JP7155932B2 - 粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粗紡機のフライヤに関する。
粗糸をボビンに巻き取る粗紡機にはフライヤが設けられている。粗紡機のフライヤは、たとえば、特許文献1に開示されているように、一対のフライヤレッグを有するフライヤ本体と、フライヤプレッサとを備える。この粗紡機において、ボビンに粗糸を巻き取る場合は、フライヤ本体が高速で回転し、この回転に従ってフライヤプレッサがボビンの周りを回転する。その際、フライヤプレッサのパドル部分は、ボビンの外周面、または、ボビンに巻かれた粗糸の表面に押し付けられる。
フライヤプレッサは、一方のフライヤレッグに回動可能に取り付けられている。そして、上述のようにフライヤ本体が高速で回転すると、これにともなう遠心力によってフライヤプレッサに回転力が発生し、この回転力によってフライヤプレッサのパドル部分がボビンの外周面等に押し付けられる。このときのフライヤプレッサの押し付け力は、フライヤ本体の回転によってフライヤプレッサに作用する遠心力によって決まり、その遠心力は、フライヤプレッサの重量(質量)、フライヤプレッサの重心位置、およびフライヤ本体の回転速度といった3つの要素によって決まる。
実開昭57-158780号公報
上述した3つの要素のうち、フライヤプレッサの重量およびフライヤプレッサの重心位置に関しては、フライヤプレッサ全体の形状および寸法を規定する設計値に基づいて予め固定的に決められる。このため、フライヤプレッサの重量およびフライヤプレッサの重心位置は常に一定である。一方、フライヤ本体の回転速度に関しては、これを変えることで、フライヤプレッサの押し付け力を変更することは可能である。ただし、上述したフライヤプレッサの重量およびフライヤプレッサの重心位置が常に一定であるため、フライヤ本体の回転速度が変わると、それに応じてフライヤプレッサの押し付け力も変わる。よって、従来においては、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに、フライヤの押し付け力を変更することはできなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに、フライヤプレッサの押し付け力を変更することができる、粗紡機のフライヤを提供することにある。
本発明に係る粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法は、一対のフライヤレッグを有するフライヤ本体と、一対のフライヤレッグのうち一方のフライヤレッグ側に回動可能に取り付けられたフライヤプレッサとを備える粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法であって、フライヤプレッサは、フライヤプレッサの重心位置をフライヤプレッサの回動中心からずらして設定するためのカウンタウェイトをフライヤプレッサの回動中心を中心に回動可能なプレッサ本体とは別体で構成するとともに、フライヤプレッサの回動中心に対してフライヤプレッサの重心位置を変更するように、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずにカウンタウェイトの重量、または、フライヤプレッサの回動中心に対するカウンタウェイトの位置調整する方法である
本発明に係る粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法において、重量が異なる複数のカウンタウェイトを適切なフライヤプレッサの押し付け力に応じて交換してもよい。
本発明に係る粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法において、プレッサ本体に対してカウンタウェイトの位置を適切なフライヤプレッサの押し付け力に応じて調整してもよい。
本発明に係る粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法において、プレッサ本体とカウンタウェイトとの間に挟まれる所定枚数のシムを有し、適切なフライヤプレッサの押し付け力に応じてプレッサ本体に対するカウンタウェイトの位置シムの枚数を変更することで調整してもよい。
本発明によれば、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに、フライヤプレッサの押し付け力を変更することができる。
第1実施形態に係る粗紡機のフライヤを示す一部破断正面図である。 図1に示すフライヤを上方向から見た場合のフライヤプレッサの配置を示す図である。 第1実施形態において重量が軽いカウンタウェイトをプレッサ本体に取り付けた状態を示す一部破断正面図である。 第1実施形態において重量が重いカウンタウェイトをプレッサ本体に取り付けた状態を示す一部破断正面図である。 第2実施形態に係る粗紡機のフライヤに用いられるフライヤプレッサを示す一部破断正面図である。 第3実施形態に係る粗紡機のフライヤの部分的な構成を示す一部破断正面図である。 第3実施形態において重量が軽いカウンタウェイトをプレッサ本体に取り付けた状態を示す一部破断図である。 第3実施形態において重量が重いカウンタウェイトをプレッサ本体に取り付けた状態を示す一部破断図である。 第4実施形態に係る粗紡機のフライヤに用いられるフライヤプレッサを示す一部破断図である。 第4実施形態においてシムを挟まずにカウンタウェイトをプレッサ本体に取り付けた状態を示す一部破断図である。
<第1実施形態>
図1は、本第1実施形態に係る粗紡機のフライヤを示す一部破断正面図である。
本第1実施形態に係る粗紡機のフライヤ1は、図示しないボビンに粗糸を巻き取る際に用いられるものであって、図1に示すように、フライヤ本体10と、フライヤプレッサ14と、バランスウェイト16とを備えている。
フライヤ本体10は、図示しないフライヤ駆動装置により、フライヤ1の回転中心となる軸線J1を中心に回転可能に設けられている。軸線J1は、粗紡機の設置状態において、鉛直方向に沿って設定される。本明細書においては、粗紡機の設置状態において、鉛直方向の上側を上方、鉛直方向の下側を下方として、各部の配置や位置関係を特定する。
フライヤ本体10は、アーバ部18と、ボス部20と、一対のフライヤレッグ21,22とを有している。フライヤ本体10は、たとえば、アルミニウム合金製の一体鋳造品によって構成される。アーバ部18は、フライヤ本体10の上部に設けられている。ボス部20は、アーバ部18と一対のフライヤレッグ21,22との間に設けられている。ボス部20にはフライヤスピンドル25が取り付けられている。フライヤスピンドル25は、軸線J1に沿ってボス部20から下方に延出している。フライヤスピンドル25は、一対のフライヤレッグ21,22の間に配置されている。
一対のフライヤレッグ21,22は、ボス部20から一方と他方に分岐して下方に延出している。一対のフライヤレッグ21,22は、フライヤ本体10が回転したときに、軸線J1の周りを旋回するものである。一対のフライヤレッグ21,22のうち、一方のフライヤレッグ21の内部には、細長いパイプ状の導糸管26が設けられている。
導糸管26の一部は、一方のフライヤレッグ21の内部に配置されている。導糸管26は、図示しない鋳型を用いてフライヤ本体10を製造する際に、鋳型に導糸管26を配置して溶融金属を流し込むことにより、アーバ部18、ボス部20およびフライヤレッグ21の中に鋳込まれる。導糸管26は、フライヤ本体10のアーバ部18内に導入される粗糸(図示せず)を、ボス部20およびフライヤレッグ21の内部を通してフライヤプレッサ14へと導くものである。導糸管26は、フライヤレッグ21の形状に沿うように曲げられている。
フライヤプレッサ14は、一方のフライヤレッグ21側に配置されている。フライヤプレッサ14は、一方のフライヤレッグ21側において、導糸管26の下端部26aに配置されている。導糸管26の下端部26aは、フライヤレッグ21の下端部21aよりも下方に突出しており、この突出部分に図示しないブッシュを用いてフライヤプレッサ14が回動可能に取り付けられている。フライヤプレッサ14は軸線J2を中心に回動可能に設けられている。
バランスウェイト16は、フライヤ1の重心位置をフライヤ1の回転中心に合わせるために、フライヤ1全体の重量バランスをとるものである。バランスウェイト16は、軸線J1を中心としたフライヤ1の重量バランスが、一方のフライヤレッグ21側と他方のフライヤレッグ22側でほぼ均等となるよう、フライヤプレッサ14と同等の重量を有している。バランスウェイト16は、フライヤレッグ22の下端部に取り付けられている。また、バランスウェイト16は、複数のウェイト16aによって構成されている。
フライヤプレッサ14は、プレッサ本体31と、プレッサアーム32と、プレッサパドル33と、カウンタウェイト34とを備えている。フライヤプレッサ14が配置される部分には、プレッサ自身の脱落を防止するために、ストッパ36とナット37が設けられている。ストッパ36は、導糸管26に固定されている。ストッパ36は、導糸管26の外周面よりも径方向外側に突出して配置されている。ナット37は、ボルト38を用いてプレッサ本体31に固定されている。フライヤプレッサ14は、ストッパ36の上面にナット37を載せて引っ掛けることにより、自重で脱落しないようになっている。
プレッサ本体31は、上述したブッシュ(図示せず)により、軸線J2を中心に回動可能に支持されている。プレッサアーム32は、プレッサ本体31からプレッサパドル33へと延出している。プレッサアーム32には、導糸管26の下端部26aから導出される粗糸(図示せず)がプレッサパドル33に向けて巻き掛けられる。プレッサパドル33は、軸線J1を中心にフライヤ本体10が回転した際に被押圧面30(図2参照)に押し付けられるものである。被押圧面30は、ボビンの外周面、または、ボビンに巻かれた粗糸の表面に相当する。
図2は、図1に示すフライヤを上方向から見た場合のフライヤプレッサの配置を示す図である。図2において、符号P1はフライヤ本体10の回転中心を示している。
フライヤプレッサ14のカウンタウェイト34は、フライヤプレッサ14の重心位置Gをフライヤプレッサ14の回動中心P2からずらして設定するためのウェイトである。フライヤプレッサ14の重心位置Gをフライヤプレッサ14の回動中心P2からずらして設定すると、フライヤ本体10が回転した際に、フライヤプレッサ14の重心位置Gに遠心力Fが働く。このため、フライヤプレッサ14には、回動中心P2を中心にR方向の回転力が発生する。これにより、フライヤプレッサ14のプレッサパドル33を被押圧面30に押し付けることができる。本明細書においては、フライヤプレッサの押し付け力とは、被押圧面に対するプレッサパドルの押し付け力を意味する。
カウンタウェイト34は、プレッサ本体31とは別体で構成されている。また、カウンタウェイト34は、ボルト39a,39bを用いてプレッサ本体31に取り付けられている。これにより、カウンタウェイト34は、プレッサ本体31に対して着脱可能に構成されている。ここで、フライヤプレッサ14の押し付け力は、フライヤプレッサ14の重心位置Gによって変わる。
そこで本第1実施形態においては、フライヤプレッサ14の回動中心P2に対してフライヤプレッサ14の重心位置Gを変更するように、カウンタウェイト34の重量が調整可能に構成されている。カウンタウェイト34の重量調整は、たとえば、重量が異なる複数のカウンタウェイト34を用意しておき、プレッサ本体31に取り付けるカウンタウェイト34を交換することにより行われる。その場合、交換可能なカウンタウェイト34には、図3に示すカウンタウェイト34aと、図4に示すカウンタウェイト34bとが含まれる。カウンタウェイト34bの厚み寸法はカウンタウェイト34aよりも大きく、その分だけカウンタウェイト34bの重量がカウンタウェイト34aよりも重くなっている。
ここで、図3に示すカウンタウェイト34aをプレッサ本体31に取り付けた場合に、フライヤプレッサ14の重心位置Gが図2に示す位置に存在するものと仮定する。そうした場合、プレッサ本体31に取り付けるカウンタウェイト34を、図3に示すカウンタウェイト34aから図4に示すカウンタウェイト34bへと交換すると、カウンタウェイト34の重量増加にともなって、フライヤプレッサ14の重心位置Gが図2に示す位置よりもカウンタウェイト34側に移動する。すなわち、カウンタウェイト34の交換により、フライヤプレッサ14の回動中心P2に対してフライヤプレッサ14の重心位置Gが変更される。
また、上述のようにプレッサ本体31に取り付けるカウンタウェイト34を、カウンタウェイト34aからカウンタウェイト34bへと交換すると、カウンタウェイト34の重量増加とこれにともなうフライヤプレッサ14の重心位置Gの変更により、フライヤプレッサ14を回そうとする力、すなわちモーメントが大きくなる。モーメントとは、回動中心P2と重心位置Gとの距離に遠心力を掛け合わせたものである。よって、フライヤ本体10の回転速度を変えなくても、フライヤプレッサ14の押し付け力を強めることができる。また、プレッサ本体31に取り付けるカウンタウェイト34を、図4に示すカウンタウェイト34bから図3に示すカウンタウェイト34aへと交換した場合は、カウンタウェイト34の重量減少とこれにともなうフライヤプレッサ14の重心位置Gの変更により、フライヤプレッサ14に作用するモーメントが小さくなる。よって、フライヤ本体10の回転速度を変えなくても、フライヤプレッサ14の押し付け力を弱めることができる。
このように本第1実施形態においては、フライヤプレッサ14の回動中心P2に対してフライヤプレッサ14の重心位置Gを変更するように、カウンタウェイト34の重量が調整可能に構成されている。このため、フライヤ本体10の回転速度の設定を変えずに、フライヤプレッサ14の押し付け力を変更することができる。これにより、重量が異なる複数のカウンタウェイト34の中から、たとえば、フライヤ本体10の回転速度、あるいは、フライヤ1で取り扱う粗糸の種類に応じて、いずれかのカウンタウェイト34を選択することができる。その結果、フライヤ本体10の回転速度や粗糸の種類に応じて、フライヤプレッサ14の押し付け力をより適切に設定することが可能となる。
なお、カウンタウェイト34を交換する前と後ではカウンタウェイト34の重量が変わる。このため、カウンタウェイト34を交換した場合は、交換後のカウンタウェイト34の重量に応じてバランスウェイト16の重量を調整し、フライヤプレッサ14全体の重量バランスをとる必要がある。この点は、後述する第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
また、本第1実施形態においては、交換可能なカウンタウェイト34として、重量が異なる2つのカウンタウェイト34a,34bを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、交換可能なカウンタウェイト34の個数は重量の違いによって3つ以上であってもよい。また、重量が異なる複数のカウンタウェイト34は、サイズが異なるもの以外にも、たとえば、カウンタウェイト34を構成する金属材料の比重が異なるものであってもよい。また、重量が同じカウンタウェイトを複数準備しておき、その取り付け個数を調整するようにしてもよい。
<第2実施形態>
図5は、本第2実施形態に係る粗紡機のフライヤに用いられるフライヤプレッサを示す一部破断正面図である。
本第2実施形態において、フライヤプレッサ40は、プレッサ本体41と、プレッサアーム42と、プレッサパドル43と、カウンタウェイト44とを備えている。そして、上記第1実施形態と大きく異なる点として、カウンタウェイト44が長尺状に形成されている。カウンタウェイト44は、プレッサ本体41から上方に長く延在することにより、一方のフライヤレッグ(図示せず)に沿って上下方向に長く分布して配置される。カウンタウェイト44の下端部はプレッサ本体41に連結されている。一方、カウンタウェイト44の上端部にはピン45が設けられている。フライヤプレッサ40は、このピン45の中心を通る軸線J2を中心に回動可能に支持される。
カウンタウェイト44は、第1カウンタウェイト44aと、第2カウンタウェイト44bとによって構成されている。上述したピン45は、第1カウンタウェイト44aの上端部に下向きに突出して設けられている。また、プレッサ本体41に対しては、第1カウンタウェイト44aの下端部が連結されている。これに対し、第2カウンタウェイト44bは、第1カウンタウェイト44aとは別体に構成されている。第2カウンタウェイト44bは、第1カウンタウェイト44aにボルト47a,47bを用いて取り付けられている。これにより、第2カウンタウェイト44bは、第1カウンタウェイト44aに対して着脱可能に構成されている。
上述のように上下方向に長く分布するカウンタウェイト44を備えるフライヤプレッサ40においても、フライヤプレッサの回動中心に対してフライヤプレッサの重心位置を変更するように、第2カウンタウェイト44bの交換によってカウンタウェイト44の重量を調整可能に構成することにより、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに、フライヤプレッサ40の押し付け力を変更することができる。具体的には、交換可能なカウンタウェイトとして、重量が異なる複数の第2カウンタウェイト44bを用意しておき、第1カウンタウェイト44aに取り付ける第2カウンタウェイト44bを、別の第2カウンタウェイト44bに付け替えることにより、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに、フライヤプレッサ40の押し付け力を変更することができる。
<第3実施形態>
図6は、本第3実施形態に係る粗紡機のフライヤの部分的な構成を示す一部破断正面図である。
本第3実施形態に係る粗紡機のフライにおいては、図6に示すように、一対のフライヤレッグ21,22の下端部21a,22aに補強リング12が配置されている。補強リング12は、フライヤ本体10を高速回転させたときに、一対のフライヤレッグ21,22の拡がりを抑制するために設けられるものである。補強リング12は、一対のフライヤレッグ21,22同士を連結するように、一対のフライヤレッグ21,22の下端部21a,22aに固定されている。一方のフライヤレッグ21の下端部21aにおいては、フライヤレッグ21と補強リング12とが、たとえば、フライヤレッグ21の下端部21aに設けられた突出部(図示せず)を補強リング12に設けられた孔(図示せず)に嵌め込み、その嵌め込み部分を接着することにより、互いに固定されている。他方のフライヤレッグ22の下端部22aにおいては、フライヤレッグ22と補強リング12とが、バランスウェイトを構成するウェイト一体型ボルト15によって互いに固定されている。これにより、一対のフライヤレッグ21,22の下端部21a,22aは、補強リング12によって連結されている。
フライヤプレッサ50は、プレッサ本体51と、プレッサアーム52と、プレッサパドル53と、後述するカウンタウェイトと、引っ掛け部55とを備えている。引っ掛け部55は、補強リング12に引っ掛けられることにより、フライヤプレッサ50の脱落を防止するものである。フライヤプレッサ50には溝56が形成され、この溝56を補強リング12の外周縁に嵌め込んで、溝56の上面56aを補強リング12の上面12aに載置することにより、引っ掛け部55が補強リング12に引っ掛けられている。
上記の引っ掛け部55を有するフライヤプレッサ50においても、上記第1実施形態と同様に、フライヤプレッサ50の回動中心に対してフライヤプレッサ50の重心位置を変更するように、カウンタウェイト(図示せず)の重量を調整可能に構成することにより、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに、フライヤプレッサ50の押し付け力を変更することができる。具体的には、交換可能なカウンタウェイトとして、たとえば図7に示すカウンタウェイト54aと、図8に示すカウンタウェイト54bとを用意する。図7および図8は、図6のフライヤプレッサ50をA方向から見た場合を示している。カウンタウェイト54a,54bは、プレッサ本体51とは別体で構成される。また、カウンタウェイト54aはボルト58a,58bを用いてプレッサ本体51に取り付けられ、カウンタウェイト54bもボルト58a,58bを用いてプレッサ本体51に取り付けられる。カウンタウェイト54bの厚み寸法はカウンタウェイト54aよりも大きく、その分だけカウンタウェイト54bの重量がカウンタウェイト54aよりも重くなっている。
このため、プレッサ本体51に取り付けるカウンタウェイトを、図7に示すカウンタウェイト54aから図8に示すカウンタウェイト54bへと交換すると、カウンタウェイトの重量増加にともなって、フライヤプレッサ50の重心位置がカウンタウェイト側に移動する。すなわち、カウンタウェイトの交換により、フライヤプレッサ50の回動中心に対してフライヤプレッサ50の重心位置が変更される。したがって、プレッサ本体51に取り付けるカウンタウェイトを、カウンタウェイト54aからカウンタウェイト54bへと交換した場合は、上記第1実施形態と同様の原理により、フライヤプレッサ50に作用するモーメントが大きくなる。よって、フライヤ本体の回転速度を変えなくても、フライヤプレッサ50の押し付け力を強めることができる。また、プレッサ本体51に取り付けるカウンタウェイトを、図8に示すカウンタウェイト54bから図7に示すカウンタウェイト54aへと交換した場合は、上記第1実施形態と同様の原理により、フライヤプレッサ50に作用するモーメントが小さくなる。よって、フライヤ本体の回転速度を変えなくても、フライヤプレッサ50の押し付け力を弱めることができる。したがって、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本第3実施形態においては、交換可能なカウンタウェイトとして、重量が異なる2つのカウンタウェイト54a,54bを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、交換可能なカウンタウェイトの個数は重量の違いによって3つ以上であってもよい。また、重力が異なる複数のカウンタウェイトは、サイズが異なるもの以外にも、たとえば、カウンタウェイトを構成する金属材料の比重が異なるものであってもよい。
<第4実施形態>
図9は、本第4実施形態に係る粗紡機のフライヤに用いられるフライヤプレッサを示す一部破断図である。
本第4実施形態においては、上記第3実施形態と比較して、プレッサ本体51に取り付けられるカウンタウェイト54の重量は変わらず、フライヤプレッサ50の回動中心となる軸線J2の位置に対してカウンタウェイト54の位置が調整可能に構成されている。具体的には、図9に示すように、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に所定枚数のシム59が挟まれている。そして、プレッサ本体51に対するカウンタウェイト54の位置が、シム59の枚数に応じて調整可能に構成されている。なお、フライヤプレッサ50の回動中心とプレッサ本体51との位置関係は常に同じであるため、プレッサ本体51に対してカウンタウェイト54の位置を調整することは、フライヤプレッサ50の回動中心に対してカウンタウェイト54の位置を調整することと同義である。
本第4実施形態においては、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に複数枚のシム59が挟まれている。各々のシム59は、たとえば金属製であって、平らな板状に形成されている。また、各々のシム59には、ボルト58a,58bのネジ部を通すための貫通孔が設けられている。プレッサ本体51にボルト58a,58bを用いてカウンタウェイト54を取り付ける場合は、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間にシム59を挟み込む。このとき、プレッサ本体51に対するカウンタウェイト54の位置は、シム59の枚数に応じて決まる。すなわち、シム59の枚数を増やすと、その分だけプレッサ本体51から離れた位置にカウンタウェイト54が取り付けられ、シム59の枚数を減らすと、その分だけプレッサ本体51に近づいた位置にカウンタウェイト54が取り付けられる。そして、図10に示すように、シム59の枚数をゼロ、すなわちプレッサ本体51とカウンタウェイト54との間にシム59を挟まない場合は、プレッサ本体51と接するようにカウンタウェイト54が取り付けられる。
本第4実施形態においては、プレッサ本体51に対するカウンタウェイト54の位置がシム59の枚数に応じて調整可能に構成されている。このため、図9に示すようにプレッサ本体51から離してカウンタウェイト54を配置した場合と、図10に示すようにプレッサ本体51に接してカウンタウェイト54を配置した場合で比較すると、フライヤプレッサ50の重心位置は、前者のほうが後者よりもフライヤプレッサ50の回動中心から遠い側に存在する。また、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に複数枚のシム59を挟んだ場合は、その枚数分のシム59の重量が加算される。このため、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に挟むシム59の枚数を増やすことにより、フライヤプレッサ50の押し付け力を強めることができる。また、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に挟むシム59の枚数を減らすことにより、フライヤプレッサ50の押し付け力を弱めることができる。
これにより、単一のカウンタウェイト54であっても、フライヤプレッサ50の押し付け力を変更することができる。したがって、フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに、フライヤプレッサ50の押し付け力を変更することが可能となる。また、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に挟むシム59の枚数によって、フライヤプレッサ50の押し付け力を微調整することができる。したがって、フライヤ本体10の回転速度や粗糸の種類に応じて、フライヤプレッサ14の押し付け力をより最適化することが可能となる。
なお、本第4実施形態においては、シム59を金属製としたが、本発明はこれに限らず、シム59を樹脂製としてもよい。金属製のシム59を用いる場合は、樹脂製のシム59に比べて、フライヤ全体の重量バランスに与える影響が大きくなる。このため、使用するシム59の枚数に応じてバランスウェイトの重量を調整することが好ましい。これに対して、樹脂製のシム59は非常に軽いため、重量バランスへの影響が小さい。ただし、使用するシム59の枚数が多くなると、重量バランスへの影響が無視できなくなるおそれがある。よって、樹脂製のシム59を用いる場合は、必要に応じてバランスウェイトの重量を調整すればよい。
また、本第4実施形態において、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に複数枚のシム59を挟む場合は、厚み寸法が同一のシム59どうしを組み合わせて用いてもよいし、厚み寸法が異なるシム59どうしを組み合わせて用いてもよい。
また、本第4実施形態においては、プレッサ本体51とカウンタウェイト54との間に所定枚数のシム59を挟み、そのシム59の枚数に応じてプレッサ本体51に対するカウンタウェイト54の位置を調整可能としたが、本発明はこれに限らない。たとえば、図示はしないが、プレッサ本体51に設けられたネジ孔にボルトをねじ込んで固定し、このボルトのネジ部にダブルナットを用いてカウンタウェイトを取り付けた構成を採用してもよい。この構成においては、ダブルナットの締め付けを緩めることにより、ボルトのネジ部の長さ方向でカウンタウェイトを任意の位置に移動させることができる。また、カウンタウェイトを所望の位置に移動させた状態でダブルナットを締め付けることにより、ボルトのネジ部にカウンタウェイトを固定することができる。これにより、シム59を使用しなくても、プレッサ本体51に対するカウンタウェイト54の位置、ひいてはフライヤプレッサ50の回動中心に対するカウンタウェイト54の位置を調整することが可能となる。また、プレッサ本体51に、フライヤプレッサ50の回動中心に対する距離が異なる複数の取り付け部を設け、カウンタウェイト54の取り付け位置を変更することで、フライヤプレッサ50の回動中心に対するカウンタウェイト54の位置を調整してもよい。
1 フライヤ、10 フライヤ本体、14,40,50 フライヤプレッサ、21,22 フライヤレッグ、31,41,51 プレッサ本体、34,34a,34b,44,54,54a,54b カウンタウェイト、44b 第2カウンタウェイト、59 シム、G フライヤプレッサの重心位置、P2 フライヤプレッサの回動中心。

Claims (4)

  1. 一対のフライヤレッグを有するフライヤ本体と、
    前記一対のフライヤレッグのうち一方のフライヤレッグ側に回動可能に取り付けられたフライヤプレッサと
    を備える粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法であって
    前記フライヤプレッサは、前記フライヤプレッサの重心位置を前記フライヤプレッサの回動中心からずらして設定するためのカウンタウェイトを前記フライヤプレッサの回動中心を中心に回動可能なプレッサ本体とは別体で構成するとともに、前記フライヤプレッサの回動中心に対して前記フライヤプレッサの重心位置を変更するように、前記フライヤ本体の回転速度の設定を変えずに前記カウンタウェイトの重量、または、前記フライヤプレッサの回動中心に対する前記カウンタウェイトの位置調整する
    粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法
  2. 量が異なる複数の前記カウンタウェイトを適切な前記フライヤプレッサの押し付け力に応じて交換する
    請求項1に記載の粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法
  3. 記プレッサ本体に対して前記カウンタウェイトの位置を適切な前記フライヤプレッサの押し付け力に応じて調整する
    請求項1に記載の粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法
  4. 記プレッサ本体と前記カウンタウェイトとの間に挟まれる所定枚数のシムを有し、適切な前記フライヤプレッサの押し付け力に応じて前記プレッサ本体に対する前記カウンタウェイトの位置前記シムの枚数を変更することで調整する
    請求項3に記載の粗紡機のフライヤにおけるフライヤプレッサの押し付け力の調整方法
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