JP7144756B2 - プリプレグ、プリプレグテープおよび繊維強化複合材料の製造方法、プリプレグ製造装置 - Google Patents

プリプレグ、プリプレグテープおよび繊維強化複合材料の製造方法、プリプレグ製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、プリプレグ、プリプレグテープおよび繊維強化複合材料の製造方法、プリプレグ製造装置に関し、特に強化繊維シートにマトリックス樹脂を均一に含浸する方法、および装置に関する。
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含むマトリックス樹脂を強化繊維で補強した繊維強化複合材料(FRP)は、航空・宇宙用材料、自動車材料、産業用材料、圧力容器、建築材料、筐体、医療用途、スポーツ用途など様々な分野で用いられている。特に高い力学特性と軽量性が必要な場合には、炭素繊維強化複合材料(CFRP)が幅広く好適に用いられている。一方、力学特性や軽量性よりもコストが優先される場合にはガラス繊維強化複合材料(GFRP)が用いられる場合がある。FRPは強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸し中間基材を得、これを積層、成形し、さらに熱硬化樹脂を用いた場合には熱硬化させて、FRPからなる部材を製造している。前記用途では平面状物やそれを折り曲げた形態のものが多く、FRPの中間基材としても1次元のストランドやロービング状物よりも、2次元のシート状物の方が部材を作製する際の積層効率や成形性の観点から幅広く使用されている。
また、最近、FRPからなる部材の生産効率を向上させるため、シート状中間基材の積層の機械化・自動化が推進されており、ここでは細幅テープ状中間基材が好適に使用されている。細幅テープ状中間基材は広幅シート状中間基材を所望の幅でスライスしたり、細幅の強化繊維シートに直接マトリックス樹脂を含浸させて得ることができる。
2次元のシート状中間基材としては、強化繊維シートにマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグが幅広く使用されている。プリプレグに用いる強化繊維シートとしては、強化繊維を一方向に配列させシート状としたUD基材や多方向に配列させた織物である強化繊維ファブリックがある。特に力学特性が優先される場合にはUD基材が使用される場合が多い。
プリプレグの製造方法の一つであるホットメルト法は、マトリックス樹脂を溶融した後、離型シート上にコーティングし、これを強化繊維シートの上面、下面でサンドイッチした積層構造を作製後、熱と圧力でマトリックス樹脂を強化繊維シート内部に含浸するものである。本方法は工程数が多く、また生産速度も上げられず、高コストとなる問題があった。
含浸の効率化としては、例えば特許文献1のような提案があった。これはガラス繊維を溶融紡糸し、それを集束してストランドやロービング状としたものを熱可塑性樹脂を満たした円錐状の流路を有する液溜り部に通過させる方法であった。
他方、シート状物の両面に同時に塗膜形成する方法が特許文献2に記載されているが、これは塗膜形成時のシート状物の揺らぎを防止するため、ウエブガイドにシート状物を通し、その後、パイプ型ドクターで塗工するものである。
熱可塑性樹脂を用いた帯状プリプレグの製造方法として、帯状強化繊維束を水平方向(横方向)に搬送し、ダイに通過させ、帯状強化繊維束に熱可塑性樹脂を付与・含浸する横型引き抜き方式(特許文献3、特許文献4など)が知られている。特許文献3には、テープ状強化繊維をクロスヘッド(特許文献3の図2)に通し、クロスヘッド内の直線状のダイ部直前で樹脂がテープ状強化繊維束に付与される。特許文献4には、複数の帯状強化繊維束を別々に溶融熱可塑樹脂が満たされたダイ内へ導入し、固定ガイド(例えばスクイーズバー)により、開繊、含浸、積層し、最終的に1枚のシート状プリプレグとしてダイから引き抜くことが記載されている。
国際公開WO2001/028951パンフレット 特許第3252278号明細書 特開平6-31821号公報 国際公開WO2012/002417パンフレット
しかしながら、特許文献1の方法ではストランドやロービング状物しか製造できず、本発明の対象とするシート状プリプレグの製造には適用できない。また、特許文献1では含浸効率を向上させるため、ストランドやロービング状強化繊維束側面に熱可塑性樹脂の流体を当て円錐状流路内で乱流を積極的に発生させている。これは強化繊維束の配列を一部乱してマトリックス樹脂を流入させることを意図していると考えられるが、この思想を強化繊維シートに適用すると、強化繊維の配列が乱れ、プリプレグの品位が低下するばかりか、FRPの力学特性が低下してしまうと考えられる。
また、特許文献2におけるシート状物は、フィルム、布、紙、箔、パンチングプレート、網状シート材などであり、本発明の対象である強化繊維シートは意図されていない。仮に、炭素繊維からなる強化繊維シートに特許文献2の技術を適用した場合には、ウエブガイドでの擦過により毛羽が発生し、強化繊維シートが走行困難になると考えられる。また、特許文献2の技術は樹脂の塗工であり、含浸は意図されていない。
特許文献3の技術では、クロスヘッド内のダイ部の前部は樹脂が無い状態でテープ状強化繊維がスリット状のガイダーチップを通過するため、毛羽が詰まり易く、また毛羽を除去する機能も無いため、長時間連続走行させることは困難と考えられる。特に毛羽が発生し易い炭素繊維ではこの傾向が顕著になると考えられる。
また、特許文献4の方法では連続生産時に液溜り部に毛羽が滞留し易く、引き抜き部で毛羽が詰まり易い。特に、帯状強化繊維束を高速で連続走行させると、毛羽が詰まる頻度が非常に高まるため、非常に遅い速度でしか生産ができず、生産性が上がらない問題点があった。また、横型引き抜き方式の場合、ダイ部は液漏れ防止のため密閉する必要があり、連続生産中に毛羽を回収することも十分ではない。さらに、横型引き抜き方式においては、強化繊維シートの内部にマトリックス樹脂が含浸する際、強化繊維シートの内部に残留していた気泡は、浮力により強化繊維シートの走行方向と直交する方向に排出されるため、含浸してくるマトリックス樹脂を押しのけるようにして気泡の排出が進む。そのため、気泡の移動が液によって阻害される上に、マトリックス樹脂の含浸も気泡によって阻害されるため、含浸効率が悪いという問題点があった。なお、特許文献4では気泡をベントから排気することも提案されているが、ダイ出口付近のみであり、その効果は限定的と考えられる。
このように、UD基材や強化繊維ファブリックなど強化繊維シートへの効率的なマトリックス樹脂付与方法、特にUD基材を用いたシート状プリプレグの効率的な製造方法は未だ確立されていなかった。
本発明の課題は、プリプレグの製造方法に関して、毛羽発生を抑制し、かつ毛羽が詰まることなく連続生産が可能であり、さらに強化繊維シートにマトリックス樹脂を効率よく含浸させ、生産速度の高速化が可能であり、さらに得られた強化繊維シートの折れなどが抑制され目付量が均一な、プリプレグの製造方法および製造装置を提供することにある。
前記の課題を解決する本発明のプリプレグの製造方法は、マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに通過させ、強化繊維シートにマトリックス樹脂を付与してマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得る工程、該マトリックス樹脂含浸強化繊維シートに非接触で加熱を行う工程を含むプリプレグの製造方法であって、
前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、
前記非接触の加熱は、前記狭窄部の開口部からマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの走行方向に向かって1m以内の領域で開始され、かつ、加熱終了点でのマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度をP2(℃)、前記塗布部の内部に貯留されたマトリックス樹脂の温度をM(℃)としたとき、下式1を満たす、プリプレグの製造方法。
M ≦ P2 (式1) 。
また、マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに通過させることで、マトリックス樹脂が強化繊維シートに付与されたマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得た後、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートを少なくとも加圧する追含浸を行うプリプレグの製造方法であって、前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離Nが1m以内であり、追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度P(℃)が塗布部の内部に貯留されるマトリックス樹脂温度M(℃)に対し式2の関係を満たす。
M-30 ≦ P (式2)。
また、マトリックス樹脂が貯留され、かつ鉛直方向下向きに断面積が連続的に減少する部分を有する液溜り部と、前記液溜り部の下端に連通するスリット状出口を有する狭窄部と、前記液溜り部の内部に設けられ、前記スリット状出口の長手方向に延びる1本以上のバーと、を備える塗布部に、強化繊維シートを鉛直方向下向きに通過させてマトリックス樹脂を付与するプリプレグの製造方法であって、
前記バーと強化繊維シートにより形成される抱き角が全て10°以上40°以下となるように、前記強化繊維シートを前記バーに接触させながら、狭窄部から引き取る、
プリプレグの製造方法であることを特徴とする。
また、本発明のプリプレグテープの製造方法は、上記のプリプレグの製造方法により得られたプリプレグをスリットすることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、上記のプリプレグの製造方法により得られたプリプレグまたは上記のプリプレグテープの製造方法により得られたプリプレグテープを硬化させることを特徴とする。
本発明のプリプレグの製造方法または本発明のプリプレグ製造装置を用いれば、毛羽による詰まりを大幅に抑制、防止できる。さらに、強化繊維シートを連続かつ高速で走行させることが可能となり、マトリックス樹脂を付与した強化繊維シートの生産性が向上するとともに均一にマトリックス樹脂が含浸したプリプレグを得ることが可能となる。
本発明の第1の製造方法の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す概略横断面図である。 本発明の第2の製造方法の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す概略横断面図である。 図1における塗布部と追含浸装置19のカ所を拡大した詳細横断面図である。 図2aとは別の実施形態で離型シート3を用いた場合の詳細横断面図である。 本発明の第3の製造方法の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す概略横断面図である。 図1における塗布部の部分を拡大した詳細横断面図である。 図4における塗布部を、図4のAの方向から見た下面図である。 図4における塗布部を、図4のBの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する断面図である。 図6aにおける隙間26でのマトリックス樹脂2の流れを表す断面図である。 図3の塗布部を拡大した詳細横断面図である。 液溜まり部22内部でバー35に接触する強化繊維シート1aの詳細横断面図である。 別の実施形態のバー35の詳細横断面図である。 幅規制機構の設置例を示す図である。 図7の塗布部を図中Bの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する詳細断面図である。 図11とは異なる実施形態の塗布部41の内部の構造を説明する詳細断面図である。 バーの両端に幅規制部材を設ける一例を示す図である。 図13とは別の実施形態の幅規制部材を示す図である。 図11とは異なる実施形態の塗布部42の内部の構造を説明する詳細断面図である。 図4とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。 図16とは別の実施形態の塗布部20cの詳細横断面図である。 図16とは別の実施形態の塗布部20dの詳細横断面図である。 図16とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。 本発明とは異なる実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。 本発明の第1の製造方法を用いたプリプレグ製造工程の実施形態の例を示す概略図である。 本発明の第2の製造方法を用いた別のプリプレグ製造工程の例の概略図である。 本発明の第2の製造方法を用いた別のプリプレグ製造工程の例の概略図である。 本発明の第2の製造方法を用いた別のプリプレグ製造工程の例の概略図である。 本発明の第2の製造方法を用いた別のプリプレグ製造工程の例の概略図である。 本発明の第1の製造方法を用いたプリプレグ製造工程の実施形態の例を示す概略図である。 本発明の第3の製造方法で用いる塗布部の実施形態の例を示す概略図である。 本発明の第3の製造方法で用いる別の塗布部の実施形態の例を示す概略図である。
本発明の望ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は発明の実施形態を例示するものであり、本発明はこれに限定して解釈されるものではなく、本発明の目的・効果を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
<プリプレグの製造方法の概略>
本発明では、3つの新規なプリプレグ製造方法を開示している。これらの製造方法は、マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに通すことで、マトリックス樹脂が強化繊維シートに付与されたマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得る点で共通している。この製造方法において、得られるプリプレグの含浸度を更に向上させるために、以下の3つの製造方法を用いるものである。
まず、本発明の第1の製造方法の概略を図1を用いて述べる。塗工装置100には、強化繊維シート1aを実質的に鉛直方向下向きZに走行させる走行機構である搬送ロール13、搬送ロール14の間に設けられ、マトリックス樹脂2が溜められた塗布機構である塗布部20が具備されている。また、塗工装置100の前後には、強化繊維1を巻き出す複数のクリール11と、巻き出された強化繊維1を一方向に配列した強化繊維シート1a(図1では紙面奥行き方向に配列)を得る配列装置12とプリプレグ1cの巻取り装置17を備えることができ、また、図示していないが塗工装置100にはマトリックス樹脂の供給装置が具備されている。さらに塗布部20と搬送ロール14の間には、追含浸装置19が具備されている。第1の製造方法では、これが非接触加熱装置となる。非接触加熱装置で追含浸されたプリプレグ1cには、離型シート3を付与することもできる。図1では離型シート3は片面のみに付与しているが、プリプレグ1cの両面に付与することもできる。
次に第2の製造方法の概略を図2aを用いて述べる。塗工装置100には、強化繊維シート1aを実質的に鉛直方向下向きZに走行させる走行機構である搬送ロール13、搬送ロール14の間に設けられ、マトリックス樹脂2が溜められた塗布機構である塗布部20が具備されている。また、塗工装置100の前後には、強化繊維1を巻き出す複数のクリール11と、巻き出された強化繊維1を一方向に配列した強化繊維シート1a(図2では紙面奥行き方向に配列)を得る配列装置12とプリプレグ1cの巻取り装置17を備えることができ、また、図示していないが塗工装置100にはマトリックス樹脂の供給装置が具備されている。さらに塗布部20と搬送ロール14の間には、追含浸装置19が具備されている。マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bを追含浸装置19に導く際、離型シート3を付与することもできる。その場合、塗布部20直下で得られるマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの両面に離型シート3を供給する離型シート供給装置18を備えることができる。マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bに離型シート3を付与する際は搬送ロール15、搬送ロール16を用いて導入、付与することもできる。図2aではマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの両面から離型シート3を付与する様子を示すが、付与する離型シート3は片面でもよい。さらに、離型シート3を加熱する離型シートの加熱装置18aを備えることもできる。図1では離型シートの加熱装置18aを離型シート3の両面から加熱する様子を示すが、片面のみでもよい。さらに図2aでは離型シートの加熱装置18aを離型シート3に非接触の加熱装置を用いた場合を示すが、接触式の加熱装置としてもよい。
次に第3の製造方法の概略を図3を用いて述べる。塗工装置101には、強化繊維シート1aを実質的に鉛直方向下向きZに走行させる走行機構である搬送ロール13、14と、搬送ロール13、14の間に設けられ、マトリックス樹脂2が溜められた塗布機構である塗布部40が具備されている。さらに塗布部40の内部には、紙面奥行き方向に延びるバー群35(35a、35b、35c)が具備されている。また、塗工装置101の前後には、強化繊維1を巻き出す複数のクリール11と、巻き出された強化繊維1を一方向に配列した強化繊維シート1a(図3では紙面奥行き方向に配列)を得る配列装置12とプリプレグ1cの巻取り装置17を備えることができ、また、図示していないが塗工装置100にはマトリックス樹脂の供給装置が具備されている。さらに、必要に応じ、離型シート3を供給する離型シート供給装置18を備えることもできる。図3では離型シート3は片面のみに付与しているが、プリプレグ1cの両面に付与することもできる。
<強化繊維シート>
ここで、強化繊維1としては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、金属酸化物繊維、金属窒化物繊維、有機繊維(アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維など)などを例示することができるが、炭素繊維を用いることが、FRPの力学特性、軽量性の観点から好ましい。
本発明で用いられる強化繊維シート1aとしては一方向に配列したUD基材や織物としての強化繊維ファブリックが挙げられる。
強化繊維シート1aとしての一方向に配列したUD基材とは、複数本の強化繊維を一方向に面上で配列させたものを言い、必ずしも該複数の強化繊維は相互に絡み合う等して一体化している必要は無い。すなわち、本発明の製造方法によれば、マトリックス樹脂の塗布後にはマトリックス樹脂が含浸されたシート状物として得られることから強化繊維が配列された状態として便宜上強化繊維シートと称している。ここで、強化繊維シートは厚み、幅には特に制限は無く、目的、用途に応じ適宜選択することができる。炭素繊維の場合には、通常、1,000本~1,000,000本程度の単繊維がテープ状に集合したものを「トウ」と呼んでおり、このトウを配列させて強化繊維シートを得ることができるが、トウが厚み方向に積層されていても良い。なお、強化繊維シートは、その幅/厚みで定義されるアスペクト比は10以上であると、取り扱い易く好ましい。なお、本発明では、テープ状の「トウ」1本も強化繊維シートの一形態と解される。
また、強化繊維シート1aを形成する方法は公知の方法を用いることができ、特に制限は無いが、単繊維をあらかじめ配列させた強化繊維束を形成し、この強化繊維束を更に配列させて強化繊維シート1aを形成させることが、工程効率化、配列均一化の観点から好ましい。例えば炭素繊維では、前記したようにテープ状の強化繊維束である「トウ」がボビンに巻かれているが、ここから引き出されたテープ状の強化繊維束を配列させてUD基材としての強化繊維シートを得ることができる。また、クリールにかけられたボビンから引き出された強化繊維束を整然と並べ、強化繊維シート中で強化繊維束の望ましくない重なりや折りたたみ、強化繊維束間の隙間を無くするための配列機構を有することが好ましい。強化繊維配列機構としては公知のローラーやくし型配列装置などを用いることができる。また、予め配列した強化繊維シートを複数枚重ねることも強化繊維間の隙間を減じる観点から有用である。なお、クリールには強化繊維を引き出す際に張力制御機構が付与されていることが好ましい。張力制御機構としては、公知のものを使用可能であるが、ブレーキ機構などが挙げられる。また、糸道ガイドの調整などによっても張力を制御することができる。
また、本発明の強化繊維シートとしての強化繊維ファブリックとは、強化繊維を多軸で配列させる、またはランダム配置してシート化したものである。具体的には、織物や編物などの他、強化繊維を2次元で多軸配置したものや、不織布やマット、紙など強化繊維をランダム配向させたものを挙げることができる。この場合、強化繊維はバインダー付与、交絡、溶着、融着などの方法を利用してシート化することもできる。織物としては、平織、ツイル、サテンの基本織組織の他、ノンクリンプ織物やバイアス構造、絡み織、多軸織物、多重織物などを用いることができる。バイアス構造とUD基材を組み合わせた織物は、UD構造により塗布・含浸工程での引っ張りでの織物の変形を抑制するだけでなく、バイアス構造による擬似等方性も併せ持っており、好ましい形態である。また、多重織物では織物上面/下面、また織物内部の構造・特性をそれぞれ設計できる利点がある。編物では塗布・含浸工程での形態安定性を考慮すると経編が好ましいが、筒状編み物であるブレードを用いることもできる。
強化繊維ファブリックの厚みは、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限は無く、必要とされるFRP性能と塗布工程の安定性を勘案して決めればよい。狭窄部の通過性を考慮すると、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以下である。
強化繊維ファブリックは目的に応じた適切なものを市場から入手、作製可能であるが、その一例を下記する。織物としては、例えば、東レ(株)製“トレカ(登録商標)”クロスのC06142、C06347B、C05642等、HEXCEL社製“HexForce(登録商標)”Fabricsや“PrimeTex(登録商標)”の84、G0801、XAGP282P、43195、G0939、G0803、43364、XSGP196P、SGP203CS、XC1400、48200、48287、46150、“Injetex(登録商標)”FabricsのGB201、G0986、G0926等、炭素繊維とガラス繊維のハイブリッド織物であるG1088、G0874、G0973、43743等、アラミド繊維織物である20796、21263、Quartz織物である610、593等、が挙げられる。不織布・マット・紙としては、例えば、東レ(株)製“トレカ(登録商標)”マットB030、B050、BV03等やオリベスト社製“カーボライト(登録商標)”のCEO-030、CBP-030、ZX-020等が挙げられる。
<強化繊維シートの平滑化>
本発明においては、強化繊維シートの表面平滑性を高くすることで、塗布部での塗布量の均一性を向上させることができる。このため、強化繊維シートを平滑化処理した後、液溜り部に導くことが好ましい。平滑化処理法は特に制限は無いが、対向ロールなどで物理的に押しつける方法や空気流を用いて強化繊維を動かす方法などを例示できる。物理的に押しつける方法は簡便かつ、強化繊維の配列を乱しにくいため好ましい。より具体的にはカレンダー加工などを用いることができる。空気流を用いる方法は擦過が起こりにくいだけでなく、強化繊維シートを拡幅する効果もあり好ましい。
<強化繊維シートの拡幅>
また、本発明において、強化繊維シートを拡幅処理した後、液溜り部に導くことも、薄いプリプレグを効率的に製造できる観点から好ましい。拡幅処理方法は特に制限は無いが、機械的に振動を付与する方法、空気流により強化繊維束を拡げる方法などを例示できる。機械的に振動を付与する方法としては、例えば特開2015-22799号公報記載のように、振動するロールに強化繊維シートを接触させる方法がある。振動方向としては、強化繊維シートの進行方向をX軸とすると、Y軸方向(水平方向)、Z軸方向(垂直方向)の振動を与えることが好ましく、水平方向振動ロールと垂直方向振動ロールを組み合わせて用いることも好ましい。また振動ロール表面は複数の突起を設けておくと、ロールでの強化繊維の擦過を抑制でき、好ましい。空気流を用いる方法としては、例えば、SEN-I GAKKAISHI,vol.64,P-262-267(2008).記載の方法を用いることができる。
<強化繊維シートの予熱>
また、本発明において、強化繊維シートを加熱した後、液溜り部に導くと、マトリックス樹脂の温度低下を抑制し、マトリックス樹脂の粘度均一性を向上させられるため好ましい。強化繊維シートはマトリックス樹脂温度近傍まで加熱されることが好ましいが、このための加熱手段としては、空気加熱、赤外線加熱、遠赤外線加熱、レーザー加熱、接触加熱、熱媒加熱(スチームなど)など多様な手段を用いることができる。中でも赤外線加熱は装置が簡便であり、また強化繊維シートを直接加熱できるため、走行速度が速くても所望の温度まで効率よく加熱が可能であり、好ましい。
<マトリックス樹脂>
本発明で用いるマトリックス樹脂は、後述する各種樹脂や粒子、硬化剤、更に各種添加剤を含む、樹脂組成物として用いることができる。本発明により得られるプリプレグは、強化繊維シートにマトリックス樹脂が含浸した状態となり、そのままシート状プリプレグとして積層、成形してFRPからなる部材を得ることができる。含浸度は、塗布部の設計や、塗布以降の追含浸により制御することができる。マトリックス樹脂としては、用途に応じ適宜選択可能であるが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることが一般的である。マトリックス樹脂は、加熱し溶融させた溶融樹脂でも室温でマトリックス樹脂のものでも良い。また、溶媒を用いて溶液やワニス化したものでも良い。
マトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などFRPに一般的に使用されるものを用いることができる。また、これらは室温で液体であればそのまま用いても良いし、室温で固体や粘稠液体であれば、加温して低粘度化する、あるいは溶融し融液として用いても良いし、溶媒に溶解し溶液やワニス化して用いても良い。
熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素・炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合、カルボニル結合から選ばれる結合を有するポリマーを用いることができる。具体的には、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリアミドイミド(PAI)などを例示できる。航空機用途などの耐熱性が要求される分野では、PPS、PES、PI、PEI、PSU、PEEK、PEKK、PAEKなどが好適である。一方、産業用途や自動車用途などでは、成形効率を上げるため、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンやPA、ポリエステル、PPSなどが好適である。これらはポリマーでも良いし、低粘度、低温塗布のため、オリゴマーやモノマーを用いても良い。もちろん、これらは目的に応じ、共重合されていても良いし、各種を混合しポリマーブレンド・アロイとして用いることもできる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂があげられる。これらは、一般に硬化剤や硬化触媒と組合せて用いることができる。また、適宜、これらの熱硬化性樹脂を混合して用いることも可能である。
本発明に適した熱硬化性樹脂として、耐熱性、耐薬品性、力学特性に優れていることからエポキシ樹脂が好適に用いられる。特に、アミン類、フェノール類、炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体、フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては脂環式エポキシ樹脂等があげられるが、これに限定されない。またこれらのエポキシ樹脂をブロモ化したブロモ化エポキシ樹脂も用いられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンに代表される芳香族アミンを前駆体とするエポキシ樹脂は耐熱性が良好で強化繊維との接着性が良好なため本発明に最も適している。
熱硬化性樹脂は硬化剤と組合せて、好ましく用いられる。例えばエポキシ樹脂の場合には、硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性に優れるため好んで用いられる。またジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明には最も適している。アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ-p-アミノベンゾエートが好んで用いられ、ジアミノジフェニルスルホンに比較して、耐熱性に劣るものの、引張強度に優れるため、用途に応じて選択して用いられる。また、もちろん必要に応じ硬化触媒を用いることも可能である。また、マトリックス樹脂のポットライフを向上させる意味から、硬化剤や硬化触媒と錯体形成可能な錯化剤を併用することも可能である。
また本発明では、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合して用いることも好適である。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物は、熱硬化性樹脂を単独で用いた場合より良好な結果を与える。これは、熱硬化性樹脂が、一般に脆い欠点を有しながらオートクレーブによる低圧成形が可能であるのに対して、熱可塑性樹脂が、一般に強靭である利点を有しながらオートクレーブによる低圧成形が困難であるという二律背反した特性を示すため、これらを混合して用いることで物性と成形性のバランスをとることができるためである。混合して用いる場合は、プリプレグを硬化させてなるFRPの力学特性の観点から熱硬化性樹脂を50質量%より多く含むことが好ましい。
<ポリマー粒子>
また、本発明では、ポリマー粒子を含んだマトリックス樹脂を用いると、得られるCFRPの靱性や耐衝撃性を向上させることができ、好ましい。この時、ポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)はマトリックス樹脂温度よりも20℃以上高くすると、マトリックス樹脂中でポリマー粒子の形態を保持し易く、好ましい。ポリマー粒子のTgは温度変調DSCを用い、以下の条件で測定することができる。温度変調DSC装置としては、TA Instrments社製 Q1000などが好適であり、窒素雰囲気下、高純度インジウムで校正して用いることができる。測定条件は、昇温速度は2℃/分、温度変調条件は周期60秒、振幅1℃とすることができる。これで得られた全熱流から可逆成分を分離し、階段状シグナルの中点の温度をTgとすることができる。
また、Tmは通常のDSCで昇温速度10℃/分で測定し、融解に相当するピーク状シグナルのピークトップ温度をTmとすることができる。
また、ポリマー粒子としては、マトリックス樹脂に溶けないことが好ましく、このようなポリマー粒子としては、例えば、WO2009/142231パンフレット記載などを参照し、適切なものを用いることができる。より、具体的には、ポリアミドやポリイミドを好ましく用いることができ、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できる、ポリアミドは最も好ましい。ポリアミドとしてはポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66やポリアミド6/12共重合体、特開平1-104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたポリアミド(セミIPNポリアミド)などを好適に用いることができる。この熱可塑性樹脂粒子の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状の方が樹脂の流動特性を低下させないため、本発明の製造法では特に好ましい。また、球状であれば応力集中の起点がなく、高い耐衝撃性を与えるという点でも好ましい態様である。
ポリアミド粒子の市販品としては、SP-500、SP-10、TR-1、TR-2、842P-48、842P-80(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)、“グリルアミド(登録商標)”TR90(エムザベルケ(株)社製)、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、CX9701、CX9704、(デグサ(株)社製)等を使用することができる。これらのポリアミド粒子は、単独で使用しても複数を併用してもよい。
また、CFRPの層間樹脂層を高靭性化するためには、ポリマー粒子を層間樹脂層に留めておくことが好ましい。そのため、ポリマー粒子の数平均粒径は5~50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは7~40μmの範囲、さらに好ましくは10~30μmの範囲である。数平均粒径を5μm以上とすることで、粒子が強化繊維の束の中に侵入せず、得られる繊維強化複合材料の層間樹脂層に留まることができる。数平均粒径を50μm以下とすることで、プリプレグ表面のマトリックス樹脂層の厚みを適正化し、ひいては得られるCFRPにおいて、繊維質量含有率を適正化することができる。
<塗布時のマトリックス樹脂粘度>
本発明で用いるマトリックス樹脂としては、工程通過性・安定性の観点から最適な粘度を選択することが好ましい。具体的には、塗布時のマトリックス樹脂の粘度を1~60Pa・sの範囲とすると、狭窄部出口での液垂れを抑制するとともに強化繊維シートの高速走行性、安定走行性を向上させることができ、好ましい。ここで、粘度は歪み速度3.14s-1で液溜り部でのマトリックス樹脂温度で測定したものを言う。測定装置としては平行円盤型やコーン型などの粘弾性測定装置を用いることができる。
<塗布工程>
強化繊維シートとしてUD基材を用いた場合について図1を参照して説明すると、塗工装置100におけるマトリックス樹脂2を強化繊維シート1aに付与する方法は、クリール11から巻き出された複数本の強化繊維1を、配列装置12によって一方向(紙面奥行き方向)に配列して強化繊維シート1aを得た後、強化繊維シート1aを塗布部20に実質的に鉛直方向下向きZに通過させて、強化繊維シート1aの両面にマトリックス樹脂2を付与するものである。これにより、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bを得ることができる。なお、強化繊維ファブリックを用いる場合は、図1のクリール11を強化繊維ファブリックの巻出し装置に置き換え、図1の配列装置12をニップロールに置き換えることによって引き出せばよい。さらに、第1および第2の製造方法では、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bを追含浸装置に通すことで、第3の製造方法では塗布部を通すことでプリプレグ1cを得ることができる。巻取り装置17でプリプレグ1cと離型シート3を同時に巻き取ってもよい。特に、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bに付与されたマトリックス樹脂2が搬送ロール14に至っても、マトリックス樹脂2の一部または全部がマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1b表面に存在し、かつ流動性や粘着性が高い場合には、離型シート3により、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1b表面のマトリックス樹脂2の一部が搬送ロール14に転写されるのを防ぐことができる。さらに、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1b同士の接着も防ぐことができ、後工程での取り扱いが容易になる。離型シートとしては、前記効果を奏するものであれば特に制限は無いが、例えば、離型紙の他、有機ポリマーフィルム表面に離型剤を塗布したもの等を挙げることができる。
次に図4~6により、強化繊維シート1aへのマトリックス樹脂2の付与工程について詳述する。図4は、図1、2aにおける塗布部20を拡大した詳細横断面図である。塗布部20は、所定の隙間Dを開けて対向する壁面部材21a、21bを備え、壁面部材21a、21bの間には、鉛直方向下向きZ(すなわち強化繊維シートの走行方向)に断面積が連続的に減少する液溜り部22と、液溜り部22の下方(強化繊維シート1aの搬出側)に位置し、液溜り部22の上面(強化繊維シート1aの導入側)の断面積よりも小さい断面積を有するスリット状の狭窄部23が形成されている。図4において、強化繊維シート1aは、紙面の奥行き方向に配列されている。
塗布部20において、液溜り部22に導入された強化繊維シート1aは、その周囲のマトリックス樹脂2を随伴しながら、鉛直方向下向きZに走行する。その際、液溜り部22の断面積は鉛直方向下向きZ(強化繊維シート1aの走行方向)に向かって減少するため、随伴するマトリックス樹脂2は徐々に圧縮され、液溜り部22の下部に向かうにつれてマトリックス樹脂2の圧力が増大する。液溜り部22の下部の圧力が高くなると、前記随伴液流がそれ以上は下部に流動し難くなり、壁面部材21a、21b方向に流れ、その後、壁面部材21a、21bに阻まれ、上方へ流れるようになる。結果、液溜り部22内では強化繊維シート1aの平面と、壁面部材21a、21b壁面に沿った循環流Tを形成する。これにより、仮にシート状強化繊維1aが毛羽を液溜り部22に持ち込んだとしても毛羽は循環流Tに沿って運動し、液圧の大きな液溜り部22下部や狭窄部23に近づくことができない。さらに下で述べるとおり、気泡が毛羽に付着することにより毛羽が循環流Tから上方に移動し、液溜り部22の上部液面付近を通過する。そのため、毛羽が液溜り部22の下部および狭窄部23に詰まることが防止されるだけでなく、滞留する毛羽は液溜り部22の上部液面から容易に回収することも可能となる。さらに、強化繊維シート1aを高速で走行させた場合、前記の液圧はさらに増大するため、毛羽の排除効果がより高くなる。その結果、強化繊維シート1aにより高速でマトリックス樹脂2を付与することが可能となり、生産性が大きく向上する。
また、前記の増大した液圧により、マトリックス樹脂2が強化繊維シート1aの内部に含浸しやすくなる効果がある。これは、強化繊維束のような多孔質体にマトリックス樹脂が含浸される際、その含浸度がマトリックス樹脂の圧力で増大する性質(ダルシーの法則)に基づく。これについても、強化繊維シート1aをより高速で走行させた場合、液圧がより増大することから、含浸効果をより高めることができる。なお、マトリックス樹脂2は強化繊維シート1aの内部に残留する気泡と気/液置換で含浸されるが、気泡は前記の液圧と浮力により強化繊維シート1aの内部の隙間を通って、繊維の配向方向(鉛直方向上向き)に排出される。このとき、気泡は含浸してくるマトリックス樹脂2を押しのけずに排出されるため、含浸を阻害しない効果もある。また、気泡の一部は強化繊維シート1aの表面から面外方向(法線方向)に排出されるが、この気泡も前記の液圧と浮力により速やかに鉛直方向上向きに排除されるため、含浸効果の高い液溜り部22の下部に留まらず、効率よく気泡の排出が進む効果もある。これらの効果により、強化繊維シート1aにマトリックス樹脂2を効率よく含浸させることが可能となり、その結果、マトリックス樹脂2が均一に含浸された高品質のプリプレグ1bを得ることが可能となる。
さらに、前記の増大した液圧により、強化繊維シート1aが隙間Dの中央に自動的に調心され、強化繊維シート1aが液溜り部22や狭窄部23の壁面に直接擦過せず、ここでの毛羽発生を抑制する効果もある。これは、外乱などにより強化繊維シート1aが隙間Dのどちらかに接近した場合、接近した側ではより狭い隙間にマトリックス樹脂2が押し込まれて圧縮されるため、接近した側で液圧がより増大し、強化繊維シート1aを隙間Dの中央に押し戻すためである。
狭窄部23は、液溜り部22の上面よりも断面積が小さく設計される。図4や図6aから理解されるとおり専ら強化繊維シートによる疑似平面の垂線方向の長さが小さい、すなわち壁面部材間の間隔が狭い、ことで断面積は小さくなる。これは、前記のように狭窄部で液圧を高くすることで、含浸効果や自動調心効果を得るためである。また、狭窄部23の最上部の面の断面形状は、液溜り部22の最下部の面の断面形状と一致させることが、強化繊維シート1aの走行性やマトリックス樹脂2の流れ制御の観点から好ましいが、必要に応じ狭窄部23の方を若干大きな形状としてもよい。
ここで、図4の塗布部20では、強化繊維シート1aが完全に鉛直方向下向きZ(水平面から90度)に走行しているが、これに限定されず、前記の毛羽回収、気泡の排出効果が得られ、強化繊維シート1aが安定して連続走行可能な範囲で、実質的に鉛直方向下向きであればよい。
また、強化繊維シート1aに付与されるマトリックス樹脂2の総量は、狭窄部23の隙間Dで制御可能であり、例えば、強化繊維シート1aに付与するマトリックス樹脂2の総量を多くしたい(目付けを大きくしたい)場合は、隙間Dが広くなるよう、壁面部材21a、21bを設置すればよい。
図5は、塗布部20を、図4のAの方向から見た下面図である。塗布部20には、強化繊維シート1aの配列方向両端からマトリックス樹脂2が漏れるのを防ぐための側壁部材24a、24bが設けられており、壁面部材21a、21bと側壁部材24a、24bに囲われた空間に狭窄部23の出口25が形成されている。ここで、出口25はスリット状をしており、断面アスペクト比(図3のY/D)はマトリックス樹脂2を付与したい強化繊維シート1aの形状に合わせて設定すればよい。
図6aは塗布部20を、Bの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する断面図である。なお、図を見やすくするため壁面部材21bは省略してあるほか、強化繊維シート1aは強化繊維1を、隙間を開けて配列しているように描画しているが、実際には強化繊維1を隙間無く配列することが、シート状プリプレグの品位、FRPの力学特性の観点から好ましい。
図6bは隙間26でのマトリックス樹脂2の流れを示している。隙間26が大きいとマトリックス樹脂2には、Rの向きに渦流れが発生する。この渦流れRは、液溜り部22の下部では外側に向かう流れ(Ra)となるため、強化繊維シートを引き裂いてしまう(シート状繊維束の割れが発生する)場合や強化繊維間の間隔を拡げてしまい、そのために強化繊維シートプリプレグとしたときに強化繊維の配列ムラを発生する可能性がある。一方、液溜り部22の上部では、内側に向かう流れ(Rb)となるため、強化繊維シート1aが幅方向に圧縮され、その端部が折れてしまう場合がある。特許文献2(特許第3252278号公報)に代表されるような、一体物のシート状基材(特にフィルム)にマトリックス樹脂を両面塗布する装置ではこのような隙間26での渦流れが発生しても品質への影響が少ないため、注意がされていなかった。
そこで、本発明においては、隙間26を小さくする幅規制を行い、端部での渦流れの発生を抑制することが好ましい。具体的には、液溜り部22の幅L、すなわち、側板部材24aと24bの間隔Lは、狭窄部23の直下で測定した強化繊維シートの幅Wと以下の関係を満たすよう構成することが好ましい。
L≦W+10(mm)。
これにより、端部での渦流れ発生が抑制され、強化繊維シート1aの割れや端部折れを抑制でき、プリプレグ1bの全幅(W)にわたって均一に強化繊維1が配列された、高品位で安定性の高いプリプレグ1bを得ることができる。さらに、この技術をプリプレグに適用した場合には、プリプレグの品位、品質を向上させるのみならず、これを用いて得られるFRPの力学特性や品質を向上させることができる。LとWの関係はより好ましくは、L≦W+2(mm)とすると、さらに強化繊維シートの割れや端部折れを抑制することができる。
また、Lの下限は、W-5(mm)以上となるよう調整することが、プリプレグ1bの幅方向寸法の均一性を向上させる観点から好ましい。
なお、この幅規制は、液溜り部22下部の高い液圧による渦流れR発生を抑制する観点から、少なくとも液溜り部22の下部(図6aのGの位置)で行うことが好ましい。さらに、この幅規制はより好ましくは、液溜り部22の全域で行うと、渦流れRの発生をほぼ完全に抑制することができ、その結果、強化繊維シートの割れや端部折れをほぼ完全に抑制することが可能となる。
また、前記幅規制は、前記隙間26の渦流れ抑制の観点からは、液溜り部22だけでもよいが、狭窄部23も同様に行うとプリプレグ1bの側面に過剰なマトリックス樹脂2が付与されることを抑制する観点から好ましい。
本発明の第3の製造方法においても、前記した塗布工程は第1、第2の製造方法と基本的に同じであるが、第3の製造方法では、塗布部内に1本以上のバーが設置されており、これにより含浸を進めることが特徴である。それを以下に詳述する。
図3を参照して説明すると、塗布部20の内部で、強化繊維シート1aを紙面の奥行き方向に延びるバー群35に接触させることで、強化繊維シート1aの内部に含まれる気泡を絞り出して排出し、強化繊維シート1aの内部により効率よくマトリックス樹脂を含浸させることが可能となる。さらに、必要に応じ、第1、第2の製造方法と同じく、プリプレグ1cに離型シート3を付与し、巻き取ることができる。
次に、図7を用いて、塗布部での含浸機構を説明する。塗布部40において、液溜り部22に導入された強化繊維シート1aは、マトリックス樹脂2の内部でバー35a、35b、35cの順に接触しながら、鉛直方向下向きZに走行する。その際、強化繊維シート1aはバーに押し付けられ、強化繊維シート1aとバーの隙間に巻き込まれたマトリックス樹脂2が強化繊維シート1aの内部に含浸すると同時に、強化繊維シート1aの内部に含まれていた気泡はバーに絞り出されるように、バーが接触する面とは反対側の面から、強化繊維シート1aの外部に排出される。これにより、強化繊維シート1aの内部にまでマトリックス樹脂2を均一に含浸させることが可能となる。また、強化繊維シート1aの外部に排出された気泡は、浮力により上方へ移動し、液溜り部22の外部へさらに排出されるため、バー群35の周辺に気泡が蓄積することもない。さらにバー群35を通過した強化繊維シート1aは、その周囲のマトリックス樹脂2を随伴しながら、鉛直方向下向きZに走行する。その際、液溜り部22の断面積は鉛直方向下向きZ(強化繊維シート1aの走行方向)に向かって減少するため、随伴するマトリックス樹脂2は徐々に圧縮され、液溜り部22の下部に向かうにつれてマトリックス樹脂2の圧力が増大する。液溜り部22の下部の圧力が高くなると、前記随伴液流がそれ以上は下部に流動し難くなり、壁面部材21a、21b方向に流れ、その後、壁面部材21a、21bに阻まれ、上方へ流れるようになる。結果、液溜り部22内では強化繊維シート1aの平面と、壁面部材21a、21b壁面に沿った循環流Tを形成する。これにより、仮に強化繊維シート1aが毛羽を液溜り部22に持ち込んだり、強化繊維シート1aとバー群35の接触により毛羽が発生したりしても、毛羽は循環流Tに沿って運動し、液圧の大きな液溜り部22下部や狭窄部23に近づくことができない。さらに下で述べるとおり、気泡が毛羽に付着することにより毛羽が循環流Tから上方に移動し、液溜り部22の上部液面付近を通過する。そのため、毛羽が液溜り部22の下部および狭窄部23に詰まることが防止されるだけでなく、滞留する毛羽は液溜り部22の上部液面から容易に回収することも可能となる。さらに、強化繊維シート1aを高速で走行させた場合、前記の液圧はさらに増大するため、毛羽の排除効果がより高くなる。その結果、強化繊維シート1aにより高速でマトリックス樹脂2を付与することが可能となり、生産性が大きく向上する。
また、前記の増大した液圧により、マトリックス樹脂2が強化繊維シート1aの内部に含浸する効果もある。これは、強化繊維束のような多孔質体にマトリックス樹脂が含浸される際、その含浸度がマトリックス樹脂の圧力で増大する性質(ダルシーの法則)に基づく。仮に、バー群35で強化繊維シート1aへのマトリックス樹脂2の含浸が不十分であっても、液溜り部22の下部で再びマトリックス樹脂2が含浸するため、より含浸度の高いプリプレグ1bを得ることができる。また、これについても、強化繊維シート1aをより高速で走行させた場合、液圧がより増大することから、含浸効果をより高めることができる。
さらに、前記の増大した液圧により、強化繊維シート1aが隙間Dの中央に自動的に調心され、強化繊維シート1aが液溜り部22や狭窄部23の壁面に直接擦過せず、ここでの毛羽発生を抑制する効果もある。これは、外乱などにより強化繊維シート1aが隙間Dのどちらかに接近した場合、接近した側ではより狭い隙間にマトリックス樹脂2が押し込まれて圧縮されるため、接近した側で液圧がより増大し、強化繊維シート1aを隙間Dの中央に押し戻すためである。
また、強化繊維シート1aに付与されるマトリックス樹脂2の総量は、狭窄部23の隙間Dで制御可能であり、例えば、強化繊維シート1aに付与するマトリックス樹脂2の総量を多くしたい(目付けを大きくしたい)場合は、隙間Dが広くなるよう、壁面部材21a、21bを設置すればよい。
ここで、図7の塗布部40では、強化繊維シート1aが完全に鉛直方向下向きZ(水平面から90度)に走行している部分もあるが、これに限定されず、前記の毛羽回収、気泡の排出効果が得られ、強化繊維シート1aが安定して連続走行可能な範囲で、実質的に鉛直方向下向きであればよい。またバー群35に接触する際、強化繊維シート1aの走行方向が変化するが、これについても強化繊維シート1aから排出された気泡がバー群35の周辺に蓄積しない範囲で、実質的に鉛直方向下向きであればよい。
次に、バーの配置と形状について詳述する。図7の塗布部40では、バー群35が3本のバー35a、35b、35cで構成されている例を示したが、これに限定されず、バーの本数は1本以上であればよい。また、図7の塗布部40ではすべてのバーがマトリックス樹脂2の内部に沈むように配置されているが、これに限定されず、少なくとも1本以上のバーがマトリックス樹脂2の内部に沈むように配置されていればよい。ただしマトリックス樹脂2の内部で強化繊維シート1aと接触するバーの本数が多いほど、前記のマトリックス樹脂含浸効果が高くなることから、複数のバーをマトリックス樹脂2の内部に沈むように配置することが好ましい。
図8はマトリックス樹脂2の内部でバー35に接触する強化繊維シート1aの詳細横断面図である。強化繊維シート1aとバー35は、抱き角αで接触している。ここで抱き角αとは、強化繊維シート1aがバー35と接触する点P1と、強化繊維シート1aがバー35から離れる点P2を結ぶ弧が、バー35の中心点Pcとなす角度である。ここで、抱き角αが大きいほど強化繊維シート1aとバー35が接触する距離が長くなり、強化繊維シート1aとバー35の隙間に巻き込まれたマトリックス樹脂2が強化繊維シート1aの内部に含浸しやすくなるが、同時に強化繊維シート1aがバー35と擦過して毛羽が発生する可能性が高まる。特に、強化繊維シート1aとバー35の隙間に巻き込まれたマトリックス樹脂2が強化繊維シート1aの内部に完全に含浸して枯渇すると、強化繊維シート1aとバー35とが直接擦過するため、毛羽の発生する可能性が急激に高まる。強化繊維シート1aとバー35の接触面で毛羽が発生し堆積すると、強化繊維シート1aの走行が乱れ、均一なプリプレグ1bを得られなくなることから、強化繊維シート1aとバー35がなす抱き角αは毛羽が堆積しない程度に小さくすることが好ましい。具体的には、強化繊維シート1aとバー35がなす抱き角αは40゜以下にすることが好ましく、より好ましくは、20゜以下である。一方、十分なマトリックス樹脂の含浸を得るためには、抱き角αは10°以上とする必要がある。
ここで図7の塗布部40では、バー35の断面形状が円形の例を示したが、これに限定されず、バーの断面形状は円形以外でもよい。例えば、図9(A)のように角を丸めた矩形や、図9(B)のように楕円形でもよい。ただし、毛羽を抑制する観点から、強化繊維シート1aと接触する面は鋭利な角部がなく、滑らかな曲線で構成されていることが好ましい。
またバー35は内部が稠密である必要はなく、例えば内部が空洞のパイプでもよい。またバー35の断面の直径(または代表長さ)は特に規定しないが、バー35の直径が大きくなると強化繊維シート1aとバー35が接触する長さが長くなり、前記のとおり毛羽の発生する可能性が高まることから、バー35が強化繊維シート1aの張力で変形しない程度に、直径を小さくすることが好ましい。またバー35の変形を抑制する観点から、バーの材質はステンレスなどの剛性の高い金属であることが好ましい。
さらに、バー35の表面は滑らかに仕上げることが好ましい。これは強化繊維シート1aがバー35に接触した際に毛羽を発生させにくくするためである。
ここで、バー35として塗布部40の中で回転するロールを用いても前記のマトリックス樹脂含浸効果を得られるが、塗布部40の中で回転するロールに強化繊維シート1aを接触させると、マトリックス樹脂2の粘性によって強化繊維シート1aの一部がロールに巻き付き、強化繊維シート1aが走行不能になる場合があるため、バー35は回転しない固定の部材であることが好ましい。
また図3に示すように、塗布部40の鉛直方向上側にガイドロール(搬送ロール)13を備え、水平方向に走行する強化繊維シート1aをガイドロール13に接触させて走行方向を鉛直方向下向きに変えた後で塗布部20に案内すると、塗工装置100の鉛直方向高さを低く抑えることが可能となり、塗工装置100を設置する建屋の建設費を削減する観点から好ましい。
このとき、バー群35の最上段に位置するバー35aは、ガイドロール13と接触する強化繊維シート1aの面とは反対側の面で、強化繊維シート1aと接触することが好ましい。これは、ガイドロール13上を走行する強化繊維シート1aには、周長差によりその厚み方向に僅かに速度差が生じているが、バー35aがガイドロール13と同じ側の面で強化繊維シート1aと接触すると、上記の速度差がさらに蓄積し、塗布部40の内部で強化繊維シート1aに弛みが生じるためである。
<幅規制機構>
第1の製造方法、第2の製造方法では、前記に幅規制を側壁部材24a、24bが担う場合を示したが、図10に示すように、側壁部材24a、24b間に幅規制機構27a、27bを設け、かかる機構で幅規制を行うこともできる。これにより、幅規制機構によって規制される幅を自在に変更可能とすることで一つの塗布部により、種々の幅のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを製造できる観点から好ましい。ここで、狭窄部の直下におけるマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの幅(W)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅(L2)との関係はL2≦W+10(mm)とすることが好ましく、より好ましくは、L2≦W+2(mm)である。また、L2の下限は、W-5(mm)以上、さらに好ましくはW(mm)以上となるよう調整することが、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートプリプレグ1bの幅方向寸法の均一性を向上させる観点から好ましい。幅規制機構の形状および材質に特に制限は無いが、板形状ブッシュであると簡便であり、好ましい。また、上部、すなわち液面に近い場所では壁面部材21a、21bとの間隔よりも小さい幅(図10参照。「Z方向からみた図」中、幅規制機構の上下方向の長さを指す)を有することで、マトリックス樹脂の水平方向の流れを妨げないようにでき、好ましい。一方、幅規制機構の中間部から下部にかけては塗布部の内部形状に沿った形状とすることが液溜り部でのマトリックス樹脂の滞留を抑制でき、マトリックス樹脂の劣化を抑制できることから好ましい。この意味から、幅規制機構は狭窄部23まで挿入されることが好ましい。図10は、幅規制機構として板状ブッシュ27の例を示しているが、ブッシュの中間より下部が液溜り部22のテーパー形状に沿い、狭窄部23まで挿入される例を示している。図10にはL2が液面から出口まで一定の例を示しているが、幅規制機構の目的を達成する範囲で部位によって規制する幅を変更してもよい。幅規制機構は任意の方法で塗布部20に固定することができるが、板形状ブッシュ27の場合には、上下方向で複数の部位で固定することで、高液圧による板形状ブッシュ27の変形による規制幅の変動を抑制することができる。例えば、上部はステーを用い、下部は塗布部に差し込むようにすると、幅規制機構による幅の規制が容易であり、好ましい。
また、第3の製造方法では幅規制を次のようにして行うこともできる。図11は図7の塗布部40をBの方向から見た場合の、詳細断面図である。説明のため、壁面部材21bは省略している。図11のバー群35は、いずれも一様な断面を有する円柱形状である。図11の塗布部40において、強化繊維シート1aをバー35に接触させながら鉛直方向下向きZに走行させると、強化繊維シート1aとバー35の隙間に巻き込まれたマトリックス樹脂2は、強化繊維シート1aの内部に含浸するだけでなく、強化繊維シート1aの両端部から図11のEの方向に流れ、逃げようとする。強化繊維シート1として強化繊維1を一方向に配列させた一方向材(UD基材)を用いる場合、この流れに乗って、強化繊維シート1aの両端部の繊維も図11のEの方向に広がると、強化繊維シート1aの幅が変化したり、強化繊維シート1aの両端部の繊維の密度が低下したりして、均一な品質のプリプレグ1bを得られなくなる。また、強化繊維シート1aとして強化繊維ファブリックを用いる場合も、前記のマトリックス樹脂2の流れによって強化繊維ファブリックの両端部が引っ張られ、幅が変化する恐れがある。また、最悪の場合は強化繊維シート1aの両端部がバー群35から脱落し、走行不能となる可能性がある。
図12は図11とは異なる実施形態の塗布部41の詳細断面図である。図12の塗布部41では、一様な断面を有するバー群35の代わりに、両端部に幅規制部材を有するバー群36が具備されている。図12の塗布部41では、強化繊維シート1aをバー群36に接触させながら鉛直方向下向きZに走行させても、強化繊維シート1aは図12のEの方向への広がりが抑制され、強化繊維シート1aの繊維の密度を均一に維持することができる。また、バー群36から強化繊維シート1aの両端部が脱落することもない。幅規制部材としては、図13に示すようにそれぞれのバーの両端に直径の大きな円板状の部材を設けてもよいし、図14に示すように複数のバーを2枚の平行な板で挟み込んでもよい。また、図15のように液溜り部の側板部材24とバー群36を接触させ、側板部材24を幅規制部材としてもよい。なお、図13に示す幅規制部材を用いる場合、バーの両端の円板状の部材の直径d2は、d2≧d1+1(mm)の関係を満たすことが好ましい。これは、強化繊維シート1aがバーの両端から脱落するのを防ぐためである。また、円板状の部材の厚みW3は、円板状の部材が強化繊維シート1aに押されて変形しない程度に大きければ良い。具体的には、W3は1mm以上とすることが好ましい。
また図12の塗布部41において、バー群36の幅規制部材の内側の間隔W2は、スリット状出口の幅W1以下であることが好ましい。これは、バー群36の幅規制部材の内側の間隔W2がスリット状出口の幅W1よりも広いと、バー群36で幅の広がった強化繊維シート1aが幅の狭いスリット状出口を通過するため、強化繊維シート1aの両端部がスリット状出口で擦過し、毛羽が発生する虞があるためである。また、バー群36の幅規制部材の内側の間隔W2がスリット状出口の幅W1に対して狭すぎると、バー群36を通過した幅の狭い強化繊維シート1aが、スリット状出口で急激に幅が広げられ、強化繊維シート1aの両端部で繊維の配列が乱れる場合がある。具体的には、バー群36の幅規制部材の内側の間隔W2とスリット状出口の幅W1の差が10mmを超えると、強化繊維シート1aの両端部で繊維の配列が乱れる場合がある。これらのことから、バー群36の幅規制部材の内側の間隔W2とスリット状出口の幅W1は、0≦W1-W2≦10(mm)の関係を満たすことが好ましい。より好ましくは0≦W1-W2≦5(mm)、さらに好ましくはW1-W2=0(W1=W2)である。
<液溜り部の形状>
前記で詳述したように、本発明においては、液溜り部22で強化繊維シートの走行方向に断面積が連続的に減少することで、強化繊維シートの走行方向に液圧を増大させることが重要であるが、ここで強化繊維シートの走行方向に断面積が連続的に減少するとは、走行方向に連続的に液圧を増大可能であれば、その形状には特に制限は無い。液溜り部の横断面図において、テーパー状(直線状)であったり、ラッパ状などのように曲線的な形態を示してもよい。また、断面積減少部は液溜り部全長にわたって連続してもよいし、本発明の目的、効果が得られる範囲であれば、一部に断面積が減少しない部分や逆に拡大する部分を含んでいてもよい。これらについて、以下に図16~19で例を挙げて詳述する。
図16は、図4とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21c、21dの形状が異なる以外は、図4の塗布部20と同じである。図16の塗布部20bのように、液溜り部22が、鉛直方向下向きZに断面積が連続的に減少する領域22aと、断面積が減少しない領域22bに分かれていてもよい。このとき、断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは10mm以上であることが好ましい。さらに好ましい断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは50mm以上である。これにより、強化繊維シート1aによって随伴されたマトリックス樹脂2が、液溜まり部22の断面積が連続的に減少する領域22aで圧縮される距離が確保され、液溜り部22の下部で発生する液圧を十分に増大させることができる。その結果、液圧により毛羽が狭窄部23に詰まるのを防止し、また液圧によりマトリックス樹脂2が強化繊維シート1aに含浸する効果を得ることができる。
ここで、図4の塗布部20や図16の塗布部20bのように、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aをテーパー状とする場合、テーパーの開き角度θは小さい方が好ましく、具体的には鋭角(90°以下)にすることが好ましい。これにより、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22a(テーパー部)でマトリックス樹脂2の圧縮効果を高め、高い液圧を得やすくすることができる。
図17は、図16とは別の実施形態の塗布部20cの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21e、21fの形状が2段テーパー状となっている以外は、図16の塗布部20bと同じである。このように、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aを2段以上の多段テーパー部で構成してもよい。このとき、狭窄部23に最も近いテーパー部の開き角度θを鋭角にするのが、前記の圧縮効果を高める観点から好ましい。またこの場合も、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aの高さHを10mm以上にすることが好ましい。さらに好ましい断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは50mm以上である。図17のように液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aを多段のテーパー部にすることで、液溜り部22に貯留できるマトリックス樹脂2の体積を維持しつつ、狭窄部23に最も近いテーパー部の角度θをより小さくすることができる。これにより液溜り部22の下部で発生する液圧がより高くなり、毛羽の排除効果やマトリックス樹脂2の含浸効果をさらに高めることが可能となる。
図18は、図16とは別の実施形態の塗布部20dの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21g、21hの形状が階段状となっている以外は、図16の塗布部20bと同じである。このように、液溜り部22の最下部に断面積が連続的に減少する領域22aがあれば、本発明の目的である液圧の増大効果は得られるため、液溜り部22の他の部分に断面積が断続的に減少する領域22cを含んでいてもよい。液溜り部22を図21のような形状にすることで、断面積が連続的に減少する領域22aの形状を維持しつつ、液溜り部22の奥行きBを拡大して貯留できるマトリックス樹脂2の体積を大きくすることができる。その結果、塗布部20dにマトリックス樹脂2を連続して供給できない場合でも、長時間強化繊維シート1aにマトリックス樹脂2を付与し続けることが可能となり、強化繊維シートプリプレグ1bの生産性がより向上する。
図19は、図16とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21i、21jの形状がラッパ状(曲線状)となっている以外は、図16の塗布部20bと同じである。図16の塗布部20bでは、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aはテーパー状(直線状)だが、これに限定されず、例えば図19のようにラッパ状(曲線状)でもよい。ただし、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部は滑らかに接続することが好ましい。これは、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部の境界に段差があると、強化繊維シート1aが段差に引っ掛かり、この部分で毛羽が発生する懸念があるためである。また、このように液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域をラッパ状とする場合は、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aの最下部における仮想接線の開き角度θを鋭角にするのが好ましい。
なお、上記は滑らかに断面積が減少する例をあげて説明したが、本発明の目的を損なわない限り、本発明において液溜まり部の断面積は必ずしも滑らかに減少しなくともよい。
図20は本発明とは別の実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。本発明の実施形態とは異なり、図20の液溜り部32は鉛直方向下向きZに断面積が連続的に減少する領域を含まず、狭窄部23との境界33で断面積が不連続で急激に減少する構成である。このため、強化繊維シート1aが狭窄部で詰まり易い。
<走行機構>
強化繊維シートや本発明のプリプレグを搬送するための走行機構としては、公知のローラー等を好適に用いることができる。本発明では強化繊維シートが鉛直下向きに搬送されるため、塗布部を挟んで上下にローラーを配置することが好ましい。
また、本発明では、強化繊維の配列乱れや毛羽立ちを抑制するため、強化繊維シートの走行経路はなるべく直線状であることが好ましい。また、プリプレグと離型シートの積層体であるシート状一体物の搬送工程において、屈曲部を有すると、内層と外層の周長差による皺が発生する場合が有るため、シート状一体物の走行経路もなるべく直線状であることが好ましい。この観点からは、シート状一体物の走行経路中では、ニップロールを用いる方が好ましい。
S字ロールとニップロールのどちらを用いるかは、製造条件や製造物の特性に応じ、適宜選択することが可能である。
<追含浸>
本発明においては塗布部で含浸が進むが、その後、更に含浸を進めるために追含浸を行うことができる。
本発明において、特にマトリックス樹脂2を室温よりも高い温度に加熱して強化繊維シート1aに塗布する場合、塗布部20直下のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの温度は室温よりも高い状態である。そのため、塗布部を出てすぐ追含浸を行うと、室温まで冷却されずマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bを再昇温するための熱板などの加熱装置を省略あるいは簡略化することが可能となる。本発明では、塗布部直下に追含浸装置19を具備し、追含浸することで所望の含浸度に調整したプリプレグ1cを得ることができる。このため、塗布部出口から追含浸開始点までの距離Nが1m以内である。Nは好ましくは0.5m以下である。
第1の製造方法では、図1に示すように追含浸装置として非接触の加熱装置を配置し、非接触での加熱による追含浸を行うことができる。このときは、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bに含有されるマトリックス樹脂の温度を高めることで低粘度化し、毛細管現象により含浸を進めることができる。このためには、加熱終了点でのマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度をP2(℃)、塗布部の内部に貯留されたマトリックス樹脂温度をM(℃)としたとき、式1を充足することが重要である。
M≦P2 (式1)。
P2(℃)は好ましくはM+30(℃)以上であると、より含浸が進み易く、好ましい。また、この時、塗布部出口から追含浸開始点までの距離は、塗布部出口から非接触式の加熱装置による加熱開始点までの距離N2とする(図26参照)。
非接触加熱の手段としては、赤外線、遠赤外線、レーザー、熱媒(例えばスチームなど)などを用いることができるが、赤外線が最も簡便であり、好ましい。加熱距離については、所望の温度までマトリックス樹脂含浸強化繊維シートまで昇温できれば特に制限はないが、装置を簡略にする意味から1m以下とすることが好ましい。加熱距離は好ましくは0.5m以下である。
また、非接触の加熱装置を用いることで、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートに対しての加圧を行わないため、マトリックス樹脂の表面張力などにより、強化繊維層が乱れる場合がある。このため、非接触加熱による追含浸を行った後、加圧することでプリプレグの形状や強化繊維層の形状や配置を整えることも好ましい、加圧手段としては、ニップロールやS字ロールなどを用いることができる。
次に、第2の製造方法では、図2bや図2cに示すように、追含浸装置として加圧手段を備えた物を使用することができる。第2の製造方法では、塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離Nが1m以下であり、追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度P(℃)が塗布部の内部に貯留されるマトリックス樹脂温度M(℃)に対し式2の関係を満たすことで、装置をコンパクト化、あるいは加熱装置を簡略化しながらも、所望の含浸度が得られる。
M-30 ≦ P (式2)。
塗布部20の内部に貯留されるマトリックス樹脂温度M(℃)は熱電対により測定することができる。追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度P(℃)は放射温度計で測定することができる。なお、測定対象により放射率が異なるが、放射率は一律0.95として測定するものとする。マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度P(℃)の測定位置は追含浸の加圧開始点を起点として塗布部20側へ10cmの距離の場所で測定を行う。塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離Nが10cm未満の場合は、取り回し上測定が難しい場合があるが、可能な限り加圧開始点に近い場所のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度P(℃)を測定する。なお、測定点はマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの幅方向中央部とする。測定に用いる温度計の一例としては、赤外線放射温度計AD-5611A((株)エ-・アンド・デイ製、放射率0.95固定)を用い測定することができる。
なお、第1の製造方法、第2の製造方法において、塗布部での含浸と区別するために、塗布部20直下でマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bをさらに含浸することを追含浸、追含浸し得られたシートをプリプレグ1cと称する。
また、図2cに示すように本発明では離型シート3を付与することで、製造工程中にマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bやプリプレグ1cに接触するロールや装置のマトリックス樹脂による汚染が防止でき、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bやプリプレグ1cの走行性が向上するため、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bを追含浸する前に離型シート3を付与することもできる。本発明で付与する離型シート3は、マトリックス樹脂2を室温よりも高い温度に加熱して強化繊維シート1aに塗布する場合、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bに離型シート3を付与する前に離型シートの加熱を行ってもよい。離型シート3を付与する前に加熱することで、接触するマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度が大幅に低下し含浸度が低下することを抑制できるので好ましい。この離型シート3を付与前に加熱することで、追含浸装置中の加熱装置を省略あるいは簡略化できる。マトリックス樹脂含浸強化繊維シートに付与する前の離型シート表面温度T(℃)は、離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度K(℃)よりも低すぎると装置の省略あるいは簡略化の効果が小さく、逆にマトリックス樹脂含浸強化繊維シートに接触する前の離型シートの表面温度T(℃)が高すぎると追含浸時にマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bからマトリックス樹脂がはみ出し、追含浸の継続が困難になる。そのため、以下の式3を満たす範囲にTとKを設定することで高い含浸度が得られ、さらにマトリックス樹脂のはみ出しを抑制でき好ましい。
K-10 ≦ T ≦ K+50 (式3)。
離型シート3の加熱を行う際の加熱装置は特に制限なく、加熱手段としては、空気加熱、赤外線加熱、遠赤外線加熱、レーザー加熱、接触加熱、熱媒加熱(スチームなど)など多様な手段を用いることができる。
なお、追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度P(℃)、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートに付与する前の離型シートの表面温度T(℃)、離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度K(℃)は放射温度計で測定することができる。測定対象により放射率が異なるが、放射率は一律0.95として測定するものとする。一例としては、赤外線放射温度計AD-5611A((株)エ-・アンド・デイ製、放射率0.95固定)を用い測定することができる。追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度P(℃)は離型シート3が付与されている場合は、直接測定ができないため、付与した離型シートの表面温度を測定しP(℃)とする。Pの測定位置は追含浸の加圧開始点を起点として塗布部20側へ10cmの距離で測定を行う。塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離Nが10cm未満の場合や追含浸の加圧開始点からマトリックス樹脂含浸強化繊維シートと離型シートの接する場所までの距離が10cm未満の場合は、取り回し上測定が難しい場合があるが、可能な限り加圧開始点に近い場所を測定することとする。離型シート3の表面温度T(℃)の測定位置は離型シート3とマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bとが接する場所を起点とし、離型シート供給装置18側に10cmの距離の場所で測定を行う。なお、測定点は離型シート3の幅方向中央部とする。離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度K(℃)の測定位置は離型シート3と接する場所を起点として塗布部20側へ10cmの距離の場所で測定を行う。塗布部出口からマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bと離型シート3とが接する場所までの距離が10cm未満の場合、可能な限りマトリックス樹脂含浸シートと離型シートが接する場所に近い場所で測定する。なお、測定点はマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの幅方向中央部とする。なお、第1の製造方法における熱終了点でのマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度P2(℃)も同様に放射温度計で測定が可能である。測定位置は非接触加熱装置から10cm下流のプリプレグの表面温度を測定するものとする。
第2の製造方法において、追含浸装置19の加圧方式としては特に制限はない。ロール径や設定圧力、プリプレグとロールの接触長を減じることができ装置を小型化できるニップロール方式や、加圧面積を広く取ることで、含浸とともに引き取り能力も得られるS字ロール方式を好ましく例示できる。加圧方式がニップロールの場合、ニップロールにかかる力をプリプレグ幅で割り返した含浸荷重は0.1N/mm~40N/mm以下であることが好ましい。低すぎる場合含浸度が低く、高すぎる場合マトリックス樹脂が幅方向にはみ出したり、プリプレグの幅が過多に広がったりしてしまい、狙いとする目付のプリプレグが得られないことがある。
また、マトリックス樹脂2を室温よりも高い温度に加熱して強化繊維シート1aに塗布する場合であって、追含浸時加圧にロールを用いる場合、ロールには加熱機構があることが好ましい。これによりマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bの表面温度の低下を抑制でき、高い含浸性が得られる。また、追含浸装置には加圧前に加熱装置があってもよい。加圧前にマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bを加熱することで、マトリックス樹脂の温度が高まり、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bにおけるマトリックス樹脂の粘度が低下し、高い含浸性が得られるが、装置が大掛かりになることに注意が必要である。含浸性を高めるには追含浸加圧前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bにおけるマトリックス樹脂の粘度が低ければよい。そのため加圧前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bにおけるマトリックス樹脂の粘度は歪み速度3.14s-1で測定したとき80Pa・s以下であることが好ましい。なお、加圧前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート1bにおけるマトリックス樹脂の粘度を直接測定することが困難であるため、先に記載の追含浸進入前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート表面温度P(℃)における、歪み速度3.14-1で測定したマトリックス樹脂粘度が80Pa・s以下であることが好ましい。
その他追含浸装置としては以下に例示する装置を適宜選択することもできる。例えば、特開2011-132389号公報やWO2015/060299パンフレット記載のように、シート状炭素繊維束と樹脂の積層体を、熱板で予熱しシート状炭素繊維束上の樹脂を十分軟化させた後、やはり加熱されたニップロールで加圧する装置を用いることで含浸を進めることができる。予熱のための熱板温度やニップロール表面温度、ニップロールの線圧、ニップロールの直径・数は所望の含浸度になるように適宜選択することができる。また、WO2010/150022パンフレット記載のようなプリプレグシートがS字型に走行する“S-ラップロール”を用いることも可能である。本発明では“S-ラップロール”を単に“S字ロール”と称することとする。WO2010/150022パンフレット図1ではプリプレグシートがS字型に走行する例が記載されているが、含浸が可能であれば、U字型や、V型またはΛ型のようにシートとロールの接触長を調整してもよい。また、含浸圧を高め含浸度を上げる場合には、対向するコンタクトロールを付加することも可能である。さらにWO2015/076981パンフレット図4記載のように、“S-ラップロール”に対向してコンベヤーベルトを配することで含浸効率を向上させ、プリプレグの製造速度の高速化をはかることも可能である。また、WO2017/068159パンフレットや特開2016-203397号公報などに記載のように、含浸前にプリプレグに超音波を付与し、プリプレグを急速昇温することで、含浸効率を向上させることも可能である。また、特開2017-154330号公報記載のように、超音波発生装置で複数の“しごき刃”振動させる含浸装置を用いることも可能である。また、特開2013-22868号公報記載のようにプリプレグを折り畳んで含浸することも可能である。
<含浸度>
本発明の製造方法で得られるプリプレグにおいてマトリックス樹脂の含浸の様子は、採取したプリプレグを裂き、内部を目視することで含浸の有無を確認することができ、より定量的には例えば剥離法で評価することが可能である。剥離法によるマトリックス樹脂の含浸率は以下のようにして測定することができる。すなわち、採取したプリプレグを粘着テープで挟み、これを剥離し、マトリックス樹脂が付着した強化繊維とマトリックス樹脂が付着していない強化繊維を分離する。そして、投入した強化繊維シート全体の質量に対するマトリックス樹脂が付着した強化繊維の質量の比率を剥離法によるマトリックス樹脂の含浸率とすることができる。剥離法による含浸度が80%以上であるとき、プリプレグの取り扱いの観点から好ましい。
<高張力引き取り装置>
本発明では、塗布部からプリプレグを引き出すための高張力引き取り装置を塗布部より工程下流に配置することが好ましい。これは、塗布部で、強化繊維シートとマトリックス樹脂の間で高い摩擦力、せん断応力が発生するため、それに打ち勝ってプリプレグを引き出すためには、工程下流で高い引き取り張力を発生させることが好ましいためである。高張力引き取り装置としては、ニップロールやS字ロールなどを用いることができるが、いずれもロールとプリプレグの間の摩擦力を高めることで、スリップを防止し、安定した走行を可能とすることができる。このためには、摩擦係数の高い材料をロール表面に配したり、ニップ圧力やS字ロールへのプリプレグの押し付け圧を高くすることが好ましい。スリップを防止する観点からは、S字ロールの方がロール径や接触長などで容易に摩擦力を制御でき、好ましい。
<離型シート供給装置、ワインダー>
本発明を用いてのプリプレグやFRPの製造においては適宜離型シート供給装置やワインダーを用いることができ、そのようなものとしては公知のものを使用することができるが、いずれも巻き出し、あるいは巻き取り張力を巻き出しあるいは巻き取り速度にフィードバックできる機構を備えていることがシートの安定走行の観点から好ましい。
<プリプレグ幅>
FRPの前駆体の一種であるプリプレグは本発明で得られる強化繊維シートの一形態であるため、本発明をFRP用途に適用する場合として、強化繊維シートをプリプレグと称して以下説明する。
プリプレグの幅には、特に制限は無く、幅が数十cm~2m程度の広幅でも良いし、幅数mm~数十mmのテープ状でも良く、用途に応じ幅を選択することができる。近年では、プリプレグの積層工程を効率化するため、細幅プリプレグやプリプレグテープを自動積層していくATL(Automated Tape Laying)やAFP(Automated Fiber Placement)と呼ばれる装置が広く用いられるようになってきており、これに適合した幅とすることも好ましい。ATLでは幅が約7.5cm、約15cm、約30cm程度の細幅プリプレグが用いられることが多く、AFPでは約3mm~約25mm程度のプリプレグテープが用いられることが多い。
所望の幅のプリプレグを得る方法には特に制限は無く、幅1m~2m程度の広幅プリプレグを細幅にスリットする方法を用いることができる。また、スリット工程を簡略化あるいは省略するため、最初から所望の幅となるよう本発明で用いる塗布部の幅を調整することもできる。例えば、ATL用に30cm幅の細幅プリプレグを製造する場合には、塗布部出口の幅をそれに応じて調整すればよい。また、これを効率的に製造するためには、製品幅を30cmとして製造することが好ましく、係る製造装置を複数個並列させると、同一の走行装置・搬送装置、各種ロール、ワインダーを用いて複数ラインのプリプレグを製造することができる。
また、プリプレグテープの場合には、テープ状の強化繊維束が1糸条~3糸状程度で強化繊維シートを形成させ、これを所望のテープ幅が得られるように幅を調整した塗布部に通すことで得ることもできる。プリプレグテープの場合はテープ同士の横方向の重なりを制御する観点から、特にテープ幅の精度が求められる場合が多い。このため、塗布部出口幅をより厳密に管理することが好ましく、この場合には、前記のL、L2およびWが、L≦W+1mmおよび/またはL2≦W+1mm、の関係を満たすようすることが好ましい。
<スリット>
プリプレグのスリット方法にも特に制限は無く、公知のスリット装置を用いることができる。プリプレグを一旦巻き取った後、改めてスリット装置に設置し、スリットを行っても良いし、効率化のため、プリプレグ一旦巻き取ることなくプリプレグ作製工程から連続してスリット工程を配置しても良い。また、スリット工程は1m以上の広幅プリプレグを直接、所望の幅にスリットしても良いし、一旦、30cm程度の細幅プリプレグにカット・小分けした後、これを改めて所望の幅にスリットしても良い。
なお、上記の細幅プリプレグ、プリプレグテープを複数の塗布部を並列させた場合には、それぞれ独立に離型シートを供給しても良いし、1枚の広幅離型シートを供給し、これに複数枚のプリプレグを積層させても良い。このようにして得られるプリプレグの幅方向の端部を切り落とし、ATLやAFPの装置に供給することができる。この場合には切り落とす端部の大部分が離型シートとなるため、スリットカッター刃に付着するマトリックス樹脂成分(CFRPの場合には樹脂成分)を減じることができ、スリットカッター刃の清掃周期を延長できるというメリットもある。
<マトリックス樹脂供給機構>
本発明において塗布部内にマトリックス樹脂は貯留されているが、塗工が進行するのでマトリックス樹脂を適宜補給することが好ましい。マトリックス樹脂を塗布部に供給する機構には特に制限は無く、公知の装置を使用することができる。マトリックス樹脂は連続的に塗布部に供給することが、塗布部の上部液面を乱さず、強化繊維シートの走行を安定化でき、好ましい。例えば、マトリックス樹脂を貯留する槽から自重を駆動力として供給したり、ポンプなどを用いて連続的に供給することができる。ポンプとしては、ギヤポンプやチューブポンプ、圧力ポンプなどマトリックス樹脂の性質に応じ適宜使用することができる。また、マトリックス樹脂が室温で固体の場合には、貯留層上部にメルターを備えておくことが好ましい。また、連続押し出し機などを用いることもできる。また、マトリックス樹脂供給量はマトリックス樹脂の塗布部上部の液面がなるべく一定となるよう、塗布量に応じ連続供給できる機構を備えることが好ましい。このためには、例えば液面高さや塗布部重量などをモニタリングし、それを供給装置にフィードバックするような機構が考えられる。
<オンラインモニタリング>
また、塗布量のモニタリングのために、塗布量をオンラインモニタリングできる機構を備えることが好ましい。オンラインモニタリング方法についても特に制限は無く、公知のものを使用可能である。例えば、厚みを計測する装置として、例えばベータ線計などを用いることができる。この場合は、強化繊維シート厚みとプリプレグの厚みを計測し、その差分を解析することで塗布量を見積もることが可能である。オンラインモニタリングされた塗布量は、直ぐに塗布部にフィードバックされ、塗布部の温度や狭窄部23の隙間D(図2参照)の調整に利用することができる。塗布量モニタリングは、もちろん欠点モニタリングとしても使用可能である。厚み計測位置としては、例えば図12で言えば、方向転換ロール419近傍で強化繊維シート416の厚みを測定し、高張力引取装置444近傍でプリプレグの厚みを計測することができる。また、赤外線、近赤外線、カメラ(画像解析)などを用いたオンライン欠点モニタリングを行うことも好ましい。
本発明のプリプレグ製造装置は、強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、強化繊維シートにマトリックス樹脂を付与してマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得る塗布機構と、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートを少なくとも加圧する追含浸機構と、マトリックス樹脂含浸シートに追含浸を行う前に、マトリックス樹脂含浸シートの少なくとも片面に離型シートを付与するために離型シートを供給する離型シート供給機構と、離型シートを加熱する加熱機構を有するプリプレグ製造装置であって、前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部を備えており、前記液溜り部は、シート状強化繊維束の走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、前記追含浸機構は追含浸の加圧開始点が塗布機構から1m以内となるよう配置され、離型シート供給機構と含浸機構の間に離型シート加熱機構を有するプリプレグ製造装置である。
以下、当該プリプレグ製造装置塗工装置を用いたプリプレグの製造例を具体的に挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、以下は例示であり、本発明は以下に説明される態様に限定して解釈されるものではない。
図21は、本発明の第1の製造方法の製造工程・装置の一例を示す概略図である。複数個の強化繊維ボビン412はクリール411に掛けられている。そして、クリールに付与されたブレーキ機構により一定張力で強化繊維束414を引き出すことができる。引き出された複数本の強化繊維束414は強化繊維配列装置415により整然と配列され、強化繊維シート416が形成される。なお、図21では強化繊維束は3糸条しか描画されていないが、実際には、1糸条~数百糸条とすることができ、所望のプリプレグ幅、繊維目付けとするよう調整可能である。その後、拡幅装置417、平滑化装置418を経て、方向転換ロール419を経て、搬送される。図21では、強化繊維配列装置415~方向転換ロール419まで強化繊維シート416は装置間を直線状に搬送される。なお、拡幅装置417、平滑化装置418は、目的に応じ、適宜スキップすることもできるし、装置を配置しないこともできる。また、強化繊維配列装置415、拡幅装置417、平滑化装置418の配列順序は目的に応じ適宜変更することもできる。強化繊維シート416は方向転換ロール419から鉛直下向きに走行し、強化繊維予熱装置420、塗布部430を通り、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート421が得られる。そして、塗布部430直下、距離Nに設置された非接触加熱装置423にトリックス樹脂含浸強化繊維シート421を通し含浸を進める。さらに、方向転換ロール445上で離型シートを付与し、シート状一体物は冷却装置461で冷却された後、引き取り装置462で引き取られ、上側の離型シート446を剥がした後、ワインダー464で巻き取り、製品となるプリプレグ/離型シートからなるシート状一体物472を得ることができる。なお、図21では、マトリックス樹脂の供給装置、オンラインモニタリング装置の描画は省略してある。図22は、本発明の第2の製造方法の製造工程・装置の一例を示す概略図である。複数個の強化繊維ボビン412はクリール411に掛けられ、方向転換ガイド413を経て、上方に引き出される。この時、クリールに付与されたブレーキ機構により一定張力で強化繊維束414を引き出すことができる。引き出された複数本の強化繊維束414は強化繊維配列装置415により整然と配列され、強化繊維シート416が形成される。なお、図22では強化繊維束は3糸条しか描画されていないが、実際には、1糸条~数百糸条とすることができ、所望のプリプレグ幅、繊維目付けとするよう調整可能である。その後、拡幅装置417、平滑化装置418を経て、方向転換ロール419を経て、鉛直下向きに搬送される。図22では、強化繊維配列装置415~方向転換ロール419まで強化繊維シート416は装置間を直線状に搬送される。なお、拡幅装置417、平滑化装置418は、目的に応じ、適宜スキップすることもできるし、装置を配置しないこともできる。また、強化繊維配列装置415、拡幅装置417、平滑化装置418の配列順序は目的に応じ適宜変更することもできる。強化繊維シート416は方向転換ロール419から鉛直下向きに走行し、強化繊維予熱装置420、塗布部430を通り、マトリックス樹脂含浸強化繊維シート421が得られる。塗布後のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート421に対し離型シート供給装置442から巻き出され、離型シート446を両面に付与し、追含浸装置440を経て高張力引き取り装置444に到達する。図22では離型シート446を両面から付与しているが、付与しなくてもよいし、片面のみ付与でも良い。なお離型シート446は離型シート加熱装置422で加熱してもよい。塗布部430は本発明の目的を達成する範囲で任意の塗布部形状を採用することができる。例えば、図4、図16~図19のような形状が挙げられる。また、必要に応じ図10のようにブッシュ27を備えることもできる。さらに、図7のように、塗布部内にバーを備えることもできる。追含浸装置は本発明の目的を達成する範囲で、任意の装置構成を採用することができる。図22では、追含浸装置440として、加熱ニップロール452を具備する追含浸装置を描画した。追含浸装置を通すことで、含浸度の高いプリプレグ/離型シート(シート状一体物)472が得られる。図12では、加圧方式の一例として加熱ニップロール452を描画しているが、目的によっては、もちろん小型の加熱S字ロールでも良い。
その後、シート状一体物は冷却装置461で冷却された後、引き取り装置462で引き取られ、上側の離型シート446を剥がした後、ワインダー464で巻き取り、製品となるプリプレグ/離型シートからなるシート状一体物472を得ることができる。
なお、図22では、マトリックス樹脂供給装置、オンラインモニタリング装置の描画は省略してある。
図23は第2の製造方法を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図23では、クリール411から強化繊維束414を引き出し、そのまま強化繊維配列装置415で強化繊維シート416を形成し、その後、拡幅装置417、平滑化装置418まで直線状に搬送され、その後、強化繊維シート416を上方に導く点が図23とは異なる。このような構成とすることで、上方に装置を設置することが不要となり、足場などの設置を大幅に簡略化することができる。
図24は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図24では、階上にクリール411を設置し、強化繊維シート416の走行経路を更に直線化している。
図25は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。この例では加熱S字ロール455を高張力引き取り装置と兼用する例を示している。プリプレグ製造装置全体を非常にコンパクトにすることができるメリットがある。含浸度を高めるためコンタクトロール456の配置を例示しているが、配置しなくてもよい。
なお、本発明の第1の製造方法、第2の製造方法、第3の製造方法は適宜組み合わせて使用することも可能である。
本実施例の項では、実施例1~3が第1の製造方法、実施例4~5が第2の製造方法、実施例6~15が第3の製造方法に対応する実施例である。
<プリプレグ製造装置>
プリプレグ製造装置として第1の製造方法は図26、第2の製造方法は図22、第3の製造方法は図3記載の構成の装置(マトリックス樹脂の供給部は描画を省略)を用いた。なお、拡幅装置、平滑化装置、冷却装置は用いなかった。
<塗布部>
第1の製造方法、第2の製造方法では、塗布部として、図17の形態の塗布部20cタイプの塗布部を用い、塗布部はステンレスで作製し、さらにマトリックス樹脂を加温するため、塗布部外周にリボンヒーターを巻きつけ、熱電対で温度測定を行いながら、マトリックス樹脂の温度および粘度を調整できるようにした。また、液溜り部での強化繊維シートの走行方向は鉛直方向下向き、液溜り部は2段テーパー状であるが、1段目テーパーは開き角度17°、テーパー高さ(すなわちH)は100mm、2段目テーパーは開き角度7°とした。また、幅規制機構として、図10記載のような塗布部内部形状に合わせた板形状ブッシュ27を備えており、L2を20mmとし、狭窄部の隙間Dは0.2mmとした。また、狭窄部出口からマトリックス樹脂が漏れないように、狭窄部出口面においてブッシュより外側は塞いだ。
第3の製造方法では、図7のような左右対称な形状のブロックの塗布部を用いた。液溜り部22は連続的に断面積が減少するテーパー状の流路であり、液溜り部22の高さHは100mm、テーパー部の開き角度θは30゜、狭窄部23の隙間Dは0.2mm(スリット状、アスペクト比は100)とした。液溜り部22および狭窄部23を形成する壁面部材21a、21bにはステンレス製のブロックを用いた。また側板部材24にはステンレス製のプレートを用いた。さらにエポキシ樹脂を溶融するため、壁面部材21および側板部材24の外周にリボンヒータを巻きつけ、熱電対で温度計測を行いながら、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂の温度を90℃に調整した。
<離型シート>
離型シートとしては幅100mmの離型紙を用いた。離型シート加熱装置は実施例5、比較例5において使用した。離型シートの加熱装置としてはヒートガンを用いた。ヒートガンはマトリックス樹脂含浸強化繊維シートと離型シートが接する場所から離型シート供給装置側に30cmの場所に設置し離型シートを加熱した。離型シートにヒートガンを当てる距離を調整し、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートと離型シートとが接する場所から離型シート供給装置側10cmの場所において離型シートの幅方向中央部の温度が90℃となるようにした。なお、離型シートのマトリックス樹脂含浸強化繊維シートへ接する場所は塗布部出口から30cm高張力引取り装置側の場所になるようにした。
<追含浸装置>
第1の製造方法では、赤外線ヒーターによる非接触加熱装置を用いた。加熱区間の長さは0.5mとした。
第2の製造方法では、追含浸の加圧には、図22に示すように、2本の加熱ニップロールを用いた。なお、塗布部側に近いニップロールは塗布部出口から追含浸装置の加圧開始点までの距離Nが0.5mとなるように設置し、高張力引取り装置側に近いニップロールは塗布部側に近いニップロールの加圧開始点との距離が100mmとなるよう設置した。ニップロールの直径は50mmとした。ニップロール内にはヒーターがあり、表面温度が100℃になるよう加熱した。加圧時のニップロールのニップ力は400Nとした。
<強化繊維シート>
プリプレグの作製は、強化繊維として炭素繊維(東レ製、“トレカ(登録商標)”T800S(24K))を3糸条用いた。
<マトリックス樹脂>
マトリックス樹脂A(熱硬化性エポキシ樹脂組成物):
エポキシ樹脂(芳香族アミン型エポキシ樹脂+ビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物)、硬化剤(ジアミノジフェニルスルホン)、ポリエーテルスルホンの混合物である。この熱硬化性エポキシ樹脂1の粘度をTA Instruments社製ARES-G2を用いて、測定周波数0.5Hz、昇温速度1.5℃/分で測定したところ、40℃で3675Pa・s、50℃で855Pa・s、70℃で80Pa・s、75℃で51Pa・s、90℃で15Pa・sであった。
<含浸度の評価>
採取したプリプレグを粘着テープで挟み、これを剥離し、マトリックス樹脂が付着した強化繊維とマトリックス樹脂が付着していない強化繊維を分離した。そして、投入した強化繊維シート全体の質量に対するマトリックス樹脂が付着した強化繊維の質量の比率を剥離法によるマトリックス樹脂の含浸度とした。
含浸度が90%以上をExcellent、70%以上90%未満をGood、70%未満をBadとした。
<プリプレグ品位の評価>
採取したプリプレグを積層・硬化しコンポジット板を得、これの断面観察を行い、強化繊維層の乱れを観察した。
<表面温度の測定>
加熱終了点でのマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度P2(℃)、追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート表面温度P(℃)、離型シートの表面温度T(℃)、離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート表面温度K(℃)は赤外線放射温度計AD-5611A((株)エ-・アンド・デイ製、放射率0.95固定)で測定した。測定は赤外線温度計を対象物から55cm離して測定した。第1の製造方法のP2は非接触加熱装置の下流10cmでのマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの中央部の温度を測定した。第2の製造方法の実施例4と比較例6の追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート表面温度P(℃)は塗布部側に近いニップロールの加圧開始点から塗布部側に10cmの距離の場所の幅方向中央部の表面温度を測定した。実施例5、比較例2、比較例5の追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シート表面温度P(℃)は離型シートを付与しているため、塗布部側に近いニップロールの加圧開始点から塗布部側に10cmの距離の場所の幅方向中央部の離型シート表面温度をPとして測定した。さらに離型シートを用いた実施例5、比較例4、比較例5のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートに接触する前の離型シートの表面温度T(℃)は離型シートとマトリックス樹脂含浸強化繊維シートが接する場所から離型シート供給装置側に10cmの距離の地点の幅方向中央部の表面温度を測定した。離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度K(℃)は離型シートとマトリックス樹脂含浸シートとが接する場所から塗布部側に10cmの距離の地点の幅方向中央部の表面温度を測定した。
[実施例1]
クリールに掛けられた強化繊維ボビンから強化繊維を引き出し、強化繊維配列装置で強化繊維3糸条を幅方向に配列させ、強化繊維シートを形成させた後、90℃となるよう加熱したマトリックス樹脂Aを貯留する塗布部に導き、マトリックス樹脂Aを塗布した。その後、塗布部からマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを引き出し、塗布部出口から非接触加熱装置までの距離N2が0.5mとなるよう設置し、P2が130℃、すなわちP2-M=40(℃)となるように赤外線加熱した後、離型紙を付与してワインダーで巻き取った。強化繊維シート、プリプレグの走行速度は10m/分とした。得られたプリプレグの含浸度の評価を行ったところ、92%でGoodであった。また、積層・硬化後のコンポジット断面を観察したところ、炭素繊維層の乱れは見られず、プリプレグ品位も良好であった。
[実施例2、3]
P2温度を115℃(P2-M=25(℃)。実施例2)、95℃(P2-M=5(℃)。実施例3)として実施例1と同様にプリプレグを得た後、含浸度の評価を行ったところ、それぞれ83%、75%といずれもGoodであった。また、積層・硬化後のコンポジット断面を観察したところ、炭素繊維層の乱れは見られず、プリプレグ品位も良好であった。
[比較例1]
P2温度を85℃(P2-M=-5(℃))として実施例1と同様にプリプレグを得た後、含浸度の評価を行ったところ、65%とBadであった。
[比較例2]
塗布部出口から非接触加熱装置までの距離N2が1.3mとなるように非接触加熱装置を設置し、プリプレグの走行速度を10m/分としたところ、非接触加熱装置に導入される前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度が低下したため、再加熱のための非接触加熱装置の赤外線ヒーター能力が足りずP2温度を90℃まで上昇させることができなかった。このため、含浸度は70%未満でBadであった。
[比較例3]
塗布部出口から非接触加熱装置までの距離N2が1.3m、プリプレグの走行速度を0.5m/分として比較例2と同様に実験を行ったところ、再加熱時間を長くとれるためP2温度を90℃まで上昇させることが可能となったが、積層・硬化後のコンポジット断面を観察したところ、炭素繊維層の乱れが見られ、プリプレグ品位が不良であった。
Figure 0007144756000001
[実施例4]
クリールに掛けられた強化繊維ボビンから強化繊維を引き出し、強化繊維配列装置で強化繊維3糸条を幅方向に配列させ、強化繊維シートを形成させた後、90℃となるよう加熱したマトリックス樹脂Aを貯留する塗布部に導き、マトリックス樹脂Aを塗布した。その後、塗布部からマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを引き出し、塗布部出口から追含浸装置の加圧開始点までの距離Nが0.5mとなるよう設置し、100℃に設定した2本の加熱ニップロールをニップ圧400Nにして加圧し、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートを追含浸装置を通すことでプリプレグを得てワインダーで巻き取った。強化繊維シート、プリプレグの走行速度は20m/分とした。得られたプリプレグの含浸度の評価を行ったところ、80%以上とGoodであった。なお、追含浸装置進入前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度Pは70℃であった。
[実施例5]
追含浸装置進入前に表面温度が90℃となるよう加熱した離型シートを付与した以外は実施例4と同様にして、離型シート(上)巻取装置463を用い上記離型紙を剥がし、シート状一体物が得られた。得られたプリプレグの含浸度の評価を行ったところ、80%以上とGoodであった。なお、離型シート上から測定した追含浸装置進入前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度Pは75℃、離型シートの表面温度Tは90℃、離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度Kは80℃であった。
なお、実施例4、実施例5で得られたプリプレグをスリットし、幅7mmのプリプレグテープを得た。これらのプリプレグテープは含浸が十分進んでいるため、スリッターのカッター刃への樹脂の付着は少ないものであった。
[比較例4]
離型シートの加熱装置を用いなかった以外は実施例5と同様にして、離型シート(上)巻取装置463を用い上記離型紙を剥がし、シート状一体物が得られた。得られたプリプレグの含浸度の評価を行ったところ、70%未満とBadであった。なお、離型シート上から測定した追含浸装置進入前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度Pは35℃、離型シートの表面温度Tは23℃、離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度Kは80℃であった。
実施例5と比較例4より、離型シートを加熱することで、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートの冷却を抑制し、所望の含浸度のプリプレグが得られることを確認した。
[比較例5]
ニップロールによる加圧をしない以外は実施例5と同様にマトリックス樹脂強化繊維シートを得た。得られたマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの含浸度の評価を行ったところ、70%未満とBadであった。
実施例5と比較例5より、第2の製造方法において、所望の含浸度を得るには加圧が必要であることを確認した。
[比較例6]
塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離Nが1.5mとなるように追含浸装置を設置した以外は、実施例4と同様にプリプレグを作製した。得られたプリプレグの含浸度の評価を行ったところ、70%未満とBadであった。なお、追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度Pは50℃であった。
実施例4と比較例6より塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離Nが1mを超えるとマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度が低く、所望の含浸度のプリプレグが得られないことが分かった。
Figure 0007144756000002
[実施例6]
本発明に係る図7の実施形態の塗布部20を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。バー群35には直径10mm、長さ40mmのステンレス製のみがき棒3本を用いた。炭素繊維シートとバー35a、35b、35cの抱き角はそれぞれ10゜、20゜、10゜とし、すべてのバーはマトリックス樹脂2の中に沈んでいる。また最上段に位置するバー35aは、ガイドロール13と接触する炭素繊維シートの面と反対の面で、炭素繊維シートと接触している。バー群35は図11のように長さ方向に均一な断面とし、幅規制部材は備えていない。またスリット状出口の幅W1は20mmとした。得られたプリプレグは、剥離法により含浸度を定量的に評価した。剥離法による塗液の含浸度は以下のようにして測定することができる。すなわち、採取した塗液含浸強化繊維シートを粘着テープで挟み、これを剥離し、塗液が付着した強化繊維と塗液が付着していない強化繊維を分離する。そして、投入した強化繊維シート全体の質量に対する塗液が付着した強化繊維の質量の比率を剥離法による塗液の含浸度とすることができる。実施例7で得られたプリプレグの含浸度は73%であった。
[比較例7]
次に図7の実施形態の塗布部20からバー群35をすべて取り除き、本発明の要件を満たさない塗布部を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。得られたシート状プリプレグの含浸度を剥離法で測定したところ、含浸度は50%であった。
[実施例7]
次に本発明に係る図27の実施形態の塗布部43を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。図7の実施形態の塗布部40とは異なり、バー35には直径10mm、長さ40mmのみがき棒を1本だけ用いた。炭素繊維シートとバー35の抱き角は20゜とした。またバー35は塗液2の中に沈んでいる。得られたシート状プリプレグの含浸度を剥離法で測定したところ、含浸度は60%であった。含浸度の絶対値は低いものの比較例7との比較からバーの効果は認められる。
Figure 0007144756000003
次に表4は本発明に係る図12の実施形態の塗布部41を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与し、シート状プリプレグを製作した実験結果をまとめた表である。なお、いずれの実施例も炭素繊維シートの走行速度は20m/分とした。以下で詳細を説明する。
[実施例8]
本発明に係る図12に示す塗布部41を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。バー群36には図13に示すように両端に直径の大きな円板状の幅規制部材を備えるステンレス製のバーを用いた。バー群36の直径d1は10mm、幅規制部材の直径d2は14mm、幅規制部材の内側の間隔W2は20mm、幅規制部材の厚みW3は2mmであり、1本のみがき棒から削り出して製作した一体物を用いた。バー群36の配置は図7の実施形態の塗布部40(実施例7)と同じであり、炭素繊維シートとバー36a、36b、36cのなす抱き角はそれぞれ10゜、20゜、10゜である。またスリット状出口の幅W1は20mmであり、0≦W1-W2≦10の関係を満たしている(W1=W2)。次に、得られたシート状プリプレグは剥離法で含浸度を測定した。また得られたプリプレグの品質を評価するため、プリプレグを目視確認し、全幅(20mm)にわたって炭素繊維が均一な厚みでかつ隙間なく配列しているものを「Excellent」、一部厚みが均一でない(表面に凹凸がある)が全幅にわたって炭素繊維が隙間なく存在するものを「Good」、一部の炭素繊維間に隙間がありエポキシ樹脂だけの部分が存在するものや表面が毛羽立っているものを「Fair」とした。実施例9で得られたプリプレグの含浸度は73%で、全幅にわたって炭素繊維が均一な厚みでかつ隙間なく配列していた(品質「Excellent」)。
ここで、実施例7で得られたプリプレグには一部の炭素繊維間に隙間があり、エポキシ樹脂だけの部分が走行方向に連続的に存在していたほか、プリプレグの幅方向両端部に毛羽立ちが確認できた(品質「Fair」)。
[実施例9]
次に実施例8におけるスリット状出口の幅W1を30mmに変更して、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。本実施例も0≦W1-W2≦10の関係を満たしている。実施例9で得られたプリプレグの含浸度は71%で、一部厚みが均一でない(表面に凹凸がある)が、全幅にわたって炭素繊維が隙間なく存在していた(品質「Good」)。
[実施例10]
次に実施例8におけるスリット状出口の幅W1を40mmに変更して、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。本実施例は0≦W1-W2≦10の関係を満たしていない。実施例10で得られたシート状プリプレグの含浸度は72%で、一部の炭素繊維間に隙間があり、エポキシ樹脂だけの部分が走行方向に連続的に存在していた(品質「Fair」)。
Figure 0007144756000004
次に表5は本発明に係る図12の実施形態の塗布部41を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与し、プリプレグを製作した実験結果をまとめた表である。いずれの場合も共通の実施条件として、炭素繊維シートの走行速度は20m/分、バー群36には実施例8と同じ形状の幅規制部材を備えるバーを用いており、スリット状出口の幅W1は20mmで、0≦W1-W2≦10の関係を満たしている。以下で詳細を説明する。
[実施例11]
炭素繊維シートとバー36a、36b、36cの抱き角がそれぞれ20゜、40゜、20゜となるよう、バー群36の位置を調整して炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。走行中、液溜り部22の上部液面付近で炭素繊維シートが時折ひるがえっている様子が確認できた。得られたプリプレグの含浸度を剥離法で測定したところ、含浸度は82%であった。また得られたシート状プリプレグを目視確認し品質を確認したところ、一部厚みが均一でない(表面に凹凸がある)が、全幅にわたって炭素繊維が隙間なく存在していた(品質「Good」)。
[実施例12]
次に炭素繊維シートとバー36a、36b、36cの抱き角がそれぞれ40゜、80゜、40゜となるよう、バー群36の位置を調整して炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。走行中、液溜り部22の上部液面付近で炭素繊維シートが大きくひるがえっている様子が確認できた。得られたプリプレグの含浸度を剥離法で測定したところ、含浸度は90%以上であった。また得られたプリプレグを目視確認し品質を確認したところ、一部の炭素繊維間に隙間があり、エポキシ樹脂だけの部分が走行方向に連続的に存在していたほか、プリプレグの表面全体に毛羽立ちが確認できた(品質「Fair」)。
[実施例13]
バー群36の直径d1を20mmに変更して、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。幅規制部材の直径d2は24mmとした。また炭素繊維シートとバー36a、36b、36cの抱き角はそれぞれ10゜、20゜、10゜となるよう、バー群36の位置を調整した。得られたプリプレグの含浸度を剥離法で測定したところ、含浸度は84%であった。また得られたシート状プリプレグを目視確認し品質を確認したところ、一部厚みが均一でない(表面に凹凸がある)が、全幅にわたって炭素繊維が隙間なく存在していた(品質「Good」)。
Figure 0007144756000005
[実施例14]
次に本発明に係る図28の塗布部44を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。炭素繊維シートの走行速度は20m/分とした。本実施例はバー群36と炭素繊維シートが接触する面が実施例8と反対になっている以外は、実施例8の実施条件と同じである。本実施例では最上段に位置するバー36aは、ガイドロール13と接触する炭素繊維シートの面と同じ面で、炭素繊維シートと接触している。走行中、液溜り部22の上部液面付近で炭素繊維シート1aが時折ひるがえっている様子が確認できた。得られたシート状プリプレグの含浸度を剥離法で測定したところ、含浸度は70%であった。また得られたシート状プリプレグを目視確認し品質を確認したところ、一部厚みが均一でない(表面に凹凸がある)が、全幅にわたって炭素繊維が隙間なく存在していた(品質「Good」)。
Figure 0007144756000006
[実施例15]
本発明に係る図12の実施形態の塗布部41を用いて、炭素繊維シートに溶融エポキシ樹脂を付与した。炭素繊維シートの走行速度を5m/分とした以外は、実施例9の実施条件と同じである。得られたプリプレグは剥離法で含浸度を測定したほか、得られたプリプレグの品質を評価するため、プリプレグを目視確認し、全幅(20mm)にわたって炭素繊維が均一な厚みでかつ隙間なく配列しているものを「Excellent」、一部厚みが均一でない(表面に凹凸がある)が全幅にわたって炭素繊維が隙間なく存在するものを「Good」、一部の炭素繊維間に隙間がありエポキシ樹脂だけの部分が存在するものや表面が毛羽立っているものを「Fair」とした。実施例9で得られたシート状プリプレグの含浸度は90%以上で、全幅にわたって炭素繊維が均一な厚みでかつ隙間なく配列していた(品質「Excellent」)。
Figure 0007144756000007
本発明の製造方法で得られるプリプレグは、CFRPに代表されるFRPとして、航空・宇宙用途や自動車・列車・船舶などの構造材や内装材、圧力容器、産業資材用途、スポーツ材料用途、医療機器用途、筐体用途、土木・建築用途など広く適用することができる。
1 強化繊維
1a 強化繊維シート
1b マトリックス樹脂含浸強化繊維シート
1c プリプレグ
2 マトリックス樹脂
3 離型シート
11 クリール
12 配列装置
13、14、15、16 搬送ロール
17 巻取り装置
18 離型シート供給装置
18a 離型シート加熱装置
19 追含浸装置
20 塗布部
20b 別の実施形態の塗布部
20c 別の実施形態の塗布部
20d 別の実施形態の塗布部
20e 別の実施形態の塗布部
21a、21b 壁面部材
21c、21d 別の形状の壁面部材
21e、21f 別の形状の壁面部材
21g、21h 別の形状の壁面部材
21i、21j 別の形状の壁面部材
22 液溜り部
22a 液溜り部のうち断面積が連続的に減少する領域
22b 液溜り部のうち断面積が減少しない領域
22c 液溜り部のうち断面積が断続的に減少する領域
23 狭窄部
24、24a、24b 側板部材
25 出口
26 隙間
27 板形状ブッシュ
27a、27b 幅規制機構
30 塗布部
31a、31b 壁面部材
32 液溜り部
33 液溜り部のうち断面積が断続的に減少する領域
35a、35b、35c バー
36a、36b、37c 別の実施形態のバー
40 別の実施形態の塗布部
41 別の実施形態の塗布部
43 別の実施形態の塗布部
44 別の実施形態の塗布部
100 塗工装置
101 塗工装置
B 液溜り部22の奥行き
C 液溜り部22の上部液面までの高さ
D 狭窄部の隙間
E 液溜り部の幅方向
G 幅規制を行う位置
H 液溜り部22の断面積が連続的に減少する鉛直方向高さ
L 液溜り部22の幅
N 塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離
N2 塗布部出口から非接触式の加熱装置による加熱開始点までの距離
R、Ra、Rb 渦流れ
T 循環流
W 狭窄部23の直下で測定した強化繊維シートプリプレグ1bの幅
Y 狭窄部23の幅
Z 強化繊維シート1aの走行方向(鉛直方向下向き)
θ テーパー部の開き角度
411 クリール
412 強化繊維ボビン
413 方向転換ガイド
414 強化繊維束
415 強化繊維配列装置
416 強化繊維シート
417 拡幅装置
418 平滑化装置
419 方向転換ロール
420 強化繊維予熱装置
421 マトリックス樹脂含浸強化繊維シート
422 離型シート加熱装置
423 非接触加熱装置
430 塗布部
440 追含浸装置
442 離型シート供給装置
444 高張力引取り装置
445 方向転換ロール
446 離型シート
452 加熱ニップロール
455 加熱S字ロール
456 コンタクトロール
461 冷却装置
462 引き取り装置
463 離型シート(上)巻取装置
464 ワインダー
471 プリプレグ(強化繊維シートプリプレグ)
472 プリプレグ/離型シート(シート状一体物)

Claims (18)

  1. マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに通過させ、強化繊維シートにマトリックス樹脂を付与してマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得る工程、該マトリックス樹脂含浸強化繊維シートに非接触で加熱を行う工程を含むプリプレグの製造方法であって、
    前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ、液溜り部上面の面積よりも小さい断面積を有し、
    前記非接触の加熱は、前記狭窄部の開口部からマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの走行方向に向かって1m以内の領域で開始され、かつ、加熱終了点でのマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度をP2(℃)、前記塗布部の内部に貯留されたマトリックス樹脂の温度をM(℃)としたとき、下式1を満たす、プリプレグの製造方法。
    M ≦ P2 (式1)
  2. 非接触で加熱を行う工程の後に、更にマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを加圧する工程を有する請求項1記載のプリプレグの製造方法。
  3. 強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、強化繊維シートにマトリックス樹脂を付与してマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得る塗布機構と、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートを加熱する加熱機構と、を有するプリプレグ製造装置であって、
    前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、かつ、互いに連通された液溜り部と狭窄部を備えており、前記液溜り部は、シート状強化繊維束の走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートの導出に用いうるスリット状の開口部を有し、かつ該開口部の面積は液溜り部上面の面積よりも小さく、
    前記加熱機構は、非接触の加熱手段であるとともに、前記狭窄部の開口部からマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの走行方向に向かって1m以内の領域で開始されるよう配置されているプリプレグ製造装置。
  4. マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに通過させることで、マトリックス樹脂が強化繊維シートに付与されたマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得た後、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートを少なくとも加圧する追含浸を行うプリプレグの製造方法であって、前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、塗布部出口から追含浸の加圧開始点までの距離Nが1m以下であり、追含浸前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度P(℃)が塗布部の内部に貯留されるマトリックス樹脂温度M(℃)に対し式2の関係を満たすプリプレグの製造方法。
    M-30 ≦ P (式2)
  5. 前記追含浸を行う前に、マトリックス樹脂含浸シートの少なくとも片面に、離型シートを加熱する加熱機構により加熱された離型シートを付与する請求項4に記載のプリプレグの製造方法であって、離型シートを付与する前のマトリックス樹脂含浸強化繊維シートの表面温度K(℃)とマトリックス樹脂含浸強化繊維シートに接触する前の離型シート表面温度T(℃)が式3の関係を満たすプリプレグの製造方法。
    K-10 ≦ T ≦ K+50 (式3
  6. ニップロール方式で追含浸を行う請求項4または5の何れかに記載のプリプレグの製造方法。
  7. S字ロール方式で追含浸を行う請求項4または5の何れかに記載のプリプレグの製造方法。
  8. 強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、強化繊維シートにマトリックス樹脂を付与してマトリックス樹脂含浸強化繊維シートを得る塗布機構と、マトリックス樹脂含浸強化繊維シートを少なくとも加圧する追含浸機構と、マトリックス樹脂含浸シートに追含浸を行う前に、マトリックス樹脂含浸シートの少なくとも片面に離型シートを付与するために離型シートを供給する離型シート供給機構と、離型シートを加熱する加熱機構を有するプリプレグ製造装置であって、前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部を備えており、前記液溜り部は、シート状強化繊維束の走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、前記追含浸機構は追含浸の加圧開始点が塗布機構から1m以内となるよう配置され、離型シート供給機構と含浸機構の間に離型シート加熱機構を有するプリプレグ製造装置。
  9. マトリックス樹脂が貯留され、かつ鉛直方向下向きに断面積が連続的に減少する部分を有する液溜り部と、前記液溜り部の下端に連通するスリット状出口を有する狭窄部と、前記液溜り部の内部に設けられ、前記スリット状出口の長手方向に延びる1本以上のバーと、を備える塗布部に、強化繊維シートを鉛直方向下向きに通過させてマトリックス樹脂を付与するプリプレグの製造方法であって、前記バーは長手方向両端部に幅規制部材を備え、
    前記バーと強化繊維シートにより形成される抱き角が全て10°以上40°以下となるように、前記強化繊維シートを前記バーに接触させながら、狭窄部から引き取る、
    プリプレグの製造方法。
  10. 前記塗布部の鉛直方向上側にガイドロールを備え、強化繊維シートを前記ガイドロールに接触させた後で前記塗布部に案内する、請求項9に記載のプリプレグの製造方法。
  11. 前記バーのうち最上段に位置するバーが、前記ガイドロールと接触する強化繊維シートの面と反対の面で、強化繊維シートと接触する、請求項10に記載のプリプレグの製造方法。
  12. 強化繊維シートにマトリックス樹脂を付与するプリプレグ製造装置であって、強化繊維シートを鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、マトリックス樹脂が貯留され、かつ鉛直方向下向きに断面積が連続的に減少する部分を有する液溜り部と、前記液溜り部の下端に連通するスリット状出口を有する狭窄部と、前記液溜り部の内部に設けられ、前記スリット状出口の長手方向に延び、その長手方向両端部に幅規制部材を備える1本以上のバーを有する、プリプレグ製造装置。
  13. 強化繊維の配列方向における液溜り部の下部の幅Lと、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅Wが、L≦W+10(mm)を満たす、請求項1~2、4~7および9~11のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  14. 液溜り部内に強化繊維シートの幅を規制するための幅規制機構を備え、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅(W)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅(L2)との関係が、L2≦W+10(mm)を満たす、請求項1~2、4~7、9~11、13のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  15. 液溜り部における断面積が連続的に減少する部分の鉛直方向高さが10mm以上である、請求項1~2、4~7、9~1113~14のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  16. 得られたプリプレグの剥離法による含浸度が70%以上である請求項1~2、4~7、9~1113~15のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  17. 請求項1~2、4~7、9~1113~16の何れかに記載のプリプレグの製造方法または請求項3、8、12の何れかに記載のプリプレグ製造装置により得られたプリプレグをスリットするプリプレグテープの製造方法。
  18. 請求項1~2、4~7、9~11および13~16の何れかに記載のプリプレグの製造方法または請求項3、8、12の何れかに記載のプリプレグ製造装置により得られたプリプレグまたは請求項17に記載のプリプレグテープの製造方法により得られたプリプレグテープを硬化させる繊維強化複合材料の製造方法。
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