以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、タンクローリ1の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態におけるタンクローリ1の側面図である。図2(a)は、図1のIIa部分を拡大したタンクローリ1の部分拡大図側面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向視におけるタンクローリ1の部分拡大上面図である。なお、図1及び図2では、図面を簡素化するために、タンクローリ1の一部の図示を省略している。
図1に示すように、タンクローリ1は、複数の車輪2と、それら複数の車輪2に支持されるシャシフレーム3と、そのシャシフレーム3にサブフレーム6を介して架装されると共に液化ガス(例えば、LPガス)を積載するための円筒状のタンク4と、スコップSを固定するための固定具5と、を備える車両として構成される。
シャシフレーム3は、タンクローリ1の前後方向に沿って延設されるフレームであり、タンクローリ1の左右方向で所定間隔を隔てて一対が対向配置される。シャシフレーム3の前端には、運転席であるキャブ30が配設され、シャシフレーム3の側面には、サイドガード31及び弁計器箱32が配設される。
サイドガード31は、歩行者や自転車等がシャシフレーム3の下方に巻き込まれるのを防止するための巻込防止装置である。弁計器箱32は、液化ガスの荷役作業時に操作される操作装置や、荷役作業時にホースが接続される接続口、流量計、及び、圧力計等が収容される直方体状のケースである。
図2に示すように、サイドガード31は、一対の第1フレーム31aと、それら一対の第1フレーム31aどうしを接続する複数(本実施形態では、3本)の第2フレーム31bと、を備える。
第1フレーム31aは、シャシフレーム3から車両側方に向けて延出され(図2(b)参照)、その延出先端部に第2フレーム31bが連結される。第1フレーム31aは、タンクローリ1の前後方向で所定間隔を隔てて配設され、一対の第1フレーム31aに架設される態様でスコップSが固定される。
スコップSは、雪等をすくうための刃として構成されるさじ部S1と、持ち手として構成される握り部S2と、それらさじ部S1及び握り部S2をスコップSの長手方向で接続する軸部S3と、を備えるスコップ(ショベル)である。このスコップSは、固定具5によって第1フレーム31aに固定される。
固定具5は、さじ部S1を挿入するための被挿入部材50と、握り部S2を保持するための保持部材60と、それら被挿入部材50及び保持部材60を支持する支持部材70と、その支持部材70をサイドガード31に固定するための一対のブラケット80と、を備える。
ブラケット80は、上下に延びる断面L字状の部材であり、U字金具によって一対の第1フレーム31aのそれぞれに固定される。ブラケット80の上端には、支持部材70を固定するための平板状の固定板81が取り付けられる。固定板81は、第1フレーム31aよりも上方に位置し、その上端面は平坦面として構成される。一対のブラケット80に取り付けられる固定板81の上端面は、それぞれが略同一平面上に位置しており、それら一対の固定板81の上端面が請求項に記載される「固定面」に相当する。
支持部材70は、断面コ字状の部材であり、固定板81の上端面にボルト及びナットによって締結固定されることにより一対のブラケット80に架設される態様で配設され、その支持部材70の上面に被挿入部材50及び保持部材60が固定される。よって、一対のブラケット80(第1フレーム31a)が所定間隔を隔てて配設される(スコップSを固定するための固定面が非連続である)場合であっても、支持部材70によって被挿入部材50および保持部材60を一対のブラケット80に固定することができる。
支持部材70の上面には貫通孔71が形成され、貫通孔71は、支持部材70の長手方向に複数並設される。この貫通孔71は、保持部材60を固定するための孔である。
保持部材60と被挿入部材50との間における支持部材70の上面には、スコップSの軸部S3に巻回するためのバンド72と、そのバンド72を係止させるための係止部材73とが設けられる。バンド72は、被挿入部材50及び保持部材60に保持されたスコップSの仕上げの固定を行うための帯状体(例えば、ゴム等からなるもの)であり、スコップSの軸部S3に巻回されたバンド72が係止部材73に係止される。
係止部材73は、支持部材70の左右方向に突出される板状体である。係止部材73は、支持部材70の長手方向に複数(本実施形態では、2個)配設され、それら複数の係止部材73のそれぞれにバンド72が設けられる。
次いで、図3を参照して、固定具5の詳細構成について説明する。図3(a)は、図2(a)のIIIa-IIIa線におけるタンクローリ1の部分拡大断面図であり、図3(b)は、図2(a)のIIIb部分を拡大した固定具5の部分拡大側面図である。なお、図面を簡素化するために、図3では、タンクローリ1の一部の図示を省略し、図3(a)では、スコップSも図示を省略している。
図3(a)に示すように、第1フレーム31aは、上下一対の2本のフレームから構成され、それら2本のフレームのそれぞれにブラケット80が固定される。上述した通り、支持部材70は断面コ字状であり、その上面に被挿入部材50が溶接によって固定される。
なお、以下の説明において、支持部材70の長手方向一端側を単に「一端側」と記載し、それとは反対側を「他端側」と記載して説明する。被挿入部材50は、長方形の枠状に形成され、その内周側にスコップSのさじ部S1(図2参照)を挿通可能な空間が形成される。被挿入部材50は、その内周側の空間の開放部分を支持部材70の長手方向に向ける姿勢で配設され、一端側からさじ部S1を被挿入部材50に挿入することができる。
図3(b)に示すように、スコップSの握り部S2を保持する保持部材60は、握り部S2を取り囲む態様で保持する保持部61と、その保持部61の支持部材70側(固定面側)の端部に連設されると共に一端側(図3(b)の右側)に延びる被固定部62と、その被固定部62に蝶番63によって軸支される開閉部64と、その開閉部64及び保持部61の上面に配設されるキャッチクリップ65と、を備える。
保持部61は、断面コ字状の板状体である。被固定部62は、保持部材60を支持部材70に固定するための部位であり、保持部61に連設される板状体として構成される。即ち、保持部61及び被固定部62は、1枚の板状体を曲げ加工することで形成され、実質的に1部品から構成されるが、説明の便宜上、異なる名称を付している。
被固定部62には2個の貫通孔(図示せず)が支持部材70の長手方向に並設される。それら2個の貫通孔の並設間隔は、支持部材70の貫通孔71(図2(b)参照)の並設間隔と同一に設定され、被固定部62の貫通孔と、支持部材70の貫通孔71とにボルトBを挿通してナット(図示せず)を螺着することで支持部材70に被固定部62が固定される。
支持部材70には、その長手方向において複数(例えば、3個以上)の貫通孔71が並設されるので、被固定部62の固定位置を支持部材70の長手方向で変化させることができる。即ち、被固定部62の固定位置を変化させることにより、支持部材70の長手方向における被挿入部材50と保持部材60との間隔を可変に構成することができる。これにより、スコップSの長さに対応した位置に保持部材60を配設することができるので、ユーザの要望に応じて様々なスコップSを固定具5によって保持することができる。
被固定部62は、その一端側が屈曲されることで上方に向けて突出する突出部62aが形成され、その突出部62aの先端に蝶番63によって開閉部64が軸支される。蝶番63は、握り部S2の軸方向(図3(b)の紙面垂直方向)に軸を向ける姿勢で配設され、かかる軸周りに開閉部64が回転することにより、保持部61の保持空間を開閉部64によって開閉することができる。なお、以下の説明において、開閉部64の開閉動作に伴い、開閉部64が開放されている状態を「開閉部64の開放状態」、閉鎖している状態を「開閉部64の閉鎖状態」と記載して説明する。
開閉部64は、その閉鎖状態において被固定部62の上面から上方に延びると共に保持部61の一端側の開放部分を閉鎖する第1壁部64aと、その第1壁部64aの上端から一端側に延びる第2壁部64bと、その第2壁部64bの一端側から被固定部62側に延びると共に蝶番63に軸支される第3壁部64cと、を備え、断面コ字状に形成される。
開閉部64の閉鎖状態において、保持部61の他端側の壁部と第1壁部64aとの対向間隔や、上下で対向する保持部61の一対の壁部どうしの対向間隔は、スコップSの握り部S2の直径よりも若干(例えば、10mm~30mm)大きい寸法に設定されている。即ち、開閉部64の閉鎖状態で保持部61と第1壁部64aとによって取り囲まれる保持空間は、握り部S2の直径よりも大きい寸法で形成される。
また、開閉部64の閉鎖状態においては、保持部61の上面と、第2壁部64bの上面とが略面一となっており、それら保持部61及び第2壁部64bの上面にキャッチクリップ65が配設される。即ち、開閉部64の閉鎖状態において第2壁部64bが第1壁部64aによって支持されることにより、保持部61の上面と第2壁部64aの上面とを面一にし易くできるので、保持部61の上面と第2壁部64aの上面とを利用してキャッチクリップ65を配設することができる。
キャッチクリップ65は、保持部61の上面に固定されるフック65aと、そのフック65aに係合されると共に第2壁部64bの上面に固定される係合部65bと、を備えるアジャストファスナー(パッチン錠)であり、公知の構成が採用可能であるのでその詳細な説明を省略する。フック65aと係合部65bとを係合させることで開閉部64が閉鎖状態でロックされる。また、その係合を解除することで開閉部64の開閉動作が可能となり、開閉部64の閉鎖状態を解除することができる。また、上述した通り、開閉部64の閉鎖状態において第2壁部64bが第1壁部64aによって支持される(第1壁部64aが被固定部62に当接することで開閉部64の回転が規制される)ので、第2壁部64bに配設される係合部65bを容易に操作することができる。
次いで、図4を参照して、スコップSの固定方法について説明する。図4(a)は、スコップSのさじ部S1を被挿入部材50に挿入した状態を示す固定具5の側面図であり、図4(b)は、スコップSの握り部S2を保持部材60に保持した状態を示す固定具5の側面図である。なお、図4では、図面を簡素化するために、固定具5の一部の図示を省略している。
図4(a)に示すように、スコップSを固定具5に固定する場合、被挿入部材50にスコップSのさじ部S1を挿入する(矢印A1参照)。この時、開閉部64を開放状態にしておくことで、保持部61の他端側(被挿入部材50側)に向けて握り部S2を挿入することにより(矢印A2参照)、保持部61の保持空間に握り部S2を収容することができる。
即ち、スコップSのさじ部S1を被挿入部材50に挿入する方向と、握り部S2を保持部61に挿入する方向とを略同一の方向とすることで、被挿入部材50および保持部材60へのスコップSの固定を容易に行うことができる。
被挿入部材50にさじ部S1が挿入された状態では、さじ部S1の先端が被挿入部材50の他端側から露出するが、支持部材70の他端に被挿入部材50が配設されるので、さじ部S1の先端が支持部材70に接触することを抑制できる。よって、さじ部S1の先端(刃先)に傷が生じることを抑制できる。
図4(b)に示すように、保持部61の保持空間に握り部S2を収容した状態で開閉部64を閉鎖状態にし、キャッチクリップ65によってロックすることにより、保持部材60に握り部S2が保持固定される。これにより、保持部61から握り部S2が脱落することを抑制できる。
このように、本実施形態の固定具5によれば、様々な直径(形状)の握り部を保持部材60によって保持することができるので、スコップSのサイズや形状に関するユーザの要望に対応することができる。更に、開閉部64を開放状態にして握り部S2を着脱できるので、力を入れて握り部S2を着脱することを不要にできる。よって、例えば、握り部S2の着脱時の勢いによってスコップSがタンク4に衝突することを抑制できるので、タンク4に傷が生じることを抑制できる。
この一方で、保持部61の保持空間が握り部S2の直径より大きい寸法で形成されることにより、握り部S2の周囲には隙間が形成される。よって、例えば、タンクローリ1の走行時の振動等によって握り部S2がガタつく(保持部61や開閉部64に接触する)ことにより、握り部S2に傷が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、被挿入部材50と保持部材60との間における支持部材70の上面に、帯状のバンド72と、そのバンド72を係止させるための係止部材73とが設けられている。スコップSの軸部S3にバンド72を巻回させつつ係止部材73にバンド72を係止させることにより、支持部材70に軸部S3を固定することができる(図2参照)。これにより、例えば、タンクローリ1の走行等で振動が生じても、保持空間内で握り部S2がガタつくことを抑制できるので、握り部S2に傷が生じることを抑制できる。
また、被固定部62が保持空間の外方側に位置するので、保持部材60を支持部材70に固定するためのボルトB(図3(b)参照)を保持空間の外部に配設することができる。これにより、ボルトBが握り部S2に接触することを抑制できるので、握り部S2に傷が生じることを抑制できる。
ここで、単に保持部61の保持空間の外部にボルトBを配設することを目的とするのであれば、例えば、被固定部を保持部61の他端側(図3(b)の左側)や、側方側(図3(b)の紙面垂直方向奥側や手前側)に設ける構成でも良い。しかしながら、そのような構成では、開閉部64を支持部材70に(固定面側に)直接軸支する必要があるため、保持部61及び被固定部の組付けと開閉部64の組付けとを別々に行わなければならない。また、そのような被固定部に加え、開閉部64を軸支するための部材を別途設けて保持部61に連設させる構成では、保持部材60が大型化する。
これに対して、本実施形態では、断面コ字状に形成される保持部61の一端から後方側に被固定部62が延び、その被固定部62に開閉部64が軸支されるので、保持部材60を支持部材70に固定する機能と、開閉部64を軸支する機能とを被固定部62に兼用させることができる。よって、開閉部64を軸支するための部材を別途設ける場合に比べ、保持部材60を小型化できる。
また、開閉部64が被固定部62に軸支されることにより、保持部61、被固定部62、開閉部64、及び、キャッチクリップ65をユニット化することができる。これにより、そのユニット(保持部材60)を予め組み立てた状態で支持部材70に固定することができるので、保持部材60を支持部材70に容易に固定することができる。
また、被固定部62の一端側に位置する突出部62aに第3壁部64cが軸支され、ボルトBを挿通させる貫通孔(図示せず)が突出部62aよりも他端側に形成されるので、開閉部64の閉鎖状態においてボルトBを断面コ字状の開閉部64(第1~第3壁部64a~64c)によって取り囲むことができる。よって、例えば、雨水等でボルトBが腐食することや、外部からの衝撃によってボルトBが破損することを抑制できる。
また、蝶番63や係合部65bを固定するための部材(本実施形態では、ボルトやナット)も同様に、開閉部64によって取り囲まれる空間内に設けられる。これにより、蝶番63や係合部65bを固定するための部材を保持空間側に設けることを不要にできるので、かかる部材がスコップSの握り部S2に接触することを抑制できる。よって、握り部S2に傷が生じることを抑制できる。
また、本実施形態では、開閉部64の第3壁部64cが被固定部62の一端側で軸支されるので、第1壁部64aの回転軸を被固定部62の一端側に位置させることができる。即ち、第1壁部64aを挟んで保持空間とは反対側に第1壁部64aの回転軸を位置させることができるので、握り部S2が当接して第1壁部64aが回転した場合、その第1壁部64aの回転に握り部S2を干渉させることができる。
これにより、例えば、キャッチクリップ65によるロックが解除された状態でタンクローリ1が走行し、握り部S2が第1壁部64aに向けて変位しても、開閉部64(第1壁部64a)の閉鎖状態が解除されることを抑制できる。よって、保持部材60から握り部S2が抜け落ちることを抑制できる。
更に、被固定部62から上方に突出する突出部62aに第3壁部64cが軸支されるので、支持部材70から所定間隔を隔てた位置で第3壁部64cを軸支することができる。これにより、スコップSの握り部S2が変位して第1壁部64aに当接しても、その当接による力が第1壁部64aの回転方向に作用することを抑制できるので、保持部材60から握り部S2が抜け落ちることをより効果的に抑制できる。なお、突出部62aの突出寸法は、第1壁部64aの回転軸(蝶番63の軸)が握り部S2の半径よりも長く設定されることが好ましい。これにより、握り部S2の当接による力が第1壁部64aの回転方向(開閉部64の閉鎖状態を解除する回転方向)に作用することをより効果的に抑制できる。
次いで、図5を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、固定具5がサイドガード31に固定され、開閉部64が断面コ字状に形成される場合を説明したが、第2実施形態では、固定具205が弁計器箱32に固定され、開閉部264が平板状に形成される場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5(a)は、第2実施形態におけるタンクローリ201の部分拡大側面図であり、図5(b)は、スコップSの握り部S2を保持空間に挿入する様子を示す保持部材260の部分拡大側面図である。なお、図5では、図面を簡素化するために、タンクローリ201の一部の図示を省略している。
図5(a)に示すように、タンクローリ201の固定具205は、弁計器箱32の側面(タンクローリ201の前方側(図5(a)の左側)に位置する面)に固定される。よって、本実施形態では、弁計器箱32の側面が請求項に記載される「固定面」に相当する。
支持部材70の上下方向における寸法は、弁計器箱32の上下方向における寸法よりも小さく設定され、その支持部材70の下端部に被挿入部材50が配設される。これにより、スコップSのさじ部S1の先端が被挿入部材50の下端から露出される場合でも、支持部材70が所定の厚み(さじ部S1の刃先が弁計器箱32の側面に接触しない程度の厚み)を有しているので、さじ部S1の先端を弁計器箱32の側面から離間させた状態でスコップSを保持することができる。よって、さじ部S1の先端が支持部材70や弁計器箱32に接触することを抑制できるので、さじ部S1の先端(刃先)又は弁計器箱32に傷が生じることを抑制できる。
保持部材260は、握り部S2を取り囲む態様で保持する保持部261と、その保持部261の支持部材70側(固定面側)の端部(一端)に連設されると共に保持部材260の一端側(図5(a)の上側)に延びる被固定部262と、その被固定部262に蝶番63によって軸支される開閉部264と、その開閉部264の閉鎖状態をロックするための蝶ねじ265と、を備える。
保持部261は、一端側が開放される断面コ字状の板状体である。保持部261の前面側の部位を構成する壁部の上端は、支持部材70側とは反対側に屈曲されることで屈曲部261aが形成される。屈曲部261aには上下に貫通するめねじ孔(図示せず)が形成される。
被固定部262は、突出部62aが省略される点を除き、第1実施形態の被固定部62と同一の構成とされる。開閉部264は、ボルトBよりも保持部261側で蝶番63によって被固定部262に軸支される。開閉部264は、保持部261の上端側(一端側)の開放部分を開閉する板状体であり、その前端側の部位が保持部261の屈曲部261aに当接(面接触)することで保持部261の保持空間の一端側が閉鎖される。
屈曲部261aのめねじ孔に連通されるめねじ孔(図示せず)が開閉部264に形成され、それら屈曲部261a及び開閉部264のめねじ孔に蝶ねじ265が螺着されることにより、開閉部264が閉鎖状態でロックされる。なお、本実施形態では、屈曲部261a及び開閉部264のそれぞれにめねじ孔が形成されるが、少なくとも一方にめねじ孔を形成し、他方は貫通孔でも良い。
図5(b)に示すように、スコップSを固定具205に固定する場合、被挿入部材50にスコップSのさじ部S1を挿入する。この時、開閉部264を開放状態にしておくことで、さじ部S1を被挿入部材50に挿入する方向と、握り部S2を保持部261に挿入する方向(矢印A3参照)とを略同一の方向とすることができる。
更に、さじ部S1や握り部S2の挿入方向が重力方向となるので、被挿入部材50および保持部材260にスコップSを容易に挿入することができる。また、さじ部S1や握り部S2の挿入方向が重力方向となるので、タンクローリ201の走行時等に振動が生じても、被挿入部材50や保持部材260から握り部S2が抜け落ちることを抑制できる。
開閉部264の閉鎖状態において保持部261と開閉部264とによって取り囲まれる保持空間は、握り部S2の直径よりも大きい寸法で形成されているので、第1実施形態の固定具5と同様、様々な直径(形状)の握り部を保持部材260によって保持することができる。よって、スコップSのサイズや形状に関するユーザの要望に対応することができると共に、力を入れて握り部S2を着脱することを不要にできる。
また、断面コ字状に形成される保持部261の一端から上方側に被固定部262が延び、その被固定部262に開閉部264が軸支されるので、保持部材360を支持部材70に固定する機能と、開閉部264を軸支する機能とを被固定部262に兼用させることができる。また、開閉部264が被固定部262に軸支されることにより、保持部261、被固定部262、開閉部264をユニット化することができる。よって、保持部材260を支持部材70に容易に固定することができる。
また、板状体からなる開閉部264の支持部材70側(固定面側)の端部が被固定部262に直接軸支されるので、蝶ねじ265によるロックを解除した状態で保持部261から握り部S2を取り出すことにより、握り部S2を開閉部264に当接させて開閉部264を回転させることができる。これにより、保持部261から握り部S2を取り出すことで開閉部264の閉鎖状態を解除することができるので、スコップSを固定具205から容易に取り外すことができる。
次いで、図6を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態および第2実施形態では、保持部61,261が断面コ字状に形成される(一端側のみが開放される)場合を説明したが、第3実施形態では、保持部361が断面L字状に形成される場合について説明する。なお、上述した第1,2実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6(a)は、第3実施形態における固定具305の部分拡大側面図であり、図6(b)は、スコップSの握り部S2を保持空間に挿入する様子を示す固定具305の部分拡大側面図である。なお、図6では、図面を簡素化するために、タンクローリの一部の図示を省略している。
図6(a)に示すように、固定具305の保持部材360は、握り部S2の前端側および下端側を取り囲む保持部361と、その保持部361の支持部材70側(固定面側)の壁部に連設されると共に後端側(一端側)に延びる被固定部262と、その被固定部262に蝶番63によって軸支される開閉部364と、その開閉部364及び保持部361に配設されるキャッチクリップ65と、を備える。
保持部361及び開閉部364は、断面L字状の板状体であり、それら保持部361及び開閉部364の屈曲部分を対角方向で対向させることで矩形の保持空間が形成される。キャッチクリップ65のフック65aは、保持部361の他端側の外面に固定され、係合部65bは、開閉部364の閉鎖状態において保持空間の上方側に位置する開閉部364(壁部)の外面に固定される。
開閉部364は、ボルトBよりも保持部361側で蝶番63によって被固定部262に軸支される。蝶番63に軸支される側とは反対側の開閉部364の端部が、保持部361の他端側の壁部の上端面に当接することで保持部361の保持空間が閉鎖される。
図6(b)に示すように、スコップSを固定具305に固定する場合、被挿入部材50(図2参照)にスコップSのさじ部S1を挿入する。この時、開閉部364を開放状態にしておくことで、さじ部S1を被挿入部材50に挿入する方向と、握り部S2を保持部361に挿入する方向(矢印A4参照)とを略同一の方向とすることができる。よって、被挿入部材50及び保持部材360にスコップSを容易に挿入することができる。
開閉部364の閉鎖状態において保持部361と開閉部364とによって取り囲まれる保持空間は、握り部S2の直径よりも大きい寸法で形成されているので、第1実施形態の固定具5と同様、様々な直径(形状)の握り部を保持部材360によって保持することができる。よって、スコップSのサイズや形状に関するユーザの要望に対応することができると共に、力を入れて握り部S2を着脱することを不要にできる。
また、断面L字状に形成される保持部361の一端から後方側に被固定部262が延び、その被固定部262に開閉部364が軸支されるので、保持部材360を支持部材70に固定する機能と、開閉部364を軸支する機能とを被固定部262に兼用させることができる。また、開閉部364が被固定部262に軸支されることにより、保持部361、被固定部262、開閉部364、及び、キャッチクリップ65をユニット化することができる。よって、保持部材360を支持部材70に容易に固定することができる。
また、断面L字状に形成される開閉部364の下端側の部位が被固定部262に直接軸支されるので、キャッチクリップ65によるロックを解除した状態で保持部361から握り部S2を取り出すことにより、握り部S2を開閉部364に当接させて開閉部364を回転させることができる。これにより、保持部361から握り部S2を取り出すことで開閉部364の閉鎖状態を解除することができるので、スコップSを固定具305から容易に取り外すことができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施の形態における固定具5,205,305の一部または全部を、他の実施の形態における固定具5,205,305の一部または全部と組み合わせてタンクローリを構成しても良い。
上記各実施形態では、被挿入部材50の挿入空間の寸法についての説明を省略したが、被挿入部材50の挿入空間の寸法は、スコップSのさじ部S1の形状やサイズによって適宜設定できる。よって、例えば、さじ部S1の肩部側(握り部S2側)の幅寸法よりもさじ部S1の先端側(刃先側)の幅寸法が大きい場合、さじ部S1の先端側の幅寸法よりも大きい寸法で被挿入部材50の挿入空間の幅を設定しても良い。
即ち、さじ部S1の幅寸法よりも被挿入部材50の挿入空間の幅寸法を大きくしても、保持部材60,260,360(握り部S2)回りにスコップSが回転することを被挿入部材50によって規制できるので、被挿入部材50及び保持部材60,260,360によってスコップSを保持することができる。このように、被挿入部材50によって単にスコップSの回転を規制する(さじ部S1の先端と被挿入部材50とを非接触にする)ように構成すれば、さじ部S1の刃先に傷が生じることを抑制できる。
上記各実施形態では、被挿入部材50が矩形の枠状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、枠状の被挿入部材50の一部を適宜湾曲させることや、直線状や曲線状の部位を組み合わせることにより、さじ部S1の外形形状に対応させた枠状に形成しても良い。
上記各実施形態では、保持部61,261,361が断面コ字状やL字状に形成され、保持空間の一端側が開放される場合や、保持時空間の一端側と、上方側との双方が開放される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。被挿入部材50にスコップSのさじ部S1を挿入しつつ、保持部に握り部S2を挿入できる構成であれば、保持部の形状は適宜設定できる。
上記各実施形態では、保持部61,261,361や開閉部64,264,364によって取り囲まれる保持空間が矩形状である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、保持空間の形状は、三角形状や円形状等、適宜設定できる。
上記各実施形態では、保持部61,261,361と被固定部とを1部品(1枚の板状体)から構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、保持部と被固定部とを別部品で構成して溶接等によって連結する構成でも良い。また、保持部61,261,361の内部に配設されるボルトBやリベットによって支持部材70(固定面)に固定する構成でも良い。
上記各実施形態では、開閉部64,264,364の閉鎖状態をロックするロック部の一例として、キャッチクリップ65や蝶ねじ265を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、開閉部64,264,364の閉鎖状態のロックは、公知のロック機構(例えば、南京錠)を採用することが可能である。また、例えば、開閉部(保持部)に対して回転またはスライドするキー部材を開閉部(保持部)に設け、そのキー部材が嵌合可能な凹みや貫通孔から成る嵌合部を保持部(開閉部)に設けることでロックする構成でも良い。
上記各実施形態では、被挿入部材50や保持部材60,260,360が支持部材70を介してブラケット80や弁計器箱32(固定面)に固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、支持部材70を省略し、ブラケット80や弁計器箱32に被挿入部材50や保持部材60,260,360を直接固定しても良い。
上記各実施形態では、保持部材60,260,360を固定面側(支持部材70)に連結させるための連結部材の一例として、ボルトBを例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、保持部材60,260,360の固定面側(支持部材70)への連結をリベットや溶接によって行うことは当然可能である。
上記各実施形態では、支持部材70に複数の貫通孔71を形成することで保持部材60,260,360の固定位置を可変に構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、被挿入部材50の固定位置を可変に構成しても良いし、テレスコピック機構によって支持部材の長さを可変に構成しても良い。
上記各実施形態では、被挿入部材50、保持部材60,260,360、支持部材70、係止部材73、及び、ブラケット80を金属材料で形成することを想定しているが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、それらの各部材を他の材料(例えば、樹脂材料等)を用いて形成することは当然可能である。
上記第1実施形態では、開閉部64の第3壁部64cが被固定部62に軸支される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。保持部61の保持空間を開閉できる構成であれば、開閉部64を軸支する位置は適宜設定できる。
また、第2,3実施形態においても同様に、保持部261(前方側の壁部)の上端部分に開閉部264を軸支しても良いし、保持部361の上端部分に開閉部364を軸支しても良い。この場合には、被固定部262を一端側に延長させ、開閉部264,364の閉鎖状態をロックするためのロック部を配設可能な領域を形成すれば良い。