JP7147596B2 - インキ組成物、印刷物、及び、真贋判定方法 - Google Patents
インキ組成物、印刷物、及び、真贋判定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7147596B2 JP7147596B2 JP2019012911A JP2019012911A JP7147596B2 JP 7147596 B2 JP7147596 B2 JP 7147596B2 JP 2019012911 A JP2019012911 A JP 2019012911A JP 2019012911 A JP2019012911 A JP 2019012911A JP 7147596 B2 JP7147596 B2 JP 7147596B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- rare earth
- hydrocarbon
- circularly polarized
- halogen atom
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Printing Methods (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Description
蛍光発光材の中でも希土類金属錯体は高い発光強度をもつため、視認性に優れる蛍光材として有望である。
例えば、特許文献1には、希土類錯体を含有する発光性インキ組成物、及び、その印刷物によりセキュリティ機能を持たせることができることが開示されている。しかし、蛍光材自体の入手は容易であり、また光源となるブラックライト等の紫外線発生装置も広く普及しているため、蛍光印刷物の存在が明らかになると偽造や複製の危険性が高まる。
特許文献2には、不斉配位子をもつ希土類錯体が円偏光発光性を示し、セキュリティ材料への応用が期待される旨が記載されている。従来の有機化合物では、円偏光発光性の度合い(円偏光度)を示すg値が0.001程度であるのに対して、希土類錯体は、g値が格段に高く、円偏光発光性に優れている旨が記載されている。特許文献2の円偏光発光性希土類錯体は、g値の絶対値の最大値が0.5と記載されている。
CDスペクトルからのg値=Δε/ε=2(εL-εR)/(εL+εR)
(式中、εLは左円偏光における吸収係数、εRは右円偏光における吸収係数を表す。)
CPLスペクトルからのg値=ΔI/I=2(IL-IR)/(IL+IR)
(式中、ILは左回りの円偏光発光強度、IRは右回りの円偏光発光強度を表す。)
なお、g値を円偏光二色性(CD)スペクトルから求める場合及び円偏光発光(CPL)スペクトルから求める場合のいずれにおいても、理論上、g値の最大絶対値は2である。
特許文献2の円偏光発光性希土類錯体はg値の絶対値が0.5であり、高い値であるが、このg値は重アセトニトリル溶液中で観測されたものであり、塗膜状態ではg値が低くなってしまう。また、特許文献2の円偏光発光性希土類錯体は結晶性が高く、塗膜中に低い濃度でしか均一に分散できないため、塗膜とした場合の発光強度が不十分で所定の円偏光フィルタを介しても視認できない。
特許文献3の円偏光発光性希土類錯体はg値の絶対値が1.8以上とあり、高い値であるが、このg値はケトン系溶液中で観測されたものであり、塗膜状態ではg値が低くなってしまう。ケトン系溶媒分子が希土類金属に直接配位した円偏光度の高い特定の錯体構造は、溶媒が乾燥された塗膜中での安定性が不足しているからと推察される。溶媒中のケトン系溶媒分子比率によって錯体構造が変化することから、溶媒のない状態や、樹脂などの塗膜を構成する他の成分が共存する状態では、より安定な8配位錯体構造に戻り得ることが考えられる。
また、非特許文献1には、非特許文献1の希土類錯体の凝集体は円偏光フィルタを用いた円偏光ルミネセンスの裸眼視覚化をもたらした旨が記載されている。しかし、特にセキュリティが必要とされる印刷物となるインキ層(塗膜)は、実使用上高い発光強度を有する必要がある。非特許文献1に記載されている材料では、発光効率が低く、発光強度が不十分である。また、前記凝集体を保持した状態での微粒子化が困難なため、粗大な粒子が多くなり、塗膜にした場合の透明性が低くなってしまう。
また、セキュリティ印刷物に用いられるためには、円偏光発光性希土類錯体は、通常無色で存在が知られない必要があり、塗膜にした時に透明性が必要である。
Zは各々独立に、ホスフィンオキシド(P=O)、又はリン(P)を表す。
Yは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すが、Yが結合しているフェニル基1個につき、少なくとも1つのYがアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基であり、Yに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
Xは、直接結合、或いは、-O-、-S-、-NR-(ここで、Rは水素原子又は炭素数1~22の炭化水素基)、又は炭素数1~22の炭化水素基を表す。
Qは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すか、或いは、互いに結合して6員環の芳香族炭化水素環を形成していても良く、Qに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R1は、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R1に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R2及びR3は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R2及びR3に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
n1は0~6の数を表し、n2は0~3の数を表すが、n1+2×n2は1以上6以下である。mは3の数を表す。
n1、n2又はmが2以上の場合に、括弧内の構造は、同一でも異なっていても良い。)
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定が無い限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示は、下記一般式(1)、又はその鏡像異性体で表される、円偏光発光性希土類錯体を含有する、セキュリティインキ組成物を提供する。
Zは各々独立に、ホスフィンオキシド(P=O)、又はリン(P)を表す。
Yは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すが、Yが結合しているフェニル基1個につき、少なくとも1つのYがアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基であり、Yに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
Xは、直接結合、或いは、-O-、-S-、-NR-(ここで、Rは水素原子又は炭素数1~22の炭化水素基)、又は炭素数1~22の炭化水素基を表す。
Qは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すか、或いは、互いに結合して6員環の芳香族炭化水素環を形成していても良く、Qに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R1は、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R1に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R2及びR3は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R2及びR3に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
n1は0~6の数を表し、n2は0~3の数を表すが、n1+2×n2は1以上6以下である。mは3の数を表す。
n1、n2又はmが2以上の場合に、括弧内の構造は、同一でも異なっていても良い。)
本開示のインキ組成物が含有する前記特定の円偏光発光性希土類錯体は、不斉炭素原子を有するキラル配位子(i)を3つ有する他に、配位子(ii-1)及び配位子(ii-2)の少なくとも1種を1つ以上有する。配位子(ii-1)及び配位子(ii-2)は、希土類イオンに配位するホスフィンオキシド(P=O)又はリン(P)に結合しているフェニル基1個につき、少なくとも1つのYがアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基であり、嵩高い置換基を有している。当該嵩高い置換基を有することにより、一般式(1)又はその鏡像異性体で表される円偏光発光性希土類錯体は、安定な錯体構造が複数生じ、非晶質となり、光学的に等方な系が生成したため、錯体単独で塗膜を形成しても透明性が高くなると推定される。また、当該嵩高い置換基の導入による適切な立体障害により、配位子(ii-1)及び配位子(ii-2)の少なくとも1種の希土類イオンに対する配位距離が遠くなり、一方で、3つのキラル配位子(i)の希土類イオンに対する配位距離が近くなることにより、前記特定の円偏光発光性希土類錯体は、キラル効果が増強し、円偏光発光性に優れると推定される。更に、当該置換基は、希土類中心金属への弱い配位性をもつことにより錯体分子同士で相互作用し、その集合体の非晶性を高めるという作用によって、前記特定の円偏光発光性希土類錯体は、塗膜にした場合の透明性に優れると推定される。また、配位子(i)はβジケトン構造を有し、吸光係数が高いため、励起光のエネルギーを配位した希土類イオンへ効率よく供給することができる。配位子(ii-1)及び配位子(ii-2)の全体の嵩高い置換基の導入による適切な立体障害により、3つのキラル配位子(i)の希土類イオンに対する配位距離が近くなることで、前記励起光エネルギーを希土類イオンへ効率的に供給でき、全体の発光強度を向上することができるため、前記特定の円偏光発光性希土類錯体は、g値の最大値の発光波長の発光強度が大きくなると推定される。
本開示のインキ組成物が含有する円偏光発光性希土類錯体は、前記一般式(1)又はその鏡像異性体で表される。
前記一般式(1)において、Ln3+は、3価の希土類イオンを表し、具体的には、Eu3+、Tb3+、Sm3+、Er3+、Pr3+、Ho3+、Tm3+及びDy3+からなる群から選ばれる。
前記3価の希土類イオンは、所望の発光色が得られるように適宜選択されるが、中でも、発光効率に優れ、発光強度が高い点から、Eu3+又はTb3+が好ましく、Eu3+がより好ましい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Yに含まれて良い炭化水素、具体的には、前記アルコキシ基(-ORa)、エステル基(-COORb)、アシルオキシ基(-OCORc)、アミノ基(-NRdRe)、スルホニル基(-SO2Rf)、シリル基(-SiRgRhRi)(ここで、Ra、Rb、Rc、Rfは各々独立に炭化水素基を表し、Rd、Re、Rg、Rh、Riは各々独立に水素原子又は炭化水素基を表す)に含まれて良い炭化水素は各々独立に、炭素数1~22の炭化水素基であってよい。
炭素数1~22の炭化水素基において、炭化水素は、直鎖若しくは分岐鎖又は環状であってよく、飽和若しくは不飽和であってよい。前記炭化水素基は、炭素数1~12の炭化水素基であってよく、炭素数1~10の炭化水素基であってよく、炭素数1~6の炭化水素基であってよく、炭素数1~4の炭化水素基であってよい。
また、Yに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
Xにおける炭素数1~22の炭化水素基は、2価の炭素数1~22の炭化水素基を表し、当該炭化水素も直鎖若しくは分岐鎖又は環状であってよく、飽和若しくは不飽和であってよい。Xにおける炭素数1~22の炭化水素基は、炭素数1~12の炭化水素基であってよく、炭素数1~10の炭化水素基であってよく、炭素数1~6の炭化水素基であってよく、炭素数1~4の炭化水素基であってよい。
Qは、互いに結合して6員環の芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該6員環の芳香族炭化水素環は、結合しているフェニレン基と縮合していてよい。
R1における炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、アミノ基、スルホニル基、シリル基は、前記Yにおける炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、アミノ基、スルホニル基、シリル基と同様であって良い。
R1は、ハロゲン化炭化水素を含むことが好ましく、炭素数1~12のハロゲン化炭化水素を含むことが好ましく、炭素数1~8のハロゲン化炭化水素を含むことがより好ましく、炭素数1~4のハロゲン化炭化水素を含むことがよりさらに好ましい。
R1がハロゲン原子を有し、C-X(Xはハロゲン原子:F、Cl、Br又はI)結合を有する場合には、低振動の骨格になることから、当該構造を含むと、希土類金属が受け取ったエネルギーを振動失活させないように機能し、発光効率を向上し、発光強度を向上する点から好ましい。
R1は、中でも希土類イオンに配位する酸素原子と直接結合する炭素原子を振動し難くする点から、より原子量の大きな元素が炭素原子と結合している、炭素数1~12のハロゲン化炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~8のハロゲン化炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~4のハロゲン化炭化水素基であることがよりさらに好ましく、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロブチリル基等が挙げられる。
R2及びR3における炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、アミノ基、スルホニル基、シリル基は、前記Yにおける炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、アミノ基、スルホニル基、シリル基と同様であって良い。
前記一般式(1)で示される希土類錯体の配位数は、全体で7~12であり得るため、n1+2×n2+2×mは7以上12以下であることから、n1+2×n2は1以上6以下である。
前記一般式(1)で示される希土類錯体の配位数は、全体で7~9であることが好ましく、n1+2×n2+2×mは7以上9以下が好ましいことから、n1+2×n2は1以上3以下であることが好ましい。
前記一般式(ii-a)で表される化合物及び前記一般式(ii-b)で表される化合物の少なくとも1種と、前記一般式(i-a)で表される希土類錯体との反応は、溶媒中で混合することにより行われても良いし、無溶媒で混合することにより行われても良い。
前記希土類錯体は、円偏光発光性の点から、後述する実施例と同様に円偏光発光スペクトルを用いて測定されたg値の絶対値が、0.04以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、1.0以上であることがより更に好ましい。
また、本開示のインキ組成物は、前記希土類錯体として、g値の最大値の発光波長の発光強度が大きくなる希土類錯体を含むことが、円偏光発光性の視認性が高まる点から好ましい。そのために、前記希土類錯体は、発光効率が高くなることが好ましく、具体的には、後述する実施例と同様に求められる発光効率が5%以上であることが好ましい。
本開示のインキ組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、印刷方式に応じたインキ特性を有するように、溶剤を含有してもよい。
溶剤としては、既知の溶剤を適宜選択して用いることができ、有機溶剤、乾性油、半乾性油、鉱物油、水等が挙げられる。
溶剤としては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン等が好適に用いられる。
本開示のインキ組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、印刷方式に応じたインキ特性を有するように、必要に応じて更に、樹脂、光硬化成分、各種添加剤等のその他の成分を含有していてもよい。
印刷方式に応じたインキ特性を有するように、溶剤の代わりに、常温(25℃)で液状の光硬化成分を含有していてもよい。
樹脂は、天然樹脂又は合成樹脂でよく、かつホモポリマー又はコポリマーでよい。油性インキの粘性を確保するためには、樹脂が固形であることが好ましい。天然樹脂としては、例えば、松脂、琥珀、シェラック、ギルソナイト等が挙げられる。
合成樹脂としては、例えば、ロジン、フェノール樹脂、変性アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、石油樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のマレイン酸樹脂、環化ゴム、アクリル樹脂、1液型ウレタン樹脂、2液型ウレタン樹脂、及びその他の合成樹脂が挙げられる。
また、水性インキとする場合には、例えば、水溶性樹脂、コロイダルディスパージョン樹脂、エマルジョン樹脂等を含んでよい。
上記で列挙した樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
モノマーとしては、従来から光重合に使用されていたエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。また、オリゴマーは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を、オリゴマー化することにより得られる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸系化合物;マレイン酸系化合物;ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリオール系、植物油系化合物等で変性したエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。
光重合開始剤は、例えば紫外線照射によって活性酸素等のラジカルを発生する化合物である。光重合開始剤としては、印刷に使用されている既知の光重合開始剤を適宜選択して含有させればよい。
本開示のインキ組成物は、円偏光発光性に優れ、且つ発光強度が大きい点から、インキ組成物の固形分全量に対する前記希土類錯体の含有割合が、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより更に好ましく、上限値は100質量%であって良い。一方でインキ層を形成し易い点から前記その他の成分を含有する場合、前記希土類錯体の含有割合の上限値は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがより更に好ましい。なお、本開示において固形分とは、溶剤以外の成分をいう。
本開示のインキ組成物が前記その他の成分を含有する場合は、インキ組成物の固形分全量に対する前記その他の成分に由来する固形分の割合は適宜調整されれば良いが、発光強度の点から、60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがより更に好ましい。
また、本開示のインキ組成物が溶剤を含有する場合、溶剤を含むインキ組成物全量に対する固形分の割合は、印刷方法に応じて適宜調節され、特に限定はされないが、印刷適性の点から、5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
本開示のインキ組成物の製造方法としては、前述した本開示のインキ組成物が得られる方法であれば特に限定はされず、例えば、前記希土類錯体と、溶剤と、必要に応じて用いられる前記その他の成分とを、公知の混合手段を用いて混合する方法が挙げられる。
各成分の混合及び分散は、単なる攪拌であってもよいし、例えば一軸ミキサー及び二軸ミキサー等のミキサーや、例えば3本ローラーミル、ビーズミル、ボールミル、サンドグラインダー及びアトライター等の練肉機(ink mill)により行なうことができる。
本開示のセキュリティインキ組成物は、可視光では目視不可能で、可視光以外の励起光の照射により蛍光を発し、且つ円偏光発光性を有するため、当該発光の特殊性から、真贋判定用途、偽造防止用途等の各種セキュリティ用途に好適に用いられるものである。
本開示の印刷物は、一般式(1)又はその鏡像異性体で表される、円偏光発光性希土類錯体を含有するインキ層を有する、セキュリティ印刷物である。
本開示の印刷物は、前記本開示のインキ組成物の固化物を含有するインキ層を有する、印刷物であってよい。
図1は、本開示に係る印刷物の一例を示す概略断面図である。印刷物1は、基材10の一方の面にインキ層11を有している。インキ層11は、前記一般式(1)又はその鏡像異性体で表される円偏光発光性希土類錯体を含有する層であり、前記本開示の1実施形態のインキ組成物を用いて形成されていてよい。
本開示の印刷物は、インキ層が、発光強度が高く、円偏光発光性に優れ、且つ、透明性に優れる。そのため、本開示の印刷物は、通常無色で存在が知られず、塗膜とした場合の発光強度が十分で所定の円偏光フィルタを介して真贋判定可能なインキ層を形成可能であり、その発光の特殊性から、高い偽造防止性を有する実用的な印刷物を提供可能である。
本開示の印刷物が有するインキ層は、前記一般式(1)又はその鏡像異性体で表される円偏光発光性希土類錯体を含有するインキ層であり、前記本開示のインキ組成物の固化物を含有するインキ層であってよく、すなわち、前記本開示のインキ組成物を用いて形成されたインキ層であってよい。
前記本開示のインキ組成物については、前述した通りなので、ここでの説明を省略する。
本開示において、固化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化した物をいう。前記固化物としては、例えば、硬化反応により硬化した硬化物、乾燥により固化した物、熱可塑性樹脂の冷却により固化した物等が挙げられる。
前記塗布の方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、特に限定はされないが、例えば、凹版印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷、スプレー印刷、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法、ディップコート法等が挙げられる。
前記インキ層は、基材の片面又は両面の全体に形成されたものであってもよいし、パターン状に形成されたものであってもよい。
前記基材としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等の紙類、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレート等の各種合成樹脂のプラスチックシート、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルム、あるいは基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム(いわゆる合成紙)等が挙げられる。前記基材は、必ずしもフィルム乃至シート状でなくてもよく、立体的な形状を持つ樹脂成形体等であってもよい。
本開示のセキュリティ印刷物は、前記インキ層が特殊な円偏光発光性に優れ、透明性が高く、且つ発光強度が大きいことから、偽造防止印刷物として好適に用いることができる。偽造防止印刷物としては、例えば、手形、小切手、株券、社債券、各種証券等の有価証券、銀行券、商品券、交通機関の乗車券、有料施設やイベントの入場券、宝くじ、公営競技の投票券の当たり券、印紙類、クレジットカード等のカード、パスポート、身分証明書、各種商業印刷物、ポスター等が挙げられる。
本開示の真贋判定方法は、前記本開示のセキュリティ印刷物の蛍光発光を、バンドパスフィルタと円偏光フィルタとにこの順で通して、観察することにより、真正品を判定する真贋判定方法である。
例えば、円偏光発光性ユウロピウム錯体の蛍光円偏光度の高い発光波長は594nmであり、この発光強度はメインの613nmに比べて微弱である。メインとなる613nmの円偏光度は594nmに比べて低いため、たとえ594nmの円偏光度が高くても、何十倍も強度が高くて円偏光度の低い光が混在すると、その円偏光度を視認できなくなる。
そのため、バンドパスフィルタなどで、円偏光度の高い波長のみを選択的に抽出し、かつ異なる偏光度の光を遮断するため、円偏光フィルタを組み合わせるフィルタセットが必要となる。
図2は、前記本開示の1実施形態の真贋判定方法の一例を示す図である。図2は、前記本開示のセキュリティ印刷物20に励起光源21による励起光照射22を行いながら、セキュリティ印刷物20の蛍光発光を、バンドパスフィルタ23と円偏光フィルタ24とにこの順で通して、観察する。前記本開示のセキュリティ印刷物20の蛍光発光を、バンドパスフィルタ23と円偏光フィルタ24とにこの順で通すと、前記セキュリティ印刷物に含有される円偏光発光性希土類錯体の蛍光発光による左円偏光もしくは右円偏光どちらかを一方的に検出することができる。
例えば、左円偏光を生じる円偏光発光性希土類錯体を含有するインキ層が部分的に形成された印刷物では、当該印刷物の蛍光発光を、バンドパスフィルタと左円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタとに通すと部分的に塗布された部分の左円偏光が検出され、すなわち発光が観察されるが、バンドパスフィルタと右円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタとに通すと円偏光は検出されず、発光は観察されない。その明暗のコントラストから、印刷物の真贋を判定することができる。
また、左円偏光を生じる円偏光発光性希土類錯体を含有するインキ層と、右円偏光を生じる円偏光発光性希土類錯体を含有するインキ層とがそれぞれ部分的に形成された印刷物では、当該印刷物の蛍光発光を、バンドパスフィルタと左円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタとに通した場合と、バンドパスフィルタと右円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタとに通した場合とで、発光の観察パターンが異なる。このようなインキ層の発光の特殊性から、本開示の1実施形態の真贋判定方法は、優れた真贋判定性を有する。
また、円偏光フィルタ24としても、従来公知の円偏光フィルタの構成を適宜選択して採用することができる。例えば、円偏光フィルタとしては、直線偏光板とλ/4板の組み合わせが挙げられる。左円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタと、右円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタとしては、直線偏光板と、位相が互いに90°異なるλ/4板を別々に組み合わせたフィルタを用いることができる。円偏光板に用いられる直線偏光板やλ/4板もそれぞれ、従来公知の構成を適宜選択して採用することができる。
図3及び図4はそれぞれ、本開示の1実施形態の真贋判定方法に用いられるフィルタセットの一例を示す。例えば、図3に示すように、一面に、バンドパスフィルタ23と、左円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタ24aと右円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタ24bとを備え、折り畳み線26で折り畳んで用いるフィルタセット25であってもよい。当該フィルタセット25は、図4に示すように、バンドパスフィルタ23と、左円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタ24aと右円偏光を一方的に検出できる円偏光フィルタ24bとが重なるように、折り畳み線26で折り畳んで用いることにより、蛍光発光を、バンドパスフィルタ23と円偏光フィルタ24とにこの順で通して観察することが可能なフィルタセットである。他の例として、フィルタセット25を眼鏡形状にすることも考えられる。
酢酸ユウロピウムn水和物(710mg、1.8mmol)および蒸留水150mL、アンモニウム水溶液(数滴)、メタノール10mLを300mLナスフラスコに加えた。(+)-3-(trifluoroacetyl)camphor (+tfc,1000mg、4mmol)をメタノール10mLに溶かし、前記酢酸ユウロピウム水溶液に撹拌しながら加え、室温で3時間撹拌した。生成した黄色の沈殿を吸引ろ過により回収した後、蒸留水で洗浄し、得られた黄色の粉末を減圧下で乾燥させた。これにより、[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た。
ESI-MS(m/z):[M-(2H2O)+Na]+;
M:[Eu(-tfc)3(H2O)2] 計算値917.19 実測値917.16
ESI-MS測定装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Thermo Scientic Exactiveを用いた。ESI-MS測定結果を以下に示す。
ESI-MS(m/z):[M-(+tfc)]+;
M:[Eu(+tfc)3(tdmpo)2] 計算値1563.41 実測値1563.38
M:[Eu(+tfc)3(tdmpo)] 計算値1105.26 実測値1105.27
これにより、得られた円偏光発光性希土類錯体1は[Eu(+tfc)3(tdmpo)2]、及び[Eu(+tfc)3(tdmpo)]の混合物であることが明らかにされた。
合成例1において、(+)-3-(trifluoroacetyl)camphor (+tfc,1000mg、4mmol)を用いた代わりに、(-)-3-(trifluoroacetyl)camphor (-tfc,1000mg、4mmol)を用いた以外は、合成例1と同様にして、円偏光発光性希土類錯体2を合成し、合成例1と同様にして同定した。
ESI-MS(m/z):[M-(-tfc)]+;
M:[Eu(-tfc)3(tdmpo)2] 計算値1563.41 実測値1563.42
M:[Eu(-tfc)3(tdmpo)] 計算値1105.26 実測値1105.27
これにより、得られた円偏光発光性希土類錯体2は[Eu(-tfc)3(tdmpo)2]、及び[Eu(-tfc)3(tdmpo)]の混合物であることが明らかにされた。
合成例1と同様にして[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(+tfc)3(H2O)2(3mg)と、2当量に相当するtdmpoを少量のジクロロメタン溶媒(0.1mL)に溶解させ、その溶液をガラス基板上に塗布し乾燥させた。その結果、透明なフィルムが得られた。
得られた円偏光発光性希土類錯体3について、発光スペクトル形状が円偏光発光性希土類錯体1と類似したことから、得られた円偏光発光性希土類錯体3は円偏光発光性希土類錯体1と配位環境すなわち構造が近しいことが明らかにされた。
合成例1と同様にして[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(+tfc)3(H2O)2(3mg)と、3当量に相当するtdmpoを少量のジクロロメタン溶媒(0.1 mL)に溶解させ、その溶液をガラス基板上に塗布し乾燥させた。その結果、透明なフィルムが得られた。
得られた円偏光発光性希土類錯体4について、発光スペクトル形状が円偏光発光性希土類錯体1と3と類似したことから、得られた円偏光発光性希土類錯体4は配位環境すなわち構造が円偏光発光性希土類錯体1と3と近いが、後述するように、円偏光発光性希土類錯体3と寿命成分比がわずかに異なることから、その成分比は違うと考えられる。
合成例2と同様にして[Eu(-tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(-tfc)3(H2O)2(3mg)と、2当量に相当するtdmpoを少量のジクロロメタン溶媒(0.1mL)に溶解させ、その溶液をガラス基板上に塗布し乾燥させた。その結果、透明なフィルムが得られた。
得られた円偏光発光性希土類錯体5について、発光スペクトル形状が円偏光発光性希土類錯体2と類似したことから、得られた円偏光発光性希土類錯体5は円偏光発光性希土類錯体2と配位環境すなわち構造が近しいことが明らかにされた。
合成例2と同様にして[Eu(-tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(-tfc)3(H2O)2(3mg)と、3当量に相当するtdmpoを少量のジクロロメタン溶媒(0.1 mL)に溶解させ、その溶液をガラス基板上に塗布し乾燥させた。その結果、透明なフィルムが得られた。
得られた円偏光発光性希土類錯体6について、発光スペクトル形状が円偏光発光性希土類錯体2と5と類似したことから、得られた円偏光発光性希土類錯体6は配位環境すなわち構造が円偏光発光性希土類錯体2と5と近いが、円偏光発光性希土類錯体5と寿命成分比がわずかに異なることから、その成分比は違うと考えられる。
合成例1と同様にして[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(+tfc)3(H2O)2(3mg)と、2当量に相当する下記式で表されるTris(2,6-dimethoxyphenyl)phosphine(tdmp)を少量のジクロロメタン溶媒(0.1mL)に溶解させ、その溶液をガラス基板上に塗布し乾燥させた。その結果、透明なフィルムが得られた。
得られた円偏光発光性希土類錯体7は、発光スペクトル形状が円偏光発光性希土類錯体1と類似しており、円偏光発光性希土類錯体1と比較的近い構造を形成していると考えられる。
合成例1と同様にして[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(+tfc)3(H2O)2(3mg)と、2当量に相当する下記式で表されるTris(4-methoxyphenyl)phosphine oxide)(tmpo)を少量のジクロロメタン溶媒(0.1mL)に溶解させ、その溶液をガラス基板上に塗布し乾燥させた。その結果、透明なフィルムが得られた。
得られた円偏光発光性希土類錯体8は円偏光発光スペクトル測定よりマイナス側の円偏光発光特性を持つことを確認した。
ESI-MS(m/z):[M-(+tfc)]+;
M:[Eu(+tfc)3(tmpo)2] 計算値1383.35 実測値1383.36
これにより、得られた円偏光発光性希土類錯体8は[Eu(+tfc)3(tmpo)2]であった。
合成例1と同様にして[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(+tfc)3(H2O)2(3mg)と、2当量に相当するトリフェニルフォスフィンオキシド(tppo)を少量のジクロロメタン溶媒(0.1mL)に溶解させ、その溶液をガラス基板上に塗布し乾燥させた。その結果、透明なフィルムは得られず、淡黄色の粉体が得られた。
得られた比較円偏光発光性希土類錯体1は、発光スペクトル形状が、元素分析で同定されている[Eu(+tfc)3(tppo)2]の発光スペクトル形状と類似したことから、Eu(+tfc)3(tppo)2]であると考えられる。
合成例1と同様にして[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(+tfc)3(H2O)2(1mg)と、2当量に相当するtdmpoを混合し、メノウ乳鉢と乳棒を用い、15分間ミリングした。得られたEu(+tfc)3+2tdmpo-ミリング物(1mg)を少量のKBr(150mg)と混合し、圧力(48kN,3min)をかけた。その結果、長径1cmの錠剤が得られた。
参考合成例1において[Eu(+tfc)3(H2O)2]を得た後、Eu(+tfc)3(H2O)2(1mg)と、2当量に相当するtdmpoを混合する代わりに、3当量に相当するtdmpoを混合した以外は、参考合成例1と同様にして、長径1cmの錠剤を得た。
(1)セキュリティインキ組成物1の調製
合成例1で得られた円偏光発光性希土類錯体1を0.3質量部と、ジクロロメタンを10質量部とを混合することで、セキュリティインキ組成物1を調製した。
(2)印刷物の作製
得られたセキュリティインキ組成物1をバーコーターで印刷紙に塗布後、乾燥することでインキ層を形成し、実施例1の印刷物を得た。
(1)セキュリティインキ組成物の調製
実施例1において、合成例1で得られた円偏光発光性希土類錯体1の代わりに、合成例2~8で得られた円偏光発光性希土類錯体2~8を用いて、実施例1と同様にしてセキュリティインキ組成物2~8を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1において、セキュリティインキ組成物1の代わりに、セキュリティインキ組成物2~8を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2~8のインキ層を形成し、印刷物を得た。
(1)セキュリティインキ組成物の調製
実施例1において、合成例1で得られた円偏光発光性希土類錯体1の代わりに比較円偏光発光性希土類錯体1を用いて、実施例1と同様にして比較セキュリティインキ組成物1を調製した。
(2)印刷物の作製
実施例1において、セキュリティインキ組成物1の代わりに、比較セキュリティインキ組成物1を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインキ層を形成した。比較例1のインキ層は粉末状のものが析出した状態となり、粉末の定着性にも乏しく、表面が均一な塗膜とはならなかった。
各セキュリティインキ組成物のインキ層の下記評価は、石英基板(厚み3mm、アズワン製、2-9784-01)上に、乾燥後の膜厚が200μmとなるように、塗布して乾燥したインキ層を用いて行った。
1.発光スペクトル測定
セキュリティインキ組成物のインキ層の発光スペクトルを測定した。
発光スペクトルの測定条件は以下のとおりである。
測定装置: モジュール型蛍光分光光度計(FluoroLog-3、HORIBA製)
測定条件:測定波長域:550-720nm、励起波長:350nm、測定波長間隔:0.1nm
また、この配位環境の対称性が高いことは各配位子が円偏光発光特性を高める適切な距離を保っていることの証左と考えられる。すなわち配位環境の対称性は3分子の2座のキラルなアセチルアセトン配位子の配位構造の対称性を主に示していると考えられ、正八面体構造をとる場合に対称性が最も高くなる。ホスフィンオキシドないしホスフィン配位子が希土類金属に近づきすぎると、2座のキラルなアセチルアセトン配位子が3分子希土類金属に配位した場合に対称性の高い正八面体構造をとることが難しくなり、希土類錯体の配位環境の対称性が低下してしまう。本願のホスフィンオキシドないしホスフィン配位子では置換基の導入によって、希土類金属と適切な距離を保つことで、キラルなアセチルアセトン配位子が対称性の配位環境を有することができ、その結果発光に関わるエネルギー移動が効率的になることで、円偏光発光特性や発光効率を高めることができると考えられる。
発光スペクトル測定の結果を図5~9に示す。図5は、実施例1及び実施例2の、図6は実施例3および4の、図7は実施例5および6の、図8は実施例7の、図9は実施例8および比較例1のインキ層の発光スペクトルを示す。図5において、実線は、実施例1のインキ層の発光スペクトル、点線は、実施例2のインキ層の発光スペクトルである。図6において、実線は、実施例3のインキ層の発光スペクトル、点線は、実施例2のインキ層の発光スペクトルである。図7において、実線は、実施例5のインキ層の発光スペクトル、点線は、実施例6のインキ層の発光スペクトルである。図9において、実線は、実施例8のインキ層の発光スペクトル、点線は、比較例1のインキ層の発光スペクトルである。実施例1~7のインキ層の発光スペクトルは、610nmにシャープな1本の発光が観測された点で類似しており、この点から希土類錯体の構造が近しいことが推察できる。当該発光スペクトルは、希土類金属の発光を示しており、その配位環境の対称性を反映しているからである。また、図6における実施例3と実施例4のインキ層の発光スペクトル、図7における実施例5と実施例6のインキ層の発光スペクトルを比較すると、610nmのメインの発光の長波長側(617nm付近)の発光強度にわずかではあるが差があり、実施例4及び6の方が617nm付近の発光強度が低くなっており、より対称性が高くなっているといえる。これは、対応するホスフィンオキシド配位子の配位数が増えたことによって、希土類金属にホスフィンオキシド配位子が近づきにくくなり、アセチルアセトン配位子がより対称性の高い配位環境を確保できているためだと考えられる。実施例8のインキ層の発光スペクトルは610nm付近に2本の発光が観測され、実施例1~7の希土類錯体と比較してやや対称性が低いが、比較例1のインキ層の発光スペクトルよりはその分裂の程度が低いため、比較例1の希土類錯体よりは配位環境の対称性が高いことを示唆している。
実施例3及び実施例4のインキ層の発光減衰挙動を測定した。
発光減衰挙動の測定条件は以下のとおりである。
測定装置:モジュール型蛍光分光光度計(FluoroLog-3、HORIBA製)
測定条件:励起波長:356nm、検出波長:612nm
セキュリティインキ組成物のインキ層の円偏光発光(CPL)スペクトルを測定した。
円偏光発光(CPL)スペクトルの測定条件は以下のとおりである。
測定装置:円偏光ルミネセンス測定装置(CPL-200、日本分光株式会社製)
励起波長: 350nm
感度:100mdeg.
走査速度:10nm/min
測定間隔:0.2nm
セキュリティインキ組成物のインキ層の透明性を評価するために、JIS-7361-1に準拠して、全光線透過率を測定した。
全光線透過率の測定条件は以下のとおりである。実施例及び比較例の各インキ層の全光線透過率を表2に示す。
測定装置:顕微分光測定装置(OSP-SP200、オリンパス製)
測定条件:ブランク状態の入射光量を測定した後、サンプルのインキ層をセットした状態での透過光量を測定し、その2つの比によって求めた。
セキュリティインキ組成物のインキ層の発光効率(ΦL)を測定した。
発光効率(ΦL)の測定条件は以下のとおりである。実施例及び比較例の各インキ層の発光効率(ΦL)を表2に示す。
測定装置:蛍光積分球ユニット(ILF-533、直径100mmφ、日本分光(株)製)を取り付けた蛍光分光光度計(FP6300、日本分光(株)製)
測定条件:測定波長域:350-720nm、励起波長:370nm、測定波長間隔:0.2nm
算出方法:積分球を用いて、インキ層の発光スペクトルを測定した。励起波長は370nm、測定範囲は350nm~720nmとした。リファレンスとして、励起光のスペクトルを同様の条件で測定した。これらの差スペクトルを求め、インキ層が光吸収した強度IEXとEu(III)イオンの発光強度IEUから、以下の式を用いて発光量子収率ΦLを算出した。λは波長(nm)、νは周波数(cm-1)である。
セキュリティインキ組成物のインキ層の円偏光発光の目視判定を行った。左円偏光もしくは右円偏光どちらかを一方的に検出可能なCPL検出装置として図2に示される装置を用いた。図2における励起光源21として紫外線照射ランプを用い、紫外線照射22を行いながら、セキュリティ印刷物20の蛍光発光を、バンドパスフィルタ23と円偏光フィルタ24とにこの順で通して、観察した。バンドパスフィルタは594nm透過フィルタを用い、円偏光フィルタ24としては、直線偏光板と位相が互いに90°異なるλ/4板を別々に組み合わせたフィルタによって、左円偏光もしくは右円偏光どちらかを一方的に検出した。
図11は、セキュリティインキ組成物を部分的に塗布したサンプル調製法を示した図である。合成例1のような(+)-3-(trifluoroacetyl)camphorを用いて調製された円偏光発光性希土類錯体を含むセキュリティインキ組成物の場合には、図11の30のように、星型に塗布した。合成例2のような(-)-3-(trifluoroacetyl)camphorを用いて調製された円偏光発光性希土類錯体を含むセキュリティインキ組成物の場合には、図11の31のように、星型を白抜きにした円状に塗布した。
10 基材
11 インキ層
20 セキュリティ印刷物
21 励起光源
22 紫外線照射
23 バンドパスフィルタ
24、24a、24b 円偏光フィルタ
25 フィルタセット
26 折り畳み線
Claims (7)
- 下記一般式(1)、又はその鏡像異性体で表される、円偏光発光性希土類錯体を含有する、セキュリティインキ組成物。
Zは各々独立に、ホスフィンオキシド(P=O)、又はリン(P)を表す。
Yは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すが、Yが結合しているフェニル基1個につき、少なくとも1つのYがアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基であり、Yに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
Xは、直接結合、或いは、-O-、-S-、-NR-(ここで、Rは水素原子又は炭素数1~22の炭化水素基)、又は炭素数1~22の炭化水素基を表す。
Qは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すか、或いは、互いに結合して6員環の芳香族炭化水素環を形成していても良く、Qに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R1は、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R1に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R2及びR3は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R2及びR3に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
n1は0~6の数を表し、n2は0~3の数を表すが、n1+2×n2は1以上6以下である。mは3の数を表す。
n1、n2又はmが2以上の場合に、括弧内の構造は、同一でも異なっていても良い。) - 前記一般式(1)中、Yが結合しているフェニル基1個につき、Zに対してオルト位又はメタ位の少なくとも1つのYが、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基である、円偏光発光性希土類錯体を含有する、請求項1に記載のセキュリティインキ組成物。
- 下記一般式(1)、又はその鏡像異性体で表される、円偏光発光性希土類錯体を含有するインキ層を有する、セキュリティ印刷物。
Zは各々独立に、ホスフィンオキシド(P=O)、又はリン(P)を表す。
Yは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すが、Yが結合しているフェニル基1個につき、少なくとも1つのYがアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基であり、Yに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
Xは、直接結合、或いは、-O-、-S-、-NR-(ここで、Rは水素原子又は炭素数1~22の炭化水素基)、又は炭素数1~22の炭化水素基を表す。
Qは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表すか、或いは、互いに結合して6員環の芳香族炭化水素環を形成していても良く、Qに含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R1は、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R1に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
R2及びR3は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~22の炭化水素基、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基のいずれかを表し、R2及びR3に含まれて良い炭化水素中の水素原子は各々独立にハロゲン原子に置換されていても良い。
n1は0~6の数を表し、n2は0~3の数を表すが、n1+2×n2は1以上6以下である。mは3の数を表す。
n1、n2又はmが2以上の場合に、括弧内の構造は、同一でも異なっていても良い。) - 前記一般式(1)中、Yが結合しているフェニル基1個につき、Zに対してオルト位又はメタ位の少なくとも1つのYが、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、又はメルカプト基である、円偏光発光性希土類錯体を含有する、請求項4に記載のセキュリティ印刷物。
- 請求項4~6のいずれか1項に記載のセキュリティ印刷物の蛍光発光を、バンドパスフィルタと円偏光フィルタとにこの順で通して、観察することにより、真正品を判定する真贋判定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019012911A JP7147596B2 (ja) | 2019-01-29 | 2019-01-29 | インキ組成物、印刷物、及び、真贋判定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019012911A JP7147596B2 (ja) | 2019-01-29 | 2019-01-29 | インキ組成物、印刷物、及び、真贋判定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020122041A JP2020122041A (ja) | 2020-08-13 |
JP7147596B2 true JP7147596B2 (ja) | 2022-10-05 |
Family
ID=71992203
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019012911A Active JP7147596B2 (ja) | 2019-01-29 | 2019-01-29 | インキ組成物、印刷物、及び、真贋判定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7147596B2 (ja) |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004067914A (ja) | 2002-08-08 | 2004-03-04 | Nippon Kayaku Co Ltd | インキ組成物 |
JP2005111704A (ja) | 2003-10-03 | 2005-04-28 | Dainippon Ink & Chem Inc | 識別マーク、及び該識別マークの判別方法、及び判別システム、並びに該識別マークを形成するためのラベル、及び転写箔 |
WO2008111293A1 (ja) | 2007-03-09 | 2008-09-18 | National University Corporation NARA Institute of Science and Technology | 希土類錯体およびその利用 |
JP2008297250A (ja) | 2007-05-31 | 2008-12-11 | Toshiba Corp | 蛍光性希土類錯体、ならびにそれを用いた発光素子、セキュリティー媒体、および照明装置 |
JP2009023914A (ja) | 2007-07-17 | 2009-02-05 | Mitsubishi Chemicals Corp | 新規希土類錯体、希土類錯体蛍光体並びに該蛍光体を用いた蛍光体含有組成物、積層体、色変換フィルム、発光装置、照明装置及び画像表示装置 |
JP2013121921A (ja) | 2011-12-09 | 2013-06-20 | Nara Institute Of Science & Technology | 円偏光発光性希土類錯体 |
JP2020121928A (ja) | 2019-01-29 | 2020-08-13 | 国立大学法人北海道大学 | 円偏光発光性希土類錯体 |
-
2019
- 2019-01-29 JP JP2019012911A patent/JP7147596B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004067914A (ja) | 2002-08-08 | 2004-03-04 | Nippon Kayaku Co Ltd | インキ組成物 |
JP2005111704A (ja) | 2003-10-03 | 2005-04-28 | Dainippon Ink & Chem Inc | 識別マーク、及び該識別マークの判別方法、及び判別システム、並びに該識別マークを形成するためのラベル、及び転写箔 |
WO2008111293A1 (ja) | 2007-03-09 | 2008-09-18 | National University Corporation NARA Institute of Science and Technology | 希土類錯体およびその利用 |
JP2008297250A (ja) | 2007-05-31 | 2008-12-11 | Toshiba Corp | 蛍光性希土類錯体、ならびにそれを用いた発光素子、セキュリティー媒体、および照明装置 |
JP2009023914A (ja) | 2007-07-17 | 2009-02-05 | Mitsubishi Chemicals Corp | 新規希土類錯体、希土類錯体蛍光体並びに該蛍光体を用いた蛍光体含有組成物、積層体、色変換フィルム、発光装置、照明装置及び画像表示装置 |
JP2013121921A (ja) | 2011-12-09 | 2013-06-20 | Nara Institute Of Science & Technology | 円偏光発光性希土類錯体 |
JP2020121928A (ja) | 2019-01-29 | 2020-08-13 | 国立大学法人北海道大学 | 円偏光発光性希土類錯体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020122041A (ja) | 2020-08-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Su et al. | Versatile bimetallic lanthanide metal-organic frameworks for tunable emission and efficient fluorescence sensing | |
Muthamma et al. | Luminophoric organic molecules for anticounterfeit printing ink applications: an up-to-date review | |
US20080274028A1 (en) | Security pigments and the process of making thereof | |
JP7081603B2 (ja) | インキ組成物、印刷物、及び、真贋判定方法 | |
JP4185032B2 (ja) | 蛍光画像形成物及び蛍光発光インク | |
JP7081073B2 (ja) | フォトルミネッセント鉄ドープスズ酸バリウム材料、セキュリティインク組成物及びそれらのセキュリティ特徴 | |
JP4589626B2 (ja) | 希土類金属化合物及びこれらの混合物 | |
TW201501961A (zh) | 防僞疊層 | |
Zhang et al. | Aggregation-induced photodimerization of an alkynylpyrene derivative as a photoresponsive fluorescent ink | |
Attia et al. | Inkjet Printable Luminescent Eu 3+-TiO 2 Doped in Sol Gel Matrix for Paper Tagging | |
EP3722379B1 (en) | Ink composition and printed matter | |
Soares‐Santos et al. | Lanthanide Complexes of 2, 6‐Dihydroxybenzoic Acid: Synthesis, Crystal Structures and Luminescent Properties of [nBu4N] 2 [Ln (2, 6‐dhb) 5 (H2O) 2](Ln= Sm and Tb) | |
Zhao et al. | Selective ligand sensitization of lanthanide nanoparticles for multilevel information encryption with excellent durability | |
Zhao et al. | Tricolor Upconversion Phosphors of LiYO2: RE3+/Yb3+ (RE= Tm, Ho, Eu) for Metamerism Anti‐Counterfeiting and 3D Volumetric Display | |
JP7147596B2 (ja) | インキ組成物、印刷物、及び、真贋判定方法 | |
Cuan et al. | Hydro‐Photo‐Thermo‐Responsive Multicolor Luminescence Switching of a Ternary MOF Hybrid for Advanced Information Anticounterfeiting | |
JP6296398B2 (ja) | インクセット及び印刷物並びに印刷方法 | |
Moudam et al. | Potential end-use of a europium binary photoluminescent ink for anti-counterfeiting security documents | |
JP7269621B2 (ja) | 円偏光発光性希土類錯体 | |
JP4407224B2 (ja) | 印刷インキおよび印刷物 | |
Dubey et al. | Multi-stimuli-responsive and dynamic color tunable security ink for multilevel anticounterfeiting | |
JP7156289B2 (ja) | インキ組成物及び印刷物 | |
KR20130074257A (ko) | 다기능성 융복합 보안용 잉크 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211129 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220713 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220823 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220905 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7147596 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |