JP7146726B2 - 鞍乗り型車両 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗り型車両に関する。
従来、斜板式ピストンポンプ・モータを利用して、駆動力の分配や駆動力のアシストを行う駆動装置及び車両の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
車両の駆動源として、主にエンジンを想定しているが、電動機を用いることも開示されている。
特許第5443373号公報
自動二輪車は、ブレーキ力の前後配分により減速時の車体姿勢をコントロールすることがある。EV車両にて減速時に回生ブレーキによってより効率良くエネルギーを回収しつつ、車体姿勢のコントロールを妨げないようにしようとすると、前後輪にそれぞれ回生用の電気モータを搭載するなどの手法が必要である。
この場合、電気モータを前輪及び後輪の両方にそれぞれ搭載することによるコストアップが懸念される。
また、例えば、前輪によってより大きな回生を得ようとすると、より大型で高出力の電気モータが必要であるが、前輪に重量物である電気モータを設けることによる操縦性や乗り心地への影響が懸念される。また、引用文献1のように、動力伝達経路を断続する複数のクラッチを設けると、更なるコストアップや重量増、大型化を招くことになる。
本発明の目的は、小型・軽量・安価で、前後輪の駆動力配分及び回生ブレーキの設定自由度を増すことが可能なシステムを備える鞍乗り型車両を提供することにある。
鞍乗り型車両は、駆動用モータ(31)と、前記駆動用モータ(31)に接続されるサンギヤ(36)、後輪(16)との間で動力伝達が行われるキャリア(38)、前記サンギヤ(36)を囲むように配置されたリングギヤ(39)を備える遊星歯車機構(32)と、前記リングギヤ(39)との間で動力伝達が行われる第1斜板式ピストンポンプ・モータ(34)と、前記第1斜板式ピストンポンプ・モータ(34)に接続される第1油路(51)に設けられて前記第1油路(51)の作動油の流量を制御可能な制御弁(53)と、前記第1油路(51)に接続されるとともに前輪(13)との間で動力伝達が行われる第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)と、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角を変更可能とするアクチュエータ(47)と、前記第1斜板式ピストンポンプ・モータ(34)及び前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)のそれぞれを接続する第2油路(52)と、を備えることを特徴とする。
上記構成において、前記後輪(16)の駆動時に、前記第1油路(51)を閉塞するように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が0°になるように前記アクチュエータ(47)を制御しても良い。
また、上記構成において、前記前輪(13)及び前記後輪(16)の両方から駆動力を出力する際に、前記第1油路(51)が開放状態になるように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が0°よりも大きくなるように前記アクチュエータ(47)を制御しても良い。
また、上記構成において、前記後輪(16)での回生時に、前記第1油路(51)を閉塞するように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が0°になるように前記アクチュエータ(47)を制御しても良い。
また、上記構成において、前記前輪(13)及び前記後輪(16)での両輪回生時に、前記第1油路(51)が開放状態になるように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が前記前輪(13)の駆動時と反対側の方向に0°よりも大きくなるように前記アクチュエータ(47)を制御しても良い。
また、上記構成において、前記第1油路(51)と前記第2油路(52)との間にリリーフ弁(55,56)が設けられるようにしても良い。
鞍乗り型車両は、駆動用モータと、駆動用モータに接続されるサンギヤ、後輪との間で動力伝達が行われるキャリア、サンギヤを囲むように配置されたリングギヤを備える遊星歯車機構と、リングギヤとの間で動力伝達が行われる第1斜板式ピストンポンプ・モータと、第1斜板式ピストンポンプ・モータに接続される第1油路に設けられて第1油路の作動油の流量を制御可能な制御弁と、第1油路に接続されるとともに前輪との間で動力伝達が行われる第2斜板式ピストンポンプ・モータと、第2斜板式ピストンポンプ・モータの斜板の傾角を変更可能とするアクチュエータと、第1斜板式ピストンポンプ・モータ及び第2斜板式ピストンポンプ・モータのそれぞれを接続する第2油路と、を備えるので、本システムにより、小型・軽量・安価なシステムで前後輪の駆動力配分及び前後輪での回生の設定自由度を増すことができる。
上記構成において、後輪の駆動時に、第1油路を閉塞するように制御弁を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータの斜板の傾角が0°になるようにアクチュエータを制御するので、駆動用モータの出力を、損失を抑えつつ後輪に伝達することができる。
また、上記構成において、前輪及び後輪の両方から駆動力を出力する際に、第1油路が開放状態になるように制御弁を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータの斜板の傾角が0°よりも大きくなるようにアクチュエータを制御するので、前後輪駆動を安価で小型・軽量のシステムで可能とし、且つ前後輪の駆動力配分量の設定自由度を増すことができる。
また、上記構成において、後輪での回生時に、第1油路を閉塞するように制御弁を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータの斜板の傾角が0°になるようにアクチュエータを制御するので、後輪による回生を安価で小型・軽量のシステムで可能である。
また、上記構成において、前輪及び後輪での両輪回生時に、第1油路が開放状態になるように制御弁を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータの斜板の傾角が前輪の駆動時と反対側の方向に0°よりも大きくなるようにアクチュエータを制御するので、前後輪による回生を安価で小型・軽量のシステムで可能である。
また、上記構成において、第1油路と第2油路との間にリリーフ弁が設けられるので、走行中からの急ブレーキ時などに前後輪による回生を行う際、前輪側の第2斜板式ピストンポンプ・モータの斜板を傾斜させるときに、第2斜板式ピストンポンプ・モータ内の負荷が高まり過ぎて発生する急激な減速を抑制するため、リリーフ弁により第1油路と第2油路との差圧を吸収して第2斜板式ピストンポンプ・モータの負荷を減らして円滑な減速度制御を行うことが可能である。
自動二輪車及び自動二輪車に備える駆動・回生装置を示す模式図である。 後輪側駆動・回生装置を示す断面図である。 前輪側駆動・回生装置の第2斜板型ピストンポンプ・モータを示す断面図である。 前輪が取付けられた前輪側駆動・回生装置をフロントフォークに取付けた状態を示す断面図である。 後輪駆動時の駆動・回生装置の作用を示す作用図である。 前後輪駆動時の駆動・回生装置の作用を示す作用図である。 後輪回生時の駆動・回生装置の作用を示す作用図である。 前後輪回生時の駆動・回生装置の作用を示す作用図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、自動二輪車10及び自動二輪車10に備える駆動・回生装置20を示す模式図である。
自動二輪車10は、車体本体11、フロントフォーク12、前輪13、スイングアーム14、後輪16、駆動・回生装置20を備える鞍乗り型車両である。
車体本体11は、フレームで形成され、上部に乗員が座るシートが配置されている。フロントフォーク12は、車体本体11の前端部に操舵可能に取付けられ、上部にハンドル17が取付けられ、下端部に車軸を介して前輪13が支持されている。
スイングアーム14は、車体本体11の下部に前端部が上下揺動可能に取付けられ、後端部に車軸を介して後輪16が支持されている。
駆動・回生装置20は、前輪13、後輪16における駆動力の配分及び回生ブレーキの設定を行う。駆動・回生装置20は、後輪側駆動・回生装置25、前輪側駆動・回生装置26、接続油路27、制御装置28を備える。
後輪側駆動・回生装置25は、車体本体11又はスイングアーム14に設けられる。
後輪側駆動・回生装置25は、電気モータ31、遊星歯車機構32、減速機構33、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34を備える。
電気モータ31は、回転軸31aを備え、動力源又は発電機となり、制御装置28によって制御される。
遊星歯車機構32は、電気モータ31の回転軸31aとの間で動力が伝達される。
遊星歯車機構32は、回転軸31aに取付けられたサンギヤ36と、サンギヤ36に噛み合う複数のプラネタリギヤ37と、複数のプラネタリギヤ37をそれぞれ回転可能に支持するキャリア38と、複数のプラネタリギヤ37に内歯が噛み合うリングギヤ39とから構成される。
キャリア38の回転は、自動二輪車10の後輪16に、例えば、チェーンを介して伝えられる。電気モータ31を含む後輪側駆動・回生装置25は、車体側(車体本体11)に搭載されるため、車体後部のバネ下質量が軽減し、乗り心地を向上できる。
なお、キャリア38の回転軸が後輪16の車軸に直接接続されて、キャリア38の回転を後輪16に伝えても良い。
リングギヤ39は、外周部に外歯を備え、外歯は、減速機構33に接続される。
減速機構33は、遊星歯車機構32との間で減速又は増速される。減速機構33は、リングギヤ39の外歯に噛み合う第1ギヤ41と、第1ギヤに噛み合う第2ギヤ42とを備える。第2ギヤ42は、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34の回転軸73に取付けられ、減速機構33と第1斜板型ピストンポンプ・モータ34との間で動力が伝達される。
上記した遊星歯車機構32及び減速機構33は、図示せぬハウジングに収容され、ハウジングに、キャリア38の回転軸、リングギヤ39自体又はリングギヤ39の回転軸、第1ギヤ41の回転軸がそれぞれ回転可能に支持される。
前輪側駆動・回生装置26は、フロントフォーク12の下部に設けられ、前輪13との間で動力が伝達される第2斜板型ピストンポンプ・モータ44と、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44に備える斜板92の傾角を調整する斜板傾角調整装置45とを備える。
第2斜板型ピストンポンプ・モータ44は、斜板92の傾角を変更することで作動油の吐出流量又は吸込み流量を変更可能な可変容量型のものであり、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34と接続油路27で接続されている。
斜板傾角調整装置45は、斜板92から延びるアーム部92bに連結するリンク46と、リンク46に連結されて斜板92をリンク46を介して駆動する斜板用アクチュエータ47とを備える。斜板用アクチュエータ47の作用については、後で詳述する。
接続油路27は、後輪側駆動・回生装置25と前輪側駆動・回生装置26とを接続する第1油路51及び第2油路52を備え、後輪側駆動・回生装置25と前輪側駆動・回生装置26との間の作動油の循環を行う。また、接続油路27は、第1油路51の途中に設けられる流量制御弁53と、第1油路51及び第2油路52のそれぞれを接続する第1リリーフ弁55及び第2リリーフ弁56とを備える。
流量制御弁53は、作動油の流量を連続的に制御可能なリニアソレノイド型のものであり、流量制御弁53の作用については、後で詳述する。
第1リリーフ弁55及び第2リリーフ弁56は、第1油路51及び第2油路52の一方の圧力が所定値を越えたときに第1油路51及び第2油路52の他方に作動油を排出させて圧力を所定値に保持する。第1リリーフ弁55は、第1油路51から第2油路52への作動油の流れを許容する。第2リリーフ弁56は、第2油路52から第1油路51への作動油の流れを許容する。
上記した斜板用アクチュエータ47及び流量制御弁53は、制御装置28によって制御される。
制御装置28には、スロットル操作量、前輪ブレーキ入力、後輪ブレーキ入力及び車体姿勢が入力される。
スロットル操作量は、ハンドル17に設けられたスロットルグリップの回動量、あるいはスロットルグリップにケーブルを介して連結されたスロットルボディのスロットルバルブの開度である。スロットルグリップの回動量又はスロットルバルブの開度は、回転センサ又は開度センサにて検出されて入力信号として制御装置28に入力され、電気モータ31の出力の制御に利用される。
前輪ブレーキ入力及び後輪ブレーキ入力は、例えば、前輪ブレーキ装置に備えるブレーキレバーや後輪ブレーキ装置に備えるブレーキペダルの操作力、あるいは、この操作力を伝達する流体(ブレーキ液)の圧力である。ブレーキレバーやブレーキペダルの操作力、流体の圧力は、荷重センサや圧力センサにて検出されて入力信号として制御装置28に入力され、ライダーの制動要求に基づいて回生量を調整する際に利用される。
車体姿勢は、IMU(慣性計測装置:Inertial Measurement Unit)にて検出される前後、上下、左右方向の加速度、ロールレート、ピッチレート、ヨーレイト及び、それらから算出される値(バンク角、ピッチ角)である。これらの値は、入力信号として制御装置28に入力され、例えばコーナリング時などに車体のバンク角が大きい場合でもスムーズに走行できるように回生量を調整するために利用される。
制御装置28は、前輪制動力出力制御装置57及び後輪制動力出力制御装置58に接続される。
通常、前輪及び後輪の制動力出力装置は、ブレーキレバー、ブレーキペダルの入力量(操作力)に応じた制動力を発生させる。ブレーキレバー、ブレーキペダルの入力量は、流体の圧力(ブレーキ液圧)に変換され、ブレーキキャリパとブレーキディスクとによって構成される制動力出力装置(ディスクブレーキ)の場合は、操作によりブレーキキャリパ内のピストンがブレーキパッドを押すことでブレーキパッドがブレーキディスクを挟み込み、制動力を発生させる。
この制動力を制御するものが、前輪制動力出力制御装置57及び後輪制動力出力制御装置58である。前輪制動力出力制御装置57及び後輪制動力出力制御装置58は、例えば、流体圧(ブレーキ液圧)をピストンやポンプを用いて加圧又は減圧することにより、制御装置28によって要求された減速度を満足させる制動力を出力する。
制御装置28による駆動・回生装置20の作用については、後で詳述する。
図2は、後輪側駆動・回生装置25を示す断面図である。
電気モータ31は、ハウジング61と、ハウジング61に一対のベアリング62を介して回転可能に支持された回転軸31aと、回転軸31aに取付けられたロータ31bと、ロータ31bを囲むようにハウジング61に設けられたステータ31cとを備える。
ハウジング61は、有底筒状のハウジング本体61Aと、ハウジング本体61Aの開口を塞ぐとともにハウジング本体61Aに取付けられたハウジングカバー61Bとからなる。ハウジング本体61Aの内周面にはステータ31cが固定され、ハウジング本体61A及びハウジングカバー61Bには、それぞれベアリング62が設けられている。なお、符号63はシール部材である。
ハウジング61内から外部に突出した回転軸31aの一端部には、サンギヤ36が取付けられている。
遊星歯車機構32は、プラネタリギヤ37をそれぞれ回転可能に支持する軸部材65と、複数の軸部材65が固定されたキャリア38とを備える。
キャリア38は、軸部材65が固定される円板部38aと、円板部38aの中心に設けられた軸部38bとを備え、軸部38bは、図示せぬハウジング(不図示)に回転可能に支持されている。また、軸部38bは、上記したハウジング内から外部に突出し、軸部38bの突出部分にドライブスプロケットが取付けられる。このドライブスプロケットと、後輪16(図4参照)に設けられたドリブンスプロケットとにはチェーンが掛け渡される。後輪16を駆動するときは、キャリア38から後輪16に動力が伝達され、後輪16により回生ブレーキを利用するときは、後輪16からキャリア38に動力が伝達される。
減速機構33の第1ギヤ41は、上記ハウジングに支持された軸部材67に回転可能に支持されている。
第1斜板型ピストンポンプ・モータ34は、ハウジング71、一対のベアリング72、回転軸73、シリンダブロック74、複数のピストン75、斜板76を備える。
ハウジング71には、一対のベアリング72を介して回転可能に回転軸73が支持されている。ハウジング71は、カップ状の第1ハウジング71Aと、第1ハウジング71Aの開口部を塞ぐとともに第1ハウジング71Aに取付けられた第2ハウジング71Bとからなる。なお、符号77はシール部材である。
第2ハウジング71Bには、一対の円弧状の一側溝部71d及び他側溝部71eと、一対の一側溝部71dに連通する一対の一側内部油路71fと、一対の他側溝部71eに連通する他側内部油路71gとが形成されている。
一側溝部71dは、第2ハウジング71Bの内面71cに形成されて隣り合う半数のシリンダ穴74aに連通している。他側溝部71eは、内面71cに形成されて隣り合う他の半数のシリンダ穴74aに連通している。
一側内部油路71f及び他側内部油路71gは、一側溝部71d及び他側溝部71eからそれぞれ第2ハウジング71Bの外周部まで延び、一側内部油路71fは、第1油路51に接続され、他側内部油路71gは、第2油路52に接続されている。
シリンダブロック74は、回転軸73に固定されて一体に回転するとともに第2ハウジング71Bの内面71cと摺動するように配置されている。複数のピストン75は、それぞれシリンダブロック74内に設けられた複数のシリンダ穴74aに移動可能に挿入されている。ここで、一方のピストン75をピストン75A、他方のピストン75をピストン75Bと識別する。
斜板76は、回転軸73よりも大径の内径を有する回転軸挿通穴76aと、回転軸73に直交する方向に対して傾斜した斜面76bとを備え、第1ハウジング71Aに固定されている。
複数のピストン75は、それぞれ弾性部材の付勢力で各一端部75cが斜面76bに常に当てられている、あるいは、複数のピストン75の各一端部75cは、斜面76bに常に当たるように保持部材で保持されている。
なお、複数のピストン75の各一端部75cを、摺動部材であるピストンシューを介して斜面76bに当たるようにしても良い。
上記後輪側駆動・回生装置25では、電気モータ31の回転軸31aの軸線31dと、遊星歯車機構32のサンギヤ36の軸線36aと、キャリア38の軸部38bの軸線38cとが一直線上に配置されている。即ち、電気モータ31と遊星歯車機構32とが同軸に配置されている。これにより、後輪側駆動・回生装置25をコンパクトに配置できる。
また、後輪側駆動・回生装置25では、扁平な遊星歯車機構32と減速機構33とは、上下方向に直線状に連なるように配置され、遊星歯車機構32及び減速機構33に対して、電気モータ31と第1斜板型ピストンポンプ・モータ34とは反対側に配置されるようにしたが、これに限らない。例えば、二点鎖線で第1斜板型ピストンポンプ・モータ34を示したように、電気モータ31と第1斜板型ピストンポンプ・モータ34とを、遊星歯車機構32及び減速機構33に対して同じ側に配置しても良い。これにより、後輪側駆動・回生装置25をよりコンパクトに配置でき、車体スペースを有効利用することができる。
以上に述べた第1斜板型ピストンポンプ・モータ34における後輪16の駆動時の作用を次に説明する。
電気モータ31を作動させると、回転軸31aと共にサンギヤ36が回転し、サンギヤ36が回転することで、複数のプラネタリギヤ37が自転するとともにサンギヤ36の周囲を公転する。これにより、複数のプラネタリギヤ37の公転によってキャリア38が回転し、後輪16に駆動力が発生する。
また、複数のプラネタリギヤ37の自転がリングギヤ39に伝わり、リングギヤ39の回転が、減速機構33の第1ギヤ41及び第2ギヤ42によって減速されて、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34の回転軸73に伝わる。
回転軸73が回転すると、回転軸73と一体にシリンダブロック74が回転し、これに伴って複数のピストン75A,75Bが、シリンダ穴74a内を往復動する。
詳しくは、ピストン75Aは、斜板76の斜面76bが第2ハウジング71Bに近づくにつれて次第に各シリンダ穴74a内の容積を減少させるように移動するため、シリンダ穴74a内の作動油は、一側溝部71dを介して一側内部油路71fに流出し、第1油路51に流れ込み、第1油路51内を第2斜板型ピストンポンプ・モータ44(図1参照)に向けて流れる。
また、ピストン75Bは、斜板76の斜面76bが第2ハウジング71Bから遠ざかるにつれて次第に各シリンダ穴74a内の容積を増加させるように移動するため、第2油路52内の作動油を、他側内部油路71gに流入させ、他側溝部71eを介してシリンダ穴74a内に取り込む。従って、第2油路52内の作動油は、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44側から第1斜板型ピストンポンプ・モータ34に向けて流れる。
図3は、前輪側駆動・回生装置26の第2斜板型ピストンポンプ・モータ44を示す断面図、図4は、前輪13が取付けられた前輪側駆動・回生装置26をフロントフォーク12に取付けた状態を示す断面図である。
図3に示すように、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44は、ハウジング81、一対の車軸支持部材82a,82b、車軸84、カラー86、一対のニードルベアリング87、シリンダブロック88、複数のピストン91、斜板92を備える。
ハウジング81には、一対の車軸支持部材82a,82bに支持された車軸84が貫通している。
ハウジング81は、開口部を一端に備えるとともに車軸支持部材82b側に配置された第1ハウジング81Aと、開口部を一端に備えるとともに車軸支持部材82a側に配置された第2ハウジング81Bとからなる。
一方の車軸支持部材82aは、車軸84を通す車軸挿通穴82cを備え、他方の車軸支持部材82bは、雌ねじ82dを備える。
車軸挿通穴82cには、後で説明する車軸84の軸部84aが通され、雌ねじ82dには、後で説明する車軸84の雄ねじ84cがねじ結合される。
車軸84は、ボルト状に形成され、軸部84aと、軸部84aの一端部に形成された頭部84bと、軸部84aの他端部に形成された雄ねじ84cとを備える。
車軸84の外周面には、ハウジング81内に配置された筒状のカラー86が嵌合している。また、カラー86の外周面には、一対のニードルベアリング87を介してシリンダブロック88が回転可能に支持されている。カラー86は、第1ハウジング81Aと第2ハウジング81Bとの距離を規定するものである。
なお、シリンダブロック88を支持するものとしては、上記した一対のニードルベアリング87に限らない。例えば、ローラーベアリング(ころ軸受)、プレインベアリング(滑り軸受)でも良い。
シリンダブロック88は、第1ハウジング81Aと第2ハウジング81Bとの間に回転可能に配置され、シリンダブロック88の一端面88aが第2ハウジング81Bの内面81cと摺動する。
シリンダブロック88は、車軸84に沿って延びる複数のシリンダ穴88bと、一対の第1ハウジング81A及び第2ハウジング81Bのそれぞれの間を半径方向外側に延びるホイール取付フランジ部88cとを備える。
ホイール取付フランジ部88cは、ホイール97(図4参照)を締結するボルトを通す複数のボルト挿通穴88dが開けられている。
一対の第1ハウジング81A及び第2ハウジング81Bと、ホイール取付フランジ部88cとの間には、一対のシール部材94が配置され、第1ハウジング81Aとホイール取付フランジ部88cとの間、及び第2ハウジング81Bとホイール取付フランジ部88cとの間がそれぞれシール部材94によって密封される。
複数のシリンダ穴88bには、それぞれピストン91が移動可能に挿入されている。ここで、一方のピストン91をピストン91A、他方のピストン91をピストン91Bと識別する。
第2ハウジング81Bには、内面81cに形成された一対の円弧状の一側溝部81d及び他側溝部81eと、一対の一側溝部81dに連通する一対の一側内部油路81fと、一対の他側溝部81eに連通する他側内部油路81gとが形成されている。
一側溝部81dは、第2ハウジング81Bの内面81cに形成されて隣り合う半数のシリンダ穴88bに連通している。他側溝部81eは、内面81cに形成されて隣り合う他の半数のシリンダ穴88bに連通している。
一側内部油路81f及び他側内部油路81gは、一側溝部81d及び他側溝部81eからそれぞれ第2ハウジング81Bの外周部まで延び、一側内部油路81fは、第2油路52に接続され、他側溝部81eは、第1油路51に接続されている。
斜板92は、カラー86に軸受(不図示)を介して図の上下方向に揺動可能に取付けられ、車軸84に直交する方向に対して傾斜可能な斜面92aと、ハウジング81の外部まで延びるアーム部92bとを備える。
複数のピストン91は、それぞれ弾性部材の付勢力で各一端部91cが斜面92aに常に当てられている、あるいは、複数のピストン91の各一端部91cは、斜面92aに常に当たるように保持部材で保持されている。
なお、複数のピストン91の各一端部91cを、摺動部材であるピストンシューを介して斜面92aに当たるようにしても良い。
図4に示すように、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44におけるシリンダブロック88のホイール取付フランジ部88cには、複数の締結部材96(ボルト96a及びナット96bからなる。)により、ホイール97と、前輪ディスクブレーキを構成するブレーキディスク98とが共締めされている。ホイール97と、ホイール97に装着されたタイヤ101とは、前輪13を構成する。
フロントフォーク12は、緩衝器である左右一対のフォークチューブ103と、左右のフォークチューブ103を接続するボトムブリッジ104とを備える。
左右のフォークチューブ103の下端部には、左右一対の車軸取付穴103a,103bが設けられ、左右の車軸取付穴103a,103bにそれぞれ車軸支持部材82a,82bが嵌合される。
車軸84は、一方のフォークチューブ103に設けられた車軸挿通穴103c、一方の車軸支持部材82a、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44を貫通し、他方の車軸支持部材82bにねじ結合される。第1ハウジング81Aは、一方の車軸支持部材82aと共に一方のフォークチューブ103に固定され、第2ハウジング81Bは、他方の車軸支持部材82bと共に他方のフォークチューブ103に固定される。
斜板傾角調整装置45の斜板用アクチュエータ47は、他方のフォークチューブ103に固定されている。斜板用アクチュエータ47は、アクチュエータ本体47aと、アクチュエータ本体47aに対して白抜き矢印で示すように下方に突出する又は上方に引き込まれるロッド47bとを備える。
ロッド47bの先端部にはリンク46の一端部が揺動可能に取付けられ、リンク46の他端部は、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44における斜板92のアーム部92bに揺動可能に連結されている。
以上に述べた前輪側駆動・回生装置26における前輪13の駆動時の作用を次に説明する。
図1において、流量制御弁53を開けるとともに第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜板92を傾けると、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34のシリンダブロック74(図2参照)が回転し始める。第1斜板型ピストンポンプ・モータ34は、第1油路51に作動油を吐出し、第2油路52から作動油を吸入する。
この結果、図3において、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44のピストン91Bは、シリンダブロック88のシリンダ穴88bに流入した作動油によって斜板92側に突出して斜面92aを押し付け、ピストン91Aは、シリンダ穴88bからの作動油の流出によってシリンダ穴88b内に引き込まれ、斜面92aを引っ張る。
これにより、ピストン91A及びピストン91Bの移動によってシリンダブロック88が回転し始める。即ち、図4に示した前輪13に駆動力が発生する。この状態で、制御装置28が、流量制御弁53の開度又は斜板92の斜面92aの傾角の少なくとも一方を変更することで、前輪13の駆動力を調整することができる。また、流量制御弁53を閉める、又は斜板92の斜面92aの傾斜(車軸84に直交する方向に対する傾斜)を無くすことで、前輪13に駆動力は発生しなくなる。
以上に述べた駆動・回生装置20の作用を次に説明する。
図5は、後輪駆動時の駆動・回生装置20の作用を示す作用図である。(なお、各構成品の符号については図1~図4も参照)
後輪側駆動・回生装置25の電気モータ31で後輪16のみを駆動するときには、制御装置28は、流量制御弁53に弁閉信号を送って流量制御弁53を閉める。更に、制御装置28は、斜板用アクチュエータ47に制御信号を送り、前輪側駆動・回生装置26の第2斜板型ピストンポンプ・モータ44における斜板92の斜面92aを、斜板用アクチュエータ47により車軸84に直交する方向に対する傾斜角度(傾角)0°の状態に保つ。即ち、車軸84に直交する方向に延びる直線110に対して斜面92aの傾角θをθ=0°にする。
これによって、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34は、作動油を第1油路51に吐出することができず、シリンダブロック74の回転は停止する。従って、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34に減速機構33を介して接続される遊星歯車機構32のリングギヤ39も回転する。図中の共線図(縦軸は回転数、横軸は、遊星歯車機構32のサンギヤ36、キャリア38、リングギヤ39を示している(以降の図においても同じ)。)に示すように、リングギヤ39は、回転数=0となり、電気モータ31の回転軸31aの回転(サンギヤ36の回転)は、キャリア38(後輪16)に分配される。
このように、遊星歯車機構32のリングギヤ39を停止させることで、電気モータ31の駆動力によって後輪16が駆動される。
前輪側駆動・回生装置26の第2斜板型ピストンポンプ・モータ44では、斜面92aの傾角が0°であるため、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の吐出量、吸入量はゼロとなる。つまり、前輪13が回転する際の第2斜板型ピストンポンプ・モータ44での抵抗が抑えられ、自動二輪車10の走行を妨げない。
図6は、前後輪駆動時の駆動・回生装置20の作用を示す作用図である。(なお、構成品の符号については図1~図4も参照)
後輪側駆動・回生装置25の電気モータ31で前輪13及び後輪16の両方を駆動するときには、制御装置28は、流量制御弁53に弁開信号を送り、流量制御弁53を開ける。更に、制御装置28は、斜板用アクチュエータ47に制御信号を送り、前輪側駆動・回生装置26における第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜板92を傾け、斜板92の斜面92aを、斜板用アクチュエータ47により車軸84に直交する方向に対する傾角を所定角度に傾斜した状態に保つ。即ち、直線110に対して斜面92aの傾角θをθ=θ1にする。
これによって、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34は、制御装置28が制御する流量制御弁53の開度に応じて作動油を吐出することができ、回転軸73を回転させることができる。この結果、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34に減速機構33を介して接続された遊星歯車機構32のリングギヤ39を回転させることができる。
つまり、電気モータ31を駆動すると、遊星歯車機構32は、キャリア38に加えてリングギヤ39も回転する差動機構として振る舞う。
なお、図中の矢印は、第1油路51及び第2油路52での作動油の流れの方向を示している。
電気モータ31のトルクは、流量制御弁53の開度に応じて、後輪16及び第1斜板型ピストンポンプ・モータ34に分配される。第1斜板型ピストンポンプ・モータ34で加圧された作動油は、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44に送られる。これにより、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44は、流体モータとして振る舞い、前輪13も駆動力を発生することができる。また、流量制御弁53の開度を変更することで、前輪13の駆動力を変更することができる。
即ち、流量制御弁53の開度に応じた前輪13と後輪16との駆動力の分配が可能となる。なお、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜板92の斜面92aの傾角を変更することで、前輪13の駆動力を変更することも可能である。
図中の共線図において、実線で示すようにリングギヤ39は、所定の回転数で回転し、電気モータ31の回転軸31aの回転(サンギヤ36の回転)は、キャリア38(後輪16)にも分配される。また、図中の共線図の破線及び一点鎖線のように、流量制御弁53の開度に応じてリングギヤ39の回転数は、白抜き矢印で示すように増減する。
図7は、後輪回生時の駆動・回生装置20の作用を示す作用図である。(なお、各構成品の符号については図1~図4も参照)
後輪16により回生ブレーキを利用する場合には、制御装置28は、流量制御弁53に弁閉信号を送り、流量制御弁53を閉める。更に、制御装置28は、斜板用アクチュエータ47に制御信号を送り、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜板92の斜面92aを、傾角0°の状態に保つ。即ち、直線110に対して斜面92aの傾角θをθ=0°にする。
これによって、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34は、作動油を第1油路51に吐出することができず、シリンダブロック74の回転は停止する。従って、遊星歯車機構32のリングギヤ39も停止する。
車両減速時には、遊星歯車機構32は、後輪16の回転がキャリア38へ入力されることによってサンギヤ36が回転する増速機構として振る舞う。増速された回転運動は、電気モータ31の回転軸31aを回転させるため、電気モータ31は、発電機として振る舞う。これにより、後輪16の制動時に使われた減速エネルギーが回生される。
図中の共線図に示すように、リングギヤ39は、回転数=0となり、サンギヤ36の回転(電気モータ31の回転軸31aの回転)は、キャリア38の回転(後輪16の回転)によって増速され、その分、発電される。
なお、上記した減速エネルギーの回生量は、後述する前後輪回生時にも言えることであるが、ブレーキ操作に応じて増減されるとともに、回生量の不足分や微細なコントロール分は、昇圧・減圧可能なブレーキシステムにより調整されて、ブレーキ操作者(ライダー)の違和感を低減する他、急制動等で大きな制動力を要する場合にも確実に制動することができる。
また、前輪13側の第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜面92aの傾角が0°であるため、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44における作動油の吐出量又は吸入量はゼロとなる。つまり、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44での抵抗が抑えられ、自動二輪車10の走行を妨げない。なお、後輪16のブレーキ操作のみで前輪13にも制動を行ういわゆるCBS(Combined Brake System)として利用する場合は、後述する前後輪回生時と同様の振る舞いとなる。
図8は、前後輪回生時の駆動・回生装置20の作用を示す作用図である。(なお、各構成品の符号については図1~図4も参照)
前輪13及び後輪16の両方により回生ブレーキを利用する場合には、制御装置28は、流量制御弁53に弁開信号を送り、流量制御弁53を開ける。更に、制御装置28は、斜板用アクチュエータ47に制御信号を送り、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜板92を傾け、斜板92の斜面92aを、前輪駆動時とは反対方向に所定角度傾斜した状態に保つ。即ち、直線110に対して斜面92aの傾角θをθ=-θ2にする。
第2斜板型ピストンポンプ・モータ44には、前輪13が回転することで作動油を第1油路51に吐出する作動油力が発生する。即ち、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44は、流体ポンプとして振る舞う。このとき、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の作動油の吐出方向は、前輪13及び後輪16の駆動時とは逆方向となる。なお、図中の矢印は、第1油路51及び第2油路52での作動油の流れの方向を示している。
上記した作動油力によって、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34が駆動され、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34は、流体モータとして振る舞う。このとき、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34の作動油の吐出方向は、前輪13及び後輪16の駆動時とは逆方向となり、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34の回転軸73は、前輪13及び後輪16の駆動時に対して逆回転する。
この第1斜板型ピストンポンプ・モータ34の回転軸73の回転により、図中のグラフに実線で示すように、遊星歯車機構32のリングギヤ39に逆方向の回転が発生し、遊星歯車機構32のサンギヤ36の回転数(電気モータ31の回転軸31aの回転数)は増速する。
更に、キャリア38が後輪16の回転によって強制的に回転させられるため、これによっても、サンギヤ36の回転数(電気モータ31の回転軸31aの回転数)は増速する。このとき、遊星歯車機構32は、後輪16側のキャリア38のトルクと、前輪13側のリングギヤ39のトルクとの差を許容しながらサンギヤ36を回転させる差動機構として振る舞う。また、増速したサンギヤ36の回転により、電気モータ31は、発電機として振る舞う。これにより、前輪13及び後輪16の制動時に使われた減速エネルギーが回生される。
図中の共線図の破線及び一点鎖線のように、流量制御弁53の開度、及び第2斜板型ピストンポンプ・モータ44における斜板92の斜面92aの傾角の少なくとも一方の調整に応じて、リングギヤ39の回転数は白抜き矢印で示すように増減し、電気モータ31での回生量を変更することができ、詳しくは、前輪13による回生量と後輪16による回生量との割合も変更することができる。
なお、前輪13のみのブレーキ操作であっても、後輪16にエンジンブレーキ相当の減速力を付与することから、上記2つのパターン(後輪回生時、前後輪回生時)にて、結果としてライダーの前輪ブレーキ、後輪ブレーキ、同時ブレーキの全ての場合に対し、回生を行うことができる。
車両の走行中からの急ブレーキ時などに前輪13及び後輪16での回生を行う際、前輪13側の第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜板92を傾斜させるが、そのときに、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44内(場合によっては、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34内も含む)の作動油の圧力等の負荷が過度に高くなって急激な減速度が発生するのを抑制する必要がある。
本実施形態では、第1リリーフ弁55及び第2リリーフ弁56によって第1油路51と第2油路52との差圧を吸収して、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34及び第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の負荷を減らすことで車両の円滑な減速度制御を行うことが可能である。
上記の図1に示したように、鞍乗り型車両としての自動二輪車10に備える駆動・回生装置20は、駆動用モータとしての電気モータ31と、電気モータ31に接続されるサンギヤ36、後輪16との間で動力伝達が行われるキャリア38、及びサンギヤ36を囲むように配置されたリングギヤ39を備える遊星歯車機構32と、リングギヤ39との間で動力伝達が行われる第1斜板式ピストンポンプ・モータ34と、第1斜板式ピストンポンプ・モータ34に接続される第1油路51に設けられて第1油路51の作動油の流量を制御可能な制御弁としての流量制御弁53と、第1油路51に接続されるとともに前輪13との間で動力伝達が行われる第2斜板式ピストンポンプ・モータ44と、第2斜板式ピストンポンプ・モータ44の斜板92の傾角を変更可能とするアクチュエータとしての斜板用アクチュエータ47と、第1斜板式ピストンポンプ・モータ34及び第2斜板式ピストンポンプ・モータ44のそれぞれを接続する第2油路52と、を備える。
この構成によれば、本システム(駆動・回生装置20)により、小型・軽量・安価なシステムで前輪13及び後輪16の駆動力配分及び前輪13及び後輪16での回生の設定自由度を増すことができる。
また、図1及び図5に示したように、後輪16の駆動時に、第1油路51を閉塞するように流量制御弁53を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータ44の斜板92の傾角が0°になるように斜板用アクチュエータ47を制御する。
この構成によれば、電気モータ31の出力を、損失を抑えつつ後輪16に伝達することができる。
また、図1及び図6に示したように、前輪13及び後輪16の両方から駆動力を出力する際に、第1油路51が開放状態になるように流量制御弁53を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータ44の斜板92の傾角が0°よりも大きくなるように斜板用アクチュエータ47を制御する。
この構成によれば、前輪13及び後輪16の駆動を安価で小型・軽量のシステムで可能とし、且つ前輪13及び後輪16の駆動力配分量の設定自由度を増すことができる。
また、図1及び図7に示したように、後輪16での回生時に、第1油路51を閉塞するように流量制御弁53を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータ44の斜板92の傾角が0°になるように斜板用アクチュエータ47を制御する。
この構成によれば、後輪16による回生を安価で小型・軽量のシステムで可能である。
また、図1及び図8に示したように、前輪13及び後輪16での両輪回生時に、第1油路51が開放状態になるように流量制御弁53を制御するとともに、第2斜板式ピストンポンプ・モータ44の斜板92の傾角が、前輪13の駆動時(図6参照)と反対側の方向に0°よりも大きくなるように斜板用アクチュエータ47を制御する。
この構成によれば、前輪13及び後輪16による回生を安価で小型・軽量のシステムで可能である。
また、図8に示したように、第1油路51と第2油路52との間にリリーフ弁としての第1リリーフ弁55及び第2リリーフ弁56が設けられる。
この構成によれば、車両の走行中からの急ブレーキ時などに前輪13及び後輪16による回生を行う際、前輪13側の第2斜板式ピストンポンプ・モータ44の斜板92を傾斜させるときに、第2斜板式ピストンポンプ・モータ44内の負荷が高まり過ぎて発生する急激な減速を抑制するため、第1リリーフ弁55及び第2リリーフ弁56により第1油路51と第2油路52との差圧を吸収して第2斜板式ピストンポンプ・モータ44の負荷を減らして円滑な減速度制御を行うことが可能である。
また、図2に示したように、後輪側駆動・回生装置25では、遊星歯車機構32と減速機構33とは、直線状に連なるように配置され、遊星歯車機構32及び減速機構33に対して、電気モータ31と第1斜板型ピストンポンプ・モータ34とは同じ側に配置される。
この構成によれば、後輪側駆動・回生装置25をよりコンパクトに配置でき、車体スペースを有効利用することができる。
また、図3及び図4に示したように、シリンダブロック88は、一対の第1ハウジング81A及び第2ハウジング81Bのそれぞれの間を半径方向外側に延びるホイール取付フランジ部88cを備え、ホイール取付フランジ部88cに、前輪13に備えるホイール97が締結される。
この構成によれば、前輪13を簡単な構成で駆動可能とすることができて、部品数を削減することができ、コスト低減を図ることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図2に示したように、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34の斜板76の傾角を固定したが、これに限らない。第1斜板型ピストンポンプ・モータ34を可変容量型として、斜板76を回転軸73に対して傾斜可能に設け、斜板76の斜面76bの傾角を変更可能としても良い。この場合、流量制御弁53は設けなくても良い。また、第1斜板型ピストンポンプ・モータ34の傾斜可能な斜板76を駆動するアクチュエータは、第2斜板型ピストンポンプ・モータ44の斜板用アクチュエータ47と同様に制御装置28で制御するようにしても良い。
また、電気モータ31を、車体後部のバネ下、すなわちスイングアーム14や後輪16のホイールのハブ部に配置しても良い。これにより、車体のスペース確保が容易になり、例えば、回生された電気エネルギーを蓄えるバッテリをより多くの車体に搭載したり、バッテリの積載性を向上させたりすることができる。バッテリ以外の車載品についても同様である。
また、図2に示したように、電気モータ31との回転軸31aに遊星歯車機構32を一体的に配置したが、これに限らず、遊星歯車機構32を電気モータ31と分けて配置しても良い。これにより、電気モータ31及び遊星歯車機構32の車体へのレイアウト自由度を増すことができる。
また、本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
13 前輪
16 後輪
31 電気モータ(駆動用モータ)
32 遊星歯車機構
34 第1斜板型ピストンポンプ・モータ
36 サンギヤ
38 キャリア
39 リングギヤ
44 第2斜板型ピストンポンプ・モータ
47 斜板用アクチュエータ(アクチュエータ)
51 第1油路
52 第2油路
53 流量制御弁(制御弁)
55 第1リリーフ弁(リリーフ弁)
56 第2リリーフ弁(リリーフ弁)
92 斜板

Claims (6)

  1. 駆動用モータ(31)と、
    前記駆動用モータ(31)に接続されるサンギヤ(36)、後輪(16)との間で動力伝達が行われるキャリア(38)、前記サンギヤ(36)を囲むように配置されたリングギヤ(39)を備える遊星歯車機構(32)と、
    前記リングギヤ(39)との間で動力伝達が行われる第1斜板式ピストンポンプ・モータ(34)と、
    前記第1斜板式ピストンポンプ・モータ(34)に接続される第1油路(51)に設けられて前記第1油路(51)の作動油の流量を制御可能な制御弁(53)と、
    前記第1油路(51)に接続されるとともに前輪(13)との間で動力伝達が行われる第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)と、
    前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角を変更可能とするアクチュエータ(47)と、前記第1斜板式ピストンポンプ・モータ(34)及び前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)のそれぞれを接続する第2油路(52)と、
    を備えることを特徴とする鞍乗り型車両。
  2. 前記後輪(16)の駆動時に、前記第1油路(51)を閉塞するように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が0°になるように前記アクチュエータ(47)を制御することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
  3. 前記前輪(13)及び前記後輪(16)の両方から駆動力を出力する際に、前記第1油路(51)が開放状態になるように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が0°よりも大きくなるように前記アクチュエータ(47)を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両。
  4. 前記後輪(16)での回生時に、前記第1油路(51)を閉塞するように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が0°になるように前記アクチュエータ(47)を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
  5. 前記前輪(13)及び前記後輪(16)での両輪回生時に、前記第1油路(51)が開放状態になるように前記制御弁(53)を制御するとともに、前記第2斜板式ピストンポンプ・モータ(44)の斜板(92)の傾角が前記前輪(13)の駆動時と反対側の方向に0°よりも大きくなるように前記アクチュエータ(47)を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
  6. 前記第1油路(51)と前記第2油路(52)との間にリリーフ弁(55,56)が設けられることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗り型車両。
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