JP7151629B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
下記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含む熱硬化性樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂組成物のチクソトロピー指数が1.2~3.0であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(A)1分子中に2個のシアナト基を有するシアネートエステル化合物:(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して20~85質量%
(B)1分子中に3個以上のシアナト基を有するシアネートエステル化合物:(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して15~80質量%
(C)フェノール系硬化剤:(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.2~100質量部
(D)硬化促進剤:(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.1~20質量部
(E)チクソ性付与剤:(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.5~20質量部
[2]
さらに(E)チクソ性付与剤以外の(F)無機充填材を含む[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]
前記(D)硬化促進剤がイミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤、及び/又は第3級アミン系硬化促進剤を含むものである[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]
前記(D)硬化促進剤が、第3級アミン化合物の塩又はホスホニウムボレート塩を含むものである[1]~[3]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5]
前記熱硬化性樹脂組成物が25℃で液体であることを特徴とする[1]~[4]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
(A)成分は、1分子中に2個のシアナト基を有する25℃で液体のシアネートエステル化合物である。
(B)成分は、1分子中に3個以上、好ましくは3~12個のシアナト基を有するシアネートエステル化合物であり、好ましくは液体又は半固体であるシアネートエステル化合物である。なお、本明細書中で「半固体」とは可塑性を有し、特定の形状に成形されたときに少なくとも1時間、好ましくは8時間以上その形状を保持し得る物質の状態をいう。したがって、例えば、常温で非常に高い粘度を有する流動性物質が本質的には流動性を有するものの、非常に高い粘度のために少なくとも1時間という短時間では付与された形状に変化(即ち、くずれ)を肉眼では認めることができないとき、その物質は半固体の状態である。
(C)成分のフェノール系硬化剤は、前記(A)及び(B)成分であるシアネートエステル化合物と反応するものであればよく、一般に公知のものが使用できる。(C)成分のフェノール系硬化剤としては、例えば、アリル基含有フェノールノボラック樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、複素環型フェノール樹脂、レゾルシノール型フェノール樹脂、ビスフェノール型フェノール樹脂(A型、F型等)等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
(C)成分は、1種単独で使用されてもよく、若しくは2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
(D)成分の硬化促進剤は、前記(A)及び(B)成分であるシアネートエステル化合物の硬化性を促進するものであればよく、一般に公知のもの、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤、第3級アミン系硬化促進剤等が使用できる。(D)成分の硬化促進剤としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどのホスフィン;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボランなどのホスフィン・ボラン錯体;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウムボレート塩等のリン系化合物;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等の第3級アミン化合物;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等の第3級アミン化合物の塩;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられる。中でも、第3級アミン化合物の塩、ホスホニウムボレート塩が好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7の塩、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートがより好ましい。
(D)成分は、1種単独で使用されてもよく、若しくは2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
(E)成分のチクソ性付与剤として、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウムなどの無機系チクソ性付与剤及び硬化ヒマシ油やステアリン酸アミドなどの有機系チクソ性付与剤等が使用できる。中でも、熱安定性の観点から、無機系チクソ性付与剤が好ましい。上記無機系チクソ性付与剤の平均粒径は、0.01~0.5μmが好ましく、0.01~0.3μmがより好ましい。平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
(E)チクソ性付与剤の配合量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.5~20質量部であり、好ましくは1~15質量部である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記成分(A)~(E)の所定量を配合することによって得られるが、任意成分として(F)無機充填材を配合してもよい。(F)無機充填材は、前記熱硬化性樹脂組成物の樹脂強度向上や低熱膨張化を目的に配合される。無機充填材としては、例えば、シリカ類(例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、クリストバライト等)、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維、酸化マグネシウム等が挙げられる。これら無機充填材の平均粒径は、0.6~100μmが好ましく、1.0~30μmがより好ましい。また形状は、用途に応じて選択することができる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記成分(A)~(F)に加え、その他の添加剤を必要に応じて本発明の目的、効果を損なわない範囲で添加することができる。かかる添加剤としては、前記(A)~(C)成分で例示される樹脂以外の熱硬化性樹脂、該熱硬化性樹脂用硬化剤、難燃剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、接着付与剤、低応力剤、着色剤などが挙げられる。
(G)成分のエポキシ樹脂は、液状であることが好ましく、25℃における粘度が好ましくは0.01~100,000mPa・sであり、より好ましくは0.1~10,000mPa・sである。この粘度は、JIS Z 8803:2011の記載に基づき、25℃の測定温度で円錐平板型回転粘度計(E型粘度計)を用いて試料をセットして2分後の値を測定した粘度である。
(G)成分中のエポキシ基1に対するアミン系硬化剤中の全アミノ基の比は、0.7~1.2が好ましく、0.7~1.1がより好ましく、0.85~1.05がさらに好ましい。この比が0.7未満では未反応のエポキシ基が残存し、ガラス転移温度が低下、又は密着性が低下するおそれがある。一方、この比が1.2を超えると硬化物が硬く脆くなり、リフロー時又は温度サイクル時にクラックが発生するおそれがある。
硬化剤としてフェノール樹脂が用いられる場合、(G)成分中のエポキシ基1に対して、硬化剤中に含まれるフェノール性水酸基の比は、0.5~1.5が好ましく、0.8~1.2がより好ましい。
酸無水物系硬化剤が用いられる場合、(G)成分中のエポキシ基1に対する硬化剤中の酸無水物基(-CO-O-CO-)の比は、0.5~1.5であることが好ましく、0.8~1.2がより好ましい。前記比が0.5未満では、未反応のエポキシ基が残存することで、ガラス転移温度が低下し、更に密着性も低下するおそれがある。前記比が1.5を超えると、硬化物が硬く脆くなるためリフロー時又は温度サイクル試験時にクラックが発生するおそれがある。
測定温度:25℃
スピンドル回転数:2rpm、10rpm
チクソトロピー指数=(2rpmでの粘度[Pa・s]/10rpmでの粘度[Pa・s])
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、次に示されるような方法で製造することができる。
例えば(A)1分子中に2個のシアナト基を有するシアネートエステル化合物と(B)1分子中に3個以上のシアナト基を有するシアネートエステル化合物と(C)フェノール系硬化剤と(D)硬化促進剤と(E)チクソ性付与剤とを、同時に又は別々に必要により加熱処理を行いながら混合し、撹拌、溶解及び/又は分散させることにより、(A)~(E)成分の混合物を得る。好ましくは、(A)及び(B)成分の混合物に(C)フェノール系硬化剤、(D)硬化促進剤及び(E)チクソ性付与剤を添加し、撹拌、溶解及び/又は分散させることにより(A)~(E)成分の混合物を得てもよい。また、使用用途によって、(A)~(E)成分の混合物に、(F)成分の無機充填材や、(G)成分の熱硬化性樹脂、該熱硬化性樹脂用硬化剤、難燃剤及びイオントラップ剤のうち少なくとも1種類を添加して混合してもよい。各成分は単一種類で使用しても2種以上を併用してもよい。
組成物の製造方法では、混合、撹拌及び分散を行う装置について、特に限定されない。具体的には、例えば、撹拌及び加熱装置を備えたライカイ機、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、又はマスコロイダーを用いることができ、これらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
(A1)下記式(1)で表される1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン(LECy:ロンザジャパン社製)[粘度:25℃で80mPa・s、シアネートエステル基当量133]
(B1)下記式(3)で表されるフェノールノボラック型シアネートエステル化合物(PT-30:ロンザジャパン社製)[粘度:25℃で250Pa・s、シアネートエステル基当量119]
(B2)下記式(4)で表されるフェノールノボラック型シアネートエステル化合物(PT-60:ロンザジャパン社製)[性状:25℃で半固体、シアネートエステル基当量119]
(B3)下記式(5)で表されるナフタレン環含有シアネートエステル化合物(NCN:三菱瓦斯化学社製)[性状:25℃で固体、シアネートエステル基当量131]
(C1)アリル基含有フェノールノボラック樹脂(MEH-8000H:明和化成社製)
(C2)レゾルシノール型フェノール樹脂(MEH-8400:明和化成社製)
(C3)アリル基含有フェノールノボラック樹脂(ARM-019:日本化薬社製)
(D1)1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7誘導体のテトラフェニルボレート塩(U-CAT 5002:サンアプロ社製)
(D2)テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート(TPP-MK:北興化学社製)
(E1)無機系チクソ性付与剤:シリカM(ヘキサメチルシラザン:SE31(商品名、信越化学工業社製)で表面処理したフュームドシリカ:アエロジル130(商品名、日本アエロジル社製、平均粒径:0.15μm))
(E2)有機系チクソ性付与剤:1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール(商品名:ゲルオールD、新日本理化株式会社製)
(F1)RS-8225H(溶融シリカ、平均粒径:15μm、龍森社製)
(G1)エポキシ樹脂:アミノフェノール型3官能エポキシ樹脂(jER630:三菱ケミカル社製)
(G2)エポキシ樹脂用硬化剤:酸無水物硬化剤(リカシッドMH:新日本理化社製)
表1、表2に示す配合(質量部)で熱硬化性樹脂組成物を得た。これらの組成につき、以下の諸特性を測定した。結果を表1、表2に示す。
JIS Z 8803:2011に記載の方法に準じ、25℃の測定温度で、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて、スピンドルの回転数2rpmと10rpmにて粘度を測定した。
JIS Z 8803:2011に記載の方法に準じ、25℃の測定温度で、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて、スピンドルの回転数2rpmと10rpmにて粘度を測定した。得られた粘度から、チクソトロピー指数を下記式で算出した。
チクソトロピー指数=(2rpmでの粘度[Pa・s]/10rpmでの粘度[Pa・s])
表1及び表2に示す配合(質量部)で調製した各熱硬化性樹脂組成物をシリンジに充填し、該樹脂組成物をシリコンチップ上に0.05g塗布し、150℃で1時間加熱して硬化させた。硬化後、前記樹脂組成物の硬化物と前記シリコンチップとの界面から滲出しているブリード物の前記界面からの長さを、光学顕微鏡を用いて測定した。
表1及び表2に示す配合(質量部)で調製した各熱硬化性樹脂組成物を型に流し込み、上面の直径2mm、下面の直径5mm、高さ3mmの円錐台形状の試験片を得た。該試験片をシリコンチップ上に載せ、該試験片を150℃で2時間、さらに200℃で4時間加熱して硬化させた。硬化後、得られた試験片を室温の状態まで冷却して剪断接着力を測定し、その測定結果を初期値とした。
初期値の測定方法と同様にして、実施例及び比較例において調製した各熱硬化性樹脂組成物を型に流し込み、上面の直径2mm、下面の直径5mm、高さ3mmの円錐台形状の試験片を得た。該試験片をシリコンチップ上に載せ、該試験片を150℃で2時間、さらに200℃で4時間加熱して硬化させた。硬化後、得られた試験片を260℃のオーブンにて24時間保管後、室温の状態まで冷却して剪断接着力を測定した。高温保管後の接着力保持率は、具体的には下記式で算出された。
高温保管後の接着力保持率=260℃で24時間保管後の剪断接着力/初期値×100(%)
Claims (6)
- 下記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
JIS Z 8803:2011に記載のブルックフィールド型回転粘度計を用いて、測定温度:25℃、スピンドル回転数:2rpm及び10rpmで測定した粘度から算出される、前記熱硬化性樹脂組成物のチクソトロピー指数=(2rpmでの粘度[Pa・s]/10rpmでの粘度[Pa・s])が1.2~3.0であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(A)1分子中に2個のシアナト基を有するシアネートエステル化合物:(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して20~85質量%
(B)1分子中に3個以上のシアナト基を有するシアネートエステル化合物:(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して15~80質量%
(C)フェノール系硬化剤:(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.2~100質量部
(D)硬化促進剤:(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.1~20質量部
(E)チクソ性付与剤:(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.5~20質量部 - さらに(E)チクソ性付与剤以外の(F)無機充填材を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記(D)硬化促進剤がイミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤、及び/又は第3級アミン系硬化促進剤を含むものである請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記(D)硬化促進剤が、第3級アミン化合物の塩又はホスホニウムボレート塩を含むものである請求項1~3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が25℃で液体であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
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