以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装装置、特性計測装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における上下方向)が示される。図3、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図3における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
まず図1を参照して、部品実装システム1について説明する。部品実装システム1は、基板搬送方向の上流側(図1における左側)から順番に、部品実装装置M1、部品実装装置M2、部品実装装置M3を備えている。部品実装装置M1~M3は、有線または無線による通信ネットワークNWによって上位コンピュータCPと接続されており、上位コンピュータCPとの間でデータの送受信を行うことができる。上位コンピュータCPは、各装置の状況を受信して実装基板の製造を統括する。
部品実装装置M1~M3は、上流から順に基板を受け渡しながら基板に部品を順に実装して実装基板を製造する部品実装ラインLを構成する。なお、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3は3台である必要はなく、1台、2台、4台以上であってもよい。
次に図2を参照して、部品実装装置M1~M3の構成を説明する。部品実装装置M1~M3は同様の構成をしており、以下、部品実装装置M1について説明する。図2において、基台2の中央には、基板搬送機構3がX方向に設置されている。基板搬送機構3は、上流側から搬入された基板BをX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構3は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。基板搬送機構3の両側方には、それぞれ部品供給部4が設置されている。
部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、電子部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構3に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが電子部品をピックアップする部品取り出し位置に電子部品を供給する。テープフィーダ5が供給する電子部品の残数が所定より少なくなると、作業者によってテープフィーダ5に供給されているキャリアテープの後端に新しいキャリアテープを継合するスプライシングやテープフィーダ5に新しいキャリアテープを挿入する補給作業が行われる。
図2において、基台2の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6が配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア機構を備えたビーム7が、Y方向に移動自在に結合されている。ビーム7には、実装ヘッド8がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド8の下端には、電子部品を保持する吸着ノズル8a(図21参照)が着脱自在に装着されている。
図2において、Y軸テーブル6およびビーム7は、実装ヘッド8を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構9を構成する。実装ヘッド移動機構9および実装ヘッド8は、部品供給部4に装着されているテープフィーダ5の部品取り出し位置に供給される電子部品を吸着ノズル8aによって真空吸着して保持して、基板搬送機構3に保持された基板Bの実装位置に移送して実装する部品実装作業の一連のターンを繰り返し実行する。
図2において、ビーム7には、ビーム7の下面側に位置して実装ヘッド8とともに一体的に移動するヘッドカメラ10が装着されている。実装ヘッド8が移動することにより、ヘッドカメラ10は基板搬送機構3の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。また、ヘッドカメラ10は、後述するプローブユニット13の上方に移動して、プローブユニット13の上面から視認可能に設けられた電極マーク64(図9参照)を撮像して電極マーク64の位置を認識する。
部品供給部4と基板搬送機構3との間には、部品認識カメラ11が設置されている。部品供給部4から電子部品を取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ11の上方を移動する際に、部品認識カメラ11は実装ヘッド8に保持された電子部品を撮像して形状を認識する。実装ヘッド8による電子部品の基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ10による基板Bの認識結果と部品認識カメラ11による電子部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
図2において、部品実装装置M1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル12が設置されている。タッチパネル12は、その表示部に各種情報、警告情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置M1の操作を行う。
図2において、部品供給部4と基板搬送機構3との間であって部品認識カメラ11の隣には、プローブユニット13が設置されている。プローブユニット13は、電子部品の端子と電気的に接続される複数の電極を備えている。プローブユニット13の複数の電極は、ケーブル14を介して計測器15に接続されている。計測器15は、プローブユニット13の電極に電気的に接続された電子部品の抵抗、静電容量、インダクタンスなどの電気的特性を計測する。電子部品の端子と電気的に接続される複数の電極を有するプローブユニット13、電子部品の電気的特性を計測する計測器15、複数の電極と計測器15を接続するケーブル14は、電子部品の電気的特性を計測する特性計測装置16を構成する。
テープフィーダ5が供給する電子部品の種類を変更した際や、テープフィーダ5に電子部品を補給した際に、テープフィーダ5から実装ヘッド8が計測対象の電子部品を取り出してプローブユニット13に受け渡して、計測器15によって電子部品の電気的特性が計測される。計測結果は、部品実装装置M1が備える装置制御部90(図17参照)、または上位コンピュータCPに送信され、計測された電気的特性に基づいて変更または補給された電子部品が正しいか否かが判断される。
次に図3~図6を参照して、プローブユニット13の構成について説明する。図3において、プローブユニット13は、固定部30、計測ユニット50、回収箱70を備えている。固定部30は、基台2に設置されている。計測ユニット50と回収箱70は、固定部30に着脱可能に装着される。図3は、プローブユニット13の側面図を示している。図4は固定部30に計測ユニット50と回収箱70が装着された状態を、図5は固定部30から回収箱70が取り外された状態を、図6は固定部30から計測ユニット50が取り外された状態を示している。
プローブユニット13は、作業者が部品実装装置M1~M3の外から計測ユニット50と回収箱70の着脱作業を容易に行える位置に設置される。以下、プローブユニット13に対して作業者が作業を行う側を「前側」、前側の反対側を「後側」と称する。
図6において、固定部30の上部には、計測ユニット50が着脱可能に装着される装着面31が設置されている。装着面31の上面には、バネなどの弾性体によって上方に加勢された導電体で形成された複数のピン32が配置されている。各ピン32の上部は装着面31から上方に突出している。すなわち、各ピン32は、装着面31から突出する方向に加勢されている。各ピン32は、ケーブル14を介して計測器15に接続されている。このように、複数のピン32は、装着面31に配置され、電子部品の電気的特性を計測する計測器15に接続された複数の固定側接点を構成する。
固定部30において、装着面31の後側には、計測ユニット50が接続される空気噴出部33が配置されている。空気噴出部33の前面の中央には、前方に突出した突出部33aが形成されている。突出部33aの前面には、圧縮空気の噴出口34が複数形成されている。複数の噴出口34は、上下方向(Z方向)に並んで形成されている。すなわち、空気噴出部33は、噴出口34を上下方向に複数個備えている。複数の噴出口34は、空気バルブ35を介して図示省略する圧縮空気源に接続されている。空気バルブ35を開放すると、複数の噴出口34から圧縮空気が噴出される。
図6において、計測ユニット50の後面の中央には、前側に凹む接続部50aが形成されている。計測ユニット50を装着面31に装着する際、作業者は、前側から計測ユニット50の下面が装着面31の上面を滑るように後側に移動させて計測ユニット50を後側に押し込む。これにより、計測ユニット50の接続部50aが空気噴出部33の突出部33aと接続される(図5参照)。このように、計測ユニット50には、空気噴出部33に接続される接続部50aが形成されている。
図3~図5において、固定部30には、計測ユニット50に設定された後述する計測位置に置かれた電子部品を下方に押す押圧部36が設置されている。押圧部36は、電子部品に上方から当接する押圧部材37と、押圧部材37を上下方向(Z方向)に昇降(図4の矢印a)させる昇降機構38aと、押圧部材37を左右方向(X方向)に往復移動(図4の矢印b)させる往復移動機構38bとを有している。押圧部材37は、硬質のプラスティックなどの絶縁体で形成されている。
このように、昇降機構38aと往復移動機構38bは、押圧部材37を昇降させ、かつ水平面内の少なくとも一方向(X方向)に往復移動させる押圧部材移動機構38を構成している。押圧部材移動機構38は、プローブユニット13が備えるユニット制御部39(図17参照)によって制御される。押圧部材移動機構38は、磁力などによって押圧部材37が電子部品に当接する位置(高さ)に依存せず、一定の圧力で電子部品を下方に押す圧力調整手段38cを有している。なお、圧力調整手段38cは、押圧部材37に加わる圧力を圧力センサで計測し、ユニット制御部39によって昇降機構38aの下降量を調整することで実現してもよい。
図5において、固定部30の前側には、回収箱70を保持する箱保持部40が設置されている。箱保持部40は、箱保持部40に保持された回収箱70の両側面を外側から支える一対のガイド板41を有している。各ガイド板41には、前側に向かって斜めに切り上がった切欠き部41aが形成されている。また、切欠き部41aの前側には、保持側斜面41bが形成されている。回収箱70の両側面には、平板状の一対の連結部71が設置されている。各連結部71には、ガイド板41の切欠き部41aに挿入されるように斜めに延びる挿入部71aが形成されている。挿入部71aの前側には、箱側斜面71bが形成されている。
計測ユニット50の前面の中央には、電子部品が圧縮空気と共に排出される排出口51が前方に突出して形成されている。回収箱70の後面の上部には、回収箱70を箱保持部40に保持させた状態で計測ユニット50の排出口51に嵌め合わされる回収口72が形成されている(図11参照)。箱保持部40の後側下部の中央には、検出光を照射する発光部42aと、検出光を受光する受光部42bを備える検出センサ42が設置されている。検出センサ42の検出信号は、ユニット制御部39に送信される。回収箱70の後面の下部には、回収箱70が箱保持部40に正常な姿勢で保持されると検出センサ42の検出光を遮光するドグ73が設置されている(図11参照)。
図5において、回収箱70を箱保持部40に装着する際、作業者は、前側の斜め上方から回収箱70の箱側斜面71bが箱保持部40の保持側斜面41bに沿って滑るように回収箱70の挿入部71aを箱保持部40の切欠き部41aに挿入する。回収箱70が箱保持部40に正常な姿勢で保持されると、計測ユニット50の排出口51が回収箱70の回収口72に嵌め合わされ、回収箱70のドグ73が検出センサ42の検出光を遮光する。
このように、回収箱70は、計測ユニット50の排出口51に嵌め合わされる回収口72を有し、回収箱70の両側面には箱保持部40の保持側斜面41bに沿って滑り動く箱側斜面71bがそれぞれ形成されており、固定部30に着脱自在である。また、箱保持部40は、固定部30に設けられ、回収箱70の両側面を外側から支える一対のガイド板41を有し、一対のガイド板41には箱保持部40に回収箱70が挿入される側に向かって斜めに切れ上がる保持側斜面41bがそれぞれ形成されており、回収口72が排出口51に嵌め合わされた状態で回収箱70を保持する。これにより、回収箱70は工具を使用せずにプローブユニット13に着脱することができ、作業者は回収箱70を装置から外した状態で回収箱70に廃棄された電子部品Dを簡単に回収することができる。
回収箱70には、箱保持部40に正常な姿勢で保持されると検出光を遮光するドグ73が設置されている。また、箱保持部40には、正常な姿勢で保持した回収箱70を検出する検出光を照射する発光部42aと、検出光を受光する受光部42bを備えた検出センサ42が設置されている。これにより、回収箱70が箱保持部40に正常な姿勢で装着されたか否かを検出することができる。なお、検出センサ42は光学センサに限定されることはなく、例えば磁気や静電容量の変化で回収箱70を検出する近接センサや、回収箱70が接触したことを検出するリミットスイッチであってもよい。
図3において、回収箱70は、回収口72の上部に、回収口72が計測ユニット50の排出口51に嵌め合わされた状態で排出口51の上部に重なる天井板74が形成されている。回収箱70の重心Gは、箱保持部40に保持された状態で回収口72側が下方に下がる位置に設定されている。すなわち、回収箱70の重心Gは、箱保持部40の一対のガイド板41にある回収箱70の支点Fより後側に設定されている。これにより、回収箱70には、支点Fを中心に後側が下方に下がるように回動する(矢印c)力が発生する。これにより、天井板74が排出口51の上面に密着して、排出口51から排出される電子部品が回収口72から外部に飛び出ることが防止できる。
次に図7~図9を参照して、計測ユニット50の構成について説明する。図7において、計測ユニット50は、基板保持部材52、異方性導電シート53、計測用基板60を備えて構成されている。異方性導電シート53の機能については後で述べる。図8において、計測用基板60の上面60aには、電子部品Dの端子Dt(図10参照)と電気的に接続される複数(ここでは2つ)の電極61が形成されている。計測用基板60の下面60bには、固定部30の装着面31に配置された複数のピン32(固定側接点)と電気的に接続される複数(ここでは2つ)のユニット側接点62が形成されている。各電極61は、内部電極63を介して対応するユニット側接点62にそれぞれ内部で電気的に接続されている。
すなわち、計測用基板60は、上面60a(一の面)に電子部品Dと電気的に接続される複数の電極61が形成され、下面60b(一の面とは異なる他の面)に複数の電極61および複数の固定側接点(ピン32)とそれぞれ電気的に接続される複数のユニット側接点62が形成されている。計測用基板60の前側には前側基板切欠き部60cが形成され、計測用基板60の後側には後側基板切欠き部60dが形成されている。計測用基板60の上面60a(複数の電極61が形成された面)の対角の位置には、複数の電極61の位置を認識するための2つの電極マーク64が形成されている。計測用基板60の電極マーク64が形成された対角とは別の対角の位置には、上下に貫通する取付け穴65が形成されている。
図7において、計測用基板60は、複数の電極61の上面を覆うように異方性導電シート53が載置された状態で、下方から基板保持部材52の下部に装着される。計測用基板60は、取付け穴65に挿入されたネジ54によって基板保持部材52に固定される。
図7、図9において、基板保持部材52には、装着された計測用基板60の電極61から上方に貫通した計測開口52aが形成されている。計測ユニット50には、基板保持部材52に装着された計測用基板60の複数の電極61に、電子部品Dの端子Dtが対向するように異方性導電シート53を挟んで電子部品Dが置かれる計測位置Pが設定されている。すなわち、複数の電極61を覆う異方性導電シート53の上面(複数の電極61とは反対の面)には電気的特性が計測される電子部品Dが置かれる計測位置Pが設定されており、基板保持部材52には計測位置Pまで貫通した計測開口52aが形成されている。
基板保持部材52には、装着された計測用基板60の電極マーク64まで貫通した認識開口52bが形成されている。計測ユニット50を上方から見ると、認識開口52bを通して計測用基板60の電極マーク64が見える。一方、異方性導電シート53が不透明なため、計測開口52aを通じて基板保持部材52に装着された計測用基板60の電極61を見ることができない。そこで、計測ユニット50を固定部30の装着面31に装着した状態で、ヘッドカメラ10で上方から電極マーク64を撮像して認識処理することで、直接認識することができない電極61の位置を算出することができる。
図9において、基板保持部材52の上部には、計測開口52aから一方の側面まで押圧部36の押圧部材37が移動する移動溝52cが形成されている。計測ユニット50を固定部30の装着面31に装着した状態で、往復移動機構38bを作動させると、押圧部材37が移動溝52cに沿って計測ユニット50の外から計測開口52aの上方まで往復移動する。基板保持部材52の後面の中央には、後側保持切欠き52dが形成されている。計測用基板60が基板保持部材52に装着されると、基板保持部材52の後側保持切欠き52dと計測用基板60の後側基板切欠き60dは、一体となって計測ユニット50の接続部50aを構成する。
基板保持部材52には、計測開口52aから後側保持切欠き52dの後面まで貫通する後側貫通溝52eが形成されている。後側貫通溝52eは、天井と側面が基板保持部材52で形成されて床は開放されている。計測用基板60を基板保持部材52に装着すると計測用基板60の上面60aが床面となり、基板保持部材52と計測用基板60で上下左右を囲む貫通路が形成される。基板保持部材52には、計測開口52aから排出口51の前面まで基板保持部材52を貫通する前側貫通路52fが形成されている。計測用基板60の前側基板切欠き60cは、前側貫通路52fと一体となるように形成されている。
図9において、基板保持部材52に計測用基板60が装着された状態で、後側貫通溝52e、計測開口52a、前側貫通路52fは、接続部50aの後面から計測開口52aに設定された計測位置Pを経由して排出口51の前面まで貫通する排出路50bを構成する。計測ユニット50を固定部30の装着面31に装着した状態で、計測ユニット50の排出路50bは、空気噴出部33の噴出口34から噴出された圧縮空気を接続部50aから流入し、計測位置Pを経由して排出口51まで計測ユニット50を水平方向に通過させる(図14も参照)。なお、排出路50bは、基板保持部材52のみで構成しても、計測用基板60と組み合わせて構成しても、さらに固定部30の装着面31と組み合わせて構成してもよい。
基板保持部材52に計測用基板60が装着された状態で、計測ユニット50の底から計測用基板60の下面60bに形成されたユニット側接点62が露出している。計測ユニット50を固定部30の装着面31に装着すると、ユニット側接点62が装着面31に配置されたピン32(固定側接点)と電気的に接続される。すなわち、計測用基板60の上面60aに形成された複数の電極61が、計測器15に接続された状態となる。このように、計測ユニット50をプローブユニット13から取り外し可能な構成とすることで、作業者は計測ユニット50を取り外した状態で異方性導電シート53や計測用基板60の交換を簡単に実行することできる。
次に図10を参照して、計測用基板60の上面60aに形成された複数の電極61の少なくとも一部を覆うように載置された異方性導電シート53の機能について説明する。図10(a)、図10(b)は、図3に示すプローブユニット13のA-A断面における計測位置Pに置かれた電子部品Dを含む拡大断面図である。この例では、電子部品Dは、抵抗器、コンデンサ、インダクタなど、2つの端子Dtを有するチップ部品である。電子部品Dは、2つの端子Dtが異方性導電シート53を挟んで2つの電極61にそれぞれ対向する位置である計測位置Pに置かれている。異方性導電シート53は、圧力が加わると圧力方向の導電率が低くなり圧力方向以外の導電率は高い状態が保持される特性を有している。
図10(a)は、押圧部36の押圧部材37が電子部品Dの上方にある状態を示している。この状態では異方性導電シート53には圧力が加わっておらず、異方性導電シート53の導電率は全方向で高い。図10(b)は、押圧部36の昇降機構38aが作動して押圧部材37を下降させ、所定の圧力で電子部品Dを下方に押し込んでいる状態(矢印d)を示している。この状態で異方性導電シート53には、電子部品Dの端子Dtから計測用基板60の電極61に向けて、上下方向に圧力が加わっている。
すなわち、図10(b)における圧力方向は上下方向であり、異方性導電シート53において対向する端子Dtと電極61の間に挟まれた部分の抵抗Rが低くなり(導電率が低くなり)、左右に隣接する端子Dtの間、電極61の間は高抵抗(導電率が高い)のままの状態である。この状態で、電子部品Dの端子Dtが計測器15に電気的に接続された状態となり、計測器15によって電子部品Dの電気的特性を計測することができる。
このように、押圧部36は、電子部品Dの端子Dtが異方性導電シート53を挟んで複数の電極61に対向する計測位置Pに置かれた電子部品Dを複数の電極61の方向に押す。そして、特性計測装置16では、計測位置Pに置かれた電子部品Dの電気的特性を、電子部品Dの端子Dtと複数の電極61の間に圧力を加えた状態で計測器15によって計測する。電子部品Dと電極61の間に異方性導電シート53を挿入することで、電子部品Dの形状にばらつきがあっても電子部品Dの端子Dtと電極61の間を電気的に安定して接続することができ、計測結果のばらつきを低減することができる。
次に図5、図11~13を参照して、回収箱70の内部構成について説明する。図13(a)は図3のB-B断面における回収箱70を含むプローブユニット13の断面図であり、図13(b)は図4のC-C断面における回収箱70を含むプローブユニット13の断面図である。
図13(b)において、プローブユニット13の固定部30の装着面31に計測ユニット50が正常な姿勢で装着され、さらに箱保持部40に回収箱70が正常は姿勢で保持されると、計測ユニット50の排出路50bの後側は空気噴出部33に接続されて、排出路50bの前側は回収箱70の回収口72に接続される。すなわち、プローブユニット13は、噴出口34を備える空気噴出部33と、電気的特性が計測される電子部品Dが置かれる計測位置Pが設定された計測エリアUと、計測位置Pを挟んで噴出口34に対向する位置に配置された回収箱70と、を有している。計測エリアUには、噴出口34から計測位置Pを経由して回収箱70まで水平方向に貫通する排出路50bが形成されている。
図13(b)において、回収箱70の前面であって、計測位置Pを挟んで噴出口34に対向する位置には、空気は通して電子部品Dは通さない第1のエアフィルタ75が装着された第1の排気口76が設置されている。回収箱70の内部であって、第1のエアフィルタ75の噴出口34側(回収口72側)の前方には、噴出口34から噴出された圧縮空気によって計測位置Pから吹き飛ばされた電子部品Dを下方に落下させる落下口77aを有する部品落下部Vが設置されている。
図13(a)、図13(b)において、回収箱70の内部であって、部品落下部Vの下方には、落下口77aから落下した電子部品Dを収容する収容部78が設置されている。部品落下部Vには、排出路50bから延出する床面79aと両側面79bを有し、落下口77aの上方の少なくとも一部を覆う位置まで延出する延出部79が形成されている。部品落下部Vには、上部77bが落下口77aより大きく、落下口77aに向けて径が小さくなる漏斗状の落下壁77が形成されている。部品落下部Vにおいて、延出部79と第1のエアフィルタ75の間には、三日月状の上部開口77cが形成されている(図12(a)も参照)。計測位置Pから吹き飛ばされた電子部品Dは、延出部79の先端から上部開口77cに落ち込み、さらに落下口77aを経由して収容部78に収容される。
図13(a)、図13(b)において、収容部78において、落下口77aの下方には落下口77aに向けて上方に突出する逆流防止部80が形成されている。逆流防止部80は、下部は円柱形で上部は円錐形である。回収箱70の前面であって、収容部78の前面には、空気は通して電子部品Dは通さない第2のエアフィルタ81が装着された第2の排気口82が形成されている。なお、回収箱70は、収容部78の側面にもエアフィルタが装着された排気口を備えてもよい。このように、回収箱70には、空気は通して電子部品Dは通さないエアフィルタ(第1のエアフィルタ75、第2のエアフィルタ81)が装着された排気口(第1の排気口76、第2の排気口82)が設置されている。
図12、図13において、回収箱70は、延出部79と落下壁77を有する部品落下部V、第1のエアフィルタ75が装着された第1の排気口76を備えて排出路50bに接続される上部回収部70aと、逆流防止部80、第2のエアフィルタ81が装着された第2の排気口82を有する収容部78を備える下部回収部70bを備えて構成されている。すなわち、回収箱70は、上部回収部70aと下部回収部70bの上下2段構成であり、上部回収部70aと下部回収部70bは、落下口77aによって接続されている。
次に図13(b)、図14を参照して、プローブユニット13において、空気噴出部33の噴出口34から圧縮空気を噴出させ、計測位置Pにある電子部品Dを吹き飛ばして回収箱70の収容部78に廃棄する電子部品廃棄工程について説明する。図13(b)に示すように、まず、計測位置Pに電子部品Dが置かれているとする。図14(a)において、噴出口34から圧縮空気を噴出させると、圧縮空気によって吹き飛ばされた電子部品Dは計測エリアU(計測ユニット50)から排出路50bを通って回収箱70に移動する(矢印e)。
図14(b)において、さらに延出部79を通って第1のエアフィルタ75の前に到達した電子部品Dは、上部開口77cから落下壁77に落ち込み、落下壁77に衝突しながら落下口77aを経由して収容部78に向かう(矢印f)。図14(c)において、噴出口34からの圧縮空気の噴出が停止すると、収容部78に到達した電子部品Dは収容部78で停止する(矢印g)。なお、噴出口34から噴出された圧縮空気は、第1のエアフィルタ75を通じて第1の排気口76から、または第2のエアフィルタ81を通して第2の排気口82から回収箱70の外部に排気される(図14(a)、図14(b))。
空気噴出部33は、上下に配置された2つ(複数)の噴出口34から圧縮空気を噴出させることで、サイズ(高さ)の異なる電子部品Dであっても確実に計測位置Pから回収箱70に向けて吹き飛ばすことができる。また、延出部79が落下口77aの上方の一部を覆う位置まで延出することにより、廃棄している電子部品Dを上部開口77cから収容部78に向けて確実に落下させることができる。また、落下口77aの下方に上方に突出する逆流防止部80を配置することで、収容部78に収容済みの電子部品Dが吹き上がって落下口77aから部品落下部Vに逆流することを防止することができる。
次に図15、図16を参照して、電気的特性が計測される電子部品Dが置かれる計測位置Pについて説明する。図15(a)に示す計測用基板60に形成された対向する2つの電極61の対向する辺の長さQ(図面の左右方向の長さ)は、2つの電極61の間を跨いで置かれた電子部品Dの部品幅W(電子部品の長さ)よりも長く、計測位置P1~P9は電極61の対向する辺に沿う方向(部品幅Wの方向)に9箇所設定されている。計測対象の電子部品Dが置かれる計測位置P1~P9は、計測対象の電子部品Dの部品幅Wに基づいて設定される。なお、図15(a)では、電極61を覆うように設置される異方性導電シート53は便宜のため省略されている。
図15(b)は、計測対象の電子部品Dの部品幅Wと計測位置P1~P9の関係の例を示している。小サイズの電子部品D(W≦W1)は、9箇所設定されている計測位置P1~P9の全てに載置される(図16(a))。中サイズの電子部品D(W1<W≦W2)は、3箇所の計測位置P3,P5,P7に載置される(図16(b))。大サイズの電子部品D(W2<W≦W3)は、中央の計測位置P5に載置される(図15(a))。
このように、対向する複数の電極61の対向する辺の長さQは、複数の電極61を跨いで計測位置P1~P9に置かれた電子部品Dの部品幅W(電極の対向する辺に沿う方向の電子部品の長さ)よりも長く、計測位置P1~P9は、電極61の対向する辺に沿う方向に電子部品Dの部品幅Wに基づいて複数設定される。また、計測対象の電子部品Dは、置かれる回数が均等になるように各計測位置P1~P9に載置される。計測対象の電子部品Dを複数の計測位置P1~P9に分散させて載置することで、電子部品Dを載置する際に異方性導電シート53が受けるダメージを低減し、異方性導電シート53の劣化を抑制することができる。
次に図17を参照して、部品実装装置M1~M3の制御系の構成について詳細に説明する。部品実装装置M1~M3は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M1について説明する。部品実装装置M1が備える装置制御部90には、基板搬送機構3、部品供給部4、実装ヘッド8、実装ヘッド移動機構9、ヘッドカメラ10、部品認識カメラ11、タッチパネル12、特性計測装置16が接続されている。装置制御部90は、実装制御部91、計測制御部92、認識処理部93、計測位置決定部94、部品合否判定部95、生産データ記憶部96、部品情報記憶部97、計測情報記憶部98を備えている。
生産データ記憶部96は記憶装置であり、電子部品Dを基板Bに実装する際に参照される電子部品Dの部品名(種類)、実装位置(XY座標)などを含む生産データを記憶する。部品情報記憶部97は記憶装置であり、基板Bに実装される電子部品Dの部品名、サイズ(部品幅W)、電気的特性の規格値、電子部品Dを供給するテープフィーダ5を特定する情報、電子部品Dの残数の他、特性計測される際に載置される計測位置P1~P9などを記憶する。計測情報記憶部98は記憶装置であり、計測用基板60に形成された電極マーク64を基点とする計測位置P1~P9の位置(XY座標)を記憶する。また、計測情報記憶部98は、特性計測された電子部品Dが載置された回数を部品名と計測位置P1~P9に関連付けて記憶する。
図17において、実装制御部91は、基板搬送機構3、部品供給部4、実装ヘッド8、実装ヘッド移動機構9、ヘッドカメラ10、部品認識カメラ11を制御して、電子部品Dを基板Bに実装する部品実装作業を実行させる。また、実装制御部91は、テープフィーダ5から電子部品Dが取り出されると、部品情報記憶部97に記憶される当該電子部品Dの残数を減算する。計測制御部92は、部品供給部4、実装ヘッド8、実装ヘッド移動機構9、ヘッドカメラ10、部品認識カメラ11、特性計測装置16を制御して、テープフィーダ5から実装ヘッド8の吸着ノズル8aによって計測対象の電子部品Dを取り出して計測位置Pに置き、計測器15によって電気的特性を計測させる一連の特性計測を統括する。
認識処理部93は、部品認識カメラ11が撮像した吸着ノズル8aが保持する電子部品Dの画像を認識処理して、吸着ノズル8aが保持する電子部品Dの位置を認識する。また、認識処理部93は、ヘッドカメラ10が撮像した計測ユニット50に装着された計測用基板60の電極マーク64の画像を認識処理して、電極マーク64の位置を認識する。計測制御部92は、吸着ノズル8aが吸着した電子部品Dを計測位置Pに置く際に、認識処理部93によって認識された吸着ノズル8aが保持する電子部品Dの位置と電極マーク64の位置に基づいて、電子部品Dを置く位置の補正を行う。電極マーク64の位置に基づいて補正することで、異方性導電シート53に覆われて直接見ることができない電極61に対して正確に位置合わせができる。
計測位置決定部94は、計測情報記憶部98に記憶された電子部品Dが各計測位置P1~P9に置かれた回数に基づいて、複数の計測位置P1~P9のうちの一に置かれる回数が均等になるように計測対象の電子部品Dを置く計測位置P1~P9を決定する。部品合否判定部95は、計測器15によって計測された電子部品Dの電気的特性を部品情報記憶部97に記憶されている当該電子部品Dの電気的特性の規格値と比較して、テープフィーダ5から取り出した電子部品Dが正しいか否かを判定する。電子部品Dが間違えていた場合、部品合否判定部95は、タッチパネル12に電子部品Dが間違えである旨を報知させる。
図17において、特性計測装置16は、プローブユニット13と計測器15を備えている。プローブユニット13は、ユニット制御部39、押圧部材移動機構38、検出センサ42、空気バルブ35を備えている。検出センサ42は、発光部42aと受光部42bを備えている。ユニット制御部39は、押圧部材移動機構38、空気バルブ35、計測器15を制御して、特性計測装置16における電子部品Dの特性計測を統括する。
具体的には、ユニット制御部39は、電子部品Dが異方性導電シート53の上の計測位置Pに置かれる際は、押圧部材37が吸着ノズル8aなどに保持された電子部品Dに干渉しない退避位置に移動するように押圧部材移動機構38を制御する。また、ユニット制御部39は、計測位置Pに置かれた電子部品Dの電気的特性を計測する際は、押圧部材移動機構38を制御して、押圧部材37を電子部品Dの上方に移動させて下降させ、押圧部材37によって電子部品Dの端子Dtと電極61の間に圧力を加えさせる。このように、ユニット制御部39は、押圧部材移動機構38を制御する制御部である。
また、ユニット制御部39は、空気バルブ35を制御して噴出口34から圧縮空気を噴出させて、計測位置Pにある電子部品Dを回収箱70に廃棄させる。また、ユニット制御部39は、作業者が回収箱70を箱保持部40に装着させる際に、検出センサ42の検出結果より回収箱70が正常な姿勢で箱保持部40に装着されたか否かを判断する。ユニット制御部39は、回収箱70が正常に装着されていない場合は、部品実装装置M1のタッチパネル12に回収箱70の姿勢が異常である旨を報知させる。
図17において、計測器15による電気的特性の計測結果は部品実装装置M1の装置制御部90に送信されて、部品合否判定部95によってテープフィーダ5が供給している電子部品Dが正しいか否かが判定される。なお、上位コンピュータCPに部品合否判定部95を備えさせ、計測器15は計測結果を上位コンピュータCPに送信し、上位コンピュータCPにおいて電子部品Dの正否を判定するようにしてもよい。
上記のように、本実施の形態の部品実装装置M1~M3は、電子部品Dを供給する部品供給部4と、部品供給部4が供給する電子部品Dを保持して基板Bに実装する実装ヘッド8と、実装ヘッド8が保持する電子部品Dを受け取って、電子部品Dの電気的特性を計測する特性計測装置16を備えている。なお、特性計測装置16の計測位置Pに電子部品Dを載置するものは実装ヘッド8に限定されることはない。例えば、実装ヘッド8とは異なる専用の移送手段で、電子部品Dを計測位置Pに載置するようにしてもよい。
次に図18のフローに沿って、図5~図7を参照しながら、特性計測装置16において電子部品Dの電気的特性を計測するための計測準備について説明する。図18において、まず、複数の電極61を覆うように異方性導電シート53が載置された後、計測用基板60が基板保持部材52に装着される(ST1:計測用基板装着工程)(図7)。次いで計測用基板60が装着された計測ユニット50が固定部30の装着面31に装着され、計測ユニット50の接続部50aが空気噴出部33に接続される(ST2:計測ユニット装着工程)(図6)。
次いで回収箱70が箱保持部40に装着され、回収箱70の回収口72が計測ユニット50の排出口51に嵌め合わされる(ST3:回収箱装着工程)(図5)。回収箱装着工程(ST3)の後、検出センサ42によって回収箱70が箱保持部40に正常な姿勢で装着されたか否かが検出される(ST4:回収箱装着姿勢検出工程)。回収箱70が正常な姿勢で装着されていない場合(ST4においてNo)、ユニット制御部39はタッチパネル12に異常を報知させる(ST5:異常報知工程)。姿勢異常を認知した作業者は、回収箱70を箱保持部40に再装着する(ST3)。回収箱70が正しい姿勢で装着されると(ST4においてYes)、計測準備が終了する。
次に図19のフローに沿って、部品実装装置M1~M3によって基板Bに電子部品Dを実装する部品実装方法について説明する。部品実装装置M1~M3において部品実装作業が継続される間に、テープフィーダ5が供給している電子部品Dの残数が少なくなると、作業者によってテープフィーダ5に新しいキャリアテープを補給する補給作業が行われる(ST11)。補給されたテープフィーダ5から電子部品Dの供給が継続されて(ST12においてNo)、補給された最初の電子部品Dがテープフィーダ5の部品取り出し位置に供給されると(ST12においてYes)、部品取り出し位置に供給された電子部品Dの電気的特性を特性計測装置16で計測する一連の特性計測工程(ST13)が実行される。
電子部品Dの電気的特性が計測されると、部品合否判定部95は、電子部品Dの特性計測結果とテープフィーダ5から供給されることが期待される電子部品Dの電気的特性の規格値を比較して、補給された電子部品Dが正しいか否かを判定する(ST14:部品合否判定工程)。補給された電子部品Dが正しい場合(ST14においてYes)、部品実装作業が再開される(ST15)。補給された電子部品Dが間違えていた場合(ST14においてNo)、部品合否判定部95はタッチパネル12に違う電子部品Dが補給されている旨を報知する(ST16)。補給ミスを認知した作業者は、再度、補給作業を行う(ST11)。これによって、間違えた電子部品Dが基板Bに実装されることが防止される。
次に図20のフローに沿って、図21、図22を参照しながら、部品実装装置M1~M3における特性計測工程(ST13)(特性計測方法)の詳細について説明する。図20において、まず、実装ヘッド8の吸着ノズル8aによって部品供給部4が供給する電子部品D(補給された最初の電子部品D)が取り出される(ST21:部品取り出し工程)。次いでプローブユニット13(特性計測装置16)を上方から撮像するヘッドカメラ10(カメラ)が計測ユニット50の上方に移動し、ヘッドカメラ10で電極マーク64を撮像し、撮像画像に基づいて電極マーク64の位置が認識される(ST22:電極マーク撮像工程)(図21(a))。
次いで計測位置決定部94は、電子部品Dのサイズ(部品幅W)と電子部品Dが各計測位置P1~P9に置かれた回数に基づいて、複数の計測位置P1~P9のうちの一に置かれる回数が均等になるように、電子部品Dの計測位置P1~P9を決定する(ST23:計測位置決定工程)。次いで実装ヘッド8の吸着ノズル8aが保持する電子部品Dと干渉しない退避位置に、押圧部材37が移動する(ST24:押圧部退避工程)(図21(b))。これにより、計測位置Pの上方の計測開口52aが開放される。なお、押圧部退避工程(ST24)は、計測位置決定工程(ST23)と並行して実行するようにしてもよい。
図20において、次いで実装ヘッド8の吸着ノズル8aによって取り出された電子部品Dが計測位置決定工程(ST23)において決定された複数の計測位置P1~P9のいずれかに置かれる(ST25:部品設置工程)(図21(c))。すなわち、電子部品Dは計測位置P1~P9に置かれる回数が均等になるように複数の計測位置P1~P9のいずれかに置かれる。部品設置工程(ST25)では、基板マーク撮像工程(ST22)における電極マーク64の撮像結果に基づいて、電子部品Dを置く位置が補正される。なお、電子部品Dを計測位置P1~P9に置く前に部品認識カメラ11によって吸着ノズル8aが保持する電子部品Dの位置(吸着位置ズレ)を認識し、認識結果に基づいて電子部品Dを置く位置を補正(吸着位置ズレを補正)してもよい。
次いで押圧部材37を退避位置から電子部品Dの上方に移動させ(図22(a))、押圧部材37を下降させて計測位置Pに置かれた電子部品Dの端子Dtと複数の電極61の間に圧力を加える(ST26:加圧工程)(図22(b))。加圧工程(ST26)において圧力を加えている間に、計測器15によって電子部品Dの電気的特性が計測される(ST27:特性計測工程)。
特性計測が終了すると、電子部品Dが置かれた計測位置P1~P9に基づいて、計測情報記憶部98に記憶されている電子部品Dが各計測位置P1~P9に置かれた回数が更新される(ST28)。次いで押圧部材37を上昇させる(図22(c))。次いで空気噴出部33の噴出口34から圧縮空気を噴出させて、計測位置Pの電子部品Dを吹き飛ばして排出路50bを通じて圧縮空気と共に排出口51より排出して回収箱70の収容部78に廃棄させる(ST29:電子部品廃棄工程)(図22(d))。なお、圧縮空気は、連続的に噴出させても断続的に複数回噴出させてもよい。これにより、一連の特性計測工程(ST13)が終了する。
なお、図20に示す特性計測方法では、電気的特性の計測中に計測位置Pに置かれた電子部品Dを押圧部材37によって加圧していたが、加圧の方法はこれに限定されることはない。例えば、吸着ノズル8aが保持している電子部品Dを計測位置Pに置いた(ST25)後、電子部品Dを保持している状態のまま吸着ノズル8aで電子部品Dを下方に押し押し込みながら加圧するようにしてもよい。
上記説明したように、本実施の形態の特性計測装置16は、固定部30と、固定部30に設けられ、電気的特性が計測される電子部品Dが置かれる計測位置Pと、計測位置Pの電子部品Dを圧縮空気と共に排出する排出口51を有する計測ユニット50と、排出口51に嵌め合わされる回収口72を有し、固定部30に着脱自在な回収箱70と、固定部30に設けられ、回収口72が排出口51に嵌め合わされた状態で回収箱70を保持する箱保持部40と、を有する。これによって、電気的特性の計測後に廃棄された電子部品Dを容易に回収することができる。