JP7149040B2 - コンクリート床面の仕上げ管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート床面の仕上げ管理方法に関し、特に直仕上げによるコンクリート床面の仕上げ品質の向上に適用して有効な技術に関するものである。
近年、施主よりコンクリート床面の仕上げ品質精度について、高い水準が求められるようになってきた。特に倉庫系の場合、コンクリート床面は表面を平坦にした直仕上げであり、表面の高さや平坦性だけでなく、美観性(色合い、光沢)を強く求められることが増えている。
ここで、コンクリート表面の仕上げ状態は、金ゴテによる押さえ作業の精度と回数とによって決定する。
しかしながら、光沢を得るために過度な押さえ作業を行ったためにコンクリート表面がある程度の厚みを有して薄片状に剥離したり、コンクリート表面が僅かに波打ったようになって平坦性が悪化することがある。
したがって、高品質な仕上げには、コンクリート床面の金ゴテによる押さえ作業を適正なタイミングで実行することが求められ、そのためには、当該タイミングを客観的に測ることが必要とされる。
ここで、非特許文献1(公益社団法人日本コンクリート工学会、「コンクリート工学 第55巻9号 789頁~790頁」2017年9月1日発行)には、「直押え着手時期の定量的判定の導入」と称し、プロクタ貫入試験の結果を基に、コンクリート床面の押さえ作業を行うタイミングを決める技術が記載されている。
プロクタ貫入試験は、遅延剤を混入したコンクリートが所定時間の経過内に本来の強度を発揮できているのかを、建設現場で確認するための試験方法である。具体的には、コンクリートを篩(ふるい)にかけてウェットスクリーニングモルタルを取り出して(または、同配合で別に混練したモルタルを用いて)容器に入れ、時間の経過後に所定の断面積を持つ貫入針を貫入した際の抵抗値を図るものである。そして、前述した非特許文献1では、直径8mmの貫入針を25mm貫入した際の貫入抵抗値が3.5N/mmとなった時点でブリーディング水が出きったと判断して金ゴテ押さえを開始するタイミング、つまりコンクリート床面の直仕上げを実行するタイミングとしている。
公益社団法人日本コンクリート工学会、「コンクリート工学 第55巻9号 789頁~790頁」2017年9月1日発行
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、次のような問題がある。
すなわち、ブリーディング水はコンクリート表面近くに集まることから、貫入針をコンクリートの表面から25mmまで貫入するのはブリーディング水の位置に対して深すぎる。したがって、コンクリート床面の直仕上げを実行するタイミングとして、貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とについては、より適正な値を得るための検討が求められる。
また、プロクタ貫入試験では、細骨材の影響を除くためにウェットスクリーニングモルタルや別混練のモルタルを使うが、いずれも現場に打設するコンクリートのモルタル分とは性質が異なるものになっている。そのため、ウェットスクリーニングモルタルと打設したコンクリートとでは貫入抵抗値に大きな違いがあり、コンクリートの表面仕上げを実行するタイミングとして用いることはできない。
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、コンクリート床面の直仕上げを実行する適切なタイミングを計測することが可能なコンクリート床面の仕上げ管理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項1に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が増加から減少に転じる変曲点を示したときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを予め求めておき、打設したコンクリートが前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、コンクリート床面の直仕上げを実行する、ことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項2に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が横這いになったときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを予め求めておき、打設したコンクリートが前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、コンクリート床面の直仕上げを実行する、ことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項3に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、打設したコンクリートにおいて、プロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったときにコンクリート床面の直仕上げを実行する、ことを特徴とする。
本発明に係る請求項4に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、上記請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、コンクリートを打設した後にコンクリート内の粗骨材を前記貫入針の貫入深さよりも深く沈下させておいて貫入抵抗値を計測する、ことを特徴とする。
本発明に係る請求項5に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、上記請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、貫入抵抗値の計測は、現場に打設したコンクリートと同じコンクリートを打設した供試体に対して行う、ことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項6に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が増加から減少に転じる変曲点を示したときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを求め、現場にコンクリートを打設するとともに、当該コンクリートと同じコンクリートを打設して供試体を作成し、前記供試体内の粗骨材を前記貫入針の貫入深さよりも深く沈下させ、前記供試体が前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、現場に打設したコンクリート床面の直仕上げを実行する、ことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項7に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が横這いになったときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを求め、現場にコンクリートを打設するとともに、当該コンクリートと同じコンクリートを打設して供試体を作成し、前記供試体内の粗骨材を前記貫入針の貫入深さよりも深く沈下させ、前記供試体が前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、現場に打設したコンクリート床面の直仕上げを実行する、ことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項8に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法は、現場にコンクリートを打設するとともに、当該コンクリートと同じコンクリートを打設して供試体を作成し、前記供試体内の粗骨材をコンクリート表面から5mmよりも深く沈下させ、前記供試体においてプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったときに、現場に打設したコンクリート床面の直仕上げを実行する、ことを特徴とする。
本発明によれば、打設したコンクリートの貫入針による所定深さの貫入抵抗値が、単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じた時点の貫入抵抗値になったときにコンクリート床面の直仕上げ実行するようにしているので、コンクリート床面の直仕上げを実行する適切なタイミングを計測することが可能になる。
所定配合のコンクリートにおける打ち込み経過時間に対するブリーディング量および貫入抵抗値の関係を示すグラフである。 本発明の一実施の形態であるコンクリート床面の管理方法の実行プロセスを示すフローチャートである。 コンクリート内の粗骨材の強制的な沈下を示す説明図である。 現場打設コンクリートと供試体との貫入抵抗値の比較を示すグラフである。 ブリーディングの発生割合と供試体の貫入抵抗値との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は所定配合のコンクリートにおける打ち込み経過時間に対するブリーディング量および貫入抵抗値の関係を示すグラフ、図2は本発明の一実施の形態であるコンクリート床面の管理方法の実行プロセスを示すフローチャート、図3はコンクリート内の粗骨材の強制的な沈下を示す説明図である。
例えば倉庫の床などの現場に打設したコンクリートに直仕上げを行い、平坦性および美観性(色合い、光沢)のある床面にするためには、コンクリート表面への金ゴテによる押さえ作業を精度よく何度も実施しなければならない。このとき、直仕上げのタイミングが適切でないと、コンクリートが剥離したり、平坦性が悪化したりする。
すなわち、コンクリート床面の直仕上げのタイミングが早すぎると、過度な押さえ作業を行うことにより、コンクリート表面がある程度の厚みを有して薄片状に剥離する。これは、コンクリートの表面は硬化しているものの、そのすぐ下ではブリーディング水が上昇していたため、この部分に脆弱な層が生じており、コンクリート表面の収縮や外力により剥離し易い状態になったためである。
一方、コンクリート床面の直仕上げのタイミングが遅すぎると、コンクリート表面が僅かに波打ったようになって平坦性が悪化する。これは、ブリーディングが完了してコンクリートが硬化してしまい、金ゴテ抑え作業でコンクリートの平坦度が取れなくなってしまったためである。
そこで、本発明者等は、コンクリート床面の直仕上げを優れた平坦性および美観性を備えたものにすべく、直仕上げを実行するための適切なタイミングの計測についての検討を行った。
そして、既往の文献を調査した結果、コンクリート表面の剥離に関する知見を整理し、ブリーディングの発生過程や凝結時間が不具合の発生に影響していることが分かった。
そこで、所定配合のコンクリートについて、ブリーディング量とプロクタ貫入試験から得られる貫入抵抗値との関係についての試験を行った。図1はその試験結果を示したものである。なお、コンクリートの配合条件は、呼び強度27~36N/mm、スランプ15cmとし、混和剤はAE減衰剤または高性能AE減衰剤を用い、セメントは普通ポルトランドセメントを用いた。また、コンクリートは現場に打設するとともに、そのコンクリートと同じコンクリートを容器に打設して供試体を作成し、これら現場打設コンクリートと供試体とについて貫入抵抗値を計測した。
貫入抵抗値は、プロクタ貫入試験機(図示せず)の貫入針がコンクリートから所定の貫入深さ貫入するのに要した力を「N」、貫入針の断面積を「mm」としたとき、「N/mm」で求められる。ここでは、ブリーディング水のコンクリート表面からの位置を考慮して、コンクリートの表面から5mm貫入したときの貫入抵抗値を求めた。なお、コンクリートの表面から5mm貫入させるために要する時間は5秒とした。但し、貫入に要する時間は5秒でなくてもよい。
また、コンクリート内に含まれている粗骨材の影響を受けると貫入抵抗値が大きくなって不正確な値となってしまう。そこで、これを回避するため、コンクリート打設直後のまだ柔らかいうちに、表面近くの粗骨材を5mmより深くまで沈下させた(図3参照)。
図1に示すように、ブリーディング量については、コンクリートの打設から約60分後から増加に転じてその後単調増加で推移し、約180分後には単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じる変曲点が見られ、約210分後からはほぼ横這いで推移しているのが分かる。よって、ブリーディングはコンクリートの打設から約180分後の単位時間当たりに発生するブリーディング量が減少に転じた時点で終息し始め、約210分後のほぼ横這いになった段階で概ね完了していると言える。また、貫入抵抗値については、現場打設コンクリートおよび供試体の何れも、打設からしばらく(約220分まで)は緩やかに上昇するが、約220分後から急激に増加する傾向を示しているのが分かる。
このことから、単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じてもしばらくは貫入抵抗値が上昇しないことが明らかになった。
そして、単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じてブリーディングが概ね完了した時点がコンクリート床面の直仕上げの開始タイミングとして適切であり、これよりも開始が遅くなって貫入抵抗値が上昇してコンクリートが硬化してしまうものと考えられる。とすれば、ブリーディングの発生がほぼ完了したときの貫入抵抗値が、コンクリート床面の直仕上げを実行する適切なタイミングとなる。
したがって、各コンクリートにおける貫入抵抗値の測定誤差や振れ幅等を考慮すれば、プロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったときにコンクリート床面の直仕上げを行えば、平坦性および美観性に優れた床面が得られるといえる。
ここで、現場打設コンクリートと供試体との貫入抵抗値の比較を図4に示す。コンクリートを現場に打設し(現場打設コンクリート)、それと同じタイミングで供試体を作成し、同一時間経過後に計測した両者の貫入抵抗値をプロットしたものである。したがって、現場打設コンクリートの貫入抵抗値と供試体の貫入抵抗値とが同じ値を示した場合が、図4中における斜線になる。そして、図4に示すように、現場打設コンクリートと供試体の貫入抵抗値は、図中の斜線の周囲に集まっている、つまり両者の貫入抵抗値の推移はリンクしていることが分かる。よって、供試体の貫入抵抗値を計測すれば、それに対応した現場打設コンクリートの貫入抵抗値を推定できることが分かる。
次に、ブリーディングの発生割合と供試体の貫入抵抗値との関係を図5に示す。なお、図中の点線はデータの近似曲線である。図5から、ブリーディングの発生割合がほぼ100%になった時点で、コンクリートの硬化が本格的に開始することが分かっており、それが貫入抵抗値が2N/mmになった時点とほぼ一致するものといえる。
なお、コンクリート床面の直仕上げ工程は、一例を挙げると、粒子の密なモルタルを表面に浮かせるアマ出し、金ゴテでコンクリート表面の押さえ作業を行うコテ均し、床面を鏡面の状態になるまで磨き上げる鏡面仕上げ、の3工程が順次実行される工程である。そして、コンクリートの剥離や平坦性の悪化はコテ均しの作業で生じるものであるから、貫入抵抗値が前述の値になったときに、コテ均しを行えばよい。但し、単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じても直ちに貫入抵抗値は上昇しないことから(つまり、コンクリートが硬化しないことから)、貫入抵抗値が前述の値になったときにアマ出しを行い、その後、貫入抵抗値が上昇しない間にコテ均しを行うようにしてもよい。
なお、本願において、「単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じる」とは、一時的にあるいは僅かに減少に転じた場合は含まれない。例えば、図1において、コンクリートの打設から約60分後から約180分後までの時間帯でみると、この時間帯では、全体としては増加傾向にあるものといえる。したがって、局所的には単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少している時間があったとしても、本願にいう「単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じる」にはならない。一方、コンクリートの打設から約180分後には、それまでの増加傾向から減少傾向へと転じた変曲点が確認できる。ということは、その後の時間帯では、たとえ局所的には単位時間当たりのブリーディングの発生量が増加している時間があったとしても、全体としては減少傾向にあるものといえる。
このように、本願において、「単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じる」とは、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化した場合に、減少に転じたことが変曲点として認識できることをいう。
次に、以上を踏まえて、本実施の形態におけるコンクリート床面の管理方法について、図2を用いて説明する。
先ず、コンクリートを打設する(ステップS1)。ここでは、現場の型枠にコンクリートを打設するとともに、そのコンクリートと同じコンクリートを容器に打設して供試体(つまり、貫入抵抗値を測定するためのコンクリート)を作成する。なお、供試体は、容器ではなく、現場の型枠とは別に組まれた型枠に打設するようにしてもよい。
ここで、現場に打設したコンクリートで貫入抵抗値を測定する場合には、供試体は不要である。但し、抵抗値測定のために貫入針を貫入するとコンクリートに痕跡が残るので、貫入場所は貫入針の痕跡が残っても構わない場所を選定するのが望ましい。また、供試体を作成する場合には、貫入針の貫入した痕跡の問題は発生しない。
なお、コンクリートの打設においては、打ち込んだコンクリートに振動を与えて締固めを行い、砂などの骨材やセメントなどを均一化しつつ型枠の隅々まで行き渡るようにするとともに、余分な気泡を排除する。さらに、締固め後はコテ等を用いて均しを行い、コンクリート表面の大まかな凹凸を除去する。但し、供試体に対しては、締固めや均しを省略してもよい。
次に、貫入抵抗値の計測における粗骨材の影響を回避するために、供試体中の粗骨材を、コンクリート表面から5mmより深くまで強制的に沈下させる(ステップS2)。「5mmより深く」としたのは、前述のように、プロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さが5mmだからである。なお、粗骨材の影響を考慮しなくてもよいと考えられる場合(例えば、粗骨材の影響を無視できる程度に骨材全体に対する粗骨材の含有比率が低い場合など)には、粗骨材を沈下させるステップは不要である。また、現場に打設したコンクリートで貫入抵抗値を測定する場合には、当該コンクリート中の粗骨材を沈下させることはもちろんである。
なお、粗骨材を強制的に沈下させた後は、表面をコテ均しして平らにしておくことが望ましい。このようにすれば、プロクタ貫入試験機の貫入針の貫入量を正確に測定することができるからである。
ここで、粗骨材を沈下させるためには様々の手段が考えられるが、一例としては、図3に示すように、先端の尖った針10aが基板10bの片面に複数本立てられた治具10を用いて行う。図示する治具10では、基板10bの反対面に取っ手10cが取り付けられて、作業のしやすさが図られている。なお、粗骨材SをコンクリートCの表面から5mmより深くまで沈下させることから、基板10bからの針10aの高さは例えば10mm程度にする。このような治具10の針10aをコンクリートCに差し込むことにより、粗骨材Sはコンクリート表面から5mm以上の深さに強制的に沈下される。なお、治具10は、少しずつずらしながら移動させる。粗骨材は径が5mm以上の石であるから、5mm程度ずつずらせばほぼ確実に粗骨材を沈下させることができる。
さて、粗骨材を沈下させたならば、プロクタ貫入試験機の貫入針を供試体の表面から5mm貫入して貫入抵抗値を計測し、計測された貫入抵抗値が2N/mmになったかどうかを判断する(ステップS3)。なお、コンクリートの表面から5mm貫入させるために要する時間は、例えば5秒とする。
前述のように、本願発明者等の考察により、貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったということは、ブリーディングが概ね完了してコンクリート床面の直仕上げを実行する適切なタイミングになったことを意味するからである。
そして、ステップS3において貫入抵抗値が2N/mmになったならば、現場に打設したコンクリート床面の直仕上げを実行する(ステップS4)。
このように、本実施の形態のコンクリート床面の管理方法では、打設したコンクリートの貫入抵抗値を求め、貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったときがブリーディングが概ね完了したときと判断される。すなわち、貫入抵抗値が2N/mmになったときがコンクリート床面の直仕上げのタイミングであるから、コンクリート床面の直仕上げを実行するための適切なタイミングを計測することが可能になる。
さて、以上に説明した数値(貫入抵抗値、貫入深さ、貫入所要時間、粗骨材の沈下深さなど)は一例であり、これらの数値以外の数値をとることが可能である。
例えば、本実施の形態では、貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったときがブリーディングが概ね完了してコンクリート床面の直仕上げを実行するタイミングとしているが、コンクリート打設時の環境(気温や湿度)、コンクリートの配合条件などによっては、これらの数値が変動することが考えられる。また、前述のように、単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じた時点がブリーディングが概ね完了した時点である。
そこで、所定配合のコンクリートにおいて、単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じた時点での貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを予め求めておき、打設したコンクリートに対して貫入針をその貫入深さに貫入したときの貫入抵抗値が求めておいた貫入抵抗値になったときに、コンクリート床面の直仕上げを実行するようにする。
このようにすれば、コンクリート打設時の環境やコンクリートの配合条件などの変動要因を考慮することなく、コンクリート床面の直仕上げを実行するための適切なタイミングを計測することが可能になる。
ここで、単位時間当たりのブリーディングの発生量が減少に転じた後も計測を続け、発生量がほぼ横這いになったとき、つまりブリーディングが発生しなくなったときの貫入抵抗値を求めておき、この貫入抵抗値になったときに、コンクリート床面の直仕上げを実行するようにしてもよい。このようにすれば、より一層適切なタイミングでコンクリート床面の直仕上げを実行することができるからである。
なお、前述した配合条件(呼び強度、スランプ値、混和剤、セメント)のコンクリートについて実験を行って求めたのが、2N/mmという貫入抵抗値であるから、当該値を用いてもよいことはもちろんである。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
以上の説明では、本発明のコンクリート床面の仕上げ管理方法におけるコンクリート床面の直仕上げ工程では、打設したコンクリート表面を鏡面仕上げまで行っているが、必ずしも鏡面仕上げまで行う必要はなく、任意の仕上げ工程を実行することができる。
10 治具
10a 針
10b 基板
10c 取っ手
C コンクリート
S 粗骨材

Claims (8)

  1. 所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が増加から減少に転じる変曲点を示したときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを予め求めておき、
    打設したコンクリートが前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、コンクリート床面の直仕上げを実行する、
    ことを特徴とするコンクリート床面の仕上げ管理方法。
  2. 所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が横這いになったときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを予め求めておき、
    打設したコンクリートが前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、コンクリート床面の直仕上げを実行する、
    ことを特徴とするコンクリート床面の仕上げ管理方法。
  3. 打設したコンクリートにおいて、プロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったときにコンクリート床面の直仕上げを実行する、
    ことを特徴とするコンクリート床面の仕上げ管理方法。
  4. コンクリートを打設した後にコンクリート内の粗骨材を前記貫入針の貫入深さよりも深く沈下させておいて貫入抵抗値を計測する、
    ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法。
  5. 貫入抵抗値の計測は、現場に打設したコンクリートと同じコンクリートを打設した供試体に対して行う、
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のコンクリート床面の仕上げ管理方法。
  6. 所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が増加から減少に転じる変曲点を示したときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを求め、
    現場にコンクリートを打設するとともに、当該コンクリートと同じコンクリートを打設して供試体を作成し、
    前記供試体内の粗骨材を前記貫入針の貫入深さよりも深く沈下させ、
    前記供試体が前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、現場に打設したコンクリート床面の直仕上げを実行する、
    ことを特徴とするコンクリート床面の仕上げ管理方法。
  7. 所定配合のコンクリートにおいて、時間の経過に伴うブリーディングの発生量をグラフ化したときにブリーディングの発生量が横這いになったときにおけるプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さと貫入抵抗値とを求め、
    現場にコンクリートを打設するとともに、当該コンクリートと同じコンクリートを打設して供試体を作成し、
    前記供試体内の粗骨材を前記貫入針の貫入深さよりも深く沈下させ、
    前記供試体が前記貫入針の前記貫入深さで前記貫入抵抗値になったときに、現場に打設したコンクリート床面の直仕上げを実行する、
    ことを特徴とするコンクリート床面の仕上げ管理方法。
  8. 現場にコンクリートを打設するとともに、当該コンクリートと同じコンクリートを打設して供試体を作成し、
    前記供試体内の粗骨材をコンクリート表面から5mmよりも深く沈下させ、
    前記供試体においてプロクタ貫入試験機の貫入針の貫入深さが5mmのときの貫入抵抗値が2N/mmになったときに、現場に打設したコンクリート床面の直仕上げを実行する、
    ことを特徴とするコンクリート床面の仕上げ管理方法。
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