(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る真空包装装置について、図1乃至図15を参照しながら詳述する。なお、各図において、同一構成には同一符号を付す。
真空包装装置1は、第1筐体の本体筐体10と外付けされた第2筐体110を備える。本体筐体10には、チャンバー2等が収容される。第2筐体110には、チャンバー2を減圧する真空ポンプ(減圧装置)6が収容される。本体筐体10と外付けの第2筐体110は、耐圧エアチューブ112と電源コード113を用いて連結されている。耐圧エアチューブ112と電源コード113は、例えば5m程度である。
本体筐体10には、真空ポンプを収容しない構成であるので、本体筐体10の奥行と高さを小さくすることができる。このため、厨房に既に設置されている調理台等に載せやすいサイズにできる。本体筐体10の外観は、幅及び長さに比して高さを低く設定した扁平な矩形状である。本体筐体10のサイズは、卓上型として使用可能なように、調理台,ラック,ワゴンなどの上面や中段の棚に載置可能な寸法である。具体的には、本体筐体10の高さは295mmであり、好ましくは200~400mmである。本体筐体10の奥行は554mmであり、好ましくは500~600mmである。本体筐体10の幅は428mmであり、好ましくは400~500mmである。
本体筐体10は、例えば金属板等の金属部材で六面を囲った箱状である。本体筐体10の天板11及び操作パネルを含む前板12を形成する金属部材は、ネジ等の固定部材13によって固定される。例えば、本体筐体内の装置の保守・点検時においては、固定部材13を外すことによって夫々取り外し可能である。基台となる底面を形成する金属部材の四隅には、例えば円柱形の脚部14(図3を参照)が設けられている。本体筐体10を形成する金属部材は、例えばステンレス、アルミニウム、表面をメッキした鉄、チタンなどである。勿論、他の金属であっても、或いは樹脂でもよい。
真空包装装置1は、図3に示すように、耐圧構造のチャンバー2を箱状の本体筐体10の内部に別体で配置した、2重構造である。したがって、本体筐体10は、必ずしも真空に耐え得る耐圧性を備えなくともよく、天板11や前板12に厚みの小さい薄い金属板を用いて形成することができる。その分、装置全体としての軽量化を図ることができる。なお、本体筐体10の前面上側は、幅方向のほぼ全域に亘って開口する。この開口には、チャンバー2の開口部が重なるように配置される。
天板11の上面は、好ましい一例として、全面に亘って平坦に形成される。天板11の上面を全面に亘って平坦にすることで、例えば調理台,ラック,ワゴンなどの卓上に載置しても、天板11を作業台として広く使用することができる。或いは、オーブンや電子レンジといった調理装置を上に載せることができる。
扉部15、操作・表示部16は、図1に示すように、使用時に本体筐体10の前面に位置する。操作・表示部16は、例えばタッチディスプレイで構成される操作パネルであり、扉部15の下方の前板12に配置される。なお、表示部と操作部は、別々にしてもよい。また、商用電源を装置に供給・停止する電源スイッチ17が操作・表示部16の右側の前板12に設けられる。前板12の上部は、奥側に向けて少し傾斜しているので、操作・表示部16が見易くなっている。
扉部15は、図2に示すように、引出し部3の前面に取付けられ、引出し部3と共にチャンバー2の開口部を開閉可能にスライドする。扉部15とチャンバー2は、チャンバー2の開口縁に沿って設けたシール材21(図3又は図4を参照)によって気密にシールされる。シール材21は、図4に示すように、複数の線条21sを有する。複数の線条21sは、扉部15に向かって立設してチャンバー2の開口縁に沿って環形に延びる。線条21sは、例えば3本である。チャンバー2の開口縁に沿って延びる線条21sを複数有することにより、高い気密性を確保できる。扉部15の背面側の下縁部と本体筐体10の傾斜している前板12との間に、図5に示すように空間(隙間)19が設けられる。この空間19を設けることにより、使用者が扉部15の背面側下縁部に指を掛けて簡単に引き出すことができる。
チャンバー2の内部には、加熱溶着式のシール部の一方である下ヒートブロック4を設けた引出し部3がスライド式に収納される。また、チャンバー2の上面内側には、シール部の他方である上ヒートブロック41が設けられている。引出し部3が本体筐体10内に収納された状態(閉じた状態)では、上ヒートブロック41と引出し部3の下ヒートブロック4は対向する。
扉部15を前面に取付けた引出し部3は、真空包装用の袋をチャンバー2内に収容する。引出し部3は、扉側に下ヒートブロック4、後方側に包装袋を収納するトレイ31を備える。したがって、下ヒートブロック4は、扉部15とトレイ31との間に設けられる。また、下ヒートブロック4の前方側に、液受トレイ35が着脱可能に配置される。液受トレイ35は、真空包装時に包装袋の袋口から漏れ出た内容物を回収して破棄する容器であり、下ヒートブロック4と扉部15の間に配置される。
トレイ31は、図5に示すように扉側に傾斜面31aを有し、この傾斜面31aに沿ってワーク(真空対象物)を投入した包装袋を支持する。傾斜面31aの上端は、下ヒートブロック4に接近する。ワークを投入した包装袋は、トレイ31に収容されて、その袋口部分(加熱溶着させる部分)が下ヒートブロック4上に載置される。このとき、トレイ31に傾斜面31aが設けられているので、特に流動性のあるワークが投入された包装袋Pが、その重みで下ヒートブロック4(後述する再剥離性粘着部材45)から剥がれるのを抑えられる。
引出し部3のトレイ31は、例えばステンレス、アルミニウム、表面をメッキした鉄、チタンなどの金属で形成する。勿論、他の金属材料でもよい。引出し部3の前方側に配置される液受トレイ35は、例えばプラスチック等の樹脂材で形成する。
引出し部3は、図7に示すように、チャンバー2の両側面に設けた左右一対のスライドレール32によって、チャンバー2に対して円滑に引き出し可能に支持される。スライドレール32は、チャンバー2の両側面に固定配置されている。スライドレール32は、オートクロージング機構を備える。すなわち、スライドレール32は、引出し部3をチャンバー2に差し入れる方向に付勢する引張ばね(付勢部)33を内蔵する。引出し部3が引張ばね(付勢部)33に到達すると、引張ばね(付勢部)33より引出し部3が更に内側に引き寄せられ、扉部15がチャンバー2の開口縁に押し付けられる。したがって、チャンバー2の開口縁に配置したシール材21と扉部15が密着して、チャンバー2が良好に密閉される。なお、スライドレール32は、チャンバー2の底面に設けてもよい。スライドレール32の取り付け位置や、引出し部3の位置の精度および耐荷重は、底面式が優れている。
扉部15は、例えば透明材料或いは半透明材料で形成する。透明材料は、例えばアクリル樹脂である。扉部15を透明或いは半透明とすることで、図3に示すように、扉部15を閉じた状態でもチャンバー2内の動作を目視で確認することができる。すなわち、シール部(下ヒートブロック4、上ヒートブロック41)を目視できるので、包装袋を密封する様子を確認することができる。また、仮に脱気時に内容物が包装袋から漏出するなどの予期せぬ事態が生じても、使用者が対応処置を取り得る。但し、扉部15は、透明又は半透明でなくともよく、例えばステンレス、アルミニウム、表面をメッキした鉄、チタンなどの金属で形成してもよく、他の金属でもよい。
チャンバー2は、図4に示すように、前面だけが開口する5面体の密閉箱形状である。チャンバー2の外観は、概ね矩形状である。その容量は、例えば7~40リットルである。シール材21をチャンバー2の前面開口縁に沿って取り付けるように、開口縁の四隅を円弧形に形成する。チャンバー2は、断面コ字型の部材2A,2Bを、上下対称に組み合わせて接合し(接合線2C)、さらに背面となる部材2Dを接合することによって、開口以外は密閉した構造である。チャンバー2は、例えばステンレス、アルミニウム、表面をメッキした鉄、チタンなどの金属、他の金属材料で形成してよい。
チャンバー2の背面には、図5に示すように、チャンバー2内を減圧する際に吸引排気し、さらに減圧を開放する際に吸気する吸排気口22が設けられる。吸排気口22は、チャンバー2の背面の上辺寄りに配置される。また、図4に示すように、チャンバー2の底面の前方寄りに、2つの円形の開口孔23が設けられている。開口孔23には、後述するシリンダー機構7の2つのピストンロッド73がそれぞれ配置される。
チャンバー2は、図4及び図5に示すように、チャンバー2の幅方向(引出し部3の引き出し方向(前後方向)と交差する方向)に沿って延びる補強部材24(第1の補強部材)を、外周面の上面に固定配置する。補強部材24は、断面コ字型のチャンネル部材(例えば、軽量溝型部材)を用い、チャンネル部材のウエブが上側に位置するようにフランジの端部をチャンバー2に接合する。補強部材24は、チャンバー2の前後方向(引出し部3の引き出し方向)に間隔をおいて複数配列する。補強部材24は、天板11を下方から支持する支持部材でもある。そのため、ウエブ幅の長いチャンネル部材を用いるのが好ましい。但し、補強部材24の形状は、断面コ字型に限らない。
さらに、チャンバー2は、チャンバー2の幅方向に沿って延びる補強部材(第2の補強部材)25を、外周面の底面に固定配置する。補強部材25は、断面コ字型のチャンネル部材を用い、チャンネル部材のウエブが下側に位置するようにフランジの端部をチャンバー2に接合する。補強部材25の両端部には、ボルト穴(不図示)を設ける。補強部材25は、チャンバー2の前後方向に間隔をおいて複数配列する。補強部材25は、チャンバー2を本体筐体10内に固定配置する支持部材でもある。但し、補強部材25の形状は、断面コの型に限らない。
チャンバー2は、図5に示すように、本体筐体10内に設けた支持部材50の上部に固定配置される。つまり、補強部材25が支持部材50に固定される。また、チャンバー2上面の補強部材24は、天板11の下面に接する。支持部材50は、チャンバー2の底面の補強部材25と接する高さ位置の本体筐体10の側面に直接固定される形状であってもよい。この補強部材24,25によって、薄型のチャンバー2の強度が補強され、内部の減圧に耐えられる。
本体筐体10の前板12(操作・表示部16)の裏面には、制御装置を構成する回路基板55が前板12の幅方向に沿って配置される。回路基板55は、図6に示すように、チャンバー2の開口部の下方において、前板12と防液壁52で覆われる。防液壁52の上端は、前板12の上端より高い位置(チャンバー2の底面に近い位置)にある。このため、回路基板55は、チャンバー2の開口からこぼれ落ちた内容物から保護でき、また不用意に操作パネルに向けて流体がかかっても保護される。また、防液壁52と前板12の間にはコーキング材を塗布してもよい。コーキング材は、防液壁52と前板12の合わせ目から、本体筐体10に液体が浸入することを防止することができる。
図6及び図8に示すように、本体筐体10のチャンバー2の下方には、シール部、制御装置の回路基板55、および真空ポンプ6などに電源を供給する電源装置56が配置される。電源装置56は、AC/DCコンバータやノイズフィルターを備える。電源装置56は、チャンバー2の下面の空間に配置された一対のシリンダー機構7の間で、引出し方向(前後方向)に沿って延びるケース57に収容された状態で配置される。電源装置56を収容するケース57は、本体筐体10の前板12に連結される。このため、本体筐体10から前板12を取り外すと、操作・表示部16、回路基板55および電源装置56が、本体筐体10の前面側に引き出すことができる。このため、制御装置や電源装置を含む電気系のメンテナンス作業を容易に行うことができる。なお、商用電源に接続するコンセント61は、本体筐体10の背面に設けられる。
シール部は、上述した下ヒートブロック4と上ヒートブロック41などを備える。下ヒートブロック4と上ヒートブロック41は、幅方向(引き出し方向と直交する方向)に延びる長尺なブロック部材である。下ヒートブロック4と上ヒートブロック41は、引出し部3がチャンバー2内に収納され(即ち、扉部15が閉じられ)、且つ下ヒートブロック4が押し上げられる位置では、包装袋を挟む面が互いに離れた状態で対向するように配置される。
下ヒートブロック4は、図7に示すように、絶縁性材料で形成した本体42の上面に、長尺な帯状の発熱体が積層されている。発熱体は、例えばシール用ヒーター43である。さらに、シール用ヒーター43の上面を覆うように、着脱自在な絶縁性布(不図示)を貼り付ける。絶縁性布は、例えば包装袋との剥離性がよいシリコンテープなどである。図8に示すように、下ヒートブロック4の底面には、下ヒートブロック4を下方から支持する2本の支持ロッド44を配置する。支持ロッド44は、概ね円筒形の導電性部材で形成される。導電性部材は、例えば真鍮や銅である。支持ロッド44は、シール用ヒーター43と電気的に接続されている。
下ヒートブロック4の前方(扉部15)側の側面には、図7に示すように、包装袋をその粘着力で保持し、手で包装袋を取り外すことのできる長尺な再剥離性粘着部材45が配置される。即ち、下ヒートブロック4の前方(扉部15)側の側面に支持部材46を着脱自在に設け、支持部材46の上面に再剥離性粘着部材45を貼り付ける。再剥離性粘着部材45は、例えば両面に粘着性を有するシリコンテープである。使用者は、図9(a)に示すように、加熱溶着させる包装袋Pの開口部が下ヒートブロック4上に位置するようにして包装袋Pをトレイ31内に収容し、包装袋Pの先端側の袋口を再剥離性粘着部材45に貼り付ける。これにより、扉部15を閉じた際の慣性力で包装袋Pの袋口の位置がずれるのを抑える。
支持ロッド44は、図7に示すように、引出し部3の底面に設けた軸受機構47によって昇降可能に軸支される。軸受機構47から下方に延出した支持ロッド44の下端は、外方にフランジ状に拡がる。そして、支持ロッド44のフランジ状の部分と軸受機構47とで挟むように、戻しバネ48としてのコイルスプリングが設けられる。シール工程以外のときは、戻しバネ48の復元力によって下ヒートブロック4は引出し部3の底面側に付勢されている。減圧工程後に行われるシール工程では、図9(b)に示すように、シリンダー機構7によって支持ロッド44が押し上げられ、下ヒートブロック4が上昇する。
上ヒートブロック41は、図9に示すように、下ヒートブロック4と対向するように、チャンバー2の内周面の上面(天井面)に配置される。上ヒートブロック41は、絶縁性の材料で本体49を形成される。本体49の下面には、着脱自在な絶縁性布(不図示)が貼り付けられる。絶縁性布は、例えば包装袋Pの剥離性がよいシリコンテープである。なお、シール用ヒーター43は、下ヒートブロック4ではなく上ヒートブロック41に設けるようにしてもよく、上ヒートブロック41と下ヒートブロック4の両方に設けるようにしてもよい。
シリンダー機構(シール駆動部)7は、図7に示すように、チャンバー2の底面に取付けられる。シリンダー機構7は、ロッドカバー71内でピストン72が上下に移動可能である。ピストンロッド73は、ピストン72の上面に配置され、ピストン72と共に上下に移動可能である。ピストン72は、ロッドカバー71内に設けた戻しバネ74によって下方に付勢されている。
ロッドカバー71は、図10に示すように、上部側(一次側室)に吸気口75を設け、下部側(二次側室)は大気開放される。或いは、後述するシール電磁弁V2に三方弁を用い、この三方弁を大気開放側に開くことで吸気口75を通じて上部側(一次側室)を大気開放される。吸気口75は、例えば配管を介して真空ポンプ6と接続される。したがって、真空ポンプ6でロッドカバー71の上部側(一次側室)を減圧すると、図9(b)に示すシール工程では、ピストン72が上昇してピストンロッド73を押し上げる。押し上げられたピストンロッド73は、その先端で支持ロッド44を押し上げる。支持ロッド44が押し上げられることで下ヒートブロック4が上昇する。シール工程を終了して減圧を停止し、三方弁を制御してロッドカバー71の上部側(一次側室)を大気圧に戻すと、戻しバネ74の復元力によってピストン72が下降し、ピストン72と一体にピストンロッド73が元の位置に戻る。
ピストンロッド73は、概ね円筒形の導電性部材で形成される。すなわち、シール工程時、ピストンロッド73に電気を給電することによって、同じく導電性部材で形成した支持ロッド44を通じ、シール用ヒーター43に電気を給電することができる。ピストンロッド73を形成する導電性部材は、例えば真鍮や銅である。図7に示すように、ピストンロッド73に電気を給電する電気配線76は、ロッドカバー71を貫通して下方に延出するピストンロッド73の部分に接続する。
上述したように、ピストンロッド73と支持ロッド44は、電気的に接続する。支持ロッド44の下面(接触面)の面積は、ピストンロッド73の上面(接触面)の面積よりも大きく形成される。このため、引出し部3をチャンバー2に収納(閉じた)したときに、下ヒートブロック4が多少位置ずれした場合であっても、ピストンロッド73と支持ロッド44が確実に電気的に接続することができる。なお、支持ロッド44の下面(接触面)の面積は、ピストンロッド73の上面(接触面)の面積よりも小さく形成してもよい。すなわち、支持ロッド44の接触部の面積、又はピストンロッド73の接触部の面積の一方を広くすることで、ピストンロッド73と支持ロッド44が一直線上に位置する範囲を広く設定することができるため、扉部15を閉じたときの位置ずれが吸収できる。
扉部15には、図6に示すように、扉部15がチャンバー2の開口部を閉じた閉状態を検知する扉部リミットスイッチ8が設けられている。扉部リミットスイッチ8は、樹脂ブロック81とマイクロスイッチ(開閉スイッチ)82を有する。樹脂ブロック81は、扉部15の裏面下方側に設けられる。マイクロスイッチ82は、防液壁52の前側の前板12に設けられ、樹脂ブロック81に対向する。
図10および図11は、真空包装装置内の配管系統を示している。耐圧エアチューブ112は、外付けの真空ポンプ6から延出して配管63に接続される。配管63は、本体筐体10内で分岐してチャンバー2の吸排気口22及びシリンダー機構7の吸気口75に夫々接続する。配管63には、主要な3つの電磁弁V1~V3が連結される。具体的には、減圧用の真空電磁弁V1、シール用のシール電磁弁V2、減圧開放用の真空開放電磁弁V3及び圧力センサー64が設けられる。シール電磁弁V2には、三方電磁弁を用いる。真空電磁弁V1は、自動開閉電磁弁に代えて、逆止弁としてもよい。配管63は、例えば金属又は樹脂で形成する。
真空電磁弁V1、シール電磁弁V2および真空開放電磁弁V3は、図11に示すように、本体筐体10の後方のチャンバー2と筐体背面との間において、幅方向に沿って一列に配置されている。このため、天板11を取り外すと、真空電磁弁V1,シール電磁弁V2および真空開放電磁弁V3が露出する。したがって、電磁弁の交換など、配管系統のメンテナンス作業が容易に行える。また、オプションとして後述するガス電磁弁V4、ソフト開放電磁弁V5を設けてもよい。なお、ガス電磁弁V4の接続先はチャンバー2の上面ではなく、チャンバー2のシリンダー機構7の近くの底面であってもよい。
図1に戻り、チャンバー2を減圧する真空ポンプ6は、本体筐体10とは分離して配置される。真空ポンプ6は概ね円柱形の外観であり、立方体形状の第二筐体110に収容されている。第二筐体110には、吸排気口となる多数の孔111が設けられる。さらに、第二筐体110には、油供給口や油抜き用ドレイン、油レベル確認窓等が設けられている。
第二筐体110は、本体筐体10と同様に、例えば金属板等の金属部材で六面を囲った箱状である。第二筐体110は、例えば厨房の床面あるいは調理台やラック,ワゴンなどの下棚に置いて使用する。つまり、本体筐体10が厨房内で同じ高さで卓上載置され、第二筐体110が邪魔にならない床面等に置かれる。このため、真空ポンプ6のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
図12は、操作・表示部16の一例を示す図である。
操作・表示部16は、操作部として、スタートスイッチ100、コース選択スイッチ101、工程スイッチ102、及び値設定スイッチ103を備える。また、表示部として、コース表示部104、カウント時間表示部105、工程表示部106、連続運転表示部107を備える。なお、ストップスイッチ108を設けてもよい。ストップスイッチ108として、例えば製品出荷前の試験などで動作を一時停止させるために設けた隠しボタンを用いてもよい。
スタートスイッチ100は、通常運転モードにおいて、真空包装を開始するためのスイッチである。スタートスイッチ100は、扉部15が開いていて扉部リミットスイッチ8が閉状態を検知していないときには、スタートできないように制御される。そして、扉部リミットスイッチ8が扉部15の閉状態を検知したときに、真空包装を開始するように制御される。スタートスイッチ100の他の使い方として、例えばスタートスイッチ100を1秒以上長押しすると、通常運転モードから連続運転モードに切り替わるようにしてもよい。連続運転モードになると、連続運転表示部107が点灯する。
コース選択スイッチ101は、コース1~コース4の中から実行するコースを選択する。コース表示部104は、選択したコース番号を使用者が識別可能なように表示する。工程スイッチ102は、各コースの真空引き(減圧)時間、シール時間、冷却時間を設定する際に押下する。時間の増減は、値設定スイッチ103で行う。工程表示部106は、現在実行している工程を表示する。つまり、真空引き(減圧)工程、シール工程、冷却工程などのいずれであるかを使用者が識別可能なように表示する。工程表示部106にガス封入工程を表示してもよい。
真空引き(減圧)時間は、チャンバー2内の真空時間を調整する。例えば、40秒でチャンバー2内が略真空になって、真空パックができるように設計される。真空引き(減圧)時間を短く設定すれば、その分真空度が弱くなり、例えば包装袋P内に空気を少し残す脱気パックなどが行える。なお、真空時間に代えて、真空度(%)で設定するようにしてもよい。
シール時間は、包装袋Pをシール用ヒーター43で加熱する時間であり、溶着状態を調整する。短すぎると溶着が弱くなり、長すぎるとシール用ヒーター43が高温になる。シール用ヒーター43の温度上昇スピードは急である為、時間設定は、0.1秒単位で行うのが好ましい。シール時間は、例えば包装袋Pの厚み・種類及び装置の周囲環境に応じて時間調整する。
冷却時間は、シール工程後に加熱溶着した部分が冷えて固まるようにホールドする時間であり、密封の安定性を調整する。冷却は、自然放熱である。時間設定は、0.1秒単位で行う。冷却時間は、例えば包装袋Pの厚み・種類及び装置の周囲環境に応じて時間調整する。
操作・表示部16は、例えば装置の初期設定時或いは保守・点検時に真空度を確認できるように、カウント時間表示部105の表示が圧力値に切り替えられるようにしてもよい。表示する圧力値は、圧力センサー64が検出する圧力を用いる。
次に、実施形態の真空包装装置1の動作を説明する。
図13は、真空包装装置1の真空制御装置の構成を示すブロック図である。制御装置500は、真空包装装置1の制御を行うマイクロコンピュータ(以下、CPUと称する)510、各信号の入出力処理を行うインターフェイス回路520、ROM530、RAM535、タイマー540等から構成されている。そして、インターフェイス回路520には、真空包装装置1の操作パネル550に設けられたスタートスイッチ550a(図12の符号100)、ストップスイッチ550b、コース/工程550cの操作スイッチから設定された値(時間/真空度など)が入力されている。
また、インターフェイス回路520には、チャンバー内の気圧を検出する圧力センサー64、引出し部3の開閉状態を検出する引出し開閉スイッチ570(図6の扉部リミットスイッチ8)からの信号が入力されている。また、制御装置500は、報知部550dを介して使用者に真空包装装置の真空包装完了や各種エラーの報知(表示又はブザーにより)を行う。
CPU510は、プログラム及び各種制御条件をROM530から読み出して、真空包装装置1の各種動作を制御する。RAM535には、操作・表示部16や各種センサーからの信号、タイマーからの時間情報、真空圧のレベルなどが格納される。タイマー540には、コース/工程550cのスイッチ操作で設定された真空引き(減圧)時間、真空引き停止時間、ガス封入時間、ガス安定待ち時間、シール時間、冷却時間などが格納される。RAM535およびタイマー540に記憶される制御値は、後述する真空引き工程~シール冷却工程の設定情報となる。また、RAM535には、操作時に発生したエラー情報がエラー履歴(エラー10回分以上)として記憶される。
CPU510は、インターフェイス回路520からの信号を受けて、インターフェイス回路520を介して真空ポンプ6、真空電磁弁V1、シール電磁弁V2、真空開放電磁弁V3、ガス電磁弁V4、ソフト開放電磁弁V5、シール用ヒーター43に対し制御信号を出力する。なお、以下の説明では、インターフェイス回路520を経由した信号の送受信の説明は割愛し、CPU510のみの動作で説明する。
図14は、実施形態の真空包装装置1に係る真空運転工程を示すフローチャートである。真空包装するために、ワーク(真空対象物)を包装袋(真空パック袋)P内に入れて、チャンバー2内にセットする。チャンバー2内にセットされた包装袋Pは、チャンバー2内の全体が真空引きされ、袋口をシールすることで真空パックができる。真空パックするワークは、食品や工業用部品など様々なワークが対象となる。
実施形態の真空包装装置1は、ガス封入オプションとソフト開放オプションを有している。ガス封入オプションは、真空引き後、ガス電磁弁V4を開いてガスをチャンバー2内に封入し、真空パック袋の袋口を閉じる工程である。ワークは、ガスが充填された真空パック袋にて保存される。ソフト開放オプションは、シール工程後、シール冷却工程中にソフト開放電磁弁V5を開き、真空開放の速度を緩める工程である。ゆっくり開放することで、ワークの損傷を防ぐことができる。
まず、図14のステップS10では、運転開始動作工程が実行される。引出し部3が本体筐体10内に挿入されて閉められると、引出し開閉スイッチ570がONになる。引出し開閉スイッチ570がON状態で、操作パネルのスタートスイッチ550a(100)が押されると、その信号を受けたCPU510は真空運転を開始する。そして、CPU510は、真空ポンプ6を稼働すると共に、真空開放電磁弁V3をONにする。真空開放電磁弁V3は、通常開いているがON信号を受けると閉状態となる。真空開放電磁弁V3が閉じられることで、チャンバー2の内部は密閉状態となる。
次に、図14のステップS20では、真空引き工程が実行される。この工程は、コース/工程550cの設定状況に応じてチャンバー2内を真空引きする工程である。コース/工程550cにより時間設定されている場合、CPU510は真空電磁弁V1を開け(ON状態)、真空ポンプ6を稼働してタイマー540の「コースデータ」に設定された時間(秒数)が経過するまでチャンバー2内を真空引きする。コース/工程550cにより真空圧のレベルが設定されている場合、CPU510は真空電磁弁V1を開け(ON状態)、真空ポンプ6を用いてタイマー540の「コースデータ」に設定されたレベルに到達するまでチャンバー2内を真空引きする。CPU510は、圧力センサー64の信号を受けてチャンバー2内の気圧を監視している。真空引き工程が終了すると、CPU510は、真空電磁弁V1を閉じて(OFF状態)、真空引きを停止する。
真空引き工程中に、真空引き動作を停止させたい場合、ストップスイッチ550bの操作により真空引き動作を停止することができる。例えば、ストップスイッチ550bとして、隠しスイッチ108を1秒以上長押したことを検出することで実現しても良い。CPU510は、ストップスイッチ550bから真空引き動作の停止信号を受信すると、タイマー540に予め設定した真空引き停止時間T1の間、真空電磁弁V1を開き(ON状態)、真空ポンプ6を停止(OFF状態)にする。停止状態を解除する手法として、真空引き停止時間T1が経過した場合、又はストップスイッチ550b(隠しスイッチ108)が押された場合、真空電磁弁V1を開き(ON状態)、真空ポンプ6をONにすることで真空引きを再開できる。この場合、最初からやり直して真空引き工程が実施される。停止した途中の時間から真空引き工程を再開してもよい。
真空引き工程中に、次の工程に移行したい場合、移行スイッチの操作により真空引き動作から次の工程に移行(ジャンプ)することができる。例えば、真空引き工程中にスタートスイッチ550aが押された場合、その信号を受けたCPU510は、次工程(例えば、ガス封入工程)への移行(ジャンプ)であると判断し、真空電磁弁V1を閉じる(OFF状態)。なお、スタートスイッチ550aが押されたときのチャンバー2内の真空レベルが所定値(例えば、40%)に到達していない場合は、次工程へのジャンプ動作は無効とし、報知部550dのブザーで使用者に報知する。
次に、図14のステップS30のガス封入工程(オプション機能)は、コース/工程550cの設定状況に応じてチャンバー2内にガスを封入する工程である。コース/工程550cによりタイマー540にガス封入時間が設定されている場合、CPU510はガス電磁弁V4を開け(ON状態)、タイマー540の「コースデータ」に設定されたガス封入時間に応じてチャンバー2内にガスを封入する。これにより、真空パック袋内にガスが充填される。ガス封入時間は「0秒」の場合、CPU510はガス封入工程を実行しない。CPU510は、ガス封入時間が終了すると、ガス電磁弁V4を閉じて(OFF状態)、次の工程に移行する。
また、ガス封入工程としてコース/工程550cにより真空圧のレベル設定されている場合、CPU510はガス電磁弁V4を開け(ON状態)、RAM530の「コースデータ」に設定された圧力レベルに到達するまでチャンバー2内にガスを封入する。これにより、真空パック袋内にガスが充填される。ガスレベルが「0%」の場合は、ガス封入工程は実行しない。CPU510は、圧力レベルに到達すると、ガス電磁弁V4を閉じて(OFF状態)、次の工程に移行する。
次に、図14のステップS40では、ガス安定待ち工程が実行される。ガス安定待ち工程では、ガス封入工程に連動し、タイマー540の「コースデータ」に設定されたガス安定待ち時間の間、ウエイトする。
次に、図14のステップS50では、シール工程が実行される。この工程は、シール部を稼働して真空パック袋の袋口を密閉する工程である。CPU510は、シール電磁弁V2を開き(ON状態)、下ヒートブロック4を上昇させて、上ヒートブロック41と下ヒートブロック4の間で真空パック袋の袋口を挟む。上昇の待ち期間は、例えば0.7秒である。下ヒートブロック4の上昇の待ち期間が経過すると、CPU510は、タイマー540の「コースデータ」に設定されたシール時間に従ってシール用ヒーター43にシール電流を通電して、チャンバー2内の下ヒートブロック4に載置される真空パック袋の袋口を密閉する。CPU510は、シール時間経過後にシール用ヒーター43をOFFする。このシール工程中に引出し部3が開けることができないよう、ロックが掛けられている。シール工程中に引出し部3が開けられると、シール用ヒーター43の電極が破損する恐れがあるので、これを防止することができる。なお、シール時間が0秒の場合は、次の工程(シール冷却工程)に移行する。
次に、図14のステップS60では、シール冷却工程(ソフト開放)が実行される。タイマー540の「コースデータ」に設定されたシール冷却時間の設定に従ってシールを冷却する。ソフト開放時間が設定されている場合は、ソフト開放を行う。シール冷却時間およびソフト開放時間が共に「0秒」の場合は、次の工程に移行する。ソフト開放時間が設定されていない場合、CPU510はシール電磁弁V2を開き(ON状態)、タイマー540の「コースデータ」のシール冷却時間の間、ウエイト(シール冷却)する。CPU510はシール冷却時間経過後、シール電磁弁V2を閉じて(OFF状態)、シール冷却を終了する。
ソフト開放時間が設定されている場合、CPU510は、チャンバーに接続されるソフト開放電磁弁V5の速度を緩めて開き(ON状態)、タイマー540の「コースデータ」のソフト開放時間(シール冷却時間より長い時間)の間、ウエイト(シール冷却)する。この冷却中に真空開放電磁弁V3を開いて、チャンバー2内に空気を戻すようにしてもよい。ゆっくりと開放することで真空パック袋内のワークの損傷を防ぐことができる。CPU510は、ソフト開放時間が経過したら、ソフト開放電磁弁V5を閉じて(OFF状態)、シール冷却を終了する。シール冷却時間およびソフト開放時間が共に経過したら、次の工程に移行する。
上述した真空引き工程S20~シール冷却工S60程の間に、引出し開閉スイッチ570がOFFとなった場合は、真空運転を直ちに終了し、待機状態に(次の運転待ち)に戻るようにする。使用者には、報知部550dからブザーでスイッチエラーを通知する。スイッチエラーは、RAM535に記憶されるエラー履歴の対象としない。
次に、図14のステップS70では、工程終了時動作を実行する。工程終了時動作では、チャンバー内を大気に開放して、真空運転を終了する。CPU510は、真空ポンプ6の動作を停止すると共に、チャンバー2内を大気に開放するため、真空開放電磁弁V3と真空電磁弁V1を開く(ON状態)。また、CPU510は、ガス電磁弁V4、シール電磁弁V2、およびソフト開放電磁弁V5を閉じ、シール用ヒーター43の通電を停止する。
次に、第1の実施形態のシール部の他の実施例を説明する。図9では、シール部の下ヒートブロック4を押し上げて包装袋Pの袋口を密閉シールするとしたが、上ヒートブロック41を押し下げて包装袋の袋口を密閉シールしてもよい。
図15(a)(b)は、上ヒートブロック41を押し下げて包装袋Pの袋口を密閉シールする構成を示す図である。チャンバー2内の上面にエアーバッグ41aを設けて、チャンバー2の壁を貫通して大気に通じる口を持ち、真空ポンプ6に接続されるシール電磁弁V3’によって大気との連通を開閉制御する。すなわち、図15(a)に示すように、上ヒートブロック41にエアーバッグ41aと、ばね41bを設けている。エアーバッグ41aの収縮/膨張させるバッグ用電磁弁V3’を設けている。チャンバー2内が大気圧で、バッグ用電磁弁V3’が開いているときは、ばね41bがエアーバッグ41aを収縮させることにより、上ヒートブロック41を押し上げる。一方、図15(b)のように、チャンバー2内を減圧している状態でバッグ用電磁弁V3’を開くと、エアーバッグ41aの中に大気が流入し、エアーバッグ41aが膨張することによって、上ヒートブロック41を下ヒートブロック4に向けて押し下げ、包装袋Pの袋口を密閉シールする。
(第2の実施形態)
図16(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係る真空包装装置を示す図である。
第2の実施形態では、真空ポンプ6を内蔵する第2筐体は無く、減圧装置である真空ポンプ6を本体筐体10の左側前面に配置するように構成している。真空包装装置の内部構成は、第1の実施形態と同じであるので、その説明は省略する。図16では、本体筐体10の左側前面に配置するとしたが、右側前面に配置してもよい。第2の実施形態では、図1の真空包装装置1と比べ横幅が広くなるが、第2筐体や外付け用の長い吸気ホースが無い分、コスト削減が可能である。したがって、横幅に余裕がある厨房などには最適である。
第2の実施形態であっても、真空ポンプ6が本体筐体10の前面に配置されているので、前面カバー(不図示)を取外すことによって、図16(b)のように真空ポンプ6が露出される構成である。よって、図1と同様に、真空ポンプのメンテナンス作業が容易に行うことができる。
また、真空ポンプ6の後ろの本体筐体10の背面との間に、破線で示した主要な真空電磁弁V1、シール電磁弁V2、真空開放電磁弁V3を真空ポンプ6に対し縦配列すれば、奥行きを短くすることができる。これにより、図11と同様に、真空電磁弁V1、シール電磁弁V2、真空開放電磁弁V3のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
(第3の実施形態)
図17および図18は、本発明の第3の実施形態に係るマルチ(図ではツイン)チャンバーの真空包装装置を示す図である。
第3の実施形態では、図1に示した真空包装装置を少なくとも2つ以上配置し、1つの真空ポンプ6を用いて真空包装するものである。図17および図18に示した真空包装装置10A,10Bは、図1に示した真空包装装置10(10A)に、同じ構成の真空包装装置10Bを接続したものである。よって、真空包装装置10A,10Bは、本体筐体内にチャンバー、引出し部、シール部、シリンダー機構、電源装置、および回路基板を少なくとも含むものである。
図17は、2つの真空包装装置10A,10Bを縦配列し、且つ三方弁切替ユニット700を経由して真空ポンプ6と真空包装装置10A,10Bとを吸気ホース710で接続した図である。そして、使用したい真空包装装置10A又は10Bと真空ポンプ6が接続できるように三方弁切替ユニット700によって切替える。したがって、三方弁切替ユニット700の切替え操作によって、真空包装装置10Aと真空包装装置10Bとを切替えて使用できる。このため、一方で真空包装装置が真空運転中であるときに、他方の真空包装装置は待機状態となり、ワークを詰めた真空パック袋を準備してセットすることで、効率よく作業することができる。
2台の真空包装機を1台の真空ポンプで駆動する場合、基本的には両方を同時に動作させないように制御するが、以下のように部分的または全面的に時間を重複して動作させるようにしてもよい。例えば、親機がシール工程を始めたら、子機の真空引き工程を開始するようにしてもよい。また、親機、子機を同時駆動できるようにしてもよい。なお、2つの真空包装装置10A,10Bを縦配列しているが、横配列でもよい。
図18は、2つの真空包装装置10A,10Bを同じく縦配列し、図16の三方弁切替ユニット700を使用しない接続構成である。
図18において、例えば真空包装装置10Aを親機とした場合、真空ポンプ6からの吸気ホース710とポンプ動力線720が親機の真空包装装置10A10Aに接続される。真空包装装置10Aから分岐した分岐吸気ホース730が子機の真空包装装置10Bに接続される。また、親機の真空包装装置10Aと子機の真空包装装置10Bとの間は、信号線740によって接続される。
図18において、最初に親機である真空包装装置10Aが真空運転を開始すると、信号線740を用いて、真空包装装置10Aから真空包装装置10Bに対し動作中を示す信号A(第1信号)を通知する。この信号Aを受けた真空包装装置10Bは待機状態となるため、スタートスイッチを押下しても真空運転は行われず、「予約状態」となる。そして、真空包装装置10Aの真空運転が終了すると、予約状態の真空包装装置10Bが真空運転を開始する。親機がシール工程を始めたら、子機の真空引き工程を開始するようにしてもよい。また、親機、子機を同時駆動できるよういしてもよい。
真空包装装置10Bの真空運転を開始する際、信号線740を用いて、真空包装装置10Bから真空包装装置10Aに対し真空ポンプ6を駆動するための信号B(第2信号)を送信する。真空包装装置10Aは、信号Bを受信すると真空ポンプ6を駆動すると共に、吸気ホース710および分岐吸気ホース730を用いて真空包装装置10Bを減圧する。ここでは、真空包装装置10Aを親機としたが、真空包装装置10Bを親機としてもよい。親機と子機の切り替えは、回路基板にディップスイッチを取付けて、切り替えを行えるようにしてもよい。
第1の実施形態の真空包装装置によれば、減圧装置である真空ポンプ6は、チャンバー2を収容する本体筐体10から分離して、外付けの第二筐体110に収容される。このため、本体筐体10を調理台等に載せやすいサイズにすることができる。特に、真空ポンプ6が無いので、本体筐体10の奥行と高さを小さくできる。したがって、厨房に既に設置されている調理台等に載せやすくなる。また、食料品や飲料水を取り扱うチャンバー2からオイルを使用する真空ポンプ6を分離したので、衛生面の向上が図られる。
また、真空包装装置1は、スライド式にして引出し部3をチャンバー2に出し入れする機構となっているので、真空包装装置1の天板11の上面に調理器具を置くことができ、厨房内での作業性も向上する他、景観もよくなる。
また、真空包装装置1は、制御装置を内蔵する回路基板55を覆う防液壁52を備えているので、包装袋の袋口から吹き出して、チャンバー2の開口からこぼれ落ちた流体物から回路基板55を保護できる。したがって、回路基板55に実装される電気系の不具合等を防止できる。
チャンバー2の底面と本体筐体10の底面との間に形成される空間において、電源装置56が一対のシリンダー機構7の間で、且つ引出し方向(前後方向)に沿って配置されているので、空間を有効に使って小型化されている。さらに、電源装置56は、裏面に回路基板を取付けた前板12に連結されているので、前面側に引き出し可能である。このため、回路基板55や電源装置56のメンテナンス性が向上する。
また、本体筐体10において、主要な電磁弁V1~V3がチャンバー2の後方で、且つ幅方向(引出し方向に直交する方向)に沿って直線上に配置される。このため、天板11を取り外すだけで、複数の電磁弁V1~V3が露出する。このため、複数の電磁弁V1~V3の交換を含むメンテナンス性が向上する。
また、真空包装装置1は、少ないスイッチで、真空引き工程~シール冷却工程を制御することができ、操作性がよい。また、連続運転モードでは大量の包装袋Pを効率よく真空包装することができる。
支持ロッド44の接触部の面積、又はピストンロッド73の接触部の面積の一方を広くすることで、ピストンロッド73と支持ロッド44が一直線上に位置する範囲を広く設定することができるため、扉部15を閉じたときの位置ずれが吸収できる。また、ピストンロッド73と支持ロッド44の電気的に接続を確実に確保できる。
スライドレール32は、引張ばね33を内蔵して、引出し部3に連結された扉部15をチャンバー2の開口縁に向けて付勢する。このため、チャンバー2の開口縁に配置したシール材21と扉部15が密着して、チャンバー2を良好に密閉できる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態のいずれであっても、天板の利用を可能とする他、真空ポンプのメンテナンスが容易に行うことができる。また、第3の実施形態では、真空包装装置を増設したい場合、1つの真空ポンプでマルチ(ツイン)チャンバー構造を廉価に構築できる。
なお、真空包装装置1は、包装袋Pの膨張状態を検出するセンサー及び温度を検出するセンサーを設けて温かい内容物でも真空包装できる構成にしてもよい。
また、上述の実施形態では、加熱溶着により封止する包装袋Pを用いたが、他の例として、ジッパー式の包装袋又はクリップ式の包装袋を用いるようにしてもよい。ジッパー式の包装袋を用いる場合、ジッパーの部分を下ヒートブロック4と上ヒートブロック41とで挟持することによって、ジッパーの凸部と凹部を嵌合させて封止する。この場合、制御装置は、ピストンロッド73に電力を給電してシール用ヒーター43を発熱させる工程を省略するように制御する。さらに、使用者が操作・表示部16で包装袋の種類を加熱溶着式又はジッパー式であるか選択(すなわち、加熱の有無を選択)できるようにするのが好ましい。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。