JP7147690B2 - シーラント材組成物 - Google Patents

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本発明は、タイヤ内表面にシーラント層を備えたセルフシールタイプの空気入りタイヤのシーラント層を構成するシーラント材組成物に関する。
空気入りタイヤにおいて、トレッド部におけるインナーライナー層のタイヤ径方向内側にシーラント層を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような空気入りタイヤでは、釘等の異物がトレッド部に突き刺さった際に、その貫通孔にシーラントが流入することにより、空気圧の減少を抑制し、走行を維持することが可能になる。
上述したセルフシールタイプの空気入りタイヤにおいて、シーラントの粘性が低いと、シーラントが貫通孔内に流入し易くなるという点でシール性の向上が見込めるが、走行中に加わる熱や遠心力の影響によりシーラントがタイヤセンター側に向かって流動し、その結果、貫通孔がタイヤセンター領域から外れると、シーラントが不足して、シール性が充分に得られない虞もある。一方、シーラントの粘性が高いと、前述のシーラントの流れは防止することができるが、シーラントが貫通孔内に流入しにくくなり、シール性が低下する虞がある。そのため、走行に伴うシーラントの流動を抑制すると共に、良好なシール性を確保することは難しく、シーラント層を構成するシーラント材組成物の物性を良好にしてこれら性能をバランスよく両立するための対策が求められている。
特開2006‐152110号公報
本発明の目的は、良好なシール性を確保すると共に、走行に伴うシーラントの流動を抑制することを可能にしたシーラント材組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のシーラント材組成物は、空気入りタイヤの内表面に配置されたシーラント層を構成するシーラント材組成物であって、塩素化ブチルゴムを含むゴム成分100質量部に対して、有機過酸化物1質量部~40質量部、架橋剤0.1質量部~40質量部が配合されたことを特徴とする。
本発明のシーラント材組成物は、上述の配合であることで、空気入りタイヤのシーラント層に用いたときに、良好なシール性を確保すると共に、走行に伴うシーラントの流動を抑制することができる。特に、塩素化ブチルゴムを含有し、且つ、架橋剤と有機過酸化物の併用によって架橋を行うことで、良好なシール性を得るのに充分な粘性を確保しながら、走行中に流動しない適度な弾性を得て、これら性能をバランスよく両立することができる。
本発明においては、ゴム成分が塩素化ブチルゴム以外の他のハロゲン化ブチルゴムを更に含むことが好ましい。このように塩素化ブチルゴムと他のハロゲン化ブチルゴムとを併用することで、これらゴムの加硫速度の違いに起因して、加硫後のシーラント組成物(シーラント層)の部位によって粘度や弾性等の物性に差が生じ、良好なシール性と適度な流動性とをバランスよく両立するには有利になる。
本発明においては、架橋剤が硫黄成分を含むことが好ましい。これにより、ゴム成分(ハロゲン化ブチルゴム)と架橋剤(硫黄)や有機過酸化物との反応性が高まり、シーラント材組成物の加工性を向上することができる。
本発明においては、ゴム成分100質量部に対して、液状ポリマー50質量部~400質量部が配合されることが好ましい。このとき、液状ポリマーがパラフィンオイルであることが好ましい。更に、パラフィンオイルの分子量が800以上であることが好ましい。これにより、ゴム成分に適度に高い粘性を付与することができ、シール性を向上するには有利になる。
本発明では、加硫促進剤を含むことが好ましい。このとき、加硫促進剤がチウラム系の加硫促進剤であることが好ましい。これにより、加硫速度を早めることができ、生産性を高めることができる。
上述の本発明のシーラント材組成物からなるシーラント層を備えた空気入りタイヤでは、シーラント材組成物の優れた物性によって、シール性の確保とシーラントの流動の抑制とをバランスよく両立することができる。
本発明が適用されるセルフシールタイプの空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のシーラント材組成物において、ゴム成分はハロゲン化ブチルゴムを必ず含む。ハロゲン化ゴムとしては、塩素化ブチルゴムを必ず含み、任意で臭素化ブチルゴム等の他のハロゲン化ブチルゴムを併用することもできる。このようにハロゲン化ブチルゴム(塩素化ブチルゴム)を用いることで、ゴム成分と後述の架橋剤や有機過酸化物との反応性が高まり、シール性の確保とシーラントの流動の抑制とを両立するには有利になる。また、シーラント材組成物の加工性を向上することもできる。ハロゲン化ブチルゴムとしては、シーラント材組成物に通常用いられるものを使用することができる。
ハロゲン化ブチルゴム中に占める塩素化ブチルゴムの割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。塩素化ブチルゴムの割合が1質量%未満であると、ゴム成分と後述の架橋剤や有機過酸化物との反応性が充分に向上せず、所望の効果が充分に得られない。
本発明のシーラント材組成物において、ゴム成分の全量がハロゲン化ブチルゴムである必要はなく、非ハロゲン化ブチルゴムを併用することもできる。非ハロゲン化ブチルゴムとしては、シーラント材組成物に通常用いられる未変性のブチルゴム、例えば、JSR社製BUTYL‐065、LANXESS社製BUTYL‐301などが挙げられる。ハロゲン化ブチルゴムと非ハロゲン化ブチルゴムとを併用する場合、非ハロゲン化ブチルゴムの配合量はゴム成分100質量%中に、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満にするとよい。
本発明のシーラント材組成物においては、2種以上のゴムを併用することが好ましい。即ち、塩素化ブチルゴムに対して、他のハロゲン化ブチルゴム(例えば、臭素化ブチルゴム)または非ハロゲン化ブチルゴムを組み合わせて用いることが好ましい。塩素化ブチルゴム、他のハロゲン化ブチルゴム、非ハロゲン化ブチルゴムの3種は、加硫速度が互いに異なるため、少なくとも2種類を組み合わせて用いることで、それらの加硫速度の違いに起因して、加硫後のシーラント組成物(シーラント層)の部位によって粘度や弾性等の物性に差が生じることになる。その結果、相対的に硬い部分では流動性が抑制され、相対的に柔らかい部分ではシール性が発揮されて、これら性能をバランスよく両立するには有利になる。
本発明のシーラント材組成物は、架橋剤および有機過酸化物が必ず配合される。尚、有機過酸化物も架橋剤の一種であるが、本発明における「架橋剤」とは、有機過酸化物を除いた架橋剤であり、例えば硫黄、亜鉛華、環状スルフィド、樹脂(樹脂加硫)、アミン(アミン加硫)、キノンジオキシム等を例示することができる。有機過酸化物以外の架橋剤としては、特に硫黄成分を含むもの(例えば、硫黄)を用いることが好ましい。このように架橋剤および有機過酸化物を併用して配合することで、シール性の確保とシーラントの流動の防止とを両立するための適度な架橋を実現できる。架橋剤の配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、0.1質量部~40質量部、好ましくは0.5質量部~10質量部である。また、有機過酸化物の配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、1質量部~40質量部、好ましくは5質量部~20質量部である。架橋剤の配合量が0.1質量部未満であると、実質的に架橋剤が含まれないのと同等になり、適切な架橋を行うことができない。架橋剤の配合量が40質量部を超えると、シーラント材組成物の架橋が進みすぎてシール性が低下する。有機過酸化物の配合量が1質量部未満であると、実質的に有機過酸化物が含まれないのと同等になり、適切な架橋を行うことができない。有機過酸化物の配合量が40質量部を超えると、シーラント材組成物の架橋が進みすぎてシール性が低下する。
このように架橋剤と有機過酸化物とを併用するにあたって、架橋剤の配合量Aと有機過酸化物の配合量Bとの比A/Bを、好ましくは5/1~1/200、より好ましくは1/10~1/20にするとよい。このような配合割合とすることで、シール性の確保とシーラントの流動の防止とを、よりバランスよく両立することが可能になる。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ブチルヒドロパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。特に、1分間半減期温度が100℃~200℃である有機過酸化物が好ましく、前述の具体例の中では、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイドが特に好ましい。尚、本発明において、「1分間半減期温度」は、一般に、日本油脂社の「有機過酸化物カタログ第10版」に記載された値を採用し、記載のない場合は、カタログに記載された方法と同様に、有機溶媒中における熱分解から求めた値を採用する。
本発明のシーラント材組成物は、液状ポリマーを配合することができる。このように液状ポリマーを配合することで、シーラント材組成物の粘性を高めてシール性を向上することができる。液状ポリマーの配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部~400質量部、より好ましくは70質量部~200質量部である。液状ポリマーの配合量が50質量部未満であると、シーラント材組成物の粘性を高める効果が充分に得られないことがある。液状ポリマーの配合量が400質量部を超えると、シーラントの流動を充分に防止することができない。
液状ポリマーとしては、シーラント材組成物中のゴム成分(ブチルゴム)と共架橋可能であることが好ましく、例えば、アロマオイル、ポリブテンオイル、パラフィンオイル、ポリイソプレンオイル、ポリブタジエンオイル、ポリイソブテンオイル等が挙げられる。これらの中でも、シーラント材組成物の物性の温度依存性を低く抑える観点から、パラフィンオイルを用いることが好ましい。パラフィンオイルを用いる場合、その分子量は好ましくは800以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは1200以上3000以下である。このように分子量の大きいものを用いることで、タイヤ内面に設けたシーラント層からタイヤ本体にオイル分が移行してタイヤに影響を及ぼすことを防止することができる。
本発明のシーラント材組成物には、加硫促進剤を配合してもよい。加硫促進剤を配合することで、加硫速度を早めることができ、シーラント材組成物の生産性を高めることができる。加硫促進剤の配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~10.0質量部、より好ましくは1.0質量部~5.0質量部である。
加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、およびチアゾール系の加硫促進剤を使用することができる。グアニジン系の加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン等を挙げることができる。チウラム系の加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム等を挙げることができる。チアゾール系の加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等を挙げることができる。これらの中では、チウラム系の加硫促進剤が好ましく、得られるシーラント材組成物の性能のばらつきを抑えることができる。チウラム系の加硫促進剤の中でも、特に、テトラメチルチウラムジスルフィドは加硫促進効果が高く好適である。
本発明のシーラント材組成物は、少なくとも塩素化ブチルゴムを含有していることで、ゴム成分に適度に高い粘性を付与しながら、架橋剤と有機過酸化物の併用によって架橋を行うことで、良好なシール性を得るのに充分な粘性を確保しつつ、走行中に流動しない適度な弾性を得て、これら性能をバランスよく両立することができる。そのため、後述のセルフシールタイプの空気入りタイヤのシーラント層に採用すれば、走行時にシーラント層の流動を生じることなく、良好なシール性を発揮することができる。
本発明が適用されるセルフシールタイプの空気入りタイヤは、例えば図1に示すように、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。尚、図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。また、子午線断面図における他のタイヤ構成部材についても、特に断りがない限り、タイヤ周方向に延在して環状を成している。
図1の例において、左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。カーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5およびビードフィラー6の廻りに車両内側から外側に折り返されている。ビードフィラー6はビードコア5の外周側に配置され、カーカス層の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7が埋設されている。これら複数層のベルト層7のうち、ベルト幅が最も小さい層を最小ベルト層7a、ベルト幅が最も大きい層を最大ベルト層7bという。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。トレッド部1におけるベルト層7の外周側にはベルト補強層8が設けられている。図示の例では、ベルト層7の全幅を覆うフルカバー層とフルカバー層の更に外周側に配置されてベルト層7の端部のみを覆うエッジカバー層の2層のベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含み、この有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。
タイヤ内面にはカーカス層4に沿ってインナーライナー層9が設けられている。このインナーライナー層9は、タイヤ内に充填された空気がタイヤ外に透過することを防ぐための層である。インナーライナー層9は、例えば、空気透過防止性能を有するブチルゴムを主体とするゴム組成物で構成される。或いは、熱可塑性樹脂をマトリクスとする樹脂層で構成することもできる。樹脂層の場合、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマー成分を分散させたものであってもよい。
図1に示すように、トレッド部1におけるインナーライナー層9のタイヤ径方向内側には、シーラント層10が設けられている。本発明のシーラント材組成物は、このシーラント層10に用いられる。シーラント層10は、上述の基本構造を有する空気入りタイヤの内表面に貼付されるものであり、例えば釘等の異物がトレッド部1に突き刺さった際に、その貫通孔にシーラント層10を構成するシーラント材が流入することにより、空気圧の減少を抑制し、走行を維持することを可能にするものである。
シーラント層10は、例えば0.5mm~5.0mmの厚さを有する。この程度の厚さを有することで、シール性を良好に確保しながら、走行時のシーラントの流動を抑制することができる。また、シーラント層10をタイヤ内面に貼付する際の加工性も良好になる。シーラント層10の厚さが0.5mm未満であると充分なシール性を確保することが難しくなる。シーラント層10の厚さが5.0mmを超えるとタイヤ重量が増加して転がり抵抗が悪化する。尚、シーラント層10の厚さとは平均厚さである。
シーラント層10は、加硫済みの空気入りタイヤの内面に後から貼り付けることで形成することができる。例えば、後述のシーラント材組成物からなりシート状に成型されたシーラント材をタイヤ内表面の全周に亘って貼付したり、後述のシーラント材組成物からなり紐状または帯状に成型されたシーラント材をタイヤ内表面に螺旋状に貼付することでシーラント層10を形成することができる。また、その際に、シーラント材組成物を加温することで、シーラント材組成物の性能のばらつきを抑えることができる。加温条件としては、温度を好ましくは140℃~180℃、より好ましくは160℃~180℃、加温時間を好ましくは5分~30分、より好ましくは10分~20分にするとよい。この空気入りタイヤの製造方法によれば、パンク時のシール性が良好であってシーラントの流動が生じ難い空気入りタイヤを、効率良く製造することができる。
シーラント層10は、走行時に釘等の異物が刺さる可能性がある領域、即ち、トレッド部1の接地領域に対応するタイヤ内面に設けられる。このように、タイヤ内面の広い範囲に設けられたシーラント層10では、シーラント材の流動はタイヤ幅方向の端部において顕著であるが、それだけではなく、タイヤ幅方向の全域において全体的な流動が生じる虞もある。これに対して、本発明のシーラント材組成物は、上述の配合によって、シール性と流動性とがバランスよく高度に両立されているので、高速走行時のシーラント材の流動、特に、全体的な流動についても効果的に抑制することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズ255/40R20で、図1に示す基本構造を有し、トレッド部におけるインナーライナー層のタイヤ径方向内側にシーラントからなるシーラント層を有する空気入りタイヤにおいて、シーラント層を構成するシーラント材組成物の組成を表1に記載のように調製した比較例1~3、実施例1~19のタイヤを製作した。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、シール性、シーラント材の流動性を評価し、その結果を表1~2に併せて示した。
シール性
各試験タイヤをリムサイズ20×9Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、初期空気圧を250kPaとし、荷重を8.5kNとし、直径4mmの釘をトレッド部に打ち込んだ後に、その釘を抜いた状態で1時間タイヤを静置した後の空気圧を測定した。評価結果は、以下の5段階で示した。
5:静置後の空気圧が240kPa以上かつ250kPa以下
4:静置後の空気圧が230kPa以上かつ240kPa未満
3:静置後の空気圧が220kPa以上かつ230kPa未満
2:静置後の空気圧が200kPa以上かつ220kPa未満
1:静置後の空気圧が200kPa未満
シーラントの流動性
試験タイヤをリムサイズ20×9Jのホイールに組み付けてドラム試験機に装着し、空気圧を220kPaとし、荷重を8.5kNとし、走行速度を100km/h、150km/h、200km/hの3段階とし、各速度で1時間ずつ走行し、各速度での走行後のシーラントの流動状態を調べた。評価結果は、走行前にシーラント層の表面に5mm方眼罫20×40マスの線を引き、走行後に形状が歪んだマスの個数を数えて、シーラントの流動が全く認められない場合(歪んだマスの個数が0個)を「○」で示し、歪んだマスの個数が全体の1/4未満である場合を「△」で示し、歪んだマスの個数が全体の1/4以上である場合を「×」で示した。
Figure 0007147690000001
Figure 0007147690000002
表1~2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・ハロゲン化IIR1:塩素化ブチルゴム、JSR社製CHLOROBUTYL1066
・ハロゲン化IIR2:臭素化ブチルゴム、JSR社製BROMOBUTYL2222
・非ハロゲン化IIR:JSR社製BUTYL065
・有機過酸化物:ジベンゾイルパーオキサイド、日本油脂社製ナイパーNS(1分間半減期温度:133℃)
・架橋剤1:硫黄、細井化学工業社製小塊硫黄
・架橋剤2:環状スルフィド、大内新興化学工業社製バルノックR
・架橋剤3:フェノール樹脂、DIC社製TD‐2620
・加硫促進剤1:チウラム系加硫促進剤、大内新興化学工業社製ノクセラーDM‐PO
・加硫促進剤2:グアニジン系加硫促進剤、大内新興化学工業社製ノクセラーD
・液状ポリマー1:液状ブチルゴム、ロイヤルエラストマー社製カレン800(分子量:36000)
・液状ポリマー2:パラフィンオイル、出光興産社製ダイアナプロセス PW‐380(分子量:1500)
・液状ポリマー3:パラフィンオイル、出光興産社製ダイアナプロセス K‐350(分子量:800)
表1~2から明らかなように、実施例1~19の空気入りタイヤは、シール性を良好に発揮しながら、シーラントの流動を抑制した。特に、高速走行時においても、シーラントの流動を効果的に抑制することができた。
一方、比較例1は、シーラント材組成物が塩素化ブチルゴムを含まないため、高速走行時におけるシーラントの流動性が悪化した。比較例2は、有機過酸化物の配合量が少ないため、シール性が悪化した。比較例3は、架橋剤を含まないため、すべての速度条件において流動性が悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 インナーライナー層
10 シーラント層
CL タイヤ赤道

Claims (9)

  1. 空気入りタイヤの内表面に配置されたシーラント層を構成するシーラント材組成物であって、塩素化ブチルゴムを含むゴム成分100質量部に対して、有機過酸化物1質量部~40質量部、架橋剤0.1質量部~40質量部が配合されたことを特徴とするシーラント材組成物。
  2. 前記ゴム成分が前記塩素化ブチルゴム以外の他のハロゲン化ブチルゴムを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシーラント材組成物。
  3. 前記架橋剤が硫黄成分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシーラント材組成物。
  4. ゴム成分100質量部に対して、液状ポリマー50質量部~400質量部が配合されたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のシーラント材組成物。
  5. 前記液状ポリマーがパラフィンオイルであることを特徴とする請求項4に記載のシーラント材組成物。
  6. 前記パラフィンオイルの分子量が800以上であることを特徴とする請求項5に記載のシーラント材組成物。
  7. 加硫促進剤を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のシーラント材組成物。
  8. 前記加硫促進剤がチウラム系の加硫促進剤であることを特徴とする請求項7に記載のシーラント材組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載のシーラント材組成物からなる前記シーラント層を備えたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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