JP7144195B2 - プリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置 - Google Patents

プリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置 Download PDF

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Description

本発明は、プリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置に関し、特に、ロッド状の動力伝達部材を含む構成に適した、プリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置に関する。
自動車等の車両には、一般に、乗員が着座する腰掛部と乗員の背面に位置する背もたれ部とを備えたシートに乗員を拘束するシートベルト装置が設けられている。かかるシートベルト装置は、乗員を拘束するウェビングと、ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、シートの側面に配置されたバックルと、ウェビングに配置されたトングとを含み、トングをバックルに嵌着させることによってウェビングにより乗員をシートに拘束している。また、リトラクタは、車両衝突時等の緊急時にウェビングの弛みを除去するプリテンショナを有していることが一般的になってきている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、細長い圧力シリンダーと、該圧力シリンダー内に加圧流体を供給するインフレータと、前記加圧流体によって前記圧力シリンダー内を移動するピストンと、移動する前記ピストンによって前記圧力シリンダーから押し出されるロッド状のスラスト手段と、を備え、前記圧力シリンダーから押し出された前記スラスト手段によって歯車を回転させるように構成されたプリテンショナが開示されている。
また、前記圧力シリンダーは、前端部に片側のみを収縮させて形成した塑性変形可能なストッパを有し、該ストッパに前記ピストンを衝突させることにより前記ストッパを塑性変形させ、前記ピストンを前記圧力シリンダーの内側に密着させることによって減速させるように構成されている。
特表2016-523198号公報
上述した特許文献1に記載された発明によれば、ピストン(以下、「封止部材」と称する。)を圧力シリンダー(以下、「圧力容器」と称する。)内で停止させることによって、圧力容器内に供給された加圧流体の外部への放出を抑制することができる。しかしながら、かかる発明では、封止部材の硬度を圧力容器の硬度よりも高くする必要があり、コストアップの要因となってしまうとともに加工も難しくなってしまうという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、封止部材を低廉で加工性に優れた材質で構成することができ、コストダウン及び加工容易性の向上を図ることができる、プリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、乗員を拘束するウェビングの巻き取りを行うスプールに接続されたリングギアと、緊急時に前記リングギアに動力を伝達する動力伝達装置と、を含むプリテンショナにおいて、前記動力伝達装置は、前記リングギアに動力を伝達する動力伝達部材と、該動力伝達部材を前記リングギアに案内するパイプ形状の圧力容器と、前記動力伝達部材の後方に配置された封止部材と、を含み、前記圧力容器は、先端部に形成された縮径部を備え、前記封止部材は、前記縮径部の隙間よりも大きい直径を有し、前記縮径部に衝突した際に塑性変形しながら停止するように構成されており、前記縮径部は、前記封止部材の先端がめり込みながら減速し前記縮径部内で停止するように設定された軸方向長さLを有している、ことを特徴とするプリテンショナが提供される。
また、本発明によれば、乗員を拘束するウェビングの巻き取りを行うスプールと、緊急時に前記ウェビングを巻き取って弛みを除去するプリテンショナと、を含むリトラクタにおいて、前記プリテンショナは、前記スプールに接続されたリングギアと、緊急時に前記リングギアに動力を伝達する動力伝達装置と、を含み、前記動力伝達装置は、前記リングギアに動力を伝達する動力伝達部材と、該動力伝達部材を前記リングギアに案内するパイプ形状の圧力容器と、前記動力伝達部材の後方に配置された封止部材と、を含み、前記圧力容器は、先端部に形成された縮径部を備え、前記封止部材は、前記縮径部の隙間よりも大きい直径を有し、前記縮径部に衝突した際に塑性変形しながら停止するように構成されており、前記縮径部は、前記封止部材の先端がめり込みながら減速し前記縮径部内で停止するように設定された軸方向長さLを有している、ことを特徴とするリトラクタが提供される。
また、本発明によれば、乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、を含むシートベルト装置において、前記リトラクタは、前記スプールに接続されたリングギアと、緊急時に前記リングギアに動力を伝達する動力伝達装置と、を含み、前記動力伝達装置は、前記リングギアに動力を伝達する動力伝達部材と、該動力伝達部材を前記リングギアに案内するパイプ形状の圧力容器と、前記動力伝達部材の後方に配置された封止部材と、を含み、前記圧力容器は、先端部に形成された縮径部を備え、前記封止部材は、前記縮径部の隙間よりも大きい直径を有し、前記縮径部に衝突した際に塑性変形しながら停止するように構成されており、前記縮径部は、前記封止部材の先端がめり込みながら減速し前記縮径部内で停止するように設定された直径D及び軸方向長さLを有している、ことを特徴とするシートベルト装置が提供される。

上述したプリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置において、前記縮径部は、前記圧力容器の側面を内側に窪ませた加工部、前記圧力容器の側面から内部に突出するように配置された金具、又は、前記圧力容器内に挿入された筒部材の何れかによって構成されていてもよい。
前記縮径部は、前記封止部材よりも短い軸方向長さを有していてもよい。
前記封止部材は、球形状、円柱形状、又は、一端若しくは両端に半球面を有する円柱形状の何れかの形状を有していてもよい。また、前記封止部材は、貫通孔又は凹部を有していてもよい。
前記封止部材は、前記圧力容器の硬度よりも低い硬度を有していてもよい。また、前記封止部材の硬度は、前記圧力容器の硬度に対して40~60%の数値であってもよい。
上述した本発明に係るプリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置によれば、封止部材の硬度を圧力容器の硬度よりも低くしたことにより、縮径部に封止部材が衝突した際に封止部材を塑性変形させて停止させることができる。したがって、本発明によれば、封止部材の硬度を圧力容器よりも高くする必要がなく、封止部材を低廉で加工性に優れた材質で構成することができ、コストダウン及び加工容易性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るリトラクタを示す部品展開図である。 圧力容器の縮径部近傍を示す拡大断面図であり、(A)は封止部材が縮径部に衝突した瞬間の状態、(B)は封止部材が停止した状態、(C)は比較例の封止部材が停止した状態、を示している。 封止部材が縮径部に衝突した際の荷重と変位の関係を示す図である。 縮径部の形状を示す図であり、(A)は第一例、(B)は第二例、(C)は第三例、(D)は第四例、(E)は第五例、(F)は第六例、を示している。 封止部材の形状を示す図であり、(A)は第一例、(B)は第二例、(C)は第三例、(D)は第四例、(E)は第五例、(F)は第六例、(G)は第七例、(H)は第八例、(I)は第九例、(J)は第十例、を示している。 本発明の一実施形態に係るシートベルト装置を示す全体構成図である。
以下、本発明の実施形態について図1~図6を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るリトラクタを示す部品展開図である。図2は、圧力容器の縮径部近傍を示す拡大断面図であり、(A)は封止部材が縮径部に衝突した瞬間の状態、(B)は封止部材が停止した状態、(C)は比較例の封止部材が停止した状態、を示している。
本発明の一実施形態に係るリトラクタ1は、図1及び図2に示したように、乗員を拘束するウェビングの巻き取りを行うスプール2と、緊急時にウェビングを巻き取って弛みを除去するプリテンショナ3と、を含み、プリテンショナ3は、スプール2に接続されたリングギア31と、緊急時にリングギア31に動力を伝達する動力伝達装置32と、を含んでいる。なお、図1において、ウェビングの図は省略してある。
動力伝達装置32は、塑性変形しながらリングギア31に動力を伝達するロッド状の動力伝達部材32aと、動力伝達部材32aをリングギア31に案内するパイプ形状の圧力容器32bと、動力伝達部材32aの後方に配置された封止部材32cと、封止部材32cの後方に配置されたピストン32dと、圧力容器32bの後端部に配置されたガス発生器32eと、を含み、圧力容器32bは、先端部に形成された縮径部32fを備え、封止部材32cは、縮径部32fの隙間Gよりも大きい直径Dを有し、縮径部32fに衝突した際に塑性変形しながら停止するように構成されている。
スプール2は、ウェビングを巻き取る巻胴であり、リトラクタ1の骨格を形成するベースフレーム11内に回転可能に収容されている。ベースフレーム11は、例えば、対峙する第一端面111及び第二端面112と、これらの端面を連結する側面113と、を有している。ベースフレーム11は、側面113と対峙し第一端面111及び第二端面112に接続されるタイプレート114を備えていてもよい。
また、例えば、第一端面111側にスプリングユニット4が配置され、第二端面112側にプリテンショナ3及びロック機構5が配置される。なお、スプリングユニット4、プリテンショナ3、ロック機構5等の配置は、図示した構成に限定されるものではない。
また、ベースフレーム11の第一端面111には、スプール2の軸部を挿通する開口部111aが形成されており、ベースフレーム11の第二端面112には、ロック機構5のパウル(図示せず)と係合可能な内歯を有する開口部112aが形成されている。また、ベースフレーム11の第二端面112の内側には、プリテンショナ3の一部(例えば、リングギア31)が配置される。また、ベースフレーム11の第二端面112の外側にはロック機構5が配置され、ロック機構5はリテーナカバー51内に収容される。
リテーナカバー51には、車体の急減速や傾きを検出するビークルセンサ6が配置されていてもよい。ビークルセンサ6は、例えば、球形の質量体(図示せず)と、質量体の移動によって揺動されるセンサレバー61と、を有している。ビークルセンサ6は、ベースフレーム11の第二端面112に形成した開口部112bに嵌め込まれて固定される。
スプール2は、中心部に空洞を有し、軸心を形成するトーションバー21が挿通されていてもよい。トーションバー21は、第一端部がスプール2の端部に接続されたロック機構5のロッキングベース52に接続されており、第二端部がスプリングユニット4のスプリングコアに接続されている。したがって、スプール2は、ロッキングベース52及びトーションバー21を介して、スプリングユニット4に接続されており、スプリングユニット4に格納されたゼンマイバネによりウェビングを巻き取る方向に付勢されている。
なお、トーションバー21の第一端部は、ロッキングベース52を介さずにスプール2に接続されていてもよい。また、スプール2に巻き取り力を付与する手段は、スプリングユニット4に限定されるものではなく、電動モータ等を用いた他の手段であってもよい。
ロッキングベース52は、その側面部から出没可能に配置されたパウル(図示せず)を備えている。ロック機構5の作動時には、パウルをロッキングベース52の側面部から突出させることにより、ベースフレーム11の開口部112aに形成された内歯に係合させ、ロッキングベース52のウェビング引き出し方向の回転を拘束する。
したがって、ロック機構5が作動した状態で、ウェビング引き出し方向に荷重が負荷された場合であっても、トーションバー21に閾値以上の荷重が生じるまでは、スプール2を非回転状態に保持することができる。そして、トーションバー21に閾値以上の荷重が生じた場合には、トーションバー21が捻れることによって、スプール2が相対的に回転運動を生じ、ウェビングが引き出される。
また、ロック機構5は、ロッキングベース52に隣接するように配置されたロックギア53を備えている。ロックギア53は、揺動可能に配置されたフライホイール(図示せず)を備えており、ウェビングが通常の引き出し速度よりも早い場合には、フライホイールが揺動してリテーナカバー51に形成された内歯に係合する。また、ビークルセンサ6が作動した場合には、そのセンサレバー61がロックギア53の側面に形成された外歯に係合する。
このように、ロックギア53は、フライホイール又はビークルセンサ6の作動により回転が規制される。そして、ロックギア53の回転が規制されると、ロッキングベース52とロックギア53との間に相対回転が生じ、この相対回転に伴ってパウルがロッキングベース52の側面部から突出される。
なお、ロック機構5は、図示した構成に限定されるものではなく、従来から存在している種々の構成のものを任意に選択して使用することができる。また、スプール2は、トーションバー21の代わりに、シャフトとワイヤ状又はプレート状の塑性変形部材との組み合わせによって構成される衝撃吸収機構を備えていてもよい。
プリテンショナ3は、例えば、外周に係合歯を備えたリングギア31と、動力伝達装置32と、リングギア31を格納するプリテンショナカバー33と、動力伝達部材32aの移動空間を形成するガイドスペーサ34と、リングギア31と動力伝達部材32aとの噛合開始部に配置されたガイドブロック35と、リングギア31の径方向の移動を規制するシャフトガイド36と、を備えている。
プリテンショナカバー33、ガイドスペーサ34及びシャフトガイド36は、ベースフレーム11の第二端面112の内側に配置され、ガイドスペーサ34及びシャフトガイド36はプリテンショナカバー33内に収容される。リングギア31は、ガイドスペーサ34によって確保されたプリテンショナカバー33と第二端面112との間の空間に位置するように配置される。なお、リングギア31は駆動輪や回転部材と称することもある。
動力伝達装置32は、例えば、細長い形状を有する圧力容器32bの後端から先端に向かって、ガス発生器32e、ピストン32d、封止部材32c、ロッド状の樹脂からなる動力伝達部材32aの順に配置されている。動力伝達部材32a、封止部材32c及びピストン32dは、圧力容器32b内に収容されており、圧力容器32bの後端に配置されたガス発生器32eから発生した作動ガスによって圧力容器32b内を移動する。なお、動力伝達部材32aは、樹脂製のロッドに限定されるものではなく、リングギア31の係合歯に係合して回転させるボールやラックであってもよい。
圧力容器32bは、例えば、図1に示したように、第一端面111の上部、タイプレート114の上部、第二端面112の上部を通り、第二端面112及び側面113によって形成される角隅部内側の上部から下方に向かって延設するように配置されている。
圧力容器32bの先端部には、ガイドブロック35が配置される。また、圧力容器32bの先端部には、ガイドブロック35に案内された動力伝達部材32aを圧力容器32bからプリテンショナカバー33及びガイドスペーサ34により形成された空間に放出する開口部32gが形成されている。
圧力容器32bの先端部であって開口部32gの手前(後端側)には、圧力容器32bの断面積が部分的に小さく形成された縮径部32fが形成されている。縮径部32fは、例えば、圧力容器32bの外周の全部又は一部を絞り加工することによって形成することもできるし、ボルトやリベット等の金具や圧力容器32bとは別体の筒部材を用いて形成することもできる。
ここで、図4は、縮径部の形状を示す図であり、(A)は第一例、(B)は第二例、(C)は第三例、(D)は第四例、(E)は第五例、(F)は第六例、を示している。なお、図4(A)~図4(F)の各図は、圧力容器32bの先端部の縦断面図(軸方向を含む断面図)を示したものである。
図4(A)に示した縮径部32fの第一例は、圧力容器32bの外周の全部を絞り加工したものである。図4(B)に示した縮径部32fの第二例は、圧力容器32bの外周の一部のみを絞り加工したものである。
図4(A)及び図4(B)に示した実施形態は、圧力容器32bの側面を内側に窪ませた加工部を形成することによって、縮径部32fを形成したものである。このように、圧力容器32bの一部を加工して縮径部32fを形成することにより、部品点数や重量の増加を抑制することができる。なお、縮径部32fを形成する加工方法は、絞り加工に限定されるものではない。
図4(C)に示した縮径部32fの第三例は、圧力容器32bの外周の一部にボルト32hを配置したものである。ボルト32hの本数は任意であり、図示した本数に限定されるものではない。図4(D)に示した縮径部32fの第四例は、圧力容器32bの外周の一部にリベット32iを配置したものである。リベット32iの本数は任意であり、図示した本数に限定されるものではない。
図4(C)及び図4(D)に示した実施形態は、圧力容器32bの側面から内部に突出するように金具を配置することによって、縮径部32fを形成したものである。このように、金具を側面から配置して縮径部32fを形成することにより、容易に縮径部32fを形成することができる。なお、縮径部32fを形成する金具は、ボルト32h及びリベット32iに限定されるものではない。
図4(E)に示した縮径部32fの第五例は、圧力容器32bの内側に短筒形状のカラー32jを配置したものである。カラー32jの断面は、必ずしも環状である必要はなく、断面C字形状であってもよい。図4(F)に示した縮径部32fの第六例は、圧力容器32bの内側に長筒形状のパイプ32kを配置したものである。パイプ32kの断面は、必ずしも環状である必要はなく、C字形状であってもよい。
図4(E)及び図4(F)に示した実施形態は、圧力容器32b内に筒部材を挿入することによって二重管構造を形成し、その段差部により縮径部32fを形成したものである。このように、筒部材を内部に挿入して縮径部32fを形成することにより、部品点数の増加を最低限に抑制しつつ容易に縮径部32fを形成することができる。
封止部材32cは、プリテンショナ3の作動時に圧力容器32bに供給された作動ガスが外部に放出されるのを抑制するためのストッパである。具体的には、例えば、図2(A)に示したように、封止部材32cの直径Dは、縮径部32fの隙間Gよりも大きく形成されている。したがって、封止部材32cが縮径部32fに到達した際には、封止部材32cは縮径部32fに衝突する。なお、隙間Gは、動力伝達部材32aを通過させることができる大きさに設定されている。
また、封止部材32cは、圧力容器32bの硬度よりも低い硬度を有している。一般に、圧力容器32bは、鉄を主成分とする材質により構成されている。封止部材32cは、例えば、アルミニウムを主成分とする材質により構成される。
また、圧力容器32bのビッカース硬さをHV130とすれば、封止部材32cは、例えば、HV60程度(圧力容器32bの硬度の約46%)である。なお、封止部材32cの硬度は、かかる数値に限定されるものではなく、経験的には、例えば、圧力容器32bの硬度に対して40~60%程度の数値を有していればよい。
ここで、図5は、封止部材の形状を示す図であり、(A)は第一例、(B)は第二例、(C)は第三例、(D)は第四例、(E)は第五例、(F)は第六例、(G)は第七例、(H)は第八例、(I)は第九例、(J)は第十例、を示している。なお、図5(A)~図5(I)は、封止部材32cの圧力容器32bの軸方向に平行な断面図を示したものであり、図5(J)は封止部材32cの圧力容器32bの軸方向に垂直な断面図を示したものである。
図5(A)に示した封止部材32cの第一例は、封止部材32cを球形状に形成したものである。図5(B)に示した封止部材32cの第二例は、封止部材32cを両端に半球面を有する円柱形状に形成したものである。図5(C)に示した封止部材32cの第三例は、封止部材32cを円柱形状に形成したものである。図5(D)に示した封止部材32cの第四例は、封止部材32cを一端に半球面を有する円柱形状に形成したものである。
図5(E)に示した封止部材32cの第五例は、図5(B)に示した第二例の封止部材32cに圧力容器32bの軸方向の貫通孔32mを形成したものである。また、図5(F)に示した封止部材32cの第六例は、図5(B)に示した第二例の封止部材32cに圧力容器32bの軸方向の凹部32nを形成したものである。このように、軸方向の貫通孔32m又は凹部32nを形成することにより、封止部材32cの塑性変形量又は塑性変形形状を制御することができる。なお、貫通孔32m又は凹部32nの個数は任意であり、貫通孔32m及び凹部32nの両方を形成してもよい。
図5(G)に示した封止部材32cの第七例は、図5(B)に示した第二例の封止部材32cに圧力容器32bの径方向の貫通孔32pを形成したものである。また、図5(H)に示した封止部材32cの第八例は、図5(B)に示した第二例の封止部材32cに圧力容器32bの径方向の凹部32qを形成したものである。このように、径方向の貫通孔32p又は凹部32qを形成することによっても、封止部材32cの塑性変形量又は塑性変形形状を制御することができる。なお、貫通孔32p又は凹部32qの個数は任意であり、貫通孔32p及び凹部32qの両方を形成してもよい。
図5(I)に示した封止部材32cの第九例は、図5(B)に示した第二例の封止部材32cの外周に環状の凹部32rを形成したものである。また、図5(J)に示した封止部材32cの第十例は、図5(B)に示した第二例の封止部材32cの表面に圧力容器32bの軸方向の凹部32sを形成したものである。このように、封止部材32cの表面に凹部32r,32sを形成することにより、封止部材32cの塑性変形量又は塑性変形形状を制御することができる。なお、凹部32r,32sの個数は任意であり、凹部32r,32sの両方を形成してもよい。
上述した封止部材32cは、圧力容器32b内に収容されることから、封止部材32cの直径Dは圧力容器32bの内径よりも小さく形成されている。したがって、封止部材32cと圧力容器32bの内面との間には僅かな隙間が形成されている。ガス発生器32eから作動ガスが発生すると、作動ガスがこの隙間から圧力容器32bの先端から外部に放出される可能性がある。
そこで、本実施形態では、封止部材32cの後方に弾性を有する材質により構成されたピストン32dが配置されている。かかるピストン32dを配置することにより、図2(A)に示したように、作動ガスの圧力によってピストン32dを封止部材32cに押し付けることができ、その弾性変形によって、封止部材32cと圧力容器32bの内面との隙間をシールすることができる。
縮径部32fに衝突した封止部材32cは、圧力容器32bよりも低い硬度を有する材質により形成されていることから、例えば、図2(B)に示したように塑性変形し、縮径部32fにめり込みながら減速し、最終的に縮径部32fを通過することなく停止する。
縮径部32fの軸方向長さLは、図2(B)に示したように、封止部材32cの直径Dよりも短く形成されていてもよい。縮径部32fの軸方向長さLは、縮径部32fの突出量、封止部材32cの塑性変形量、封止部材32cが縮径部32fに衝突する際の運動エネルギー量等の条件によって、封止部材32cが縮径部32fをすり抜けないように設定される。
図2(C)に示した比較例は、封止部材32c′が、圧力容器32b′よりも高い硬度を有している場合の挙動を示したものである。この場合、図示したように、圧力容器32b′側が変形して、封止部材32c′が縮径部32f′で停止する。
ここで、図3は、封止部材が縮径部に衝突した際の荷重と変位の関係を示す図である。具体的には、封止部材32c,32c′を縮径部32f,32f′に接触させた状態で封止部材32c,32c′にプレス治具によって荷重を負荷し、その変位を測定した結果である。横軸は変位(mm)を示し、縦軸は荷重(kN)を示している。また、本実施形態に係る封止部材32cの試験結果を実線で示し、比較例の封止部材32c′の試験結果を点線で示している。
図示したように、柔らかい封止部材32cを使用している本実施形態の荷重最高到達点Msの方が、硬い封止部材32c′を使用している比較例の荷重最高到達点Mhよりも高く、荷重最高到達点Msに達するまでの変位も小さいことがわかる。したがって、本実施形態に係る硬度の低い封止部材32cによれば、縮径部32fに衝突後、速やかに荷重最高到達点Msに到達し、縮径部32fを効率よく封止することができる。
ここで、プリテンショナ3の動作について説明する。プリテンショナ3の作動前である通常時には、圧力容器32b内に動力伝達部材32aが収容された状態が保持されている。そして、車両衝突時等の緊急時(プリテンショナ3の作動時)には、ガス発生器32eにより供給される作動ガスによって、ピストン32d、封止部材32c及び動力伝達部材32aが押し出されて圧力容器32b内を移動する。
圧力容器32b内で押し出された動力伝達部材32aは、ガイドブロック35に沿って移動し、リングギア31の係合歯に衝突する。その後、動力伝達部材32aは、プリテンショナカバー33及びガイドスペーサ34によって形成された空間(通路)に押し出され、リングギア31の係合歯に塑性変形して係合しながら通路に沿って移動する。
そして、動力伝達部材32aは、最終的に、ガイドスペーサ34によって形成された通路の終端に衝突するか又はウェビングの弛みを巻き取り終えることによって停止する。
ここで、本実施形態では、図2(A)に示したように、封止部材32cを縮径部32fに衝突させた後、図2(B)に示したように、封止部材32cを塑性変形させて縮径部32fで停止させることにより、ピストン32dが圧力容器32b内に保持されるようにしている。
上述した本実施形態に係るプリテンショナ3によれば、封止部材32cの硬度を圧力容器32bの硬度よりも低くしたことにより、縮径部32fに封止部材32cが衝突した際に封止部材32cを塑性変形させて停止させることができる。したがって、本実施形態によれば、封止部材32cの硬度を圧力容器32bよりも高くする必要がなく、封止部材32cを低廉で加工性に優れた材質で構成することができ、コストダウン及び加工容易性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、プリテンショナ3がガイドブロック35を有する場合について説明しているが、本実施形態に係るプリテンショナ3は、ガイドブロック35を有しない従来のプリテンショナにも適用することができる。
次に、本発明の実施形態に係るシートベルト装置について、図6を参照しつつ説明する。ここで、図6は、本発明の実施形態に係るシートベルト装置を示す全体構成図である。なお、図6において、説明の便宜上、シートベルト装置以外の構成部品については、一点鎖線で図示している。
図6に示した本実施形態に係るシートベルト装置100は、乗員を拘束するウェビングWと、ウェビングWの巻き取りを行うリトラクタ1と、車体側に設けられウェビングWを案内するガイドアンカー101と、ウェビングWを車体側に固定するベルトアンカー102と、シートSの側面に配置されたバックル103と、ウェビングWに配置されたトング104と、を備え、リトラクタ1は、例えば、図1に示した構成を有している。
以下、リトラクタ1以外の構成部品について、簡単に説明する。シートSは、例えば、乗員が着座する腰掛部S1と、乗員の背面に位置する背もたれ部S2と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト部S3とを備えている。リトラクタ1は、例えば、車体のBピラーPに内蔵される。また、一般に、バックル103は腰掛部S1の側面に配置されることが多く、ベルトアンカー102は腰掛部S1の下面に配置されることが多い。また、ガイドアンカー101は、BピラーPに配置されることが多い。そして、ウェビングWは、一端がベルトアンカー102に接続され、他端がガイドアンカー101を介してリトラクタ1に接続されている。
したがって、トング104をバックル103に嵌着させる場合、ウェビングWはガイドアンカー101の挿通孔を摺動しながらリトラクタ1から引き出されることとなる。また、乗員がシートベルトを装着した場合や降車時にシートベルトを解除した場合には、リトラクタ1のスプリングユニット4の作用により、ウェビングWは一定の負荷がかかるまで巻き取られる。
上述したシートベルト装置100は、前部座席における通常のシートベルト装置に、上述した実施形態に係るリトラクタ1を適用したものである。したがって、本実施形態に係るシートベルト装置100によれば、封止部材32cの硬度を圧力容器32bよりも高くする必要がなく、封止部材32cを低廉で加工性に優れた材質で構成することができ、コストダウン及び加工容易性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態に係るシートベルト装置100は、前部座席への適用に限定されるものではなく、例えば、ガイドアンカー101を省略して後部座席にも容易に適用することができる。また、本実施形態に係るシートベルト装置100は、車両以外の乗物にも使用することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
1 リトラクタ
2 スプール
3 プリテンショナ
4 スプリングユニット
5 ロック機構
6 ビークルセンサ
11 ベースフレーム
21 トーションバー
31 リングギア
32 動力伝達装置
32a 動力伝達部材
32b 圧力容器
32c 封止部材
32d ピストン
32e ガス発生器
32f 縮径部
32g 開口部
32h ボルト
32i リベット
32j カラー
32k パイプ
32m 貫通孔
32n 凹部
32p 貫通孔
32q,32r,32s 凹部
33 プリテンショナカバー
34 ガイドスペーサ
35 ガイドブロック
36 シャフトガイド
51 リテーナカバー
52 ロッキングベース
53 ロックギア
61 センサレバー
100 シートベルト装置
101 ガイドアンカー
102 ベルトアンカー
103 バックル
104 トング
111 第一端面
111a 開口部
112 第二端面
112a,112b 開口部
113 側面
114 タイプレート



Claims (9)

  1. 乗員を拘束するウェビングの巻き取りを行うスプールに接続されたリングギアと、緊急時に前記リングギアに動力を伝達する動力伝達装置と、を含むプリテンショナにおいて、
    前記動力伝達装置は、前記リングギアに動力を伝達する動力伝達部材と、該動力伝達部材を前記リングギアに案内するパイプ形状の圧力容器と、前記動力伝達部材の後方に配置された封止部材と、を含み、
    前記圧力容器は、先端部に形成された縮径部を備え、
    前記封止部材は、前記縮径部の隙間よりも大きい直径を有し、前記縮径部に衝突した際に塑性変形しながら停止するように構成されており、
    前記縮径部は、前記封止部材の先端がめり込みながら減速し前記縮径部内で停止するように設定された軸方向長さLを有している、
    ことを特徴とするプリテンショナ。
  2. 前記縮径部は、前記圧力容器の側面を内側に窪ませた加工部、前記圧力容器の側面から内部に突出するように配置された金具、又は、前記圧力容器内に挿入された筒部材の何れかによって構成されている、請求項1に記載のプリテンショナ。
  3. 前記縮径部は、前記封止部材よりも短い軸方向長さを有する、請求項1に記載のプリテンショナ。
  4. 前記封止部材は、球形状、円柱形状、又は、一端若しくは両端に半球面を有する円柱形状の何れかの形状を有する、請求項1に記載のプリテンショナ。
  5. 前記封止部材は、貫通孔又は凹部を有する、請求項4に記載のプリテンショナ。
  6. 前記封止部材は、前記圧力容器の硬度よりも低い硬度を有している、請求項1に記載のプリテンショナ。
  7. 前記封止部材の硬度は、前記圧力容器の硬度に対して40~60%の数値である、請求項6に記載のプリテンショナ。
  8. 乗員を拘束するウェビングの巻き取りを行うスプールと、緊急時に前記ウェビングを巻き取って弛みを除去するプリテンショナと、を含むリトラクタにおいて、
    前記プリテンショナは、請求項1~請求項7の何れか一項に記載されたプリテンショナである、ことを特徴とするリトラクタ。
  9. 乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、を含むシートベルト装置において、
    前記リトラクタは、請求項1~請求項7の何れか一項に記載のプリテンショナを備える、ことを特徴とするシートベルト装置。
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