JP7146517B2 - 電源装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、周波数検知回路を搭載した電源装置及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置は、記録材上に転写されたトナー像を加熱して記録材に定着させたり、トナー像に光沢を付与したりするための定着装置を備えている。定着装置では、所定の温度に維持された加熱体と、加熱体を圧接する加圧部材によって形成されるニップ部に、被加熱材としての記録材を導入し、記録材を挟持搬送しつつ加熱する方式が用いられている。特にフィルム加熱方式の定着装置では、定着装置の加熱体として、セラミックス等の基板上に抵抗発熱体を設けたヒータが一般的に用いられている。定着装置に電力を供給する際の制御方法として、双方向サイリスタ等のスイッチ素子を用いて制御する方法が用いられている。画像形成装置の電源装置には、商用交流電源の電源周波数を検知する周波数検知回路が搭載され、定着装置への供給電力を周波数検知回路が生成する周波数検知信号に合わせて制御することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
定着装置への電力供給の制御には、位相制御や波数制御等が用いられる。位相制御や波数制御等による定着装置のヒータへの電力制御において、高調波電流やフリッカが生じる。そこで、高調波電流やフリッカを低減させるため、商用交流電源の100V系電圧(例えば、100V~127V)と200V系電圧(例えば、200V~240V)とで、定着装置のヒータの抵抗値を変えることが一般的である。
特開2010-26446号公報
しかしながら、商用交流電源から入力される交流電圧が想定される所定電圧よりも高い電圧、例えば入力電圧として100V系電圧を想定していたところ、220V電圧が入力されたような場合には、定着装置に過大な電力が供給されることになる。その結果、定着装置の加熱体及び加圧部材が異常昇温して、故障してしまうおそれがある。過大な電力が供給された場合でも定着装置を故障させないようにするためには、加熱体及び加圧部材に耐熱温度の高い部材を用いる必要があり、コストアップという課題が生じることになる。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、入力電圧が所定の電圧よりも高い場合には、定着装置への電力供給を遮断することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
(1)交流電源から入力された交流電圧を定着装置のヒータに供給する電源装置であって、前記交流電源から前記交流電圧が入力される第一のライン及び第二のラインに接続され、前記交流電圧周波数に関する信号を出力する周波数検知手段と、前記交流電源と前記周波数検知手段及び前記ヒータとを接続又は遮断するスイッチ手段と、前記周波数検知手段から出力される前記信号に基づいて、前記交流電源から入力される前記交流電圧を検知し、検知結果に応じて前記スイッチ手段を制御する制御手段と、を備え、前記周波数検知手段は、前記第一のラインの電圧が第一の閾値電圧よりも低い場合、第一のレベルの信号を出力し、前記第一のラインの電圧が前記第一の閾値電圧よりも高い第二の閾値電圧よりも低く、かつ前記第一の閾値電圧以上である場合、前記第一のレベルとは異なる第二のレベルの信号を出力し、前記第一のラインの電圧が前記第二の閾値電圧以上である場合、前記第一のレベルの信号を出力することを特徴とする電源装置。
(2)記録材に画像形成を行う画像形成手段と、前記(1)に記載の電源装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
(3)記録材に画像形成を行う画像形成手段と、前記(1)に記載の電源装置と、前記画像形成手段を制御するコントローラと、を備え、前記制御手段は、前記コントローラであることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、入力電圧が所定の電圧よりも高い場合には、定着装置への電力供給を遮断することができる。
実施例1、2の画像形成装置の構成を示す概略断面図 実施例1の電源装置の構成を示す回路図 実施例1の入力交流電圧及びゼロクロス検知信号の波形を説明する図 実施例1の交流電圧の周波数を検知する制御シーケンスを示すフローチャート 実施例2の電源装置の構成を示す回路図 実施例2の入力交流電圧及び周波数検知信号の波形を説明する図 実施例2の交流電圧の周波数を検知する制御シーケンスを示すフローチャート
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。上述した課題を解決するための本発明の具体的な構成について、実施例に基づき説明する。なお、以下に示す実施例は一例であって、この発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[画像形成装置]
図1は、後述する電源装置を適用可能な、電子写真方式の記録技術を用いた画像形成装置の構成を示す概略断面図である。画像形成手段であるプロセスカートリッジ15は、帯電ローラ16、現像ローラ17、クリーナー18、及び電子写真感光体である感光ドラム19を有し、一体的に着脱可能に構成されている。感光ドラム19は、帯電ローラ16によって表面を一様に帯電された後、スキャナユニット21により画像信号に基づいた露光が行われ、感光ドラム19上に静電潜像が形成される。スキャナユニット21内のレーザダイオード22から出射されるレーザ光は、回転する回転多面鏡23及び反射ミラー24を経て、感光ドラム19の表面を走査し、感光ドラム19の表面上に静電潜像を形成する。感光ドラム19上の静電潜像は、現像ローラ17によってトナー像として可視化される。
給紙カセット11に積載された記録材は、ピックアップローラ12によって1枚ずつ給紙カセット11から給紙され、給紙ローラ13によってレジストレーションローラ14に搬送される。そして、レジストレーションローラ14は、予め定められたタイミングで、記録材を転写ローラ20へと搬送する。感光ドラム19上のトナー像は、転写ローラ20によって、記録材に転写される。続いて、トナー像が転写された記録材は、定着装置100に搬送される。定着装置100では、記録材は加熱処理及び加圧処理が行われ、記録材上の未定着トナー像は記録材に定着される。その後、トナー像が定着された記録材は、中間排出ローラ26、排出ローラ27によって画像形成装置外に排出され、一連のプリント動作が終了する。なお、モータ30は、定着装置100を含む、画像形成装置内の各ユニットに駆動力を供給している。
定着装置100では、後述する入力交流電圧が0ボルトとなるゼロクロスタイミングに基づき、双方向サイリスタ(以下、トライアックという)等の半導体スイッチをオン・オフすることにより、交流電源から定着装置100に供給される電力が制御される。なお、供給電力の制御は、後述するCPU501(図2参照)により行われる。コントローラであるCPU501は、不図示のROM、RAMを有している。CPU501は、RAMを作業領域として使用しながら、ROMに記憶された各種プログラムを実行することにより、プロセスカートリッジ15や定着装置100等の画像形成装置各部を制御する。また、CPU501は、時間の計測手段であるタイマを有している。
電源装置200は、画像形成装置が備える電源装置であり、電源ケーブル50を介して、外部電源40(例えば商用交流電源)と接続されている。電源装置200には、外部電源40から交流電圧が入力される。電源装置200は、画像形成装置における駆動部としてのモータ30や、各ユニットに電力を供給する。なお、以下に説明する電源装置200が適用される装置としては、上述した画像形成装置に限らず、ゼロクロスタイミングの検知結果を用いて制御を行う装置であれば、その他の電子機器にも適用可能である。
[電源装置]
図2は、本実施例の電源装置200の構成を示す回路図である。電源装置200は、AC/DCコンバータ部、定着装置駆動回路部、ゼロクロス検知回路400を有している。以下では、各部の構成について説明する。
<AC/DCコンバータ部>
電源装置200にはインレット201が設けられており、インレット201を介して電源装置200に外部電源(例えば商用交流電源)40から交流電圧が入力される構成となっている。外部電源40は、第一のラインであるLIVEライン(以下、ライブラインという)と、第二のラインであるNEUTRALライン(以下、ニュートラルラインという)との間に交流電圧を出力している。外部電源40から電源装置200に供給される交流電圧は、入力フィルタ回路202を経由して整流ダイオードブリッジ203で、正弦波形の交流電圧から負電圧(-)側の電圧波形が正電圧(+)側に折り返された脈流の電圧波形へ整流される。そして、その脈流波形の電圧出力は平滑回路であるコンデンサ204によって平滑され、交流電圧の正弦波形のピーク値とほぼ等しい直流電圧となる。コンデンサ204で平滑された直流電圧は、プラス(+)端子よりトランス205の一次巻線に入力され、更にスイッチング素子である電界効果トランジスタ(以下、FETという)206を介して、マイナス(-)端子へと帰還する。制御回路207は、FET206のオン/オフのタイミングを制御する。制御回路207には、トランス205の補助巻線に生成される電圧が駆動電圧として供給される。トランス205の二次側には、二次側整流回路208が設けられ、トランス205の二次巻線に生成された電圧は、二次側整流回路208で所定の電圧に平滑されて、電源装置200に接続された負荷209に出力される。また、二次側整流回路208の出力電圧は、出力検知回路210に入力される。出力検知回路210は、二次側整流回路208の出力電圧に基づいて、出力電圧の検知結果を、一次側-二次側を絶縁する素子(例えばフォトカプラ)(不図示)を介して、一次側の制御回路207に出力する。制御回路207は、出力検知回路210の検知結果に基づいて、二次側整流回路208から所定の電圧が出力されるように、FET206のオン/オフのタイミングを制御する。
<定着装置駆動回路部>
続いて定着装置100を駆動する駆動回路部について説明する。駆動回路部は、定着装置100への電力供給路の接続・遮断を行う接続制御部と、定着装置100への電力供給量を制御する供給量制御部を有している。
供給量制御部は、スイッチ部であるトライアック301、フォトトライアックカプラ304、トランジスタ306、抵抗302、303、305、307を有している。本実施例では、外部電源40から入力される交流電圧を、定着装置100の熱源であるセラミックヒータ101(以下、ヒータ101という)へ供給することにより、ヒータ101を発熱させる。ヒータ101への電力供給は、トライアック301のオン・オフを行うことより制御される。抵抗302、303は、トライアック301用に設けられているバイアス抵抗である。また、フォトトライアックカプラ304は一次、二次間の沿面距離を確保するためのデバイスであり、フォトトライアックカプラ304の発光ダイオードを導通状態に設定することで、トライアック301を介して定着装置100に電力を供給することができる。抵抗305は、フォトトライアックカプラ304の発光ダイオードの電流を制限するための制限抵抗である。フォトトライアックカプラ304は、フォトトライアックカプラ304を駆動するトランジスタ306のオン・オフ状態に応じて、オン・オフが切り換えられる。また、トランジスタ306のベース端子には、抵抗307を介して、CPU501からON/OFF1信号が入力される。トランジスタ306は、ON/OFF1信号がハイ(high)レベルのときにはオンし、ロー(low)レベルのときにはオフする。
接続制御部は、スイッチ手段であるリレー310、トランジスタ311、抵抗312を有している。外部電源40から定着装置100への電力供給は、外部電源40から定着装置100への電力供給路に設けられ、電力供給路の接続制御を行うリレー310によって制御される。リレー310による電力供給路の接続、遮断は、リレー310を駆動するトランジスタ311のオン・オフにより制御される。すなわち、トランジスタ311がオン状態のときにはリレー310はオンされ、電力供給路が接続され、トランジスタ311がオフ状態のときにはリレー310はオフされ、電力供給路は遮断される。また、トランジスタ311のベース端子には、抵抗312を介して、CPU501からON/OFF2信号が入力される。トランジスタ311は、ON/OFF2信号がハイレベルのときにはオンし、ローレベルのときにはオフする。本実施例では、リレー310を用いているが、例えばバリスタを用いてもよい。
ヒータ101に電力を供給する場合には、CPU501は、ハイレベルのON/OFF2信号を出力し、トランジスタ311をオンする。トランジスタ311がオン状態になると、リレー310がオンされ、外部電源40から定着装置100への電力供給路が接続される。続いて、CPU501は、ハイレベルのON/OFF1信号を出力し、トランジスタ306をオンする。トランジスタ306がオン状態になると、フォトトライアックカプラ304の発光ダイオードが導通状態となり、トライアック301がオンし、定着装置100のヒータ101に電力が供給される。一方、画像形成装置の電源オフ時や、画像形成を行わないときなどのヒータ101への電力供給を遮断する場合には、CPU501は、ローレベルのON/OFF1信号を出力し、トランジスタ306をオフする。トランジスタ306がオフ状態になると、フォトトライアックカプラ304の発光ダイオードが非導通状態となり、トライアック301がオフし、定着装置100のヒータ101への電力が遮断される。続いて、CPU501は、ローレベルのON/OFF2信号を出力し、トランジスタ311をオフする。トランジスタ311がオフ状態になると、リレー310がオフされ、外部電源40から定着装置100への電力供給路が遮断される。
<ゼロクロス検知回路>
電源装置200は、外部電源40から入力される交流電圧が0ボルトになるゼロクロスタイミングを検知し、ゼロクロス検知信号(周波数検知信号)を出力するゼロクロス検知回路400(周波数検知手段)を有している。ゼロクロス検知回路400は、FET403、ダイオード405、410、413、フォトカプラ407、ツェナーダイオード411、トランジスタ412、抵抗401、402、404、406、コンデンサ409を有している。ゼロクロス検知回路400の入力の一端は、定着装置100の駆動回路部の接続制御部のリレー310の後段に接続されており、入力の他端は、外部電源40のニュートラルラインに接続されている。この回路構成により、外部電源40から入力される交流電圧は、リレー310を介してゼロクロス検知回路400に入力されることになる。そのため、ゼロクロス検知回路400は、リレー310がオン状態のときに、外部電源40から入力される交流電圧の電圧波形に同期したゼロクロス検知信号を出力することができる。なお、CPU501は、ゼロクロス検知回路400から出力されるゼロクロス検知信号の信号波形の立ち下がりエッジをゼロクロスタイミングとして、位相制御又は波数制御に応じて、トライアック301のオン・オフ制御を行う。
<定着装置>
また、定着装置100には、ヒータ101の温度を検知するためのサーミスタ102が設けられている。サーミスタ102には、分圧抵抗103が接続され、基準電圧をサーミスタ102と分圧抵抗103とで分圧した電圧が、温度検知信号(以下、TH信号という)として、CPU501に入力される。CPU501は、TH信号として入力されるヒータ101の温度を取得し、ヒータ101の目標温度と、TH信号から算出されるヒータ101の温度とを比較する。CPU501は、比較結果に応じて、ヒータ101への供給電力を算出する。その後、CPU501は、算出した供給電力を、位相制御の場合には対応する位相角に、波数制御の場合には対応する波数に変換する。CPU501は、位相制御又は波数制御に基づいて、フォトトライアックカプラ304を駆動するトランジスタ306にハイレベルのON/OFF1信号を出力し、ヒータ101への電力供給制御を行う。
[ゼロクロス検知回路の動作]
次に、本実施例のゼロクロス検知回路400の回路動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、外部電源40から入力される交流電圧と、ゼロクロス検知回路400から出力されるゼロクロス検知信号(ZEROX信号)との関係を説明する波形図である。図3(a)は、外部電源40からの想定されている入力電圧、すなわち予め決定されている電源装置200に入力される交流電圧、が入力された場合のゼロクロス検知信号を示した波形図である。図3(b)は、外部電源40からの想定された入力電圧よりも高い交流電圧が入力された場合のゼロクロス検知信号を示した波形図である。なお、ここでは、想定された入力電圧は100V系電圧とし、想定された入力電圧よりも高い電圧は、200V系電圧とする。なお、本実施例のツェナーダイオード411のツェナー電圧は、100Vよりも高く、200Vよりも低い電圧とする。
<入力交流電圧が想定された電圧の場合>
図3(a)を参照して、ゼロクロス検知回路400の回路動作と、ゼロクロス検知回路400から出力されるゼロクロス検知信号の波形について説明する。図3(a)において、上側に示す波形は、外部電源40から入力される交流電圧(図中、入力電圧と表示)の波形(正弦波)であり、下側に示す波形は、交流電圧の波形に応じて出力されるゼロクロス検知信号(図中、ZEROX信号と表示)の波形である。図3(a)の横軸は時間を示し、t1、t2、t3はタイミングを示す。図3(a)の上図の縦軸は、入力される交流電圧の電圧値を示し、「403 ON」は図2に示すFET403がオン状態となる電圧(所定の電圧)を示している。図3(a)の下図の縦軸は、ゼロクロス検知信号のレベル(第一のレベルであるローレベル、第二のレベルであるハイレベル)を示している。
外部電源40から入力される交流電圧が想定された電圧の場合のゼロクロス検知回路400の回路動作について説明する。リレー310がオンされた状態で、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも高いときには、外部電源40から供給される交流電圧は、抵抗404を介し、ダイオード405とコンデンサ408によって直流電圧に整流・平滑される。また、外部電源40から入力される交流電圧は、抵抗401、402によって分圧され、分圧された電圧がFET403のゲート端子に印加される。FET403のゲート端子に印加される電圧が所定の電圧(図3(a)の「403 ON」電圧)以上に達すると、FET403はオンし、フォトカプラ407の発光ダイオードが導通状態となって、フォトカプラ407のフォトトランジスタがオンする。これにより、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)はローレベルとなる(図中、タイミングt1)。その後、外部電源40から入力される交流電圧が下がり、FET403のゲート端子に印加される電圧が所定の電圧(図3(a)の「403 ON」電圧)未満まで下がると、FET403はオフする。その結果、フォトカプラ407の発光ダイオードが非導通状態となって、フォトカプラ407のフォトトランジスタがオフする。これにより、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)はハイレベルとなる(図中、タイミングt2)。
そして、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも低くなると、外部電源40から入力される交流電圧は、抵抗402、401を通ってリレー310へと流れる。このとき、FET403のゲート端子に印加される電圧は、抵抗402による電圧降下により、FET403のソース端子に印加される電圧よりも低くなるため、FET403はオフする。FET403はオフしているので、フォトカプラ407の発光ダイオードは非導通状態となり、フォトカプラ407のフォトトランジスタもオフ状態となり、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)はハイレベルを維持する。タイミングt3以降は、上述した回路動作が繰り返される。
<入力交流電圧が想定された電圧よりも高い場合>
図3(b)を参照して、入力交流電圧が想定された電圧よりも高い場合のゼロクロス検知回路400の回路動作と、ゼロクロス検知回路400から出力されるゼロクロス検知信号の波形について説明する。図3(b)において、上側に示す入力電圧の波形のうち、実線で示す入力電圧の波形は、想定された電圧よりも高い交流電圧の波形であり、点線で示す入力電圧の波形は、想定された電圧の交流電圧の波形である。下側に示す波形は、交流電圧の波形に応じて出力されるゼロクロス検知信号(図中、ZEROX信号と表示)の波形である。図3(b)の横軸は時間を示し、T1~T5はタイミングを示す。図3(b)の上図の縦軸は、入力される交流電圧の電圧値を示し、「403 ON」は図2に示すFET403がオン状態となる電圧、「411 ON」は、ツェナーダイオード411が導通状態となるツェナー電圧(第一の電圧)を示している。図3(b)の下図の縦軸は、ゼロクロス検知信号のレベル(ハイレベル、ローレベル)を示している。
外部電源40から入力される交流電圧が想定された電圧(例えば100V)よりも高い電圧(例えば200V)の場合のゼロクロス検知回路400の回路動作について説明する。リレー310がオンされた状態で、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも高いときには、FET403のゲート端子に印加される電圧が所定の電圧(図3(b)の「403 ON」電圧)以上に達すると、FET403がオンする。その結果、フォトカプラ407の発光ダイオードが導通状態となって、フォトカプラ407のフォトトランジスタがオンする。これにより、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)はローレベルとなる(図中、タイミングT1)。
外部電源40のライブラインから入力される交流電圧が更に高くなり、ツェナーダイオード411のツェナー電圧以上になると、ツェナーダイオード411が導通状態となり、トランジスタ412のベース端子に電流が流れ、トランジスタ412がONする。トランジスタ412がONすると、FET403のゲート電圧に印加される電圧はトランジスタ412のコレクタ-エミッタ間電圧Vceと同じ電圧になるため、FET403はオフする。すると、フォトカプラ407の発光ダイオードは非導通状態となり、フォトカプラ407のフォトトランジスタもオフする。その結果、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)は、ローレベルからハイレベルとなる(図中、タイミングT2)。
このとき、コンデンサ408の電圧は、ツェナーダイオード411のツェナー電圧と、トランジスタ412のベース-エミッタ間電圧Vbeで制限されるため、必要以上に高い耐圧のコンデンサを使用する必要はない。また、コンデンサ409に関しても、同様に、トランジスタ412のコレクターエミッタ間電圧Vceで制限されるため、必要以上に高い耐圧のコンデンサを使用する必要はない。
その後、外部電源40から入力される交流電圧が、ツェナーダイオード411のツェナー電圧未満まで下がると、ツェナーダイオード411は非導通状態となり、トランジスタ412のベース端子に電流が流れなくなり、トランジスタ412はオフする。トランジスタ412がオフしたことで、再び、FET403のゲート端子には、入力される交流電圧を抵抗401、402で分圧された電圧が印加されることにより、FET403がオンする。その結果、フォトカプラ407の発光ダイオードが導通状態となり、フォトカプラ407のフォトトランジスタがオンすることにより、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)は、ハイレベルからローレベルとなる(図中、タイミングT3)。
その後、外部電源40から入力される交流電圧が下がり、FET403のゲート端子に印加される電圧が所定の電圧(図3(b)の「403 ON」電圧)未満に下がると、FET403はオフする。その結果、フォトカプラ407の発光ダイオードが非導通状態となって、フォトカプラ407のフォトトランジスタもオフする。これにより、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)はハイレベルとなる(図中、タイミングT4)。
そして、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも低くなると、外部電源40から入力される交流電圧は、抵抗402、401を通ってリレー310へと流れる。このとき、FET403のゲート端子に印加される電圧は、抵抗402による電圧降下により、FET403のソース端子に印加される電圧よりも低くなるため、オフする。FET403はオフ状態なので、フォトカプラ407の発光ダイオードは非導通状態となり、フォトカプラ407のフォトトランジスタもオフ状態となり、ゼロクロス検知信号(ZEROX信号)はハイレベルを維持する。タイミングT5以降は、上述した回路動作が繰り返される。
[ゼロクロス検知信号に基づいた入力電圧の異常検知]
次に、本実施例のゼロクロス検知信号に基づいた外部電源40から入力された交流電圧の電圧異常を検知する制御方法について説明する。ここでは、画像形成装置が電源オンされたときに、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスについて説明する。図4は、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。図4に示す処理は、画像形成装置の電源がオンされたときに起動され、CPU501により実行される。図4のフローチャートは2つあり、図4(a)は、ゼロクロス検知信号の周期に基づいて、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。一方、図4(b)は、ゼロクロス検知信号の信号幅(オンレベルの時間、オフレベルの時間)に基づいて、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。まず、図4(a)に示す制御シーケンスについて、説明する。
ステップ(以下、Sという)1では、CPU501は、ハイレベルのON/OFF2信号をトランジスタ311に出力し、リレー310をオンする。リレー310がオンされると、ゼロクロス検知回路400に外部電源40から交流電圧が入力され、ゼロクロス検知回路400は、交流電圧の電圧波形に応じたゼロクロス検知信号をCPU501に出力する。S2では、CPU501は、ゼロクロス検知回路400からゼロクロス検知信号を取得する。S3では、CPU501は、取得したゼロクロス検知信号に基づいて、ゼロクロス検知信号の周波数Fを算出する。そのため、CPU501は、取得したゼロクロス検知信号の立ち下がりエッジから、次の立ち下がりエッジまでの時間をタイマにより計測し、計測した時間に基づいて、ゼロクロス検知信号の周波数Fを算出する。なお、CPU501は、ノイズ等によるゼロクロス検知信号の誤検知の影響を小さくするため、複数回分のゼロクロス検知信号を取得し、検知結果を平均化して周波数Fを算出する。一般的に、商用交流電源の電源周波数は、50~60Hz程度であるため、本実施例では、CPU501は、算出された周波数Fが40Hz以上、70Hz以下の所定の周波数の範囲内であれば、入力される交流電圧は、所定の電圧の範囲内であると判断する。一方、CPU501は、算出された周波数Fが40Hz未満、70Hzより高い周波数で、所定の周波数の範囲から外れている場合には、入力される交流電圧は、所定の電圧の範囲よりも高いと判断する。
S4では、CPU501は、S3で算出したゼロクロス検知信号の周波数Fは40Hz未満かどうか判断し、40Hz未満であると判断した場合には処理をS6に進め、40Hz以上であると判断した場合には、処理をS5に進める。S5では、CPU501は、S3で算出したゼロクロス検知信号の周波数Fは70Hzより大きいかどうか判断する。CPU501は、ゼロクロス検知信号の周波数Fは70Hzよりも大きいと判断した場合には処理をS6に進め、70Hz以下であると判断した場合には処理を終了し、画像形成装置のイニシャルシーケンスを実行する。画像形成装置の初期設定を行うイニシャルシーケンスは、画像形成装置をプリント可能状態に設定するための処理シーケンスである。イニシャルシーケンスでは、例えば定着装置100のヒータ101に電力供給を行い、ヒータ101の所定の温度への設定や、プロセスカートリッジ15のトナー撹拌等が行われる。
S6では、CPU501は、外部電源40から入力される交流電圧は、所定の電圧よりも高い電圧が入力されている(入力電圧の異常を検知)と判断する。S7では、CPU501は、定着装置100に所定の電圧よりも高い交流電圧が供給されないように、ローレベルのON/OFF2信号をトランジスタ311に出力し、リレー310をオフする。そして、CPU501は、画像形成装置の画像形成動作を停止させ、処理を終了する。このとき、リレー310はオフされているので、定着装置100への電力供給が行われることはない。
図4(a)に示すS4、S5の処理では、入力される交流電圧が異常電圧と判断するときの基準となる周波数は、40Hz未満、又は70Hzより大きいとした。例えば、外部電源40から図3(b)に示すような電圧の交流電圧が入力された場合には、ゼロクロス検知信号は、タイミングT4~T5の区間における正常なハイレベル信号に加え、タイミングT2~T3の区間でもハイレベル信号が出力されることになる。そのため、ゼロクロス検知信号の周期が短くなり、外部電源40から入力される交流電圧の周波数が50Hzとすると、ゼロクロス検知信号から算出する周波数は50Hzよりも高くなり(例えば100Hz(=50Hz×2))となる。その結果、S5の処理でゼロクロス検知信号の周波数異常と判断される。
なお、図4(a)に示す制御シーケンスでは、ゼロクロス検知信号から算出した周波数に基づいて、入力される交流電圧の電圧異常の有無を判断した。例えば、ゼロクロス検知信号のハイレベルの時間幅とローレベルの時間幅を計測し、時間幅に基づいて、外部電源40から入力される交流電圧の異常を判断してもよい。図4(b)は、ゼロクロス検知信号のハイレベルとローレベルの時間幅に基づいて、外部電源40から入力される交流電圧の異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。S1、S2の処理は、図4(a)のS1、S2の処理と同様であり、ここでの説明は省略する。
S14では、CPU501は、取得したゼロクロス検知信号に基づいて、ゼロクロス検知信号のハイレベルの信号幅(ON幅Ton)とローレベルの信号幅(OFF幅Toff)を算出する。そのため、CPU501は、取得したゼロクロス検知信号のハイレベル時間と、ローレベル時間とをタイマにより計測する。なお、CPU501は、ノイズ等によるゼロクロス検知信号の誤検知の影響を小さくするため、複数回分のゼロクロス検知信号を取得し、検知結果を平均化して、ハイレベルの信号幅(ON幅Ton)とローレベルの信号幅(OFF幅Toff)を算出する。図3(b)を見るとわかるように、本実施例の場合には、交流電圧が正常な場合(所定の電圧が入力される場合)と異常な場合(所定の電圧よりも大きな電圧が入力される場合)で、特にローレベル状態の信号幅に差がある。入力される交流電圧が正常な場合のON幅TonとOFF幅Toffとの比率は1:0.8程度であることから、本実施例では、交流電圧が異常な場合比率は、OFF幅ToffがON幅Tonの2分の1未満(0.5未満)となる比率とする。
S15では、CPU501は、取得したゼロクロス検知信号に基づいて、ローレベルの信号幅(OFF幅Toff)がハイレベルの信号幅(ON幅Ton)の0.5よりも小さいかどうか(Toff<Ton×0.5)判断する。CPU501は、ローレベルの信号幅がハイレベルの信号幅(ON幅Ton)の0.5よりも小さいと判断した場合には、処理をS6に進める。一方、CPU501は、ローレベルの信号幅がハイレベルの信号幅(ON幅Ton)の0.5以上であると判断した場合には、処理を終了し、上述した画像形成装置のイニシャルシーケンスを実行する。S6、S7の処理は、図4(a)のS6、S7の処理と同様であり、ここでの説明を省略する。また、CPU501は、図4(a)で説明したゼロクロス検知信号の周波数と、図4(b)で説明したゼロクロス検知信号のON幅とOFF幅とに基づいて、入力される交流電圧の異常を検知するようにしてもよい。
以上説明したように、外部電源40から所定の電圧とは異なる高い電圧が入力された場合は、CPU501はゼロクロス検知回路400から出力されるゼロクロス検知信号の周波数又は信号幅により、異常電圧が入力されたことを検知することができる。その結果、画像形成装置では外部電源40から定着装置100への電力供給が遮断され、定着装置100の故障を回避することができる。なお、本実施例では、CPU501は、画像形成装置の制御部として説明したが、電源装置200の制御部(制御手段)でもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、入力電圧が所定の電圧よりも高い場合には、定着装置への電力供給を遮断することができる。
実施例1では、ゼロクロス検知回路から出力されるゼロクロス検知信号の周波数を算出し、算出された周波数に基づいて、入力される交流電圧の異常電圧を検知する実施例について説明した。実施例2では、交流電圧の周波数を検知する検知回路から出力される検知信号に基づいて、入力される交流電圧の異常電圧を検知する実施例について説明する。
[電源装置]
図5は、本実施例の電源装置200の構成を示す回路図である。本実施例の電源装置200は、実施例1の電源装置200と比べて、ゼロクロス検知回路400が削除され、代わりに周波数検知回路600を備えている点が異なるが、その他の回路構成は、実施例1の図2と同様であり、ここでの説明は省略する。
本実施例の電源装置200は、外部電源40から入力される交流電圧の電圧波形に基づいて、周波数検知信号を出力する周波数検知回路600を有している。周波数検知回路600は、抵抗601、602、フォトカプラ603、ダイオード604、ツェナーダイオード605、トランジスタ606を有している。周波数検知回路600の入力の一端は、定着装置100の駆動回路部の接続制御部のリレー310の後段に接続されており、入力の他端は、外部電源40のニュートラルラインに接続されている。この回路構成により、外部電源40から入力される交流電圧は、リレー310を介して周波数検知回路600に入力されることになる。そのため、周波数検知回路600は、リレー310がオン状態のときに、外部電源40から入力される交流電圧の電圧波形に同期した周波数検知信号(FREQ信号)を出力することができる。なお、CPU501は、周波数検知回路600から出力される周波数検知信号の信号波形のエッジに基づいて、位相制御又は波数制御に応じて、トライアック301のオン・オフ制御を行う。
[周波数検知回路の動作]
次に、本実施例の周波数検知回路600の回路動作について、図6を参照しながら説明する。図6は、外部電源40から入力される交流電圧と、周波数検知回路600から出力される周波数検知信号(FREQ信号)との関係を説明する波形図である。図6(a)は、外部電源40から想定されている交流電圧が入力された場合の周波数検知信号を示した波形図であり、図6(b)は、外部電源40から想定された電圧よりも高い交流電圧が入力された場合の周波数検知信号を示した波形図である。なお、ここでは、想定された所定の電圧は100V系電圧とし、想定された所定の電圧よりも高い電圧は、200V系電圧とする。なお、本実施例のツェナーダイオード411のツェナー電圧は、100Vよりも高く、200Vよりも低い電圧とする。
<入力交流電圧が想定された電圧の場合>
図6(a)を参照して、周波数検知回路600の回路動作と、周波数検知回路600から出力される周波数検知信号の波形について説明する。図6(a)において、上側に示す波形は、外部電源40から入力される交流電圧(図中、入力電圧と表示)の波形(正弦波)であり、下側に示す波形は、交流電圧の波形に応じて出力される周波数検知信号の波形である。図6(a)の横軸は時間を示し、t11、t12、t13はタイミングを示す。図6(a)の上図の縦軸は、入力される交流電圧を示し、「603 ON」は図5に示すフォトカプラ603の発光ダイオードが導通状態(ON状態)となる電圧(所定の電圧)を示している。図6(a)の下図の縦軸は、周波数検知信号のレベル(ハイレベル、ローレベル)を示している。
外部電源40から入力される交流電圧が想定された電圧の場合の周波数検知回路600の回路動作について説明する。リレー310がオンされた状態で、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも高いときには、外部電源40から供給される交流電圧は、抵抗601、602を介し、フォトカプラ603の発光ダイオードに印加される。フォトカプラ603の発光ダイオードに印加される電圧が、所定の電圧(図中、「603 ON」)以上に達すると、フォトカプラ603の発光ダイオードが導通状態になり、フォトカプラ603のフォトトランジスタがオン状態となる。その結果、周波数検知信号は、ハイレベルからローレベルとなる(図中、タイミングt11)。その後、外部電源40から入力される交流電圧が下がり、フォトカプラ603の発光ダイオードに印加される電圧が、所定の電圧(図中、「603 ON」)未満に下がると、フォトカプラ603の発光ダイオードが非導通状態になる。フォトカプラ603の発光ダイオードが非導通状態になると、フォトトランジスタもオフ状態となる。その結果、周波数検知信号は、ローレベルからハイレベルとなる(図中、タイミングt12)。
そして、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも低くなると、外部電源40から入力される交流電圧は、ダイオード604、抵抗602、601を通って、リレー310へと流れる。このとき、フォトカプラ603の発光ダイオードは非導通状態であるため、フォトカプラ603のフォトトランジスタもオフ状態である。そのため、周波数検知信号はハイレベルを維持する。タイミングt13以降は、上述した回路動作が繰り返される。
<入力交流電圧が想定される電圧よりも高い場合>
図6(b)を参照して、入力交流電圧が所定の電圧よりも高い場合の周波数検知回路600の回路動作と、周波数検知回路600から出力される周波数検知信号の波形について説明する。図6(b)において、上側に示す入力電圧の波形のうち、実線で示す入力電圧の波形は、想定される電圧よりも高い交流電圧の波形であり、点線で示す入力電圧の波形は、想定される電圧の交流電圧の波形である。下側に示す波形は、交流電圧の波形に応じて出力される周波数検知信号(FREQ信号)の波形である。図6(b)の横軸は時間を示し、T11~T15はタイミングを示す。図6(b)の上図の縦軸は、入力される交流電圧を示し、「603 ON」は図5に示すフォトカプラ603の発光ダイオードが導通状態となる電圧、「605 ON」は、ツェナーダイオード605が導通状態となるツェナー電圧(第一の電圧)を示している。図6(b)の下図の縦軸は、周波数検知信号のレベル(ハイレベル、ローレベル)を示している。
外部電源40から入力される交流電圧が想定された電圧(例えば100V)よりも高い電圧(例えば200V)の場合のゼロクロス検知回路400の回路動作について説明する。リレー310がオンされた状態で、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも高いときには、次のような状態となる。すなわち、フォトカプラ603の発光ダイオードに印加される電圧が所定の電圧(図6(b)の「603 ON」電圧)以上に達すると、フォトカプラ603の発光ダイオードが導通状態となり、フォトカプラ603のフォトトランジスタがオンする。これにより、周波数検知信号(FREQ信号)はローレベルとなる(図中、タイミングT11)。
更に、外部電源40のライブラインから入力される交流電圧が高くなり、ツェナーダイオード605のツェナー電圧以上になると、ツェナーダイオード605が導通状態となり、トランジスタ606のベース端子に電流が流れ、トランジスタ606がオンする。トランジスタ606がオンすると、フォトカプラ603の発光ダイオードの入力電圧は、トランジスタ606のコレクタ-エミッタ間電圧Vceでクランプされる。そのため、フォトカプラ603の発光ダイオードは非導通状態となり、フォトカプラ603のフォトトランジスタもオフ状態となる。その結果、周波数検知信号(FREQ信号)は、ローレベルからハイレベルとなる(図中、タイミングT12)。
そして、その後、外部電源40から入力される交流電圧が、ツェナーダイオード605のツェナー電圧未満となると、ツェナーダイオード605は非導通状態となり、トランジスタ606のベース端子に電流が流れなくなり、トランジスタ606はオフする。トランジスタ606がオフしたことで、再び、フォトカプラ603の発光ダイオードは導通状態となり、フォトカプラ603のフォトトランジスタはオン状態となる。その結果、周波数検知信号は、ハイレベルからローレベルとなる(図中、タイミングT13)。
その後、外部電源40から入力される交流電圧が下がり、フォトカプラ603の発光ダイオードに印加される電圧が、所定の電圧(図中、「603 ON」)未満となると、フォトカプラ603の発光ダイオードが非導通状態になる。フォトカプラ603の発光ダイオードが非導通状態になると、フォトトランジスタもオフ状態となる。その結果、周波数検知信号は、ローレベルからハイレベルとなる(図中、タイミングT14)。
そして、外部電源40のライブラインの電圧がニュートラルラインの電圧よりも低くなると、外部電源40から入力される交流電圧は、ダイオード604、抵抗602、601を通って、リレー310へと流れる。このとき、フォトカプラ603の発光ダイオードは非導通状態であるため、フォトカプラ603のフォトトランジスタもオフ状態である。そのため、周波数検知信号はハイレベルを維持する。タイミングT15以降は、上述した回路動作が繰り返される。
[周波数検知信号に基づいた入力電圧の異常検知]
次に、本実施例の周波数検知信号に基づいた外部電源40から入力された交流電圧の電圧異常を検知する制御方法について説明する。ここでは、画像形成装置が電源オンされたときに、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスについて説明する。図7は、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。図7に示す処理は、画像形成装置の電源がオンされたときに起動され、CPU501により実行される。図7のフローチャートは2つあり、図7(a)は、周波数検知信号の周期に基づいて、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。一方、図7(b)は、周波数検知信号の信号幅(オンレベルの時間、オフレベルの時間)に基づいて、入力される交流電圧の電圧異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。まず、図7(a)に示す制御シーケンスについて、説明する。
S101では、CPU501は、ハイレベルのON/OFF2信号をトランジスタ311に出力し、リレー310をオンする。リレー310がオンされると、周波数検知回路600に外部電源40から交流電圧が入力され、周波数検知回路600は交流電圧の電圧波形に応じた周波数検知信号(FREQ信号)をCPU501に出力する。S102では、CPU501は、周波数検知回路600から周波数検知信号を取得する。S103では、CPU501は、取得した周波数検知信号に基づいて、周波数検知信号の周波数Fを算出する。そのため、CPU501は、取得した周波数検知信号の立ち下がりエッジから、次の立ち下がりエッジまでの時間をタイマにより計測し、周波数検知信号の周波数Fを算出する。なお、CPU501は、ノイズ等による周波数検知信号の誤検知の影響を小さくするため、複数回分の周波数検知信号を取得し、検知結果を平均化して周波数Fを算出する。一般的に、商用交流電源の電源周波数は、50~60Hz程度であるため、本実施例では、CPU501は、算出された周波数Fが40Hz以上、70Hz以下の所定の周波数の範囲内であれば、入力される交流電圧は、所定の電圧の範囲内であると判断する。一方、CPU501は、算出された周波数Fが40Hz未満、70Hzより高い周波数で、所定の周波数の範囲から外れている場合には、入力される交流電圧は、所定の電圧の範囲よりも高いと判断する。
S104では、CPU501は、S103で算出した周波数検知信号の周波数Fは40Hz未満かどうか判断し、40Hz未満であると判断した場合には処理をS106に進め、40Hz以上であると判断した場合には、処理をS105に進める。S105では、CPU501は、S103で算出した周波数検知信号の周波数Fは70Hzより大きいかどうか判断する。CPU501は、周波数検知信号の周波数Fが70Hzよりも大きいと判断した場合には処理をS106に進め、70Hz以下であると判断した場合には処理を終了し、前述した画像形成装置のイニシャルシーケンスを実行する。
S106では、CPU501は、外部電源40から入力される交流電圧は、所定の電圧よりも高い電圧が入力されている(入力電圧の異常を検知)と判断する。S107では、CPU501は、定着装置100に所定の電圧よりも高い交流電圧が供給されないように、ローレベルのON/OFF2信号をトランジスタ311に出力し、リレー310をオフする。そして、CPU501は、画像形成装置の画像形成動作を停止させ、処理を終了する。このとき、リレー310はオフされているので、定着装置100への電力供給が行われることはない。
図7(a)に示すS104、S105の処理では、入力される交流電圧が異常電圧と判断するときの基準となる周波数は、40Hz未満、又は70Hzより大きいとした。例えば、外部電源40から図6(b)に示すような電圧の交流電圧が入力された場合には、ゼロクロス検知信号は、タイミングT14~T15の区間での正常なハイレベル信号の出力に加え、タイミングT12~T13の区間でもハイレベル信号が出力される。そのため、周波数検知信号の周期が短くなり、外部電源40から入力される交流電圧の周波数が50Hzとすると、周波数検知信号から算出する周波数は50Hzよりも高くなり(例えば100Hz(=50Hz×2))となる。その結果、S105の処理で周波数検知信号の周波数異常と判断される。
なお、図7(a)に示す制御シーケンスでは、周波数検知信号から算出した周波数に基づいて、入力される交流電圧の電圧異常の有無を判断した。例えば、周波数検知信号のハイレベルの時間幅とローレベルの時間幅を計測し、時間幅に基づいて、外部電源40から入力される交流電圧の異常を判断してもよい。図7(b)は、周波数検知信号のハイレベルとローレベルの時間幅に基づいて、外部電源40から入力される交流電圧の異常を検知する制御シーケンスを示すフローチャートである。S101、S102の処理は、図7(a)のS101、S102の処理と同様であり、ここでの説明は省略する。
S114では、CPU501は、取得した周波数検知信号に基づいて、周波数検知信号のハイレベルの信号幅(ON幅Ton)とローレベルの信号幅(OFF幅Toff)を算出する。そのため、CPU501は、取得した周波数検知信号のハイレベル時間と、ローレベル時間とをタイマにより計測する。なお、CPU501は、ノイズ等による周波数検知信号の誤検知の影響を小さくするため、複数回分の周波数検知信号を取得し、検知結果を平均化して、ハイレベルの信号幅(ON幅Ton)とローレベルの信号幅(OFF幅Toff)を算出する。図6(b)を見るとわかるように、本実施例の場合には、交流電圧が正常な場合(所定の電圧が入力される場合)と異常な場合(所定の電圧よりも大きな電圧が入力される場合)で、特にローレベル状態の信号幅に差がある。入力される交流電圧が正常な場合のON幅TonとOFF幅Toffとの比率は1:0.5程度であることから、本実施例では、交流電圧が異常な場合の比率は、OFF幅ToffがON幅Tonの0.3未満(0.3未満)となる比率とする。
S115では、CPU501は、取得した周波数検知信号に基づいて、ローレベルの信号幅(OFF幅Toff)がハイレベルの信号幅(ON幅Ton)の0.3よりも小さいかどうか(Toff<Ton×0.3)判断する。CPU501は、ローレベルの信号幅がハイレベルの信号幅(ON幅Ton)の0.3よりも小さいと判断した場合には、処理をS106に進める。一方、CPU501は、ローレベルの信号幅がハイレベルの信号幅(ON幅Ton)の0.3以上であると判断した場合には、処理を終了し、上述した画像形成装置のイニシャルシーケンスを実行する。S106、S107の処理は、図7(a)のS106、S107の処理と同様であり、ここでの説明を省略する。また、CPU501は、図7(a)で説明した周波数検知信号の周波数と、図7(b)で説明した周波数検知信号のON幅とOFF幅とに基づいて、入力される交流電圧の異常を検知するようにしてもよい。
以上説明したように、外部電源40から想定された電圧とは異なる高い電圧が投入された場合には、本実施例の周波数検知回路から出力される周波数検知信号の周波数又は信号幅により、CPU501は異常電圧が入力されたことを検知することができる。その結果、画像形成装置では外部電源40から定着装置100への電力供給が遮断され、定着装置100の故障を回避することができる。なお、本実施例では、CPU501は、画像形成装置の制御部として説明したが、電源装置200の制御部でもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、入力電圧が所定の電圧よりも高い場合には、定着装置への電力供給を遮断することができる。
40 交流電源
200 電源装置
310 リレー
400 ゼロクロス検知回路
501 CPU

Claims (15)

  1. 交流電源から入力された交流電圧を定着装置のヒータに供給する電源装置であって、
    前記交流電源から前記交流電圧が入力される第一のライン及び第二のラインに接続され、前記交流電圧周波数に関する信号を出力する周波数検知手段と、
    前記交流電源と前記周波数検知手段及び前記ヒータとを接続又は遮断するスイッチ手段と、
    前記周波数検知手段から出力される前記信号に基づいて、前記交流電源から入力される前記交流電圧を検知し、検知結果に応じて前記スイッチ手段を制御する制御手段と、
    を備え
    前記周波数検知手段は、前記第一のラインの電圧が第一の閾値電圧よりも低い場合、第一のレベルの信号を出力し、前記第一のラインの電圧が前記第一の閾値電圧よりも高い第二の閾値電圧よりも低く、かつ前記第一の閾値電圧以上である場合、前記第一のレベルとは異なる第二のレベルの信号を出力し、前記第一のラインの電圧が前記第二の閾値電圧以上である場合、前記第一のレベルの信号を出力することを特徴とする電源装置。
  2. 前記制御手段は、前記周波数に関する信号に基づいて、検知した前記交流電圧が想定される入力電圧であると判断した場合に前記スイッチ手段をオンの状態に維持し、検知した前記交流電圧が想定される前記入力電圧より高いと判断した場合に前記スイッチ手段をオフの状態にすることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  3. 前記スイッチ手段は、前記周波数検知手段に接続される前記交流電源の前記第一のラインと、前記周波数検知手段との間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
  4. 想定される前記入力電圧とは、予め決定されている前記電源装置に入力される100V系の交流電圧であり、想定される前記入力電圧よりも高い電圧とは200V系の交流電圧であることを特徴とする請求項2又は3に記載の電源装置。
  5. 前記制御手段は、時間を計測する計測手段を有し、
    前記計測手段により前記周波数に関する信号の周期を計測し、計測された前記周期に基づいて、前記交流電源の周波数を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電源装置。
  6. 前記制御手段は、算出された前記周波数が所定の範囲から外れていることを検知すると、前記スイッチ手段を制御して、前記交流電源の前記第一のラインと前記周波数検知手段との接続を遮断することを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
  7. 前記制御手段は、時間を計測する計測手段を有し、
    前記計測手段により前記第一のレベルの信号が出力されている時間及び前記第二のレベルの信号が出力されている時間を計測し、計測された前記第一のレベルの信号が出力されている時間及び前記第二のレベルの信号が出力されている時間に基づいて、前記第二のレベルの信号が出力されている時間に対する前記第一のレベルの信号が出力されている時間の比率を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電源装置。
  8. 前記制御手段は、算出された前記比率が予め決定された所定の比率よりも小さいことを検知すると、前記スイッチ手段を制御して、前記交流電源の前記第一のラインと前記周波数検知手段との接続を遮断することを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
  9. 前記所定の比率は、前記第二の閾値電圧と前記第一の閾値電圧とに応じて決定されることを特徴とする請求項8に記載の電源装置。
  10. 前記スイッチ手段は、リレーであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電源装置。
  11. 前記周波数検知手段は、前記交流電圧のゼロクロスを検知するゼロクロス検知回路であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電源装置。
  12. 記録材に画像形成を行う画像形成手段と、
    請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電源装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  13. 記録材に画像形成を行う画像形成手段と、
    請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電源装置と、
    前記画像形成手段を制御するコントローラと、
    を備え、
    前記制御手段は、前記コントローラであることを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項11に記載の電源装置と、
    記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
    前記トナー像を加熱、加圧して、前記記録材に定着させる定着装置と、
    前記定着装置への電力供給、遮断を行うスイッチ部と、
    前記画像形成手段、前記定着装置、及び前記スイッチ部を制御するコントローラと、
    を備え、
    前記コントローラは、前記交流電圧のゼロクロスのタイミングに基づいて前記スイッチ部を制御することを特徴とする画像形成装置。
  15. 前記スイッチ部は、双方向サイリスタであることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
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