%、(実測値)、C,46.10;H,2.34%
Figure 0007156289000012
(実施例1)
(1)インキ組成物の製造
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を10重量部と、残光性材料として、長残光発光材料1(GLL-300FF、ネモトルミマレリアル製、SrAl:Eu,Dy)を90重量部とを、混合して、発光粉末混合物1を得た。なお、当該長残光発光材料1は、下記の評価方法で励起光停止後の残光時間を測定したところ5秒以上の残光時間を有し、1秒以上のものであった。
発光粉末混合物1を30重量部と、ビヒクルとして、紫外線硬化型ビヒクル(商品名 UV BF SG A メジウム、DICグラフィックス製)を70重量部とを、3本ロールにて混練することでインキ組成物1を得た。
(2)印刷物の製造
得られたインキ組成物1をバーコーターで印刷紙に塗布した後、紫外線照射により光硬化することで、インキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する、実施例1の印刷物を得た。
(実施例2)
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を30重量部と、残光性材料として、長残光発光材料1を70重量部とを混合して、発光粉末混合物2を得た。発光粉末混合物1を、発光粉末混合物2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インキ組成物2を得た。
得られたインキ組成物2を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
(実施例3)
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を50重量部と、長残光発光材料1を50重量部とを混合して、発光粉末混合物3を得た。発光粉末混合物1を、発光粉末混合物3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インキ組成物3を得た。
得られたインキ組成物3を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
(実施例4)
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を70重量部と、長残光発光材料1を30重量部とを混合して、発光粉末混合物4を得た。発光粉末混合物1を、発光粉末混合物4に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インキ組成物4を得た。
得られたインキ組成物4を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
(実施例5)
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を、前記特定の希土類錯体(合成例2の化合物2)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、発光粉末混合物5を得た。発光粉末混合物1を発光粉末混合物5に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インキ組成物5を得た。
得られたインキ組成物5を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
(実施例6)
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を、前記特定の希土類錯体(合成例2の化合物2)に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、発光粉末混合物6を得た。発光粉末混合物2を、発光粉末混合物6に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、インキ組成物6を得た。
得られたインキ組成物6を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
(実施例7)
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を、前記特定の希土類錯体(合成例2の化合物2)に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、発光粉末混合物7を得た。発光粉末混合物3を、発光粉末混合物7に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、インキ組成物7を得た。
得られたインキ組成物7を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
(実施例8)
赤色発光体として、前記特定の希土類錯体(合成例1の化合物1)を、前記特定の希土類錯体(合成例2の化合物2)に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、発光粉末混合物8を得た。発光粉末混合物4を、発光粉末混合物8に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、インキ組成物8を得た。
得られたインキ組成物8を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
(実施例9)
赤色発光体として、赤色発光希土類錯体(下記化学式で表される化合物3、Eu(TTA)Phen、東京化成製)を1重量部と、長残光発光材料1を99重量部とを、混合して、発光粉末混合物9を得た。発光粉末混合物1を、発光粉末混合物9に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インキ組成物9を得た。
得られたインキ組成物9を用いて、実施例1と同様にして、印刷物を得た。
Figure 0007156289000013
(比較例1)
赤色発光体として、化合物1を、赤色発光無機酸化物(化合物4、D1124、ネモトルミマテリアル製、YS:Eu)に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、発光粉末混合物10を得た。発光粉末混合物2を、発光粉末混合物10に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、インキ組成物10を得た。
得られたインキ組成物10を用いて、実施例1と同様にして印刷物を得た。
(比較例2)
赤色発光体として、化合物1を、赤色発光無機酸化物(化合物4)に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、発光粉末混合物11を得た。発光粉末混合物3を、発光粉末混合物11に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、インキ組成物11を得た。
得られたインキ組成物11を用いて、実施例1と同様にして印刷物を得た。
(比較例3)
赤色発光体として、化合物1を、赤色発光無機酸化物(化合物4)に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、発光粉末混合物12を得た。発光粉末混合物4を、発光粉末混合物12に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、インキ組成物12を得た。
得られたインキ組成物12を用いて、実施例1と同様にして印刷物を得た。
(比較例4)
残光性材料として、長残光発光材料1を、短残光発光材料1(D1164、ネモトルミマテリアル製、BaMgAl1627:Eu,Mn)に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、発光粉末混合物13を得た。なお、当該短残光発光材料1は、下記の評価方法で励起光停止後の残光時間を測定したところ40ミリ秒以下であった。
発光粉末混合物3を、発光粉末混合物13に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、インキ組成物13を得た。得られたインキ組成物13をバーコーターで印刷紙に塗布した後、紫外線照射により光硬化することでインキ層を形成し、印刷物を得た。
(比較例5)
残光性材料として、長残光発光材料1を、短残光発光材料1に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、発光粉末混合物14を得た。発光粉末混合物4を、発光粉末混合物14に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、インキ組成物14を得た。得られたインキ組成物14をバーコーターで印刷紙に塗布した後、紫外線照射により光硬化することでインキ層を形成し、印刷物を得た。
(参考例:赤色発光印刷物(発光強度の基準サンプル))
発光粉末混合物1を、赤色発光無機酸化物(ネモト・ルミマテリアル製の品名D1124)100重量部からなる発光粉末混合物15に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インキ組成物15を得た。得られたインキ組成物15をバーコーターで印刷紙に塗布した後、紫外線照射により光硬化することでインキ層を形成し、赤色発光印刷物(発光強度の基準試料)を得た。
(評価)
<発光スペクトル測定>
実施例1~9及び比較例1~5の各印刷物に形成されたインキ層について、小型ファイバ光学分光器(USB2000+、オーシャンオプティクス製)を用いて、ハンディーUVランプ(SLUV―6、アズワン製)にて波長365nmの励起光(UV光)を照射して励起させた状態での発光スペクトルを測定した。
このうち、実施例2及び比較例3で得られた各インキ層について、UV照射直後、UV照射5秒後及びUV照射停止後の発光スペクトルを、それぞれ図2~7に示す。なお、図2~図7に示すグラフは、いずれも、横軸は波長(nm)であり、縦軸は相対強度である。
実施例2について、UV照射直後(図2)では、強い赤色発光(613nm)と非常に弱い緑色発光(520nm)が確認され、UV照射5秒後(図3)では、強い赤色発光(613nm)と強い緑色発光(520nm)が確認され、UV照射停止後(図4)では、弱い緑色発光(520nm)のみが確認された。
一方、比較例3の発光スペクトルは、UV照射直後(図5)、UV照射5秒後(図6)UV照射停止後(図7)のいずれも、実施例2の発光スペクトルと比較して、強度が低下していることが確認された。
<色変化>
実施例1~9及び比較例1~5の各印刷物に形成されたインキ層について、ハンディーUVランプSLUV―6(アズワン製)用いて、365nmの励起光を照射し、5秒間維持した後、UV照射を停止した。UV照射直後、UV照射後5秒後、UV照射停止後の、各インキ層の色変化を目視で観察した。また、UV照射後5秒後の時点での各インキ層の発光強度を、目視で確認した。評価結果を表1に示す。
<発光強度>
参考例で得られた赤色発光印刷物(発光強度の基準サンプル)のインキ層並びに実施例1~9及び比較例1~5で得られた印刷物のインキ層について、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用い、波長365nmで励起して発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルの390~720nmにおける発光ピーク面積から、下記評価基準により発光強度を評価した。評価結果を表1に示す。
[発光強度の評価基準]
A:基準サンプル(参考例の赤色発光印刷物)の発光ピーク面積に対して、発光ピーク面積が200%以上
C:基準サンプル(参考例の赤色発光印刷物)の発光ピーク面積に対して、発光ピーク面積が200%未満
<残光時間測定>
長残光発光材料1(GLL-300FF、ネモトルミマテリアル製)及び短残光発光材料1(D1164、ネモトルミマテリアル製)の粉末について、分光蛍光光度計(日本分光製、FP-6600)の「燐光寿命測定プログラム」を用いて残光時間を測定した。励起波長を365nmとし、励起側のシャッタを閉じて励起光照射を停止すると同時に測定を開始し、発光強度値が測定開直後における最大発光強度値の0.01%以下になるまでの時間を残光時間とした。検出波長は各サンプルの発光スペクトルの極大発光ピーク波長とした。
Figure 0007156289000014
<発光強度が最大となる波長>
化合物1:613nm
化合物2:617nm
化合物3:612nm
化合物4:626nm
長残光発光材料1:521nm
短残光発光材料1:513nm
実施例1~9では、赤色発光体として、本開示の特定の希土類錯体である化合物1、化合物2、又は化合物3と、長残光発光材料である長残光発光材料1とを組み合わせることで、発光強度が高く、かつUV照射中及びUV照射後に、目視で十分に認識可能な色変化を得ることができ、視認性に優れたインキ層を得ることができた。これは、長残光発光材料が、発光強度が飽和するまでに一定時間の猶予を要し、また、1秒以上の残光時間を有するため、これを上記した高発光強度の化合物1、化合物2又は化合物3と組み合わせることで、UV照射直後、UV照射中及びUV照射停止後において、複数の波長領域間で、大きい発光強度差を得ることができ、この発光強度差を、UV照射中及びUV照射停止後の色変化として目視で認識することが可能となるためである。
比較例1~3で用いた、赤色発光無機酸化物である化合物4は、発光強度が小さいため、長残光発光材料との配合比率を、実施例2~4と同様の発光色となるように組み合わせると、発光強度が低下し、視認性に劣る結果となった。また、比較例5及び比較例6では、短残光発光材料1の残光時間が1秒未満と短いため、UV照射中及びUV照射後において、インキ層の色変化を目視で確認することが困難であった。
<発光色の摩擦熱による色変化の確認>
得られた実施例および比較例の印刷物のインキ層について、ハンディーUVランプ(SLUV―6、アズワン製)を用い365nmで励起した発光状態における摩擦熱による色変化を観察した。摩擦熱はインキ層表面を、FRIXION BALL(登録商標、パイロット社製)のラバー部分で擦ることにより生じさせた。一般に前記ラバー部分で擦ることによって生じる摩擦熱は60~80℃と言われている。
その結果、実施例の印刷物のインキ層は、摩擦直後に一瞬緑色が濃くなり、その後赤色に変化し、更にUVを照射し続けると、UV照射直後及びUV照射5秒後の色に変化していくことが明らかにされた。
比較例1~3の印刷物のインキ層も、摩擦直後に一瞬緑色が濃くなり、その後赤色に変化するという色変化が確認できたものの、実施例のインキ層を摩擦した場合の色変化に比べて、視認性が低いものであった。なお、残光性材料と発光体とを含むインキ層を摩擦することによって色変化を確認できることは、従来知られていなかった。
1 印刷物
10 基材
11 インキ層

Claims (3)

  1. Eu3+
    1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル配位子、トリフェニルホスフィンオキシド配位子、及びフェナントロリン配位子からなる群から選択される少なくとも1種の有機配位子と、
    下記一般式(4)で表されるβ-ジケトン配位子の少なくとも1種と、
    を含む希土類錯体と、
    SrAl :Eu,Dy、Sr Al 14 25 :Eu,Dy、及びCaAl :Eu,Ndからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する励起光照射停止後の残光時間が1秒以上である長残光発光材料と、を含むセキュリティ用インキ組成物。
    Figure 0007156289000015
    (一般式(4)中、Q は、トリフルオロメチル基であり、Q は、フェニル基、チエニル基、メチルチエニル基、フラニル基、ピリジル基、または、トリフルオロメチル基であり、Zは水素原子である。)
  2. 前記希土類錯体は、1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル配位子を含み、当該1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル配位子が、二つの前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含む、請求項1に記載のインキ組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する印刷物。
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