JP7148422B2 - 電極一体型セパレータの製造方法 - Google Patents
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Description
このような構成によれば、簡便に、空孔率が高い電極一体型セパレータを製造することができる。
用いられる水は、特に制限はないが、不純物の混入を防止する観点から、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水、または超純水が好ましく、イオン交換水がより好ましい。水は、通常、水溶性高分子を完全に溶解可能な量を用いる。
耐熱絶縁粒子の平均粒子径は、1.7μm以下である。平均粒子径が、1.7μm以下であることにより、耐熱絶縁粒子が十分にかさ高くなって空孔度を十分に高くすることができる。平均粒子径は、好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上1.0μm以下である。なお、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザ回折・散乱法により測定される粒度分布おいて、累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50;メジアン径、中心粒子径とも呼ばれる)のことをいう。
水溶性高分子を水または混合溶媒に溶解させる際には。加熱を行ってもよい。加熱温度としては、例えば、40℃以上100℃以下である。加熱により水溶性高分子の溶液を調製した後、水とポロゲン溶媒が分離しない範囲で冷却してよい。また、この冷却は、水溶性高分子が析出しない範囲で行うことが好ましい。析出した水溶性高分子が不純物となり得るためである。
塗工液塗布工程に用いられる電極としては、公知の電池の電極を何ら制限なく用いることができる。
一例として、電極が、リチウム二次電池の電極である場合について説明する。リチウム二次電池の電極は、典型的には、シート状の集電体と、当該集電体上に設けられた活物質層とを備える。
正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等を用いることができる。
正極活物質層は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNiO2、LiCoO2、LiFeO2、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO4等)等が挙げられる。
正極活物質層は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。
導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。
バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
負極集電体としては、例えば銅箔等を用いることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含有する。負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。黒鉛は、天然黒鉛であっても人造黒鉛であってもよく、黒鉛が非晶質な炭素材料で被覆された形態の非晶質炭素被覆黒鉛であってもよい。
負極活物質層は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。
バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。
増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
塗布方法については、特に制限はない。塗布は、例えば、ダイコーター、スリットコーター、コンマコーター、グラビアコーター、バーコーター等の公知の塗工装置を用いて行うことができる。
塗布量は、所望のセパレータ層の厚さおよび塗工液の固形分濃度に応じて適宜決定すればよい。
また、本発明によって得られる電極一体型セパレータにおいては、空孔度が高い。当該セパレータにおいては、耐熱絶縁粒子間の空隙と、混合溶媒の気化過程における相分離を利用して生成する空隙とが存在する。ここで、混合溶媒の気化過程における相分離において、耐熱絶縁粒子間の空隙が存在することによって、相分離により形成される空隙の生成が促進され、空孔度がより高められていると考えられる。さらに、特許文献2に記載の技術を電極一体型セパレータの製造方法に適用した場合には、セパレータ表面においては空孔がない樹脂層が形成されやすい。しかしながら、本発明においては、耐熱絶縁粒子間の空隙があることにより、セパレータ表面においても、十分な数および量の空隙を形成することができる。
またさらに、本発明においては、塗工液に耐熱絶縁粒子を含ませることによって、製造される電極一体型セパレータの耐熱性および強度が向上しているという利点を有する。
電池として好適には、リチウム二次電池であり、当該リチウム二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いることができる。
(実験1)
サンプル瓶に、クラレ社製ポリビニルアルコール「PVA205」(重合度500、ケン化度88モル%;以下単に「PVA」と記す)2質量部、水10質量部、およびポロゲン溶媒としてγ-ブチロラクトン10質量部を添加した。サンプル瓶を80℃~90℃に加熱し、PVAが水とポロゲン溶媒との混合溶媒に完全に溶解するまで撹拌してPVA溶液を得た。次いで、PVA溶液を25℃まで冷却した。これに、耐熱絶縁粒子としてアルミナ粒子を表1に示す量添加し、ディスパーで撹拌して分散させることにより、塗工液を調製した。なお、アルミナ粒子には、住友化学社製高純度アルミナ「AKP-3000」(平均粒子径0.53μm、比表面積4.5m2/g)を用いた。
厚さ66μmの負極を用意した。なお、この負極は、負極集電体上の両面に負極活物質層を備え、負極活物質層は、負極活物質として日立化成社製黒鉛「SMG-TH5」と、バインダとしてJSR社製スチレンブタジエンラバー「JSR TRD 104B」と、増粘剤として日本製紙社製カルボキシメチルセルロース「MAC800LC」をと含有していた。負極活物質層の目付量は、片面あたり3.30mg/cm2であった。
この負極の負極活物質層上に、上記調製した塗工液を、アプリケータを用いて、3mil(約76μm)の厚みで塗布した。
これを100℃に設定した乾燥炉に入れて、水およびポロゲン溶媒を気化させることにより、電極一体型セパレータを得た。
耐熱絶縁粒子として、ベーマイト粒子を用いた以外は、実験1と同様の方法により、電極一体型セパレータを得た。なお、ベーマイト粒子には、河合石灰工業社製ベーマイト「BMM-W」(平均粒子径1.7μm、比表面積3.9m2/g)を用いた。
耐熱絶縁粒子を用いなかった以外は、実験1と同様の方法により、電極一体型セパレータを得た。
得られた電極一体型セパレータのセパレータ層部分の外観を目視で評価するとともに、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。参考として、アルミナを塗工液の全固形分中33質量%使用して実験1で得られたセパレータの断面のSEM写真を図1に、ベーマイトを塗工液の全固形分中33質量%使用して実験2で得られたセパレータの断面のSEM写真を図2に示す。
また、セパレータ層部分をφ25mmで打ち抜き、その重量および膜厚を測定し、使用したPVAと耐熱絶縁粒子の真密度を用いて空孔度を算出した。結果を表1に示す。
また、表1の結果より、塗工液に、全固形分中10質量%以上耐熱絶縁粒子を加えることにより、電極一体型セパレータの空孔度を高めることができることが判明した。
しかしながら、外観観察においては、耐熱絶縁粒子の使用量が高くなりすぎると、セパレータにクラックが発生することが判明した。
以上の結果を統合すると、本発明によれば、空孔率が高い電極一体型セパレータを簡便に製造することができることがわかる。
Claims (1)
- 水と、水よりも沸点が高い溶媒とが混和した混合溶媒に、水溶性高分子が溶解し、かつ耐熱絶縁粒子が分散した塗工液を調製する工程と、
前記塗工液を電極上に塗布する工程と、
前記塗布された塗工液から、前記混合溶媒を気化させて除去して、セパレータ層を形成する工程と、
を包含し、
前記耐熱絶縁粒子の平均粒子径が、1.7μm以下であり、
前記塗工液の全固形分中の前記耐熱絶縁粒子の含有量が、10質量%以上67質量%以下であり、
前記水溶性高分子の前記水よりも沸点が高い溶媒に対する溶解度が、水に対する溶解度よりも低く、
前記混合溶媒を気化させて除去する工程において、前記水よりも沸点が高い溶媒によって空孔を形成し、
前記セパレータ層において、前記水溶性高分子が、前記耐熱絶縁粒子と共に多孔質状の骨格を形成している、
電極一体型セパレータの製造方法。
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