JP7145314B2 - 構造体、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサ - Google Patents

構造体、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサ Download PDF

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Description

本発明は、近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層と有彩色色素を含むカラーフィルタ層とを有する構造体に関する。また、構造体を含む光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには、カラー画像の固体撮像素子である、CCD(電荷結合素子)や、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)が用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用している。このため、近赤外線吸収層を設けて視感度補正を行うことがある。
例えば、特許文献1には、近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層と、近赤外線吸収層と厚み方向で隣接して配置された有彩色色素を含むカラーフィルタ層とを有する構造体を固体撮像素子などに用いることが記載されている。
また、近赤外線吸収層としては、近赤外線吸収色素を含むものなどが用いられている。近赤外線吸収色素の一つとして、スクアリリウム化合物が知られている。また、特許文献2、3には、近赤外線吸収色素である特定の構造のスクアリリウム化合物が記載されている。
国際公開第2018/163702号 国際公開第2018/230486号 特開2019-011455号公報
本発明者が近赤外線吸収層上にカラーフィルタ層を積層した構造体について鋭意検討したところ、このような構造体を長期間加熱すると、構造体の面方向で近赤外線遮蔽性のムラが生じやすい傾向にあることが分かった。
よって、本発明の目的は、長期間加熱後も近赤外線遮蔽性のムラの発生が抑制された構造体、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサを提供することにある。
本発明者の検討によれば、後述する構造体を用いることで上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下を提供する。
<1> 下記式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層と、
上記近赤外線吸収層と隣接して配置された有彩色色素を含むカラーフィルタ層と、を有し、
上記カラーフィルタ層は、2色以上の着色画素を有し、かつ、上記2色以上の着色画素のうち少なくとも1色の着色画素は塩基性色素誘導体を含む、構造体;
Figure 0007145314000001
式中、Rs119およびRs120はそれぞれ独立して置換基を表し、
およびAは、それぞれ独立して、酸素原子または-N(Rs125)-を表し、
Rs121~Rs125はそれぞれ独立して、水素原子または置換基を表し、
およびEはそれぞれ独立に炭素原子、ホウ素原子または-C(=O)-を表し、
が炭素原子の場合にはns32は2であり、ホウ素原子の場合にはns32は1であり、-C(=O)-の場合にはns32は0であり、
が炭素原子の場合にはns33は2であり、ホウ素原子の場合にはns33は1であり、-C(=O)-の場合にはns33は0であり、
ns30およびns31はそれぞれ独立に0~5の整数を表し、
ns30が2以上の場合は、複数のRs119は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs119のうち2個のRs119同士が結合して環を形成してもよく、
ns31が2以上の場合は、複数のRs120は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs120のうち2個のRs120同士が結合して環を形成してもよく、
ns32が2の場合は、2個のRs121は同一であっても異なっていてもよく、2個のRs121同士が結合して環を形成してもよく、
ns33が2の場合は、2個のRs122は同一であっても異なっていてもよく、2個のRs122同士が結合して環を形成してもよく、
Ar100はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
ns100は0~2の整数を表す。
<2> 上記式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素が、式(SQ2)で表される近赤外線吸収色素である、<1>に記載の構造体;
Figure 0007145314000002
式中、L41~L44はそれぞれ独立に、アルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基、複素環基、又は、これらを2以上結合した二価の基を表し、
41およびZ42はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-C(=O)-、-S-、-N(RN1)-、-S(=O)-、又は、-S(=O)-を表し、
41およびA42は、それぞれ独立して酸素原子または-N(RN2)-を表し、
N1およびRN2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、
Rs141およびRs142は、それぞれ独立して置換基を表し、
ns41およびns42はそれぞれ独立して0~5の整数を表し、
ns41が2以上の場合は、複数のRs141は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs141のうち2個のRs141同士が結合して環を形成してもよく、
ns42が2以上の場合は、複数のRs142は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs142のうち2個のRs142同士が結合して環を形成してもよい;
ただし、L41~L44がアルキレン基で、Z41およびZ42が単結合で、A41およびA42が-N(RN2)-の場合、ns41およびns42の少なくとも一方は1~5の整数である。
<3> 上記式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素が、式(SQ3)で表される近赤外線吸収色素である、<1>に記載の構造体;
Figure 0007145314000003
式中、Q、Q、Q、Q、Q11、Q14、Q15およびQ18は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す;
Rs~Rs、Rs11~Rs15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、スルホ基、-SO又はハロゲン原子を表し、Mは無機又は有機のカチオンを表し、RsとRs、Rs12とRs13は互いに結合して環を形成してもよい;
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、-NRX1X2、スルホ基、-SO、-SONRX1X2、-COORX3、-CONRX1X2、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Mは無機又は有機のカチオンを表し、RX1~RX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基又は複素環基を表し、RX1とRX2は互いに結合して環を形成してもよく、Rs21~Rs28、Rs31~Rs38のうち、隣接する基同士は互いに結合して環を形成してもよい;
が窒素原子の場合、Rs21は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs24は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs25は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs28は存在せず、Q11が窒素原子の場合、Rs31は存在せず、Q14が窒素原子の場合、Rs34は存在せず、Q15が窒素原子の場合、Rs35は存在せず、Q18が窒素原子の場合、Rs38は存在しない。
<4> 上記カラーフィルタ層は、赤色画素、青色画素および緑色画素を少なくとも有し、
上記赤色画素は塩基性色素誘導体を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の構造体。
<5> 上記赤色画素は有彩色色素と塩基性色素誘導体とを合計で50質量%以上含む、<4>に記載の構造体。
<6> 上記近赤外線吸収層は酸性色素誘導体を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の構造体。
<7> 上記酸性色素誘導体がスクアリリウム化合物である、<6>に記載の構造体。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載の構造体を含む光学フィルタ。
<9> <1>~<7>のいずれか1つに記載の構造体を含む固体撮像素子。
<10> <1>~<7>のいずれか1つに記載の構造体を含む画像表示装置。
<11> <1>~<7>のいずれか1つに記載の構造体を含む赤外線センサ。
本発明によれば、長期間加熱後も近赤外線遮蔽性のムラの発生が抑制された構造体、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサを提供することができる。
本発明の構造体の第1の実施形態を示す図である。 本発明の構造体の第2の実施形態を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定でのポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID(内径)×15.0cm)を用い、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N-メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
本明細書において、近赤外線とは波長700~2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。例えば、顔料は、23℃の水100gに対する溶解度および23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度がいずれも0.1g未満であることが好ましく、0.01g以下であることがより好ましい。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程を表すだけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
<構造体>
本発明の構造体は、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層と、近赤外線吸収層と隣接して配置された有彩色色素を含むカラーフィルタ層と、を有し、カラーフィルタ層は、2色以上の着色画素を有し、かつ、2色以上の着色画素のうち少なくとも1色の着色画素は塩基性色素誘導体を含むことを特徴とする。
本発明の構造体によれば、後述する実施例に示されるように、長期間高温での加熱処理(例えば、150℃で1000時間の加熱処理など)を行っても、近赤外線吸収層の分光特性の変動を抑制でき、そのため、近赤外線遮蔽性のムラの発生を抑制できる。このような効果が得られる理由は不明であるが、近赤外線吸収層が式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を含み、かつ、カラーフィルタ層の着色画素のうち少なくとも1色の着色画素が塩基性色素誘導体を含むことにより、加熱に伴う近赤外線吸収色素の分解や変性、カラーフィルタ層側への近赤外線吸収色素の移動などを抑制できたためであると推測される。
また、本発明者の検討によれば、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層上にカラーフィルタ層を積層した構造体を長期間高温で加熱処理すると、カラーフィルタ層の赤色画素の領域について、他の色相の着色画素の領域よりも近赤外線遮蔽性のムラが生じやすい傾向にあることを見出した。したがって、赤色画素に塩基性色素誘導体を含有させることで、近赤外線遮蔽性のムラの発生をより効果的に抑制することができる。以下、本発明の構造体について、図面を併せて参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1に本発明の構造体の第1の実施形態を示す。図1において、符号1は支持体である。支持体1の材料としては特に限定はない。用途に応じて適宜選択できる。例えば、シリコン、無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどの材質で構成された基板が挙げられる。これらの基板上には、有機膜や無機膜などが形成されていてもよい。また、支持体としては、樹脂で構成された基板を用いることもできる。また、支持体上には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、支持体上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、支持体上には、必要により、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。また、支持体としてガラス基板を用いる場合においては、ガラス基板上に無機膜を形成したり、ガラス基板を脱アルカリ処理して用いることが好ましい。この態様によれば、異物の発生が抑制された膜を製造しやすい。
図1に示されるように、この構造体101は、支持体1上に近赤外線吸収層10が設けられている。近赤外線吸収層10は、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を含む。式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素は顔料であることが好ましい。
Figure 0007145314000004
式中、Rs119およびRs120はそれぞれ独立して置換基を表し、
およびAは、それぞれ独立して、酸素原子または-N(Rs125)-を表し、
Rs121~Rs125はそれぞれ独立して、水素原子または置換基を表し、
およびEはそれぞれ独立に炭素原子、ホウ素原子または-C(=O)-を表し、
が炭素原子の場合にはns32は2であり、ホウ素原子の場合にはns32は1であり、-C(=O)-の場合にはns32は0であり、
が炭素原子の場合にはns33は2であり、ホウ素原子の場合にはns33は1であり、-C(=O)-の場合にはns33は0であり、
ns30およびns31はそれぞれ独立に0~5の整数を表し、
ns30が2以上の場合は、複数のRs119は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs119のうち2個のRs119同士が結合して環を形成してもよく、
ns31が2以上の場合は、複数のRs120は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs120のうち2個のRs120同士が結合して環を形成してもよく、
ns32が2の場合は、2個のRs121は同一であっても異なっていてもよく、2個のRs121同士が結合して環を形成してもよく、
ns33が2の場合は、2個のRs122は同一であっても異なっていてもよく、2個のRs122同士が結合して環を形成してもよく、
Ar100はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
ns100は0~2の整数を表す。
Rs119およびRs120が表す置換基としては、置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、スルホ基および-SOMが好ましい。Mは無機又は有機のカチオンを表す。Mが表す無機又は有機のカチオンとしては、公知のものが制限なく採用できる。例えば、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
およびAは、それぞれ独立して、酸素原子または-N(Rs125)-を表し、-N(Rs125)-であることが好ましい。
Rs121~Rs125が表す置換基としては、後述する置換基Tで説明する基が挙げられる。Rs123~Rs125は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。また、Rs121~Rs125はそれぞれ独立して置換基であることが好ましい。
およびEはそれぞれ独立に炭素原子、ホウ素原子または-C(=O)-を表し、炭素原子を表すことが好ましい。また、Eが炭素原子で、かつ、2個のRs121同士が結合して環を形成しており、Eが炭素原子で、かつ、2個のRs122同士が結合して環を形成していることがより好ましい。Rs121同士が結合して形成される環、および、Rs122同士が結合して形成される環としては、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、芳香族環であってもよく、非芳香族環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。Rs121同士が結合して形成される環、および、Rs122同士が結合して形成される環としては、縮合環であることが好ましく、3環以上の縮合環であることがより好ましい。また、Rs121同士が結合して形成される環、および、Rs122同士が結合して形成される環は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、後述する置換基Tで説明する基が挙げられる。
ns30およびns31はそれぞれ独立に0~5の整数を表し、0~4が好ましく、0~3がより好ましく、0~2が更に好ましく、0または1がより一層好ましい。ns30が2以上の場合は、複数のRs119は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs119のうち2個のRs119同士が結合して環を形成してもよく、ns31が2以上の場合は、複数のRs120は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs120のうち2個のRs120同士が結合して環を形成してもよい。Rs119同士が結合して形成される環、および、Rs120同士が結合して形成される環は、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、芳香族環であってもよく、非芳香族環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。Rs119同士が結合して形成される環、および、Rs120同士が結合して形成される環は、5員環若しくは6員環の炭化水素環または複素環であることが好ましく、5員環若しくは6員環の炭化水素環であることがより好ましい。
Ar100はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基およびヘテロアリーレン基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。アリーレン基およびヘテロアリーレン基としては、下記式(Ar-1)~(Ar-7)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 0007145314000005
式中、Xa~Xaはそれぞれ独立して、硫黄原子、酸素原子またはNRxを表し、Rxは水素原子または置換基を表し、*は結合手を表す。Rxが表す置換基としては、後述する置換基Tで説明する基が挙げられる。
ns100は0~2の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素は、式(SQ2)で表される近赤外線吸収色素であることが好ましい。
Figure 0007145314000006
式中、L41~L44はそれぞれ独立に、アルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基、複素環基、又は、これらを2以上結合した二価の基を表し、
41およびZ42はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-C(=O)-、-S-、-N(RN1)-、-S(=O)-、又は、-S(=O)-を表し、
41およびA42は、それぞれ独立して酸素原子または-N(RN2)-を表し、
N1およびRN2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、
Rs141およびRs142は、それぞれ独立して置換基を表し、
ns41およびns42はそれぞれ独立して0~5の整数を表し、
ns41が2以上の場合は、複数のRs141は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs141のうち2個のRs141同士が結合して環を形成してもよく、
ns42が2以上の場合は、複数のRs142は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs142のうち2個のRs142同士が結合して環を形成してもよい;
ただし、L41~L44がアルキレン基で、Z41およびZ42が単結合で、A41およびA42が-N(RN2)-の場合、ns41およびns42の少なくとも一方は1~5の整数である。
41~L44はそれぞれ独立に、アルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基、複素環基、又は、これらを2以上結合した二価の基を表す。アルキレン基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキレン基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。アルキニレン基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がより好ましく、2~8が特に好ましい。アルキニレン基は直鎖、分岐のいずれでもよい。アルキニレン基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリーレン基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。複素環基は、単環の複素環基または縮合数が2~8の縮合環の複素環基が好ましく、単環の複素環基または縮合数が2~4の縮合環の複素環基がより好ましく、単環の複素環基が更に好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。複素環基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
41~L44はそれぞれ独立に、アリーレン基または複素環基であることが好ましく、アリーレン基であることがより好ましい。
41およびZ42はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-C(=O)-、-S-、-N(RN1)-、-S(=O)-、又は、-S(=O)-を表し、単結合であることが好ましい。
41およびA42は、それぞれ独立して酸素原子または-N(RN2)-を表し、-N(RN2)-であることが好ましい。RN2は水素原子であることが好ましい。
N1およびRN2が表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。RN1およびRN2が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
Rs141およびRs142が表す置換基としては、置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、スルホ基および-SOMが好ましい。Mは無機又は有機のカチオンを表す。Mが表す無機又は有機のカチオンとしては、公知のものが制限なく採用できる。例えば、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
ns41およびns42はそれぞれ独立して0~5の整数を表し、0~4が好ましく、0~3がより好ましく、0~2が更に好ましく、0または1がより一層好ましい。ns41が2以上の場合は、複数のRs141は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs141のうち2個のRs141同士が結合して環を形成してもよく、ns42が2以上の場合は、複数のRs142は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs142のうち2個のRs142同士が結合して環を形成してもよい。Rs141同士が結合して形成される環、および、Rs142同士が結合して形成される環は、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、芳香族環であってもよく、非芳香族環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。Rs141同士が結合して形成される環、および、Rs142同士が結合して形成される環は、5員環若しくは6員環の炭化水素環または複素環であることが好ましく、5員環若しくは6員環の炭化水素環であることがより好ましい。
式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素は、式(SQ3)で表される近赤外線吸収色素であることが好ましい。
Figure 0007145314000007
式中、Q、Q、Q、Q、Q11、Q14、Q15およびQ18は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す;
Rs~Rs、Rs11~Rs15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、スルホ基、-SO又はハロゲン原子を表し、Mは無機又は有機のカチオンを表し、RsとRs、Rs12とRs13は互いに結合して環を形成してもよい;
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、-NRX1X2、スルホ基、-SO、-SONRX1X2、-COORX3、-CONRX1X2、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Mは無機又は有機のカチオンを表し、RX1~RX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基又は複素環基を表し、RX1とRX2は互いに結合して環を形成してもよく、Rs21~Rs28、Rs31~Rs38のうち、隣接する基同士は互いに結合して環を形成してもよい;
が窒素原子の場合、Rs21は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs24は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs25は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs28は存在せず、Q11が窒素原子の場合、Rs31は存在せず、Q14が窒素原子の場合、Rs34は存在せず、Q15が窒素原子の場合、Rs35は存在せず、Q18が窒素原子の場合、Rs38は存在しない。
、Q、Q、Q、Q11、Q14、Q15およびQ18は、炭素原子であることが、耐熱性や耐光性などの各種耐性の観点で好ましい。
Rs~Rs、Rs11~Rs15が表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
Rs~Rs、Rs11~Rs15が表す-SOにおいて、Mの無機又は有機のカチオンとしては、公知のものが制限なく採用できる。例えば、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
Rs~Rs、Rs11~Rs15が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
RsとRs、Rs12とRs13は互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、芳香族環であってもよく、非芳香族環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。形成される環は、5員環若しくは6員環の炭化水素環または複素環であることが好ましく、5員環若しくは6員環の炭化水素環であることがより好ましい。
Rs~Rsは、耐性付与の観点から、Rs~Rsが水素原子であるか、または、Rs~Rsのうち4つが水素原子で、1つがスルホ基、-SOもしくはハロゲン原子であることが好ましい。これらの中でも、Rs~Rsが水素原子であるか、または、Rs~Rsのうち4つが水素原子であり、1つがスルホ基もしくはハロゲン原子であることが特に好ましい。また、Rs11~Rs15は、耐性付与の観点から、Rs11~Rs15が水素原子であるか、または、Rs11~Rs15のうち4つが水素原子で、1つがスルホ基、-SOもしくはハロゲン原子であることが好ましい。これらの中でも、Rs11~Rs15が水素原子であるか、または、Rs11~Rs15のうち4つが水素原子であり、1つがスルホ基もしくはハロゲン原子であることが特に好ましい。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38が表すアルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38が表すアルケニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がより好ましく、2~8が特に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐のいずれでもよく、直鎖が好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38が表すアリール基およびアリールオキシ基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリール基およびアリールオキシ基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38が表すアラルキル基の炭素数は、7~40が好ましく、7~30がより好ましく、7~25が更に好ましい。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38が表す-SOにおいて、Mの無機又は有機のカチオンとしては、公知のものが制限なく採用できる。例えば、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38が表す、-NRX1X2、-SONRX1X2、-COORX3及び-CONRX1X2において、RX1~RX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基又は複素環基を表す。
X1~RX3が表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
X1~RX3が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
X1~RX3が表す複素環基は、単環の複素環基または縮合数が2~8の縮合環の複素環基が好ましく、単環の複素環基または縮合数が2~4の縮合環の複素環基がより好ましく、単環の複素環基が更に好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。複素環基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。複素環基の具体例としては、ピリジニル基などが挙げられる。ピリジニル基は置換基を有していてもよい。
X1~RX3が表すアシル基としては、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が挙げられる。アルキルカルボニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~15がより好ましく、2~8が更に好ましい。アリールカルボニル基の炭素数は、7~30が好ましく、7~20がより好ましく、7~12が更に好ましい。アルキルカルボニル基のアルキル部位、および、アリールカルボニル基のアリール部位は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
-NRX1X2、-SONRX1X2及び-CONRX1X2において、RX1とRX2は互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、5員環または6員環であることが好ましい。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38のうち、隣接する基同士は互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、芳香族環であってもよく、非芳香族環であってもよい。また、炭化水素環および複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。形成される環は、5員環若しくは6員環の炭化水素環または複素環であることが好ましく、5員環若しくは6員環の炭化水素環であることがより好ましい。
Rs21~Rs28、Rs31~Rs38は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、-NRX1X2、スルホ基、-SO、-COORX3、ニトロ基又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
(置換基T)
置換基Tとしては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、-ORt、-CORt、-COORt、-OCORt、-NRtRt、-NHCORt、-CONRtRt、-NHCONRtRt、-NHCOORt、-SRt、-SORt、-SOORt、-NHSORt、-SONRtRtおよび-SOMtが挙げられる。RtおよびRtは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。RtとRtが結合して環を形成してもよい。Mtは無機又は有機のカチオンを表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がより好ましく、2~8が特に好ましい。アルケニル基は直鎖および分岐のいずれでもよい。
アルキニル基の炭素数は、2~40が好ましく、2~30がより好ましく、2~25が特に好ましい。アルキニル基は直鎖および分岐のいずれでもよい。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
複素環基は、単環の複素環基または縮合数が2~8の縮合環の複素環基が好ましく、単環の複素環基または縮合数が2~4の縮合環の複素環基がより好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基および複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した置換基Tで説明した置換基が挙げられる。
Mtが表す無機又は有機のカチオンとしては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
なお、式(SQ1)においてカチオンは、非局在化して存在している。例えば、下記構造の化合物において、カチオンは以下のように非局在化して存在している。
Figure 0007145314000008
式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素は、波長700~1300nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましく、波長700~1000nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることがより好ましい。
式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の具体例としては、下記構造の化合物、特開2019-011455号公報の段落番号0224~0341に記載の化合物、国際公開第2018/230486号の段落番号0221~0377に記載の化合物が挙げられる。
Figure 0007145314000009
Figure 0007145314000010
Figure 0007145314000011
Figure 0007145314000012
Figure 0007145314000013
Figure 0007145314000014
Figure 0007145314000015
Figure 0007145314000016
Figure 0007145314000017
Figure 0007145314000018
Figure 0007145314000019
近赤外線吸収層10中の式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、近赤外線吸収色素の含有量の上限は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。近赤外線吸収層は式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収層10は、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素以外の他の近赤外線吸収剤を含有することができる。他の近赤外線吸収剤としては、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物、ジチオレン金属錯体、金属酸化物、金属ホウ化物等が挙げられる。
近赤外線吸収層10中の他の近赤外線吸収剤の含有量は、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく30質量部以下であることが更に好ましい。また、近赤外線吸収層10中の式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素と他の近赤外線吸収剤との合計の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。上記合計の含有量の上限は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。近赤外線吸収層は他の近赤外線吸収剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、近赤外線吸収層10は他の近赤外線吸収剤を実質的に含有しないことも好ましい。他の近赤外線吸収剤を実質的に含有しないとは、近赤外線吸収層10中における他の近赤外線吸収剤の含有量が0.5質量%以下であることを意味し、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、他の近赤外線吸収剤を含有しないことが特に好ましい。
近赤外線吸収層10は、色素誘導体を含有することができる。色素誘導体は、酸性色素誘導体及び塩基性色素誘導体のいずれでもよいが、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の分散性の観点から酸性色素誘導体であることが好ましい。また、酸性色素誘導体はスクアリリウム化合物であることも好ましい。また、スクアリリウム化合物は、後述する(SQ-a)で表される部分構造を含むπ共役平面を有する化合物であることが好ましい。
酸性色素誘導体としては、色素骨格に、酸基が結合した化合物が挙げられる。酸基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、ボロン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基及びこれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。酸性色素誘導体の酸基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、ボロン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基及びこれらの塩が好ましく、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基及びこれらの塩がより好ましく、スルホ基、カルボキシル基、及びこれらの塩が更に好ましく、スルホ基が特に好ましい。
塩基性色素誘導体としては、色素骨格に、塩基性基が結合した化合物が挙げられる。塩基性基としては、アミノ基、ピリジニル基およびその塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。塩基性基としては、アミノ基、ピリジニル基およびその塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が好ましく、アミノ基、フタルイミドメチル基がより好ましく、アミノ基が更に好ましい。
色素誘導体としては、式(B1)で表される化合物であることが好ましい。また、酸性色素誘導体は式(B1)のXが酸基で表される化合物であることが好ましい。また、塩基性色素誘導体は式(B1)のXが塩基性基で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007145314000020
式(B1)中、Pは色素骨格を表し、Lは単結合または連結基を表し、Xは酸基または塩基性を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のLおよびXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
式(B1)のPが表す色素骨格としては、スクアリリウム色素骨格、ピロロピロール色素骨格、ジケトピロロピロール色素骨格、キナクリドン色素骨格、アントラキノン色素骨格、ジアントラキノン色素骨格、ベンゾイソインドール色素骨格、チアジンインジゴ色素骨格、アゾ色素骨格、キノフタロン色素骨格、フタロシアニン色素骨格、ナフタロシアニン色素骨格、ジオキサジン色素骨格、ペリレン色素骨格、ペリノン色素骨格、ベンゾイミダゾロン色素骨格、ベンゾチアゾール色素骨格、ベンゾイミダゾール色素骨格およびベンゾオキサゾール色素骨格が挙げられ、スクアリリウム色素骨格、ピロロピロール色素骨格、ジケトピロロピロール色素骨格、フタロシアニン色素骨格、キナクリドン色素骨格、ベンゾイミダゾロン色素骨格から選ばれる少なくとも1種が好ましく、スクアリリウム色素骨格がより好ましい。
式(B1)のLが表す連結基としては、1~100個の炭素原子、0~10個の窒素原子、0~50個の酸素原子、1~200個の水素原子、および0~20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。例えば、炭化水素基、複素環基、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO-、-NR-、-NRCO-、-CONR-、-NRSO-、-SONR-およびこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。炭化水素基は脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、またはこれらの基から水素原子を1個以上除いた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~10がさらに好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。アリーレン基の炭素数は、6~18が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がさらに好ましい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。炭化水素基および複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tで挙げた基が挙げられる。また、Rが表すアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。Rが表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。Rが表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。Rが表すアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。
近赤外線吸収層10に含まれる色素誘導体は、波長700~1200nmの範囲に極大吸収波長を化合物であることも好ましく、波長700~1100nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることも好ましく、波長700~1000nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることも好ましい。上記波長の範囲に極大吸収波長を有する色素誘導体は、π平面の広がりが式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素と近づけやすくでき、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の吸着性が向上し、より優れた分散安定性が得られやすい。また、近赤外線吸収層10に含まれる色素誘導体は、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素に含まれるπ共役平面と同一の構造のπ共役平面を有する化合物であることも好ましい。また、顔料誘導体のπ共役平面に含まれるπ電子の数は8~100個であることが好ましい。上限は、90個以下であることが好ましく、80個以下であることがより好ましい。下限は10個以上であることが好ましく、12個以上であることがより好ましい。また、近赤外線吸収層10に含まれる色素誘導体は、下記式(SQ-a)で表される部分構造を含むπ共役平面を有するか、または、下記式(CR-a)で表される部分構造を含むπ共役平面を有する化合物であることも好ましく、下記式(SQ-a)で表される部分構造を含むπ共役平面を有する化合物であることがより好ましい。
Figure 0007145314000021
上記式中、波線は結合手を表す。
近赤外線吸収層10に含まれる色素誘導体は、下記式(Syn1)で表される化合物および下記式(Syn2)で表わされる化合物から選ばれる少なくとも1種であることも好ましく、式(Syn1)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0007145314000022
式(Syn1)中、RsyおよびRsyはそれぞれ独立して有機基を表し、Lは単結合またはp1+1価の基を表し、Aは酸基または塩基性を表し、p1およびq1はそれぞれ独立して1以上の整数を表す。p1が2以上の場合、複数のAは同一であってもよく、異なっていてもよい。q1が2以上の場合、複数のLおよびAは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(Syn2)中、RsyおよびRsyはそれぞれ独立して有機基を表し、Lは単結合またはp2+1価の基を表し、Aは酸基または塩基性を表し、p2およびq2はそれぞれ独立して1以上の整数を表す。p2が2以上の場合、複数のAは同一であってもよく、異なっていてもよい。q2が2以上の場合、複数のLおよびAは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(Syn1)のRsyおよびRsyが表す有機基、並びに、式(Syn2)のRsyおよびRsyが表す有機基としては、アリール基、ヘテロアリール基、下記式(R1)~(R7)で表される基が挙げられる。
Figure 0007145314000023
式(R1)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、Asはヘテロアリール基を表し、nr1は、0以上の整数を表し、RとRは、互いに結合して環を形成してもよく、RとAsは、互いに結合して環を形成してもよく、RとRは、互いに結合して環を形成してもよく、nr1が2以上の場合、複数のRおよびRはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよく、*は結合手を表す。
式(R2)中、環Zは1つまたは複数の置換基を有していてもよい、芳香族複素環または芳香族複素環を含む縮合環を表し、環Zは1つまたは複数の置換基を有していてもよい、4~9員の炭化水素環または複素環を表し、環Zおよび環Zが複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよく、*は結合手を表す。
式(R3)中、R11~R14はそれぞれ独立して、水素原子または置換基を表し、R11~R14のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよく、R20はアリール基またはヘテロアリール基を表し、R21は置換基を表し、X10はCOまたはSOを表す。
式(R4)中、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、R22とR23は、互いに結合して環を形成してもよく、X20は、酸素原子、硫黄原子、NR24、セレン原子またはテルル原子を表し、R24は水素原子または置換基を表し、X20がNR24である場合、R24とR22は互いに結合して環を形成してもよく、nr2は、0~5の整数を表し、nr2が2以上の場合、複数のR22は同一であってもよく、異なっていてもよく、複数のR22のうち2個のR22同士が結合して環を形成してもよく、*は結合手を表す。
式(R5)中、R35~R38はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、R35とR36、R36とR37、R37とR38は、互いに結合して環を形成してもよく、*は結合手を表す。
式(R6)中、R39~R45は互いに独立して、水素原子または置換基を表し、R39とR45、R40とR41、R40とR42、R42とR43、R43とR44、R44とR45は、互いに結合して環を形成してもよく、*は結合手を表す。
式(R7)中、X21は環構造を表し、R46~R50は互いに独立して、水素原子または置換基を表し、R47とR48は、互いに結合して環を形成してもよく、*は結合手を表す。
式(Syn1)のLが表すp1+1価の基、および、式(Syn2)のLが表すp2+1価の基としては、上述した式(B1)のLが表す連結基として説明した基が挙げられる。
色素誘導体の具体例としては、例えば下記構造の化合物が挙げられる。また、以下の構造式中、Phはフェニル基である。また、色素誘導体の具体例としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094に記載の化合物も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0007145314000024
Figure 0007145314000025
Figure 0007145314000026
Figure 0007145314000027
Figure 0007145314000028
Figure 0007145314000029
Figure 0007145314000030
近赤外線吸収層10中の色素誘導体の含有量は、1~30質量%であることが好ましい。含有量の下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、含有量の上限は、29質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
また、近赤外線吸収層10中の式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素と色素誘導体の含有量は、1~70質量%であることが好ましい。含有量の下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
また、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の100質量部に対して色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。含有量の下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。
近赤外線吸収層10は色素誘導体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収層10は、後述する近赤外線吸収層形成用組成物を用いて形成することができる。
近赤外線吸収層10の厚さは、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
近赤外線吸収層10は、波長700~1300nmの範囲に極大吸収波長を有することがより好ましく、700~1000nmの範囲に極大吸収波長を有することがさらに好ましい。また、波長500nmにおける吸光度Aと極大吸収波長における吸光度Aとの比率A/Aは、0.08以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。また、近赤外線吸収層は、以下の(T1)~(T4)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、(T1)~(T4)のすべての条件を満たすことがさらに好ましい。
(T1)波長400nmの光の透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
(T2)波長500nmの光の透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(T3)波長600nmの光の透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(T4)波長650nmの光の透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
近赤外線吸収層10は、波長400~650nmの全ての範囲での透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、波長700~1000nmの範囲の少なくとも1点での透過率が20%以下であることが好ましい。
図1に示されるように、この構造体101は、近赤外線吸収層10上に有彩色色素を含むカラーフィルタ層20が積層されている。本発明の構造体では、カラーフィルタ層20は、2色以上の着色画素を有し、2色以上の着色画素のうち少なくとも1色の着色画素は塩基性色素誘導体を含んでいる。塩基性色素誘導体としては上述したものが挙げられる。
カラーフィルタ層20における着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、黄色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素などが挙げられる。なお、図1に示す構造体101では、カラーフィルタ層20は3色の着色画素21、21、23を有しているが、カラーフィルタ層20が有する着色画素は、2色のみであってもよく、4色以上であってもよい。
カラーフィルタ層20に含まれる有彩色色素としては、赤色色素、緑色色素、青色色素、黄色色素、紫色色素およびオレンジ色色素などが挙げられる。有彩色色素は、顔料であってもよく、染料であってもよい。顔料と染料とを併用してもよい。また、顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでもよい。また、顔料には、無機顔料または有機-無機顔料の一部を有機発色団で置換した材料を用いることもできる。無機顔料や有機-無機顔料を有機発色団で置換することで、色相設計をしやすくできる。
顔料の平均一次粒子径は、1~200nmが好ましい。下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。上限は、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。なお、本発明において、顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた画像写真から求めることができる。具体的には、顔料の一次粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。また、本発明における平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子についての一次粒子径の算術平均値とする。また、顔料の一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
カラーフィルタ層20に含まれる有彩色色素は、顔料を含むものであることが好ましい。カラーフィルタ層20に含まれる有彩色色素中における顔料の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。顔料としては以下に示すものが挙げられる。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系)等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(アゾ系),296(アゾ系)等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン系)等(以上、青色顔料)。
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物などを用いることもできる。
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落番号0022~0030、特開2011-157478号公報の段落番号0047に記載の化合物が挙げられる。
また、黄色顔料として、特開2008-074985号公報に記載されている顔料、特開2008-074987号公報に記載されている化合物、特開2013-061622号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載されている着色剤、特開2016-145282号公報に記載されている顔料、特開2017-201003号公報に記載されている顔料、特開2017-197719号公報に記載されている顔料、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載されている顔料、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載されている顔料、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載されている顔料、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載されている顔料、特開2017-197640号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載されているキノフタロン系顔料、特開2018-203798号公報に記載されている顔料、特開2018-062578号公報に記載されている顔料、特開2018-155881号公報に記載されているキノフタロン系黄色顔料、特開2018-062644号公報に記載されている化合物、特許6432077号公報に記載されているキノフタロン化合物、特許6443711号公報に記載されている顔料を用いることもできる。
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。例えば、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が挙げられる。また、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物も好ましく用いることができる。また、黄色染料として、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物などを用いることもできる。
カラーフィルタ層20の着色画素21、22、23中の有彩色色素の含有量は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、40質量%以上がより一層好ましく、45質量%以上であることが更に一層好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。着色画素は有彩色色素を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の構造体において、カラーフィルタ層20は、2色以上の着色画素のうち少なくとも1色の着色画素は塩基性色素誘導体を含んでいればよい。すなわち、2色以上の着色画素の1色の着色画素が塩基性色素誘導体を含み、残りの着色画素は塩基性色素誘導体を含んでいなくてもよい。また、塩基性色素誘導体のかわりに酸性色素誘導体を含んでいてもよい。なかでも、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から、各色の着色画素のそれぞれ(図1の場合、着色画素21、22、23のそれぞれ)が塩基性色素誘導体を含んでいることが好ましい。
また、着色画素が塩基性色素誘導体を含む場合は、着色画素中の塩基性色素誘導体の含有量は、1~40質量%であることが好ましい。含有量の下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、含有量の上限は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。また、有彩色色素の100質量部に対して塩基性色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることが更に好ましい。また、含有量の上限は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の構造体においては、カラーフィルタ層20は、赤色画素、青色画素および緑色画素を少なくとも有し、赤色画素が塩基性色素誘導体を含むことが好ましい。この態様によれば、近赤外線遮蔽性のムラの発生をより効果的に抑制することができる。
赤色画素は、有彩色色素を20質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、40質量%以上含むことが更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
また、赤色画素は有彩色色素と塩基性色素誘導体とを合計で50質量%以上含むことが好ましく、52質量%以上含むことがより好ましく、55質量%以上含むことが更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、63質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
また、赤色画素は有彩色色素の100質量部に対して、塩基性色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。また、含有量の上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
赤色画素に含まれる有彩色色素は、赤色色素を少なくとも含むことが好ましい。赤色色素は、顔料および染料のいずれでもよいが、耐熱性および耐光性の観点から顔料であることが好ましい。赤色画素に含まれる有彩色色素は、赤色色素以外の有彩色色素を含むことができる。赤色色素以外の有彩色色素としては、上述した有彩色色素が挙げられ、黄色色素およびオレンジ色色素が好ましい。赤色画素に含まれる有彩色色素中における赤色色素の含有量は、20~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、40~100質量%であることが更に好ましい。
緑色画素は塩基性色素誘導体を含んでいなくてもよいが、発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から、塩基性色素誘導体を含んでいることが好ましい。
緑色画素は、有彩色色素を20質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、40質量%以上含むことが更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
また、緑色画素は、有彩色色素と塩基性色素誘導体とを合計で50質量%以上含むことが好ましく、52質量%以上含むことがより好ましく、55質量%以上含むことが更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、63質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
また、緑色画素は有彩色色素の100質量部に対して、色素誘導体(好ましくは塩基性色素誘導体)を1~50質量部含有することが好ましい。下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。また、含有量の上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
また、緑色画素に含まれる有彩色色素は、緑色色素を少なくとも含むことが好ましい。緑色色素は、顔料および染料のいずれでもよいが、耐熱性および耐光性の観点から顔料であることが好ましい。緑色画素に含まれる有彩色色素は、緑色色素以外の有彩色色素を含むことができる。緑色色素以外の有彩色色素としては、上述した有彩色色素が挙げられ、黄色色素であることが好ましい。緑色画素に含まれる有彩色色素中における緑色色素の含有量は、20~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、40~100質量%であることが更に好ましい。
青色画素は塩基性色素誘導体を含んでいなくてもよいが、発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から、塩基性色素誘導体を含んでいることが好ましい。
青色画素は、有彩色色素を20質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、40質量%以上含むことが更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
また、青色画素は、有彩色色素と塩基性色素誘導体とを合計で50質量%以上含むことが好ましく、52質量%以上含むことがより好ましく、55質量%以上含むことが更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、63質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
また、青色画素は有彩色色素の100質量部に対して、色素誘導体(好ましくは塩基性色素誘導体)を1~50質量部含有することが好ましい。下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。また、含有量の上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
また、青色画素に含まれる有彩色色素は、青色色素を少なくとも含むことが好ましい。青色色素は、顔料および染料のいずれでもよいが、耐熱性および耐光性の観点から顔料であることが好ましい。青色画素に含まれる有彩色色素は、青色色素以外の有彩色色素を含むことができる。青色色素以外の有彩色色素としては、上述した有彩色色素が挙げられ、紫色着色剤であることが好ましい。青色画素に含まれる有彩色色素中における青色色素の含有量は、20~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、40~100質量%であることが更に好ましい。
カラーフィルタ層20の各着色画素は、後述する着色画素形成用組成物を用いて形成することができる。
本発明の構造体において、カラーフィルタ層20の各着色画素21、22、23のサイズ(幅)は0.5~20.0μmであることが好ましい。下限は、0.6μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましい。上限は、10.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、2.0μm以下であることが更に好ましく、1.8μm以下であることがより一層好ましく、1.4μm以下であることが更に一層好ましい。
本発明の構造体において、カラーフィルタ層20の各着色画素21、22、23の厚さは、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
図示しないが、本発明の構造体は、カラーフィルタ層20上に酸素遮蔽膜が設けられていてもよい。酸素遮蔽膜は、カラーフィルタ層20と接していてもよく、カラーフィルタ層20と酸素遮蔽膜との間に他の層が介在していてもよい。他の層としては、平坦化層、レンズ剤などが挙げられる。酸素遮蔽膜は空気層とレンズ剤間の反射防止を抑制するという理由から構造体の最外層に配置されていることが好ましい。
酸素遮蔽膜は、SiO、SiN、Al、CaO、Fe、MgO、GaO、ZrO、TiO、CaFなどの無機材料や、テトラエトキシシラン、オルトチタン酸テトラエチル、テトラメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどのアルコキシ基含有化合物や、有機ポリマーなどを用いて形成することができる。有機ポリマーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド類、水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ポリビニルエーテルと無水マレイン酸との重合体、エチレンオキサイド重合体、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースの水溶性塩等のセルロース類、アラビアゴム、含アルコキシシラン基ポリマー等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
酸素遮蔽膜の膜厚は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがより好ましい。酸素遮蔽膜の膜厚の下限値は、特に定めるものではないが、例えば0.05μm以上とすることができる。
酸素遮蔽膜の酸素透過率は、200ml/m・day・atm以下であることが好ましく、150ml/m・day・atm以下であることがより好ましく、100ml/m・day・atm以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されないが、0ml/m・day・atmが好ましい。酸素遮蔽膜の酸素透過率は、例えば、以下のようにして測定することができる。酸素電極としてオービスフェアラボラトリーズジャパンインク製model3600を使用する。電極隔膜としては、ポリフルオロアルコキシ(PFA)2956Aを使用する。電極隔膜にシリコーングリス(SH111、東レダウコーニング(株)製)を薄く塗布し、その上に測定する薄膜材料を貼付し、酸素濃度値を測定する。なお、シリコーングリスの塗布膜は、酸素透過率に影響を与えないことが確認されている。次に、酸素濃度値に対する酸素透過率(ml/m・day・atm)を換算する。
酸素遮蔽膜については、特開2014-089408号公報の段落番号0153~0162の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の構造体は、さらに、銅を含有する層、誘電体多層膜、紫外線吸収層などを有していてもよい。紫外線吸収層としては、例えば、国際公開第2015/099060号の段落番号0040~0070、0119~0145に記載された吸収層が挙げられる。誘電体多層膜としては、特開2014-041318号公報の段落番号0255~0259に記載された誘電体多層膜が挙げられる。銅を含有する層としては、銅を含有するガラスで構成されたガラス基板(銅含有ガラス基板)や、銅錯体を含む層(銅錯体含有層)を用いることもできる。銅含有ガラス基板としては、銅を含有する燐酸塩ガラス、銅を含有する弗燐酸塩ガラスなどが挙げられる。銅含有ガラスの市販品としては、NF-50(AGCテクノグラス(株)製)、BG-60、BG-61(以上、ショット社製)、CD5000(HOYA(株)製)等が挙げられる。
なお、図1に示す構造体101は、近赤外線吸収層10上にカラーフィルタ層20が積層されているが、近赤外線吸収層10とカラーフィルタ層20との積層順序が入れ替えられていてもよい。すなわち、支持体1上に、カラーフィルタ層20、近赤外線吸収層10の順に各層が積層されていてもよい。また、近赤外線吸収層10とカラーフィルタ層20の間に中間層を有していてもよい。近赤外線吸収層10およびカラーフィルタ層20は厚み方向で隣接していてもよく、平面方向(厚み方向の垂直方向)に隣接していてもよいが、厚み方向で隣接していることが好ましい。厚み方向で隣接する場合、図1に示すように、支持体1上に、近赤外線吸収層10、カラーフィルタ層20の順に各層が積層されていることが好ましい。
(第2の実施形態)
図2に本発明の構造体の第2の実施形態を示す。この構造体102は、支持体1上に、近赤外線吸収層10と、近赤外線透過フィルタ層30とが設けられている。そして、近赤外線吸収層10上には、カラーフィルタ層20が積層している。
支持体1、近赤外線吸収層10およびカラーフィルタ層20については、第1の実施形態で説明したものと同義である。
近赤外線透過フィルタ層30は、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタ層である。近赤外線透過フィルタ層30は、可視光の少なくとも一部を遮光し、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタ層であることが好ましい。近赤外線透過フィルタ層30としては、波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である分光特性を満たしているフィルタ層などが好ましく挙げられる。近赤外線透過フィルタ層30は、以下の(IP1)~(IP4)のいずれかの分光特性を満たしているフィルタ層であることが好ましい。
(IP1):波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長800~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
(IP2):波長400~750nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長900~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
(IP3):波長400~830nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1000~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
(IP4):波長400~950nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
近赤外線透過フィルタ層としては、特開2014-130338号公報、特開2013-077009号公報、国際公開第2015/166779号などに記載された組成物を用いて形成することができる。
<近赤外線吸収層形成用組成物>
次に、近赤外線吸収層形成用組成物について説明する。この近赤外線吸収層形成用組成物は、本発明の構造体の近赤外線吸収層を形成することに好ましく用いられる。
<<式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、上述した式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を含有する。式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、近赤外線吸収色素の含有量の上限は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物は式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<他の近赤外線吸収剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素以外の他の近赤外線吸収剤を含有することができる。他の近赤外線吸収剤としては、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物、ジチオレン金属錯体、金属酸化物、金属ホウ化物等が挙げられる。他の近赤外線吸収剤の含有量は、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく30質量部以下であることが更に好ましい。また、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素と他の近赤外線吸収剤との合計の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、上記合計の含有量の上限は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物は他の近赤外線吸収剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収層形成用組成物は他の近赤外線吸収剤を実質的に含有しないことも好ましい。他の近赤外線吸収剤を実質的に含有しないとは、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中における他の近赤外線吸収剤の含有量が0.5質量%以下であることを意味し、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、他の近赤外線吸収剤を含有しないことが特に好ましい。
<<色素誘導体>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、色素誘導体を含有することができる。色素誘導体は、酸性色素誘導体及び塩基性色素誘導体のいずれでもよいが、顔料分散性の観点理由から酸性色素誘導体であることが好ましい。色素誘導体の詳細については、上述したものが挙げられ、上述した式(B1)で表される化合物であることが好ましい。
色素誘導体の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中1~30質量%であることが好ましい。含有量の下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、29質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
また、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素と色素誘導体の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中1~70質量%であることが好ましい。含有量の下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
また、式(SQ1)で表される近赤外線吸収色素の100質量部に対して色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。含有量の下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。
近赤外線吸収層形成用組成物は色素誘導体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<重合性化合物>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。重合性化合物としては、ラジカルの作用により重合可能な化合物が好ましい。すなわち、重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を1個以上有する化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を2個以上有する化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上有する化合物であることがさらに好ましい。エチレン性不飽和結合含有基の個数の上限は、例えば、15個以下が好ましく、6個以下がより好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、スチレン基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報、特開2017-194662号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物は、モノマー、ポリマーのいずれの形態であってもよいがモノマーが好ましい。モノマータイプの重合性化合物は、分子量が100~3000であることが好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下がより好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上がより好ましい。また、重合性化合物は、分子量分布を実質的に有さない化合物であることも好ましい。ここで、分子量分布を実質的に有さない化合物としては、化合物の分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、1.0~1.5である化合物が好ましく、1.0~1.3がより好ましい。
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
また、重合性化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
重合性化合物は、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の重合性化合物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-305、M-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の酸価は、0.1~40mgKOH/gであることが好ましく、5~30mgKOH/gであることがより好ましい。
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
重合性化合物は、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
重合性化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。また、重合性化合物は、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)などの市販品を用いることもできる。
重合性化合物の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中、0.1~40質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物は重合性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<エポキシ化合物>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)を含有することができる。エポキシ化合物としては、単官能または多官能グリシジルエーテル化合物、多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物、脂環式エポキシ基を有する化合物などが挙げられる。エポキシ化合物は、エポキシ基を1分子に1~100個有する化合物であることが好ましい。エポキシ基の上限は、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。下限は、2個以上が好ましい。エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)でもよい。エポキシ化合物の重量平均分子量は、2000~100000が好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
エポキシ化合物の市販品としては、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、アデカグリシロール ED-505((株)ADEKA製)などが挙げられる。また、エポキシ化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物を用いることもできる。
エポキシ化合物の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中、0.1~40質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。また、近赤外線吸収層形成用組成物が、重合性化合物とエポキシ化合物とを含む場合、両者の質量比は、重合性化合物:エポキシ化合物=100:1~100:400が好ましく、100:1~100:100がより好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物はエポキシ化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<光重合開始剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物が重合性化合物を含む場合、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad184、Omnirad1173、Omnirad2959、Omnirad127(以上、IGM Resins B.V.社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad907、Omnirad369、Omnirad369E、及び、Omnirad379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad819、OmniradTPO(以上、IGM Resins B.V.社製)などが挙げられる。
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
また、光重合開始剤として、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
本発明において、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
本発明において、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されるOE-01~OE-75が挙げられる。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007145314000031
Figure 0007145314000032
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)などが挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム化合物とα-アミノケトン化合物とを含むことも好ましい。両者を併用することで、現像性が向上し、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。オキシム化合物とα-アミノケトン化合物とを併用する場合、オキシム化合物100質量部に対して、α-アミノケトン化合物が50~600質量部が好ましく、150~400質量部がより好ましい。
光重合開始剤の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中0.1~40質量%が好ましく、0.5~30質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲であれば、感度およびパターン形成性に優れる。近赤外線吸収層形成用組成物は光重合開始剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<樹脂>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で樹脂を使用することもできる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。環状オレフィン樹脂としては、耐熱性向上の観点からノルボルネン樹脂が好ましい。ノルボルネン樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製のARTONシリーズ(例えば、ARTON F4520)などが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。また、エポキシ樹脂は、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)などを用いることもできる。また、樹脂は、国際公開第2016/088645号の実施例に記載の樹脂を用いることもできる。また、樹脂が側鎖にエチレン性不飽和結合含有基、特に(メタ)アクリロイル基を有する場合、主鎖とエチレン性不飽和結合含有基とが脂環構造を有する2価の連結基を介して結合していることも好ましい。
樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂を用いることもできる。近赤外線吸収層形成用組成物がアルカリ可溶性樹脂を含むことにより、近赤外線吸収層形成用組成物の現像性が向上し、近赤外線吸収層形成用組成物を用いてフォトリソグラフィ法でパターン形成した際においては、現像残渣の発生などを効果的に抑制できる。アルカリ可溶性樹脂としては、酸基を有する樹脂が挙げられる。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。アルカリ可溶性樹脂が有する酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、アルカリ可溶性樹脂は、分散剤として用いることもできる。
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~70モル%含むことがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂であることも好ましい。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位と、側鎖に酸基を有する繰り返し単位とを含む樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
Figure 0007145314000033
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
Figure 0007145314000034
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の詳細については、特開2010-168539号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落番号0317の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
Figure 0007145314000035
式(X)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2~10のアルキレン基を表し、Rは、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
アルカリ可溶性樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、400mgKOH/g以下が好ましく、300mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。
Figure 0007145314000036
近赤外線吸収層形成用組成物は、塩基性基を有する樹脂を含むことも好ましい。塩基性基としては、アミノ基、アンモニウム塩基などが挙げられる。塩基性基を有する樹脂は塩基性基の他に酸基を更に有していてもよい。塩基性基を有する樹脂は式(SQ1)で表される化合物の分散剤として好ましく用いられる。なお、塩基性基を有する樹脂が更に酸基を有する場合、このような樹脂はアルカリ可溶性樹脂でもある。
塩基性基を有する樹脂としては、3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂が挙げられる。3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂は式(SQ1)で表される化合物の分散剤として好ましく用いられる。3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂は、3級アミノ基を有する繰り返し単位と4級アンモニウム塩基を有する繰り返し単位とを有する樹脂であることが好ましい。また、3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂はさらに酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂は、ブロック構造を有していることも好ましい。3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂は、そのアミン価が、10~250mgKOH/g、且つ4級アンモニウム塩価が10~90mgKOH/gであるものが好ましく、アミン価が50~200mgKOH/g、且つ4級アンモニウム塩価が10~50mgKOH/gであるものがより好ましい。3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は3000~300000であることが好ましく、5000~30000であることがより好ましい。3級アミノ基と4級アンモニウム塩基を有する樹脂は、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体、及び必要に応じてその他エチレン性不飽和単量体を共重合して製造できる。3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体については、国際公開第2018/230486号の段落番号0150~0170に記載されたものが挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、塩基性基を有する樹脂としては、主鎖に窒素原子を含む樹脂であることも好ましい。この樹脂も式(SQ1)で表される化合物の分散剤として好ましく用いられる。主鎖に窒素原子を含む樹脂(以下、オリゴイミン系樹脂ともいう)は、ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン-エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の窒素原子を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。また、オリゴイミン系樹脂としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、原子数40~10000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを含む側鎖を有する繰り返し単位とを有する樹脂であることが好ましい。オリゴイミン系樹脂はさらに酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。オリゴイミン系樹脂については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収層形成用組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともでき、分散剤としての樹脂を含むことが好ましい。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。
近赤外線吸収層形成用組成物に用いられる分散剤は、塩基性基を有する樹脂であることが好ましく、塩基性分散剤であることがより好ましい。
分散剤として用いる樹脂としては、上述した、3級アミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する樹脂、オリゴイミン系樹脂などが挙げられる。また、分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂としては、グラフト鎖を有する繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。グラフト樹脂はさらに酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。また、分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。また、上述したアルカリ可溶性樹脂を分散剤として用いることもできる。
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、Disperbyk-111(BYKChemie社製)、ソルスパース76500(日本ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落番号0041~0130に記載された分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
樹脂の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中1~50質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、近赤外線吸収層形成用組成物が塩基性基を有する樹脂を含有する場合、塩基性基を有する樹脂の含有量は、式(SQ1)で表される化合物100質量部に対して、1~100質量部が好ましい。上限は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。下限は、2.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、樹脂組成物に含まれる樹脂中における塩基性基を有する樹脂の含有量は、10~70質量%であることが好ましく、20~65質量%であることがより好ましく、25~60質量%であることが更に好ましい。
また、近赤外線吸収層形成用組成物がアルカリ可溶性樹脂を含有する場合、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中1~50質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、近赤外線吸収層形成用組成物に含まれる樹脂中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、1~100質量%であることが好ましく、3~100質量%であることがより好ましく、5~100質量%であることが更に好ましい。
また、近赤外線吸収層形成用組成物が分散剤としての樹脂を含有する場合、分散剤としての樹脂の含有量は、顔料100質量部に対して、1~100質量部が好ましい。上限は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。下限は、2.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。
近赤外線吸収層形成用組成物は樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<エポキシ硬化剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物がエポキシ化合物を含む場合、エポキシ硬化剤をさらに含むことが好ましい。エポキシ硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、多価カルボン酸、チオール化合物などが挙げられる。エポキシ硬化剤としては耐熱性、硬化物の透明性という観点から多価カルボン酸が好ましく、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物が最も好ましい。エポキシ硬化剤の具体例としては、ブタン二酸などが挙げられる。エポキシ硬化剤は、特開2016-075720号公報の段落番号0072~0078に記載の化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
エポキシ硬化剤の含有量は、エポキシ化合物の100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、0.01~10質量部がより好ましく、0.1~6.0質量部がさらに好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物はエポキシ硬化剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<溶剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤も好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)
溶剤の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全量に対し、10~97質量%であることが好ましい。下限は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることがより一層好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。上限は、96質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物は溶剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<重合禁止剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられ、p-メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中、0.0001~5質量%が好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物は重合禁止剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<シランカップリング剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応および縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤は、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
シランカップリング剤の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中0.01~15.0質量%が好ましく、0.05~10.0質量%がより好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物はシランカップリング剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<界面活性剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
界面活性剤は、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、旭硝子(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報に記載されたフッ素系界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。また、特開2010-032698号公報の段落番号0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤や、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
Figure 0007145314000037
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、DIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物は界面活性剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などが挙げられる。このような化合物の具体例としては、特開2009-217221号公報の段落番号0038~0052、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載された化合物を用いることもできる。紫外線吸収剤の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。近赤外線吸収層形成用組成物は紫外線吸収剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他成分>>
近赤外線吸収層形成用組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分は、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等に記載された素材が挙げられる。また、酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。酸化防止剤としては、分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物または分子量500以上のチオエーテル化合物がより好ましい。これらは2種以上を混合して使用してもよい。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。特に、フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、および亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらは、市販品として入手できる。例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330((株)ADEKA)などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物の全固形分中0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収層形成用組成物の粘度(23℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1~100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上がさらに好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下がさらに好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
<着色画素形成用組成物>
次に、着色画素形成用組成物について説明する。この着色画素形成用組成物は、本発明の構造体のカラーフィルタ層の着色画素を形成することに好ましく用いられる。着色画素の種類としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、黄色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素などが挙げられる。以下、赤色画素形成に用いられる着色画素形成用組成物のことを、赤色画素形成用組成物ともいう。他色の着色画素に用いられる着色画素形成用組成物についても、同様である。
<<有彩色色素>>
着色画素形成用組成物は、有彩色色素を含有する。有彩色色素としては、上述したカラーフィルタ層で説明したものが挙げられる。有彩色色素としては顔料であることが好ましい。着色画素形成用組成物に含有させる有彩色色素の種類および含有量については、形成する着色画素の種類に応じて適宜選択することができる。
例えば、赤色画素形成用組成物は、有彩色色素として赤色色素を少なくとも含むことが好ましい。赤色画素形成用組成物は、更に黄色色素およびオレンジ色色素から選ばれる少なくとも1種を含有することも好ましく、オレンジ色色素を少なくとも含むことがより好ましい。有彩色色素中における赤色色素の含有量は、20~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、40~100質量%であることが更に好ましい。
また、緑色画素形成用組成物は、有彩色色素として緑色色素を少なくとも含むことが好ましい。緑色画素形成用組成物は、更に黄色色素を含有することも好ましい。また、有彩色色素中における緑色色素の含有量は、20~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、40~100質量%であることが更に好ましい。
また、青色画素形成用組成物は、有彩色色素として青色色素を少なくとも含むことが好ましい。青色画素形成用組成物は、更に紫色色素を含有することも好ましい。また、有彩色色素中における青色色素の含有量は、20~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、40~100質量%であることが更に好ましい。
有彩色色素の含有量は、着色画素形成用組成物の全固形分中20質量%以上が好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、40質量%以上がより一層好ましく、45質量%以上であることが更に一層好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。着色画素形成用組成物は有彩色色素を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、赤色画素形成用組成物の場合、赤色画素形成用組成物の全固形分中における有彩色色素の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
また、緑色画素形成用組成物の場合、緑色画素形成用組成物の全固形分中における有彩色色素の含有量は20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
また、青色画素形成用組成物の場合、青色画素形成用組成物の全固形分中における有彩色色素の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
<<色素誘導体>>
着色画素形成用組成物は、更に色素誘導体を含有することができる。色素誘導体としては、酸性色素誘導体及び塩基性色素誘導体が挙げられ、塩基性色素誘導体であることが好ましい。なかでも、赤色画素形成用組成物は、塩基性色素誘導体を含むことが好ましい。色素誘導体の詳細については、上述したものが挙げられる。
着色画素形成用組成物が色素誘導体を含む場合、着色画素形成用組成物の全固形分中の色素誘導体の含有量は、1~40質量%であることが好ましい。含有量の下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。また、有彩色色素の100質量部に対して色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。含有量の下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。
また、着色画素形成用組成物の全固形分中の塩基性色素誘導体の含有量は、1~40質量%であることが好ましい。含有量の下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。また、有彩色色素の100質量部に対して塩基性色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。含有量の下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることが更に好ましい。含有量の上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。
また、赤色画素形成用組成物の場合、赤色画素形成用組成物の全固形分中の有彩色色素と塩基性色素誘導体との合計の含有量は50質量%以上が好ましく、52質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、63質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。また、赤色画素形成用組成物は有彩色色素の100質量部に対して、塩基性色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。下限は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。
緑色画素形成用組成物は、色素誘導体を含有していてもよく、色素誘導体を含有していなくてもよい。色素誘導体を含有することが好ましく、塩基性色素誘導体を含有することがより好ましい。また、緑色画素形成用組成物が色素誘導体を含有する場合、緑色画素形成用組成物の全固形分中の有彩色色素と、色素誘導体(好ましくは塩基性色素誘導体)との合計の含有量は50質量%以上が好ましく、52質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、63質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
また、緑色画素形成用組成物は有彩色色素の100質量部に対して、塩基性色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。下限は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。
青色画素形成用組成物は、色素誘導体を含有していてもよく、色素誘導体を含有していなくてもよい。色素誘導体を含有することが好ましく、塩基性色素誘導体を含有することがより好ましい。また、青色画素形成用組成物が色素誘導体を含有する場合、青色画素形成用組成物の全固形分中の有彩色色素と、色素誘導体(好ましくは塩基性色素誘導体)との合計の含有量は50質量%以上が好ましく、52質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、63質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。また、青色画素形成用組成物は有彩色色素の100質量部に対して、塩基性色素誘導体を1~50質量部含有することが好ましい。上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。下限は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。
黄色画素形成用組成物、シアン色画素形成用組成物、マゼンタ色画素形成用組成物についても、色素誘導体を含有していてもよく、色素誘導体を含有していなくてもよい。色素誘導体を含有することが好ましく、塩基性色素誘導体を含有することがより好ましい。
<<樹脂>>
着色画素形成用組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂としては、上述した近赤外線吸収層形成用組成物の樹脂の項で説明したものが挙げられる。
着色画素形成用組成物は、樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂を用いることが好ましい。また、着色画素形成用組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともでき、分散剤としての樹脂を含むことが好ましい。分散剤としての樹脂は、酸基を有する樹脂であることが好ましく、酸性分散剤であることがより好ましい。
樹脂の含有量は、着色画素形成用組成物の全固形分中1~50質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色画素形成用組成物の全固形分中1~50質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、着色画素形成用組成物に含まれる樹脂中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、1~100質量%であることが好ましく、3~100質量%であることがより好ましく、5~100質量%であることが更に好ましい。
また、着色画素形成用組成物が分散剤としての樹脂を含有する場合、分散剤としての樹脂の含有量は、顔料100質量部に対して、1~100質量部が好ましい。上限は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。下限は、2.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。
着色画素形成用組成物は樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他の成分>>
着色画素形成用組成物は、更に、重合性化合物、エポキシ化合物、光重合開始剤、エポキシ硬化剤、溶剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含有することができる。これらの具体例および含有量については、上述した近赤外線吸収層形成用組成物で説明した具体例および含有量と同様である。
着色画素形成用組成物の粘度(23℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1~100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上がさらに好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下がさらに好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
<組成物の収容容器>
上述した各組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては、例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、容器の内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
<組成物の調製方法>
上述した各組成物は、前述の成分を混合して調製できる。組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解または分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜配合した2つ以上の溶液または分散液をあらかじめ調製し、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
<構造体の製造方法>
本発明の構造体は、支持体上に、近赤外線吸収層形成用組成物を用いて近赤外線吸収層を形成し、次いで、近赤外線吸収層上に着色画素形成用組成物を用いて各色の着色画素を形成してカラーフィルタ層を形成するか、あるいは、支持体上に、着色画素形成用組成物を用いて各色の着色画素を形成してカラーフィルタ層を形成し、次いで、カラーフィルタ層上に近赤外線吸収層形成用組成物を用いて近赤外線吸収層を形成することで製造できる。また、近赤外線吸収層とカラーフィルタ層との構造体を形成した後、この構造体上に、酸素遮蔽膜を更に形成することも好ましい。このようにすることで、近赤外線吸収層とカラーフィルタ層との構造体上に、酸素遮蔽膜が形成された構造体を製造することができる。
構造体の製造方法において、各組成物を適用する支持体としては、上述した構造体の盲目で説明した支持体が挙げられる。
上記組成物の適用方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(例えば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。
上記組成物を適用して形成した組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10秒~3000秒が好ましく、40~2500秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
上記組成物を適用して形成した組成物層に対して、パターンを形成してもよい。パターン形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法や、ドライエッチング法を用いたパターン形成方法が挙げられる。
(フォトリソグラフィ法でパターン形成する場合)
フォトリソグラフィ法でのパターン形成方法は、各組成物を適用して形成した組成物層に対しパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の組成物層を除去することにより現像してパターンを形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。必要に応じて、現像されたパターンをベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。以下、各工程について説明する。
<<露光工程>>
露光工程では組成物層をパターン状に露光する。例えば、組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m以上であることが好ましく、100000000W/m以上であることがより好ましく、200000000W/m以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m以下であることが好ましく、800000000W/m以下であることがより好ましく、500000000W/m以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、または、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
<<現像工程>>
次に、露光後の組成物層における未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する。未露光部の組成物層の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
(ドライエッチング法でパターン形成する場合)
ドライエッチング法でのパターン形成は、上記組成物を支持体上に適用して形成した組成物層を硬化して硬化物層を形成し、次いで、この硬化物層上にパターニングされたフォトレジスト層を形成し、次いで、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングするなどの方法で行うことができる。フォトレジスト層の形成においては、プリベーク処理を施すことが好ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落番号0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
<光学フィルタ>
次に、本発明の光学フィルタについて説明する。本発明の光学フィルタは、上述した本発明の構造体を含む。本発明の光学フィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や、赤外線センサ、画像表示装置などの各種装置に用いることができる。
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の構造体を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の構造体を有する構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はない。例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明の構造体を有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であって、本発明の構造体の下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、本発明の構造体上に集光手段を有する構成等であってもよい。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の構造体を含む。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003-045676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線-高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集-」、技術情報協会、326~328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430~485nm)、緑色領域(530~580nm)および黄色領域(580~620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加えさらに赤色領域(650~700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
<赤外線センサ>
本発明の赤外線センサは、上述した本発明の構造体を含む。赤外線センサの構成としては、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は、質量基準である。また、構造式中におけるMeはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
<分散液の調製>
下記組成の混合液を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製))で、2時間、混合して、各分散液を調製した。下記表に記載の数値は質量部である。
Figure 0007145314000038
Figure 0007145314000039
Figure 0007145314000040
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(近赤外線吸収色素)
IR色素1~16:下記構造の化合物IR-1~IR-16
Figure 0007145314000041
Figure 0007145314000042
Figure 0007145314000043
(有彩色色素)
PR254 : C.I.Pigment Red254
PO71 : C.I.Pigment Orange71
PY139 : C.I.Pigment Yellow139
PY150 : C.I.Pigment Yellow150
PY185 : C.I.Pigment Yellow185
PG36 : C.I.Pigment Green36
PB15:6 : C.I.Pigment Blue15:6
PV23 : C.I.Pigment Violet23
(色素誘導体)
誘導体1:下記構造の化合物(塩基性色素誘導体)
Figure 0007145314000044
誘導体2:下記構造の化合物(酸性色素誘導体)
Figure 0007145314000045
誘導体3:下記構造の化合物(酸性色素誘導体)
Figure 0007145314000046
誘導体4:下記構造の化合物(酸性色素誘導体)
Figure 0007145314000047
誘導体5:下記構造の化合物(酸性色素誘導体)
Figure 0007145314000048
誘導体6:下記構造の化合物(塩基性色素誘導体)
Figure 0007145314000049
誘導体7:下記構造の化合物(酸性色素誘導体)
Figure 0007145314000050
誘導体8:下記構造の化合物(酸性色素誘導体)
Figure 0007145314000051
誘導体9:下記構造の化合物(酸性色素誘導体)
Figure 0007145314000052
(分散剤)
分散剤1:下記構造の樹脂(重量平均分子量 16800、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル比であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0007145314000053
分散剤2:下記構造の樹脂(重量平均分子量20000、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル比であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0007145314000054
分散剤3:下記構造の樹脂(重量平均分子量20000、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル比であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0007145314000055
分散剤4:下記構造の樹脂(重量平均分子量22900、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル比であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0007145314000056
分散剤5:下記構造のブロック型樹脂(アミン価=90mgKOH/g、4級アンモニウム塩価=30mgKOH/g、重量平均分子量=9800)。主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。
Figure 0007145314000057
分散剤6:ソルスパース36000(日本ルーブリゾール(株)製)
(有機溶剤)
溶剤1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)
溶剤2:シクロヘキサノン
<近赤外線吸収層形成用組成物(IR組成物)の調製>
下記の表に示す原料を、下記の表に示す割合(質量部)で混合および撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、IR組成物を調製した。下記表に記載の数値は質量部である。
Figure 0007145314000058
Figure 0007145314000059
Figure 0007145314000060
<着色画素形成用組成物(Red組成物、Green組成物、Blue組成物)の調製>
下記の表に示す原料を、下記の表に示す割合(質量部)で混合および撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Red組成物、Green組成物およびBlue組成物を調製した。下記表に記載の数値は質量部である。
Figure 0007145314000061
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(分散液)
IR分散液1~25、Red分散液1~3、Yellow分散液1~2、Green分散液1~4、Blue分散液1:上記で調製した分散液
(樹脂)
樹脂0:下記構造の樹脂(重量平均分子量41400、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル比である。)
Figure 0007145314000062
樹脂1:下記構造の樹脂(重量平均分子量20000、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル比であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0007145314000063
樹脂2:下記構造の樹脂(重量平均分子量11000、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル比である。)
Figure 0007145314000064
樹脂3:下記構造の樹脂(重量平均分子量12100、繰り返し単位に付記した数値はモル比である。)
Figure 0007145314000065
(重合性化合物)
重合性化合物1:NKエステルA-TMMT(新中村化学工業(株)製)
重合性化合物2:NKエステルA-DPH-12E (新中村化学工業(株)製)
重合性化合物3:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
(光重合開始剤)
光重合開始剤1:IRGACURE-OXE02(BASF社製)
光重合開始剤2:IRGACURE-OXE01(BASF社製)
光重合開始剤3:下記構造の化合物
Figure 0007145314000066
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤1:UV-503(大東化学(株)製)
(酸化防止剤)
酸化防止剤1:Neo Heliopan357(Symrise製)
(重合禁止剤)
重合禁止剤1:p-メトキシフェノール
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物1:EHPE-3105((株)ダイセル製)
(界面活性剤)
界面活性剤1:下記構造の化合物(Mw=14000、下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。)
Figure 0007145314000067
界面活性剤2:KF-6001(信越シリコーン(株)製)
(溶剤)
溶剤1:PGMEA
<構造体の製造1>
ガラス基板上に、下記表に記載の近赤外線吸収層形成用組成物(IR組成物)を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布し、その後ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量で全面露光した。次に、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱し、近赤外線吸収層を形成した。
次に、近赤外線吸収層上に、下記表に記載のGreen組成物を、製膜後の膜厚が1.0μmになるように、スピンコート法で塗布し、その後ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量で、1cm四方のISLANDパターンを有するマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用い、200℃で5分間加熱することで、近赤外線吸収層上に緑色画素を形成した。同様に下記表に記載のRed組成物、及びBlue組成物についても順次パターニングし、赤色画素および青色画素をそれぞれ形成して、緑色画素、赤色画素および青色画素を有するカラーフィルタ層を形成した。このようにして、近赤外線吸収層上に緑色画素、赤色画素および青色画素のベイヤーパターンを有するカラーフィルタ層が積層された構造体を製造した。
(近赤外線遮光ムラ評価)
構造体について、紫外可視近赤外分光光度計(U-4100、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、緑色画素エリア、赤色画素エリアおよび青色画素エリアの光透過率を波長400~1300nmの範囲で測定した。
次に、この構造体を、150℃の温度で1000時間加熱した後、緑色画素エリア、赤色画素エリアおよび青色画素エリアの加熱後の波長400~1300nmの範囲における透過率を測定した。
加熱後の構造体の緑色画素エリア、赤色画素エリアおよび青色画素エリアにおける、波長700~1000nmの範囲における透過率の差を算出し、上記範囲における緑色画素エリア、赤色画素エリアおよび青色画素エリア間の透過率の差の合算値(ΔT)を求めて、近赤外線遮光ムラを評価した。ΔTの値が小さいほうが遮光ムラが小さいことを意味する。判断基準は以下の通りである。
A:ΔT<2%
B:2%≦ΔT<5%
C:5%≦ΔT
Figure 0007145314000068
実施例の構造体は、いずれも近赤外線遮光ムラが抑制されていた。各実施例において、ガラス基板上にカラーフィルタ層を形成し、カラーフィルタ層上に近赤外線吸収層を形成して構造体を製造した場合であっても、各実施例と同様の効果が得られた。実施例1において、重合禁止剤を除いて同様に評価した場合であっても、実施例1と同様の効果が得られた。
1:支持体
10:近赤外線吸収層
20:カラーフィルタ層
21~23:着色画素
30:近赤外線透過フィルタ層
101、102:構造体

Claims (7)

  1. 下記式(SQ)で表される近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層と、
    前記近赤外線吸収層と隣接して配置された有彩色色素を含むカラーフィルタ層と、を有し、
    前記近赤外線吸収層は、酸性色素誘導体を含み、前記近赤外線吸収層中の式(SQ2)で表される近赤外線吸収色素と酸性色素誘導体の合計の含有量が5~50質量%であり、かつ、式(SQ2)で表される近赤外線吸収色素の100質量部に対して酸性色素誘導体を1~50質量部含有し、
    前記カラーフィルタ層は、赤色画素、青色画素および緑色画素を少なくとも有し、前記赤色画素、前記青色画素および前記緑色画素は、それぞれ塩基性色素誘導体を含み、
    前記赤色画素は有彩色色素と塩基性色素誘導体とを合計で50質量%以上含み、かつ、有彩色色素の100質量部に対して、塩基性色素誘導体を1~50質量部含有し、
    前記緑色画素は有彩色色素と塩基性色素誘導体とを合計で50質量%以上含み、かつ、有彩色色素の100質量部に対して、塩基性色素誘導体を1~50質量部含有し、
    前記青色画素は有彩色色素と塩基性色素誘導体とを合計で50質量%以上含み、かつ、有彩色色素の100質量部に対して、塩基性色素誘導体を1~50質量部含有する、構造体;
    Figure 0007145314000069
    式中、L 41 ~L 44 はそれぞれ独立に、アルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基、複素環基、又は、これらを2以上結合した二価の基を表し、
    41 およびZ 42 はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-C(=O)-、-S-、-N(R N1 )-、-S(=O)-、又は、-S(=O) -を表し、
    41 およびA 42 は、それぞれ独立して酸素原子または-N(R N2 )-を表し、
    N1 およびR N2 は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、
    Rs 141 およびRs 142 は、それぞれ独立して置換基を表し、
    ns41およびns42はそれぞれ独立して0~5の整数を表し、
    ns41が2以上の場合は、複数のRs 141 は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs 141 のうち2個のRs 141 同士が結合して環を形成してもよく、
    ns42が2以上の場合は、複数のRs 142 は、同一であっても異なっていてもよく、複数のRs 142 のうち2個のRs 142 同士が結合して環を形成してもよい;
    ただし、L 41 ~L 44 がアルキレン基で、Z 41 およびZ 42 が単結合で、A 41 およびA 42 が-N(R N2 )-の場合、ns41およびns42の少なくとも一方は1~5の整数である。
  2. 前記式(SQ)で表される近赤外線吸収色素が、式(SQ3)で表される近赤外線吸収色素である、請求項1に記載の構造体;
    Figure 0007145314000070
    式中、Q、Q、Q、Q、Q11、Q14、Q15およびQ18は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す;
    Rs~Rs、Rs11~Rs15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、スルホ基、-SO又はハロゲン原子を表し、Mは無機又は有機のカチオンを表し、RsとRs、Rs12とRs13は互いに結合して環を形成してもよい;
    Rs21~Rs28、Rs31~Rs38は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、-NRX1X2、スルホ基、-SO、-SONRX1X2、-COORX3、-CONRX1X2、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Mは無機又は有機のカチオンを表し、RX1~RX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基又は複素環基を表し、RX1とRX2は互いに結合して環を形成してもよく、Rs21~Rs28、Rs31~Rs38のうち、隣接する基同士は互いに結合して環を形成してもよい;
    が窒素原子の場合、Rs21は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs24は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs25は存在せず、Qが窒素原子の場合、Rs28は存在せず、Q11が窒素原子の場合、Rs31は存在せず、Q14が窒素原子の場合、Rs34は存在せず、Q15が窒素原子の場合、Rs35は存在せず、Q18が窒素原子の場合、Rs38は存在しない。
  3. 前記酸性色素誘導体がスクアリリウム化合物である、請求項1または2に記載の構造体。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載の構造体を含む光学フィルタ。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の構造体を含む固体撮像素子。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の構造体を含む画像表示装置。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の構造体を含む赤外線センサ。
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