JP7081602B2 - インキ組成物、及び印刷物 - Google Patents

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Description

本開示は、インキ組成物、及び印刷物に関する。
銀行券、有価証券、パスポート、身分証明書、印紙類、回数券、各種チケット等のようにセキュリティが必要とされる印刷物には、偽造や改ざんを防止すること、偽造品と真正品とを識別するために、真贋判定、偽造防止要素の付与が不可欠となっている。
近年はプリンタやスキャナといった電子機器の普及に伴い、有価証券等の無許可複製が横行している。このような偽造の被害が、社会問題化しており、偽造技術は巧妙を極める一方であることから、高度な真贋判定、偽造防止の技術の開発が急務となっている。
例えば、特許文献1にあるように、高度な偽造防止技術として、ホログラムを使用した印刷物があるが、製造コストが高く、単価の低い印刷物への使用には不向きである。また、特許文献2にあるように、可視光では目視不可能で、可視光以外の一定波長の光で蛍光を発する蛍光インキの印刷がされたものが提案されている。
一方で、特許文献3には、プラスチック材料に配合して成形加工するために十分な耐熱性を有する蛍光体として、三価の希土類イオンと、ホスフィンオキシド多座配位子と、をそれぞれ複数含み、前記ホスフィンオキシド多座配位子が複数の前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含む、希土類錯体ポリマーが開示されている。
特開平6-278396号公報 特開平6-297888号公報 国際公開第2012/150712号
特許文献2のように、可視光では目視不可能で、可視光以外の一定波長の光で蛍光を発する蛍光発光によるセキュリティマーキングは、品物の美観や意匠を損ねない点から好ましいものである。しかし、近年、発光体や蛍光インキ等が比較的容易に入手可能な状況にあることから、偽造防止効果が薄いことが問題となっている。偽造防止効果を高める手段として、インキ発光色を偽造し難い所望の色に制御し、偽造を困難にすることが考えられる。また、当該所望の色に制御されたインキ発光色によって発光パターンに意匠性を付加することで、偽造を困難にすることが考えられる。しかし、従来の蛍光インキでは、高い発光強度を有しながら、発光色を所望の色に制御することが困難であるため、偽造防止効果を高めることが困難である。
また、従来の蛍光インキは、自然光に長時間曝されることによって発光色が変化したり、発光強度が低下してしまう場合があり、耐光性の向上が求められている。特にセキュリティが必要とされる印刷物に用いられるインキは、実使用上、高い発光強度を有する必要があるが、高い発光強度を有する有機系発光材料を含むインキほど発光色が変化しやすい傾向があった。そのため、セキュリティが必要とされる印刷物に用いられるインキは、実使用上、高い発光強度を有しながら、発光色の変化を抑制する、優れた耐光性が求められている。
本開示の実施形態は、発光強度に優れた所望の発光色を実現し、耐光性に優れるインキ層を形成可能なインキ組成物、及び発光強度に優れた所望の発光色を実現し、耐光性に優れるインキ層を有する、印刷物を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+及びDy3+からなる群から選ばれる1種の三価の希土類イオンと、下記一般式(1)で表され、前記希土類イオンに配位するホスフィンオキシド配位子と、を含む希土類錯体と、
前記希土類錯体とは異なる発光材料とを含有し、
前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)と、前記発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)との差の絶対値が50nm以上である、インキ組成物を提供する。
Figure 0007081602000001

[一般式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基である。一般式(1)中、Arは、下記一般式(2a)、(2b)又は(2c)で表される二価の基であり、nは1又は2である。
Figure 0007081602000002

(一般式(2a)~(2c)中、Rは、それぞれ独立に、一価の置換基であり、Xは、硫黄原子又は酸素原子であり、Rは、水素原子又は炭化水素基であり、mは、0から、Rが結合する環における置換可能な部位までの整数である。Rが複数ある場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
一般式(1)中、Eは、水素原子又は下記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基である。
Figure 0007081602000003

(一般式(3)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基である。ArとAr、及びArとArは、互いに直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。)]
本開示の1実施形態においては、前記ホスフィンオキシド配位子は、二座配位子であり、
前記希土類錯体は、該ホスフィンオキシド配位子が二つの前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含む、インキ組成物を提供する。
本開示の1実施形態においては、前記希土類錯体が、下記一般式(4)で表され、前記希土類イオンに配位する配位子をさらに含む、インキ組成物を提供する。
Figure 0007081602000004

(一般式(4)中、Q及びQは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族複素環基であり、Zは水素原子又は重水素原子である。)
本開示の1実施形態においては、発光色が白色である、インキ組成物を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する、印刷物を提供する。
本開示の実施形態によれば、発光強度に優れた所望の発光色を実現し、耐光性に優れるインキ層を形成可能なインキ組成物、及び発光強度に優れた所望の発光色を実現し、耐光性に優れるインキ層を有する、印刷物を提供することができる。
本開示に係る印刷物の一例を示す概略断面図である。 実施例1の印刷物の白色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例2の印刷物の白色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例7の印刷物の白色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例8の印刷物の白色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較例1の印刷物の白色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較例2の印刷物の白色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例3の印刷物の黄色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例4の印刷物の黄色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例9の印刷物の黄色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例10の印刷物の黄色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較例3の印刷物の黄色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較例4の印刷物の黄色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例5の印刷物の紫色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例6の印刷物の紫色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例11の印刷物の紫色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 実施例12の印刷物の紫色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較例5の印刷物の紫色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較例6の印刷物の紫色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 基準サンプルの発光スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体1の単色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体2の単色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体3の単色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体4の単色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較赤色希土類錯体1の単色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 比較赤色発光無機酸化物の単色発光インキ層の発光スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体1の単色発光インキ層の励起スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体2の単色発光インキ層の励起スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体3の単色発光インキ層の励起スペクトルを示す図である。 赤色希土類錯体4の単色発光インキ層の励起スペクトルを示す図である。 比較赤色希土類錯体1の単色発光インキ層の励起スペクトルを示す図である。 比較赤色発光無機酸化物の単色発光インキ層の励起スペクトルを示す図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定が無い限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
1.インキ組成物
本開示のインキ組成物は、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+及びDy3+からなる群から選ばれる1種の三価の希土類イオンと、下記一般式(1)で表され、前記希土類イオンに配位するホスフィンオキシド配位子と、を含む希土類錯体と、
前記希土類錯体とは異なる発光材料とを含有し、
前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)と、前記発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)との差の絶対値が50nm以上である、インキ組成物である。
Figure 0007081602000005

[一般式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基である。一般式(1)中、Arは、下記一般式(2a)、(2b)又は(2c)で表される二価の基であり、nは1又は2である。
Figure 0007081602000006

(一般式(2a)~(2c)中、Rは、それぞれ独立に、一価の置換基であり、Xは、硫黄原子又は酸素原子であり、Rは、水素原子又は炭化水素基であり、mは、0から、Rが結合する環における置換可能な部位までの整数である。Rが複数ある場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
一般式(1)中、Eは、水素原子又は下記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基である。
Figure 0007081602000007

(一般式(3)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基である。ArとAr、及びArとArは、互いに直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。)]
従来のインキ組成物では、異なる種類の発光材料を混色させる場合、発光強度が不十分な発光材料を含むことにより、混色後の発光色の発光強度を高めようとすると、所望の発光色を実現することが難しく、一方で、所望の発光色を得ようとすると、混色後の発光色の発光強度が低下してしまい、高い発光強度を有しながら、所望の発光色を得ることは困難であった。また、従来のインキ組成物は、自然光に長時間曝されると発光色が変化したり、発光強度が低下してしまう場合があり、耐光性が不十分であった。
それに対し、本開示のインキ組成物は、前記特定の希土類錯体と、当該希土類錯体とは異なる前記発光材料とを含有することにより、発光強度に優れた所望の発光色を実現し、耐光性に優れるインキ層を作成することができる。
本開示のインキ組成物が含有する前記特定の希土類錯体は、ホスフィンオキシドが希土類金属に配位した構造を有することにより、発光強度に優れ、希土類金属を適宜選択することにより、赤、緑又は青の発光色とすることができる。ホスフィンオキシドは、低振動なP=O骨格を含むことから、希土類金属へ配位させると、希土類金属が受け取ったエネルギーを振動失活させないように機能し、発光効率を向上し、発光強度を向上すると考えられる。前記特定の希土類錯体が、発光強度に優れた赤、緑又は青の発光色を示すことができるため、前記特定の希土類錯体に、当該希土類錯体とは異なる色を示す発光材料を組み合わせて含有することにより、本開示のインキ組成物は、光の三原色での蛍光発光が可能となり、発光強度に優れた所望の発光色を実現することができる。本開示のインキ組成物は、高い発光強度を有しながら、発光色を所望の色に制御することができるため、本開示のインキ組成物を用いると、偽造防止性の高い発光色も実現可能であり、発光パターンに意匠性を付加可能であり、高い偽造防止性や高い意匠性を有する印刷物を作成可能である。
また、本開示のインキ組成物は、前記特定の希土類錯体が、配位子に化学的に安定な5価のリン化合物であるホスフィンオキシドを有することから、耐光性に優れるため、本開示のインキ組成物を用いることにより、耐光性に優れるインキ層を作成することができる。また、特に、二座ホスフィンオキシド配位子で得られる錯体ポリマーに関しては、強固な分子間相互作用により有機溶媒に不溶な固体粒子として得られるため、有機溶媒に可溶な通常の錯体と比較してインク組成物中での分散状態が異なることから、耐光性がより優れると推測される。具体的には、通常の錯体は、インク組成物において成分中に溶けて分子状態として存在するため、光の影響を受けやすく錯体分子の光劣化の進行が速いのに対し、二座ホスフィンオキシド配位子で得られる錯体ポリマーは、インク組成物において成分中に溶けず固体粒子として分散されているため、印刷物にした際に、光劣化は粒子表面のみで起き、光劣化の進行が抑制されると推定される。
印刷物の耐光性が高まることで、実使用に耐え得るインキ層となり、例えば、手形、小切手、株券、社債券、各種証券等の有価証券、銀行券、商品券、交通機関の乗車券、有料施設やイベントの入場券、宝くじ、公営競技の投票券の当たり券、印紙類、クレジットカード等のカード、パスポート、身分証明書、各種商業印刷物、ポスターなどの幅広い用途での使用が可能となる。
なお、前記耐光性の光には、太陽光や、LED照明、蛍光灯などの室内照明が包含される。
また、インキ組成物に含まれる前記特定の希土類錯体及び発光材料の励起光としては、可視光線以外の電磁波が挙げられ、例えば、紫外線、赤外線等が挙げられる。
本開示のインキ組成物は、少なくとも希土類錯体と、前記希土類錯体とは異なる発光材料とを含有し、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更にその他の成分を含有していてもよい。
<希土類錯体>
本開示のインキ組成物が含有する希土類錯体は、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+及びDy3+からなる群から選ばれる1種の三価の希土類イオンと、前記一般式(1)で表され、前記希土類イオンに配位するホスフィンオキシド配位子と、を含む。
前記三価の希土類イオンは、所望の発光色が得られるように適宜選択されるが、中でも、発光効率に優れ、発光強度が高い点から、Eu3+又はTb3+が好ましく、Eu3+がより好ましい。従来、特に赤色の発光色を示す発光材料の発光強度が不十分な場合が多く、所望の色の実現が困難であったが、前記三価の希土類イオンがEu3+である場合には、発光強度が高く、色純度の高い赤色の発光色を得ることができ、所望の発光色を実現し易くなる。
前記一般式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基である。当該芳香族基は一価の芳香族基であっても良い。一価の芳香族基とは、リン原子との結合手を一つ有する芳香環からなる基であり、この芳香環は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、リン原子との結合部位以外において更に置換基を有していてもよい。前記芳香環としては、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環が挙げられ、例えば、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基、及び環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基が挙げられる。前記芳香環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フェナントレン環、ジベンゾ[c,g]フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環等が挙げられる。また、置換基としては、炭素数1以上20以下の炭化水素基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基、ホスフィンオキシド基等が挙げられる。Ar及びArを構成する芳香環が、置換基としてホスフィンオキシド基を有する場合は、この部分において希土類イオンに配位してもよい。
前記Ar及びArの好ましい具体例としては、例えば、下記一般式(5)で表される基が挙げられる。
Figure 0007081602000008

(一般式(5)中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下の炭化水素基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基又はメルカプト基を示す。)
前記一般式(1)中、Arは、前記一般式(2a)、(2b)又は(2c)で表される二価の基であり、中でも、発光強度及び耐光性の点から、前記一般式(2a)で表される二価の基であることが好ましい。
前記一般式(2a)、(2b)及び(2c)中、Rは、一価の置換基であり、例えば、炭素数1以上20以下の炭化水素基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基等が挙げられる。
前記一般式(2b)中、Xは、硫黄原子又は酸素原子である。
前記一般式(2c)中、Rは、水素原子又は炭化水素基であり、当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよいが、中でも、芳香族炭化水素基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
前記一般式(2a)、(2b)及び(2c)中、mは、0から、Rが結合する環における置換可能な部位までの整数であり、中でも、0以上2以下の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
前記一般式(1)中、nは1又は2であり、Arが前記一般式(2c)で表される二価の基である場合、nは1であることが好ましい。
前記一般式(1)中、Eは、水素原子又は前記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基である。前記一般式(1)中、Eが前記一般式(3)で表されるホスフィンオキシド基であると、前記一般式(1)で表される前記ホスフィンオキシド配位子が二座配位子となり、該ホスフィンオキシド配位子が二つの前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含む希土類錯体を形成することができる。このような希土類錯体は、中でも耐光性、及び耐溶剤性にも優れる点から好ましいものである。
前記一般式(3)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基であり、例えば、前記一般式(1)におけるAr及びArと同様のものが挙げられる。また、Ar及びArと同様に、Ar及びArを構成する芳香環が、置換基としてホスフィンオキシド基を有する場合は、この部分において希土類イオンに配位してもよい。更に、ArとAr、及びArとArは、互いに直接結合していてもよく、また、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基等の二価の有機基からなる連結基を介して結合していてもよい。
前記希土類錯体は、安定な錯体構造を取る観点から、前記希土類イオンに配位するその他の配位子をさらに含むことが好ましい。その他の配位子としては、多座配位子が好ましく、中でも、吸光係数が高いため、励起光のエネルギーを配位した希土類イオンへ効率よく供給することができ、発光強度を向上する点から、β-ジケトン配位子が好ましく、アセチルアセトナート又はその誘導体からなる配位子がより好ましい。前記その他の配位子として好ましく用いられるものとしては、例えば、下記一般式(4)で表される配位子が挙げられる。
Figure 0007081602000009

(一般式(4)中、Q及びQは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族複素環基であり、Zは水素原子又は重水素原子である。)
前記一般式(4)中のQ及びQとしては、中でも、発光強度の点から、置換基を有していてもよい炭化水素基を含むことが好ましい。
前記一般式(4)中のQ及びQにおいて、炭化水素基とは、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、及びこれらの組合せが挙げられ、前記脂肪族炭化水素基としては、飽和、若しくは不飽和の、直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数6以上14以下の芳香族炭化水素基が更に挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ジベンゾ[c,g]フェナントリル基等が挙げられる。
また、前記脂肪族炭化水素基のうち、飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1以上20以下の飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、炭素数1以上10以下の飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が更に挙げられる。このような飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のアルキル基やシクロアルキル基が挙げられる。
また、前記脂肪族炭化水素基のうち、不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数2以上20以下の不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、炭素数2以上10以下の不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。このような不飽和の直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、イソプロぺニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2-エチルヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニシル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、及びアルキニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の組合せとしては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等のアラルキル基が挙げられる。
前記炭化水素基としては、中でも、発光強度の点から、前記脂肪族炭化水素基を含むことが好ましく、直鎖、分岐、又は環状のアルキル基を含むことが更に好ましい。
一方で、前記脂肪族炭化水素基がアルケニル基である場合は、当該アルケニル基を重合させて高分子化した希土類金属錯体を得ることができる。
また、前記脂肪族炭化水素基は、発光強度の点から、炭素数が10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
前記一般式(4)中のQ及びQにおける、芳香族複素環基としては、環形成炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が挙げられ、更に環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基が挙げられ、より更に4員環から7員環の芳香族複素環基が挙げられる。このような芳香族複素環基としては、例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
前記一般式(4)中のQ及びQとしては、中でも、励起光照射に用いられる紫外線ランプやLED光源の波長(例えば、350nm以上400nm以下)に対する感度が高くなる点から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、及び置換基を有していてもよい芳香族複素環基からなる群から選択する少なくとも1種を含むことが好ましい。印刷物のインキ層中に含まれる希土類錯体は、インキ層中に比較的低い濃度で含まれる傾向となるため、実使用上、励起光に対する感度は高い方が好ましい。
前記炭化水素基、及び前記芳香族複素環基は、必要に応じて重水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br及びI)、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基及びメルカプト基などの置換基を有していてもよい。また、前記炭化水素基、及び前記芳香族複素環基は、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、炭素数1~10のアルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基などの置換基を有していてもよい。
更に、前記芳香族炭化水素基、及び前記芳香族複素環基は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基で置換されていても良い。
前記一般式(4)中のQ及びQにおける前記炭化水素基及び前記芳香族複素環基としては、中でも、置換基として、ハロゲン原子を有し、C-X(Xはハロゲン原子:F、Cl、Br又はI)結合を有する場合には、低振動の骨格になることから、当該構造を含むと、希土類金属が受け取ったエネルギーを振動失活させないように機能し、発光効率を向上し、発光強度を向上する点から好ましく、また、結晶性が良好になる点からも好ましい。
及びQとしては、それぞれ独立に、中でも、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上20以下のパーハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基、炭素数6以上22以下のパーハロゲン化芳香族炭化水素基、環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基、及び、環形成炭素数2以上10以下のパーハロゲン化芳香族複素環基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、炭素数3以上6以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上20以下のパーハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基、及び環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
前記一般式(4)中のZは、水素原子Hであっても重水素原子Dであってもよいが、水素原子Hであることが好ましい。ZがHである一般式(1)の希土類錯体に、重水素化剤を作用させて、重水素置換反応することにより、一般式(1)の希土類錯体の重水素化錯体(Zが重水素原子Dである錯体)を得られる。
そのような重水素化剤は、例えば、重水素を含むプロトン性化合物、具体的には、重水;重水素化メタノール及び重水素化エタノールなどの重水素化アルコール;重塩化水素;及び重水素化アルカリなどを含む。重水素置換反応を促進するために、トリメチルアミン及びトリエチルアミンなどの塩基剤及び添加剤を加えてもよい。
β-ジケトン配位子としては、例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(2-フラニル)-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(3-ピリジル)-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-フェニル-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-{5-(2-メチルチエニル)}-1,3-ブタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(2-ナフチル)-1,3-ブタンジオン、及び2,2-ジメチル-6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-3,5-オクタンジオン等のβ-ジケトンから誘導される配位子等が挙げられる。
前記希土類錯体は、1つの希土類イオンにそれぞれ1つの部位で配位している2つのホスフィンオキシド配位子と、当該希土類イオンにそれぞれ2つの部位で配位している2つ以上の上記一般式(4)で表される配位子とにより、7配位以上の配位数の配位構造を形成していることが好ましい。
前記希土類錯体は、中でも、互いに異なる構造を有する2種以上の、前記一般式(4)で表される配位子を含むことが、発光強度、励起光に対する感度、及び耐光性など、必要な性能のバランスが良好になる点から好ましい。
互いに異なる構造を有する2種以上の前記一般式(4)で表される配位子としては、例えば、少なくとも1種として、Q及びQのいずれか一方に、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を含む配位子と、当該配位子とは異なる他の少なくとも1種として、Q及びQのいずれか一方に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を含む配位子とを含む場合が挙げられる。
前記希土類錯体は、中でも、互いに異なる構造を有する2種以上の前記一般式(4)で表される配位子として、下記一般式(4-1)で表される配位子と、下記一般式(4-2)で表される配位子とを含むことが、発光強度、励起光に対する感度、及び耐光性のバランスの点から更に好ましい。
Figure 0007081602000010

(一般式(4-1)及び(4-2)中、Q11及びQ12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であり、Q21は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であり、Q22は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、Zは水素原子又は重水素原子である。)
一般式(4-1)及び(4-2)中、Q11、Q12、Q21、及びQ22における、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基は、それぞれ、前記一般式(4)のQ及びQにおける置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基と同様であって良い。一般式(4-1)及び(4-2)中のZも、一般式(4)のZと同様であって良い。
一般式(4-1)及び(4-2)中、Q11、Q12、及びQ21における、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、中でも、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上20以下のパーハロゲン化脂肪族炭化水素基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、炭素数3以上6以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上10以下のパーハロゲン化脂肪族炭化水素基からなる群から選択される1種以上であることがより好ましく、炭素数1以上6以下のパーハロゲン化脂肪族炭化水素基からなる群から選択される1種以上であることがより更に好ましく、炭素数1以上3以下のパーフルオロ脂肪族炭化水素基からなる群から選択される1種以上であることがより更に好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を含むと、低振動の骨格になることから、当該構造を含むと、希土類金属が受け取ったエネルギーを振動失活させないように機能し、発光効率および発光強度を向上することができ、また耐光性の点からも好ましい。
一般式(4-2)中、Q22は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基としては、中でも、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基、炭素数6以上22以下のパーハロゲン化芳香族炭化水素基、環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基、及び、環形成炭素数2以上10以下のパーハロゲン化芳香族複素環基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基、及び環形成炭素数2以上10以下の芳香族複素環基からなる群から選択される1種以上であることがより好ましく、炭素数6以上22以下の芳香族炭化水素基であることがより更に好ましい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を含むと、励起光に用いられる紫外線ランプやLED光源の波長(350以上400nm以下)に対する感度を向上することができる。前記希土類錯体は、発光スペクトルにおける最大発光波長を検出波長とし、励起光の波長を走査して発光強度を測定した励起スペクトルにおいて、350nm以上400nm以下の範囲に最大値を有するように配位子を調整することが好ましい。
前記一般式(4-1)で表される配位子と、前記一般式(4-2)で表される配位子とを含む場合の含有割合としては、使用される配位子と目的の物性に合わせて適宜選択されれば良く、特に限定されない。例えば、発光強度、励起光に対する感度、及び耐光性のバランスの点から、前記一般式(4-1)で表される配位子と前記一般式(4-2)で表される配位子の合計100モルに対して、前記一般式(4-2)で表される配位子が10モル以上99モル以下含まれることが好ましく、40モル以上95モル以下含まれることがより好ましい。
また、前記希土類錯体は、単核希土類錯体であっても良いし、希土類錯体ポリマー(複核希土類錯体)であってもよく、中でも、希土類錯体ポリマーが、発光強度の点から好ましい。
前記希土類錯体ポリマーとしては、例えば、前記希土類イオンに配位する前記一般式(1)で表される前記ホスフィンオキシド配位子が二座配位子であり、該ホスフィンオキシド配位子が二つの前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含む、希土類錯体が挙げられる。当該二座ホスフィンオキシド配位子を含む希土類錯体ポリマーは、中でも耐光性に優れ、且つ耐溶剤性にも優れる点から好ましい。
従来の発光強度の高い希土類錯体は溶剤に溶けやすいため、インキ組成物や印刷物にしたときの耐溶剤性が悪く、医療現場のようなアルコールや有機溶剤を使用する現場において使用される医療用管理ラベル等へのセキュリティ性付与には不向きであるという課題があった。更に、セキュリティ印刷物は、溶剤を用いた改ざんを防止することが求められており、改ざん防止の観点からも従来の希土類錯体は適していないという課題があった。それに対して、当該二座ホスフィンオキシド配位子を含む希土類錯体ポリマーは、メタノール、エタノールなどのアルコール類や、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、ジクロロメタンなどの有機溶媒に不溶であるため、当該二座ホスフィンオキシド配位子を含む希土類錯体ポリマーを含むインキ組成物は、印刷物にしたときの耐溶剤性が高く、有機溶剤を用いる現場で使用されるセキュリティ性付与においても利用可能であり、更に、溶剤を用いた改ざんを防止できる。
好ましい前記希土類錯体ポリマーとしては、例えば、下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有する希土類錯体が挙げられる。
Figure 0007081602000011

(一般式(6)中、Ln3+は三価の希土類イオンを表し、Ar、Ar及びArは前記一般式(1)と同様であり、Ar及びArは前記一般式(3)と同様であり、Q、Q及びZは前記一般式(4)と同様である。)
前記単核希土類錯体としては、例えば、下記一般式(7)で表される単核希土類錯体が挙げられる。
Figure 0007081602000012

(一般式(7)中、Ln3+は三価の希土類イオンを表し、Ar、Ar及びArは前記一般式(1)と同様であり、Q、Q及びZは前記一般式(4)と同様である。n1は1以上5以下の整数であり、n2は1以上4以下の整数である。)
前記一般式(7)において、発光強度が向上する点から、n1は1又は2であることが好ましく、n2は2、3又は4であることが好ましく、n1が2であり且つn2が3であることが中でも好ましい。
前記希土類錯体は、例えば、希土類イオンの原料である希土類金属化合物と配位子となるべき化合物とを、必要に応じて触媒の存在下で、これらを溶解または分散できる溶媒中にて攪拌する方法によって合成することができる。溶媒としては、希土類金属化合物及び配位子となるべき化合物に対してそれぞれ好適なものを混合して用いてもよく、例えば、ジクロロメタン/メタノールの混合溶媒を適用することができる。触媒としては、例えば、必要に応じてトリメチルアミンや水酸化リチウム等を添加することができる。
前記希土類錯体は、蛍光体としての特性を有しており、発光強度が最大となる波長(λ1)は特に限定はされないが、通常、300nm以上1600m以下である。
本開示のインキ組成物は、前記希土類錯体として、少なくとも発光強度が最大となる波長(λ1)が、600nm以上650nm以下となる、赤色希土類錯体を含むことが、優れた輝度と色純度を確保でき、視認性が高まる点から好ましい。
また、前記希土類錯体は、発光スペクトルにおける最大発光波長を検出波長とし、励起光の波長を走査して発光強度を測定した励起スペクトルにおいて、350nm以上400nm以下の範囲に最大値を有することが、一般的に入手しやすい紫外線光源を真贋判定器具として使用した際に視認性に優れる点から好ましい。
インキ組成物において、前記希土類錯体は、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。前記希土類錯体が2種以上混合して用いられる場合、前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)は、前記希土類錯体の混合物の発光強度が最大となる波長をいう。
<発光材料>
本開示のインキ組成物が含有する発光材料は、前記希土類錯体とは異なる発光材料であり、前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)と、前記発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)との差の絶対値が50nm以上である。
前記発光材料は、本開示のインキ組成物が所望の発光色となるように、公知の発光材料を適宜選択して用いることができ、特に限定はされない。
中でも、所望の発光色が得られやすい点から、前記発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)は、前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)との差の絶対値が、50nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上200nm以下であることがより好ましい。
なお、前記発光材料が2種以上混合して用いられる場合、前記発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)は、前記発光材料の混合物の発光強度が最大となる波長をいう。従って、発光材料の中には、色調整などの点から、前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)と、発光強度が最大となる波長との差の絶対値が50nm未満である発光材料が含まれていても良い。
前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)と、前記発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)はそれぞれ、前記希土類錯体、発光材料又は発光材料の混合物そのもの(固体)に対して、分光蛍光光度計(例えば、RF-6000(島津製作所製))を用い、波長365nmで励起して測定された発光スペクトルを用いて求めることができる。
前記発光材料としては、例えば、紫外線照射により発光する蛍光発光材料が挙げられ、中でも、耐光性の点から、無機蛍光発光材料が好ましい。
前記蛍光発光材料としては、例えば、公知の蛍光染料、無機又は有機の蛍光顔料が挙げられる。蛍光染料としては、例えば、フルオレセイン系、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系、スピロピラン系、ピレンスルホン酸系、ベンゾイミダゾール系、ジアミノスチルベン系等の染料が挙げられる。有機蛍光顔料としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の樹脂にフルオレセイン、エオシン、ローダミン6G、ローダミンB、ベーシックイエローHG等の染料を均一に溶解して粉砕したもの等が挙げられる。無機蛍光顔料としては、例えば、銅,銀,マンガン、アルミニウム等をドープした硫化亜鉛、マンガン等をドープしたケイ酸亜鉛、銀、銅等をドープした硫化亜鉛、カドミウム、ビスマス等をドープした硫化カルシウム、サマリウム、セリウム等をドープした硫化ストロンチウム、鉛等をドープしたタングステン酸カルシウム、ユーロピウムをドープしたSr(POCl、マンガンをドープしたZnGeO、ユーロピウム等をドープしたYS、ユーロピウム等をドープしたY3、ユーロピウム等をドープしたCaMgSi、ユーロピウム等をドープしたY(P,V)O、ユーロピウム、マンガン等をドープしたBaMgAl1017、ユーロピウム、マンガンをドープしたBaMgAl1623、テルビウム、セリウム等をドープしたLaPO、酸素欠陥を有するZnO等が挙げられる。
また、前記発光材料としては、市販品を用いることができる。前記発光材料として用いられる好ましい市販品としては、例えば、ネモト・ルミマテリアル製の蓄光顔料、特殊発光体等が挙げられる。
前記発光材料としては、中でも、発光特性、耐光性、入手のしやすさの点から、ユーロピウムをドープしたBaMgAl1017、ユーロピウムとマンガンとをドープしたBaMgAl1017、ユーロピウムをドープしたBaMgAl1623、ユーロピウムとマンガンとをドープしたBaMgAl1623、ユーロピウムをドープしたY(P,V)O、ユーロピウムをドープしたYS、酸素欠陥を有するZnOが好ましく、ユーロピウムをドープしたBaMgAl1017、ユーロピウムとマンガンとをドープしたBaMgAl1017、又は酸素欠陥を有するZnOがより好ましい。
なお、前記発光材料としては、紫外線照射により蛍光発光する材料に限らず、赤外線照射により発光する材料などを用いることも可能である。
前記発光材料としても、発光スペクトルにおける最大発光波長を検出波長とし、励起光の波長を走査して発光強度を測定した励起スペクトルにおいて、350nm以上400nm以下の範囲に最大値を有することが、一般的に入手しやすい紫外線光源を真贋判定器具として使用した際に視認性に優れる点から好ましい。
<その他の成分>
本開示のインキ組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、印刷方式に応じたインキ特性を有するように、必要に応じて更に、ビヒクル、各種添加剤等のその他の成分を含有していてもよい。
前記添加剤としては、印刷に使用されている既知の補助剤、例えば、分散剤、架橋剤、乾燥促進剤、重合禁止剤、ワックス、体質顔料、着色剤、乾燥抑制剤、酸化防止剤、整面助剤、裏移り防止剤、消泡剤、又は界面活性剤等が挙げられる。
(ビヒクル)
ビヒクルは、前記希土類錯体を分散させ、塗布乃至印刷した場合に塗膜形成能力をもつ媒体である。本開示に用いられるビヒクルは、インキに使用されている既知のビヒクル成分、例えば、樹脂、溶剤、光硬化性成分等を含んでよい。
ビヒクルに含まれる樹脂としては、既知の樹脂を適宜選択して用いることができる。例えば、印刷に使用されている既知の樹脂を使用してよく、油性インキに含まれる樹脂、又はUVインキに含まれる樹脂を使用してよい。
樹脂は、天然樹脂又は合成樹脂でよく、かつホモポリマー又はコポリマーでよい。油性インキの粘性を確保するためには、樹脂が固形であることが好ましい。天然樹脂としては、例えば、松脂、琥珀、シェラック、ギルソナイト等が挙げられる。
合成樹脂としては、例えば、ロジン、フェノール樹脂、変性アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、石油樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のマレイン酸樹脂、環化ゴム、アクリル樹脂、1液型ウレタン樹脂、2液型ウレタン樹脂、及びその他の合成樹脂が挙げられる。
また、水性インキとする場合には、例えば、水溶性樹脂、コロイダルディスパージョン樹脂、エマルジョン樹脂等を含んでよい。
上記で列挙した樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ビヒクルに含まれる溶剤としては、既知の溶剤を適宜選択して用いることができる。
溶剤としては、有機溶剤、乾性油、半乾性油、鉱物油、水等が挙げられる。
ビヒクルに含まれる光硬化性成分としては、既知の光硬化性成分を適宜選択して用いることができる。光硬化性成分は、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤等を含む。
モノマーとしては、従来から光重合に使用されていたエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。また、オリゴマーは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を、オリゴマー化することにより得られる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸系化合物;マレイン酸系化合物;ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリオール系、植物油系化合物等で変性したエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。
光重合開始剤は、例えば紫外線照射によって活性酸素等のラジカルを発生する化合物である。光重合開始剤としては、印刷に使用されている既知の光重合開始剤を適宜選択して含有させればよい。
<インキ組成物における各成分の配合割合>
本開示のインキ組成物は、インキ組成物の固形分全量に対する前記希土類錯体及び前記発光材料の合計の含有割合が、発光強度の点から、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがより更に好ましい。一方でインク層を形成し易い点から前記その他の成分を含有する場合は、前記希土類錯体及び前記発光材料の合計の含有割合は、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがより更に好ましい。なお、本開示において固形分とは、溶剤以外の成分をいう。
また、本開示のインキ組成物が含有する前記希土類錯体及び前記発光材料の合計100質量部に対する前記希土類錯体の割合は、所望の色になるように適宜調整されれば良いが、発光強度の点から、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、一方で、色調整の点から95質量部以下であることが好ましい。
本開示のインキ組成物が前記その他の成分を含有する場合は、インキ組成物の固形分全量に対する前記その他の成分に由来する固形分の割合が、発光強度の点から、99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることがより更に好ましい。
また、本開示のインキ組成物が溶剤を含有する場合、溶剤を含むインキ組成物全量に対する固形分の割合は、印刷方法に応じて適宜調節され、特に限定はされないが、印刷適性の点から、5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
<インキ組成物の特性>
従来のインキ組成物では、高い発光強度を有しながら、所望の発光色に制御することが困難であり、特に、発光強度に優れた白色の発光色を得ることが困難である。
それに対し、本開示のインキ組成物では、高い発光強度を有しながら所望の発光色に制御することができるため、発光強度に優れ、発光色が白色のインキ組成物とすることができる。
本開示のインキ組成物は、当該インキ組成物の固形分(塗膜)について、発光スペクトルにおける最大発光波長を検出波長とし、励起光の波長を走査して発光強度を測定した励起スペクトルにおいて、350nm以上400nm以下の範囲に最大値を有することが、一般的に入手しやすい紫外線光源を真贋判定器具として使用した際に視認性に優れる点から好ましい。
<インキ組成物の製造方法>
本開示のインキ組成物の製造方法としては、前述した本開示のインキ組成物が得られる方法であれば特に限定はされず、例えば、前記希土類錯体と、前記発光材料と、必要に応じて用いられる前記その他の成分とを、公知の混合手段を用いて混合する方法が挙げられる。
各成分の混合及び分散は、例えば一軸ミキサー及び二軸ミキサー等のミキサーや、例えば3本ローラーミル、ビーズミル、ボールミル、サンドグラインダー及びアトライター等の練肉機(ink mill)により行なうことができる。
<インキ組成物の用途>
本開示のインキ組成物は、特に限定はされないが、可視光では目視不可能で、可視光以外の励起光の照射により蛍光を発するため、当該発光の特殊性から、真贋判定用途、偽造防止用途、各種セキュリティ用途に好適に用いられる。
2.印刷物
本開示の印刷物は、前記本開示のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する、印刷物である。
図1は、本開示に係る印刷物の一例を示す概略断面図である。印刷物1は、基材10の一方の面にインキ層11を有している。インキ層11は、前記本開示の1実施形態のインキ組成物の固化物を含有する層であり、前記本開示の1実施形態のインキ組成物を用いて形成されている。
本開示の印刷物は、インキ層が含有する前記本開示のインキ組成物の固化物が、発光強度に優れた所望の発光色を実現し、耐光性に優れるため、当該インキ層は、発光強度に優れた所望の発光色を示すことができ、優れた耐光性を有する。そのため、本開示の印刷物は、偽造防止性の高い発光色や発光パターンによって意匠性を付加可能であり、高い偽造防止性や高い意匠性を有する実用的な印刷物を提供可能である。
本開示に係る印刷物1は、単数又は複数のインキ層11を有していてよい。基材10上に複数のインキ層11が設けられている場合には、各インキ層を形成するインキ組成物の組成等は、同じであっても異なっていてもよい。インキ層11としては、任意のパターンを有することができる。
また、本開示の印刷物は、少なくともインキ層を有し、本開示の効果を損なわない範囲において、必要に応じて更に、前記インキ層を支持するための基材、及びその他の層を有していてもよい。
<インキ層>
本開示の印刷物が有するインキ層は、前記本開示のインキ組成物の固化物を含有するインキ層であり、すなわち、前記本開示のインキ組成物を用いて形成されたインキ層である。
前記本開示のインキ組成物については、前述した通りなので、ここでの説明を省略する。
本開示において、固化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化した物をいう。前記固化物としては、例えば、硬化反応により硬化した硬化物、乾燥により固化した物、熱可塑性樹脂の冷却により固化した物等が挙げられる。
前記インキ層は、例えば、支持体となる基材上に、前記本開示のインキ組成物を塗布し、固化することにより形成することができる。
前記塗布の方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、特に限定はされないが、例えば、凹版印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷、スプレー印刷、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法、ディップコート法等が挙げられる。
前記インキ組成物を固化する方法は、前記インキ組成物が含有する成分に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、前記インキ組成物が溶剤を含有する場合は、乾燥により当該溶剤を除去する方法、前記インキ組成物が光硬化性樹脂を含有する場合は、光照射により当該光硬化性樹脂を硬化させる方法、前記インキ組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合は、加熱により当該熱硬化性樹脂を硬化させる方法、前記インキ組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合は、溶融樹脂を冷却により固化させる方法、及びこれらの方法を組み合わせた方法等が挙げられる。
前記インキ層は、基材の片面又は両面の全体に形成されたものであってもよいし、パターン状に形成されたものであってもよい。
インキ層が、前記本開示のインキ組成物の固化物を含有することは、インキ層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、例えば、ESI-Mass等の質量分析、NMR、IR、ICP発光分析、原子吸光分析、蛍光X線分析、X線吸収微細構造解析(XAFS)、およびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。希土類金属の分析は、例えば島津製作所製、マルチ型ICP発光分析装置 ICPE-9000を用いて行うことができる。
<基材>
前記基材としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等の紙類、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレート等の各種合成樹脂のプラスチックシート、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルム、あるいは基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム(いわゆる合成紙)等が挙げられる。前記基材は、必ずしもフィルム乃至シート状でなくてもよく、立体的な形状を持つ樹脂成形体等であってもよい。
<印刷物の用途>
本開示の印刷物の用途は、特に限定はされないが、前記インキ層が蛍光体としての特性を有していることから、偽造防止印刷物として好適に用いることができる。偽造防止印刷物としては、例えば、手形、小切手、株券、社債券、各種証券等の有価証券、銀行券、商品券、交通機関の乗車券、有料施設やイベントの入場券、宝くじ、公営競技の投票券の当たり券、印紙類、クレジットカード等のカード、パスポート、身分証明書、各種商業印刷物、ポスター等が挙げられる。
下記IR測定は、日本光学社製、FT/IR-350を用いて行った。
下記H-NMR測定は、日本電子社製、ESC400(400MHz)を用いて行い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として化学シフトを決定した。
下記ESI-Mass測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Thermo Scientic Exactiveを用いて行った。
下記元素分析において、有機微量元素分析は、エグゼター・アナリティカル社製、CE440を用いて行った。
(合成例1:1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニルの合成)
100mLの三口フラスコをフレームドライして、内部をアルゴンガスで置換した。この三口フラスコに、1.9g(6.0mmol)の4,4’-ジブロモビフェニル及び30mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、液体窒素/エタノールで約-80℃に冷却した。この溶液に、9.3mL(15mmol)の1.6Mのn-ブチルリチウムヘキサン溶液をシリンジでゆっくり添加した。この添加は、約15分かけて行い、この間、黄色の析出物が生成した。この溶液を-10℃で3時間攪拌した。次に、溶液を再び-80℃に冷却した後、2.7mL(15mmol)のジクロロフェニルホスファイドを滴下し、14時間攪拌させながら徐々に室温に戻した。その後、反応を止め、酢酸エチルで抽出を行った。得られた溶液を飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレータで溶媒を留去した。得られた粗生成物を、アセトン及びエタノールで複数回洗浄することにより精製し、白色の粉末を得た。
次に、上記で得られた白色の粉末及び約40mLのジクロロメタンをフラスコに入れ、この溶液を0℃に冷却し、そこに30%の過酸化水素水(約5mL)を加えた。この混合物を、2時間攪拌した。生成物をジクロロメタンで抽出した後、抽出液を飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、エバポレータで溶媒を留去して、白色の粉末を得た。この白色の粉末をジクロロメタンで再結晶して、1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニルの白色の結晶を得た。
白色の結晶の分析結果は以下の通りであった。
IR(ATR):1119(st、P=O)cm-1
H-NMR(400MHz,CDCl,25℃)δ7.65-7.80(m、16H;P-C,C),7.43-7.60(m、12H;P-C,C)ppm.
ESI-Mass(m/z)=555.2[M+H]
元素分析:(C3628の計算値):C,77.97;H,5.09%、(実測値):C,77.49;H,5.20%
(合成例2:赤色希土類錯体1の合成)
Eu(III)イオンの原料である酢酸ユーロピウムと、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオンとを混合して、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト(hfa))ユーロピウム(III)2水和物を合成した。
次いで、このトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)2水和物1当量と、前記合成例1で得た1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル(dpbp)1当量とを、メタノール(20mL)に溶解した。この溶液を8時間攪拌しながら還流した。その後、反応溶液中に析出した白色紛体をろ別し、メタノールで複数回洗浄した後、減圧乾燥することで、下記化学式(A)で表される赤色希土類錯体1[Eu(hfa)(dpbp)]を得た。
Figure 0007081602000013
得られた赤色希土類錯体1の分析結果は以下の通りであった。
IR(ATR):1652(st,C=O)、1250(st,C-F)、1122(st,P=O)cm-1
ESI-Mass(m/z)= 1675.2 [Eu(hfa)(dpbp)、1905.2 [[Eu(hfa)(dpbp)]+ Na ]
元素分析:([C5131EuF18の計算値)、C,46.14;H,2.35%、(実測値)、C,46.10;H,2.17%
また、赤色希土類錯体1の発光スペクトルを、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用い、波長365nmで励起して測定したところ、発光強度が最大となる波長は、613nmであった。
(合成例3:赤色希土類錯体2の合成)
前記合成例2と同様の方法により合成したトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)、及び、トリフェニルホスフィンオキサイド(TPPO)を含むメタノール溶液を準備し、この溶液を還流しながら12時間攪拌した。その後、メタノールを減圧留去により取り除き、白色粉体を得た。この粉体をトルエンで洗浄し、未反応のトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)を吸引ろ過により取り除いた後、トルエンを減圧留去した。得られた生成物をヘキサンで洗浄し、粉体を得た後、さらにトルエン、ヘキサンの混合溶媒により再結晶を行うことにより精製して、下記化学式(B)で表される赤色希土類錯体2[Eu(hfa)3(TPPO)2]を得た。
Figure 0007081602000014
得られた赤色希土類錯体2の分析結果は以下の通りであった。
IR(cm-1):1652(C=O),1251(C-F),1121(P=O)、
ESI-Mass(m/z)=1123.1[Eu(hfa)2(TPPO)2]、1353.1[[Eu(hfa)3(TPPO)2]+Na]
元素分析:([C5133EuF18の計算値):C,46.07;H,2.50%、(実測値):C,46.10;H,2.34%
また、赤色希土類錯体2の発光スペクトルを、前記赤色希土類錯体1と同様にして測定したところ、発光強度が最大となる波長は、617nmであった。
(合成例4:赤色希土類錯体3の合成)
Eu(III)イオンの原料である塩化ユーロピウムと、4,4,4,-トリフルオロ―1-(2-チエニル)―1,3-ブタンジオンとを、水酸化ナトリウム水溶液を加えた水/メタノール混合溶媒中で混合することにより、トリス(2-テノイルトリフルオロアセトナト(tta))ユーロピウム2水和物を合成した。
次いで、このトリス(2-テノイルトリフルオロアセトナト)ユーロピウム(III)2水和物0.5当量および前記合成例2と同様の方法により合成したトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)2水和物0.5当量と、前記合成例1で得た1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル1当量とを、メタノール(20mL)に溶解した。この溶液を8時間攪拌しながら還流した。その後、反応溶液中に析出した白色紛体をろ別し、メタノールで複数回洗浄した後、減圧乾燥することで、下記化学式(C-1)の繰り返し単位と下記化学式(C-2)の繰り返し単位と下記化学式(C-3)の繰り返し単位とを有する共重合体である、下記化学式(C)で表される赤色希土類錯体3を得た。
Figure 0007081602000015
得られた赤色希土類錯体3の分析結果は以下の通りであった。
IR(ATR):1652(st,C=O)、1250(st,C-F)、1122(st,P=O)cm-1
ESI-Mass(m/z)= 1675.2 [Eu(hfa)(dpbp)、1689.2[Eu(hfa)(tta)(dpbp)、1703.2[Eu(tta)(dpbp) 、1905.2 [[Eu(hfa)(dpbp)]+ Na ]、1919.2 [[Eu(hfa)(tta)(dpbp)]+ Na ]、1933.2 [[Eu(hfa)(tta)(dpbp)]+ Na ]、1947.2 [[Eu(tta)(dpbp)]+ Na ]
元素分析:実測値 C,49.55;H,2.47%、
β-ジケトン配位子比率:hfa/tta = 48/52(mol%)
また、赤色希土類錯体3の発光スペクトルを、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用い、波長365nmで励起して測定したところ、発光強度が最大となる波長は、616nmであった。
(合成例5:赤色希土類錯体4の合成)
Eu(III)イオンの原料である塩化ユーロピウムと、4,4,4,-トリフルオロ-1-フェニル-1,3-ブタンジオンとを、水酸化ナトリウム水溶液を加えた水/メタノール混合溶媒中で混合することにより、トリス(ベンゾイルトリフルオロアセトナト(btfa))ユーロピウム(III)2水和物を合成した。
次いで、このトリス(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)ユーロピウム(III)2水和物0.5当量および前記合成例2と同様の方法により合成したトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)2水和物0.5当量と、前記合成例1で得た1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニル1当量とを、メタノール(20mL)に溶解した。この溶液を8時間攪拌しながら還流した。その後、反応溶液中に析出した白色紛体をろ別し、メタノールで複数回洗浄した後、減圧乾燥することで、下記化学式(D-1)の繰り返し単位と下記化学式(D-2)の繰り返し単位と下記化学式(D-3)の繰り返し単位とを有する共重合体である、下記化学式(D)で表される赤色希土類錯体4を得た。
Figure 0007081602000016
得られた赤色希土類錯体4の分析結果は以下の通りであった。
IR(ATR):1652(st,C=O)、1250(st,C-F)、1122(st,P=O)cm-1
ESI-Mass(m/z)= 1675.2 [Eu(hfa)(dpbp)、1683.2[Eu(hfa)(btfa)(dpbp)、1691.3[Eu(btfa)(dpbp) 、1905.2 [[Eu(hfa)(dpbp)]+ Na ]、1913.2 [[Eu(hfa)(btfa)(dpbp)]+ Na ]、1921.3 [[Eu(hfa)(btfa)(dpbp)]+ Na ]、1929.3 [[Eu(btfa)(dpbp)]+ Na ]
元素分析:実測値 C,52.85;H,2.74%、
β-ジケトン配位子比率:hfa/btfa = 47/53(mol%)
また、赤色希土類錯体4の発光スペクトルを、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用い、波長365nmで励起して測定したところ、発光強度が最大となる波長は、617nmであった。
(実施例1)
(1)白色発光インキ組成物1の調製
ビヒクルとして、紫外線硬化型ビヒクル(商品名 UV BF SG Aメジウム、DICグラフィックス製)70質量部と、下記割合で混合した発光体粉末混合物30質量部とを、3本ロールにて混練することで白色発光インキ組成物1を調製した。
前記発光体粉末混合物の配合比は以下に示す通りとした。
・赤色発光体:赤色希土類錯体1(発光強度が最大となる波長:613nm) 70質量部
・緑色発光体:GOF-SS(ネモト・ルミマテリアル製、発光強度が最大となる波長:500nm) 10質量部
・青色発光体:D1184(ネモト・ルミマテリアル製、発光強度が最大となる波長:447nm) 20質量部
(2)印刷物の作製
得られた白色発光インキ組成物1をバーコーターで印刷紙に塗布後、紫外線照射により光硬化することでインキ層を形成し、実施例1の印刷物を得た。
(実施例2、7、8)
(1)白色発光インキ組成物2、3、4の調製
実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例2で得られた赤色希土類錯体1に代えて、合成例3で得られた赤色希土類錯体2(発光強度が最大となる波長:617nm)、合成例4で得られた赤色希土類錯体3(発光強度が最大となる波長:616nm)、又は合成例5で得られた赤色希土類錯体4(発光強度が最大となる波長:617nm)をそれぞれ用い、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体の配合比を表1に示すように変更した以外は、実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、白色発光インキ組成物2、3、4を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、白色発光インキ組成物2、3、又は4をそれぞれ用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、実施例2、7、8の印刷物を得た。
(比較例1)
(1)比較白色インキ組成物1の調製
実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例2で得られた赤色希土類錯体1 70質量部に代えて、下記化学式(E)で表される比較赤色希土類錯体1(東京化成製のEu(tta)(Phen)、発光強度が最大となる波長:612nm) 4質量部を用い、緑色発光体の添加量を30質量部、青色発光体の添加量を66質量部にそれぞれ変えた以外は、実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、比較白色発光インキ組成物1を調製した。
Figure 0007081602000017
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、比較白色発光インキ組成物1を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、比較例1の印刷物を得た。
(比較例2)
(1)比較白色発光インキ組成物2の調製
実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例2で得られた赤色希土類錯体1 70質量部に代えて、赤色発光無機酸化物(ネモト・ルミマテリアル製の品名D1124) 90質量部を用い、緑色発光体の添加量を3.3質量部、青色発光体の添加量を6.7質量部にそれぞれ変えた以外は、実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、比較白色発光インキ組成物2を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、比較白色発光インキ組成物2を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、比較例2の印刷物を得た。
(実施例3)
(1)黄色発光インキ組成物1の調製
実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」において、発光体粉末混合物を、下記割合で混合した発光体粉末混合物に変更する以外は、実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、黄色発光インキ組成物1を調製した。
前記発光体粉末混合物の配合比は以下に示す通りとした。
・赤色発光体:赤色希土類錯体1(発光強度が最大となる波長:613nm) 90質量部
・緑色発光体:GOF-SS(ネモト・ルミマテリアル製、発光強度が最大となる波長:500nm) 10質量部
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、黄色発光インキ組成物1を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、実施例3の印刷物を得た。
(実施例4、9、10)
(1)黄色発光インキ組成物2、3、4の調製
実施例3の「(1)黄色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例2で得られた赤色希土類錯体1に代えて、合成例3で得られた赤色希土類錯体2、合成例4で得られた赤色希土類錯体3、又は合成例5で得られた赤色希土類錯体4をそれぞれ用い、赤色発光体、緑色発光体の配合比を表1に示すように変更した以外は、実施例3の「(1)黄色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、黄色発光インキ組成物2、3、4を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、黄色発光インキ組成物2、3、4を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、実施例4、9、10の印刷物を得た。
(比較例3)
(1)比較黄色発光インキ組成物1の調製
実施例3の「(1)黄色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例2で得られた赤色希土類錯体1 70質量部に代えて、比較赤色希土類錯体1(東京化成製のEu(tta)(Phen) 10質量部を用い、緑色発光体の添加量を90質量部に変えた以外は、実施例3の「(1)黄色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、比較黄色発光インキ組成物1を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、比較黄色発光インキ組成物1を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、比較例3の印刷物を得た。
(比較例4)
(1)比較黄色発光インキ組成物2の調製
実施例3の「(1)黄色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例2で得られた赤色希土類錯体1 70質量部に代えて、赤色発光無機酸化物(ネモト・ルミマテリアル製の品名D1124) 98質量部を用い、緑色発光体の添加量を2質量部に変えた以外は、実施例3の「(1)黄色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、比較黄色発光インキ組成物2を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、比較黄色発光インキ組成物2を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、比較例4の印刷物を得た。
(実施例5)
(1)紫色発光インキ組成物1の調製
実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」において、発光体粉末混合物を、下記割合で混合した発光体粉末混合物に変更する以外は、実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、紫色発光インキ組成物1を調製した。
前記発光体粉末混合物の配合比は以下に示す通りとした。
・赤色発光体:赤色希土類錯体1(発光強度が最大となる波長:613nm) 20質量部
・青色発光体:D1184(ネモト・ルミマテリアル製、発光強度が最大となる波長:447nm) 80質量部
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、紫色発光インキ組成物1を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、実施例5の印刷物を得た。
(実施例6、11、12)
(1)紫色発光インキ組成物2、3、4の調製
実施例5の「(1)紫色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例2で得られた赤色希土類錯体1に代えて、合成例3で得られた赤色希土類錯体2、合成例4で得られた赤色希土類錯体3、又は合成例5で得られた赤色希土類錯体4をそれぞれ用い、赤色発光体、青色発光体の配合比を表1に示すように変更した以外は、実施例5の「(1)紫色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、紫色発光インキ組成物2、3、4を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、紫色発光インキ組成物2、3、4を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、実施例6、11、12の印刷物を得た。
(比較例5)
(1)比較紫色発光インキ組成物1の調製
実施例5の「(1)紫色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例1で得られた赤色希土類錯体1 20質量部に代えて、比較赤色希土類錯体1(東京化成製のEu(tta)(Phen) 0.5質量部を用い、青色発光体の添加量を95.5質量部に変えた以外は、実施例5の「(1)紫色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、比較紫色発光インキ組成物1を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、比較紫色発光インキ組成物1を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、比較例5の印刷物を得た。
(比較例6)
(1)比較紫色発光インキ組成物2の調製
実施例5の「(1)紫色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物の赤色発光体として、合成例1で得られた赤色希土類錯体1 20質量部に代えて、赤色発光無機酸化物(ネモト・ルミマテリアル製の品名D1124) 60質量部を用い、青色発光体の添加量を40質量部に変えた以外は、実施例5の「(1)紫色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、比較紫色発光インキ組成物2を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、比較紫色発光インキ組成物2を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、比較例6の印刷物を得た。
(参考例A)
合成例2~5で得られた赤色希土類錯体1~4、比較赤色希土類錯体1(東京化成製のEu(tta)(Phen)、赤色発光無機酸化物(ネモト・ルミマテリアル製の品名D1124)の各赤色発光体単色の印刷物の単色発光インキ層の発光スペクトル測定と、励起スペクトル測定とを行った。
<インキ印刷物作製>
ビヒクルとして、紫外線硬化型ビヒクル(商品名 UV BF SG Aメジウム、DICグラフィックス製)70質量部と、各赤色発光体30質量部とを、3本ロールにて混練することで調製した。
得られた赤色発光インキ組成物をバーコーターで印刷紙に塗布後、紫外線照射により光硬化することでインキ層を形成し、赤色発光印刷物を得た。
<発光スペクトル測定>
得られた印刷物のインキ層について、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用い、波長365nmで励起して得られた発光スペクトルを測定した。
各赤色発光体単色の印刷物の単色発光インキ層の発光スペクトルを図21~26に示す。
<励起スペクトル測定>
上記の発光スペクトルにおいて発光強度が最大となる波長を検出波長とし、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用いて励起スペクトルを測定した。
各赤色発光体単色の印刷物の単色発光インキ層の励起スペクトルを図27~32に示す。
(参考例B)
(1)基準赤色発光インキ組成物の調製
実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」において、前記発光体粉末混合物30質量部の代わりに、赤色発光無機酸化物(ネモト・ルミマテリアル製の品名D1124)のみ 30質量部を用いた以外は、実施例1の「(1)白色発光インキ組成物1の調製」と同様にして、基準赤色発光インキ組成物を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1の「(2)印刷物の作製」において、白色発光インキ組成物1に代えて、基準赤色発光インキ組成物を用いた以外は、実施例1の「(2)印刷物の作製」と同様にして、基準赤色発光インキ組成物の印刷物を得た。
[評価]
<発光スペクトル測定>
基準サンプル、並びに、各実施例及び各比較例で得られた印刷物のインキ層について、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用い、波長365nmで励起して得られた発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルを図1~20に示す。
なお、基準サンプルとしては、参考例Bで調製した基準赤色発光インキ組成物の印刷物を用いた。
また、得られた発光スペクトルの390~720nmにおける発光ピーク面積から、下記評価基準により発光強度を評価した。評価結果を表1に示す。
[発光強度の評価基準]
A: 基準サンプルの発光ピーク面積に対して、発光ピーク面積が200%以上
C:基準サンプルの発光ピーク面積に対して、発光ピーク面積が200%未満
<耐光性試験>
各実施例及び各比較例で得られた印刷物のインキ層を、それぞれアトラス社製Ci4000耐光試験機にてXeランプ(照射強度1.2W/m(420nm)、)で20時間光照射した。その後、分光蛍光光度計RF-6000(島津製作所製)を用い、波長365nmで励起して測定した際の発光スペクトルを測定し、下記評価基準により耐光性を評価した。評価結果を表1に示す。
[耐光性の評価基準]
A:光照射前後で最大発光強度の保持率が90%以上であった
B:光照射前後で最大発光強度の保持率が80%以上90%未満であった
C:光照射前後で最大発光強度の保持率が80%未満であった
なお、前記最大発光強度の保持率は、下記式により求めた。
最大発光強度の保持率(%)=(光照射後の最大発光強度/光照射前の最大発光強度)×100
<耐溶剤性試験>
実施例1、2、7、8、比較例1、2の印刷物の白色発光インキ層に関して、アセトン、またはメタノールに20分浸漬させた後、365nmの紫外線を照射したときの発光色を目視で評価した。錯体ポリマーである赤色希土類錯体1、3、4を用いた実施例1、7、8、および赤色発光無機酸化物を用いた比較例2に関しては試験後も発光色に変化はなかった。単核錯体である赤色希土類錯体2、比較赤色希土類錯体1を用いた実施例2、および比較例1はアセトン、メタノールの両方とも試験後の発光色が青緑に変化した。
Figure 0007081602000018
表1において、略称は以下のとおりである。
錯体1:合成例2で得られた赤色希土類錯体1
錯体2:合成例3で得られた赤色希土類錯体2
錯体3:合成例4で得られた赤色希土類錯体3
錯体4:合成例5で得られた赤色希土類錯体4
比較錯体1:比較赤色希土類錯体1((東京化成製のEu(tta)(Phen))
無機酸化物:赤色発光無機酸化物(ネモト・ルミマテリアル製の品名D1124)
実施例1、2、7及び8では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体を用いたため、インキ層は、365nmで励起した発光色が白色であり、発光強度が高かった。そのため、実施例1、2、7及び8で得られた印刷物は、偽造防止効果の高いセキュリティ印刷物として有効である。また、実施例1、2、7及び8で得られた印刷物は、耐光性に優れていた。
一方、比較例1では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体とは異なる希土類錯体を用いたため、耐光性試験において、光照射後の発光色が青緑色となり、耐光性に劣っていた。これは、比較赤色希土類錯体1の耐光性が低いため、赤色の発光が減じたためだと考えられた。
比較例2では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体を用いなかったため、赤色発光体の発光強度が低く、実施例1、2、7及び8と同じ白色発光となるように配合比を調整しようとすると、発光強度の低い赤色発光体の配合比率を高くしなければならず、青及び緑の発光体の配合比率が低くなり、結果として白色の発光強度が低くなった。
実施例3、4、9及び10では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体を用いたため、インキ層は、365nmで励起した発光色が黄色であり、発光強度が高かった。そのため、実施例3、4、9及び10で得られた印刷物は、偽造防止効果の高いセキュリティ印刷物として有効である。また、実施例3、4、9及び10で得られた印刷物は、耐光性に優れていた。
一方、比較例3では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体とは異なる希土類錯体を用いたため、耐光性試験において、光照射後の発光色が緑色となり、耐光性に劣っていた。これは、比較赤色希土類錯体1の耐光性が低いため、赤色の発光が減じたためだと考えられた。
比較例4では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体を用いなかったため、赤色発光体の発光強度が低く、実施例3と同じ黄色発光となるように配合比を調整しようとすると、発光強度の低い赤色発光体の配合比率を高くしなければならず、緑の発光体の配合比率が低くなり、結果として黄色の発光強度が低くなった。
同様に、実施例5、6、11及び12では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体を用いたため、インキ層は、365nmで励起した発光色が紫色であり、発光強度が高かった。そのため、実施例5、6、11及び12で得られた印刷物は、偽造防止効果の高いセキュリティ印刷物として有効である。また、実施例5、6、11及び12で得られた印刷物は、耐光性に優れていた。
一方、比較例5では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体とは異なる希土類錯体を用いたため、耐光性試験において、光照射後の発光色が青色となり、耐光性に劣っていた。これは、比較赤色希土類錯体1の耐光性が低いため、赤色の発光が減じたためだと考えられた。
比較例6では、赤色発光体として本開示で特定する希土類錯体を用いなかったため、赤色発光体の発光強度が低く、実施例5と同じ紫色発光となるように配合比を調整しようとすると、発光強度の低い赤色発光体の配合比率を高くしなければならず、青の発光体の配合比率が低くなり、結果として紫色の発光強度が低くなった。
図27~30の各赤色希土類錯体の単色発光インキ層の励起スペクトルに示されるように、前記一般式(4-1)で表される配位子と前記一般式(4-2)で表される配位子とを含む赤色希土類錯体3及び4は、赤色希土類錯体1及び2に比べて350~400nmの感度が高い。350~400nmの紫外線で励起する場合、図21~24の各赤色希土類錯体の単色発光インキ層の発光スペクトルに示されるように、赤色希土類錯体3及び4は、より強い発光が可能であり、混色して中間色の発光インキを調製する際に、赤色発光体の使用量を低減することができる。前記一般式(4-1)で表される配位子と前記一般式(4-2)で表される配位子とを含む実施例7、8、9、10、11及び12では、混色して中間色の発光インキを調製する際に、赤色発光体の使用量を低減することができることが示されている(表1)。
1 印刷物
10 基材
11 インキ層

Claims (4)

  1. 三価の希土類イオンであるEu3+ 1,4-ビス(ジフェニルホスホリル)ビフェニルであって、前記希土類イオンに配位するホスフィンオキシド配位子と、を含む希土類錯体と、
    前記希土類錯体とは異なる発光材料とを含有し、
    前記希土類錯体の発光強度が最大となる波長(λ1)と、前記発光材料の発光強度が最大となる波長(λ2)との差の絶対値が50nm以上であり、
    前記ホスフィンオキシド配位子は、二座配位子であり、前記希土類錯体は、該ホスフィンオキシド配位子が二つの前記希土類イオンに配位して形成された架橋構造を含み、
    前記希土類錯体が、下記一般式(4-1)で表される配位子と、下記一般式(4-2)で表される配位子とをさらに含む、インキ組成物。
    Figure 0007081602000019
    (一般式(4-1)及び(4-2)中、Q11及びQ12は、それぞれトリフルオロメチル基であり、Q21は、トリフルオロメチル基であり、Q22は、フェニル基又はチエニル基であり、Zは水素原である。)
  2. 発光色が白色である、請求項1に記載のインキ組成物。
  3. 前記希土類錯体において、前記一般式(4-1)で表される配位子と前記一般式(4-2)で表される配位子の合計100モルに対して、前記一般式(4-2)で表される配位子が10モル以上99モル以下含まれる、請求項1又は2に記載のインキ組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する、印刷物。
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