JP2016183526A - コンクリートの均し施工可能時間の調整方法 - Google Patents

コンクリートの均し施工可能時間の調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】予測された均し施工可能時間が短い場合であっても、その後の均し作業において十分な均し施工可能時間を確保することが可能なコンクリートの均し施工可能時間の調整方法を提供する。
【解決手段】打設直後のコンクリートから発生するブリーディング水の発生量と、コンクリートの導電率とを測定する測定ステップと、導電率が降下を開始する降下開始時間の前に、ブリーディング水の発生量に基づいて、ブリーディング水の発生が終了する発生終了時間を予測する予測ステップと、予測したブリーディング水の発生終了時間および測定した導電率の降下開始時間から、均し施工可能時間を把握する把握ステップと、把握した均し施工可能時間が、所定の施工条件で決まる均し施工可能時間の範囲を下回る場合に、コンクリートの硬化を遅延するための遅延剤を、導電率の降下開始時間に応じたタイミングでコンクリートの表面に散布する散布ステップとを備えるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばコンクリート製の床スラブなどの表面の均し作業を伴うコンクリートの均し施工可能時間の調整方法に関するものである。
従来、建設現場においてコンクリート製の床スラブを施工する場合は、打設したコンクリートのレベルを出し、床スラブとしての表面の平滑性を確保するべく、熟練技術者が木ゴテや金ゴテでコンクリート表面を数回ずつ押える均し作業を行うことで、コンクリート表面を平滑に仕上げている。この均し作業の時期は、コンクリート表面の硬化速度とコンクリート表面に浮き上がってくるブリーディング水の量を目安にして、熟練技術者の経験によって判断していた。
このコンクリートの硬化速度やブリーディング水の発生速度および発生量は、コンクリートの配合や施工環境によって変化する。例えば、夏季のように施工環境温度が高い場合は、一般的にコンクリートの硬化速度は速く、ブリーディング水の発生速度も速い。そのため、均し作業は早く取り掛かり、早く終える必要がある。一方、冬季のように施工環境温度が低い場合は、コンクリートの硬化速度は遅く、ブリーディング水の発生速度も遅い。そのため、均し作業の時期は遅くなり、作業完了時刻がコンクリート打設日の深夜となることも多い。また、コンクリートの配合において砕砂の割合が多い場合は、ブリーディング水の発生量が多い傾向となる。
このように、熟練技術者は、コンクリートの配合や施工環境に合わせ、均し作業の時期を調節する必要がある。ところが、上述したように均し作業の時期は熟練技術者の経験に頼っており、熟練技術者各人で判断基準が異なることから、熟練技術者が変わると、同じコンクリートの配合、施工環境でも均し作業の時期がずれるケースがある。均し作業の時期がずれると、以下の(1)、(2)のような問題が発生する。
(1)コンクリートの硬化やブリーディング水の発生速度が速く、均し作業の時期が遅れると、コンクリートの硬化が進み、表面の水分が失われることから、表面を平滑に均すことが難しくなり、凹凸が多い、平滑度の悪い仕上がりとなる。
(2)コンクリートの硬化やブリーディング水の発生速度が遅く、均し作業の時期が速すぎる場合は、コンクリート表面の強度不足となったり、コンクリート表層が剥がれやすくなったりする。
このような問題の発生を未然に防ぐため、本発明者は、コンクリートの均し作業の時期をあらかじめ把握する技術として、特願2014−082283号に示される「コンクリートの均し施工可能時間の予測方法および予測装置」を既に提案している。この技術は、例えばコンクリート製の床スラブなどを対象とするものであり、以下の(1)〜(3)の手順でコンクリートの表面を適正に均すことができる均し施工可能時間を予測することを特徴とするものである。
(1)コンクリートから発生するブリーディング水と、コンクリートの導電率とを測定する。ブリーディング水の発生量と導電率は、図3に例示するように時間の経過とともに上昇してゆくが、ある時点で導電率は低下を開始し、ブリーディング水の発生が終了する。
(2)導電率の降下開始時間の前に、ブリーディング水の発生量に基づいて、ブリーディング水の発生終了時間を予測する。
(3)予測したブリーディング水の発生終了時間と、測定した導電率の降下開始時間を、あらかじめ把握してある均し施工可能時間と導電率の降下開始時間とブリーディング水の発生終了時間との関係に当てはめることで、均し施工可能時間を求める。
このように、均し作業を始める前に、均し施工可能時間の長さを把握することで、施工への事前対応・対策を採ることができ、良好な施工品質のコンクリートを得ることができる。
この方法では、図9に示すように、ブリーディング水の発生量と導電率によって得られた均し施工可能時間が、所定の施工条件で決まる施工可能時間範囲から外れると予測した場合は、遅延剤や促進剤をコンクリートに散布することで、施工可能時間範囲に収まるようにすることにより、的確なコンクリート均し作業が可能になるとしている。
ところで、夏季のような高温時での施工においては、コンクリートの硬化が早く、均し施工可能時間が施工可能時間範囲よりも短くなって均し作業が追い付かなくなる事態が想定される。十分な均し施工可能時間を確保するためには、コンクリート表面に遅延剤を散布して硬化速度を遅くし、均し施工可能時間を長くする必要がある。このため、均し作業を始める前に予測された均し施工可能時間が短い場合に、十分な均し施工可能時間を確保することが望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、均し作業を始める前に予測された均し施工可能時間が短い場合であっても、その後の均し作業において十分な均し施工可能時間を確保することが可能なコンクリートの均し施工可能時間の調整方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法は、コンクリートの表面を均すことができる均し施工可能時間を調整する方法であって、打設直後の前記コンクリートから発生するブリーディング水の発生量と、前記コンクリートの導電率とを測定する測定ステップと、前記導電率が降下を開始する降下開始時間の前に、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生が終了する発生終了時間を予測する予測ステップと、予測した前記ブリーディング水の発生終了時間および測定した前記導電率の降下開始時間を、あらかじめ把握してある均し施工可能時間と導電率の降下開始時間とブリーディング水の発生終了時間との関係に当てはめることで、均し施工可能時間を把握する把握ステップと、把握した均し施工可能時間が、所定の施工条件で決まる均し施工可能時間の範囲を下回る場合に、前記コンクリートの硬化を遅延するための遅延剤を、前記導電率の降下開始時間に応じたタイミングで前記コンクリートの表面に散布する散布ステップとを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法は、上述した発明において、予測ステップにおいて、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生速度の単位時間当たりの変化量を一次方程式で近似し、前記一次方程式を1回または2回積分して得られる二次方程式または三次方程式の特性値を求めることで、前記ブリーディング水の発生終了時間を予測することを特徴とする。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法は、上述した発明において、前記関係は、均し施工可能時間と、導電率の降下開始時間をブリーディング水の発生終了時間で除した値との関係であることを特徴とする。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法は、上述した発明において、散布ステップにおいて、前記導電率の降下開始時間の前後の所定の期間に前記遅延剤を前記コンクリートの表面に散布することを特徴とする。
本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、コンクリートの表面を均すことができる均し施工可能時間を調整する方法であって、打設直後の前記コンクリートから発生するブリーディング水の発生量と、前記コンクリートの導電率とを測定する測定ステップと、前記導電率が降下を開始する降下開始時間の前に、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生が終了する発生終了時間を予測する予測ステップと、予測した前記ブリーディング水の発生終了時間および測定した前記導電率の降下開始時間を、あらかじめ把握してある均し施工可能時間と導電率の降下開始時間とブリーディング水の発生終了時間との関係に当てはめることで、均し施工可能時間を把握する把握ステップと、把握した均し施工可能時間が、所定の施工条件で決まる均し施工可能時間の範囲を下回る場合に、前記コンクリートの硬化を遅延するための遅延剤を、前記導電率の降下開始時間に応じたタイミングで前記コンクリートの表面に散布する散布ステップとを備えるので、均し作業を始める前に把握ステップで把握した均し施工可能時間が短い場合に、導電率の降下開始時間に応じたタイミングで遅延剤をコンクリートの表面に散布することによりコンクリートの硬化速度を遅くすることできる。例えば夏季のような高温環境下などのコンクリートの硬化が早くなる状況において上記タイミングで遅延剤を散布することで、コンクリートの硬化速度を遅くすることできる。これにより、事前に予測された均し施工可能時間が短い場合であっても、その後の均し作業において十分な均し施工可能時間を確保することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、予測ステップにおいて、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生速度の単位時間当たりの変化量を一次方程式で近似し、前記一次方程式を1回または2回積分して得られる二次方程式または三次方程式の特性値を求めることで、前記ブリーディング水の発生終了時間を予測するので、ブリーディング水の発生終了時間を簡便な統計的な手法によって精度よく予測することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、前記関係は、均し施工可能時間と、導電率の降下開始時間をブリーディング水の発生終了時間で除した値との関係であるので、一般に比例関係にあると考えられるこの関係に当てはめることで、均し施工可能時間を簡便に求めることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、散布ステップにおいて、前記導電率の降下開始時間の前後の所定の期間に前記遅延剤を前記コンクリートの表面に散布するので、その後の均し作業においてより十分な均し施工可能時間を確保することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法の実施の形態を示す概略フローチャート図である。 図2は、均し施工可能時間の予測方法(測定ステップ、予測ステップ、把握ステップ)の実施例を示す概略フローチャート図である。 図3は、ブリーディング水の発生量と導電率の時間変化の一例を示す図である。 図4は、単位時間当たりのブリーディング水の発生速度の時間変化量から求めた一次近似方程式を示す図である。 図5は、単位時間当たりのブリーディング水の発生速度から求めた二次方程式を示す図である。 図6は、ブリーディング水の発生量から求めた三次方程式を示す図である。 図7は、導電率の測定結果の一例を示す図である。 図8は、導電率の降下開始時間とブリーディング水の発生終了時間および均し施工可能時間の関係の一例を示す図である。 図9は、均し施工可能時間範囲の調整例を示すイメージ図である。 図10は、遅延剤なしの場合と遅延剤ありの場合の導電率の波形を比較した図である。
以下に、本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、本発明の対象とするコンクリートは、モルタル、セメントペーストなどのセメントを含有するセメント系材料を含む広義のコンクリートを意味するものである。また、以下の説明では、本発明の対象とするコンクリートの一例としてコンクリート製の床スラブを例にとり説明するが、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法は、コンクリートの表面を均すことができる均し施工可能時間を調整する方法であって、図1に示すように、測定ステップT1と、予測ステップT2と、把握ステップT3と、散布ステップT4とを備えている。
散布ステップT4を除く測定ステップT1、予測ステップT2、把握ステップT3の手順は、上記の特願2014−082283号の「コンクリートの均し施工可能時間の予測方法および予測装置」に記載の手順と同様である。そこで、以下の説明では上記ステップT1〜T3で構成される方法を「均し施工可能時間の予測方法」と呼ぶことにする。この予測方法では、コンクリートから発生するブリーディング水の発生終了時間と、コンクリートの導電率の降下開始時間の2つの時間を基にして、コンクリート(例えば床スラブ)の表面を均すことができる均し施工可能時間の長さを予測する。
[均し施工可能時間の予測方法]
<概略的手順>
まず、この均し施工可能時間の予測方法の概略的手順について説明する。
(測定ステップT1)
図2に示すように、まず、コンクリートを打設し(ステップS1)、打設直後のコンクリートから発生するブリーディング水の発生量の測定を開始する(ステップS2)。この測定と同時に、打設直後のコンクリートの導電率の測定を開始する(ステップS5)。そして導電率の上昇を監視しておき(ステップS6)、導電率が降下を開始する降下開始時間を測定するようにする(ステップS7)。
(予測ステップT2)
一方、測定されたブリーディング水の発生量、発生速度に基づいて、ブリーディング水の発生量を近似する三次方程式を求める(ステップS3)。求めた三次方程式より、ブリーディング水の発生が終了する発生終了時間を求める(ステップS4)。ここで、ブリーディング水の発生終了時間は、導電率が降下開始する前(ステップS7)に求めるようにする。
(把握ステップT3)
求めたブリーディング水の発生終了時間と、導電率の降下開始時間とに基づいて、コンクリートの表面を均すことができる均し施工可能時間を求める(ステップS8)。必要に応じて均し施工可能時間に合わせた対応、対策を講じる(ステップS9)。
このように、この予測方法によれば、導電率が降下開始する前に、ブリーディング水の発生終了時間を予測し、導電率が降下を始めた時点で均し施工可能時間が分かるため、コンクリート表面の均し作業を始める前に、均し施工可能時間を把握することができる。このため、均し施工可能時間の長さに合わせた対応、対策が可能である。したがって、的確な均し作業が可能となり、良好な施工品質のコンクリートを得ることができるという効果を奏する。
<具体的手順>
次に、均し施工可能時間の予測方法の具体的手順について図3〜図9を参照しながら説明する。
まず、図3に示すように、打設直後のコンクリートから時間の経過とともに発生するブリーディング水の発生量を測定する。これと同時に、コンクリートに設置した導電率計より導電率を測定する。導電率計は、メーカーによって形状が異なるが、コンクリート表面に突き刺して安定して設置できるものであればよい。導電率計のセンサー部分は、コンクリート表面に近く、かつコンクリートに安定して設置ができる深さであればよく、コンクリート表面からの深さが例えば10mm〜50mmであれば導電率の傾向に違いはない。
ここで、ブリーディング水の発生量の測定値に基づいて、ブリーディング水の発生速度の単位時間当たりの時間変化量を求める。そして、所定の期間における時間変化量のデータを用いて回帰分析を行い、図4に示すように、時間変化量の回帰直線(一次方程式)を求める。図4においては、時間変化量をY、経過時間をXとした場合の一次近似方程式が、Y=−0.000078X+0.005694で表される例を示している。
なお、上記の回帰分析の対象期間に用いた所定の期間としては、本実施例では、ブリーディング水の発生量の測定開始時間から、後述する導電率が降下を開始する降下開始時間までの期間としている。この対象期間については、これ以外の期間を選択してもよく、例えば施工条件等に応じて定めた期間を設定してもよい。
次に、この一次近似方程式を時間積分して、図5に示すように、単位時間当たりのブリーディング水の発生速度の近似方程式(二次方程式)を求める。図5においては、ブリーディング水の発生速度をY、経過時間をXとした場合の二次方程式が、Y=−0.000039X+0.00569X+αで表される例を示している。この二次方程式の積分定数αは、実測したデータにより、X=0における値を得ることで決定することができる。本実施例では、α=0.775としている。
次に、この二次方程式を時間積分して、図6に示すように、ブリーディング水の発生量の近似方程式(三次方程式)を求める。図6においては、ブリーディング水の発生量をY、経過時間をXとした場合の三次方程式がY=−0.000013X+0.00285X+0.775Xで表される例を示している。
次に、この三次方程式により、ブリーディング水の発生が終了する発生終了時間を予測する。ブリーディング水の発生終了時間は、図6の三次方程式のグラフにおける頂点に対応する時間X1(=250分)と予測できる。なお、この時間は、図5の二次方程式のグラフにおいては、単位時間当たりのブリーディング水の発生速度が0となる時間X1に対応する。また、三次方程式において、時間X1を代入して得られる値(頂点の値:142mL)が、発生するブリーディング水の総量として予測できる。
一方、導電率計の測定により、コンクリートの導電率が上昇から降下に変化する時間を求める。図7に例示するように、導電率が上昇から降下に転じる時間X0(=210分)は、一般的に、ブリーディング水の発生が終了する予測時間X1(=250分)より前となる。
ここで、コンクリート表面を均すことができる均し施工可能時間と、導電率の降下開始時間をブリーディング水の発生終了時間で除した値との関係をあらかじめ把握しておく。図8は、施工環境温度が20℃である条件下において、あらかじめ把握した均し施工可能時間と(導電率の降下開始時間/ブリーディング水の発生終了時間)との関係の一例であり、プロットとその回帰直線を示している。この図に示すように、均し施工可能時間と(導電率の降下開始時間/ブリーディング水の発生終了時間)との間には、一定の比例関係が成り立つことが分かる。
図7で求めた導電率の降下開始時間X0と、図6で求めたブリーディング水の発生終了時間X1より、その比率(X0/X1)を求める。本実施例では、X0/X1=210/250=0.84となる。このX0/X1を図8の回帰直線に当てはめることで、均し施工可能時間が求められる。本実施例の場合には、均し施工可能時間は75分程度と求められる。
このように、この予測方法によれば、ブリーディング水の発生が終了する時間より前に、均し施工可能時間を把握することができる。均し作業を始める前に均し施工可能時間を把握できるので、均し施工可能時間の長さに合わせた施工への事前対応・対策を採ることが可能である。したがって、的確な均し作業が可能となり、良好な施工品質のコンクリートを得ることができる。
例えば、施工面積や施工者数などの施工条件に対して均し施工可能時間が短い場合(例えば、夏の高温時やコンクリートの配合による影響)は、コンクリート表面に遅延剤を散布することで均し施工可能時間を長くすることができ、良好な施工品質を確保することができる。図9の例では、当てはめて得られる均し施工可能時間が短く、施工面積や施工者数などの施工条件により決まる施工可能時間範囲(均し施工可能時間の範囲)より下側にある場合には、コンクリート表面に遅延剤を散布することで均し施工可能時間を長くし、上記の施工可能時間範囲に収まるようにすればよい。
例えば、施工面積や施工者数などの施工条件に対して均し施工可能時間が長い場合(例えば、冬の低温時やコンクリートの配合による影響)は、コンクリート表面に促進剤を散布することで均し施工可能時間を短くすることができ、良好な施工品質を確保することができる。図9の例では、当てはめて得られる均し施工可能時間が長く、施工面積や施工者数などの施工条件により決まる施工可能時間範囲(均し施工可能時間の範囲)より上側にある場合には、コンクリート表面に促進剤を散布することで均し施工可能時間を短くし、上記の施工可能時間範囲に収まるようにすればよい。
[均し施工可能時間の調整方法]
次に、本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法における散布ステップT4について説明する。
(散布ステップT4)
散布ステップT4(図1を参照)においては、把握ステップT3において把握した均し施工可能時間が、所定の施工条件で決まる施工可能時間範囲(均し施工可能時間の範囲)を下回る場合に、コンクリートの硬化を遅延するための遅延剤を、導電率の降下開始時間に応じたタイミングでコンクリートの表面に散布する。
ここで、コンクリート用の遅延剤としては、表1に示す種類がある。遅延剤には、以下の働きによって、セメントの反応を遅らせる効果がある。
(1)セメント粒子表面に難溶性物質や不溶性物質を形成し、水との接触を抑制する。
(2)カルシウムイオンや水酸化カルシウム結晶と反応して、カルシウムの成長を抑制する。
Figure 2016183526
本発明によれば、均し作業を始める前に把握ステップT3で把握した均し施工可能時間が短い場合に、散布ステップT4において、導電率の降下開始時間に応じたタイミングで遅延剤をコンクリートの表面に散布することによりコンクリートの硬化速度を遅くすることできる。
例えば、夏季のような高温環境下などのコンクリートの硬化が早くなる状況において上記タイミングで遅延剤を散布することで、コンクリートの硬化速度を遅くすることができる。これにより、上記の予測方法によって事前に予測された均し施工可能時間が短い場合であっても、その後の均し作業において十分な均し施工可能時間を確保することができる。
また、例えば、コンクリート表面を均す作業者の数が限られ、コンクリートの硬化が早く、均し作業が追い付かなくなるような状況においても、本発明によりコンクリートの硬化速度を調整することで、十分な均し施工可能時間を確保することが可能である。
ここで、上記の遅延剤の散布タイミングとしては、導電率の降下開始時間の前後の所定の期間に設定可能である。なお、施工者は、導電率が降下を開始した時点で図9に示す均し施工可能時間がわかり、同時に施工可能時間範囲に入っているかどうかを把握できる。したがって、均し施工可能時間が施工可能時間範囲を下回っている場合における遅延剤の散布は、施工可能時間範囲を下回っていることがわかった時点から速やかに行うことが望ましく、例えば導電率が降下を開始したタイミングに設定するのが好ましい。このようにすれば、その後の均し作業において、より十分な均し施工可能時間を確保することが可能となる。
[本発明の効果の検証]
次に、本発明の効果を検証するために行った実験および検証結果について説明する。
ここでは一例として、コンクリート用の遅延剤のうち、有機系のオキシカルボン酸塩(液体状)を用いて実験を行った。実験は、夏季の施工を想定した30℃の環境で行い、遅延剤を300g/mの割合で散布した。表2に遅延剤なしと、遅延剤ありの作業時間の比較を示す。また、図10に、この実験で得られた遅延剤なしと遅延剤ありの導電率の波形を比較して示す。
Figure 2016183526
表2で示した各経過時間においては、以下のような状況が確認されている。
(遅延剤なしの場合)
・169分後:導電率が低下(降下)を開始し、ブリーディング水の発生は188分後に終了した。
・175分後:均すには最適な状態であった。
・205分後:コンクリート表面が硬く、ブリーディング水も無くなっており、均すには限界に近い状態となった。このため、均し施工可能時間は175分から205分までの30分間である。夏季のような高温環境下で、かつ、均し作業者が不足しているような状況では、この均し施工可能時間では不十分となるおそれがある。
・337分後:導電率が急激に低下した。これは、コンクリートの凝結の始発(反応硬化が急速に進む状態)を表している。これ以降は、コンクリート全体の強度が急速に増すため、コンクリートの形状を変えることは困難となる。
(遅延剤ありの場合)
・169分後:遅延剤を散布した。なお、この時間は遅延剤なしの場合の導電率の降下開始時間に相当する。
・205分後:均すには最適な状態であった。
・262分後:導電率が低下(降下)を開始した。遅延剤なしの場合と比較して、導電率の低下開始は93分遅くなった。
・325分後:均し作業は可能であったが、均すには限界に近い状態となった。したがって、均し施工可能時間は205分から325分までの120分となり、夏季のような高温環境下で、かつ、均し作業者が不足しているような状況でも、十分な均し施工可能時間を確保することが可能である。
・413分:導電率が急激に低下した。遅延剤なしの場合と比較すると、コンクリートの凝結の始発が76分遅くなっていることがわかる。
遅延剤なしの場合と遅延剤ありの場合を比較すると、導電率の降下開始時間に遅延剤を散布することによって、均し施工可能時間は、30分から120分へと長くなる。これにより、十分な均し施工可能時間を確保することが可能である。
なお、上記の実施の形態においては、測定ステップT1、予測ステップT2、把握ステップT3からなる予測方法を用いて均し施工可能時間を調整する場合を例に取り説明したが、本発明の調整方法はこれに限るものではなく、上記ステップT1〜T3の手順をコンピュータ等を用いて装置化した予測装置などを利用して実施してもよく、いずれにしても上記と同様の作用効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、コンクリートの表面を均すことができる均し施工可能時間を調整する方法であって、打設直後の前記コンクリートから発生するブリーディング水の発生量と、前記コンクリートの導電率とを測定する測定ステップと、前記導電率が降下を開始する降下開始時間の前に、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生が終了する発生終了時間を予測する予測ステップと、予測した前記ブリーディング水の発生終了時間および測定した前記導電率の降下開始時間を、あらかじめ把握してある均し施工可能時間と導電率の降下開始時間とブリーディング水の発生終了時間との関係に当てはめることで、均し施工可能時間を把握する把握ステップと、把握した均し施工可能時間が、所定の施工条件で決まる均し施工可能時間の範囲を下回る場合に、前記コンクリートの硬化を遅延するための遅延剤を、前記導電率の降下開始時間に応じたタイミングで前記コンクリートの表面に散布する散布ステップとを備えるので、均し作業を始める前に把握ステップで把握した均し施工可能時間が短い場合に、導電率の降下開始時間に応じたタイミングで遅延剤をコンクリートの表面に散布することによりコンクリートの硬化速度を遅くすることできる。例えば夏季のような高温環境下などのコンクリートの硬化が早くなる状況において上記タイミングで遅延剤を散布することで、コンクリートの硬化速度を遅くすることできる。これにより、事前に予測された均し施工可能時間が短い場合であっても、その後の均し作業において十分な均し施工可能時間を確保することができる。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、予測ステップにおいて、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生速度の単位時間当たりの変化量を一次方程式で近似し、前記一次方程式を1回または2回積分して得られる二次方程式または三次方程式の特性値を求めることで、前記ブリーディング水の発生終了時間を予測するので、ブリーディング水の発生終了時間を簡便な統計的な手法によって精度よく予測することができる。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、前記関係は、均し施工可能時間と、導電率の降下開始時間をブリーディング水の発生終了時間で除した値との関係であるので、一般に比例関係にあると考えられるこの関係に当てはめることで、均し施工可能時間を簡便に求めることができる。
また、本発明に係る他のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法によれば、散布ステップにおいて、前記導電率の降下開始時間の前後の所定の期間に前記遅延剤を前記コンクリートの表面に散布するので、その後の均し作業においてより十分な均し施工可能時間を確保することができる。
以上のように、本発明に係るコンクリートの均し施工可能時間の調整方法は、例えばコンクリート製の床スラブなどの表面の均し作業を伴うコンクリートに有用であり、特に、予測された均し施工可能時間が短い場合であっても、その後の均し作業において十分な均し施工可能時間を確保するのに適している。

Claims (4)

  1. コンクリートの表面を均すことができる均し施工可能時間を調整する方法であって、
    打設直後の前記コンクリートから発生するブリーディング水の発生量と、前記コンクリートの導電率とを測定する測定ステップと、
    前記導電率が降下を開始する降下開始時間の前に、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生が終了する発生終了時間を予測する予測ステップと、
    予測した前記ブリーディング水の発生終了時間および測定した前記導電率の降下開始時間を、あらかじめ把握してある均し施工可能時間と導電率の降下開始時間とブリーディング水の発生終了時間との関係に当てはめることで、均し施工可能時間を把握する把握ステップと、
    把握した均し施工可能時間が、所定の施工条件で決まる均し施工可能時間の範囲を下回る場合に、前記コンクリートの硬化を遅延するための遅延剤を、前記導電率の降下開始時間に応じたタイミングで前記コンクリートの表面に散布する散布ステップとを備えることを特徴とするコンクリートの均し施工可能時間の調整方法。
  2. 予測ステップにおいて、前記ブリーディング水の発生量に基づいて、前記ブリーディング水の発生速度の単位時間当たりの変化量を一次方程式で近似し、前記一次方程式を1回または2回積分して得られる二次方程式または三次方程式の特性値を求めることで、前記ブリーディング水の発生終了時間を予測することを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法。
  3. 前記関係は、均し施工可能時間と、導電率の降下開始時間をブリーディング水の発生終了時間で除した値との関係であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法。
  4. 散布ステップにおいて、前記導電率の降下開始時間の前後の所定の期間に前記遅延剤を前記コンクリートの表面に散布することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のコンクリートの均し施工可能時間の調整方法。
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