JP7155943B2 - 液体口腔用組成物及び口腔用スプレー製剤 - Google Patents
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しかし、例えば、特許文献1(特許第3961140号公報)には、口臭予防成分のメントールや溶剤のエタノールを配合した液体口中清涼剤等の液体口腔用組成物にキシリトールを配合すると使用中、使用後の刺激等が減少し、口臭予防性と清涼感が維持され嗜好性が良くなることが提案されているが、使用直後には清涼感やすっきり感等が得られても持続せず、使用後までも口臭抑制実感を持続させることができなかった。
液体口腔用組成物では、口臭抑制のために、清涼感やすっきり感、さっぱり感を与え、口臭抑制成分でもあるメントールや、エタノールを使用しているが、これらの添加量を増やしても、口臭抑制実感の持続性が十分ではなく、むしろ、これらの添加量が増えるにつれて刺激感が強くなって使用感低下を招くこともあった。また、ポリグルタミン酸又はその塩自身に口臭抑制作用はほとんど認められず、その一方で、液体口腔用組成物にポリグルタミン酸又はその塩を添加すると、製剤粘度の上昇を招き、清涼感やさっぱり感を低下させてしまうこともあった。しかし、本発明によれば、(A)、(B)及び(C)成分をそれぞれ特定量で組み合わせ、更に(D)成分を特定量で併用して配合すると、これら四成分が特異的に相互作用し、口臭を抑制する生理的な効果と共に、上記優れた口臭抑制実感を付与することができた。この場合、(A)及び(B)成分に(C)成分をそれぞれ特定量で組み合わせて配合することで、特に口臭抑制実感の持続性が改善し、口腔内で使用直後から使用後、例えば20分以上の時間が経過後においても持続する高い口臭抑制実感(すっきり感、さっぱり感や清涼感等の感覚によって口臭が十分に抑えられたと感じられる効果感)を付与することができ、更に、(D)成分を特定量で併用して配合することで、上記優れた口臭抑制実感を低下させることなく維持しつつ、(A)成分又は(B)成分の添加量が比較的多くても刺激感を抑制し、また、製剤の外観安定性を保つこともできた。
更に、本発明では、(A)、(B)、(C)及び(D)成分に加えて、(E)有機酸及び/又はその塩を配合することで上記外観安定性をより改善でき、また(F)糖アルコールを配合することで上記口臭抑制実感をより高めることもできた。
本発明の作用効果は、(A)、(B)、(C)及び(D)成分のうちのいずれかが配合されていないと劣り、また、これら四成分が配合されていてもいずれかの成分量が不適切であると劣るものであった。後述の比較例に示すように、特に、(C)成分量が不適切であると口臭抑制実感の持続性が悪く(比較例5、6)、また、(D)成分量が少ないと刺激が抑制されず(比較例7)、多すぎると口臭抑制実感が悪くなった(比較例8)。これに対して、後述の実施例に示すように、本発明の(A)、(B)、(C)及び(D)成分をそれぞれ特定量で配合した液体口腔用組成物は、スプレー容器に充填してスプレー製剤に調製して口腔内に噴霧すると、使用直後の口臭抑制実感が優れ、この口臭抑制実感が使用して20分以上経過しても持続し、口臭抑制実感の持続性も優れ、かつ刺激感が抑制され、また、高温や低温で保存後もオリやニゴリの発生が抑えられ、製剤の外観安定性も良好なものであった。
〔1〕
(A)l-メントール 0.05~2質量%、
(B)エタノール 15~45質量%、
(C)ポリグルタミン酸及びその塩から選ばれる1種以上 0.01~0.5質量%
及び
(D)グリセリン 10~50質量%
を含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物。
〔2〕
更に、(E)炭素数4~8の鎖状有機酸及びその塩から選ばれる1種以上を0.17~3質量%含有する〔1〕に記載の液体口腔用組成物。
〔3〕
(E)成分が、クエン酸及びクエン酸塩から選ばれる1種以上である〔2〕に記載の液体口腔用組成物。
〔4〕
更に、(F)糖アルコールを1~20質量%含有する〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
〔5〕
〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の液体口腔用組成物がスプレー容器に充填された口腔用スプレー製剤。
l-メントールは、天然物由来でも合成品でも使用でき、例えば高砂香料工業(株)製の商品名「l-メントール」等の市販品を使用することもできる。
エタノールは、例えば日本アルコール産業(株)製の商品名「99% 1級発酵エタノール」等の市販品を使用することができる。
(C)成分としては、ポリグルタミン酸及び/又はポリグルタミン酸塩を使用でき、例えば、α-ポリグルタミン酸、γ-ポリグルタミン酸、これらのナトリウム塩やカリウム塩が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
また、上記ポリグルタミン酸塩としては、化学的に合成される原料と各種菌株から発酵生産物として得られる天然の原料が使用できるが、口腔用として使用することから天然のポリグルタミン酸のナトリウム塩又はカリウム塩が好ましく、特に原料としての生産性の高いγ-ポリグルタミン酸ナトリウムがより好ましい。
具体的には、(株)明治フードマテリア製の「γ-ポリグルタミン酸ナトリウム」等の市販品を使用することもできる。
グリセリンは、例えば阪本薬品工業(株)製の「濃グリセリン」等の市販品を使用することができる。
本発明では、(A)、(B)、(C)及び(D)成分に加えて、(E)有機酸及びその塩から選ばれる1種以上を配合すると、製剤の外観安定性がより向上する。
(E)成分としては、有機酸及び/又はその塩を使用できる。好ましくは炭素数4~8の鎖状有機酸及び/又はその塩であり、特に外観安定性の点から、クエン酸、クエン酸のナトリウム塩等のアルカリ金属塩を用いることができ、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを併用するとより好ましい。
(E)成分は、例えば扶桑化学工業(株)製等の市販品を使用できる。
(F)成分としては、例えばソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。中でも、べたつきや苦味の抑制及び良好な使用感(嗜好性の良さ)と口臭抑制実感の点から、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールが好ましく、特にキシリトールが好ましい。
(F)成分は、例えば三菱商事フードテック(株)製等の市販品を使用できる。
(F)糖アルコールを配合する場合、その配合量は、組成物全体の1~20%、特に3~15%が好ましい。
界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の配合量は1~8%が好ましい。
なお、液体口腔用組成物のpH(25℃)は通常の範囲でよく、pH6~8がよい。
本発明の口腔用スプレー製剤は、上記成分を含有する液体口腔用組成物がスプレー容器に収容され、使用時に口腔内に噴霧して適用される。
この場合、上記収容容器としては、薬剤を噴霧できる構造を有しているものであれば特に制限されない。具体的には、内容物を収容するプラスチックボトル等の容器本体と、ポンプディスペンサー等の噴霧機構を有するスプレー部とを備え、容器本体の上部開口部に密着して装着されたスプレー部の押圧部を押圧することで、容器本体に収容された内容物が、スプレー部の内容物排出機構によって内容物排出口(ノズル)から噴霧、排出されるもの(以下、スプレー容器と略す。)が使用できる。
図1の容器は、内容物を収容する容器本体1と噴霧機構を有するスプレー部2とを備え、容器本体1の上部開口部に、スプレー部2がパッキン3を備えたキャップ4によって密着して装着され、かつスプレー部2は、その内容物排出機構5の内容物流入路となるシリンダー6の下部突出部が、その先端開口部にチューブ7が備えられて容器本体1内に挿入されている。この容器は、スプレー部2の押圧部8を押圧することで、ピストン9がシリンダー6内をシリンダーガイド10に沿って上下することによって、容器本体1内の内容物が、チューブ7の下部開口部から、シリンダー6内の流量を調節するボール11を介して吸い上げられ、頭部シリンダー12を通って内容物排出機構のノズル13から噴霧、排出されるものである。なお、必要に応じて、スプレー部2にオーバーキャップ14を被せることができる。
このような容器を使用することは、噴霧性と共に、より優れた口臭抑制実感及びその持続性を発揮させるのに有効である。
表1~4に示す組成の液体口腔用組成物を下記方法で調製し、これらをサンプルとしてスプレー容器に充填し、試験用の口腔用スプレー製剤を得た。これら製剤を用い、下記方法で評価した。結果を表に併記した。
調製方法:
各成分を量り採り、撹拌機で混合して調製した。調製した液5mLを、スプレー容器((株)吉野工業所製、ディスペンサー;Y-201、ノズル孔0.25mm、噴霧量0.03mL/1プッシュ、ボトル:容量5mLのポリエチレンテレフタレート製ボトル)に充填し、試験用のスプレー製剤を得た。
(1)使用直後の口臭抑制実感の評価方法
被験者10名が、スプレー容器に充填したサンプルを口中に2プッシュ(噴霧量0.06mL)した直後の「口臭を抑制できた感じ」について、下記の5段階の評価基準で評価した。10名の平均点を求め、得られた平均点から下記の判定基準で使用直後の口臭抑制実感を判定し、☆、◎、○、△、×で示した。
評価基準
5点:非常に高く感じた
4点:かなり感じた
3点:感じた
2点:あまり感じなかった
1点:全く感じなかった
判定基準
☆:平均点4.0点以上
◎:平均点3.5点以上4.0点未満
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
被験者10名が、スプレー容器に充填したサンプルを口中に2プッシュ(噴霧量0.06mL)した後、「口臭を抑制している感じ」を感じた時間について、下記の4段階の評価基準で評価した。10名の平均点を求め、得られた平均点から下記の判定基準で口臭抑制実感の持続性を判定し、◎、○、△、×で示した。
評価基準
4点:30分以上
3点:20分以上30分未満
2点:10分以上20分未満
1点:10分未満
判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
被験者10名が、スプレー容器に充填したサンプルを口中に2プッシュ(噴霧量0.06mL)した時の「刺激感のなさ」について、下記の4段階の評価基準で評価した。10名の平均点を求め、得られた平均点から下記の判定基準で使用時における刺激感のなさを判定し、◎、○、△、×で示した。
評価基準
4点:刺激感を感じなかった
3点:刺激感をやや感じた
2点:刺激感を感じた
1点:刺激感を強く感じた
判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
スプレー容器に充填されたサンプルを50℃及び-5℃の温度条件下でそれぞれ1ヶ月間静置して保存した。製造直後品を基準とし、これと比較した50℃及び-5℃保存品の外観や性状(透明性や、析出物及びニゴリの状態)について目視にて確認して、下記の判定基準で製剤の外観安定性を判定し、☆、◎、○、△、×で示した。
判定基準
☆:無色透明で析出物は全く認められない
◎:ごく僅かに析出物やニゴリが認められる
○:やや析出物やニゴリが認められるが問題ないレベル
△:析出物やニゴリが認められる
×:顕著に析出物やニゴリが認められる
(A)l-メントール(高砂香料工業(株)製)
(B)エタノール(日本アルコール産業(株)製)
(C)ポリグルタミン酸ナトリウム
(γ-ポリグルタミン酸ナトリウム、(株)明治フードマテリア製)
(D)グリセリン(阪本薬品工業(株)製)
(E)クエン酸(扶桑化学工業(株)製)
(E)クエン酸ナトリウム(扶桑化学工業(株)製)
(F)ソルビトール(三菱商事フードテック(株)製)
(F)キシリトール(三菱商事フードテック(株)製)
(F)エリスリトール(物産フードサイエンス(株)製)
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ(株)製)
その他の成分については医薬部外品原料規格2006に適合したものを用いた。
2 スプレー部
3 パッキン
4 キャップ
5 内容物排出機構
6 シリンダー
7 チューブ
8 押圧部
9 ピストン
10 シリンダーガイド
11 ボール
12 頭部シリンダー
13 ノズル
14 オーバーキャップ
Claims (5)
- (A)l-メントール 0.05~2質量%、
(B)エタノール 15~45質量%、
(C)ポリグルタミン酸及びその塩から選ばれる1種以上 0.01~0.5質量%
及び
(D)グリセリン 10~50質量%
を含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物。 - 更に、(E)炭素数4~8の鎖状有機酸及びその塩から選ばれる1種以上を0.17~3質量%含有する請求項1記載の液体口腔用組成物。
- (E)成分が、クエン酸及びクエン酸塩から選ばれる1種以上である請求項2記載の液体口腔用組成物。
- 更に、(F)糖アルコールを1~20質量%含有する請求項1~3のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項記載の液体口腔用組成物がスプレー容器に充填された口腔用スプレー製剤。
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