JP7153460B2 - リポタンパク質の取り込み能を測定する方法及び試薬 - Google Patents
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Description
本実施形態のリポタンパク質の取り込み能を測定する方法(以下、「測定方法」ともいう)では、まず、試料中のリポタンパク質と、標識ステロールとを、環状構造を有さない界面活性剤の存在下で混合する。この混合により、環状構造を有さない界面活性剤の存在下にリポタンパク質と標識ステロールとが接触し、該標識ステロールがリポタンパク質に取り込まれる。
環状構造を有さない界面活性剤とは、非環式化合物である界面活性剤をいう。環状構造を有さない界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から適宜選択できるが、好ましくは非イオン性界面活性剤である。
本実施形態において、試料は、哺乳動物のリポタンパク質、好ましくはヒトのリポタンパク質を含む限り、特に限定されない。そのような試料としては、例えば、血液、血清、血漿などの血液試料、これらを希釈した試料が挙げられる。
標識ステロールは、標識物質を有するステロールである。以下、標識ステロールが有する標識物質を「第1の標識」ともいう。標識ステロールに用いられるステロールは、リポタンパク質に取り込まれる限り、特に限定されない。そのようなステロールとしては、例えば、コレステロール及びその誘導体が挙げられる。コレステロール誘導体としては、例えば、胆汁酸の前駆体、ステロイドの前駆体などが挙げられる。具体的には、3β-ヒドロキシ-Δ5-コレン酸、24-アミノ-5-コレン-3β-オルなどが好ましい。
X及びYは、同一又は異なって、-R2-NH-、-NH-R2-、-R2-(C=O)-NH-、-(C=O)-NH-R2-、-R2-NH-(C=O)-、-NH-(C=O)-R2-、-R2-(C=O)-、-(C=O)-R2-、-R2-(C=O)-O-、-(C=O)-O-R2-、-R2-O-(C=O)-、-O-(C=O)-R2-、-R2-(C=S)-NH-、-(C=S)-NH-R2-、-R2-NH-(C=S)-、-NH-(C=S)-R2-、-R2-O-、-O-R2-、-R2-S-、又は-S-R2-で表され、ここで、R2は、それぞれ独立して、結合手、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基若しくはヘテロアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3~8のシクロアルキレン基若しくはヘテロシクロアルキレン基であり、
Lは、-(CH2)d-[R3-(CH2)e]f-、又は-[(CH2)e-R3]f-(CH2)d-で表わされ、ここで、R3は、酸素原子、硫黄原子、-NH-、-NH-(C=O)-又は-(C=O)-NH-であり、
TAGは、タグであり、
a及びcは、同一又は異なって、0~6の整数であり、
bは、0又は1であり、
d及びeは、同一又は異なって、0~12の整数であり、
fは、0~24の整数である。)
本実施形態において、試料中のリポタンパク質と、標識ステロールとの混合は、例えば、リポタンパク質を含む試料と、標識ステロールを含む溶液と、環状構造を有さない界面活性剤を含む溶液とを混合することにより行うことができる。混合の順序は特に限定されない。これらを混合した後、リポタンパク質が標識ステロールを取りこみ始める。これにより、標識ステロールを取り込んだリポタンパク質を調製できる。あるいは、環状構造を有さない界面活性剤及び標識ステロールを含む溶液(以下、「反応バッファー」ともいう)をあらかじめ調製し、この反応バッファーと、リポタンパク質を含む試料とを混合してもよい。試料が、環状構造を有さない界面活性剤を含む水性媒体で希釈されている場合は、希釈された試料と、標識ステロールを含む溶液又は反応バッファーとを混合してもよい。試料が、環状構造を有さない界面活性剤を含む水性媒体で希釈されている場合であっても、リポタンパク質と標識ステロールとの接触において、環状構造を有さない界面活性剤を含む溶液や、上記反応バッファーを用いてよい。
本実施形態の測定方法は、リポタンパク質と、該リポタンパク質に結合する第1の捕捉体とを混合する工程をさらに含むことが好ましい。この混合により、リポタンパク質と第1の捕捉体とが接触し、リポタンパク質と第1の捕捉体との複合体が形成される。第1の捕捉体は、リポタンパク質の表面の一部と特異的に結合できる物質であれば特に限定されない。第1の捕捉体としては、リポタンパク質に特異的に結合する抗体が好ましく、リポタンパク質の構成成分であるアポリポプロテインと特異的に結合できる抗体がより好ましい。そのような抗体としては、例えば、抗ApoAI抗体、抗ApoAII抗体などが挙げられる。それらの中でも、抗ApoAI抗体が特に好ましい。市販の抗リポタンパク質抗体及び抗ApoAI抗体を用いてもよい。
本実施形態では、上記の接触工程と後述の測定工程との間に、未反応の遊離成分を除去する洗浄工程を行ってもよい。この洗浄工程は、B/F分離及び複合体の洗浄を含む。未反応の遊離成分とは、標識ステロールを取り込んだリポタンパク質を含む複合体を構成しない成分である。例えば、リポタンパク質に取り込まれなかった遊離の標識ステロール、リポタンパク質と結合しなかった遊離の第1の捕捉体などが挙げられる。B/F分離の手段は特に限定されないが、例えば、超遠心分離法などにより複合体だけを回収することで、複合体と、未反応の遊離成分とを分離できる。複合体を固相上に形成させている場合、固相が粒子であれば、遠心分離や磁気分離により粒子を回収し、上清を除去することにより、複合体と、未反応の遊離成分とを分離できる。固相がマイクロプレートやマイクロチューブなどの容器であれば、未反応の遊離成分を含む液を除去することにより、複合体と、未反応の遊離成分とを分離できる。
本実施形態の測定方法では、上記の調製工程の後、リポタンパク質による標識ステロールの取り込み能を測定する。取り込み能の測定は、リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールに由来するシグナルを検出することにより行われる。このシグナルは、リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールの量を反映するので、該シグナルの検出結果はリポタンパク質の取り込み能の指標となる。したがって、本実施形態の測定方法は、リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールに由来するシグナルに基づいて、リポタンパク質の取り込み能を評価する方法ともいうことができる。
リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールに由来するシグナルは、リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールを検出するときに発生するシグナルであってもよい。リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールを検出するために、本実施形態では、標識ステロールと、該標識ステロールに結合する第2の捕捉体とを接触させて、複合体を形成させてもよい。この場合、標識ステロールは、タグ付加ステロールが好ましく、タグ付加コレステロールがより好ましい。また、第2の捕捉体は、タグに特異的に結合する物質が好ましい。
第2の捕捉体は、第2の標識で標識されることが好ましい。第2の捕捉体が第2の標識で標識されている場合、標識ステロールと第2の捕捉体との複合体中の第2の標識に由来するシグナルを検出することにより、取り込み能を測定できる。
第2の標識に由来するシグナルを検出する方法自体は、当該技術分野において公知である。本実施形態では、第2の標識に由来するシグナルの種類に応じて、適切な測定方法を選択できる。例えば、第2の標識が酵素である場合、酵素と該酵素に対する基質とが反応することによって発生する光、色などのシグナルを、公知の装置を用いて測定することにより行うことができる。そのような測定装置としては、分光光度計、ルミノメータなどが挙げられる。
環状構造を有さない界面活性剤の存在下で、試料中のリポタンパク質と、タグ付加ステロールとを混合することにより、該タグ付加ステロールを取り込んだリポタンパク質を調製する工程;
環状構造を有さない界面活性剤の存在下で、該タグ付加コレステロールを取り込んだリポタンパク質と、リポタンパク質に特異的に結合する第1の捕捉体との複合体を固相上に形成する工程;
環状構造を有さない界面活性剤を含む水性媒体で該固相を洗浄することにより、未反応成分を除去する工程;
洗浄後、固相上の複合体と、タグに特異的に結合する第2の捕捉体とを混合することにより、タグ付加コレステロールを取り込んだリポタンパク質と第1の捕捉体と第2の捕捉体とを含むサンドイッチ複合体を固相上に形成する工程;及び
該サンドイッチ複合体を測定することにより、標識ステロールの取り込み能を測定する工程。
環状構造を有さない界面活性剤(第1の界面活性剤)と、試料中のリポタンパク質と、タグ付加ステロールとを混合することにより、該タグ付加ステロールを取り込んだリポタンパク質を調製する工程;
該タグ付加コレステロールを取り込んだリポタンパク質と、環状構造を有さない界面活性剤(第2の界面活性剤)と、リポタンパク質に特異的に結合する第1の捕捉体とを混合することにより、複合体を固相上に形成する工程;
環状構造を有さない界面活性剤(第3の界面活性剤)を含む水性媒体で該固相を洗浄することにより、未反応成分を除去する工程;
洗浄後、固相上の複合体と、タグに特異的に結合する第2の捕捉体とを混合することにより、タグ付加コレステロールを取り込んだリポタンパク質と第1の捕捉体と第2の捕捉体とを含むサンドイッチ複合体を固相上に形成する工程;及び
該サンドイッチ複合体を測定することにより、標識ステロールの取り込み能を測定する工程。
この実施形態において、第1~第3の界面活性剤のうち、少なくとも2つの界面活性剤が同種であってもよいし、第1~第3の界面活性剤がそれぞれ別種の界面活性剤であってもよい。
さらなる実施形態においては、上記の測定方法で得られたリポタンパク質の取り込み能の結果を、被検者が脂質異常症であるか否かの判定に利用してもよい。すなわち、以下の工程を含む、脂質異常症の判定を補助する方法が提供される:
被検者から得た試料中のリポタンパク質と、標識ステロールとを、環状構造を有しない界面活性剤の存在下で混合することにより、標識ステロールを取り込んだリポタンパク質を調製する工程と、
前記リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールに基づいて、前記リポタンパク質の標識ステロールの取り込み能を測定する工程と、
測定結果に基づいて、上記の被検者の脂質異常に関する情報を取得する工程。
本実施形態の測定方法では、試料中のリポタンパク質と、標識ステロールと、環状構造を有さない界面活性剤とが混合される。この混合により、該標識ステロールが取り込まれたリポタンパク質が調製される。
本発明の範囲には、上記の測定方法に用いられる試薬も含まれる。すなわち、標識ステロールと、環状構造を有しない界面活性剤とを含むリポタンパク質の取り込み能測定用試薬(以下、「測定用試薬」ともいう)が提供される。標識ステロール及び環状構造を有しない界面活性剤の詳細は、上述のとおりである。本実施形態の測定用試薬は、上記の反応バッファーとして用いることができる。
本発明の範囲には、リポタンパク質の取り込み能を測定に用いられる試料希釈用試薬及び洗浄用試薬も含まれる。すなわち、環状構造を有しない界面活性剤を含む試料希釈用試薬及び洗浄用試薬が提供される。環状構造を有しない界面活性剤の詳細は、上述のとおりである。
本発明の範囲には、上記の測定方法に用いられる試薬キットも含まれる。この試薬キットは、上記の測定用試薬、試料希釈用試薬及び洗浄用試薬を含む。すなわち、標識ステロールと、環状構造を有しない界面活性剤とを含むリポタンパク質の取り込み能測定用試薬、環状構造を有しない界面活性剤を含む試料希釈用試薬、及び環状構造を有しない界面活性剤を含む洗浄用試薬とを備える、リポタンパク質の取り込み能測定用試薬キット(以下、「試薬キット」ともいう)が提供される。各試薬及びこれらに含まれる各成分の詳細は、上述のとおりである。リポタンパク質の取り込み能測定用試薬に含まれる環状構造を有しない界面活性剤、試料希釈用試薬に含まれる環状構造を有しない界面活性剤、及び洗浄用試薬に含まれる環状構造を有しない界面活性剤のうち、少なくとも2つの界面活性剤が同種であってもよいし、上記3つの界面活性剤がそれぞれ別種の界面活性剤であってもよい。
固相として磁性粒子を用いるELISA法では、B/F分離の後、界面活性剤を含む洗浄液を用いて磁性粒子を洗浄することが一般的である。しかし、リポタンパク質のコレステロール取り込み能の測定では、界面活性剤がリポタンパク質に作用して、測定結果に影響するおそれがある。そこで、界面活性剤を含まない洗浄液、又はプルロニック型非イオン性界面活性剤を含む洗浄液を用いて、磁性粒子の洗浄を行った。
界面活性剤がリポタンパク質のコレステロール取り込み能に及ぼす影響を検討するため、種々の界面活性剤を含む反応バッファーを用いてコレステロール取り込み能を測定した。界面活性剤として、プルロニックF68(Thermo社)、プルロニックL31(BASF社)、プルロニックL35(BASF社)、プルロニック10R5(BASF社)、Triton X-100(Sigma-Aldrich社)、デオキシコール酸(和光純薬工業株式会社)、NP-40(Calbiochem社)、Tween20(Sigma-Aldrich社)及びCHAPS(同仁化学研究所)を用いた。
健常者の血清(0.1 mL)に等量の22%ポリエチレングリコール4000(和光純薬工業株式会社)を混合して、懸濁液を得た。得られた懸濁液を室温にて20分間静置した後、3000 rpmで15分間室温にて遠心分離した。得られた上清をHDL画分として回収した。
(2.1) 反応バッファーの調製
表1に示す成分を混合して、反応バッファーを調製した。表1において、各成分の量の単位は全て「μL」である。表中、界面活性剤とは、プルロニックF68、プルロニックL31、プルロニックL35、プルロニック10R5、Triton X-100、デオキシコール酸、NP-40、Tween20及びCHAPSのいずれか1つである。実施例2では、反応バッファーと試料とを混合したときの各成分の終濃度は次のとおりであった。各界面活性剤が0.1%(v/v)、グリセロールが2%(v/v)、リピジュア(商標)BL203が0.1%(v/v)、メチル-β-シクロデキストリンが1mM、リポソームが0.5%(v/v)、DNP付加コレステロールが7.5μM。一部の界面活性剤については、終濃度が0.001%(v/v)、0.003%(v/v)、0.01%(v/v)又は0.03%(v/v)となるように反応バッファーを調製した。表1のリポソームの組成は、2mM ジミリストイルホスファチジルグリセロール、2mM コレステロール及び4mM 水素添加大豆ホスファチジルコリンである。PBSは、Phosphate buffered saline tablet (Sigma-Aldrich社)を水に溶解して調製した。DNP付加コレステロールは、US 2017/0315112 A1を参照して調製した。
(i) 生体試料の希釈
HDL-C試薬・KL「コクサイ」(シスメックス株式会社)に添付の分画液をPBSで1.85%に希釈して、試料希釈用試薬を調製した。この試料希釈用試薬には、HDL-C試薬・KL「コクサイ」に添付の分画液に由来するノニオンK-230、カリクサレン及びシクロデキストリンが含まれる。上記のHDL画分から一部を取り、ApoAI測定用キット(N-アッセイ TIA ApoAI-H、ニットーボーメディカル株式会社)を用いてApoAI濃度を測定した。濃度測定の具体的な操作は、該キットに添付のマニュアルに従って行った。測定後、HDL画分を試料希釈用試薬で希釈して、ApoAI濃度が1,000 ng/mLのHDL画分含有希釈液を調製した。また、HDL画分を含まない対照検体(ApoAI濃度0ng/mL)として、試料希釈用試薬を用いた。
界面活性剤を含む反応バッファー(1080μL)及び界面活性剤を含まない反応バッファー(1080μL)のそれぞれに、HDL画分含有希釈液(120μL)を添加して混合し、氷上に1時間静置した。得られた混合物から500μLずつ取って1.5 mL low-bindingチューブに移し、42℃にて1,000 rpmで20分間振とうした。これにより、HDLとDNP付加コレステロールとを界面活性剤の存在下で接触させて、HDLによるDNP付加コレステロールの取り込み反応を促した。その後、チューブを室温にて5分間静置して、測定用試料を得た。対照検体についても同様に処理した。
(3.1) 測定用プレートの準備(抗ApoAI抗体の固相への固定化)
固相としての96ウェルマイクロプレート(蛍光測定用黒色プレートH、住友ベークライト株式会社製)の各ウェルに50 mM Tris-HCl(pH 7.5)を200μLずつ添加して洗浄した。この洗浄操作を合計2回行った。各ウェルに、50 mM Tris-HCl(pH 7.5)で10μg/mLの濃度に希釈した抗ApoAI抗体(clone 8E10)の溶液を100μLずつ添加し、4℃にて一晩静置した。抗体溶液を除去し、各ウェルに138 mM NaCl水溶液を200μLずつ添加して洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。各ウェルに2%BSA/PBSを200μLずつ添加し、25℃にて600 rpmで1時間振とうした。
抗ApoAI抗体を固定化したプレートからBSA溶液を除去し、各測定用試料を100μLずつウェルに添加した。プレートを42℃にて1,000 rpmで20分間振とうして、HDLと抗ApoAI抗体との複合体を形成させた。各ウェルから測定用試料を除き、138 mM NaCl及び0.1%プルロニックF68を含むライン洗浄液を200μLずつ添加してウェルを洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。実施例1では、このようにして複合体を捕捉したプレートを2枚調製した。
抗DNP抗体(北山ラベス株式会社に作製委託した)を、ALP Labeling Kit-SH (Dojindo)を用いてALP標識して、ALP標識抗DNP抗体を調製した。得られたALP標識抗DNP抗体をHISCL R3バッファー(シスメックス株式会社)で1:500に希釈した。上記の2枚のプレートのうちの1枚において、ALP標識抗DNP抗体の希釈液を100μLずつ各ウェルに添加した。プレートを25℃にて600 rpmで1時間振とうした。各ウェルから抗体溶液を除き、138 mM NaCl及び0.1%プルロニックF68を含むライン洗浄液を200μLずつ添加してウェルを洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。各ウェルに、ALPの基質溶液を100μLずつ添加した。該基質溶液は、HISCL発光基質(シスメックス株式会社)であるR4試薬とR5試薬とを1:2の割合で混合して調製した。プレートを25℃にて600 rpmで30分間振とうした後、発光量をマイクロプレートリーダー(Infinite(登録商標)F200 Pro、TECAN社製)で測定した。測定結果を図3~6に示す。なお、図3及び図4中の「PF68」は、プルロニックF68を意味する。
調製した2枚のプレートのうちの残りの1枚において、1:8000に希釈したALP標識抗ApoAI抗体(clone PIA5)の溶液を100μLずつ各ウェルに添加した。プレートを25℃にて600 rpmで1時間振とうした。各ウェルから抗体溶液を除き、138 mM NaCl及び0.1%プルロニックF68を含むライン洗浄液を200μLずつ添加してウェルを洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。各ウェルに、ALPの基質溶液を100μLずつ添加した。プレートを25℃にて600 rpmで30分間振とうした後、発光量をマイクロプレートリーダー(Infinite(登録商標)F200 Pro、TECAN社製)で測定した。測定結果は図示しないが、検体間で、捕捉された複合体の量に大きな差異は認められなかった。
図3及び4に示されるように、Triton X-100、デオキシコール酸、NP-40、Tween20又はCHAPSを含む反応バッファーを用いた場合、コレステロール取り込み能を示すシグナル(黒色バー)が大きく減少した。これらの界面活性剤は、イムノアッセイにおいて一般的に用いられる環状構造を有する界面活性剤であるが、ほとんどの界面活性剤においてバックグラウンド(灰色バー)と同レベルまで低下した。これは、界面活性剤がリポタンパク質及び標識コレステロールに作用して、取り込み反応が阻害されているか、あるいは、取り込まれたコレステロールが漏出したことが考えられる。
実施例2では、界面活性剤を含まない反応バッファーを用いた場合でも、HDLによるコレステロール取り込み能を示すシグナルを良好に検出できた。ここで、実施例2では、リポタンパク質を含む試料を希釈するための試薬に、環状構造を有さない非イオン性界面活性剤のノニオンK-230が含まれていた。そこで、試料の希釈における界面活性剤の影響を検討するため、種々の界面活性剤を含む試料希釈用試薬を用いてコレステロール取り込み能を測定した。環状構造を有さない界面活性剤として、ノニオンK-230(日油株式会社製)、プルロニックL31、プルロニックL61及びプルロニックP84(いずれもBASF社製)を用いた。環状構造を有する界面活性剤として、Triton X-100(Sigma-Aldrich製)及びTween20(Sigma-Aldrich社製)を用いた。取り込み能の測定は、固相として磁性粒子を用いるELISA法により行った。
HDL-コレステロール値の高い5つの臨床検体(血清)の混合物から、実施例2と同様にしてHDL画分を調製した。
(2.1) 試料希釈用試薬の調製
試料希釈用試薬として、0.01%(v/v)又は0.1%(v/v)ノニオンK-230、0.1%(v/v)プルロニックL31、0.01%(v/v)又は0.1%(v/v)プルロニックL61、0.01%(v/v)プルロニックP84、0.1%(v/v)Tween20、又は0.1%(v/v)Triton X-100を含むPBSを調製した。
(i) 生体試料の希釈
上記のHDL画分から一部を取り、実施例2と同様にして、ApoAI濃度を測定した。測定後、HDL画分を各試料希釈用試薬で希釈して、ApoAI濃度が450 ng/mLのHDL画分含有希釈液を調製した。また、HDL画分を含まない対照試料(ApoAI濃度0ng/mL)として、試料希釈用試薬を用いた。
実施例2と同様にして、0.1%(v/v)プルロニックF68及び7.5μM DNP付加コレステロールを含む反応バッファーを調製した。キュベットに反応バッファー(60μL)及びHDL画分含有希釈液(10μL)を添加して混合し、氷上に30分間静置した。キュベットを42℃にて1分間静置して、測定用試料を得た。対照試料についても同様に処理した。
(3.1) 磁性粒子上でのHDLと抗ApoAI抗体との複合体の形成
抗ApoA1抗体(clone 8E10)を2-メルカプトエチルアミン塩酸塩(ナカライテスク)で還元し、Biotin-PEAC5-maleimide(Dojindo)で標識して、ビオチン化ApoAI抗体を調製した。反応バッファー及びHDL画分含有希釈液を含むキュベットに、2.5 ng/μLビオチン化ApoAI抗体を30μL添加して、42℃で12分間反応させた。反応後、キュベットにHISCL磁性粒子(シスメックス株式会社)を30μL添加して、42℃で10分間反応させた。HISCL磁性粒子の表面にはアビジンが固定されているので、複合体中のビオチン化抗ApoAI抗体は磁性粒子の表面に結合する。反応液中の磁性粒子を集磁して上清を除去し、0.1%(v/v)プルロニックF68/PBSを添加して、磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。そして、磁性粒子を集磁して上清を除去した。
DNP付加コレステロールを取り込んだHDLを有する磁性粒子に、実施例2と同じALP標識抗DNP抗体の希釈液を100μL添加して、42℃で10分間反応させた。反応液中の磁性粒子を集磁して上清を除去し、0.1%(v/v)プルロニックF68/PBSを添加して、磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。磁性粒子を別のキュベットに移し、磁性粒子を集磁して上清を除去した。磁性粒子を含むキュベットにHISCL R4試薬(50μL)及びR5試薬(100μL)を添加し、42℃で5分間反応させた。反応後、発光量を測定した。HDL画分を含む試料から得られた測定値(シグナル)と、対照試料から得られた測定値(ノイズ)との比(S/N)を算出した。結果を図7に示す。
図7に示されるように、Tween20又はTriton X-100を含む試料希釈用試薬を用いた場合、シグナルとノイズとの間に差がほとんどなく、S/Nは約1であった。そのため、HDLのコレステロール取り込み能を評価することができなかった。一方、ノニオンK-230、プルロニックL31、プルロニックL61又はプルロニックP84を含む試料希釈用試薬を用いた場合、Tween20又はTriton X-100を含む試料希釈用試薬を用いた場合に比べて、S/Nが大きくなった。よって、環状構造を有さない界面活性剤を試料希釈用試薬に添加することで、取り込み能測定のS/Nを改善できることが示された。
試料希釈用試薬としてBSA溶液を用いるマイクロプレートによる取り込み能の測定法(以下、「用手法」と呼ぶ)と、界面活性剤を含む試料希釈用試薬を用いる磁性粒子による測定法との相関性を検討した。
生体試料として、あらかじめ用手法によってコレステロール取り込み能を測定された2種のHDL画分を用いた。一つは、用手法において高いシグナルを示したHDL画分(以下、「高値検体」という)であり、もう一つは、用手法において低いシグナルを示したHDL画分(以下、「低値検体」という)である。
(2.1) 試料希釈用試薬の調製
表2に示す成分をPBSに溶解して、試料希釈用試薬A~Gを調製した。表中、「HP-γ-CD」とは、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン(日本食品加工株式会社)である。
(i) 生体試料の希釈
上記の高値検体及び低値検体のそれぞれから一部を取り、実施例2と同様にして、ApoAI濃度を測定した。測定後、高値検体及び低値検体を各試料希釈用試薬で希釈して、ApoAI濃度が450 ng/mLのHDL画分含有希釈液を調製した。また、HDL画分を含まない対照試料(ApoAI濃度0ng/mL)として、試料希釈用試薬を用いた。
実施例2と同様にして、0.1%(v/v)プルロニックF68及び7.5μM DNP付加コレステロールを含む反応バッファーを調製した。実施例3と同様に、反応バッファー及びHDL画分含有希釈液を混合して、測定用試料を得た。対照試料についても同様に処理した。
(i) 磁性粒子上でのHDLと抗ApoAI抗体との複合体の形成
実施例3と同様に、反応バッファー及びHDL画分含有希釈液を含むキュベットに、ビオチン化ApoAI抗体を添加して、42℃で12分間反応させた。反応後、キュベットにHISCL磁性粒子(シスメックス株式会社)を30μL添加して、42℃で10分間反応させた。反応液中の磁性粒子を集磁して上清を除去し、0.1%(v/v)プルロニックF68/PBSを添加して、磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。そして、磁性粒子を集磁して上清を除去した。
実施例3と同様に、DNP付加コレステロールを取り込んだHDLを有する磁性粒子に、ALP標識抗DNP抗体の希釈液を添加して、42℃で10分間反応させた。反応液中の磁性粒子を集磁して上清を除去し、0.1%(v/v)プルロニックF68/PBSを添加して、磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を合計3回行った。磁性粒子を別のキュベットに移し、磁性粒子を集磁して上清を除去した。実施例3と同様に、磁性粒子を含むキュベットにHISCL R4試薬及びR5試薬を添加して反応させた。反応後、発光量を測定した。高値検体の測定値を100%としたときの低値検体の測定値の割合(相対シグナル強度)を算出した。結果を図8及び9に示す。
(3.1) 測定用試料の調製
(i) 生体試料の希釈
用手法では、試料希釈用試薬として2%BSA/PBSを用いた。上記の高値検体及び低値検体のそれぞれを2%BSA/PBSで希釈して、ApoAI濃度が450 ng/mLのHDL画分含有希釈液を調製した。また、HDL画分を含まない対照検体(ApoAI濃度0ng/mL)として2%BSA/PBSを用いた。
反応バッファーとして、DNP付加コレステロールに代えてBODIPY付加コレステロール(TopFluor Cholesterol、AvantiPolar Lipids社)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、0.1%(v/v)プルロニックF68及び7.5μM BODIPY付加コレステロールを含む反応バッファーを調製した。実施例2と同様に、反応バッファーとHDL画分含有希釈液とを混合して、測定用試料を得た。対照検体についても同様に処理した。
(i) プレート上でのHDLと抗ApoAI抗体との複合体の形成
実施例2と同様にして、抗ApoAI抗体を固定化した96ウェルマイクロプレートを準備した。実施例2と同様に、各測定用試料をウェルに添加して、プレート上にHDLと抗ApoAI抗体との複合体を形成させた。なお、ウェルの洗浄は、138 mM NaCl及び0.1%プルロニックF68を含むライン洗浄液を用いて、実施例2と同様に行った。
洗浄した各ウェルに10 mM シクロデキストリン/PBSを100μLずつ添加し、プレートを25℃にて600 rpmで15分間振とうした。プレートを蛍光プレートリーダー(Infinite(登録商標)200 Pro、TECAN社製)にセットし、蛍光強度を測定した(励起光485 nm/蛍光535 nm)。高値検体及び低値検体の測定値から相対シグナル強度を算出した。結果を図8及び9に示す。
図8に示されるように、用手法では、高値検体のコレステロール取り込み能に比べて、低値検体コレステロール取り込み能は低いことが示された。ノニオンK-230及びプルロニックP84を含む試料希釈用試薬を用いる磁性粒子による測定法においても、用手法と同様の結果が得られた。また、図9に示されるように、シクロデキストリンをさらに含む試料希釈用試薬を用いることにより、用手法との相関性がより改善されることが分かった。
11、21、31、41: 第1容器
12、22、32、42: 第2容器
13、23、33、43: 第3容器
24、34、44: 第4容器
25、35、45: 第5容器
36: 固相
46: 第6容器
14、26、37、47: 梱包箱
15、27、38、48: 添付文書
Claims (31)
- 試料中のリポタンパク質と、標識ステロールとを、環状構造を有さない界面活性剤の存在下で混合することにより、前記標識ステロールを取り込んだリポタンパク質を調製する工程と、
前記リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールの標識に基づいて、前記標識ステロールの取り込み能を測定する工程と
を含み、前記界面活性剤が、C12H25O-(C2H4O)30-Hで表されるポリオキシエチレンラウリルエーテル、及び、下記の式(I):
(式中、x、y及びzが、同一又は異なって、1以上の整数であり、
ポリプロピレンオキシド部分(PPO)の分子量が950であり、且つエチレンオキシド(EO)含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が80%であるか、又は
PPOの分子量が2250であり、且つEO含有量が40%である)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1である、
リポタンパク質の取り込み能を測定する方法。 - 前記リポタンパク質が、高比重リポタンパク質である請求項1に記載の方法。
- 前記標識ステロールが、標識コレステロールである請求項1又は2に記載の方法。
- 前記標識コレステロールが、下記の式(III):
(式中、R1は、メチル基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、
X及びYは、同一又は異なって、-R2-NH-、-NH-R2-、-R2-(C=O)-NH-、-(C=O)-NH-R2-、-R2-NH-(C=O)-、-NH-(C=O)-R2-、-R2-(C=O)-、-(C=O)-R2-、-R2-(C=O)-O-、-(C=O)-O-R2-、-R2-O-(C=O)-、-O-(C=O)-R2-、-R2-(C=S)-NH-、-(C=S)-NH-R2-、-R2-NH-(C=S)-、-NH-(C=S)-R2-、-R2-O-、-O-R2-、-R2-S-、又は-S-R2-で表され、ここで、R2は、それぞれ独立して、結合手、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基若しくはヘテロアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3~8のシクロアルキレン基若しくはヘテロシクロアルキレン基であり、
Lは、-(CH2)d-[R3-(CH2)e]f-、又は-[(CH2)e-R3]f-(CH2)d-で表わされ、ここで、R3は、酸素原子、硫黄原子、-NH-、-NH-(C=O)-又は-(C=O)-NH-であり、
TAGは、タグであり、
a及びcは、同一又は異なって、0~6の整数であり、
bは、0又は1であり、
d及びeは、同一又は異なって、0~12の整数であり、
fは、0~24の整数である。)
で表されるタグ付加コレステロールである請求項3に記載の方法。 - 前記測定工程が、前記標識ステロールを取り込んだリポタンパク質と、前記リポタンパク質に結合する第1の捕捉体とを混合し、前記標識ステロールを取り込んだリポタンパク質と前記第1の捕捉体を含む複合体を形成する工程を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記第1の捕捉体が、前記リポタンパク質に特異的に結合する抗体である請求項7に記載の方法。
- 前記第1の捕捉体が、固相に固定化されており、前記リポタンパク質が固相上に固定される請求項7又は8に記載の方法。
- 前記固相に固定化されたリポタンパク質が、前記標識ステロールを取り込んだ前記リポタンパク質である請求項9に記載の方法。
- 前記測定工程が、前記リポタンパク質に取り込まれた前記標識ステロールに由来するシグナルを検出することにより行われる請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記測定工程が、前記標識ステロールを取り込んだリポタンパク質と、前記リポタンパク質に結合する第1の捕捉体と、前記標識ステロールに結合する第2の捕捉体とを混合し、前記標識ステロールを取り込んだリポタンパク質と前記第1の捕捉体と第2の捕捉体とを含む複合体を形成する工程を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記測定工程が、前記第2の捕捉体を検出することにより行われる請求項12に記載の方法。
- 前記第2の捕捉体が第2の標識で標識され、前記測定工程が、前記第2の標識に由来するシグナルを検出する工程である請求項13に記載の方法。
- 前記第2の標識が酵素であり、前記シグナルが、前記酵素と基質との反応産物から生じる化学発光シグナルである請求項14に記載の方法。
- 前記調製工程を、前記標識ステロールの非特異的吸着を抑制するブロッキング剤の存在下で行う請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ブロッキング剤が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン系重合体である請求項16に記載の方法。
- 前記試料が、前記調製工程の前に環状構造を有さない界面活性剤を含む水性媒体である試料希釈用試薬により希釈された試料である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記希釈を、環状オリゴ糖及び/又は測定対象のリポタンパク質とは異なるリポタンパク質に結合する成分の存在下で行う請求項18に記載の方法。
- 前記環状オリゴ糖が、シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン又はヒドロキシプロピルシクロデキストリンであり、前記測定対象のリポタンパク質とは異なるリポタンパク質に結合する成分が、カリクサレンである請求項19に記載の方法。
- 前記調製工程と前記測定工程の間に、洗浄用試薬により未反応の遊離成分を除去する洗浄工程をさらに含む請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
- 前記洗浄工程を、環状構造を有さない界面活性剤の存在下で行う請求項21に記載の方法。
- 試料中のリポタンパク質と、標識ステロールと、環状構造を有さない界面活性剤とを混合することにより、前記標識ステロールを取り込んだリポタンパク質を調製する工程と、
前記リポタンパク質に取り込まれた標識ステロールの標識に基づいて、前記標識ステロールの取り込み能を測定する工程と
を含み、前記界面活性剤が、C12H25O-(C2H4O)30-Hで表されるポリオキシエチレンラウリルエーテル、及び、下記の式(I):
(式中、x、y及びzが、同一又は異なって、1以上の整数であり、
ポリプロピレンオキシド部分(PPO)の分子量が950であり、且つエチレンオキシド(EO)含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が80%であるか、又は
PPOの分子量が2250であり、且つEO含有量が40%である)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1である、
リポタンパク質の取り込み能を測定する方法。 - 標識ステロールと、環状構造を有さない界面活性剤とを含み、前記界面活性剤が、C12H25O-(C2H4O)30-Hで表されるポリオキシエチレンラウリルエーテル、及び、下記の式(I):
(式中、x、y及びzが、同一又は異なって、1以上の整数であり、
ポリプロピレンオキシド部分(PPO)の分子量が950であり、且つエチレンオキシド(EO)含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が80%であるか、又は
PPOの分子量が2250であり、且つEO含有量が40%である)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1である、
請求項1~23のいずれか1項に記載の方法に用いられる、リポタンパク質の取り込み能測定用試薬。 - 環状構造を有さない界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、C12H25O-(C2H4O)30-Hで表されるポリオキシエチレンラウリルエーテル、及び、下記の式(I):
(式中、x、y及びzが、同一又は異なって、1以上の整数であり、
ポリプロピレンオキシド部分(PPO)の分子量が950であり、且つエチレンオキシド(EO)含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が80%であるか、又は
PPOの分子量が2250であり、且つEO含有量が40%である)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1である、
請求項18~20のいずれか1項に記載の方法に用いられる試料希釈用試薬。 - 環状構造を有さない界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、C12H25O-(C2H4O)30-Hで表されるポリオキシエチレンラウリルエーテル、及び、下記の式(I):
(式中、x、y及びzが、同一又は異なって、1以上の整数であり、
ポリプロピレンオキシド部分(PPO)の分子量が950であり、且つエチレンオキシド(EO)含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が80%であるか、又は
PPOの分子量が2250であり、且つEO含有量が40%である)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1である、
請求項21又は22に記載の方法に用いられる洗浄用試薬。 - 試料中のリポタンパク質と、標識ステロールと、前記リポタンパク質に結合する第1の捕捉体とを、環状構造を有さない界面活性剤の存在下で混合することにより、前記標識ステロールを含むリポタンパク質と前記第1の捕捉体との複合体を調製する工程と、
前記複合体中の標識ステロールの標識に基づいて、前記リポタンパク質に含まれる標識ステロールを測定する工程と
を含み、前記界面活性剤が、C12H25O-(C2H4O)30-Hで表されるポリオキシエチレンラウリルエーテル、及び、下記の式(I):
(式中、x、y及びzが、同一又は異なって、1以上の整数であり、
ポリプロピレンオキシド部分(PPO)の分子量が950であり、且つエチレンオキシド(EO)含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が10%であるか、
PPOの分子量が1750であり、且つEO含有量が80%であるか、又は
PPOの分子量が2250であり、且つEO含有量が40%である)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1である、
リポタンパク質に含まれるステロールの測定方法。 - 前記第1の捕捉体が、前記リポタンパク質に特異的に結合する抗体である請求項27に記載の方法。
- 前記第1の捕捉体が、固相に固定化されており、前記リポタンパク質が固相上に固定される請求項27又は28に記載の方法。
- 前記リポタンパク質が、高比重リポタンパク質である請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標識ステロールが、標識コレステロールである請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
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