JP2004533236A - 化膿性連鎖球菌(Streptococcuspyogenes)の表面タンパク質 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、β溶血性連鎖球菌ポリペプチドおよびポリヌクレオチド、特に化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する。より具体的には、本発明は、表面に局在する化膿性連鎖球菌ポリペプチド、およびこれらのポリペプチドの抗体に関する。本発明はまた、化膿性連鎖球菌のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびこれらのヌクレオチド配列を含む発現ベクターにも関する。本発明はさらに、β溶血性連鎖球菌感染に対して免疫し、そして該感染を減少させる免疫原組成物および方法に関する。本発明はまた、生物学的試料において、これらのヌクレオチドおよびポリペプチドを検出し、そしてβ溶血性連鎖球菌および化膿性連鎖球菌を検出する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
連鎖球菌分類の伝統的な表現型規準には、溶血反応およびランスフィールド血清学的分類両方が含まれる。しかし、分類学が進歩して、関連しないβ溶血性(寒天プレートにおけるヒツジ赤血球の完全な溶解と定義される)連鎖球菌種が同一のランスフィールド抗原を産生する可能性があり、そして種レベルで遺伝的に関連する株が異種ランスフィールド抗原を有する可能性があることが、現在知られる。連鎖球菌分類の伝統的な規則に対するこれらの例外にもかかわらず、溶血反応およびランスフィールド血清学的試験は、臨床的単離体同定の最初の工程として、連鎖球菌を広いカテゴリーに分類するのに、今なお使用可能である。Ruoff, K.L., R.A. WhileyおよびD. Beighton. 1999. Streptococcus. P.R. Murray, E.J. Baron, M.A. Pfaller, F.C. TenoverおよびR.H. Yolken(監修), Manual of Clinical Microbiology. American Society of Microbiology Press, ワシントンD.C.
ランスフィールド群A、C、またはG抗原を持つβ溶血性単離体は、2つの群:大コロニー(直径>0.5mm)形成体および小コロニー(直径<0.5mm)形成体に細分可能である。大コロニー形成群A(化膿性連鎖球菌)、C、およびG株は、多様な有効病原性機構を十分に備えた「化膿性」連鎖球菌である。ストレプトコッカス・アガラクティー(Streptococcus agalactiae)(B群)は、今なおランスフィールドB群抗原産生または他の表現型特質によって、信頼性をもって同定される。
【0003】
A、B、CおよびG群を含む、β溶血性連鎖球菌によって引き起こされる感染を改善し(ameliorate)、そして防御する組成物および方法を開発する必要性が存在する。これらの種間の類似性には病原性因子だけでなく、疾患発症も含まれる。後者に含まれるのは、肺炎、関節炎、膿瘍、鼻咽頭炎、子宮筋層炎、産褥期敗血症、新生児敗血症、創傷感染、髄膜炎、腹膜炎、蜂巣炎、膿皮症、壊疽性筋膜炎、トキシックショック症候群、敗血症、感染性心内膜炎、心外膜周囲炎、糸球体腎炎、および骨髄炎である。
【0004】
化膿性連鎖球菌は、ヒトの咽頭および皮膚にコロニー形成するグラム陽性双球菌であり、これらの部位はその後、この生物の主な貯蔵庫になる。偏性寄生虫であるこの細菌は、呼吸分泌物の直接接触によるか、または手から口によるか、いずれかで伝染する。大部分の化膿性連鎖球菌感染は、咽頭炎または膿痂疹など、比較的穏やかな疾病である。現在、米国において、咽頭炎のみで、2000万〜3500万の間の症例があり、医師の診察および他の関連する費用に約20億ドルの費用がかかっている。さらに、化膿性連鎖球菌感染からは、リウマチ熱、しょう紅熱、および糸球体腎炎などの非化膿性続発症が生じる。全世界的に、急性リウマチ熱(ARF)は、小児科心臓疾患の最も一般的な原因である(参考文献エントリー1)。
【0005】
化膿性連鎖球菌は、最初の進入口である咽頭および皮膚から、細菌が通常は見られない、血液、深筋および脂肪組織、または肺などの体の他の部分に広がることが可能であり、そして侵襲性感染を引き起こすことが可能である。最も重症であるが、最も一般的でない型の侵襲性化膿性連鎖球菌疾患の2つは、壊疽性筋膜炎および連鎖球菌トキシックショック症候群(STSS)である。壊疽性筋膜炎(メディアでは「人喰い細菌」と記載される)は、筋肉および脂肪組織の破壊性感染である。STSSは迅速に進行する感染であり、腎臓、肝臓、および肺などの内臓にショックおよび傷害を引き起こす。この損傷の多くは細菌増殖による局所損傷よりむしろ、毒素血症によるものである。
【0006】
1995年、侵襲性化膿性連鎖球菌感染およびSTSSは、報告義務のある疾患となった。咽頭炎および膿痂疹を得る数百万の個体とは対照的に、米国疾病対策予防センター(CDC)義務症例報告は、1997年、米国では、15,000〜20,000例の侵襲性化膿性連鎖球菌疾患があり、2,000を超える死が生じたことを示す(1)。他の報告は、侵襲性疾患が、年間、100,000人あたり、10〜20例と同程度に高いと概算する(62)。より具体的には、侵襲性疾患の15,000〜20,000例のうち、1,100〜1,500が壊疽性筋膜炎症例であり、そして1,000〜1,400がSTSS症例であり、これらの死亡率はそれぞれ、20%および60%である。やはり深刻な侵襲性疾患に含まれるのは、筋炎の症例であり、これは80%〜100%の致死率を持つ。侵襲性A群連鎖球菌疾患の他の型の個体のさらに10%〜15%が死ぬ。症例報告は1995年に開始され、そして過去10年または20年に渡って起こった一般的な傾向を反映するため、これらの数字は増加してきている。さらに、症例定義が厳しい結果、より少数の、そしてしたがって誤解を招く数字になっており、定義を満たす前に、初期診断および治療によって、多くの症例が首尾よく解決していることが、一般的に認められている。
【0007】
化膿性連鎖球菌は、ペニシリンおよびその誘導体にきわめて感受性なままである一方、治療は必ずしも該生物を根絶しない。抗生物質療法にもかかわらず、季節に応じて、ヒト集団のおよそ5%〜20%がキャリアーのままでありつづける(62)。この理由は完全には明らかでなく、そして多様な機構が関与する可能性がある。深刻な侵襲性感染の症例では、治療にはしばしば、積極的な外科的介入が必要である。STSSまたは関連疾患を伴う症例では、組織によく浸透し、そして外毒素産生を防御するため、クリンダマイシン(タンパク質合成阻害剤)が好ましい抗生物質である。テトラサイクリン、サルファ剤、および最近ではエリスロマイシンに対するある程度の耐性が報告されている。明らかに、β溶血性連鎖球菌感染を防御し、そして治療するための組成物に対する必要性が依然としてある。
【0008】
化膿性連鎖球菌に関して、多くの病原性因子が同定されてきており、分泌されるものもあり、そして表面に局在するものもある。化膿性連鎖球菌は被包されているが、莢膜はヒアルロン酸で構成され、そしてヒアルロン酸は哺乳動物細胞によって一般的に発現され、そして免疫原性でないため、免疫原組成物に包含する候補抗原としては適切でない(14)。T抗原および炭水化物基が他の候補であるが、これらは、心臓組織に対する交差反応性抗体もまた引き出す可能性がある。リポタイコ酸は、化膿性連鎖球菌の表面上に存在するが、LPSと同様の安全性の懸念を引き起こす。
【0009】
最も豊富な表面タンパク質は、その構造的類似性のため、Mまたは「M様」タンパク質と称される、タンパク質ファミリーに属する。この種のメンバーは、食作用を阻害する際の同様の生物学的役割を有する一方、各々、特有の基質結合特性を有する。このファミリーで最もよく性質決定されているタンパク質は、らせん状Mタンパク質である。同族(homologous)M株に対して向けられる抗体は、オプソニン性であり、防御性であることが示されてきている(12、13、16)。候補抗原としてのMタンパク質の使用を複雑にするのは、いくつかのより型決定されていないものと共に、同定されるMタンパク質のおよそ100の異なる血清型があるという事実である。典型的には、血清型M1、M3、M6、M12、およびM18に例示されるクラスI M血清型は、咽頭炎、しょう紅熱およびリウマチ熱と関連し、そして免疫グロブリン結合タンパク質を発現しない。M2およびM49などのクラスII M血清型は、より一般的な局所皮膚感染および続発性糸球体腎炎と関連し、そして免疫グロブリン結合タンパク質を発現する(54)。M血清型に対する抗体の異種交差反応性は、あるとしても、わずかであることに注目することが重要である。同じく重要なのは、これらの抗体がリウマチ熱において果たす役割である。Mタンパク質の特定の領域は、宿主心臓組織と交差反応する抗体を引き出し、細胞損傷を引き起こすか、または少なくとも細胞損傷と相関する(11、57)。
【0010】
MおよびM様タンパク質は、ソルターゼ(sortase)に標的とされるLPXTGモチーフによって定義される表面局在タンパク質の大きなファミリーに属する(38、64)。このモチーフは、タンパク質のカルボキシ末端近傍に位置し、まず、LPXTGモチーフのスレオニンおよびグリシン残基間で、ソルターゼに切断される。切断されると、該タンパク質は、スレオニンのカルボキシルを介して、ペプチドグリカン中のアミノ酸架橋の未結合(free)アミド基に共有結合し、こうして細菌細胞表面に該タンパク質が永続的に付着する。ソルターゼに標的とされるタンパク質のこのファミリーに含まれるのは、C5aペプチダーゼ(6、7)、フィブロネクチン(9、19、23、24)、ビトロネクチン、およびIV型コラーゲンのアドヘシン類、並びにプラスミノーゲン、IgA、IgG、およびアルブミンと結合する他のM様タンパク質(31)である。
【0011】
多くの分泌タンパク質が記載されてきており、このうちいくつかは毒素とみなされる。深刻な侵襲性疾患および連鎖球菌トキシックショック症候群(STSS)の症例由来の化膿性連鎖球菌単離体の大部分は、連鎖球菌発熱性外毒素(SPE)AおよびCを生じる(8)。他の発熱性外毒素もまた、オクラホマ大学で完了し、GenBankに提出され、そして寄託番号AE004092を割り当てられた、化膿性連鎖球菌ゲノム配列中で同定され、そして性質決定されてきている(55)。トキシックショック様症候群毒素、連鎖球菌スーパー抗原(58)、および分裂促進因子(66)などの他の毒素が、疾患において、より定義されていない役割を果たす。IL−β放出を引き起こすため、連鎖球菌溶血素Oもまた、候補抗原の可能性があるとみなすことが可能である。さらに、システインプロテアーゼ(35、37)、ストレプトキナーゼ(26、48)、およびヒアルロニダーゼ(27、28)を含む、多様な分泌酵素もまた同定されてきている。
【0012】
化膿性連鎖球菌に産生される既知の病原性因子の数を考慮すると、成功するβ溶血性連鎖球菌免疫原組成物の重要な性質は、感染プロセス初期にコロニー形成を防御するかまたは制限するであろう反応を刺激する能力であろうことが明らかである。この防御反応は、接着を遮断し、そして/またはオプソニン食作用(opsonophagocytic)を通じた細胞のクリアランスを増進するか、いずれかであろう。Mタンパク質に対する抗体はオプソニン性であり、そして抗B血清型莢膜抗体が、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)Bに引き起こされる疾患からの防御を示す(36)のとほぼ同じ方式で、タンパク質の抗食作用特性を克服する機構を提供することが示されてきている(30)。さらに、タンパク質Fに特異的な抗体が、接着および組織培養細胞による内在化を遮断することが示されてきている(43)。
【0013】
β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染の防御または改善のための免疫原組成物および方法をさらに同定する必要性が依然としてある。また、化膿性連鎖球菌の表面タンパク質および化膿性連鎖球菌ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに同定する必要性も依然としてある。また、β溶血性連鎖球菌および化膿性連鎖球菌コロニー形成または感染を検出する方法に対する必要性も依然としてある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明の概要
これらの必要性および他の必要性を満たすため、そしてこの目的に鑑みて、本発明は、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染の防御または改善のための組成物および方法を提供する。本発明はまた、化膿性連鎖球菌ポリペプチドおよびポリヌクレオチド、組換え材料、およびその産生法も提供する。本発明の別の側面は、こうした化膿性連鎖球菌ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの使用法に関する。
【0015】
本発明のポリペプチドには、偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列の少なくとも1つを含んでなる単離ポリペプチドが含まれる。本発明にはまた、偶数番号の配列番号2〜668のアミノ酸配列のいずれかに、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、および偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列の成熟ポリペプチドも含まれる。本発明にはさらに、これらのポリペプチドの免疫原断片および生物学的均等物も含まれる。やはり提供されるのは、本発明のポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体である。
【0016】
本発明のポリヌクレオチドには、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチドが含まれる。これらのポリヌクレオチドには、奇数番号の配列番号1〜667のいずれかのヌクレオチド配列の少なくとも1つを含んでなる単離ポリヌクレオチドが含まれ、そしてまた、遺伝暗号の縮重の結果として、やはり本発明のポリペプチドをコードする、他のヌクレオチド配列も含まれる。本発明にはまた、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド、および奇数番号の配列番号1〜667のいずれかのヌクレオチド配列に、少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチドも含まれる。さらに、本発明の単離ポリヌクレオチドには、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、奇数番号の配列番号1〜667のいずれかのヌクレオチド配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、およびこれらのポリヌクレオチドに完全に相補的であるヌクレオチド配列が含まれる。さらに、本発明には、これらのポリヌクレオチドを含んでなる発現ベクターおよび宿主細胞が含まれる。
【0017】
本発明はさらに、本発明のポリペプチドを産生する方法を提供する。1つの態様において、該方法は、(a)本発明の組換え宿主細胞を、本発明のポリペプチドを産生するのに適した条件下で培養し、そして(b)培養からポリペプチドを回収する工程を含んでなる。
【0018】
本発明はまた、免疫原組成物も提供する。1つの態様において、免疫原組成物は、感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効な量で、本発明のポリペプチドを含んでなる、少なくとも1つの構成要素の免疫原量を含んでなる。構成要素は、ポリペプチドのみを含んでなることも可能であるし、またはポリペプチド、およびβ溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染の防御および/または改善を補助可能な他の物質いずれか(例えば1以上の化学薬品剤、タンパク質など)を含んでなることも可能である。これらの免疫原組成物はさらに、場合によって、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に、あるいは多糖にコンジュゲート化するかまたは連結した、該ポリペプチドの少なくとも部分を含んでなることが可能である。別の態様において、免疫原組成物は、本発明のポリヌクレオチドを含んでなる構成要素の免疫原量を含んでなり、該構成要素は、感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効な量である。該構成要素は、ポリヌクレオチドのみを含んでなることが可能であるし、またはポリヌクレオチド、およびβ溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染の防御および/または改善を補助可能な他の物質いずれか(例えば1以上の化学薬品剤、タンパク質など)を含んでなることも可能である。さらに別の態様において、免疫原組成物は、本発明のポリヌクレオチドを含んでなるベクターを含んでなる。本発明の免疫原組成物にはまた、有効量のアジュバントが含まれることも可能である。
【0019】
本発明にはまた、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染に対して、感受性哺乳動物を防御する方法も含まれる。1つの態様において、該方法は、本発明のポリペプチドの免疫原量を含んでなる免疫原組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量は、感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効である。別の態様において、該方法は、本発明のポリヌクレオチドを含んでなる免疫原組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量は、感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効である。本発明の免疫原組成物は、いかなる慣用的な経路によって、例えば皮下または筋内注射、経口摂取、あるいは鼻内投与によって、投与することも可能である。
【0020】
本発明にはさらに、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を有する哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるための組成物および方法も含まれる。1つの態様において、組成物は、本発明の抗体を含んでなる。別の態様において、組成物は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を遮断可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなる。
【0021】
やはり提供するのは、哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌感染によって引き起こされる副作用を減少させる方法である。1つの態様において、該方法は、本発明の抗体を含んでなる組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量は、該哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるのに有効である。別の態様において、該方法は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を遮断可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなる組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量は、該哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるのに有効である。
【0022】
やはり提供するのは、生物学的試料において、β溶血性連鎖球菌を検出し、そして/または同定する方法である。1つの態様において、該方法は、(a)本発明のポリヌクレオチドと生物学的試料を、相補塩基対のハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させ、そして(b)試料中のハイブリダイゼーション複合体の存在を検出することを含んでなり、ここでハイブリダイゼーション複合体の検出が、生物学的試料にβ溶血性連鎖球菌が存在する指標となる。別の態様において、該方法は、(a)本発明の抗体と生物学的試料を、免疫複合体形成に適した条件下で接触させ、そして(b)試料中の免疫複合体の存在を検出することを含んでなり、ここで免疫複合体の検出が、生物学的試料にβ溶血性連鎖球菌が存在する指標となる。さらに別の態様において、該方法は、(a)本発明のポリペプチドと生物学的試料を、免疫複合体形成に適した条件下で接触させ、そして(b)試料中の免疫複合体の存在を検出することを含んでなり、ここで免疫複合体の検出が、生物学的試料にβ溶血性連鎖球菌に対する抗体が存在する指標となる。
【0023】
本発明はさらに、免疫原組成物を提供する。1つの態様において、免疫原組成物は、少なくとも1つの本発明のポリペプチドを含んでなる。別の態様において、免疫原組成物は、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含んでなる。さらに別の態様において、免疫原組成物は、少なくとも1つの本発明の抗体を含んでなる。
【0024】
やはり提供するのは、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは、(a)配列番号2〜668のいずれかの成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチドから第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを得て、ここで第一のプライマーおよび第二のプライマーは、PCR条件下で、外側に向かう方式で、核酸合成を開始することが可能であり、そして第一のプライマーはアンチセンス方向に伸長可能であり、そして第二のプライマーはセンス方向に伸長可能である、そして(b)該ポリヌクレオチドを含有するcDNAライブラリーと、第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを、第一のプライマーおよび第二のプライマーからヌクレオチド配列を合成するのに適したPCR条件下で合わせることを含んでなる工程によって同定される。
【0025】
やはり提供するのは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、本発明のポリヌクレオチドを伸長する方法であって、(a)該ポリヌクレオチドから第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを得て、ここで第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーは、PCR条件下で、外側に向かう方式で、核酸合成を開始することが可能であり、そして第一のPCRプライマーはアンチセンス方向に伸長可能であり、そして第二のPCRプライマーはセンス方向に伸長可能である、そして(b)cDNAライブラリーに含有される該ポリヌクレオチドと、第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを、第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーからヌクレオチド配列を合成するのに適したPCR条件下で合わせて、それによって該ポリヌクレオチドを伸長する工程を含んでなる、前記方法である。
【0026】
前述の一般的な説明および続く詳細な説明は、本発明の例示であるが限定的でないことを理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、A、B、CおよびG群を含む、β溶血性連鎖球菌によって引き起こされる感染を改善し、そして防御する組成物および方法を提供する。β溶血性連鎖球菌に引き起こされる感染の改善および防御に有用なポリヌクレオチドおよびポリペプチドを同定するため、2つの戦略、ゲノミクスアプローチおよびプロテオミクスアプローチを用いて、表面に局在する、化膿性連鎖球菌タンパク質を同定した。
【0028】
ゲノミクスアプローチには、表面に局在するタンパク質をコードするであろう遺伝子を同定し、そして性質決定するために設計した、いくつかのアルゴリズムを用いる、化膿性連鎖球菌ゲノムのin silicoでの広範なゲノム解析が含まれた。化膿性連鎖球菌表面に存在するタンパク質を同定するため、プロテオミクスアプローチに取り掛かった。各アプローチの欠陥を克服するため、両アプローチに対する信頼性が重要であった。ゲノムマイニングは、遺伝子の能力を提供するが、実際の表現型発現に関する情報はほとんど提供しない。逆に、プロテオミクス解析は、細胞表面に局在する実際のタンパク質を同定するが、タンパク質発現が制御されている可能性があり、そして細菌細胞を培養する特定の条件が、同定されるタンパク質セットに影響を及ぼしている可能性がある。
【0029】
ゲノミクスおよびプロテオミクスアプローチの結果を組み合わせ、そして目的のORFを4つの群の1つに分類した:(i)プロテオミクスによって同定される表面局在タンパク質をコードするORF(表I、奇数番号の配列番号1〜147);(ii)推定上のリポタンパク質をコードするORF(表II、奇数番号の配列番号149〜181、669);(iii)LPXTGモチーフを含有する推定上のポリペプチドをコードするORF(表III、奇数番号の配列番号183〜187);および(iv)他の推定上の表面局在ポリペプチドをコードするORF(表IV、奇数番号の配列番号189〜667)。表I〜IVに含有されるORFは重複せず、すなわち、多くのORFが別の表に一致する特性を所持するが、表I〜IVに列挙されるORFは、各々、1度しか現れない。したがって、例えば表II〜IVの1以上にも分類可能であるが、これらの表には含まれない、表Iに列挙されるORF(プロテオミクスによって同定される表面局在タンパク質をコードするORF)がある。
【0030】
表I. プロテオミクスによって同定される表面局在タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0031】
【表1】
表II. 推定上のリポタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0032】
【表2】
表III. LPXTGモチーフを含有する推定上のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0033】
【表3】
表IV. 他の推定上の表面局在ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0034】
【表4−1】
【表4−2】
【表4−3】
ゲノミクスアプローチ
現在、バイオインフォマティクスの情報プロセシング能とカップリングした、ゲノミクス、転写プロファイリングおよびプロテオミクスを通じて、免疫原組成物候補を同定する際には、完全細菌ゲノム配列の入手可能性が、重要な役割を演じている(39〜41、53、60、65)。
【0035】
ゲノミクスアプローチは、オクラホマ大学のウェブサイトからダウンロードした化膿性連鎖球菌の未注釈(unannotated)配列においてオープンリーディングフレーム(ORF)を同定することによって始まった。このゲノム配列は、GenBankに提出され、そして寄託番号AE004092を割り当てられたと報告された。株M1 GASは、ATCCに提出され、そして寄託番号ATCC 700294を与えられたと報告された。
【0036】
ORFは、3つのありうる開始部位コドン、ATG、GTG、またはTTGの1つ、および3つのありうる停止コドン、TAA、TAG、またはTGAの1つを有すると本明細書に定義される。ORFのこの定義を用いて、ORFを同定するため、3つのORFファインダーアルゴリズム、すなわちGLIMMER(59)、GeneMark(34)、および本発明者の譲受人に開発されたアルゴリズムを用いて、化膿性連鎖球菌ゲノムを解析した。3つのアルゴリズムすべてに共通に同定される736のORFがあった。異なるORFファインダー間の結果の相違は、主に、各プログラムが用いる特定の開始コドンによるものであるが、Glimmerはまた、シャイン−ダルガーノ・ボックスに関するある程度の評価も取り込む。共通の停止コドンを持つORFにはすべて、同一のORF名称を与え、そして同一のORFであるかのように扱った。
【0037】
決定したORFの正確さを評価するため、離散コサイン変換(DiCTion)として当該技術分野に知られる、離散数学的コサイン関数を使用して、各ORFにスコアを割り当てた。DiCTionスコア>1.5のORFは、タンパク質産物をコードする高い確率を有するとみなした。3つのORF発見アルゴリズムに予測されるORFの最低の長さを、74アミノ酸のタンパク質をコードするであろう225ヌクレオチド(停止コドンを含む)に設定した。
【0038】
ORFの残りの最終検索として、フレームシフトを含有する遺伝子領域(42)または抗原変異を引き起こすのに役割を有する可能性がある遺伝子断片(21)を同定するため、tBLASTnを用いて、公的タンパク質データベースに対して、>75ヌクレオチドの非コード領域すべてを検索した。これらの残りのORFをORFヒットに加えた。
【0039】
本発明者の譲受人に開発された図式的解析プログラムを用いて、ゲノム配列に比較して、予測されるORFの6つの読み枠および位置をすべて示した。これは、他のORFと長い重複を有するORFを除去するのを補助したが、他のORFに完全に埋まるORFの既知の例がある(25、33)。
【0040】
BLAST v2.0ギャップ化検索アルゴリズム、BLASTpを用いて、これらの化膿性連鎖球菌ORFの最初の注釈付けを行って、相同配列を同定した。<e−10のいずれかのカットオフ「e」値を有意とみなした。FASTAおよびPSI−BLASTを含む他の検索アルゴリズムもまた用いた。相同検索に用いた非重複タンパク質配列データベースには、毎日アップデートされる、GenBank、SWISS−PROT、PIR、およびTREMBLデータベース配列が含まれた。>e−10のBLASTp結果を持つORFを、化膿性連鎖球菌に特有であるとみなした。
【0041】
現在、細菌ゲノム内のすべてのORFの約60%が、その機能が決定されているタンパク質とある程度の一致を有する。これによって、約40%のゲノムORFがなお性質決定されずに残っている。既知のまたは推測される候補標的遺伝子と共に、タンパク質の位置または機能を同定するワードを用いて、全Blast結果のキーワード検索を行った。さらに、最初のBlast結果と関連するMEDLINE参考文献すべてのキーワード検索を行って、ORFに関するさらなる情報を探した。キーワード検索には、例えば、以下の検索用語が含まれた:アドヘシン(接着);フィブロネクチン;フィブリノーゲン;コラーゲン;輸送体;搬出体(exporter);細胞外;トランスフェラーゼ;表面;および結合。ORFのBlast解析によって、1005のORFが未分類と指摘され、284のORFは、化膿性連鎖球菌由来のタンパク質とのみBlast類似性を生じたため、この生物に特異的であるようであり、そして676のORFは、Medline参考文献と関連した。
【0042】
DNA解析のため、各遺伝子内の%G+C含量を同定した。ORFの%G+C含量は、ORF内のコドンすべての第三のヌクレオチド位の(G+C)含量として計算した。報告される値は、該生物で見られるすべてのORFに関して得られるこうした値の算術平均からのこの値の相違であった。これらのORFは、多くの他の病原性アイランドと調和するパターン(22)の、ピロリ菌(H. pylori)由来のcag病原性アイランドの場合に見られているような(2)、水平移行から生じる可能性があるため、さらなる解析には8以上の絶対値が重要とみなされた。G+C含量が有意に異なるORFは、総計289であった。水平移行によって別の生物から獲得した病原性因子に対する類似性に関して、これらのORFをさらに調べた。
【0043】
いくつかのパラメーターを用いて、予測されるタンパク質の分配(partitioning)を決定した。細胞膜を渡る転位置を運命付けるタンパク質は、N末端で陽性荷電残基が隣接する中央疎水性領域で構成されるリーダーシグナル(シグナル配列としても知られる)をコードする(56)。プログラムSignalPを用いて、シグナルペプチドおよびその切断部位を同定した(46)。発現中、シグナルペプチドが切断されて、成熟ペプチドを生じる。さらに、細菌中のタンパク質局在を予測するため、ソフトウェアPSORTを用いた(44)。PSORTは神経網アルゴリズムを用いて、グラム陽性細菌では、細胞質、周辺質、および/または細胞膜、それと共にグラム陰性細菌では外膜へのタンパク質の局在を予測する。PSORTは予測される40のORFが表面曝露されていると同定した(表V)。
【0044】
表V. 推定上の細胞外タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0045】
【表5】
さらに、ソフトウェアプログラムTopPred2(10)を用いて、タンパク質の膜貫通(TM)ドメインを解析した。このプログラムは、潜在的に膜の脂質二重層に渡る可能性がある、疎水性のタンパク質領域を予測する。TopPred2による、潜在的に膜の脂質二重層に渡る可能性がある、タンパク質疎水性領域に関する解析によって、3以上の膜貫通ドメインを持ち、そしてしたがって膜結合であるとみなされる、48のORF(表VI)が同定された。
【0046】
表VI. 3以上の膜貫通領域を持つ、推定上のタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0047】
【表6】
タンパク質ドメインまたは保存されるタンパク質領域の多数並列の隠れマルコフモデル(HMM)Pfamデータベース(61)を用いて、現存するタンパク質ファミリーに属する可能性がある化膿性連鎖球菌タンパク質を同定した。このアウトプットのキーワード検索を用いて、Blast検索規準では見逃した可能性があるタンパク質を同定した。本発明者の譲受人もまた、HMMモデルを開発した。コンピュータアルゴリズム、HMM Lipoを開発して、132の生物学的に性質決定された、30を超える生物由来の非化膿性連鎖球菌細菌リポタンパク質を用いて、リポタンパク質を予測した。このトレーニングセットは、実験的に立証された原核生物リポタンパク質から生成された。HMM Lipoは、推定上のリポタンパク質である、30のORFを同定した(表VII)。
【0048】
表VII. 推定上のリポタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0049】
【表7】
さらに、15のORFがLPXTGモチーフを有すると予測され、そしてソルターゼに標的とされる可能性があるタンパク質として分類された(表VIII)。
【0050】
表VIII. LPXTGモチーフを含有する推定上のタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0051】
【表8】
配列番号669〜674は、それぞれ、タンパク質Grab(ORF608)、Mタンパク質(ORF2434)、およびScpA(ORF2446)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含有する。
【0052】
さらに、LPXTG細胞壁局所化シグナルを含有する、約70の既知の原核生物タンパク質を用いて、HMM(15)を開発して、ペプチドグリカン層に係留される細胞壁タンパク質を予測した(38、45)。このモデルはLPXTG配列を用いるだけでなく、下流配列の2つの特徴、疎水性膜貫通ドメインおよび陽性荷電カルボキシ末端も含んだ。ソルターゼと独立した、非共有様式で、ペプチドグリカン層に潜在的に結合すると同定された5つのタンパク質があった(表IX)。
【0053】
表IX. 推定上のペプチドグリカン結合タンパク質をコードするオープンリーディン グフレーム(ORF)
【0054】
【表9】
また、同定されたORFにコードされるタンパク質を他の特性に関しても評価した。タンデム反復ファインダー(5)は、MSCRAMM(20)および髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の相可変(phase variable)表面タンパク質(51)に見出されるものなどの反復DNA配列を含有するORFを同定した。こうした反復領域を含有するタンパク質をコードすることが見出された23のORFがあった(表X)。
【0055】
表X. 反復領域を含有する推定上のタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0056】
【表10】
さらに、Arg−Gly−Asp(RGD)接着モチーフを含有するタンパク質は、その受容体として作用するインテグリンと共に、細胞接着の主要認識系を構成する。RGD認識は、微生物が真核生物組織への進入を獲得するのに用いる1つの機構である(29、63)。RGD含有タンパク質をコードすると同定される、65のORFがあった(表XI)。
【0057】
表XI. RGDモチーフを含有する推定上のタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)
【0058】
【表11】
ゲノム解析およびORF同定の結果の図式的表示を図1に示す。
【0059】
プロテオミクスアプローチ
上述のように、化膿性連鎖球菌表面局在タンパク質を同定するため、プロテオミクスアプローチも取った。
【0060】
細胞表面に局在するタンパク質のみを同定するため、トリプシンを用いて化膿性連鎖球菌細胞を調製し、そして消化する間、注意を払った。細胞試料は、トリプシン添加直前および消化完了時に採取し、そして生存数およびLV−SEMによって細胞完全性に関して試験した。消化後、未処理細胞は明らかに凝集し、そして試験管の側面に付着したが、処理細胞は均一な細胞懸濁物を形成した。生存数は試料間で有意な相違を示さず、そして実際は、未処理試料が凝集するため、処理細胞において、わずかにより高かった。LV−SEMによってこれらの結果を確認した(図2)。消化細胞は、均一に、そして個々に、カバースリップ上に分布し、一方、未処理試料は、より大きい細菌塊を示した。未処理細菌細胞の高倍率でのトポグラフィック検査は、化膿性連鎖球菌に特徴的な表面物質が多量にあることを示した。しかし、トリプシン消化試料中の個々の細胞は、細胞が擦り減って(bald)見え、そしていかなる表面物質も欠けているため、すべての観察可能な表面タンパク質の減少を示した。図3は、トリプシン消化前(左のパネル、パネルA)および消化後(右のパネル、パネルB)の化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。トリプシン消化前の細胞(パネルA)はより大きく、そして表面物質を示す。消化後の細胞のLV−SEM(パネルB)はより小さく、そしていかなる表面タンパク質も欠けて見える。
【0061】
複雑な表面消化混合物のペプチド構成要素を同定するため、解析技術を用いて、広い濃度範囲に渡って高感度で多数のペプチドを分離し、そして配列決定した。タンデム質量分析(MS/MS)は、ゲルおよび溶液両方から、タンパク質を解析する強力なアプローチであることが示されてきた(17)。MS/MSは、まず、質量分析装置を用いて、イオン混合物からペプチドイオンを分離し、その後、第二の工程または質量分析装置を用いて、目的のイオンを活性化し、そして解離する。このプロセスは、衝突誘起解離(collision induced dissociation)(CID)として知られ、アミノ酸間のペプチド結合でのペプチドの断片化を引き起こし、そしてしたがって、ペプチドの断片化パターンを用いて、アミノ酸配列を決定する。
【0062】
さらに、SEQUESTコンピュータアルゴリズムを用いて、タンパク質に対して、または翻訳されたヌクレオチド配列データベースに対して、実験的断片化スペクトルを直接検索した。大きさおよそ800〜900Daを超えるペプチドに関して、単一のスペクトルが、特有にタンパク質を同定可能である。
【0063】
複雑な混合物から多数のペプチドを配列決定するため、逆相クロマトグラフィー系をエレクトロスプレーイオントラップ質量分析計とカップリングした。この系では、流速およびカラム直径両方を最小化して、溶出体積を濃縮し、そして質量分析計検出装置の開口部に可能な限り多くのカラム流出物を導くことによって、高感度(サブフェムトモルレベル未満まで)に到達可能であることが知られる。最初の実験は、1%アセトニトリル/分の逆相勾配を用いて、ペプチドを分離した。その後、クロマトグラフィー分離を増加させるため、0.28%アセトニトリル/分までのより長い勾配およびより遅い流速(50nl/分)を使用した。試料に存在するタンパク質の範囲を最大にするため、イオントラップのデータ依存獲得特徴を使用した。
【0064】
動的排除(dynamic exclusion)を用いて、特定のm/z値に関してひとたびスペクトルを得たら、イオンのタンデムマススペクトルの再獲得を防いだ。同位体排除機能は、MS/MSの候補としたイオンのリストから、ペプチドの13C同位体と関連するイオンを排除した。この目的のため、3−uマス幅ウィンドウを選択した。これらのデータに依存する特徴を用いると、CID解析に選択されるペプチドイオンの数が劇的に増加した。
【0065】
上述のLC−MS/MSデータ獲得条件は、典型的には、各実行あたり、2000を超えるペプチドイオンに関する断片化データを生じた。SEQUESTアルゴリズムを用いて、非重複タンパク質配列データベースOWLと組み合わせて、化膿性連鎖球菌由来の翻訳されたORFを含有する合成タンパク質配列データベースに対して、このデータを検索した。SEQUEST検索条件は修飾トリプシン選択性を用い、そしてメチオニンに対する+16Daの示差検索を可能にして、メチオニン酸化を明らかにした。以下のマニュアル法を用いて、SEQUESTに同定された候補マッチを確認した。2.5より大きいXcorr値(実験ms/msデータと配列データベースから生成されるものの類似性の測定値)および0.1より大きいdelCn値(delCnは第一のマッチおよび第二のマッチのXcorr値間の規準化した相違を測定する)を持つマッチをさらなる選択のために選択した。優れたマッチ由来の断片化スペクトルを妥当なシグナル/ノイズに関してチェックし、そしてマッチしたイオンのリストを妥当な連続性に関して調べた。他の確認ms/msデータが同一試料によって生成されたならば、単独では許容しえないマッチのいくつかを含んだ。このプロテオミクスアプローチで得たORFを表XIIに示す。
【0066】
表XII. トリプシン消化によって同定されたオープンリーディングフレーム(ORF)
【0067】
【表12】
同定されたORFのいくつかをクローニングし、そして発現した。精製タンパク質に対して生成したマウス抗血清をまず、コーティング抗原としてマウス免疫に用いるのと同一の調製を用いたELISAによって、反応性に関して解析した。化膿性連鎖球菌の表面上のタンパク質発現を定量化するため、その後、これらの血清を全細胞ELISAで用いた。特定のタンパク質のタンパク質発現を認定するため、全化膿性連鎖球菌細胞をイムノゴールドによって標識し、そしてLV−SEMによって視覚化した。
【0068】
同定したORFのいくつかに関して、コードされるタンパク質は、増殖期(対数中期対静止期)に応じた方式で発現されることが観察された。この種類の例は、ORF218(図4)、ORF554(図5)、およびORF1191(図6)である。いくつかの場合、発現レベルは、対数増殖中期でより高く、一方、他の場合、静止細胞でより高かった。他のORFにコードされるタンパク質は、増殖期にかかわらず、低レベルで発現され(ORF2064、2601、および1316)(それぞれ図7〜9に示す)、一方、他のものは、増殖期と独立して高レベルで発現された(ORF1224)(図10)。化膿性連鎖球菌の細胞壁で発現され、そしてそこに局在することが知られるため、陽性対照として、抗C5aペプチダーゼ血清を用いた。すべての抗血清は、それぞれの免疫前対照血清よりも、反応性の増加を示した。
【0069】
ゲノミクスアプローチおよびプロテオミクスアプローチの組み合わせ
表V〜XIIで同定されたORFを、その後、4つの群の1つに分類した:プロテオミクスによって同定される表面局在タンパク質をコードするORF(表I);推定上のリポタンパク質をコードするORF(表II);LPXTGモチーフを含有する推定上のポリペプチドをコードするORF(表III);および他の推定上の表面局在ポリペプチドをコードするORF(表IV)。表I〜IVを上記に提供する。表I〜IVに含有されるORFは重複せず、すなわち表I〜IVに列挙されるORFは、多くが別の表に一致する特性を所持するが、各々、1度しか現れないことが明らかなはずである。
【0070】
表Iのヌクレオチド配列は、プロテオミクスアプローチによって、表面に局在する化膿性連鎖球菌タンパク質であると同定されたポリペプチドをコードする。表II〜IVのヌクレオチド配列は、記載されるゲノミクスアプローチによって、表面に局在する化膿性連鎖球菌タンパク質であると同定された推定上のポリペプチドをコードする。具体的には、表IIのヌクレオチド配列は推定上のリポタンパク質をコードし、表IIIのヌクレオチド配列は、LPXTG細胞壁局所化シグナルを有する推定上のタンパク質をコードし、そして表IVのヌクレオチド配列は、機能および細胞内の位置が先に同定されている他のタンパク質に対する類似性、タンパク質ファミリー(例えばPfam)とのマッチ、並びに膜貫通ドメイン、PsortおよびsigP値、およびタンパク質の予測される分子量の組み合わせ解析を含む、本明細書に記載するような、いくつかの規準の少なくとも1つを含む、推定上の表面局在タンパク質をコードする。
【0071】
奇数番号の配列番号1〜667は各々、ヌクレオチド配列の後に続いて番号付けされるアミノ酸配列をコードする。したがって、例えば、配列番号1のヌクレオチド配列は配列番号2のアミノ酸配列をコードし、そして配列番号3のヌクレオチド配列は配列番号4のアミノ酸配列をコードするなどである。
【0072】
ポリペプチド
本発明は、表面に局在する化膿性連鎖球菌ポリペプチドを提供する。具体的には、本発明のポリペプチドには、偶数番号の配列番号2〜668、すなわち、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、26、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72;74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120;122、124、126、128、130、132、134、136;138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、380、382、384、386、388、390、392、394、396、398、400、402、404、406、408、410、412、414、416、418、420、422、424、426、428、430、432、434、436、438、440、442、444、446、448、450、452、454、456、458、460、462、464、466、468、470、472、474、476、478、480、482、484、486、488、490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、540、542、544、546、548、550、552、554、556、558、560、562、564、566、568、570、572、574、576、578、580、582、584、586、588、590、592、594、596、598、600、602、604、606、608、610、612、614、616、618、620、622、624、626、628、630、632、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666または668のいずれかのアミノ酸配列を含んでなる単離ポリペプチドが含まれる。
【0073】
本発明のポリペプチドにはまた、本質的に前述のアミノ酸配列からなる単離ポリペプチド、および前述のアミノ酸配列からなる単離ポリペプチドも含まれる。用語「単離」は、天然の状態から人の手によって改変されることを意味する。「単離」組成物または物質が天然に存在する場合、元来の環境から変化したかまたは除去されているか、あるいは両方である。例えば、生存動物に天然に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチドは「単離」されていないが、その天然状態で共存する物質から分離されている、同じポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、該用語が本明細書で使用される場合、「単離」されている。本明細書において、用語「単離」は、天然供給源から単離されており、そして/または組換え技術を用いて調製されているポリペプチド(または他の構成要素)を意図する。
【0074】
本発明のポリペプチド配列は、偶数番号の配列番号2〜668の参照配列に同一、すなわち100%同一であることも可能であるし、または同一性%が100%未満であるように、参照配列に比較した際、特定の整数までのアミノ酸改変を含むことも可能である。こうした改変には、少なくとも1つのアミノ酸欠失、保存的および非保存的置換を含む置換、または挿入が含まれる。改変は、参照ポリペプチド配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端位で、またはこれらの末端位の間のどこかで、参照アミノ酸配列中のアミノ酸の間に個々に点在するか、または参照アミノ酸配列内の1以上の隣接基に生じることが可能である。
【0075】
したがって、本発明はまた、配列表に含有されるアミノ酸配列(すなわち偶数番号の配列番号2〜668)に配列同一性を有する単離ポリペプチドも提供する。特定の配列に応じて、配列同一性の度合いは、好ましくは50%より高い(例えば60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%以上)。これらの相同タンパク質には、突然変異体および対立遺伝子変異体が含まれる。
【0076】
「同一性」は、当該技術分野に知られるように、配列を比較することによって決定されるような、2以上のポリペプチド配列または2以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、場合に応じて、こうした配列のストリング間のマッチによって決定されるような、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の度合いも意味する。「同一性」および「類似性」は、限定されるわけではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.監修, Oxford University Press, ニューヨーク, 1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.監修, Academic Press, ニューヨーク, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.監修, Humana Press, ニュージャージー, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M.およびDevereux, J.監修, M Stockton Press, ニューヨーク, 1991;並びにCarillo, H.,およびLipman, D., SIAM J. Applied Math., 48:1073(1988)に記載されるものを含む、既知の方法によって、容易に計算可能である。同一性を決定するのに好ましい方法を設計して、試験した配列間の最大マッチを生じる。同一性および類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて体系化されている。2つの配列間の同一性および類似性を決定するのに好ましいコンピュータプログラム法には、限定されるわけではないが、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J.ら 1984)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul, S.F.ら、1990)が含まれる。BLASTXプログラムは、NCBIおよび他の供給源から公的に入手可能である(BLAST Manual, Altschul, S.ら, NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894;Altschul, S.ら、1990)。公知のスミス・ウォーターマン・アルゴリズムもまた、同一性を決定するのに使用可能である。
【0077】
例えば、既定の同一性%に関して、偶数番号の配列番号2〜668の1つのアミノ酸総数に、それぞれのパーセント同一性のパーセント数値(100で割ったもの)を乗じて、そしてその後、偶数番号の配列番号2〜668の1つのアミノ酸の前記総数からその積を減じることによって、または:
na≦xa−(xa・y)
(式中、naはアミノ酸改変数であり、xaは配列番号2〜668の1つのアミノ酸総数であり、そしてyは例えば70%では0.70、80%では0.80、85%では0.85などであり、そして式中、xaおよびyの整数でないいかなる積も、これをxaから減じる前に、最も近い整数に四捨五入する)によって、アミノ酸改変数を決定可能である。
【0078】
本発明は、β溶血性連鎖球菌の株に渡って実質的に保存される単離ポリペプチドを意図する。さらに、β溶血性連鎖球菌の株に渡って実質的に保存される単離ポリペプチド、および感受性被験者において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効な単離ポリペプチドもまた、本発明に意図される。本明細書において、用語「保存」は、例えば、タンパク質中のアミノ酸総数の割合として、挿入、置換および/または欠失を経験しないアミノ酸数を指す。例えば、タンパク質が55%保存され、そして例えば263アミノ酸を有するならば、タンパク質において、アミノ酸が置換を経験しない144のアミノ酸位がある。同様に、タンパク質が90%保存され、そして例えば約280アミノ酸を有するならば、アミノ酸が置換を経験する可能性がある28のアミノ酸位があり、そしてアミノ酸が置換を経験しない252(すなわち280マイナス28)のアミノ酸位がある。本発明の態様にしたがって、単離ポリペプチドは、限定なしに、好ましくは、β溶血性連鎖球菌の株に渡って、少なくとも約80%保存されており、より好ましくは、株に渡って、少なくとも約85%保存されており、さらにより好ましくは、株に渡って、少なくとも約90%保存されており、そして最も好ましくは、株に渡って、少なくとも約95%保存されている。
【0079】
偶数番号の配列番号2〜668のポリペプチド構造において、修飾および変化を作成し、そしてなおβ溶血性連鎖球菌および/または化膿性連鎖球菌活性および/または抗原性を有する分子を得ることが可能である。例えば、活性および/または抗原性の認識可能な損失を伴わずに、配列中の他のアミノ酸の代わりに、特定のアミノ酸を使用可能である。ポリペプチドの生物学的な機能的活性を定義するのは、ポリペプチドの相互作用能および性質であるため、特定のアミノ酸配列置換をポリペプチド配列(またはもちろん、その根底にあるDNAコード配列)中で行って、そしてにもかかわらず、同様の特性を持つポリペプチドを得ることが可能である。
【0080】
本発明には、本明細書に記載されるような望ましい反応性を提供する生物学的均等物である、いかなる単離ポリペプチドも含まれる。用語「望ましい反応性」は、本発明の目的のため有用な結果として、当業者に認識されるであろう反応性を指す。望ましい反応性の例は本明細書に記載され、これには、限定なしに、本発明の目的のために有用であると当業者に認識されるであろうような、望ましいレベルの防御、望ましい抗体力価、望ましいオプソニン食作用活性および/または望ましい交差反応性が含まれる。望ましいオプソニン食作用活性は、OPA中のコロニー形成単位(CFU)の陰性対照に対する減少によって測定されるような、殺細菌パーセントによって示される。限定なしに、望ましいオプソニン食作用活性は、好ましくは、少なくとも約15%、より好ましくは、少なくとも約20%、さらにより好ましくは、少なくとも約40%、さらにより好ましくは、少なくとも約50%、そして最も好ましくは、少なくとも約60%である。
【0081】
本発明には、配列番号2〜668のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドの変異体であるポリペプチドが含まれる。「変異体」には、この用語が本明細書で用いられる場合、参照ポリペプチドとは異なるが、本質的な特性を保持するポリペプチドが含まれる。一般的に、参照ポリペプチドおよび変異体の配列が全体的に緊密に類似であり、そして多くの領域で同一である(すなわち生物学的に均等である)ように、相違が限定される。変異体および参照ポリペプチドは、いかなる組み合わせでもよい1以上の置換、付加、または欠失によって、アミノ酸配列が異なることも可能である。置換または挿入アミノ酸残基は、遺伝暗号にコードされるものであってもよいし、またはなくてもよい。ポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体など、天然に存在することも可能であるし、または天然に存在することが知られない変異体であることも可能である。ポリペプチドの非天然存在変異体は、直接合成によって、または突然変異誘発技術によって、作成することも可能である。
【0082】
こうした変化を作成する際、アミノ酸のハイドロパシー指数を考慮することが可能である。ポリペプチドに相互作用生物学的機能を与える際にハイドロパシーアミノ酸指数が重要であることは、当該技術分野に一般的に理解されている(Kyte & Doolittle、1982)。特定のアミノ酸を、類似のハイドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに使用して、そしてなお、類似の生物学的活性を持つポリペプチドを生じることが可能であると知られる。各アミノ酸は、疎水性および荷電特性に基づいて、ハイドロパシー指数を割り当てられてきている。これらの指数を、以下のように、各アミノ酸の後の括弧内に列挙する:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0083】
アミノ酸残基の相対ハイドロパシー特性が、生じるポリペプチドの二次および三次構造を決定し、これが次に、ポリペプチドと、酵素、基質、受容体、抗体、抗原等の他の分子との相互作用を特徴付ける。アミノ酸を、類似のハイドロパシー指数を有する別のアミノ酸で代用して、そしてなお、機能的に均等のポリペプチドを得ることが可能であることが、当該技術分野に知られる。こうした変化において、ハイドロパシー指数が+/−2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、+/−1以内であるものが特に好ましく、そして+/−0.5以内であるものがさらにより特に好ましい。
【0084】
同様のアミノ酸の置換はまた、特に、免疫学的態様で使用するために、生物学的に機能的に均等なポリペプチドまたはペプチドがそれによって生成される場合、親水性に基づいて行うことも可能である。本明細書に援用される米国特許第4,554,101号は、隣接アミノ酸の親水性に支配されるような、ポリペプチドの最大局所平均親水性が、その免疫原性および抗原性、すなわちポリペプチドの生物学的特性と相関すると言及する。
【0085】
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);プロリン(−0.5±1);スレオニン(−0.4);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸を、類似の親水性値を有する別のものの代わりに使用し、そしてなお生物学的に均等な、そして特に免疫学的に均等なポリペプチドを得ることが可能であると理解される。こうした変化において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、そして±0.5以内のものがさらにより特に好ましい。
【0086】
したがって、上に概略するように、アミノ酸置換は、一般的に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えばその疎水性、親水性、荷電、大きさ等に基づく。前述の多様な特性を考慮に入れる、典型的な置換が当業者に公知であり、そしてこれらには:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;並びにバリン、ロイシンおよびイソロイシンが含まれる。以下の表XIIIに示すように、適切なアミノ酸置換には、以下が含まれる:
表XIII:
【0087】
【表13】
したがって、本発明には、1以上のアミノ酸置換を含有する配列番号2〜668のポリペプチドの機能的または生物学的均等物が含まれる。
【0088】
ポリペプチドの生物学的または機能的均等物はまた、部位特異的突然変異誘発を用いて調製することも可能である。部位特異的突然変異誘発は、根底にあるDNAの特異的突然変異誘発を通じて、その配列に由来した、第二世代ポリペプチド、または生物学的に機能的に均等であるポリペプチドを調製するのに有用な技術である。上述のように、アミノ酸置換が望ましい場合、こうした変化が望ましい可能性がある。該技術は、DNAに1以上のヌクレオチド配列変化を導入することによって、例えば前述の考慮の1以上を取り込んだ配列変異体を容易に調製し、そして試験する能力をさらに提供する。部位特異的突然変異誘発は、望ましい突然変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列と共に、十分な数の隣接ヌクレオチドの使用を通じて、十分な大きさおよび配列複雑度のプライマー配列を提供して、横切る欠失結合部の両端に安定な二重鎖を形成して、突然変異体の産生を可能にする。典型的には、長さ約17〜25ヌクレオチドのプライマーが好ましく、配列結合部両端の約5〜10残基が改変される。
【0089】
一般的に、部位特異的突然変異誘発技術が当該技術分野に公知である。認識されるであろうように、該技術は、典型的には、一本鎖型および二本鎖型両方で存在することが可能なファージベクターを使用する。典型的には、まず、配列内に、選択した化膿性連鎖球菌ポリペプチド配列のすべてまたは一部をコードするDNA配列を含む一本鎖ベクターを得ることによって、これにしたがって部位特異的突然変異誘発を行う。望ましい突然変異配列を所持するオリゴヌクレオチドプライマーを、例えば公知の技術によって(例えば合成的に)調製する。その後、このプライマーを一本鎖ベクターにアニーリングし、そして突然変異所持鎖の合成を完了するため、大腸菌(E. coli)ポリメラーゼIクレノウ断片などの酵素の使用によって伸長する。こうして、1つの鎖が元来の非突然変異配列をコードし、そして第二の鎖が望ましい突然変異を所持する、ヘテロ二重鎖を形成する。その後、このヘテロ二重鎖ベクターを用いて、大腸菌細胞などの適切な細胞を形質転換し、そして突然変異を所持する組換えベクターを含むクローンを選択する。商業的に入手可能なキットは、必要な試薬を提供する。
【0090】
本発明のポリペプチドおよびポリペプチド抗原は、配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドに、実質的な配列類似性、構造的類似性、および/または機能的類似性を含んでなる、いかなるポリペプチドも含むと理解される。さらに、本発明のポリペプチドまたはポリペプチド抗原は、特定の供給源に限定されない。したがって、本発明は、多様な供給源からのポリペプチドの一般的な検出および単離を提供する。
【0091】
本発明のポリペプチドは、さらなる構造的または機能的解析に用いるか、または化膿性連鎖球菌関連ポリペプチドおよび化膿性連鎖球菌特異的抗体などの試薬の生成に用いる断片に、好適に切断することが可能である。これは、本発明の精製または未精製ポリペプチドを、エンドプロテイナーゼglu−C(Boehringer、インディアナ州インディアナポリス)などのペプチダーゼで処理することによって、達成可能である。CNBrでの処理は、それによって天然化膿性連鎖球菌ポリペプチドからペプチド断片を生成可能な別の方法である。組換え技術もまた、化膿性連鎖球菌ポリペプチドの特定の断片を産生するのに使用可能である。
【0092】
さらに、本発明者らは、ペプチド模倣体(peptidomimetics)として当該技術分野に知られるように、特定の化膿性連鎖球菌ポリペプチド抗原に立体的に類似の化合物を構築して、ペプチド構造の重要な部分を模倣することが可能であることを意図する。模倣体は、タンパク質二次構造の要素を模倣するペプチド含有分子である。ペプチド模倣体使用の根底にある論理的根拠は、タンパク質のペプチド主鎖が、主に、受容体およびリガンドなどの、分子相互作用を容易にするような方式で、アミノ酸側鎖を方向付けするように存在することである。
【0093】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含んでなる融合タンパク質も含む。「融合タンパク質」は、2つの、しばしば関連しない融合遺伝子またはその断片にコードされるタンパク質を指す。例えば、免疫グロブリン分子の定常領域の多様な部分を、別のヒトタンパク質またはその一部と共に含んでなる融合タンパク質が記載されている。多くの場合、融合タンパク質の一部として免疫グロブリンFc領域を使用すると、療法および診断における使用に好適であり、例えば薬物動態特性改善を生じる(例えばEP−A 0232 2621を参照されたい)。一方、いくつかの使用では、融合タンパク質を発現させ、検出し、そして精製した後、Fc部分を欠失可能であることが望ましいであろう。
【0094】
本発明のポリペプチドは、「成熟」タンパク質の形であることも可能であるし、または融合タンパク質などのより大きいタンパク質の一部であることも可能である。例えば分泌またはリーダー配列、プロ配列、多数ヒスチジン残基などの精製を補助する配列、または組換え体産生中の安定性のためのさらなる配列を含有する、さらなるアミノ酸配列を含むことがしばしば好適である。
【0095】
化膿性連鎖球菌ポリペプチド断片もまた、本発明に含まれる。断片は、アミノ酸配列の一部と完全に同じであるが、すべてと同じではないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。断片は、例えば、偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列の、少なくとも7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20以上)の隣接アミノ酸を含んでなることが可能である。断片は、「独立(freestanding)」であっても、または最も好ましくは単一の隣接領域として、一部または領域を形成する、より大きいポリペプチド内に含まれてもよい。1つの態様において、断片には、成熟ポリペプチド配列の少なくとも1つのエピトープが含まれる。
【0096】
本発明のポリペプチドは、いかなる適切な方式で調製されることも可能である。こうしたポリペプチドには、天然存在ポリペプチド、組換え的に産生したポリペプチド、合成的に産生したポリペプチド、およびこれらの方法の組み合わせによって産生したポリペプチドが含まれる。こうしたポリペプチドを調製する手段が当該技術分野に公知である。
【0097】
ポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド、およびこれに緊密に関連するポリヌクレオチドも提供する。これらのポリヌクレオチドには:
(i)奇数番号の配列番号1〜147のいずれかのヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド(表I);
(ii)奇数番号の配列番号149〜181のいずれかのヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド(表II);
(iii)奇数番号の配列番号183〜187のいずれかのヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド(表III);および
(iv)奇数番号の配列番号189〜667のいずれかのヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド(表IV)
が含まれる。
【0098】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、表I〜IVに含有されるヌクレオチド配列に同一であることも可能であるし、または遺伝暗号の重複(縮重)の結果、やはり本発明のポリペプチドをコードする変異配列を有することも可能である。
【0099】
さらに、本発明は、配列番号1〜667のヌクレオチド配列に配列同一性を有する単離ポリヌクレオチドを提供する。特定の配列に応じて、配列同一性の度合いは、好ましくは70%より大きい(例えば80%、90%、95%、97%、99%以上)。
【0100】
上に論じるように、「同一性」は、当該技術分野に知られるとおり、配列を比較することによって決定されるように、2以上のポリペプチド配列または2以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。「同一性」は、既知の方法によって、容易に計算可能である。例えば、本発明のポリヌクレオチド配列は、奇数番号の配列番号1〜667の参照ヌクレオチド配列に同一、すなわち100%同一であることも可能であるし、または参照ヌクレオチド配列に比較した際、ヌクレオチド改変の特定の整数までを含むことも可能である。こうした改変には、少なくとも1つのヌクレオチド欠失、トランジションおよびトランスバージョンを含む置換、または挿入が含まれる。改変は、参照ヌクレオチド配列の5’末端もしくは3’末端位で、または末端位の間のどこかで、参照配列中のヌクレオチドの間に個々に点在するか、または参照ヌクレオチド配列内の1以上の隣接基に生じることが可能である。奇数番号の配列番号1〜667の1つのヌクレオチド総数に、それぞれのパーセント同一性のパーセント数値(100で割ったもの)を乗じて、そして奇数番号の配列番号1〜667のいずれかの参照ヌクレオチド配列のヌクレオチドの前記総数からその積を減じることによって、ヌクレオチド改変数を決定する。
【0101】
例えば、奇数番号の配列番号1〜667の1つのヌクレオチド配列に、少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチドに関しては、該ポリヌクレオチドは、奇数番号の配列番号1〜667の1つのヌクレオチド配列の全長に渡って、nn核酸改変までを含むことが可能であり、ここで、nnは式:
nn≦xn−(xn・y)
によって計算され、そして式中、xnは奇数番号の配列番号1〜667の1つのヌクレオチド配列のヌクレオチド総数であり、yは0.70の値を有し、そして式中、xnおよびyの整数でないいかなる積も、こうした積をxnから減じる前に、最も近い整数に四捨五入する。もちろん、yはまた、80%では0.80、85%では0.85、90%では0.90、95%では0.95などの値を有することも可能である。
【0102】
本発明にはまた、いずれかの組み合わせで、1以上のアミノ酸残基が置換され、欠失され、または付加されるが、天然ポリペプチドの生物学的活性を保持する、配列番号2〜668のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドのポリペプチド変異体をコードするポリヌクレオチドも含まれる。「変異体」は、この用語が本明細書で用いられる場合、参照ポリヌクレオチドとは異なるが、本質的な特性を保持するポリヌクレオチドである。変異体のヌクレオチド配列変化は、参照ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を改変してもまたはしなくてもよい。ヌクレオチド変化は、参照配列にコードされるポリペプチドのアミノ酸置換、付加、欠失、融合、および一部切除(truncation)を生じることが可能である。ポリヌクレオチド変異体は、対立遺伝子変異体など、天然存在であることも可能であるし、または、天然存在であることが知られていない変異体であることも可能である。ポリヌクレオチドの非天然存在変異体は、突然変異誘発技術によって、または直接合成によって、作成可能である。
【0103】
本発明にはまた、減少したストリンジェンシー条件下で、より好ましくはストリンジェントな条件下で、そして最も好ましくは、非常にストリンジェントな条件下で、本明細書記載のポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドも含まれる。ストリンジェンシー条件の例を、以下のストリンジェンシー条件表に示す:非常にストリンジェントな条件は、少なくとも、例えば条件A〜Fと同程度にストリンジェントなものであり;ストリンジェントな条件は、少なくとも、例えば条件G〜Lと同程度にストリンジェントなものであり;そして減少したストリンジェンシー条件は、少なくとも、例えば条件M〜Rと同程度にストリンジェントなものである。
【0104】
表XIV ストリンジェンシー条件表
【0105】
【表14】
bpI:ハイブリッド長は、ハイブリダイズしているポリヌクレオチドのハイブリダイズ領域(類)に関して予測されるものである。未知の配列の標的ポリヌクレオチドにポリヌクレオチドをハイブリダイズさせた際、ハイブリッド長はハイブリダイズしているポリヌクレオチドのものと仮定される。既知の配列のポリヌクレオチドがハイブリダイズした場合、ハイブリッド長は、ポリヌクレオチド配列を並列させ、そして最適配列相補性の領域または領域類を同定することによって決定可能である。
【0106】
緩衝液H:ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液中、SSPE(1xSSPEは、0.15M NaCl、10mM NaH2PO4、および1.25mM EDTA、pH7.4である)をSSC(1xSSCは、0.15M NaClおよび15mMクエン酸ナトリウムである)の代わりに使用可能であり;ハイブリダイゼーション完了後、洗浄を15分間行う。
【0107】
TBからTR:長さ50塩基対未満であると予測されるハイブリッドのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融点(Tm)より5〜10EC低いはずであり、Tmは、以下の等式にしたがって決定する。長さ18塩基対未満のハイブリッドに関しては、Tm(EC)=2(A+T塩基数)+4(G+C塩基数)。長さ18から49塩基対の間のハイブリッドに関しては、Tm(EC)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)、式中、Nはハイブリッド中の塩基数であり、そして[Na+]はハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオン濃度である(1xSSCの[Na+]=0.165M)。
【0108】
ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションのストリンジェンシー条件のさらなる例が、本明細書に援用される、Sambrook, J., E.F. Fritsch,およびT. Maniatis, 1989, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 第9章および第11章、並びにCurrent Protocols in Molecular Biology, 1995, F.M. Ausubelら監修, John Wiley & Sons, Inc., セクション2.10および6.3−6.4に提供される。
【0109】
本発明はまた、これらのポリヌクレオチドに完全に相補的なポリヌクレオチドも提供し、そしてまた、アンチセンス配列も提供する。アンチセンスオリゴヌクレオチドとも称される、本発明のアンチセンス配列には、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を遮断する、内部で生成される配列および外部から投与される配列両方が含まれる。本発明のアンチセンス配列は、例えば、約15〜20塩基対を含んでなる。例えば、上流非翻訳配列に結合するプロモーターを妨げることによって、またはリボソームが結合することを妨げることにより本発明のポリペプチドをコードする転写物の翻訳を妨げることによって、転写を阻害するように、アンチセンス配列を設計することが可能である。
【0110】
本発明のポリヌクレオチドは多くの方式で(例えば化学合成によって、DNAライブラリーから、生物自体から)調製され、そして多様な型(例えば一本鎖、二本鎖、ベクター、プローブ、プライマー)を取ることが可能である。用語「ポリヌクレオチド」には、DNAおよびRNA、並びに修飾主鎖を含有するものなどの、その類似体もまた含まれる。
【0111】
本発明のポリヌクレオチドを、ポリペプチドの組換え産生に用いる場合、ポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドまたはその断片のコード配列のみ、リーダーまたは分泌配列、プレ、プロ、またはプレプロタンパク質配列、または他の融合タンパク質部分をコードするものなどの他のコード配列と同じ読み枠にある成熟ポリペプチドまたは断片のコード配列を含むことが可能である。例えば、融合ポリペプチドの精製を促進するマーカー配列をコード配列に連結することが可能である。ポリヌクレオチドはまた、転写、非翻訳配列、スプライシングおよびポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位、およびmRNAを安定化する配列などの、非コード5’および3’配列も含有することが可能である。
【0112】
発現系およびベクター
組換え体産生には、一般的に、宿主細胞を操作して、本発明の発現系、その一部、またはポリヌクレオチドを取り込む。カルシウムリン酸トランスフェクション、DEAEデキストラン仲介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、超音波、カチオン性脂質仲介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープ装填(scrape loading)、弾道導入(ballistic introduction)、または感染など、Davisら, BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY(1986)およびSambrookら, MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989)などの多くの標準的実験マニュアルに記載される方法によって、宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入を達成する。
【0113】
適切な宿主の代表的な例には、細菌細胞(例えば連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、ストレプトミセス属(Streptomyces)および枯草菌(Bacillus subtilis)細胞)、酵母細胞(例えばピキア属(Pichia)、サッカロミセス属(Saccharomyces))、哺乳動物細胞(例えばベロ、チャイニーズハムスター卵巣、ニワトリ胚線維芽細胞、BHK細胞、ヒトSW13細胞)、および昆虫細胞(例えばSf9、Sf21)が含まれる。
【0114】
高性能液体クロマトグラフィー、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含む公知の方法によって、組換え細胞培養から、組換え的に産生されたポリペプチドを回収し、そして精製する。
【0115】
非常に多様な発現系が用いられる。こうした系には、とりわけ、染色体、エピソームおよびウイルスに由来する系、例えば細菌プラスミド、サルモネラ属(Salmonella)などの弱毒細菌(米国特許第4,837,151号)由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入要素由来、酵母染色体要素由来、ワクシニアおよび他のポックスウウイルス、シンドビス、アデノウイルス、バキュロウイルス、SV40などのパポバウイルス、鶏痘ウイルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(米国特許第5,643,576号)などのアルファウイルス、小水疱性口内炎ウイルス(米国特許第6,168,943号)などの非分割マイナス鎖RNAウイルスなどのウイルス由来のベクター、並びにコスミドおよびファージミドなどのプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝子要素由来のものなど、その組み合わせ由来のベクターが含まれる。発現系には、プロモーターおよび他の制御要素など(ポリアデニル化シグナルなど)の、発現を制御すると共に引き起こす調節領域が含まれなければならない。一般的に、宿主において、ポリヌクレオチドを維持するか、増やすか、または発現してポリペプチドを産生するのに適した、いかなる系またはベクターも使用可能である。例えばSambrookら, MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL(上記)に示すものなどの、多様な公知のそして日常的な技術のいずれによって、適切なヌクレオチド配列を発現系に挿入することも可能である。
【0116】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類を含んでなるベクター(例えば発現ベクター、配列決定ベクター、クローニングベクター)、本発明のベクターで遺伝的に操作される宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの産生も提供する。細胞不含翻訳系もまた、本発明のDNA構築物由来のRNAを用いて、こうしたタンパク質を産生するのに使用可能である。
【0117】
好ましいベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、および望ましい細胞向性を持つ他の組換えウイルスなどのウイルスベクターである。したがって、ウイルスベクターを用いて、またはDNAの直接導入を通じて、機能するまたは突然変異体タンパク質またはポリペプチド、あるいはその断片をコードする遺伝子を、in vivo、ex vivo、またはin vitroで導入することが可能である。標的とされる組織における発現は、ウイルスベクターまたは受容体リガンドを用いるなど、トランスジェニックベクターで特定の細胞を標的とすることによって、または組織特異的プロモーターを用いることによって、あるいはその両方などで、達成可能である。標的化遺伝子搬送は、PCT公開番号WO 95/28494号に記載される。
【0118】
in vivoまたはex vivo標的化および療法に一般的に用いられるウイルスベクターは、DNAに基づくベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターを構築し、そして用いるための方法が当該技術分野に知られる(例えばMillerおよびRosman, BioTechniques, 1992, 7:980−990)。好ましくは、ウイルスベクターは複製不全であり、すなわち、これらは標的細胞において、自立的に複製することが不能である。好ましくは、複製不全ウイルスは最小ウイルスであり、すなわち、ゲノムを被包してウイルス粒子を生じるのに必要なゲノム配列のみを保持する。
【0119】
DNAウイルスベクターには、弱毒または欠陥DNAウイルス、例えば限定されるわけではないが、単純疱疹ウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)等が含まれる。ウイルス遺伝子を完全に、またはほぼ完全に欠く欠陥ウイルスが好ましい。欠陥ウイルスは、細胞への導入後、感染性でない。欠陥ウイルスベクターを使用すると、ベクターが他の細胞に感染する可能性を懸念することなく、特定の局所領域において、細胞に投与することが可能である。したがって、特定の組織を特異的に標的とすることが可能である。特定のベクターの例には、限定されるわけではないが、欠陥ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(Kaplittら, Molec. Cell. Neurosci., 1991, 2:320−330)、糖タンパク質L遺伝子を欠く欠陥ヘルペスウイルスベクター、または他の欠陥ヘルペスウイルスベクター(PCT公開番号WO 94/21807号および第WO 92/05263号);Stratford−Perricaudetら(J. Clin. Invest., 1992, 90:626−630;La Salleら, Science, 1993, 259:988−990もまた参照されたい)に記載されるベクターなどの弱毒アデノウイルスベクター;および欠陥アデノ関連ウイルスベクター(Samulskiら, J. Virol., 1987, 61:3096−3101;Samulskiら, J. Virol., 1989, 63:3822−3828;Lebkowskiら, Mol. Cell. Biol., 1988, 8:3988−3996)が含まれる。
【0120】
限定されるわけではないが、Avigen, Inc.(カリフォルニア州アラメダ;AAVベクター)、Cell Genesys(カリフォルニア州フォスターシティー;レトロウイルス、アデノウイルス、AAVベクター、およびレンチウイルスベクター)、Clontech(レトロウイルスおよびバキュロウイルスベクター)、Genovo, Inc.(ペンシルバニア州シャロンヒル;アデノウイルスおよびAAVベクター)、Genvec(アデノウイルスベクター)、IntroGene(オランダ・ライデン;アデノウイルスベクター)、Molecular Medicine(レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、およびヘルペスウイルスベクター)、Norgen(アデノウイルスベクター)、Oxford BioMedica(英国オックスフォード;レンチウイルスベクター)、およびTransgene(フランス・ストラスブール;アデノウイルス、ワクシニア、レトロウイルス、およびレンチウイルスベクター)を含む多様な企業が商業的にウイルスベクターを生産している。
【0121】
アデノウイルスは、本発明のヌクレオチドを、多様な細胞種に効率的に搬送するよう修飾可能な真核生物DNAウイルスである。アデノウイルスの多様な血清型が存在する。これらの血清型のうち、本発明の範囲内で、2型または5型ヒトアデノウイルス(Ad2またはAd5)あるいは動物起源のアデノウイルス(PCT公開番号WO 94/26914号)を用いるのに優先性が与えられる。本発明の範囲内で使用可能な動物起源のアデノウイルスには、イヌ、ウシ、ネズミ(例えばMav1、Beardら, Virology, 1990, 75−81)、ヒツジ、ブタ、鳥、およびサル(例えばSAV)起源のアデノウイルスが含まれる。好ましくは、動物起源のアデノウイルスはイヌアデノウイルスであり、より好ましくはCAV2アデノウイルスである(例えばマンハッタンまたはA26/61株、ATCC VR−800)。多様な複製不全アデノウイルスおよび最小アデノウイルスベクターが記載されてきている(例えばPCT公開番号WO 94/26914号、WO 95/02697号、WO 94/28938号、WO 94/28152号、WO 94/12649号、WO 95/02697号、WO 96/22378号)。本発明にしたがった複製不全組換えアデノウイルスは、当業者に知られるいかなる技術によって調製することも可能である(例えばLevreroら, Gene, 1991, 101:195;欧州公開番号EP 185 573号;Graham, EMBO J., 1984, 3:2917;Grahamら, J. Gen. Virol., 1977, 36:59)。通常の当業者に公知の標準的分子生物学的技術を用いて、組換えアデノウイルスを回収し、そして精製する。
【0122】
アデノ関連ウイルス(AAV)は、感染した細胞のゲノムに、安定で、そして部位特異的な方式で、組み込まれることが可能な、比較的小さいDNAウイルスである。これらは、細胞増殖、形態、または分化にいかなる影響も誘導することなく、広い範囲の細胞に感染可能であり、そしてヒト病理に関与していないようである。AAVゲノムがクローニングされ、配列決定され、そして性質決定されてきている。遺伝子をin vitroおよびin vivoでトランスファーするためのAAV由来のベクターの使用が記載されている(PCT公開番号WO 91/18088号およびWO 93/09239号;米国特許第4,797,368号および第5,139,941号;欧州公開番号EP 488 528号を参照されたい)。本発明にしたがった複製不全組換えAAVは、2つのAAV逆方向末端反復(ITR)領域が隣接する、目的の核酸配列を含有するプラスミド、およびAAVキャプシド形成遺伝子(repおよびcap遺伝子)を所持するプラスミドを、ヒトヘルパーウイルス(例えばアデノウイルス)に感染した細胞株に同時トランスフェクションすることによって調製可能である。その後、産生されるAAV組換え体を標準的技術によって精製する。
【0123】
別の態様において、例えば、米国特許第5,399,346号;Mannら, Cell, 1983, 33:153;米国特許第4,650,764号および第4,980,289号;Markowitzら, J. Virol., 1988, 62:1120;米国特許第5,124,263号;欧州公開番号EP 453 242号および第EP 178 220号;Bernsteinら, Genet. Eng., 1985, 7:235;McCormick, BioTechnology, 1985, 3:689;PCT公開番号WO 95/07358号;およびKuoら, Blood, 1993, 82:845に記載されるように、遺伝子をレトロウイルスベクターに導入可能である。レトロウイルスは、分裂細胞に感染する組込みウイルスである。レトロウイルスゲノムには、2つのLTR、キャプシド形成配列、および3つのコード領域(gag、polおよびenv)が含まれる。組換えレトロウイルスベクターにおいて、gag、polおよびenv遺伝子は、一般的に、すべてまたは部分的に欠失しており、そして目的の異種核酸配列で置換されている。これらのベクターは、HIV、MoMuLV(「ネズミモロニー白血病ウイルス」)、MSV(「ネズミモロニー肉腫ウイルス」)、HaSV(「ハーベイ肉腫ウイルス」)、SNV(「脾臓壊死ウイルス」)、RSV(「ラウス肉腫ウイルス」)、およびフレンドウイルスなどの異なる種類のレトロウイルスから構築可能である。適切なパッケージング細胞株、特に細胞株PA317(米国特許第4,861,719号)、PsiCRIP細胞株(PCT公開番号WO 90/02806号)、およびGP+env Am−12細胞株(PCT公開番号WO 89/07150号)が記載されている。さらに、組換えレトロウイルスベクターは、転写活性を抑制するため、LTR内に修飾を含有すると共に、gag遺伝子の一部を含むことが可能な広範囲のキャプシド形成配列を含有することが可能である(Benderら, J. Virol., 1987, 61:1639)。一般の当業者に知られる標準的技術によって、組換えレトロウイルスベクターを精製する。
【0124】
感染性粒子として機能するか、または単回トランスフェクションを経るように、レトロウイルスベクターを構築可能である。前者の場合、発癌性形質転換特性に関与するものを除いて、遺伝子すべてを保持し、そして異種遺伝子を発現するように、ウイルスを修飾する。ウイルスパッケージングシグナルを破壊するが、異種遺伝子およびパッケージングシグナルを含有するように操作した同時導入ウイルスをパッケージングするのに必要な構造遺伝子を保持するように、非感染性ウイルスベクターを操作する。したがって、生じるウイルス粒子は、さらなるウイルスを産生することが不可能である。
【0125】
レトロウイルスベクターはまた、1周期のレトロウイルス複製を可能にし、そしてトランスフェクション効率を増幅する、DNAウイルスによって導入することも可能である(PCT公開番号WO 95/22617号、WO 95/26411号、WO 96/39036号およびWO 97/19182号を参照されたい)。
【0126】
別の態様において、レンチウイルスベクターは、直接搬送、並びに脳、網膜、筋肉、肝臓、および血液を含む、いくつかの組織種における、導入遺伝子の発現維持のための剤として使用可能である。ベクターは、これらの組織において、分裂および非分裂細胞に効率的に形質導入し、そして目的の遺伝子の長期発現を維持することが可能である。概説には、Naldini, Curr. Opin. Biotechnol., 1998, 9:457−63を参照されたい;Zuffereyら, J. Virol., 1998, 72:9873−80もまた参照されたい。レンチウイルスパッケージング細胞株が入手可能であり、そして一般的に当該技術分野に知られる。これらは、遺伝子治療のため、高力価レンチウイルスベクターの産生を促進する。例は、少なくとも3〜4日間、106IU/mlより高い力価でウイルス粒子を生成可能な、テトラサイクリン誘導性VSV−G偽型レンチウイルスパッケージング細胞株である(Kafriら, J. Virol., 1999, 73:576−584)。誘導性細胞株に産生されるベクターは、必要に応じてin vitroおよびin vivoで非分裂細胞に効率的に形質導入するために濃縮可能である。
【0127】
別の態様において、リポフェクションによって、裸のDNAとして、または他のトランスフェクション促進剤(ペプチド、ポリマーなど)と共に、in vivoでベクターを導入可能である。合成カチオン性脂質を用いて、マーカーをコードする遺伝子のin vivoトランスフェクションのためのリポソームを調製することが可能である(Felgnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1987, 84:7413−7417;FelgnerおよびRingold, Science, 1989, 337:387−388;Mackeyら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1988, 85:8027−8031;Ulmerら, Science, 1993, 259:1745−1748)。核酸トランスファーのための有用な脂質化合物および組成物は、PCT特許公開番号WO 95/18863号およびWO 96/17823号、および米国特許第5,459,127号に記載される。標的化の目的のため、脂質を他の分子に化学的にカップリングすることが可能である(Mackeyら、上記を参照されたい)。標的化したペプチド、例えばホルモンまたは神経伝達物質、および抗体などのタンパク質、または非ペプチド分子を、リポソームに化学的にカップリングすることが可能である。
【0128】
また、in vivoでベクターを裸のDNAプラスミドとして導入することも可能である。当該技術分野に知られる方法、例えばエレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子銃の使用、またはDNAベクター輸送体の使用によって、遺伝子治療のための裸のDNAベクターを望ましい宿主細胞に導入することが可能である(例えばWuら, J. Biol. Chem., 1992, 267:963−967;WuおよびWu, J. Biol. Chem., 1988, 263:14621−14624;カナダ特許出願第2,012,311号;Williamsら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1991, 88:2726−2730)。受容体仲介DNA搬送アプローチもまた使用可能である(Curielら, Hum. Gene Ther., 1992, 3:147−154;WuおよびWu, J. Biol. Chem., 1987, 262:4429−4432)。米国特許第5,580,859号および第5,589,466号は、哺乳動物において、トランスフェクション促進剤を含まない、外因性DNA配列の搬送を開示する。最近、エレクトロトランスファーと称する、比較的低い電圧で高い効率のin vivo DNAトランスファー技術が記載されてきている(Mirら, C.P. Acad. Sci., 1988, 321:893;PCT公開番号WO 99/01157号;WO 99/01158号;WO 99/01175号)。
【0129】
カチオン性オリゴペプチド(例えばPCT特許公開番号WO 95/21931号)、DNA結合タンパク質由来ペプチド(例えばPCT特許公開番号WO 96/25508号)、またはカチオン性ポリマー(例えばPCT特許公開番号WO 95/21931号)またはブピバカイン(米国特許第5,593,972号)などの他の分子もまた、in vivoで核酸トランスフェクションを促進するのに有用である。
【0130】
本発明の単離ポリペプチドは、外来ポリペプチドとしてポリペプチドまたは免疫原断片の発現に必要な遺伝子材料を含有する、生存ベクターを用いて、特に生存組換え細菌、ウイルス、または他の生存病原体を用いて、哺乳動物に搬送することが可能である。特に、サルモネラ属、赤痢菌属(Shigella)、エルシニア属(Yersinia)、ビブリオ属(Vibrio)、エシェリキア属(Escherichia)およびBCGなどの、胃腸管にコロニー形成する細菌がワクチンベクターとして開発されてきており、そしてこれらおよび他の例がHolmgrenら(1992)およびMcGheeら(1992)に論じられる。
【0131】
以下は、1以上の免疫原候補タンパク質を挿入可能な、RNAベクターリストの一部として使用可能である。
モノネガウイルス目(Mononegavirales)の非分割マイナス鎖RNAウイルスの分類
パラミクソウイルス科
パラミクソウイルス亜科
パラミクソウイルス属
センダイウイルス(マウスパラインフルエンザウイルス1型)
ヒトパラインフルエンザウイルス(PIV)1型および3型
ウシパラインフルエンザウイルス(BPV)3型
ルブラウイルス属
サルウイルス5(SV)(イヌパラインフルエンザウイルス2型)
ムンプスウイルス
ニューキャッスル病ウイルス(NDV)(鳥パラミクソウイルス1)
ヒトパラインフルエンザウイルス(PIV−2、4aおよび4b型)
麻疹ウイルス属
麻疹ウイルス(MV)
イルカ麻疹ウイルス
イヌジステンパーウイルス(CDV)
小反芻獣疫ウイルス
アザラシ(phocine)ジステンパーウイルス
牛疫ウイルス
未分類
ヘンドラウイルス
ニパウイルス
ニューモウイルス亜科
ニューモウイルス属
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)
ウシ呼吸器合胞体ウイルス
マウス肺炎ウイルス
メタニューモウイルス属
ヒトメタニューモウイルス
鳥ニューモウイルス(以前の七面鳥鼻気管炎ウイルス)
ラブドウイルス科
狂犬病ウイルス属
狂犬病ウイルス
ベシキュロウイルス属(Vesiculovirus)
水泡性口内炎ウイルス(VSV)
エフェメロウイルス属(Ephemerovirus)
ウシ流行熱ウイルス
フィロウイルス科
フィロウイルス属
マールブルグウイルス
RNAウイルスベクターは、基本的に、モノネガウイルス目の非分割マイナスセンス一本鎖RNAウイルスの少なくとも1つのゲノムまたはアンチゲノムをコードする配列を含んでなる単離核酸分子である。単離核酸分子は、ゲノム、アンチゲノム、またはその修飾型をコードするポリヌクレオチド配列を含んでなる可能性がある。1つの態様において、ポリヌクレオチドは、機能可能であるように連結されたプロモーター、望ましいゲノムまたはアンチゲノム、および転写ターミネーターをコードする。
【0132】
本発明の好ましい態様において、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド挿入、再配置、欠失、または置換によって、野生型RNAウイルスから修飾されているゲノムまたはアンチゲノムをコードする。ゲノムまたはアンチゲノム配列は、ヒトまたは非ヒトウイルス由来であることが可能である。ポリヌクレオチド配列はまた、2以上の供給源由来のゲノムまたはアンチゲノムを組換え的に連結することから形成するキメラゲノムをコードすることも可能である。例えば、RSVのA群由来の1以上の遺伝子を、RSVのB群の対応する遺伝子の代わりに挿入する;またはウシPIV(BPIV)、PIV−1またはPIV−2由来の1以上の遺伝子を、PIV−3の対応する遺伝子の代わりに挿入する;またはRSVをPIVの遺伝子と置換することが可能であるなどである。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、ヒト、ウシまたはネズミウイルスである、モノネガウイルス目のRNAウイルスのゲノムまたはアンチゲノムをコードする。本発明の方法によって形成される組換えウイルスは、療法または予防目的で使用されるため、ポリヌクレオチドはまた、選択したRNAウイルスの弱毒型または感染型をコードすることも可能である。多くの態様において、ポリヌクレオチドは、RNAウイルスの弱毒感染型をコードする。特に好ましい態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に援用される、公開国際特許出願WO 98/13501に記載されるように、3’ゲノムプロモーター領域に少なくとも1つの弱毒化突然変異を有し、そしてRNAポリメラーゼ遺伝子中に少なくとも1つの弱毒化突然変異を有する、モノネガウイルス目の非分割マイナス鎖一本鎖RNAウイルスのゲノムまたはアンチゲノムをコードする。
【0133】
ベクターとして、上述のような望ましいゲノムおよびアンチゲノムの修飾型をコードするポリヌクレオチド配列はまた、本発明の免疫原タンパク質の1以上の遺伝子またはヌクレオチド配列もコードする。さらに、1以上の異種遺伝子もまた、望ましいように、望ましい免疫原組成物/ベクターを形成する際に含むことが可能である。望ましい組換えウイルスの適用に応じて、異種遺伝子は、補因子、サイトカイン(インターロイキンなど)、Tヘルパーエピトープ、制限マーカー、アジュバント、または異なる微生物病原体(例えばウイルス、細菌、または真菌)のタンパク質、特に防御免疫応答を誘発可能なタンパク質をコードすることが可能である。異種遺伝子はまた、遺伝子治療に用いる剤を提供するのにも使用可能である。好ましい態様において、異種遺伝子は、組換えウイルスの予防または療法特性を改善するよう選択される、インターロイキン−12などのサイトカインをコードする。
【0134】
抗体
偶数番号の配列番号2〜668のアミノ酸配列、その断片、およびその類似体を含む、本発明のポリペプチド、またはこれらを発現する細胞はまた、本発明のポリペプチドに免疫特異的な抗体を産生する免疫原としても使用可能である。本発明には、β溶血性連鎖球菌および化膿性連鎖球菌ポリペプチドに免疫特異的な抗体、並びに細胞、細胞または組織抽出液、あるいは生物学的液体中のβ溶血性連鎖球菌および化膿性連鎖球菌ポリペプチドの存在を検出するか、あるいはその量または濃度を測定するためのこうした抗体の使用が含まれる。
【0135】
本発明の抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体が含まれる。ポリクローナル抗体は、抗原で免疫した動物の血清由来の抗体分子の不均一集団である。モノクローナル抗体は、特定の抗原に対する、実質的に均質の抗体集団である。当業者に知られる方法、例えばKohlerおよびMilstein, 1975, Nature 256:495−497および米国特許第4,376,110号によって、モノクローナル抗体を得ることが可能である。こうした抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、GILDおよびそのサブクラスいずれかを含む、いかなる免疫グロブリンクラスであることも可能である。
【0136】
キメラ抗体は、その異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例えば、ネズミモノクローナル抗体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するものである。キメラ抗体およびその産生法は当該技術分野に公知である(Cabillyら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3273−3277;Morrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−6855;Boulianneら, 1984, Nature 312:643−646;Cabillyら、欧州特許出願125023(1984年11月14日公開);Taniguchiら、欧州特許出願171496(1985年2月19日公開);Morrisonら、欧州特許出願173494(1986年3月5日公開);Neubergerら、PCT出願WO 86/01533(1986年3月13日公開);Kudoら、欧州特許出願184187(1986年6月11日公開);Morrisonら、欧州特許出願173494(1986年3月5日公開);Sahaganら, 1986, J. Immunol. 137:1066−1074;Robinsonら、PCT/US86/02269(1987年5月7日公開);Liuら, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439−3443;Sunら, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214−218;Betterら, 1988, Science 240:1041−1043)。これらの参考文献は本明細書に援用される。
【0137】
抗イディオタイプ(抗Id)抗体は、抗体の抗原結合部位と一般的に会合する特有の決定基を認識する抗体である。抗Idを調製しようとするモノクローナル抗体で、モノクローナル抗体の供給源と同一の種および遺伝子型(例えばマウス系統)の動物を免疫することによって、抗Id抗体を調製する。免疫動物は、免疫する抗体のイディオタイプ決定基を認識し、そしてこれらのアイソタイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を産生することによって応答するであろう。
【0138】
したがって、本発明のポリペプチドに対して生成されるモノクローナル抗体を用いて、適切な動物において、抗Id抗体を誘導することが可能である。こうした免疫マウス由来の脾臓細胞を用いて、抗Idモノクローナル抗体を分泌する抗Idハイブリドーマを産生することが可能である。さらに、抗Id抗体を、キーホールリンペット(keyhole limpet)ヘモシアニン(KLH)などのキャリアーとカップリングし、そしてさらなるBALB/cマウスを免疫するのに使用可能である。これらのマウス由来の血清は、R−PTPアーゼエピトープに特異的な最終mAbの結合特性を有する、抗−抗Id抗体を含有するであろう。したがって、抗Id抗体は、化膿性連鎖球菌ポリペプチドなどの、評価しようとするエピトープに構造的に類似のイディオタイプエピトープまたは「イディオトープ」を有する。
【0139】
用語「抗体」はまた、損なわれていない(intact)分子と共に抗原に結合可能なFabなどの断片両方を含むことを意味する。Fab断片は、損なわれていない抗体のFc断片を欠き、循環からより迅速に一掃され、そして損なわれていない抗体より少ない非特異的組織結合を有する可能性がある(Wahlら, 1983, J. Nucl. Med. 24:316−325)。本発明に有用な抗体のFabおよび他の断片は、損なわれていない分子のための方法にしたがって、化膿性連鎖球菌ポリペプチドの検出および定量化に使用可能であると認識されるであろう。
【0140】
抗Id抗体はまた、さらに別の動物において、免疫応答を誘導して、いわゆる抗−抗Id抗体を産生する「免疫原」としても使用可能である。抗−抗Idは、抗Idを誘導した元来のmAbとエピトープ的に同一である可能性がある。したがって、mAbのイディオタイプ決定基に対する抗体を用いることによって、同一の特異性の抗体を発現する他のクローンを同定することが可能である。
【0141】
抗体は多様な方式で用いられ、例えばタンパク質が発現されることの確認に、またはタンパク質が発現される場所の確認に用いられる。例えば、標識抗体(例えばFACS用に蛍光標識したもの)を損なわれていない細菌と共にインキュベーションすることが可能であり、そして細菌表面上の標識の存在がタンパク質の位置を確認する。
【0142】
日常的なプロトコルを用いて、ポリペプチドまたはエピトープ所持断片、類似体、または細胞を動物に投与することによって、本発明のポリペプチドに対して生成する抗体を得ることが可能である。モノクローナル抗体を調製するため、連続細胞株培養から生じる抗体を提供する技術いずれかを用いる。
【0143】
免疫原組成物
やはり提供するのは免疫原組成物である。本発明の免疫原組成物は、ヒト(好ましくは)および非ヒト動物などの哺乳動物において、連鎖球菌感染の治療に、使用可能である。例えば、動物は、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、およびブタであることが可能である。配列番号415(ORF 1021)は、S.エクイ(S. equi)にも見られるタンパク質に対応することが注目される。したがって、この配列は、ウマ感染を治療する免疫原組成物において、それと共に他の動物またはヒトにおいても使用可能である。特定の適用には、限定されるわけではないが、ウマ科の鼻咽頭および排出リンパ節の非常に伝染性の疾患である腺疫の治療、並びに、ウシ、ウマ、およびブタの呼吸器感染および乳腺炎の治療が含まれる。
【0144】
本発明の免疫原組成物は、予防的(すなわち感染を防御するか、または感染開始を減少させる)または療法的(すなわち感染後、感染によって引き起こされる疾患または副作用を治療する)かいずれであることも可能である。
【0145】
免疫原組成物は、本発明のポリペプチドを含んでなることが可能である。そうするために、1以上のポリペプチドを適切な濃度に調整し、そして適切なアジュバント、希釈剤、キャリアーいずれか、またはその組み合わせいずれかと配合することが可能である。生理学的に許容しうる培地をキャリアーおよび/または希釈剤として使用可能である。これらには、限定されるわけではないが、水、適切な等張培地、グリセロール、エタノールおよび他の慣用的溶媒、リン酸緩衝生理食塩水などが含まれる。
【0146】
本明細書において、「アジュバント」は、ポリペプチドであれポリヌクレオチドであれ、抗原の免疫原性を増進させるよう作用する物質である。したがって、アジュバントはしばしば、免疫応答を促進するために与えられ、そして当業者に公知である。適切なアジュバントには、限定されるわけではないが、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩(ミョウバン)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、細菌リポ多糖、アミノアルキルグルコサミンリン酸化合物(AGP)、あるいはその誘導体または類似体が含まれ、これらはCorixa(モンタナ州ハミルトン)から入手可能であり、そして本明細書に援用される米国特許第6,113,918号に記載される。1つのこうしたAGPは、529(以前はRC529として知られた)としても知られる、2−エチル 2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−2−b−D−グルコピラノシドである。この529アジュバントは水性型として、または安定なエマルジョンとして配合される。他のアジュバントは、米国特許第4,912,094号に記載されるMPL(登録商標)(3−O−デアシル化モノホスホリル脂質A)(Corixa)、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドなどの合成ポリヌクレオチド(米国特許第6,207,646号)、米国特許第5,057,540号に記載されるQuil AまたはSTIMULON(登録商標)QS−21(Antigenics、マサチューセッツ州フラミンガム)などのサポニン類、百日咳毒素(PT)、または大腸菌熱不安定性毒素(LT)、特にLT−K63、LT−R72、CT−S109、PT−K9/G129;例えば国際特許公開番号WO 93/13302号およびWO 92/19265号を参照されたい、コレラ毒素(野生型または突然変異型いずれか、例えば公開国際特許出願WO 00/18434号にしたがって、アミノ酸29位のグルタミン酸が別のアミノ酸、好ましくはヒスチジンに置換されたものである)。
【0147】
多様なサイトカインおよびリンホカインがアジュバントとして使用するのに適している。1つのこうしたアジュバントは、本明細書に援用される、米国特許第5,078,996号に記載されるようなヌクレオチド配列を有する、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である。GM−CSF cDNAを含有するプラスミドが大腸菌に形質転換され、そして寄託番号第39900号で、American Type Culture Collection(ATCC), 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209に寄託されている。サイトカイン、インターロイキン−12(IL−12)は、本明細書に援用される米国特許第5,723,127号に記載される、別のアジュバントである。限定されるわけではないが、インターロイキン1アルファ、1ベータ、2、4、5、6、7、8、10、13、14、15、16、17および18、インターフェロン−アルファ、ベータおよびガンマ、顆粒球コロニー刺激因子、並びに腫瘍壊死因子アルファおよびベータを含む、他のサイトカインまたはリンホカインが免疫変調活性を有することが示されてきており、そしてアジュバントとして使用するのに適している。
【0148】
ポリペプチドにはまた、場合によって、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、あるいは多糖にコンジュゲート化するかまたは連結した、ポリペプチドの少なくとも部分が含まれることも可能である。
【0149】
本発明の免疫原組成物には、さらに、本明細書に援用される米国特許第4,673,574号、第4,902,506号、第5,097,020号、および第5,360,897号(ロチェスター大学に譲渡)に開示されるような、免疫原コンジュゲートが含まれることが可能である。これらの特許は、還元末端を有し、そして細菌病原体の細菌莢膜ポリマー、および細菌毒素またはトキソイド由来の免疫原莢膜ポリマー断片の還元アミノ化産物である、免疫原コンジュゲートを解説する。本発明にはまた、ヒトにおいて、有効レベルの抗莢膜ポリマー抗体を誘発するこれらのコンジュゲートを含有する免疫原組成物も含まれる。
【0150】
本発明のポリペプチドを2以上含むことによって、またそれと共に、限定されるわけではないが、C5aペプチダーゼ、Mタンパク質、アドヘシン等を含む、1以上の既知の化膿性連鎖球菌ポリペプチドと1以上の本発明のポリペプチドを組み合わせることによって、免疫原組成物の組み合わせを提供する。
【0151】
本発明の免疫原組成物はまた、遺伝子発現を調節する制御配列と機能可能であるように関連する、本発明のポリヌクレオチド配列も含んでなる。DNAの発現を促進するであろう制御要素、すなわちプロモーターおよび/またはエンハンサー要素の調節下、プラスミドなどの発現ベクター中に、目的のポリヌクレオチド配列を設計する。好ましい態様において、ヒトサイトメガロウイルス極初期プロモーター/エンハンサーを用いる(米国特許第5,168,062号)。プロモーターは細胞特異的であり、そしてあらかじめ決定された細胞でのみ、ポリヌクレオチドの実質的な転写を可能にすることが可能である。
【0152】
ポリヌクレオチドは、「裸の」DNA(米国特許第5,580,859号)として、宿主に直接導入されるか、またはブピバカインおよび他の局所麻酔薬(米国特許第5,593,972号)およびカチオン性ポリアミン(米国特許第6,127,170号)などの、免疫を促進する剤と複合して配合される。
【0153】
このポリヌクレオチド免疫法において、本発明のポリペプチドは、in vivoで一過性の方式で発現され;遺伝子材料は宿主染色体にまったく挿入されないか、または組み込まれない。この方法は、その目的が染色体に目的の遺伝子材料を挿入するかまたは組み込むことである、遺伝子治療とは区別すべきである。アッセイを用いて、免疫によって投与されるポリヌクレオチドが宿主において形質転換表現型を生じさせないことを確認する(米国特許第6,168,918号)。
【0154】
ひとたび配合したら、本発明の免疫原組成物は、被験者に直接投与するか、組換えタンパク質発現のため、被験者由来の細胞にex vivoまたはin vitroで搬送することが可能である。被験者に直接搬送するため、投与は、鼻内、非経口、経口、腹腔内、静脈内、皮下、あるいは鼻内、口、目、肺、膣、または直腸表面などの粘膜表面いずれかに、エアロゾルスプレーによるなどで、局所適用するなど、慣用的な形式いずれによることも可能である。
【0155】
被験者は哺乳動物または鳥類であることが可能である。被験者はまた、ヒトであることも可能である。免疫学的に有効な量の免疫原組成物を適切な用量数で被験者に投与して、免疫応答を引き出す。免疫学的に有効な量は、本明細書において、少なくとも、処置した個体の免疫系が細菌感染の臨床的影響を減少させる応答を生成するようにするのに十分な、単回用量、または一連の用量の一部としていずれかでの、哺乳動物宿主(好ましくはヒト)へのその量の投与を意味する。防御は、免疫原組成物の単回用量によって与えられることも可能であるし、または防御を維持するため、後の追加免疫用量に加えて、いくつかの用量の投与が必要である可能性もある。これは、細菌負荷の最小限の減少から感染の防御までの範囲にあることが可能である。理想的には、処置個体は、β溶血性連鎖球菌感染のより深刻な臨床的徴候を示さないであろう。投薬量は、年齢および体重など、個体の特定の条件に応じて変化する可能性がある。この量は、当業者に知られる手段によって、日常的試験で決定可能である。
【0156】
多様な試験を用いて、本発明のポリペプチドのin vitro免疫原性を評価する。例えば、ポリペプチドは、組換え的に発現するかまたは化学的に合成して、そして免疫ブロットによって、被験者血清をスクリーニングするのに使用可能である。被験者および被験者血清間の陽性反応は、被験者が以前、問題のポリペプチドに免疫応答を生じ、すなわちポリペプチドが免疫原であることを示す。この方法はまた、免疫優性ポリペプチドを同定するのにも使用可能である。
【0157】
ELISAアッセイはまた、in vitro免疫原性を評価するのにも用い、ここで、目的のポリペプチド抗原を96ウェルプレートなどのプレート上にコーティングし、そしてワクチン接種したかまたは天然に曝露されたかいずれかの動物(例えばヒト)由来の試験血清を、コーティングした抗原と反応させる。試験ポリペプチド抗原に特異的な抗体いずれかが存在する場合、当業者に知られる標準法によって、検出することが可能である。
【0158】
あるいは、同じ血清を、全化膿性連鎖球菌細胞と反応させることが可能である。その後、コロイド金コンジュゲート化抗体を用いて、血清に存在する反応性抗体を検出し、そしてLV−SEMによって視覚化することが可能である。
【0159】
2つの動物攻撃(challenge)アッセイモデルを用いて、ワクチン抗原の有効性を試験することが可能である。第一のものは粘膜免疫を検討する。確立された方法にしたがって、ワクチン候補で、非経口的にまたは粘膜的に、マウスを能動的に免疫する。その後、鼻内投与によって、野生型化膿性連鎖球菌でマウスを攻撃する。その後、マウスの鼻腔/咽頭腔における化膿性連鎖球菌持続性を測定可能である。有効性は、動物の喉からの細菌のクリアランス増進によって反映される。
【0160】
あるいは、能動的非経口免疫に続いて、化膿性連鎖球菌細胞の皮下注射によって、全身感染に対する防御を評価することが可能である。有効性は、死亡減少および/または注射部位の組織病理の減少によって測定される。
【0161】
試料中の検出
やはり提供されるのは、生物学的試料において、β溶血性連鎖球菌および化膿性連鎖球菌を検出し、そして同定する方法である。1つの態様において、該方法は、(a)本発明のポリヌクレオチドと生物学的試料を、相補的塩基対のハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させ、そして(b)試料中のハイブリダイゼーション複合体の存在を検出する工程を含んでなる。別の態様において、該方法は、(a)本発明の抗体と生物学的試料を、免疫複合体の形成に適した条件下で接触させ、そして(b)試料中の免疫複合体の存在を検出する工程を含んでなる。さらに別の態様において、該方法は、(a)本発明のポリペプチドと生物学的試料を、免疫複合体の形成に適した条件下で接触させ、そして(b)試料中の免疫複合体の存在を検出する工程を含んでなる。
【0162】
本発明の抗原、またはその抗原性断片を免疫アッセイで用いて抗体レベルを検出するか、または逆に、抗化膿性連鎖球菌抗体を用いて抗原レベルを検出する。よく定義された組換え抗原に基づく免疫アッセイを開発して、侵襲性診断法の代わりに使用することが可能である。例えば血液または血清試料を含む生物学的試料内で、本発明のポリペプチドに対する抗体を検出可能である。免疫アッセイのためのプロトコルは、例えば、競合、または直接反応、またはサンドイッチ型アッセイに基づくことが可能である。プロトコルはまた、例えば固体支持体を用いることも可能であるし、または免疫沈降によることも可能である。本発明のポリペプチドはまた、受容体−リガンド研究にも有用である可能性がある。
【0163】
以下の実施例は例示であり、そして本発明はこれに限定されることを意図されない。
【実施例1】
【0164】
実施例1
細菌、培地、および試薬
適切な抗生物質を含有するSOB(0.5%酵母エキス、2.0% Tryp、10mM塩化ナトリウム、2.5mM塩化カリウム、10mM塩化マグネシウム、10mM硫酸マグネシウム)中で、大腸菌を培養し、そして維持した。アンピシリンは100μg/mlの濃度で、クロラムフェニコールは30μg/mlの濃度で、そしてカナマイシンは50μg/mlの濃度で用いた。30g/lトッド・ヒューイット、5g/l酵母エキス(THY)ブロス中で、化膿性連鎖球菌株SF370(ATCC寄託番号700294)を培養した。
【0165】
バイオインフォマティクス/遺伝子マイニング
化膿性連鎖球菌M1株のゲノム未注釈配列をオクラホマ大学のウェブサイトからダウンロードし、そして解析してオープンリーディングフレーム(ORF)を同定した。このゲノム配列は、GenBankに提出され、そして寄託番号AE004092を割り当てられたと報告され、そして株M1 GASは、ATCCに提出され、そして寄託番号ATCC 700294を与えられたと報告された。
【0166】
ORFは、3つの潜在的な開始部位コドン、ATG、GTG、またはTTGのいずれか1つ、および3つの潜在的な停止コドン、TAA、TAG、TGAのいずれか1つを有すると定義された。3つのORFファインダーアルゴリズム:GLIMMER(59);GeneMark(34);および発明者の譲受人に開発された第三のアルゴリズムの特有のセットを用いて、すべてのORFを決定する有効性を増進した。
【0167】
決定したORFの正確さを評価するため、離散コサイン変換(DiCTion)として当該技術分野に知られる、離散数学的コサイン関数を使用して、各ORFにスコアを割り当てた。DiCTionスコア>1.5のORFは、タンパク質産物をコードする高い確率を有するとみなす。3つのORF発見アルゴリズムに予測されるORFの最低の長さを、74アミノ酸のタンパク質をコードするであろう225ヌクレオチド(停止コドンを含む)に設定した。
【0168】
ORFの残りの最終検索として、tBLASTnを用いて、公的タンパク質データベース(以下に記載)に対して、>75ヌクレオチドの非コード領域すべてを検索した。これは、フレームシフトを含有する遺伝子領域(42)または抗原変異を引き起こすのに役割を有する可能性がある遺伝子断片(21)を同定するのを補助した。ここで見出した残りのORFをいずれも化膿性連鎖球菌のORFデータベースに加えた。発明者らのグループ内部の図式的解析プログラムを用いて、ゲノム配列に比較して、予測されるORFの6つの読み枠および位置をすべて示した。これは、他のORFと長い重複を有するORFを除去するのを補助したが、他のORFに完全に埋まるORFの既知の例がある(25、33)。
【0169】
BLAST v2.0ギャップ化検索アルゴリズム、BLASTpを用いて、この化膿性連鎖球菌ORFの最初の注釈付けを行って、相同配列を同定した。<e−10のいずれかのカットオフ「e」値を有意とみなした。FASTAおよびPSI−BLASTを含む他の検索アルゴリズムもまた用いた。相同検索に用いた非重複タンパク質配列データベースは、毎日アップデートされる、GenBank、SWISS−PROT、PIR、およびTREMBLデータベース配列からなった。>e−10のBLASTp結果を持つORFを、化膿性連鎖球菌に特有であるとみなした。
【0170】
既知のまたは推測されるワクチン標的遺伝子と共に、タンパク質の位置または機能を同定するワードを用いて、全Blast結果のキーワード検索を行った。さらに、最初のBlast結果に関連するMEDLINE参考文献すべてのキーワード検索を行って、ORFに関するさらなる情報を探した。
【0171】
DNA解析のため、各遺伝子内の%G+C含量を同定した。ORFの%G+C含量は、ORF内のコドンすべての第三のヌクレオチド位の(G+C)含量として計算した。報告される値は、該生物で見られるすべてのORFに関して得られるこうした値の算術平均からのこの値の相違であった。これらのORFは、多くの他の病原性アイランドと調和するパターン(22)の、ピロリ菌(H. pylori)由来のcag病原性アイランドの場合に見られているような(2)、水平移行から生じる可能性があるため、さらなる解析には8以上の絶対値が重要とみなされた。
【0172】
いくつかのパラメーターを用いて、予測されるタンパク質の分配を決定した。細胞膜を渡る転位置を運命付けるタンパク質は、N末端で陽性荷電残基が隣接する中央疎水性領域で構成されるリーダーシグナル(シグナル配列としても知られる)をコードする(56)。プログラムSignalPを用いて、シグナルペプチドおよびその切断部位を同定した(46)。細菌中のタンパク質局在を予測するため、ソフトウェアPSORTを用いた(44)。このプログラムは神経網アルゴリズムを用いて、グラム陽性細菌では、細胞質、周辺質、および細胞膜、それと共にグラム陰性細菌では外膜へのタンパク質の局在を予測する。ソフトウェアプログラムTopPred2(10)を用いて、タンパク質の膜貫通(TM)ドメインを解析した。このプログラムは、潜在的に膜の脂質二重層に渡る可能性がある、疎水性であるタンパク質領域を予測する。外膜タンパク質は、典型的には、αらせんTMドメインを持たない。
【0173】
タンパク質ドメインまたは保存されるタンパク質領域の多数並列の隠れマルコフモデル(HMM)Pfamデータベース(61)を用いて、現存するタンパク質ファミリーに属する可能性がある化膿性連鎖球菌タンパク質を同定した。このアウトプットのキーワード検索を用いて、Blast検索規準では見逃した可能性がある、表面に局在する化膿性連鎖球菌タンパク質を同定するのを補助した。本発明者の譲受人もまた、HMMモデルを開発した。コンピュータアルゴリズム、HMM Lipoを開発して、132の生物学的に性質決定された、30を超える生物由来の非化膿性連鎖球菌細菌リポタンパク質を用いて、リポタンパク質を予測した。このトレーニングセットは、実験的に立証された原核生物リポタンパク質から生成された。タンパク質の開始からシステインアミノ酸までに、次の2つのさらなるアミノ酸を加えたタンパク質配列を用いて、HMMを生成した。LPXTG細胞壁局所化シグナルを含有する、約70の既知の原核生物タンパク質を用いて、HMM(15)を開発して、ペプチドグリカン層に係留される細胞壁タンパク質を予測した(38、45)。このモデルはLPXTG配列を用いるだけでなく、下流配列の2つの特徴、疎水性膜貫通ドメインおよび陽性荷電カルボキシ末端も含んだ。非共有的に、ペプチドグリカン層と相互作用し、そして上述のLPXTGタンパク質種と異なるいくつかのタンパク質もある。これらのタンパク質は、カルボキシ末端にコンセンサス配列を有するようである(32)。この領域のHMMを開発し、そしてこの種に属する化膿性連鎖球菌タンパク質を同定した。
【0174】
また、化膿性連鎖球菌の同定されたORFにコードされるタンパク質を他の特性に関しても評価した。タンデム反復ファインダー(5)は、MSCRAMM(20)および髄膜炎菌の相可変表面タンパク質(51)に見出されるものなどの反復DNA配列を含有するORFを同定した。Arg−Gly−Asp(RGD)接着モチーフを含有するタンパク質は、その受容体として作用するインテグリンと共に、細胞接着の主要認識系を構成する。RGD認識は、微生物が真核生物組織への進入を獲得するのに用いる1つの機構である(29、63)。しかし、すべてのRGD含有タンパク質が細胞接着を仲介するわけではない。カルボキシ端にプロリンを持つRGD含有ペプチド(RGDP)が細胞接着アッセイで不活性であり(52)、そしてしたがって、排除されることが示されている。Geanfammerソフトウェアを用いて、相同ファミリーにタンパク質をクラスター形成した(50)。ファミリー種の予備的解析は、ワクチン候補クラスター内の新規ORFを提供すると共に、潜在的タンパク質機能を定義した。
【0175】
化膿性連鎖球菌のトリプシン消化
化膿性連鎖球菌のスターター培養をTHY中、37℃、5%CO2中、または大気O2中で一晩増殖させた。その後、200ml新鮮THY中で各スターター培養を1:25に希釈し、そしてそれぞれ、CO2または大気O2中いずれかで、1〜1.3のOD490に増殖させた。その後、4,000xg、15分間の遠心分離によって、細胞を採取し、そして10mlの20mM Tris、pH8.0、150mM NaCl緩衝液で3回洗浄した。最後の洗浄後、0.8Mスクロースを含有する、2mlの同一緩衝液に各ペレットを再懸濁し、そして2つの試験管に等しく分配した。各増殖条件の一方の試験管に、40μgのトリプシンを添加し;もう一方の試験管を陰性消化対照として用いた。細胞懸濁物を37℃で4時間震蘯した。生存細胞計数および低電圧走査型電子顕微鏡観察(LV−SEM)での視覚化用に各懸濁物の試料を採取した。その後、懸濁物を遠心分離し、そして上清を収集し、そして低タンパク質結合2μMフィルターを通じてろ過した。
【0176】
マイクロキャピラリーHPLCインターフェース
自動化マイクロエレクトロスプレー逆相HPLC上で、ペプチド抽出物を解析した。マイクロエレクトロスプレーインターフェースは、長さ10cmまで10μm C18逆相ビーズ(YMC、ノースカロライナ州ウィルミントン)を充填したPicofrit融合シリカスプレー針、長さ50cm、75μm ID、8μm開口部直径(New Objective、マサチューセッツ州ケンブリッジ)からなった。質量分析計検出計の前面に配置したベース上に保持した光ファイバーホルダー(Melles Griot、カリフォルニア州アービン)に、Picofrit針を乗せた。チタンユニオンを通じてカラムの後方を垂直にして、エレクトロスプレーインターフェースの電気的連結を供給した。ユニオンをある長さの融合シリカキャピラリー(FSC)チュービングでFAMOS自動試料採取装置(LC−Packings、カリフォルニア州サンフランシスコ)に連結し、この装置をHPLC溶媒ポンプ(ABI 140C、Perkin−Elmer、コネチカット州ノーウォーク)に連結した。HPLC溶媒ポンプは、50μl/分の流量を搬送し、PEEKマイクロタイト分割T(Upchurch Scientific、ワシントン州オークハーバー)を用いて、これを250nl/分に減少し、そしてその後、FSCトランスファーラインを用いて、自動試料採取装置に搬送した。内部ユーザープログラムを用いて、LCポンプおよび自動試料採取装置を各々制御した。試料をプラスチック自動試料採集バイアルに入れ、密封し、そして5μl試料ループを用いて注入した。
【0177】
マイクロキャピラリーHPLC−質量分析
Savant Speed Vac濃縮装置(ThermoQuest、ニューヨーク州ホールドブルック)を用いて、表面消化物由来の抽出ペプチドを10倍に濃縮し、そしてその後、0〜50%溶媒B(A:0.1M HoAc、B:90% MeCN/0.1M HoAc)の50分間勾配を用いて、マイクロエレクトロスプレーHPLC系によって分離した。スプレー電圧1.5kVで操作し、そして加熱キャピラリー温度125℃を用いて、Finnigan LCQ−DECAイオントラップ質量分析計(ThermoQuest、カリフォルニア州サンノゼ)上で、ペプチド解析を行った。装置と共に提供されるデータ獲得ソフトウェアを用いて、自動化MS/MSモードで、データを獲得した。獲得法には、1回のMSスキャン(375〜600m/z)、その後、そのMSスキャン中の2つの最も豊富なイオンのMS/MSスキャンが含まれた。その後、装置は、第二のMSスキャン(600〜1000m/z)、その後、そのスキャン中の2つの最も豊富なイオンのMS/MSスキャンを行った。動的排除および同位体排除機能を使用して、解析するペプチドイオン数を増加させた(設定:3amu=排除幅、3分間=排除期間、30秒間=排除前期間、3amu=同位体排除幅)。
【0178】
データ解析
化膿性連鎖球菌の完全ゲノム由来のタンパク質データベースを用い、Finnigan Bioworksデータ解析パッケージ(ThermoQuest、カリフォルニア州サンノゼ)に取り込んだSEQUESTコンピュータアルゴリズム(17)を用いて、MS/MSデータの自動化解析を行った。
【0179】
クローニングおよびタンパク質発現
予測される成熟タンパク質の開始部分に順方向5’プライマーがアニーリングするであろうように、望ましいORFのPCR増幅用に、プライマーセットを設計した。リポタンパク質に関しては、ジスルフィド架橋を最小限にするため、成熟タンパク質のシステイン残基をコードするコドンの直後にアニーリングするように、5’順方向プライマーを設計した。相対する逆方向3’プライマーの設計は、予測されるタンパク質の種類に応じた。LPXTGを含有するタンパク質に関しては、細胞壁アンカー領域の開始部分(5’端)にアニーリングするように、プライマーを設計した。すべての他の予測されるタンパク質に関しては、これらがORFの3’端にアニーリングするように設計した。さらに、5’順方向プライマーをまず、相対する3’逆方向プライマーと共に、チオレドキシンへのインフレーム融合を可能にするように設計して、下流hisパッチおよびV5エピトープを含むようなリードスルーを可能にする(pBAD/チオ−TOPO(登録商標)、Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)。pBADベクターは、アラビノース誘導性プロモーターを用いる。並行して、これらの同じPCR産物をまた、pCRT7 TOPO(登録商標)(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)にもクローニングした。これは、精製のためのXpressエピトープおよびhisタグへのN末端融合を可能にした。
【0180】
すべてのPCR反応は、化膿性連鎖球菌M1株、SF370(ATCC寄託番号700294)をテンプレートとして用いた。PCR産物を大腸菌宿主TOP10に形質転換し、そして100μg/mlアンピシリンを含有するSOB上に蒔いた。ベクターに特異的な5’プライマーおよび遺伝子挿入物にアニーリングする特異的な3’逆方向プライマーを用いたPCR増幅によって、コロニーをスクリーニングした。50μlの50%グリセロールを含有する96ウェルマイクロタイタープレートのウェルにコロニーを植え付けた。遺伝子あたり10〜12コロニーをプレートの一列に植え付けた。第二の96ウェルPCRプレートでは、目的の遺伝子に特異的な50μl反応をセットアップした。グリセロールに懸濁した細胞1μlをPCR反応のテンプレートとして用いた。期待される大きさのバンドを生じる反応を、さらに解析した。50%グリセロール中に植え付けた細胞は添加されたSOB培地を有し、そしてこれを37℃で5〜8時間インキュベーションして、そして−70℃で凍結した。
【0181】
一晩増殖させるため、PCR陽性コロニーを2ml培養に接種した。培養の一部を用いて、プラスミドDNAを調製し、これを制限消化によって解析して挿入物を確認する一方、別の一部を用いて、発現のため、10ml発現培養(pBADプラスミド用)に植え付けた。0.5%L−アラビノースを用いて、対数中期培養を2時間誘導した。スクリーニング前に、T7/NTプラスミドを発現株BLR(DE3)pLysSに形質転換した。1mM IPTGの添加によってT7/NT培養を誘導し、そして2時間インキュベーションした。誘導培養の全細胞溶解物を、SDS−PAGE上、2つ組で泳動した。一方のゲルはクーマシーで染色し、そしてもう一方はニトロセルロースに移し、そして相当するエピトープタグに対する抗体で探査した(probed)。
【0182】
1〜2l体積中で陽性クローンを増殖させ、そして大規模精製のため、誘導した。細胞の凍結融解、その後、DNアーゼ/RNアーゼ消化およびRC5B冷蔵遠心分離装置(sorbol(登録商標)、Dupont、デラウェア州ウィルミントン)中、9,000xg、15分間の遠心分離によって、組換えタンパク質の可溶性および発現レベルを評価した。不溶性材料から可溶性分画を取り除き、そして両方を分離し、そしてSDS−PAGEによってタンパク質局在および発現に関して評価した。Ni−NTA(Qiagen Inc.、カリフォルニア州バレンシア)樹脂上に溶解細胞の可溶性分画を通過させ、そしてイミダゾールで結合タンパク質を溶出することによって、可溶性融合タンパク質を精製した。PD−10カラム(Amersham Pharmacia Biotech、ニュージャージー州ピスカタウェイ)上で、溶出タンパク質を緩衝液交換した。
【0183】
不溶性組換えタンパク質を洗浄し、そしてPBS、0.1% TRITON−X100中で3回遠心分離した。その後、封入体をPBS 4M尿素中で可溶化し、そしてPD−10カラム(Amersham Pharmacia、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を通して、PBS、0.01% TRITON−X100、0.5M NaClに緩衝液交換した。ローリーアッセイによってタンパク質を定量化し、そしてSDS−PAGEによって純度および濃度に関してチェックした。
【0184】
ポリクローナル抗血清の生成
第0週、第3週、および第5週に、上述のように調製した5μg精製タンパク質、100μg AlPO4、および50μg MPL(登録商標)でスイス・ウェブスター・マウス(群あたり5匹)を免疫し、そしてその後、第8週に採血した。
【0185】
化膿性連鎖球菌のイムノゴールド標識およびLV−SEM
先に記載されるように、細菌細胞を標識した(49)。簡潔には、対数後期の細菌培養を2回洗浄し、そして10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)に1x108細胞/mlの濃度に再懸濁し、そしてポリL−リジンでコーティングしたカバーガラス上に置いた。穏やかに洗浄してカバーガラスから過剰な細菌を除き、そして未標識試料を固定液(7.5%スクロースを含有する0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液中の、2.0%グルタルアルデヒド)に30分間入れた。コロイド金で標識しようとする細菌を、0.5%ウシ血清アルブミンを含有するPBSで洗浄し、そして上述のように調製した免疫前または過免疫(hyper−immune)マウスポリクローナル抗体を室温で1時間適用した。その後、細菌を穏やかに洗浄し、そして18nmコロイド金粒子(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc.、ペンシルバニア州ウェストグローブ)にコンジュゲート化したヤギ抗マウス抗体の1:6希釈を室温で10分間適用した。最後に、すべての試料をPBSで穏やかに洗浄し、そして上述の固定液に入れた。0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液で、2回、10分間洗浄して、固定液を試料から除き、そして1%四酸化オスミウムを含有する0.1Mカコジル酸ナトリウム中、30分間、後固定した。その後、0.1Mカコジル酸ナトリウムで試料を2回洗浄し、エタノールで脱水し、Samdri−780A(Tousimis、メリーランド州ロックビル)を用いて、アンダーソンのCO2法によって臨界点乾燥して、そして白金の1〜2nm断続層でコーティングした。慣用的なトポグラフィック画像化のための第二の電子検出装置および原子数コントラストによってコロイド金の視覚化を増進する高分解能ロビンソン後方散乱検出装置を用いて、低加速電圧(1〜4.5keV)で操作するLEO 1550電界放射走査型電子顕微鏡を用いて、化膿性連鎖球菌細胞を視覚化した。
【実施例2】
【0186】
実施例2
免疫および攻撃
マウスの非経口免疫
第0週、第4週および第6週に、用量あたり、50μg MPL(登録商標)(Corixa、モンタナ州ハミルトン)および100μg AlPO4と混合した目的のタンパク質5μgを、生理食塩水で最終容量200μlにし、そしてその後、マウスに皮下注射(s.c.)して、6週齢のメスCD1(Charles River Breeding Laboratories, Inc.、マサチューセッツ州ウィルミントン)またはスイス・ウェブスター(Taconic Farms Inc.、ニューヨーク州ジャーマンタウン)マウスを免疫する。対照マウスに、同じアジュバントと混合した5μg破傷風トキソイドを注射する。最後の追加免疫7日後、すべてのマウスから採血し;その後、血清を単離し、そして−20℃で保存する。
【0187】
マウス鼻内攻撃モデル
最後の免疫10日後、20%正常ウサギ血清を含有するトッド・ヒューイット/酵母ブロス中で増殖させ、そして10mlのPBSに再懸濁した、攻撃化膿性連鎖球菌株(1x108〜9x108コロニー形成単位(CFU))の16時間培養を、25gのメスCD1(Charles River Breeding Laboratories, Inc.、マサチューセッツ州ウィルミントン)またはスイス・ウェブスター(Taconic Farms Inc.、ニューヨーク州ジャーマンタウン)マウスに鼻内投与する。血液寒天プレート上に培養の希釈を蒔くことによって、生存数を決定する。
【0188】
i.p.注射によって、1.2mgのケタミンHCl(Fort Dodge Animal Health、アイオワ州フォートドッジ)で、各マウスを麻酔する。麻酔したマウスの鼻孔に細菌懸濁物を接種する(マウスあたり10μl)。攻撃16時間後、マウスを屠殺し、鼻を取り除き、そして組織ホモジナイザー(Ultra−Turax T25、Janke & Kunkel Ika−Labortechnik、ドイツ・シュタウフェン)を用いて3ml無菌生理食塩水中でホモジナイズする。ホモジネートを生理食塩水中で10倍連続希釈し、そして1mlあたり200mgのストレプトマイシンを含有する血液寒天プレート上に蒔く。37℃で一晩インキュベーションした後、プレート上のβ溶血性コロニーを計数する。正常フロラに生き残っている可能性があるβ溶血性細菌と区別するため、ストレプトマイシン耐性によって、すべての攻撃株に印を付ける。
【0189】
皮下マウス攻撃モデル
5週齢(20〜30g)の非近交系免疫適格無毛オスマウス(Crl:SKH1−hrBR株)(Charles River、マサチューセッツ州ウィルミントン)を皮下注射に用いる。人道的な安楽死後、組織試料を収集する。
【0190】
実施例1に記載するように増殖させた化膿性連鎖球菌細胞を採取し、そして無菌氷冷発熱物質不含リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1度洗浄する。600nmでの光学密度(OD600)を調整して、必要な接種材料を生じる。0.1mlに含有される化膿性連鎖球菌(1x108CFU)を、ツベルクリンシリンジを用いて、各動物の右のわき腹に皮下注射する。同体積のPBSで対照マウスを処理する。5%ヒツジ血液(Becton Dickinson、メリーランド州コッキースビル)を含有するトリプトース寒天プレート上のコロニー計数によって、マウスあたりに接種したCFU数を各実験に関して検証する。攻撃後、マウスを21日間観察する。心臓穿刺によって、死んだ各動物から血液を収集し、そして血液寒天プレート上で培養する。
【0191】
組織収集および組織像
接種前に、乱数生成装置を用いて、動物を群に割り当て、そして血液試料を抜き取って、ベースライン血液学的データを確立する。接種24時間、48時間、および72時間後、血液および組織試料を収集する。血液および組織収集に用いる方法は、すべての時点で同一である。
【0192】
動物の後眼窩洞(retro−orbital sinus)から血液試料を得て、そして種特異的ソフトウェアと共にTechnicon H*1(ニューヨーク州タリータウン)血液学解析装置を用いて、完全血算解析を行う。膿瘍または注射部位周囲の広い周縁切除によって、皮膚試料を収集する。これらの試料には,常に、注射部位由来の組織および比較用の連続する肉眼的に正常な組織が含まれる。試料の解剖学的方向を保持するように注意を払う。組織試料はまた、心臓、肝臓、脾臓、および肺からも得る。
【0193】
塩化亜鉛を補充した10%中性緩衝ホルマリン(Antech, Ltd.、ミシガン州バトルクリーク)中ですべての組織を固定する。全肺にまず、ホルマリンを注入し、そしてその後、他の臓器と共に、浸すことによって固定する。試料を18〜24時間ホルマリンに入れ、そしてその後、プロセシング前に、70%エチルアルコールに移す。上昇勾配のエチルアルコール中で脱水し、キシレンで清浄化し、そしてパラフィン浸潤する、標準的組織学的方法を使用する。パラフィンブロックを回転ミクロトームでプロセシングして、4μm切片を得る。組織学的切片をヘマトキシリンおよびエオジンで染色して、そしてマウントする。選択した組織の切片を作成し、そして組織グラム染色で染色する。
【0194】
マウス測定
GAS接種直前にマウスの重量を測定する。接種12時間後、およびその後、最初の週は毎日、動物重量および膿瘍サイズを測定する。その後、全部で21日間、週間隔で動物を観察する。膿瘍の寸法をカリパスで測定する;長さ(L)および幅(W)値を用い、球形楕円体(spherical ellipsoid)用の等式を使用して、膿瘍体積[V=4/3π(L/2)2x(W/2)]および面積[A=π(L/2)x(W/2)]を計算した。
【実施例3】
【0195】
実施例3
「ウェット化学」による性質決定のため、まず、77のORFを選択した。これらの研究の側面には、以下が含まれた:1)全細胞ELISAによって測定されるような、各精製タンパク質に対して生成した特異的マウスポリクローナル血清が細菌表面に反応する能力、2)LV−SEMによって測定されるような、これらの同じ血清が、対数期または静止期増殖中の細菌細胞表面に反応する能力、3)化膿性連鎖球菌の株(M血清型)と共に、C群およびG群を含む、他の種の連鎖球菌に渡る遺伝子の遺伝子保存、4)ドットブロットによって測定されるような、これらの株による特定のタンパク質の表現型的発現;5)定量的PCR(qPCR)による転写レベルでの目的の遺伝子の発現、および6)in vitroオプソニン食作用アッセイにおいて、ヒト抗体がこれらのタンパク質に対してオプソニン性である能力。
【0196】
77のORFをクローニングして、大腸菌で発現させ、そして発現タンパク質のうち62を精製した。全細胞ELISAおよびLV−SEMによる解析が完了した特異的抗体を生成するため、これらの精製タンパク質をマウスに注射した。さらに、化膿性連鎖球菌株および連鎖球菌種に渡る遺伝子保存に関して、24のORFを評価した;in vitroおよびin vivoのqPCRによって、転写レベルでの発現に関して、いくつかを評価した。最後に、化膿性連鎖球菌タンパク質に特異的なヒト抗体を精製し、そしてオプソニン食作用アッセイで評価した。
【0197】
全細胞酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
化膿性連鎖球菌株SF−370を用いて、0.5%酵母エキスを含有するトッド・ヒューイットブロス(THY)に接種し、そして37℃で一晩培養した。遠心分離によって細胞を採取し、そしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。0.2のOD600まで、細菌をPBSに再懸濁し、そして96ウェルポリスチレンマイクロタイタープレートの各ウェルを100μlの細菌懸濁物でコーティングした。その後、プレートを室温で空気乾燥し、マイラープレートシーラーで密封し、そして逆さにして4℃で3ヶ月まで保管した。アッセイのための調製において、Tris緩衝生理食塩水(TBS)/0.1% Brij−35でプレートを3回洗浄し、100μl/ウェルのORF特異的抗血清を各ウェルに添加して、そして37℃で2時間インキュベーションした。その後、TBS/0.1% Brij−35でプレートを3回洗浄し、100μl/ウェルの二次抗体コンジュゲートを各ウェルに添加して、そして室温で1時間インキュベーションした。最後に、PBSで3回洗浄した後、100μl/ウェルの基質を各ウェルに添加し、そして室温で60分間発色(depelop)させた。その後、50μl/ウェルの3N NaOHを添加することによって反応を停止した。ELISAプレーリーダーを用いて、吸光度値(OD405)を測定した。
【0198】
遺伝子保存のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析
試験した細菌株には、化膿性連鎖球菌由来の10株、SF370(M1)、90−226(M1)、80−003(M1)、CS210(M2)、CS194(M4)、83−112(M5)、CS204(OF+、M11、T11)、CS24(M12)、95−0061(M28)、CS101(M49)、および第四のM1血清型SpeB+、2つのS.ゾーエピデミクス(S. zooepidemicus)株、CS258およびGB21、並びに3つのG群連鎖球菌株、CS241、CS140、およびCS242が含まれた。THY中、5mlの一晩培養を増殖させた。2.5mlの各培養を遠心分離し、そして480μlの50mM EDTA、120μlの10mg/mlリゾチームおよび2μlの2500単位/mlミュータノリシン(mutanolysin)に再懸濁した。試料を1時間、37℃でインキュベーションした。残りのゲノム精製のため、PromegaのWizardゲノムDNA精製キットにしたがった。全長遺伝子のためのプライマーセットを、そして次にqPCR(以下を参照されたい)のために設計したプライマーをアッセイに用いた。PCR周期条件は、以下のとおりである:94℃で1分間維持、94℃15秒間および58℃10分間の16周期、先の94℃15秒間および58℃10分間を各々15秒間延ばして12周期、72℃で10分間維持、そして最後に4℃維持。アガロースゲル中の移動度によって、PCR産物を検証した。適切な大きさの強いバンドを含有する増幅を、いずれも陽性結果とみなした。
【0199】
定量的PCR(qPCR)
上記細菌培養から、または感染させホモジナイズしたマウス組織からRNAを単離した。試料を2mlのRNAlater(Ambion、米国テキサス州オースティン)に懸濁し、そしてドライアイス/エタノールを用いて迅速凍結し、そして使用するまで−70℃に保管した。全部で3回の凍結融解周期のため、試料を室温に融解して、そしてその後、上述の方法を用いて再び凍結した。100μlの10mg/mlリゾチームおよび10μlの2500単位/mlミュータノリシンいずれかで試料を処理して、そして37℃で1時間インキュベーションするか、または等体積の0.1mmガラスビーズと試料を混合して、そして4800rpmで1分間、ビーズビーターに入れて、細胞を溶解した。上清をビーズから回収し、そしてさらに400μlのRNAlaterをビーズに添加して、そして上述のように混合した。ビーズから回収した上清または消化溶液を、等体積のRNAqueous溶解/結合溶液(Ambion)と混合し、そして勢いよくボルテックスした。微量遠心分離装置の最高速度で、試料を2分間回転させて、いかなる残存組織もペレットにした。上清を等体積の64%エタノールと混合し、そして一度に700μlずつ、フィルターカートリッジを通過させた。RNAqueousマニュアルに記載されるように、フィルターカートリッジを洗浄した。2x25μlの95℃溶出溶液を用いて試料を溶出した。DNA−free(Ambion)を用いて、2回の1.5μl DNアーゼ処理を、各々、37℃で1時間行って、いかなるゲノム混入も取り除いた。cDNAを生成するRETROscript(Ambion)プロトコルに記載されるように、熱変性を伴う40μl最終体積のRT反応において、20μlの精製RNAを用いた。試料を85℃で変性させ、そして42℃で1時間インキュベーションし、その後、92℃で10分間インキュベーションすることによって、逆転写した。
【0200】
Primer Expressソフトウェア(Applied Biosystems、米国カリフォルニア州フォスターシティー)を用いて設計した、各ORFに特異的なプライマーおよびプローブを用いて、定量的PCRを行った。2xTaqmanユニバーサルPCRマスターミックス(Applied Biosystems)、300nM順方向プライマー、300nM逆方向プライマー、200nM FAM/TAMRAプローブ、およびcDNAテンプレートを用いて、25μl反応をセットアップした。PCR反応は、以下のとおりであった:50℃2分間、95℃10分間、95℃15秒間および60℃1分間の40周期。リボソーム16S RNAを内部対照として用い、すべての結果は16S Ct値に対して規準化する。標準曲線からの結果に基づいて、これらのウェルに添加するcDNAを100倍に希釈して、目的のORFに類似のCt値を生じた。
【0201】
ヒト多核白血球(PMN)の精製
Percoll勾配を用いて、4人のドナー由来のヒト全血のプールから、PMNを精製した。Percollをハンクス平衡化塩溶液(HBSS)で希釈することによって、3層勾配を調製した。それぞれ、再高密度相は2.7:1で、中間は1.079:1、そして上相は1.07:1のPercoll:HBSSであった。10ml体積の全血を勾配に重層し、そして20℃、2600RPMで、20分間遠心分離した。上層を取り除き、グルコースを含むPBSで洗浄してPercollを取り除き、遠心分離し、そして滅菌水に再懸濁して、赤血球を溶解した。正常生理食塩水の20倍濃縮溶液を添加して平衡化し、再遠心分離して溶解細胞を取り除き、PMNを再懸濁して、そして計数した。カルシウムおよびマグネシウムを含有するPBSに細胞を希釈し、そして使用前に37℃にした。
【0202】
ヒト血清由来のORF特異的抗体のブロット解析
2μgのタンパク質をニトロセルロース上にコーティングし、そして15分間風乾させた。BLOTTO中、室温で30分間ブロットをインキュベーションし、そしてその後、5mlのプールしたヒト血清血漿と4℃で16時間インキュベーションした。0.2% Tween20を含むPBSでニトロセルロースをリンスし、そしてアルカリホスファターゼにコンジュゲート化したヤギ抗ヒトIgGと室温で2時間インキュベーションした。このブロットを再洗浄し、そしてNBT/BCIP基質中で発色させた。
【0203】
ヒト抗体のアフィニティー精製
各100μgの化膿性連鎖球菌精製タンパク質を、ニトロセルロース片に接着させ、5% BLOTTOで15分間ブロッキングし、そしてその後、PBSでリンスした。血清を4℃で一晩吸着させた後、PBSでニトロセルロース片を洗浄し、そしてpH3.0の100mMグリシンでリンスして結合した抗体を溶出させた。溶出した抗体を1M Tris pH8.8で中和し、そしてPBS中で透析した。SF−370株に対するOPAのため、これらの抗体をPMNおよびヒト全血と共に試験した。
【0204】
オプソニン食作用アッセイ(OPA)
化膿性連鎖球菌株SF−370を用いて、THYブロスに接種し、そして静置状態で一晩増殖させた。一晩培養を新鮮な培地で希釈し、そして0.5〜0.7のOD650までさらに培養した。細胞を遠心分離し、PBSで1回洗浄し、そして氷冷PBSに再懸濁して0.5のOD650にした。細胞をPBS中で1:5,000に希釈し、そして試験抗体または抗血清と4℃で30分間混合した。標的細胞あたり100および200エフェクター細胞の比で、あらかじめ温めたPMNを細菌および抗体に添加した。反応を37℃で1時間、震蘯装置上でインキュベーションし、そして最後に氷冷PBSで反応を停止し、そして二つ組でBHI寒天上に蒔いた。
【0205】
全ヒト血液を用いたOPA
個々のヘパリン処理ヒト血液を得て、そして使用まで37℃で15〜30分間インキュベーションした。記載するように細菌を調製し、そして50μl試験抗体と4℃で15分間インキュベーションし、その後、430μlの全血を添加した。反応を37℃で1.5時間、震蘯装置上でインキュベーションし、そして二つ組でBHI寒天上に蒔いた。各実験は、個体の全血試料に相当し、プールではない。
【0206】
結果
全細胞ELISA
ORF特異的抗体が全細胞の表面に反応する能力を、ELISAによって試験した。先に記載するように、マウスで抗体を産生した。反応性は、化膿性連鎖球菌細胞表面上に発現するタンパク質の量および/または抗体が結合するのを可能にする方式でのタンパク質の曝露の相違を実証する。ELISA力価を表XVに示し、そしてこの力価は、発現したタンパク質の量、または抗体反応性を可能にするよう曝露されたエピトープ数のいずれかの相違を反映する、反応性の範囲を示す。免疫前バックグラウンド力価よりはるかに優れた値を太字で示す。
【0207】
表XV. 化膿性連鎖球菌ORFに対する全細胞ELISA力価
【0208】
【表15】
遺伝子保存
いくつかの連鎖球菌株のPCR解析を行って、多様なORFの保存の度合いを決定した。この解析からの結果を図11に見ることが可能である。すべてのPCR産物をゲル電気泳動によって解析し、そしてバンドサイズを予測値と比較した。陽性と示すすべてのORFは、予測された大きさに移動するPCR産物を示した。データは、高い度合いのゲノム保存を示し、試験した24のORFのうち21が、化膿性連鎖球菌の11株すべてに渡って保存されていた。さらに、18がC群およびG群間で保存され;最低量の保存は、B群連鎖球菌の株で観察された。
【0209】
選択された化膿性連鎖球菌ORFの定量的PCR
定量的PCRを行って、化膿性連鎖球菌ゲノムに含有されるいくつかのORFの転写を検証した。さらに、シミュレーション感染モデルにおいて、遺伝子発現をin vivoで検証する手段として、この方法を用いた。2つの既知の転写制御因子、rofAおよびMga、並びに他の1つのハウスキーピング遺伝子、gyrAがさらなる対照として含まれた。試験したすべての遺伝子が発現され、そして条件に応じて、いくつかは転写レベルに変動を示した。増幅がバックグラウンドを超えて検出可能であるPCR周期を示す、Ct数でその値を表す。したがって、より低いCt値は、より多量のmRNAが出発材料に存在したことを示す。1のCt相違は、検出されるmRNA量の2倍の相違に相関する。図12は、この解析結果を示す。すべてのORFは、テンプレート不含対照より、有意に低いCt値を示した。ORF2019は、肺またはin vitro培養いずれかで観察されるより、大腿で、155倍低い発現を示した。一方、ORF2477は、感染8時間後に肺から抽出した際、大腿またはin vitro培養に比較して、mRNAレベルに49倍の増加を示した。これらのデータは、試験したORFすべてが、in vitroおよびin vivoで転写され、そして細菌が曝露される条件によって影響を受けたことを示す。
【0210】
化膿性連鎖球菌タンパク質に対するヒト血清の反応性
ヒト血清から抗体を精製して、PMNが化膿性連鎖球菌を飲み込んで、そして殺す能力を、ORF特異的抗体が増進する能力を試験した。図は、ドットブロットによる、いくつかの化膿性連鎖球菌タンパク質に対するヒト血清の反応性を示し、この血清が、オプソニン食作用研究用抗体の供給源として適していることを示す。表XVIは、これらのブロットの結果を要約する。ブロットの結果は、24のORFタンパク質のうち14がヒト血清との反応性に関して陽性の試験結果になったことを示す。類似の実験において、単一のヒト血清をタンパク質に対して試験し、そして結果は表XVIに示すものと同一であった。その反応性および入手可能な材料の量に基づいて、アフィニティー精製抗体研究で使用するため、いくつかのタンパク質を選択した。
【0211】
表XVI. 反応性タンパク質に関するORF同定
【0212】
【表16】
注:太字=陽性
精製PMNを用いた、アフィニティー精製ヒト抗ORF抗体のオプソニン食作用活性
4つのヒト血液試料のプールからPMNを精製し、そして化膿性連鎖球菌SF−370の増殖は上述のとおりであった。細菌、PBS希釈剤およびPMNは、陰性対照として働いた。試験抗体を含有する反応から回収したCFUを、陰性対照のものを含有する反応から回収したCFUで割ることによって、殺菌パーセントを計算した。表XVIIに要約するこれらの研究の結果は、精製PMNとインキュベーションした際に、アフィニティー精製抗体が、SF−370に対するオプソニン活性を有することを示す。特に、ScpAおよびORF1224に対する抗体は、これらを試験した3回すべてで、OPAで測定されるように、陰性対照に対して、50%殺菌より高い殺菌を生じた。
【0213】
表XVII. エフェクター細胞として精製PMNを用いた、化膿性連鎖球菌タンパク質に対するアフィニティー精製ヒト抗体のオプソニン食作用活性
【0214】
【表17】
1陰性対照と比較した際のオプソニン食作用活性。PMN対細菌の比は100:1であった。アフィニティー精製抗体は、反応混合物の10%であった(1:10希釈)。
【0215】
ND=データなし
全血を用いた、アフィニティー精製ヒト抗体のオプソニン食作用活性
化膿性連鎖球菌を用いた伝統的なOPAは、エフェクター細胞供給源として全血を利用してきた。全血の存在下で、アフィニティー精製抗体がオプソニン活性を有するかどうかを決定するため、実験を行った。結果を表XVIIIに要約し、そしてこれは、PMNの供給源として血液を用いた個体に応じて多様な結果を示す。しかし、ORF1224および125に対する抗体は、試験した個々の血液試料7つすべてで、一貫してより大きいOPA力価を生じた。対照的に、ScpAに対する抗体は、7つの血液試料すべてで、一貫して劣ったOPA力価を生じた。ScpAに対する抗体をPMNと試験した際、3回のアッセイのうち3回で、50%より高い殺菌があったため、これは予期されないことであった。5つの他のタンパク質に対する抗体は、相同株に対し、化膿性連鎖球菌SF−370に対して、より一貫しないOPAを有した。ORF1284に対する抗体が、7回の実験のうち4回で、50%より高い殺菌を生じたことに注目すべきである。
【0216】
表XVIII. エフェクター細胞の供給源として全血を用いたOPA
【0217】
【表18】
1全血、細菌およびPBSを含有する反応に比較した際の、オプソニン食作用活性
【実施例4】
【0218】
実施例4
化膿性連鎖球菌外毒素1の生物学的活性
生物学的活性に関して、SPE Iを性質決定する研究を行った。データは、SPE Iがスーパー抗原活性を有し、そしてT細胞受容体Vβ領域(TCR Vβ)6.7、9、および21.3を示すT細胞の増殖を非特異的に誘導することを示す。
【0219】
SPE I
等電点電気泳動およびアフィニティークロマトグラフィーの組み合わせによって、SPE Iを精製した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、精製毒素が均質であることが示された。
【0220】
スーパー抗原性アッセイ
ウェルあたり2x105細胞の濃度で、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに、ウサギ脾臓細胞を植え付けた。1.0μg/ウェルから始めて、10−8μg/ウェルまで、毒素の10倍希釈を4つ組でウェルに添加した。陰性対照としてPBSのみの存在下で、そして陽性対照として他のSPEの存在下でインキュベーションした細胞に、これらの希釈を比較した。脾臓細胞を37℃で3日間増殖させ、そして1μCi 3H−チミジンで一晩パルス処理した。細胞を翌日採取し、そしてDNAへの3H−チミジン取り込みによって測定されるような細胞増殖をシンチレーションカウンター(Beckman Instruments、カリフォルニア州フラートン)中で測定した。
【0221】
T細胞レパートリーのフローサイトメトリー解析
Ficoll−Hypaque(Histopaque、Sigma)上での密度勾配沈降によって、3人の正常ヒトドナーから得た末梢血単核細胞(PBMC)を、ヘパリン処理静脈血から単離した。その後、細胞をハンクス平衡化塩溶液(HBSS)(Mediatech Cellgro、バージニア州ハーンドン)で3回洗浄し、そして細胞培養のため、培地に再懸濁した。10%熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)(Gemini Bioproducts、カリフォルニア州ウッドランド)、20mM HEPES緩衝液(Mediatech Cellgro)、100U/mlペニシリン(Mediatech Cellgro)、100μg/mlストレプトマイシン(Mediatech Cellgro)、および2mM Lグルタミン(Mediatech Cellgro)を補ったRPMI 1640(Mediatech Cellgro)中で、PBMC(1x106細胞/ml)を培養した。抗CD3(20ng/ml)、またはSPE I(100ng/ml)いずれかの存在下で、細胞を3日間培養し、洗浄し、そして先に記載されるように、T細胞レパートリーの免疫蛍光解析のため、洗浄し、そして染色する前に、インターロイキン2(50U/ml)の存在下で、さらに1日増殖させた。
【0222】
フローサイトメトリー研究のため、PBMCをHBSSで洗浄し、そして染色溶液[5% FCS(Gemini Bioproducts)、1%免疫グロブリン(Alpha Therapeutic Corp.、カリフォルニア州ロサンゼルス)、0.02%アジ化ナトリウム(Sigma)を含むPBS]中で、10x106細胞/mlに再懸濁した。ヒトTCR Vβ2、3、5.1、5.2、7、8、11、12、13.1、13.2、14、16、17、20、21.3、22(Immunotech、メイン州ウェストブルック)、TCR Vβ9、23(Pharmingen、カリフォルニア州サンディエゴ)およびTCR Vβ6.7フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Endogen、マサチューセッツ州ウォバーン)に対する、一団のビオチン化モノクローナル抗体で、96ウェル丸底プレート中で細胞を染色し、その後、暗所中、37℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション期間後、300xg、4℃で5分間遠心分離することによって、洗浄緩衝液[PBS、2% FCS(Gemini Bioproducts)、0.02%アジ化ナトリウム(Sigma)]で細胞を2回洗浄した。細胞ペレットを染色溶液に再懸濁し、そして抗CD3アロフィコシアニン(APC)、抗CD4フィコエリトリン(PE)(Becton Dickinson、カリフォルニア州サンノゼ)、抗CD8(FITC)(Beckton Dickinson)およびストレプトアビジン・ペリディニン・クロロフィルタンパク質(PerCP)コンジュゲート(Beckton Dickinson)と、4℃で30分間インキュベーションした。300xg、4℃で5分間遠心分離することによって、染色した細胞を、再び洗浄緩衝液で2回、そしてPBS中の0.02%アジ化ナトリウム(Sigma)で1回洗浄した。最後に、PBS中の1%(v/v)ホルムアルデヒド(Polysciences、ペンシルバニア州ワーリングトン)200μlで細胞を固定した。先に記載されるように、4色フローサイトメトリー(FACS Calibur、Becton Dickinson)を用いて解析を行った。血球計算器セットアップおよびデータ獲得法もまた、先に記載されている。Cellquestプログラム(Becton Dickinson)を用いて、リストモードマルチパラメータデータファイル(前方散乱、側方散乱、および4蛍光パラメータを含む各ファイル)を解析した。T細胞芽細胞集団に対して設定した光散乱ゲートで、活性化集団の解析を行った。陰性対照試薬を用いて、実験抗体の染色特異性を検証した。
【0223】
ミニ浸透圧ポンプ
6匹のアメリカン・ダッチ・ベルテッド(American Dutch belted)ウサギ3群の左わき腹に、500μgのSPE Iまたは200μgのTSST−1を含有する、皮下ミニ浸透圧ポンプを移植した。15日間の期間に渡って、毒素の致死性を評価した。
【0224】
結果
DNAへの3Hチミジン取り込みによって測定されるように、4日間のアッセイで、ウサギ脾臓細胞増殖を誘導する能力に関して、SPE Iを評価した(図14)。SPE Iは、やはり図に含まれる対照SPE毒素に匹敵して分裂促進性であった。SPE Iの分裂促進活性の完全な減退は、他の毒素で観察されるのと同様に、10−6から10−7μg/ウェルの間であった。
【0225】
SPE Iは、抗CD3抗体で刺激した細胞に比較して、TCR Vβ6.7、9、および21.3を所持するヒトT細胞を有意に刺激し(図15)、これはSPE Iがスーパー抗原であることと一致した。いくつかのT細胞集団、例えばTCR Vβ14または17を持つT細胞は、抗CD3抗体で刺激した細胞に比較して、有意に減少した。
【0226】
大部分の発熱性毒素スーパー抗原は、皮下移植ミニ浸透圧ポンプ中、200から500μgの毒素濃度でウサギに投与した際、致死性である。SPE Iは500μg用量でこの特性を示さなかった(3/3生存)。対照的に200μgのTSST−1は完全に致死性であった(3/3死亡(succumbed))。
【0227】
考察
発熱性毒素スーパー抗原は、Tリンパ球増殖を非特異的に誘導する能力によって定義されるが、T細胞受容体のβ鎖の可変部分の組成に依存する(6)。したがって、例えば、TSST−1は、応答するT細胞の抗原特異性に関わらず、TCR Vβ2を所持するヒトT細胞いずれかの増殖を刺激するであろう。この高レベルの刺激は、T細胞およびマクロファージ両方からのサイトカインの大規模放出を導く。特に重要なのは、TSSと関連する低血圧およびショックを引き起こす腫瘍壊死因子αおよびβの放出である。
【0228】
データは、SPE Iがスーパー抗原としてT細胞を刺激することを示す。したがって、SPE Iは、TCR Vβ6.7、9、および21.3を含有するヒト末梢血単核細胞を増殖させる。これらの選択されたT細胞集団のこの上昇は、同時に起こる非刺激T細胞の相対的な減少と共に、SPE Iの特徴的シグナルであり、そしてVβ歪曲(skewing)と称される。
【0229】
さらに、多くの発熱性毒素スーパー抗原は、TSSのモデルのように(8)、皮下移植したミニ浸透圧ポンプ中でウサギに投与した際、致死性である。これらのポンプは、7日間の期間に渡って、一定量の毒素を放出するように設計される。しかし、実験は15日間続け、これは、ウサギが最大その期間まで、投与された毒素に屈服する可能性があるためである。SPE Iは、TSSのこのモデルでは致死性ではなかった。多くの発熱性毒素スーパー抗原がこのアッセイで致死性であるが、注目に値する例外がある。例えば、新たに同定されたブドウ球菌内毒素LおよびQはこのモデルでは致死性でないが、これらの2つの毒素は、ファミリーの期待されるすべての他の活性を共有する(スーパー抗原性を含む)。これらの後者の毒素に関しては、これらが7日間の毒素放出期間全体で、ミニ浸透圧ポンプ中で安定でないか、またはポンプ中に沈殿するかいずれかであると示唆されている。したがって、SPE Iは、発熱性毒素スーパー抗原の決定的なスーパー抗原特性を共有する。
【0230】
特定の態様に関して上に例示し、そして記載するが、にもかかわらず、本発明は、示される詳細に限定されることを意図しない。むしろ、請求項の均等物の適用範囲および範囲内で、そして本発明の精神から逸脱することなく、細部に多様な修飾を行うことが可能である。
【0231】
参考文献
【0232】
【化1−1】
【化1−2】
【化1−3】
【化1−4】
【化1−5】
【化1−6】
【化1−7】
【化1−8】
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】図1は、オープンリーディングフレーム(ORF)同定の図式的表示を示す。
【図2】図2は、トリプシン消化後の化膿性連鎖球菌の低電圧走査型電子顕微鏡写真(LV−SEM)を示し、この中で、細胞完全性が維持され、そして単層さえ存在している。バーは1μmに等しい。
【図3】図3は、トリプシンでの消化前および消化後の化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。パネルA(左のパネル)は、トリプシン消化前の細胞を示し、細胞はより大きく、そして表面物質を示す。パネルB(右のパネル)は、消化後の細胞を示し、細胞はより小さく、そしていかなる表面タンパク質も欠けて見える。バーは1μmに等しい。
【図4】図4は、ORF218にコードされるタンパク質を発現する化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。
【図5】図5は、ORF554にコードされるタンパク質を発現する化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。
【図6】図6は、ORF1191にコードされるタンパク質を発現する化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。
【図7】図7は、ORF2064にコードされるタンパク質を発現する化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。
【図8】図8は、ORF2601にコードされるタンパク質を発現する化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。
【図9】図9は、ORF1316にコードされるタンパク質を発現する化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。
【図10】図10は、ORF1224にコードされるタンパク質を発現する化膿性連鎖球菌のLV−SEMを示す。
【図11】図11は、いくつかの化膿性連鎖球菌株のPCR解析を示し、株に渡る遺伝子保存を例示する。
【図12】図12は、選択した化膿性連鎖球菌ORFの定量的PCR解析を示し、試験したすべてのORFがin vitroおよびin vivoで転写されていることを立証する。
【図13】図13は、ORF遺伝子産物とヒト血清の反応性を示すドットブロットを示す。
【図14】図14は、他のSPE類に比較した、ウサギ脾臓細胞増殖を誘導するSPE Iの能力を示す。
【図15】図15は、抗CD3抗体による刺激(白いバー)に比較した、SPE Iに誘導されるヒトT細胞受容体刺激プロフィール(黒いバー)を示す。
Claims (115)
- (i)偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列に、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列;
(iii)(i)または(ii)のアミノ酸配列いずれかの免疫原断片;
(iv)(i)または(ii)のアミノ酸配列いずれかの少なくとも7の隣接するアミノ酸残基;あるいは
(v)感受性被験者において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善する(ameliorate)のに有効な、(i)、(ii)、(iii)または(iv)のいずれかの生物学的均等物
を含んでなる、単離ポリペプチド。 - OPA中のコロニー形成単位(CFU)の減少によって測定される際、生物学的均等物が、陰性対照に対して、少なくとも約15%の殺細菌パーセントのオプソニン食作用(opsonophagocytic)活性を示す、請求項1の単離ポリペプチド。
- OPA中のコロニー形成単位(CFU)の減少によって測定される際、生物学的均等物が、陰性対照に対して、少なくとも約20%の殺細菌パーセントのオプソニン食作用活性を示す、請求項1の単離ポリペプチド。
- OPA中のコロニー形成単位(CFU)の減少によって測定される際、生物学的均等物が、陰性対照に対して、少なくとも約40%の殺細菌パーセントのオプソニン食作用活性を示す、請求項1の単離ポリペプチド。
- OPA中のコロニー形成単位(CFU)の減少によって測定される際、生物学的均等物が、陰性対照に対して、少なくとも約50%の殺細菌パーセントのオプソニン食作用活性を示す、請求項1の単離ポリペプチド。
- OPA中のコロニー形成単位(CFU)の減少によって測定される際、生物学的均等物が、陰性対照に対して、少なくとも約60%の殺細菌パーセントのオプソニン食作用活性を示す、請求項1の単離ポリペプチド。
- 生物学的均等物が、β溶血性連鎖球菌に対して、望ましいレベルの防御を提供する、請求項1の単離ポリペプチド。
- (i)偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列に、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、(ii)偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列、(iii)(i)または(ii)のアミノ酸配列いずれかの免疫原断片、あるいは(iv)(i)または(ii)のアミノ酸配列いずれかの少なくとも7の隣接するアミノ酸残基のいずれかを含んでなる、請求項7の単離ポリペプチド。
- 偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列に、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる、請求項1の単離ポリペプチド。
- 生物学的均等物が、β溶血性連鎖球菌の少なくとも2つの株に渡る交差反応性を提供する、請求項1の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が、配列番号6、配列番号46、配列番号48、配列番号80、配列番号88およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が、配列番号16、配列番号64、配列番号128、配列番号140、配列番号182およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が、配列番号32、配列番号58、配列番号60、配列番号104、配列番号138およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が、配列番号66、配列番号82、配列番号78、配列番号142、配列番号146、配列番号162、配列番号186、配列番号342およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が、配列番号2、配列番号8、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号34、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号54、配列番号62、配列番号68、配列番号90、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号106、配列番号118、配列番号124、配列番号130、配列番号148、配列番号158、配列番号376およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が配列番号6である、請求項2の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が配列番号46である、請求項2の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が配列番号48である、請求項2の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が配列番号80である、請求項2の単離ポリペプチド。
- アミノ酸配列が配列番号88である、請求項2の単離ポリペプチド。
- 偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列の成熟ポリペプチドである、請求項1の単離ポリペプチド。
- (i)請求項1の単離ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(ii)成熟ポリペプチドである、請求項1の単離ポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列;
(iii)奇数番号の配列番号1〜147のいずれかのヌクレオチド配列;
(iv)奇数番号の配列番号149〜181のいずれかのヌクレオチド配列;
(v)奇数番号の配列番号183〜187のいずれかのヌクレオチド配列;
(vi)奇数番号の配列番号189〜667のいずれかのヌクレオチド配列;
(vii)請求項1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、少なくとも70%の同一性を有する、ヌクレオチド配列;
(viii)奇数番号の配列番号1〜667のいずれかのヌクレオチド配列に、少なくとも70%の同一性を有する、ヌクレオチド配列;
(ix)請求項1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;
(x)奇数番号の配列番号1〜667のいずれかのヌクレオチド配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;または
(xi)(i)〜(x)のいずれかのヌクレオチド配列に完全に相補的であるヌクレオチド配列
を含んでなる、単離ポリヌクレオチド。 - ヌクレオチド配列が、配列番号5、配列番号45、配列番号47、配列番号79、配列番号87およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項22の単離ポリヌクレオチド。
- ヌクレオチド配列が、配列番号15、配列番号63、配列番号127、配列番号139、配列番号181およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項22の単離ポリヌクレオチド。
- ヌクレオチド配列が、配列番号31、配列番号57、配列番号59、配列番号103、配列番号137およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項22の単離ポリヌクレオチド。
- ヌクレオチド配列が、配列番号65、配列番号81、配列番号77、配列番号141、配列番号145、配列番号161、配列番号185、配列番号341およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項22の単離ポリヌクレオチド。
- ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号7、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号33、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号53、配列番号61、配列番号67、配列番号89、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号105、配列番号117、配列番号123、配列番号129、配列番号147、配列番号157、配列番号375およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項22の単離ポリヌクレオチド。
- ヌクレオチド配列が、25、131、147、149、151、153、155、159、163、165、169、171、173、175、177、179、183、187、215、243、301、327、331、463、541、579、617、619、665、669およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項22の単離ポリヌクレオチド。
- 請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる組換え宿主細胞。
- 請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる組換え発現ベクター。
- 請求項22のベクターを含んでなる組換え宿主細胞。
- (a)(i)請求項22のポリヌクレオチドまたは(ii)請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる組換え発現ベクターを含んでなる、組換え宿主細胞を、ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドを産生するのに適した条件下で培養し;そして
(b)培養からポリペプチドを回収する
ことを含んでなる、ポリペプチド産生法。 - 請求項1のポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体。
- 配列番号6、配列番号46、配列番号48、配列番号80、配列番号88およびその組み合わせからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項33の抗体。
- 配列番号16、配列番号64、配列番号128、配列番号140、配列番号182およびその組み合わせからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項33の抗体。
- 配列番号32、配列番号58、配列番号60、配列番号104、配列番号138およびその組み合わせからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項33の抗体。
- 配列番号66、配列番号82、配列番号78、配列番号142、配列番号146、配列番号162、配列番号186、配列番号342およびその組み合わせからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項33の抗体。
- 配列番号2、配列番号8、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号34、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号54、配列番号62、配列番号68、配列番号90、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号106、配列番号118、配列番号124、配列番号130、配列番号148、配列番号158、配列番号376およびその組み合わせからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項33の抗体。
- 26、132、148、150、152、154、156、160、164、166、170、172、174、176、178、180、184、188、216、244、302、328、332、464、542、580、618、620、666、670およびその組み合わせからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項33の抗体。
- 配列番号6であるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項34の抗体。
- 配列番号46であるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項34の抗体。
- 配列番号48であるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項34の抗体。
- 配列番号80であるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項34の抗体。
- 配列番号88であるアミノ酸配列を有するポリペプチドに免疫特異的に結合する、請求項34の抗体。
- 請求項1のポリペプチドを含んでなる構成要素の免疫原量を含んでなる免疫原組成物であって、前記構成要素が、感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効な量である、前記免疫原組成物。
- ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質にコンジュゲート化するかまたは連結した、前記ポリペプチドの少なくとも部分を含んでなる、請求項45の免疫原組成物。
- 多糖にコンジュゲート化するかまたは連結した、前記ポリペプチドの少なくとも部分を含んでなる、請求項45の免疫原組成物。
- 生理学的に許容しうるビヒクルをさらに含んでなる、請求項45の免疫原組成物。
- 有効量のアジュバントをさらに含んでなる、請求項45の免疫原組成物。
- 哺乳動物がヒト、イヌ、ウシ、ブタ、またはウマである、請求項45の免疫原組成物。
- 哺乳動物がヒトである、請求項50の免疫原組成物。
- 請求項1のポリペプチドを含んでなる構成要素の免疫原量を含んでなる免疫原組成物であって、ポリペプチドが、前記ポリペプチドを特異的に認識する抗体を生成することが可能であり、そして前記構成要素の量が、感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効である、前記免疫原組成物。
- 請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる構成要素の免疫原量を含んでなる免疫原組成物であって、前記構成要素が、感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効な量である、前記免疫原組成物。
- 請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる組換え発現ベクターを含んでなる、請求項53の免疫原組成物。
- 生理学的に許容しうるビヒクルをさらに含んでなる、請求項53の免疫原組成物。
- 有効量のアジュバントをさらに含んでなる、請求項53の免疫原組成物。
- 哺乳動物がヒト、イヌ、ウシ、ブタ、またはウマである、請求項53の免疫原組成物。
- 哺乳動物がヒトである、請求項57の免疫原組成物。
- β溶血性連鎖球菌がA群連鎖球菌、B群連鎖球菌、C群連鎖球菌、またはG群連鎖球菌である、請求項53の免疫原組成物。
- β溶血性連鎖球菌が化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)である、請求項59の免疫原組成物。
- (i)β溶血性連鎖球菌の株に渡って実質的に保存され、そして感受性被験者において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効であり、偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列に、少なくとも70%の同一性を有する、単離ポリペプチド;
(ii)(i)の免疫原断片;あるいは
(iii)(i)または(ii)に免疫特異的に結合する抗体
を含んでなる、免疫原組成物。 - 単離ポリペプチドが、ヒト血清に対して試験した際、反応性に関して陽性の試験結果になる、請求項61の免疫原組成物。
- β溶血性連鎖球菌がA群連鎖球菌、B群連鎖球菌、C群連鎖球菌、またはG群連鎖球菌である、請求項61の免疫原組成物。
- β溶血性連鎖球菌が化膿性連鎖球菌である、請求項61の免疫原組成物。
- 単離ポリペプチドが、株に渡って、少なくとも約80%保存されている、請求項61の免疫原組成物。
- 単離ポリペプチドが、株に渡って、少なくとも約85%保存されている、請求項61の免疫原組成物。
- 単離ポリペプチドが、株に渡って、少なくとも約90%保存されている、請求項61の免疫原組成物。
- 単離ポリペプチドが、株に渡って、少なくとも約95%保存されている、請求項61の免疫原組成物。
- β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染に対して、感受性哺乳動物を防御する方法であって、請求項1のポリペプチドを含んでなる構成要素の免疫原量を含んでなる免疫原組成物を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量が、該感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効である、前記方法。
- 免疫原組成物が、場合によって、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質にコンジュゲート化するかまたは連結した、前記ポリペプチドの少なくとも部分を含んでなる、請求項69の方法。
- 免疫原組成物が、場合によって、多糖にコンジュゲート化するかまたは連結した、前記ポリペプチドの少なくとも部分を含んでなる、請求項69の方法。
- β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染に対して、感受性哺乳動物を防御する方法であって、請求項1のポリペプチドを含んでなる免疫原組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、ポリペプチドが前記ポリペプチドに特異的な抗体を生成することが可能であり、そしてその量が、該感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効である、前記方法。
- ポリペプチドが配列番号2〜670のいずれかのアミノ酸配列の成熟ポリペプチドを含んでなる、請求項72の方法。
- 免疫原組成物が生理学的に許容しうるビヒクルをさらに含んでなる、請求項72の方法。
- 免疫原組成物が皮下または筋内注射によって投与される、請求項72の方法。
- 免疫原組成物が経口摂取によって投与される、請求項72の方法。
- 免疫原組成物が鼻内投与される、請求項72の方法。
- β溶血性連鎖球菌がA群連鎖球菌、B群連鎖球菌、C群連鎖球菌、またはG群連鎖球菌である、請求項72の方法。
- β溶血性連鎖球菌が化膿性連鎖球菌である、請求項72の方法。
- 哺乳動物がヒト、イヌ、ウシ、ブタ、またはウマである、請求項72の方法。
- 哺乳動物がヒトである、請求項80の免疫原組成物。
- β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染に対して、感受性哺乳動物を防御する方法であって、請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる免疫原組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量が、該感受性哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を防御するかまたは改善するのに有効である、前記方法。
- 前記免疫原組成物が請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる組換え発現ベクターを含んでなる、請求項82の方法。
- 免疫原組成物が生理学的に許容しうるビヒクルをさらに含んでなる、請求項82の方法。
- 免疫原組成物が皮下または筋内注射によって投与される、請求項82の方法。
- 免疫原組成物が経口摂取によって投与される、請求項82の方法。
- 免疫原組成物が鼻内投与される、請求項82の方法。
- β溶血性連鎖球菌がA群連鎖球菌、B群連鎖球菌、C群連鎖球菌、またはG群連鎖球菌である、請求項82の方法。
- β溶血性連鎖球菌が化膿性連鎖球菌である、請求項82の方法。
- 哺乳動物がヒト、イヌ、ウシ、ブタ、またはウマである、請求項82の方法。
- 哺乳動物がヒトである、請求項90の方法。
- β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を有する哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるための組成物であって、請求項1のポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体を含んでなる、前記組成物。
- β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を有する哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるための組成物であって、請求項1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を遮断可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなる、前記組成物。
- ポリペプチドが配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列の成熟ポリペプチドを含んでなる、請求項93の組成物。
- β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるための組成物であって、請求項1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を遮断可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなる、前記組成物。
- ポリペプチドが配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列の成熟ポリペプチドを含んでなる、請求項95の組成物。
- β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を有する哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させる方法であって、請求項1のポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体を含んでなる組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量が、該哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるのに有効である、前記方法。
- β溶血性連鎖球菌コロニー形成または感染を有する哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させる方法であって、請求項1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を遮断可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなる組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなる、前記方法。
- 哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌感染によって引き起こされる副作用を減少させる方法であって、請求項1のポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体を含んでなる組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量が、該哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるのに有効である、前記方法。
- 哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌感染によって引き起こされる副作用を減少させる方法であって、請求項1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を遮断可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなる組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、その量が、該哺乳動物において、β溶血性連鎖球菌の数および増殖の少なくとも1つを減少させるのに有効である、前記方法。
- 生物学的試料において、β溶血性連鎖球菌を検出し、そして/または同定する方法であって:
(a)請求項22のポリヌクレオチドと生物学的試料を、相補塩基対のハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させ;そして
(b)試料中のハイブリダイゼーション複合体の存在を検出する、ここでハイブリダイゼーション複合体の検出が、生物学的試料にβ溶血性連鎖球菌が存在する指標となる
ことを含んでなる、前記方法。 - 前記β溶血性連鎖球菌が化膿性連鎖球菌である、請求項101の方法。
- 生物学的試料において、β溶血性連鎖球菌を検出し、そして/または同定する方法であって:
(a)請求項1のポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体と生物学的試料を、免疫複合体形成に適した条件下で接触させ;そして
(b)試料中の免疫複合体の存在を検出する、ここで免疫複合体の検出が、生物学的試料にβ溶血性連鎖球菌が存在する指標となる
ことを含んでなる、前記方法。 - 前記β溶血性連鎖球菌が化膿性連鎖球菌である、請求項103の方法。
- 生物学的試料において、β溶血性連鎖球菌に対する抗体を検出し、そして/または同定する方法であって:
(a)請求項1のポリペプチドと生物学的試料を、免疫複合体形成に適した条件下で接触させ;そして
(b)試料中の免疫複合体の存在を検出する、ここで免疫複合体の検出が、生物学的試料にβ溶血性連鎖球菌に対する抗体が存在する指標となる
ことを含んでなる、前記方法。 - ポリペプチドが偶数の配列番号2〜670のいずれかのアミノ酸配列の成熟ポリペプチドを含んでなる、請求項105の方法。
- 前記β溶血性連鎖球菌が化膿性連鎖球菌である、請求項105の方法。
- 請求項1のポリペプチドを含んでなる、免疫原組成物。
- 前記ポリペプチドが偶数番号の配列番号2〜668のアミノ酸配列の成熟ポリペプチドである、請求項108の免疫原組成物。
- 請求項22のポリヌクレオチドを含んでなる、免疫原組成物。
- 請求項30の発現ベクターを含んでなる、請求項110の免疫原組成物。
- 請求項1の単離ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体を含んでなる、免疫原組成物。
- 単離ポリペプチドが、偶数番号の配列番号2〜668のいずれかのアミノ酸配列の成熟ポリペプチドを含んでなる、請求項112の免疫原組成物。
- 配列番号2〜668のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に、少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが:
(a)配列番号2〜668の成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチドから第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを得て、ここで第一のプライマーおよび第二のプライマーは、PCR条件下で、外側に向かう方式で、核酸合成を開始することが可能であり、そして第一のプライマーはアンチセンス方向に伸長可能であり、そして第二のプライマーはセンス方向に伸長可能である;そして
(b)前記ポリヌクレオチドを含有するcDNAライブラリーと、前記の第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを、第一のプライマーおよび第二のプライマーから前記ヌクレオチド配列を合成するのに適したPCR条件下で合わせる
ことを含んでなる工程によって同定される、前記単離ポリヌクレオチド。 - ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、請求項22のポリヌクレオチドを伸長する方法であって:
(a)前記ポリヌクレオチドから第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを得て、ここで第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーは、PCR条件下で、外側に向かう方式で、核酸合成を開始することが可能であり、そして第一のPCRプライマーはアンチセンス方向に伸長可能であり、そして第二のPCRプライマーはセンス方向に伸長可能である;そして
(b)cDNAライブラリーに含有される前記ポリヌクレオチドと、前記の第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーを、第一のPCRプライマーおよび第二のPCRプライマーからヌクレオチド配列を合成するのに適したPCR条件下で合わせて、それによって前記ポリヌクレオチドを伸長する
工程を含んでなる、前記方法。
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