以下、この発明による電子ペン及び位置検出装置のいくつかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、この発明による電子ペン及び位置検出装置の第1の実施形態を含む情報処理システムの概要を示す図である。この図1を参照して、この例の情報処理システムの構成の概要を説明する。
図1に示すように、この例の情報処理システムは、電子ペン1と、この電子ペン1による指示入力を受け付ける位置検出装置を備えるタブレット端末2と、タブレット端末2と無線接続するパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)3と、パソコン3と通信ネットワーク4を通じて接続されるサーバ装置5と、電子タグ発信器6とからなる。
電子タグ発信器6は、通信可能範囲が例えば10メートル程度の近距離無線通信規格、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信手段を備え、固有の識別情報、例えばUUID(Universal Unique Identification)と呼ばれる識別情報を含むタグ情報を無線送出する。なお、この明細書における電子タグ発信器6は、いわゆるビーコン(iビーコン)端末に相当するものと同様のものである。
情報処理システムは、図1の例のように、1個の電子タグ発信器6のみを備えるように構成してもよいが、この第1の実施形態の情報処理システムにおいては、互いに異なる固有の識別情報を、それぞれのタグ情報として送出する複数個の電子タグ発信器6を含むように構成されている。なお、この第1の実施形態では、複数個の電子タグ発信器6のそれぞれは、互いの無線通信範囲が重ならない別々の設置場所に置かれる。
サーバ装置5には、複数個の電子タグ発信器6のそれぞれのタグ情報(固有の識別情報)に対応付けられて、パソコン3における処理で用いられる所定の情報が予め記憶されている。
この第1の実施形態では、電子ペン1とタブレット端末2とパソコン3とにより情報処理装置7が構成され、タブレット端末2は、情報処理装置7の位置検出装置部を構成し、パソコン3は、処理装置部を構成し、電子ペン1は電子タグ発信器6からのタグ情報を受信する機能を備える。
すなわち、この第1の実施形態においては、電子ペン1は、電子タグ発信器6からのタグ情報を受信するように、ブルートゥース(登録商標)規格の無線通信手段を備える。そして、この実施形態では、電子ペン1は、タブレット端末2のセンサ部に対しては、電磁誘導授受方式(EMR(Electro-Magnetic Resonance)方式)により位置検出用信号を送信する。タブレット端末2は、センサ部上における電子ペンからの位置検出用信号を受信した座標位置として、電子ペン1により指示された位置を検出するようにする。
また、この実施形態の電子ペン1は、自身の識別情報の記憶部を備え、その記憶部に記憶されている自電子ペンの識別情報(以下、ペンIDという)を、位置検出用信号の付加情報として、タブレット端末2の位置検出装置のセンサ部に送信する。
サーバ装置5には、電子ペン1のペンIDに対応付けられて、パソコン3における処理で用いられる所定の情報が予め記憶されている。
そして、この第1の実施形態においては、電子タグ発信器6からのタグ情報を受信することができる場所において、電子ペン1によりタブレット端末2に対して指示入力操作がなされたときには、電子ペン1は電子タグ発信器6から受信したタグ情報を、位置検出用信号の付加情報として、ペンIDと共に、タブレット端末2に、センサ部を通じて送信する。
タブレット端末2は、センサ部で電磁誘導結合方式により電子ペン1からの位置検出用信号を受信し、その受信したセンサ部上の座標位置を検出することにより、電子ペン1による指示位置を検出する。そして、タブレット端末2は、その検出結果の電子ペン1の指示位置の情報を、受信したペンIDと対応付けて記憶部に記憶(一時記憶を含む)する。そして、タブレット端末2は、その記憶した電子ペン1による指示位置の情報及びペンIDをパソコン3に送る。
また、タブレット端末2は、電子ペン1から位置検出用信号と共に、付加情報としてタグ情報及びペンIDが送信されてくる場合には、位置検出用信号に基づいて検出した電子ペンによる指示位置の情報と、タグ情報と、ペンIDとを対応付けて記憶(一時記憶を含む)する。そして、この場合には、タブレット端末2は、記憶部に記憶した電子ペン1による指示位置の情報と、タグ情報と、ペンIDとを、パソコン3に送信するようにする。
この場合に、タブレット端末2は、電子ペン1による指示位置の情報及びペンID、または電子ペン1による指示位置の情報、タグ情報及びペンIDを、記憶部に記憶することなく、リアルタイムでパソコン3に送信するようにしてもよいし、記憶部に記憶した後、事後的な使用者の操作などに基づいて、パソコン3に送信するようにしてもよい。そして、取得した情報を用いて、電子ペンによる指示位置の情報についての処理、例えば表示処理をする。
パソコン3は、タブレット端末2から電子ペン1による指示位置の情報に加えて、ペンIDを受信したときには、その受信したペンIDを含む情報提供要求を通信ネットワーク4を通じてサーバ装置5に送り、ペンIDに対応付けて記憶されている情報をサーバ装置5から取得する。
また、パソコン3は、タブレット端末2から電子ペン1による指示位置の情報に加えて、ペンID及びタグ情報を受信したときには、その受信したペンID及びタグ情報を含む情報提供要求を通信ネットワーク4を通じてサーバ装置5に送り、ペンIDに対応付けて記憶されている情報と、タグ情報に対応付けて記憶されている情報とをサーバ装置5から取得する。そして、取得した情報を用いて、電子ペンによる指示位置の情報についての処理、例えば表示処理をする。
情報処理装置7は、上記のように、電子ペン1とタブレット端末2とパソコン3とにより構成されるが、特定の電子ペン1と、特定のタブレット端末2と、特定のパソコン3とにより固定的に組み合わされるものではなく、それぞれ任意の電子ペン1、任意のタブレット端末2及び任意のパソコン3の組み合わせとすることができる。したがって、同じ電子ペン1が、複数の情報処理装置7で共通に使用されていてもよい。同様に、同じタブレット端末2やパソコン3が、複数の情報処理装置7で共通に使用されていてもよい。図1では、情報処理装置は1組のみが示されているが、複数組が、電子タグ発信器6や通信ネットワーク4を通じたサーバ装置5と通信手段を介して接続されるようにされていても勿論よい。
通信ネットワーク4は、インターネットや携帯電話網を含む公衆網を含むもので構成することができる。また、通信ネットワーク4は、Wi-Fi(Wireless Fidelity)を用いる無線LANであってもよい。また、通信ネットワーク4は、パソコン3とサーバ装置5との間を有線で接続するLANの構成であってもよい。
[情報処理システムの具体的使用例]
次に、以上概要を説明した、この発明による電子ペン及び位置検出装置の第1の実施形態を含む情報処理システムについて、具体的な使用例と共に、各部の構成及び動作について更に説明する。
図2は、この実施形態の情報処理システムを、病院の入院患者についての回診記録に適用した場合の概要を説明するための図である。また、図3~図6は、この例の情報処理システムを構成する各部を説明するために用いる図である。
この例においては、図2(A)に示すように、患者11A,11B,11C,11D,11E,11F・・のそれぞれは、個室の病室12A,12B,12C,12D,12E,12F・・のそれぞれに入院しているものとしている。そして、各病室12A,12B,12C,12D,12E,12F・・には、互いに異なる固有の識別情報からなるタグ情報TGA,TGB,TGC,TGD,TGE,TGF,・・を送出する電子タグ発信器6A,6B,6C,6D,6E,6F・・が設置してある。ここで、電子タグ発信器6A,6B,6C,6D,6E,6F・・は、電子タグ発信器6が複数個である場合であって、そのそれぞれを区別するためにサフィックスA,B,C,D,E,F,・・を付加したものである。なお、電子タグ発信器6A,6B,6C,6D,6E,6F・・のそれぞれは、それが設置されている病室内でのみ、電子ペン1Aと無線通信可能とされており、電子ペン1Aが他の病室に存在するときには、無線通信が不可となっている。
そして、この例においては、医師13は、自分用の電子ペン1とタブレット端末2を持って、各病室12A,12B,12C,12D,12E,12F・・を回って、患者11A,11B,11C,11D,11E,11F・・のそれぞれの回診を行い、タブレット端末2に対して、電子ペン1により、その場で所見を記入する。
なお、回診を担当する医師13が複数人の場合には、電子ペン1は、回診を担当する複数の医師13のそれぞれに対応した異なるものを使用する。また、タブレット端末2は、この第1の実施形態では、複数の医師に共通の1個としてもよいし、回診を担当する複数の医師13のそれぞれに対応した異なるものであってもよい。
この実施形態のタブレット端末2は、図4及び図5を用いて後述するように、表示画面を備えず、その代わりに、記録用紙14をセンサ部の入力面に対応する面上に載置してそれを紙挟み部で係止することができるようにされている。記録用紙14は、例えばA4サイズの大きさとされている。
そして、電子ペン1は、ボールペン機能付の電子ペンであって、タブレット端末2のセンサ部の上に載置されている記録用紙14にボールペンインクによる筆記が可能である。そして、タブレット端末2は、電子ペン1によりセンサ部の上に載置されている記録用紙14への筆記入力があった時には、その筆記入力の軌跡を、位置検出機能部により検出するように構成されている。すなわち、この例のタブレット端末2は、記録用紙14に筆記入力されたときの当該筆記入力の軌跡を電子データ(電子ペン1による指示位置の情報)として保持することができる。
この場合に、この例では、記録用紙14には、予め所定の記入欄が定められた文書フォーマットが予め印刷等されている。例えば、記録用紙14には、図3に示すように、回診記録の記入欄として、患者の感想や意見等の記入欄141と、医師の所見用の記入欄142とからなる文書フォーマットが、予め印刷等されている。そして、タブレット端末2においては、後述するように、記録用紙14が、予め定まった位置で紙挟みにより固定されるように構成されている。
したがって、印刷されている文書フォーマットにおける各記入欄は、タブレット端末2のセンサ部の座標位置範囲と対応付けることが可能である。すなわち、図3の例の場合には、患者の感想や意見等の記入欄141は、位置座標(Xa,Ya)で示される座標位置P1と、位置座標(Xb,Yb)で示される座標位置P2とで特定される矩形範囲の領域となる。また、医師の所見用の記入欄142は、位置座標(Xc,Yc)で示される座標位置P1と、位置座標(Xd,Yd)で示される座標位置P2とで特定される矩形範囲の領域となる。
この図3の例の記録用紙14を用いる場合には、医師13は、各病室12A~12F・・において、患者11A~11F・・の感想や意見を聴取して、その聴取した内容を、タブレット端末2に装着した記録用紙14の患者の感想や意見等の記入欄141に電子ペン1により筆記入力すると共に、タブレット端末2のセンサ部に対して位置指示入力する。患者11A~11F・・自身がタブレット端末2に装着した記録用紙14の患者の感想や意見等の記入欄141に、医師13から渡された電子ペン1により筆記入力すると共に、タブレット端末2のセンサ部に対して位置指示入力するようにしてもよい。
また、医師13は、各病室12A~12F・・において、患者11A~11F・・のそれぞれについて、所見をタブレット端末2に装着した記録用紙14の医師の所見の記入欄142に電子ペン1により筆記入力すると共に、タブレット端末2のセンサ部に対して位置指示入力する。
なお、図3は、記録用紙14に印刷される文書フォーマットの一例であり、病棟ごとや、内科、外科、小児科などの診療科ごとに、また、患者の疾病ごとに異なる文書フォーマットを用意することもできる。
各病室12A~12F・・には、電子タグ発信器6A~6F・・が設置されている。したがって、電子ペン1は、医師13がその時に訪問している病室に設置されている電子タグ発信器からのタグ情報を受信する。そして、電子ペン1は、その受信したタグ情報を、位置検出用信号についての付加情報としてタブレット端末2に送信する。タブレット端末2は、その受信した付加情報と対応付けて、位置検出用信号に基づいて検出した電子ペン1による指示位置の情報を記憶する。
例えば、図2(B)に示すように、医師13がその時に訪問している病室が病室12Aであれば、電子ペン1は、その病室12Aに設置されている電子タグ発信器6Aからのタグ情報TGAを受信する。したがって、電子ペン1は、当該病室12Aにおいては、タブレット端末2に対して、位置検出用信号と、その付加情報として、ペンIDとタグ情報TGAとを送出する。このため、タブレット端末2は、位置検出用信号に基づいて検出した電子ペン1による指示位置の情報を、電子ペン1のペンIDとタグ情報TGAとに対応付けて記憶する。
全ての病室12A~12F・・の回診を終了した医師13は、例えば自分用のパソコン3に、あるいは、回診情報の収集用の共通のパソコン3に、タブレット端末2を有線接続あるいは無線接続して、記憶している電子ペン1による指示位置の情報と、これに対応付けられている電子ペン1のペンID及びタグ情報、例えばタグ情報TGAとを、パソコン3に転送する。なお、電子ペン1のボールペン機能により筆記がなされた記録用紙14は、各患者に手渡してもよいし、病院側で保存しておくようにしてもよい。
パソコン3は、タブレット端末2から電子ペン1による指示位置の情報と、これに対応付けられている電子ペン1のペンID及びタグ情報、例えばタグ情報TGAとを受信したときには、ぺんIDと、タグ情報TGAとを含む情報提供要求を、通信ネットワーク4を通じてサーバ装置5に送る。そして、パソコン3は、サーバ装置5から、送信した情報提供要求に対する返信として、ペンID及びタグ情報に対応した所定の情報を取得するようにする。
図4及び図5に、サーバ装置5に記憶されている情報の例について説明する。すなわち、この例では、サーバ装置5には、ペンID対応情報記憶部と、タグ情報対応情報記憶部とが設けられている。そして、ペンID対応情報記憶部には、図4に示すように、ペンIDと、医師名との対応情報が予め記憶されている。また、タグ情報対応情報記憶部には、図5に示すように、電子タグ発信器6A,6B,6C,6D,6E,6F・・のそれぞれからのタグ情報TGA,TGB,TGC,TGD,TGE,TGF,・・のそれぞれに対応する所定の情報が予め記憶されている。
すなわち、例えば病院の管理者は、パソコン3を用いて通信ネットワーク4を通じてサーバ装置5にアクセスし、ペンIDの登録用アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションプログラムをアプリと略称する)を立ち上げて、各医師用の電子ペン1AのペンIDと、当該医師の氏名とを対応付けて、サーバ装置5に登録する。サーバ装置5は、登録されたペンIDと氏名とを図4に示すように対応付けて、ペンID対応情報記憶部に記憶する。そして、病院の管理者は、ペンIDをサーバ装置5に登録した電子ペン1のそれぞれを、対応する登録した各医師に配布する。
また、病院の管理者は、パソコン3を用いて通信ネットワーク4を通じてサーバ装置5にアクセスし、タグ情報対応情報の登録用アプリを立ち上げて、電子タグ発信器6A,6B,6C,6D,6E,6F・・のそれぞれからのタグ情報TGA,TGB,TGC,TGD,TGE,TGF,・・のそれぞれと、それらに対応してそれぞれ登録すべき所定の情報をサーバ装置5に予め登録する。サーバ装置5は、登録されたタグ情報TGA,TGB,TGC,TGD,TGE,TGF,・・のそれぞれと、対応する所定の情報とを図5に示すように対応付けて、タグ情報対応情報記憶部に記憶する。
図5の例においては、登録されたタグ情報TGA,TGB,TGC,TGD,TGE,TGF,・・のそれぞれと対応する所定の情報の例として、「病室番号(No.)」、「患者名」、「疾病名」、の他、記録用紙14の文書フォーマットの記入欄に対するタブレット端末2のセンサ部での領域範囲を特定する座標情報などが登録されて記憶されている。図5の例では、記録用紙14の文書フォーマットの記入欄として、患者の感想・意見等の記入欄と、医師の所見の記入欄とが登録されており、それぞれの記入欄について、タブレット端末2のセンサ部での領域を特定する座標情報として、((Xa,Ya)、(Xb,Yb)(図3参照))や、((Xc,Yc)、(Xd,Yd)(図3参照))が登録されている。
サーバ装置5は、パソコン3からの情報提供要求を受け取ったときには、以上のような記憶情報を用いて提供情報を生成してパソコン3に返信する。すなわち、パソコン3からの情報提供要求にペンIDが含まれている場合には、サーバ装置5は、ペンID対応情報記憶部(図4参照)から、受信したペンIDに対応する医師名の情報を読み出して、それを提供情報としてパソコン3に返信する。また、パソコン3からの情報提供要求にタグ情報が含まれている場合には、サーバ装置5は、タグ情報対応情報記憶部(図5参照)から、受信したタグ情報に対応して登録されている情報を読み出して、提供情報としてパソコン3に返信する。
この実施形態では、パソコン3は、タブレット端末2から受け取った電子ペン1による指示位置の情報を、サーバ装置5から受け取った上記の所定の情報を用いて処理する。この実施形態では、パソコン3は、タブレット端末2から受け取った電子ペン1による指示位置の情報と、サーバ装置5から受け取った上記の所定の情報とを用いて表示情報を生成し、生成した表示情報を、パソコン3のディスプレイの表示画面に表示する。図6に、この例の場合のパソコン3のディスプレイの表示画面の表示例を示す。
すなわち、この例においては、図6に示すように、医師が回診によりタブレット端末2において記入した記入情報を、各患者の病室に設置した電子タグ発信器6からのタグ情報をサーバ装置5に送ることで、当該タグ情報に紐付けられた各病室の患者名、疾病名などと対応付けてパソコン3のディスプレイの表示画面で表示させることができる。そして、この例の場合には、回診を実行した医師名も、電子ペン1のペンIDに基づいてサーバ装置5から取得して表示することができ、便利である。
なお、患者の感想・意見等や医師の所見は、記録用紙14に記入された文字をそのまま表示画像してもよいし、記入された文字を文字認識してテキストデータとし、そのテキストデータの表示画像として表示するようにしてもよい。
以上のようにして、この第1の実施形態の電子ペン1及びタブレット端末2を含む情報処理システムにおいては、固有の識別情報をタグ情報として送出する電子タグ発信器6を用意すると共に、電子ペン1に電子タグ発信器6からのタグ情報の受信機能を設ける。そして、電子ペン1は、電子タグ発信器6からのタグ情報を受信したときには、その受信したタグ情報を、位置検出装置を構成するタブレット端末2に、位置検出用信号の付加情報として、送信するようにする。タブレット端末2は、電子ペン1による指示位置の情報を位置検出用信号に基づいて検出し、その検出した電子ペン1による指示位置の情報と、タグ情報とを対応付けて記憶(一時記憶を含む)する。
電子タグ発信器6は、任意の場所に、任意の時点で、任意の目的や用途などの場合に応じて設置して、電子ペン1に対して、固有の識別情報であるタグ情報を送出することができる。すなわち、電子タグ発信器6は、T(Time;時)、P(Place;場所)、O(Occasion;場合)に応じて設置することができる。タブレット端末2には、検出された電子ペン1による指示位置の情報と、タグ情報とが対応付けられて記憶される。したがって、タグ情報を参照情報として、当該タグ情報に紐づけられている情報を取得するでき、その取得した情報を用いることで、電子ペン1による指示位置の情報について、T,P,Oに応じた処理をすることが可能になる。
上述の実施形態では、サーバ装置5に、タグ情報に対応付けて、電子ペン1による指示位置の情報の処理に用いる所定の情報として、電子タグ発信器6の設置時間(T),設置場所(P),設置目的や用途(O)に応じた情報を記憶しておく。そして、電子ペン1による指示位置の情報を処理する情報処理装置が、タグ情報に紐付けてサーバ装置5から前記所定の情報を取得するようにすれば、電子ペン1による指示位置の情報について、T,P,Oに応じた処理を容易に実行することできる。すなわち、サーバ装置5に、タグ情報に対応付けて、電子タグ発信器の設置場所、設置時間、設置目的のそれぞれに関連する情報を記憶しておき、その記憶している情報を、タグ情報に基づいて取得するようにすることで、情報処理装置は、電子ペン1による指示位置の情報について、T,P,Oに応じた処理を容易に実行することできる。この場合に、電子タグ発信器6の設置場所の絶対位置の情報は登録する必要がないというメリットがある。
また、上述の実施形態においては、サーバ装置5に電子ペン1のペンIDに対応付けて所定の情報を記憶しておくことで、情報処理装置は、ペンIDにも紐付けられた前記所定の情報を用いて、電子ペン1による指示位置の情報について処理をすることできるという効果もある。
[情報処理システムの各部の詳細構成例]
図7及び図8は、この第1の実施形態におけるタブレット端末2の機械的なハードウエア構成例を示す図である。
[タブレット端末2の外観と基本的な構成]
図7は、この第1の実施形態におけるタブレット端末2の外観を説明するための図である。図7に示すように、この実施形態のタブレット端末2は、電子ペン1による指示入力面21Sの上端部に記録用紙14を挟持してタブレット端末2の指示入力面21S上に固定する紙挟み部21Xを備え、バインダーなどと呼ばれて広く利用されている文房具と同様の外観を有する。
この実施形態においてタブレット端末2の内部には、電磁誘導授受方式の位置検出装置部20が搭載されることにより、電子バインダーの構成とされている。タブレット端末2に対しては、電子ペン1によって、座標データの入力を行うことができる。電子ペン1は、タブレット端末2の内部に搭載される位置検出装置部20と協働することにより、位置検出装置部20で受信可能な位置検出用信号を繰り返し送信する機能(座標指示機能)を有する。また、電子ペン1は、インクが充填された芯体1Sと、当該芯体1Sの端部に設けられたチップ部(ペン先)1Tとを有することにより記録用紙14に筆跡を残すことができる機能(ボールペン機能)をも有する。
電子ペン1は、この実施形態では、前述したように、電磁誘導授受方式でタブレット端末2のセンサ部と信号を授受することで、その指示位置をタブレット端末2の位置検出装置部で検出させるようにする。この実施形態の電子ペン1の機械的な構成は、芯体がボールペン機能を有する点を除けば、公知の電磁誘導授受方式の電子ペンの構成を用いることができるので、ここでは、その機械的な構成については図示を省略する。
図7に示したように、タブレット端末2上に紙挟み部21Xによって固定された記録用紙14に対して、電子ペン1のボールペン機能を用いて文字や記号を筆記したり、描画したりすることができる。このとき、同時に、電子ペン1の座標指示機能によって電子ペン1から位置検出装置部20に向けて送信された信号により、記録用紙14上に形成された筆跡に対応する指示位置の情報としての座標データが位置検出装置部20により検出されて電子データとして記憶部に蓄積される。
そして、タブレット端末2の記憶部に蓄積された座標データ(筆跡データ)は、詳しくは後述するが、タブレット端末2の内部に搭載されたコントローラ及び送信アンテナATを通じてパソコン3に無線送信できるようにしている。したがって、記録用紙14に筆記された情報を、別途、イメージリーダなどにより電子データとして取り込むといった手間をかけることなく、記録用紙14に筆記された情報をリアルタイムに座標データ(筆跡データ)として取り込んで利用することができる。
また、タブレット端末2の指示入力面21Sの左側端部には、操作ボタン211及びLED(Light Emitting Diode)212、213が設けられている。操作ボタン211は使用者からの操作入力を受け付けるものであり、LED212、213は、タブレット端末2の動作状態などを使用者に通知するものである。操作ボタン211は、例えば、電源のオン/オフや取り込んだ電子ペン1による指示位置の情報としての座標データ及び付加情報(筆圧情報やタグ情報)の送信を行う場合などに操作される操作子である。
[タブレット端末2の基本構造]
図8は、タブレット端末2の機械的なハードウエア構成例を説明するための分解構成図である。図8に示すように、タブレット端末2は、大きく分けると指示入力面21S側を上側として、上から順番に、上部カバー(上板)21と、電子ペン1による指示位置検出のためのセンサ部22と、シールドシート23と、センサカバー24とを備える。最下部に位置するセンサカバー24は、合成樹脂や金属などにより形成され、上面は開口部となっている薄い箱型に構成され、このセンサカバー24内にシールドシート23とセンサ部22とが収納される。
シールドシート23は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛、酸化錫などにより形成された導電性シートに磁性材料で構成される電磁シートが張り合わされているもので、センサ部22への不要な信号の混入を防止すると共に、センサ部22から発生する磁束の漏れをなくす役割をする。シールドシート23は、センサ部22の指示入力面21S側とは反対側の面の全面を覆うように設けられる。
センサ部22の構成の詳細については後述するが、電子ペン1に対して信号を送信したり、電子ペン1からの信号を受信したりする多数の線状の導体(ループコイル)を備えて構成されている。
上部カバー21は、電子ペン2から送信された信号(電波)を透過させる素材、例えば合成樹脂、ガラスやセラミックなどにより形成される。この上部カバー21の外部に露呈する面側が、指示入力面21Sとなる。
上部カバー21の指示入力面21Sの上端部には、図7にも示したように、例えば金属などにより形成された紙挟み部21Xが設けられ、記録用紙14を上部カバー21上(タブレット端末2上)に保持できるようにしている。上部カバー21は、センサ部22を覆って保護すると共に、記録用紙14が載置される上板として機能するものである。
上部カバー21の指示入力面21Sには、図8に示すように、記録用紙14の位置決め用の目印として、センサ部22の指示入力領域に対応する領域を示す枠部21FLが形成されている。この枠部21FLは、枠線が印刷により形成されたものであってもよいし、突部あるいは凹部で形成されていてもよい。記録用紙14は、図8に示すように、複数枚が束ねられて所定の厚さを有する状態で、上部カバー21の紙挟み部21Xにより挟持されて保持されることが可能である。そして、電子ペン1は電磁誘導結合方式であるので、所定の厚さの複数枚の記録用紙14が存在しても、センサ部22との間で、電磁波のやり取りが可能である。
さらに、図8において、シールドシート23と共に示したように、シールドシート23を挟んでセンサ部22と対向するように、座標データ形成部201とコントローラ202とが設けられる。座標データ形成部201は、センサ部22からの出力に基づいて座標データを形成するものである。コントローラ202は、主に、座標データ形成部201で形成された座標データを記憶部に蓄積したり、この蓄積した座標データをパソコン3などの外部の電子機器に対して送信したりする制御機能を実現する。
また、コントローラ202は無線通信部を含み、その無線通信部に対して送信アンテナATが設けられている。この送信アンテナATは、パソコン3などの外部の電子機器に対して座標データなどを適切に送信できるように、シールドシート23によって覆われる領域の外に設けられる。
また、コントローラ202には、前述した操作ボタン211やLED212、213が設けられるユーザインターフェース部(以下、ユーザI/F部と記載する。)203が接続されている。この場合に、操作ボタン211やLED212,213が設けられるユーザI/F部203は、使用者が操作可能なように、シールドシート23の外縁から突出するように設けられて、操作ボタン211やLED212,213がシールドシート23により覆われることがないようにされている。
そして、この実施形態のタブレット端末2は、図7に示すように、上部カバー21の上面である指示入力面21Sに、記録用紙14を、枠部21FLを目印として位置決めして載置すると共に、紙挟み部21Xで固定し、この記録用紙14に対して電子ペン1を用いて筆記するようにして用いられる。
<電子ペン1及びタブレット端末2並びに電子タグ発信器6の電子回路構成例>
図9は、この第1の実施形態の電子ペン1の等価回路と、この電子ペン1と電磁誘導授受方式により位置検出及び筆圧検出を行うタブレット端末2の位置検出装置部20の回路構成例と、電子タグ発信器6の回路構成例を示す図である。
この図9の例のタブレット端末2の位置検出装置部20は、前述したように、センサ部22と座標データ形成部201とコントローラ202を備えている。センサ部22においては、X軸方向ループコイル群221と、Y軸方向ループコイル群222とが積層されて形成されていると共に、2つのループコイル群221,222のうちの一のループコイルを順次選択する選択回路223が設けられている。
電子ペン1は、IC100で構成される信号制御回路を備えていると共に、このIC100を駆動するための駆動電圧を、タブレット端末2の位置検出装置部20のセンサ部22に備えられた励磁コイル224から送信された励磁信号から取得するように構成されている。なお、図9では、一例として、センサ部22のループコイル群221,222は電子ペン1からの電磁結合信号の受信にのみ用いられるものとして説明するが、電子ペン1との間で電磁結合することで、励磁コイル224に代えて電子ペン1に備えられた信号制御回路を駆動することを排除するものではない。また、電子ペン1に備えられた信号制御回路に対して所定の制御データなどの信号を送信することを排除するものでもない。
この図9の例の位置検出装置部20のセンサ部22においては、X軸方向ループコイル群221と、Y軸方向ループコイル群222とを取り囲むようにして、励磁コイル224が配設されている。図9においては、励磁コイル224は、2ターンとなっているが、実際的には、より多くのターン数、例えば8~10ターンとされている。図9に示すように、励磁コイル224は、ドライブ回路2012に接続され、ドライブ回路2012は、周波数foで発振する発振回路2011に接続されている。
ドライブ回路2012は、マイクロコンピュータで構成される処理制御部2010により制御される。処理制御部2010は、ドライブ回路2012を制御して、発振回路2011からの周波数foの発振信号の、励磁コイル224への供給を制御して、励磁コイル224からの電子ペン1への信号送信を制御する。
選択回路223は、処理制御部2010により選択制御されて一つのループコイルを選択する。この選択回路223により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、受信アンプ2013にて増幅され、バンドパスフィルタ2014に供給され、周波数foの成分のみが抽出される。バンドパスフィルタ2014は、その抽出した成分を検波回路2015に供給する。
検波回路2015は、周波数foの成分を検出し、その検出した周波数foの成分に応じた直流信号をサンプルホールド回路2016に供給する。サンプルホールド回路2016は、検波回路2015の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D変換回路2017へ送出する。A/D変換回路2017は、サンプルホールド回路2016のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部2010に出力する。処理制御部2010は、前記所定のタイミングの信号をサンプルホールド回路2016に供給する。
そして、処理制御部2010は、A/D変換回路2017からのデジタル信号が所定のスレッショールド値を超えた値であるか否かを判定して、選択回路223で選択されているループコイルが電子ペン1で位置指示された位置のループコイルであるか否かを判定し、その判定に基づいて電子ペン1による指示位置を検出する。
処理制御部2010は、また、後述するように、電子ペン1による指示位置の検出とは別に、電子ペン1からの信号の断続を、数ビットのデジタル信号として検出して、筆圧を検出すると共に、電子タグ発信器6からのタグ情報を検出するようにする。そして、処理制御部2010は、検出した電子ペンによる指示位置の情報と、検出した筆圧の情報と、検出したタグ情報とを、対応付けてコントローラ202に供給する。
コントローラ202は、受け取った電子ペンによる指示位置の情報と、筆圧の情報と、タグ情報とを、対応付けて記憶部2021に記憶する。なお、コントローラ202は、図示は省略するが、カレンダー機能付の時計部を備え、記憶部2021に記憶する情報に対応付けて、当該記憶時点の年月日時分秒の情報も記憶する。
そして、コントローラ202は、ユーザI/F部203を通じた使用者によるサーバ装置5への送信指示を受けたときには、記憶部2021からタグ情報を読み出して、その読み出したタグ情報を含めた情報提供要求を無線通信部2022から通信ネットワーク4を通じてサーバ装置5に送信するようにする。
電子ペン1の回路構成は、図9において点線で囲んで示すようなものとなっている。すなわち、インダクタンス素子としてのコイル101に並列にコンデンサ102が接続されて、共振回路103が構成される。そして、この共振回路103に並列に、スイッチ104が接続されている。このスイッチ104は、IC100によりオン・オフ制御されるように構成されている。このスイッチ104がオフのときには、共振回路103によるセンサ部22からの信号に対する共振動作がなされる。しかし、スイッチ104がオンのときには、コイル101に並列に接続されているコンデンサ102が短絡されて、共振回路103によるセンサ部22からの信号に対する共振動作がオフとなる。
そして、IC100は、共振回路103にてタブレット端末2の位置検出装置部20のセンサ部22から電磁誘導により受信した交流信号を、ダイオード105及びコンデンサ106からなる整流回路(電源供給回路)107にて整流して得られる電源電圧Vccにより動作するように構成されている。IC100は、共振回路103とはコンデンサ108を介して接続されており、共振回路103の動作状況をモニターしている。IC100は、共振回路103の動作状況をモニターすることで、センサ部22の励磁コイル224との電磁結合状況、あるいは、この例では説明を省略するが、2つのループコイル群221,222を使用して位置検出装置部20のセンサ部22から送信された制御データなどの信号を検出し、所望の動作制御を行うことができるようになっている。
この実施形態の電子ペン1は、芯体1Sに印加される筆圧を、例えば、容量可変コンデンサの静電容量Cvとして検出する感圧素子からなる筆圧検出手段を備えている。IC100には、図9に示すように、この容量可変コンデンサが接続されており、IC100は筆圧に応じた静電容量Cvを検出することができるように構成されている。IC100は、静電容量Cvの値から電子ペン1における筆圧を検出する。そして、IC100は、検出した筆圧を、例えば8ビットのデジタル信号に変換し、その筆圧に対応するデジタル信号により、スイッチ104を制御することにより、筆圧の情報を付加情報としてタブレット端末2の位置検出装置部20に送信する。
また、この実施形態の電子ペン1は、図9に示すように、電子タグ発信器6からのタグ情報を受信することができるように、ブルートゥース(登録商標)規格の無線通信部109を備えている。この無線通信部109は、整流回路107から得られる電源電圧Vccにより動作し、受信したタグ情報は、IC100に供給するように構成されている。そして、IC100は、受け取ったタグ情報(デジタル信号)によっても、スイッチ104を制御することにより、タグ情報を付加情報としてタブレット端末2の位置検出装置部20に送信する。
電子タグ発信器6は、制御部60と、固有の識別情報を記憶するメモリ61と、ブルートゥース(登録商標)規格の無線通信部62とからなる。制御部60は、電子タグ発信器6に電源が投入されているときには、メモリ61に記憶されている固有の識別情報を読み出してそれをタグ情報として、無線通信部62から繰り返し送出するようにする。
以上のように構成された電子ペン1及びタブレット端末2の位置検出装置部20の位置検出動作及び筆圧情報やタグ情報の検出動作について説明する。
処理制御部2010は、先ず、ドライブ回路2012を駆動して励磁コイル224から、所定時間、信号を電子ペン1に送信する。次に、処理制御部2010は、選択回路223をX軸方向ループコイル群221のうちの一つのループコイルを順次に選択して、バースト状信号を電子ペン1に送信する。電子ペン1は、そのバースト状信号を共振回路103で受信し、タブレット端末2の位置検出装置部20のセンサ部22に帰還するようにする。処理制御部2010は、その帰還されたバースト状信号を位置検出用信号として検出することで、電子ペン1により指示された位置のX座標値を求める。
次に、処理制御部2010は、ドライブ回路2012を駆動して励磁コイル224から、所定時間、信号を電子ペン1に送信する。次に、処理制御部2010は、選択回路223をY軸方向ループコイル群222のうちの一つのループコイルを順次に選択して、バースト状信号を電子ペン1に送信する。電子ペン1は、そのバースト状信号を共振回路103で受信し、タブレット端末2の位置検出装置部20のセンサ部22に帰還するようにする。処理制御部2010は、その帰還されたバースト状信号を位置検出用信号として検出することで、電子ペン1により指示された位置のY座標値を求める。
以上のようにして、電子ペン1の指示位置を検出したら、処理制御部2010は、電子ペン1からの付加情報としての筆圧情報及びタグ情報を検出するため、励磁コイル224から所定時間以上継続した送信を行った後、座標検出の際と同様なタイミングで送受信を付加情報のデジタル信号のビット数に応じた回数継続して行う。このとき、選択回路223では、検出した座標値に従い、電子ペン1から最も近いループコイル(X軸方向ループコイル,Y軸方向ループコイルのどちらでもよい)を選択して信号を受信する。
一方、電子ペン1のIC100は、筆圧検出手段を構成する容量可変コンデンサの静電容量Cvに対応して得られた筆圧情報と受信したタグ情報とからなる付加情報のデジタル信号により、タブレット端末2の位置検出装置部20からの信号の送受信に同期してスイッチ104をオン・オフ制御する。スイッチ104がオフであるときには、共振回路103は、位置検出装置部20から送信された信号を位置検出装置部20に返送することができるので、位置検出装置部20のループコイルはこの信号を受信する。これに対して、スイッチ104がオンであるときには共振回路103は共振動作が禁止された状態にあり、このために、共振回路103から位置検出装置部20に信号は返送されず、位置検出装置部20のループコイルは信号を受信しない。
位置検出装置部20の座標データ形成部201の処理制御部2010は、受信信号の有無の判別を付加情報のデジタル信号のビット数回行うことにより、筆圧情報及びタグ情報に応じた複数ビットのデジタル信号を受信し、電子ペン1からの筆圧情報及びタグ情報を検出することができる。したがって、電子ペン1は、筆圧情報とタグ情報とを、ASK(Amplitude Shift Keying)変調した信号として、タブレット端末2の位置検出装置部20に送信する。
<サーバ装置5の構成例>
図10は、第1の実施形態におけるサーバ装置5のハードウェア構成例を示すブロック図である。サーバ装置5は、図10に示すように、コンピュータで構成される制御部51に対して、システムバス50を通じて通信部52と、受信情報判別部53と、ペンID対応情報記憶部54と、タグ情報対応情報記憶部55と、提供情報生成部56とが接続されて構成されている。
通信部52は、通信ネットワーク4を通じてパソコン3などと接続するためのもので、無線通信部であってもよいし、有線通信部であってもよい。
受信情報判別部53は、通信部52において受信した情報提供要求を解析して、ペンIDやタグ情報が含まれているかどうかを判別し、その判別結果を提供情報生成部56に供給する。
ペンID対応情報記憶部54は、前述の図4に示したペン対応情報を記憶する記憶部である。また、タグ情報対応情報記憶部55は、前述の図5に示したタグ情報対応情報を記憶する記憶部である。
提供情報生成部56は、受信情報判別部53から受信したペンIDを参照情報として、ペンID対応情報記憶部54から、当該ペンIDに対応して記憶されている医師名の情報を取得し、それを含めた提供情報を生成する。また、提供情報生成部56は、受信情報判別部53から受信したタグ情報を参照情報として、タグ情報対応情報記憶部55から、当該タグ情報に対応して記憶されている図5の種々の情報を取得し、それを含めた提供情報を生成する。そして、提供情報生成部56は、生成した提供情報を、通信部52を通じ、通信ネットワーク4を通じて、情報提供要求をしてきた相手(パソコン3)に返信するようにする。
なお、図10のブロック構成において、受信情報判別部53及び提供情報生成部56は、制御部51が、ソフトウェア機能として実行するように構成することもできる。
[第1の実施形態の情報処理システムの各部の処理動作例]
<電子ペン1の処理動作例>
図11は、第1の実施形態の電子ペン1の処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
すなわち、電子ペン1の無線通信部109は、電子タグ発信器6との通信エリア内に入ったか否かを常時監視して、その監視結果をIC100に供給している。電子ペン1では、IC100において、無線通信部109からの監視結果に基づいて、電子タグ発信器6との通信エリア内に入ったか否かを判別する(ステップS101)。
そして、このステップS101で、電子タグ発信器6との通信エリア内に入ってはいないと判別したときには、電子ペン1は、前述したように共振回路103を制御することで、タブレット端末2からの送信信号に基づいて、位置検出用信号を帰還すると共に、筆圧情報及びペンIDからなる付加情報をタブレット端末2に対して送信する(ステップS102)。そして、ステップS101に戻り、このステップS101以降の処理を繰り返す。
また、ステップS101で、電子タグ発信器6との通信エリア内に入ったと判別したときには、電子ペン1は、前述したように共振回路103を制御することで、タブレット端末2からの送信信号に基づいて、位置検出用信号を帰還すると共に、筆圧情報、ペンID及びタグ情報とからなる付加情報をタブレット端末2に対して送信する(ステップS103)。
このステップS103の次には、電子ペン1は、IC100において、無線通信部109からの監視結果に基づいて、電子タグ発信器6との通信エリア外となったか否かを判別する(ステップS104)。そして、このステップS104で、電子タグ発信器6との通信エリア外となってはいないと判別したときには、電子ペン1は、処理をステップS103に戻し、このステップS103以降の処理を繰り返す。
また、ステップS104で、電子タグ発信器6との通信エリア外となったと判別したときには、電子ペン1は、処理をステップS102に移行させて、このステップS102以降の処理を繰り返す。
<タブレット端末2の処理動作例>
図12は、第1の実施形態のタブレット端末2の処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。この図12の処理動作例は、タブレット端末2の位置検出装置部20のコントローラ202の処理動作の流れの例を示すものである。
すなわち、コントローラ202は、座標データ形成部201の処理制御部2010からの電子ペン1によるペン指示入力の検出情報を受け付けたか否か判別する(ステップS201)。
このステップS201で、処理制御部2010からの情報を受け付けたと判別したときには、コントローラ202は、受け付けた情報中にタグ情報が含まれているか否か判別する(ステップS202)。このステップS202で、受け付けた情報中にタグ情報が含まれていないと判別したときには、コントローラ202は、受け付けた情報に含まれる電子ペン1による指示位置の情報とペンIDの情報とを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS203)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202は、このステップS203の次には、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。
また、ステップS202で、受け付けた情報中にタグ情報が含まれていると判別したときには、コントローラ202は、受け付けた情報に含まれる電子ペン1による指示位置の情報とペンIDの情報とタグ情報とを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS204)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202は、このステップS204の次には、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。
また、ステップS201で、処理制御部2010からの情報を受け付けていないと判別したときには、コントローラ202は、ユーザI/F203を通じてパソコン3などの外部機器への情報送出指示操作を受け取ったか否か判別する(ステップS205)。このステップS205で、外部機器への情報送出指示操作を受け取ってはいないと判別したときには、コントローラ202は、処理をステップS201に戻して、処理制御部2010からの情報を受け付けるのを待つ。
また、ステップS205で、外部機器への情報送出指示操作を受け取ったと判別したときには、コントローラ202は、記憶部2021に記憶している情報を、外部機器に送出する(ステップS206)。なお、このとき、外部機器が表示部を備えているときには、その外部機器の表示部に記憶部2021に記憶されている情報の一覧が表示され、その一覧から外部機器に送出される情報を選択することができるように構成されている。
このステップS206の次には、コントローラ202は、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。
<パソコン3の処理動作例>
図13は、第1の実施形態のパソコン3の処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。なお、パソコン3には、タブレット端末2と接続されたときに起動するアプリが、例えば予めサーバ装置5からダウンロードされてインストールされている。
パソコン3は、タブレット端末2が接続(この例では、無線接続)されたか否か判別し(ステップS301)、接続されて否と判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS302)、その実行後、ステップS301に戻って、タブレット端末2が接続されるのを監視する。
ステップS301で、タブレット端末2が接続されたと判別したときには、パソコン3は、上記のアプリを起動して、タブレット端末2から送られてくる情報を受信し(ステップS303)、その受信情報には、タグ情報が含まれているか否か判別する(ステップS304)。
ステップS304で、受信情報にはタグ情報は含まれていないと判別したときには、パソコン3は、受信情報に含まれているペンIDをサーバ装置5に送信する(ステップS305)。すると、サーバ装置5からは、ペンIDに対応付けて記憶されている情報として、この例では、医師名の情報が提供情報として送られてくるので、パソコン3は、このサーバ装置5からの提供情報を受信する(ステップS306)。
そして、パソコン3は、受信した提供情報と、電子ペン1による指示位置の情報とを用いて、表示情報を生成し(ステップS307)、その生成した表示情報を、パソコン3のディスプレイの表示画面に表示する(ステップS311)。この場合、例えば電子ペンによる指示位置の情報から医師が筆記した文字情報が、その医師名と対応付けられて表示される。このステップS311の次には、パソコン3は、終了指示を待って(ステップS312)、この処理ルーチンを終了する。
ステップS304で、受信情報にはタグ情報が含まれていると判別したときには、パソコン3は、受信情報に含まれているペンIDとタグ情報とをサーバ装置5に送信する(ステップS308)。すると、サーバ装置5からは、ペンIDに対応付けられて記憶されている情報として、この例では、医師名の情報と共に、タグ情報に対応付けられて記憶されている前述の図5に示したような所定の情報が提供情報として送られてくるので、パソコン3は、このサーバ装置5からの提供情報を受信する(ステップS309)。
そして、パソコン3は、受信した提供情報と、電子ペン1による指示位置の情報とを用いて、表示情報を生成し(ステップS310)、その生成した表示情報を、パソコン3のディスプレイの表示画面に表示する(ステップS311)。この場合、パソコン3の表示画面には、例えば図6に示したような表示画像が表示される。このステップS311の次には、パソコン3は、終了指示を待って(ステップS312)、この処理ルーチンを終了する。
<サーバ装置5の処理動作例>
図14は、第1の実施形態の情報処理システムにおけるサーバ装置5の処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。なお、この図14の処理は、サーバ装置5の制御部51が、図10のブロック構成において、受信情報判別部53及び提供情報生成部56を、ソフトウェア機能として実行する場合として説明する。
サーバ装置5の制御部51は、パソコン3からの情報提供要求を受信したか否か判別し(ステップS501)、情報提供要求を受信してはいないと判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS502)、その実行後、ステップS501に戻って、パソコンからの情報提供要求を受信するのを監視する。
ステップS501で、パソコン3からの情報提供要求を受信したと判別したときには、制御部51は、受信した情報提供要求には、ペンIDとタグ情報との両方を含むか否か判別する(ステップS503)。このステップS503で、情報提供要求には、ペンIDのみしか含まれていないと判別したときには、制御部51は、そのペンIDによりペンID対応情報記憶部54を参照して、当該ペンIDに対応する情報、この例では医師名の情報(図4参照)を読み出して、提供情報を生成する(ステップS504)。
また、ステップS501で、情報提供要求には、ペンIDとタグ情報の両方が含まれていると判別したときには、制御部51は、ペンIDによりペンID対応情報記憶部54を参照して、当該ペンIDに対応する情報、この例では医師名の情報を読み出すと共に、タグ情報によりタグ情報対応情報記憶部55を参照して、当該タグ情報に対応する情報(図5参照)を読み出して、提供情報を生成する(ステップS505)。
そして、ステップS504またはステップS505の次には、制御部51は、ステップS506に進み、ステップS504またはステップS505で生成された提供情報を、情報提供要求してきたパソコン3に対して送信する(ステップS506)。そして、制御部51は、パソコン3からの終了要求を受信したか否か判別し(ステップS507)、終了要求を受信してはいないと判別したときには、処理をステップS501に戻して、このステップS501以降の処理を繰り返す。また、ステップS507で、パソコン3からの終了要求を受信したと判別したときには、制御部51は、この処理ルーチンを終了する。
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述の例では、電子ペン1は、医師にのみ配布するようにしたが、各病室に患者用の電子ペンが配布されていてもよい。その場合には、その患者用の電子ペンが、各患者に対応付けられて、そのペンIDがサーバ装置に登録されていれば、患者の感想・意見等の欄への記入情報と、医師の所見の欄への記入情報とは、ペンIDにより判別することができる。
また、記録用紙14の文書フォーマットが、看護士の報告や意見の欄を備える場合においては、看護士に電子ペンを配布すると共に、配布した電子ペンのペンIDを看護士名に対応してサーバ装置5に登録しておけば、記録用紙14における文書フォーマットにおける看護士の記入欄への記入情報を、記入した看護士名に対応付けることができる。
ただし、上述の例のように、記録用紙14の文書フォーマットの医師用記入欄、患者用記入欄、看護士用記入欄を、タブレット端末2のセンサ部上の座標情報による領域範囲として特定して登録しておけば、記入者が専用の電子ペンを所持していなくても、記入された筆記情報と、記入欄とを対応付けができて非常に便利である。
なお、上述の第1の実施形態の発明においては、ペンIDは必須ではなく、タグ情報のみが電子ペン1からの位置検出用信号と共に送信されてくる構成であればよい。したがって、医師が電子ペン1とタブレット端末2とを所持して回診するのではなく、各患者の病室に電子ペン1及びタブレット端末2の両方が備えられていてもよいし、各患者の病室には電子ペン1またはタブレット端末2のいずれか一方が備えられていると共に、医師が電子ペン1またはタブレット端末2の他方を持って回診するようにしてもよい。
各患者の病室に電子ペン1が備えられる場合には、電子ペン1のペンIDに対応して、病室名(病室番号)あるいは患者名もしくは担当医師名をサーバ装置5に登録しておくようにしてもよい。また、各患者の病室にタブレット端末2が備えられる場合には、そのタブレット端末2のIDを、病室名(病室番号)あるいは患者名もしくは担当医師名を、サーバ装置5に登録しておくようにしてもよい。さらに、各患者の病室に電子ペン1とタブレット端末2の両方が備えられている場合には、例えば、電子ペン1には患者名、タブレット端末2には病室名(病室番号)もしくは担当医師名を、それぞれサーバ装置5に登録しておくようにしてもよい。
なお、上述の実施形態の例では、サーバ装置5に記憶しているタグ情報対応情報は、電子ペン1による指示位置の情報を表示する際に、その表示情報の生成のために用いる情報としたが、サーバ装置5に記憶するタグ情報対応情報は、この例に限られるものではなく、T,P,Oに応じた種々の情報とすることができる。
例えば、上述のような電子ペン1による指示位置の情報から表示情報の生成のために用いる情報を、タグ情報対応情報とするのではなく、例えば表示色を変化させたり、表示態様を制御したりする表示制御のための情報をタグ情報対応情報としてもよい。例えば、学校において、実験室においては、電子ペンの指示位置の情報からなる軌跡(筆跡)が細字の硬質ペンの筆跡となるようにする表示態様の制御情報を、電子タグ発信器のタグ情報に対応する情報として記憶し、また、美術室では、電子ペンの指示位置の情報からなる軌跡(筆跡)が太めの絵画用の筆の筆跡となるようにする表示態様の制御情報を、電子タグ発信器のタグ情報に対応する情報として記憶する、などとすることができる。また、単に、電子タグ発信器の設置場所に応じて、電子ペン1による筆跡の表示色を変えるように、タグ情報に対応する情報を記憶するようにしておいてもよい。
なお、上述の例では、各病室に電子タグ発信器を設置するようにしたが、例えば腕輪や足環のように患者が身に着けることができるものに電子タグ発信器を設けて、患者に身に着けてもらうようにしてもよい。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、電子タグ発信器6からのタグ情報は、電子ペン1が受信するようにしたが、タブレット端末2が受信するようにして以下に説明するように構成することにより、上述の第1の実施形態と同様の作用効果を実現することができる。第2の実施形態は、電子タグ発信器6からのタグ情報をタブレット端末が受信するようにする場合である。
図15は、この第2の実施形態の要部である電子ペン1Aとタブレット端末2Aと電子タグ発信器6との関係を示す図である。また、図16は、電子ペン1Aとタブレット端末2Aと電子タグ発信器6の電子回路構成例を示す図であり、第1の実施形態の場合の図9に対応するものである。図15及び図16において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付与している。
すなわち、この第2の実施形態においても、電子タグ発信器6は、図16に示すように、第1の実施形態と同様に構成されている。そして、この第2の実施形態の電子ペン1Aは、図16に示すように、第1の実施形態の電子ペン1において、電子タグ発信器6からのタグ情報を受信するためのブルートゥース(登録商標)規格の無線通信部109を備えない構成とされている。そして、第2の実施形態の電子ペン1AのIC100Aは、付加情報としては、タグ情報は含まず、筆圧情報とペンIDとされる点が第1の実施形態と異なる。
また、この第2の実施形態のタブレット端末2Aにおいては、図16に示すように、電子タグ発信器6からのタグ情報を受信するためのブルートゥース(登録商標)規格の無線通信部204を備え、この無線通信部204で受信したタグ情報がコントローラ202Aに供給されるように構成されている。そして、コントローラ202Aは、無線通信部204で受信したタグ情報に対応付けて、電子ペン1Aによる指示位置の情報及びペンIDを記憶部2021に記憶するようにする。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
図17に、第2の実施形態のタブレット端末2Aの処理動作例のフローチャートを示す。この図17の処理動作例は、タブレット端末2Aの位置検出装置部20Aのコントローラ202Aの処理動作の流れの例を示すものである。
すなわち、コントローラ202Aは、座標データ形成部201の処理制御部2010からの電子ペン1によるペン指示入力の検出情報を受け付けたか否か判別する(ステップS211)。
このステップS211で、処理制御部2010からの情報を受け付けたと判別したときには、コントローラ202Aは、無線通信部204からの電子タグ発信器6との通信エリア内に入ったか否かの監視結果に基づいて、タブレット端末2Aが電子タグ発信器6との通信エリア内に在るか否かを判別する(ステップS212)。
このステップS212で、タブレット端末2Aは電子タグ発信器6との通信エリア内ではないと判別したときには、コントローラ202Aは、ステップS211で受け付けたと判別した情報に含まれる電子ペン1Aによる指示位置の情報とペンIDの情報とを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS213)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202Aは、このステップS213の次には、処理をステップS211に戻して、このステップS211以降の処理を繰り返す。
また、ステップS212で、タブレット端末2Aが電子タグ発信器6との通信エリア内に在ると判別したときには、コントローラ202Aは、無線通信部204で電子タグ発信器6から受信したタグ情報と、電子ペン1による指示位置の情報とペンIDの情報とを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS214)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202Aは、このステップS214の次には、処理をステップS211に戻して、このステップS211以降の処理を繰り返す。
また、ステップS211で、処理制御部2010からのペン指示入力の検出情報を受け付けていないと判別したときには、コントローラ202Aは、ユーザI/F203を通じてパソコン3などの外部機器への情報送出指示操作を受け取ったか否か判別する(ステップS215)。このステップS215で、外部機器への情報送出指示操作を受け取ってはいないと判別したときには、コントローラ202Aは、処理をステップS211に戻して、処理制御部2010からの情報を受け付けるのを待つ。
また、ステップS215で、外部機器への情報送出指示操作を受け取ったと判別したときには、コントローラ202Aは、記憶部2021に記憶している情報を、外部機器に送出する(ステップS216)。なお、このとき、外部機器が表示部を備えているときには、その外部機器の表示部に記憶部2021に記憶されている情報の一覧が表示され、その一覧から外部機器に送出される情報を選択することができるように構成されている。
このステップS216の次には、コントローラ202Aは、処理をステップS211に戻して、このステップS211以降の処理を繰り返す。
以上のようにして、この第2の実施形態のタブレット端末2Aのコントローラ202Aの記憶部2021には、第1の実施形態と同様に、タグ情報とペンIDと電子ペン1Aによる指示位置の情報とが対応付けられて記憶されることになる。したがって、この第2の実施形態においても、タブレット端末2Aをパソコン3と接続した場合には、第1の実施形態と同様の処理動作がなされて、パソコン3のディスプレイの表示画面には、第1の実施形態と同様の処理結果が表示されるものである。
この第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態の変形例で説明した変形例が可能であることは言うまでもない。
[第3の実施形態]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、情報処理装置の一部を構成する電子ペンとタブレット端末とのいずれかに電子タグ発信器からのタグ情報を受信する無線通信部を設けるようにした。
しかし、電子ペンとタブレット端末との両方で、それぞれ互いに異なる固有の識別情報からなるタグ情報を受信するように構成することで、電子ペンによる指示位置の情報について、第1の実施形態及び第2の実施形態の場合よりも、より複雑な処理をすることが可能になる。第3の実施形態は、電子ペンとタブレット端末との両方で、互いに異なる電子タグ発信器からのタグ情報を受信する場合である。
図18は、この第3の実施形態による情報処理システムの全体の構成例の概要を示す図である。この第3の実施形態の情報処理システムは、電子ペン1Bと、この電子ペン1Bによる指示入力を受け付ける位置検出装置を備えるタブレット端末2Bと、タブレット端末2Bと無線接続するパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)3Bと、パソコン3Bと通信ネットワーク4を通じて接続されるサーバ装置5Bと、電子ペン用電子タグ発信器6P及びタブレット端末用電子タグ発信器6Tとからなる。
すなわち、この第3の実施形態の情報処理システムは、第1の実施形態の情報処理システムとは、電子タグ発信器として、電子ペン用電子タグ発信器6Pと、タブレット端末用電子タグ発信器2Tとが設けられる点が異なる。そして、タブレット端末2Bは、第2の実施形態のタブレット端末と同様に、タブレット端末用電子タグ発信器2Tからのタブレット端末用のタグ情報TgTを受信する無線通信部を備える。その他の構成は第1の実施形態の情報処理システムと同様である。
電子ペン1B及び電子ペン用電子タグ発信器6Tのハードウエア構成及びその処理動作は、第1の実施形態における電子ペン1及び電子タグ発信器6と同様である(図9、図11及び図12参照)。また、パソコン3Bのハードウェア構成及びその処理動作は、第1の実施形態におけるパソコン3と同様である(図13参照)。
そして、サーバ装置5Bのハードウエア構成は、タグ情報対応情報記憶部55の記憶内容が、電子ペン用のタグ情報TgP及びタブレット端末用のタグ情報TgTに対応する所定の情報である点が異なるだけで、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
そして、第3の実施形態におけるタブレット端末2Bは、ハードウェアは、図16に示したものとほぼ同様である。ただし、タブレット端末2Bの位置検出装置部20Bのコントローラ202B(図示は省略)による電子ペン1Bによる指示位置の情報の記憶処理動作が、第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なる。
なお、電子ペン1Aと電子ペン用電子タグ発信器6Pとの間での通信と、タブレット端末2Bとタブレット端末用電子タグ発信器6Tとの間での通信とが、互いに独立に行われて混信や干渉が生じないように構成されている。例えば、電子ペン1Aと電子ペン用電子タグ発信器6Pとの間で用いるブルートゥース(登録商標)規格の無線通信におけるパスキーと、タブレット端末2Bとタブレット端末用電子タグ発信器6Tとの間で用いるパスキーとは、異なるものが用いられていて、互いの通信に混信や干渉が回避されている。
図19に、この第3の実施形態におけるタブレット端末2Bの、電子ペン1Bによる指示位置の情報の記憶処理動作例のフローチャートを示す。この図19の処理動作例は、タブレット端末2Bの位置検出装置部20Bのコントローラ202Bの処理動作の流れの例を示すものである。
すなわち、コントローラ202Bは、座標データ形成部201の処理制御部2010からの電子ペン1Bによるペン指示入力の検出情報を受け付けたか否か判別する(ステップS221)。
このステップS221で、処理制御部2010からの情報を受け付けたと判別したときには、コントローラ202Bは、無線通信部204からのタブレット端末用電子タグ発信器6Tとの通信エリア内に入ったか否かの監視結果に基づいて、タブレット端末2Bがタブレット端末用電子タグ発信器6Tとの通信エリア内に在るか否かを判別する(ステップS222)。
このステップS222で、タブレット端末2Bはタブレット端末用電子タグ発信器6Tの通信エリア内に在ると判別したときには、コントローラ202Bは、ステップS221で受け付けたと判別した情報に、電子ペン用のタグ情報TgPを含むか否か判別する(ステップS223)。
このステップS223で、電子ペン用のタグ情報TgPを含まないと判別したときには、コントローラ202Bは、タブレット端末用電子タグ発信器6Tから受信したタブレット端末用のタグ情報TgTと、ステップS221で受け付けたと判別した情報に含まれる電子ペン1Bによる指示位置の情報及びペンIDの情報とを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS224)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202Bは、このステップS224の次には、処理をステップS221に戻して、このステップS221以降の処理を繰り返す。
また、ステップS223で、電子ペン用のタグ情報TgPを含むと判別したときには、コントローラ202Bは、タブレット端末用電子タグ発信器6Tから受信したタブレット端末用のタグ情報TgTと、ステップS221で受け付けたと判別した情報に含まれる電子ペン1Bによる指示位置の情報とペンIDの情報と電子ペンのタグ情報TgPとを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS225)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202Bは、このステップS225の次には、処理をステップS221に戻して、このステップS221以降の処理を繰り返す。
また、ステップS222で、タブレット端末2Bがタブレット端末用電子タグ発信器6Tとの通信エリア内となってはいないと判別したときには、コントローラ202Bは、ステップS221で受け付けたと判別した情報に、電子ペン用のタグ情報TgPを含むか否か判別する(ステップS226)。
このステップS226で、電子ペン用のタグ情報TgPを含まないと判別したときには、コントローラ202Bは、電子ペン1による指示位置の情報とペンIDの情報とを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS227)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202Bは、このステップS227の次には、処理をステップS221に戻して、このステップS221以降の処理を繰り返す。
また、ステップS226で、電子ペン用のタグ情報TgPを含むと判別したときには、コントローラ202Bは、当該電子ペン用のタグ情報TgPと、電子ペン1による指示位置の情報とペンIDの情報とを対応付けて記憶部2021に記憶する(ステップS228)。このとき、記憶部2021への記憶時の年月日時分秒の情報も併せて対応付けられて記憶される。コントローラ202Bは、このステップS228の次には、処理をステップS221に戻して、このステップS221以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS221で、処理制御部2010からのペン指示入力の検出情報を受け付けていないと判別したときには、コントローラ202Bは、ユーザI/F203を通じてパソコン3などの外部機器への情報送出指示操作を受け取ったか否か判別する(ステップS229)。このステップS229で、外部機器への情報送出指示操作を受け取ってはいないと判別したときには、コントローラ202Bは、処理をステップS221に戻して、処理制御部2010からの情報を受け付けるのを待つ。
また、ステップS229で、外部機器への情報送出指示操作を受け取ったと判別したときには、コントローラ202Bは、記憶部2021に記憶している情報を、外部機器に送出する(ステップS230)。なお、このとき、外部機器が表示部を備えているときには、その外部機器の表示部に記憶部2021に記憶されている情報の一覧が表示され、その一覧から外部機器に送出される情報を選択することができるように構成されている。
このステップS230の次には、コントローラ202Bは、処理をステップS221に戻して、このステップS221以降の処理を繰り返す。
以上のようにして、この第3の実施形態のタブレット端末2Bのコントローラ202Bの記憶部2021には、電子ペン1B用のタグ情報TgPとペンIDと電子ペン1Bによる指示位置の情報に加えて、タブレット端末2B用のタグ情報TgTとが対応付けられて記憶されることになる。したがって、この第3の実施形態によれば、電子ペン1B用のタグ情報TgPに対応付けられたT,P,Oに応じた(関連付けられた)所定の情報に加えて、タブレット端末2B用のタグ情報TgTに対応付けられたT,P,Oに応じた所定の情報を、例えばサーバ装置5から取得することが可能となる。
このため、この第3の実施形態の情報処理システムにおいて、タブレット端末2Bをパソコン3と接続した場合には、第1の実施形態や第2の実施形態の場合よりも、より複雑な用途や状況に応じた処理動作が可能となるものである。
なお、この第3の実施形態の情報処理システムにおいて、電子ペン1BのペンIDのみではなく、タブレット端末2BのIDをも、電子ペンによる指示位置の情報と対応付けて記憶するおくことで、さらに、複雑な用途や状況に応じた処理動作が可能となるものである。
なお、上述した第1~第3の実施形態において、サーバ装置に記憶しておくタグ情報に対応する提供物としては、上述のようなT,P,Oに応じた(関連付けられた)所定の情報とするだけではなく、アプリであってもよい。
[第4の実施形態]
以上の実施形態においては、電子ペンによる指示位置の情報を、タグ情報や電子ペンのペンID及び/またはタブレット端末のIDと対応付けて、タブレット端末の記憶部に一旦記憶し、その記憶した情報の内のタグ情報やペンIDやタブレット端末のIDを事後的にサーバ装置に送り、電子ペンによる指示位置の情報を処理するようにした。
これに対して、電子ペンによる指示位置の情報を、タグ情報や電子ペンのペンID及び/またはタブレット端末のIDと対応付けて、タブレット端末の記憶部に記憶するのではなく、それらの情報を用いて、リアルタイムにサーバ装置と連携を取ることで、所定の処理を行う情報処理装置を構成することもできる。
図20は、この第4の実施形態の場合の情報処理システムの構成例を示す図であり、電子ペン1Cと、タブレット端末2Cと、パソコンの機能を有するパッド型端末3Cと、通信ネットワーク4と、サーバ装置5Cと、電子ペン用電子タグ発信器6Pと、タブレット端末用電子タグ発信器6Tとからなる。そして、電子ペン1Cと、タブレット端末2Cと、パッド型端末3Cとにより情報処理装置が構成される。
この図20の例においては、電子ペン1C及び電子ペン用電子タグ発信器6Cの構成は、上述した第1の実施形態の電子ペン1及び電子タグ発信器6と同様の構成とされる。タブレット端末2Cは、以下の点が異なるのみで、上述の第2の実施形態のタブレット端末2Aと同様の構成を備える。
この第4の実施形態のタブレット端末2Cは、常時、パッド型端末3Cと無線接続されて、タブレット端末2Cにおいて電子ペン1Cから位置検出用信号、ペンID、電子ペン用のタグ情報TgPを受け取った時には、位置検出用信号を用いて電子ペン1Cによる指示位置を検出して、その検出した電子ペン1Cによる指示位置の情報と、ペンIDと、電子ペン用のタグ情報TgPとを、バッファメモリを介して、あるいはバッファメモリを介することなく、パッド型端末3Cに転送するようにする。
パッド型端末3Cは、タブレット端末2Cから電子ペン1による指示位置の情報と、ペンIDと、タグ情報TgPとを受け取った時には、通信ネットワーク4を通じて、サーバ装置5Cにアクセスし、タブレット端末用のタグ情報TgTや、電子ペン用のタグ情報TgPを含めた提供要求をして、この例では、対応する所定のアプリや提供情報(データ)を取得し、その取得したアプリや提供情報(データ)を用いた処理を実行する。
この第4の実施形態においては、サーバ装置5Cは、後述するように、タブレット端末用のタグ情報TgTや、電子ペン用のタグ情報TgPに対応付けられたアプリ及び処理に必要なデータを記憶しており、タブレット端末用のタグ情報TgTや、電子ペン用のタグ情報TgPを含めた提供要求に応じて、対応するアプリ及び処理に必要なデータを提供する。パッド型端末3Cは、サーバ装置5から提供を受けたアプリを起動して、必要に応じて提供を受けたデータを用いながら、そのアプリを実行するようにする。
なお、図20の例では、タブレット端末2Cとパッド型端末3Cとを別々に備えるものとしたが、タブレット端末2Cの機能とパッド型端末3Cの機能とを搭載した1台の携帯型装置の構成としてもよい。
この第4の実施形態の情報処理システムの具体的な使用例について以下に説明する。
<第1の例>
以下に説明する第1の例においては、図21に示すように、工場棟8内に、複数、例えば4個の作業工程ルーム81,82,83,84が存在していて、作業工程ルーム81,82,83,84のそれぞれにおいて、作業記録を作成する場合を想定する。図21の例においては、工場棟8内には、製造ルーム81、検査ルーム82、出荷ルーム83、補修ルーム84が備えられている。
そして、この実施形態では、作業工程ルーム81,82,83,84のそれぞれにおける作業記録を、上述した電子ペン1Cによりタブレット端末2Cの紙挟み部21Xで所定位置に係止された記録用紙14に対して入力するようにする。
この場合、作業工程ルーム81,82,83,84のそれぞれにおける作業記録として必要となる項目は、互いに異なることが一般的である。例えば、図22(A)に、製造ルーム81用の作業記録文書フォーマットの例を、図22(B)に、検査ルーム82用の作業記録文書フォーマットの例を、それぞれ示す。
このように、各作業工程ルーム用の作業記録文書フォーマットが異なるので、従来は、例えば、各作業工程ルーム用の作業記録文書フォーマットが印刷されている記録用紙に作業記録を記帳し、その記帳した作業記録をOCR(Optical Character Recognition)などで読み取って、記帳事項を電子化し、その電子化したものを用いて各項目の記入データを、パソコンにオペレータがコピー入力したりする必要があった。また、タブレット端末に各項目を記帳入力して記帳データを電子化した場合でも、各項目の電子データをパソコンに入力する際には、何れの工場棟、何れの作業工程のルームの、何れの項目であるかを、オペレータが指示入力しながら、入力を実行する必要があった。
この第4の実施形態の利用例の第1の例においては、以下に説明するように、各作業工程ルームに、電子ペン用電子タグ発信器及びタブレット端末用電子タグ発信器を設置し、それらから発信されるタグ情報TgP及びTgTに対応して、サーバ装置5Cに、後述するような所定の情報を登録しておくことにより、各作業工程ルームにおいて、タブレット端末2Cにおいて電子ペン1Cによる座標入力を実行するだけで、その作業記録内容の電子データの管理をすることができるようにしている。
この例の場合には、図21に示すように、製造ルーム81にはタブレット端末用電子タグ発信器6T1と電子ペン用電子タグ発信器6P1を、検査ルーム82にはタブレット端末用電子タグ発信器6T2と電子ペン用電子タグ発信器6P2を、出荷ルーム83にはタブレット端末用電子タグ発信器6T3と電子ペン用電子タグ発信器6P3を、補修ルーム84にはタブレット端末用電子タグ発信器6T4と電子ペン用電子タグ発信器6P4を、
それぞれ設置するようにする。
この例において、サーバ装置5Cに予め記憶されている内容の例を図23に示す。すなわち、サーバ装置5Cには、図23に示すように、製造ルーム81については、当該製造ルーム81に設置されているタブレット端末用電子タグ発信器6T1からのタグ情報TgT1と電子ペン用電子タグ発信器6P1からのタグ情報TgP1とに対応して、提供するアプリとして製造ルーム用アプリが、必要な提供情報として、図22に示したような文書フォーマットにおける各項目欄と、タブレット端末2Cのセンサ上での座標値との対応関係を示す座標値-文書フォーマット対応テーブルの情報が記憶されている。
また、サーバ装置5Cには、図23に示すように、検査ルーム82については、当該検査ルーム82に設置されているタブレット端末用電子タグ発信器6T2からのタグ情報TgT2と電子ペン用電子タグ発信器6P2からのタグ情報TgP2とに対応して、提供するアプリとして検査ルーム用アプリが、必要な提供情報として、図22(B)に示したような文書フォーマットにおける各項目欄と、タブレット端末2Cのセンサ上での座標値との対応関係を示す座標値-文書フォーマット対応テーブルの情報が記憶されている。
サーバ装置5Cには、図23に示すように、出荷ルーム83及び補修ルーム84についても同様に、それぞれに設置されているタブレット端末用電子タグ発信器6T3及びタブレット端末用電子タグ発信器6T4からのタグ情報TgT3及びタグ情報TgT4と電子ペン用電子タグ発信器6P3及び電子ペン用電子タグ発信器6P4からのタグ情報TgP3及びタグ情報TgP4とに対応して、提供するアプリとして出荷ルーム用アプリ及び補修用アプリが、必要な提供情報として、座標値-文書フォーマット対応テーブルの情報が記憶されている。
この例の場合、記入担当者が、電子ペン1C及びタブレット端末2C並びにパッド型端末3Cを持って各ルームに入ると、それぞれのルームに設置されている電子ペン用電子タグ発信器及びタブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報を、電子ペン1C及びタブレット端末2Cが受信可能の状態となる。そのため、記入担当者が電子ペン1Cをタブレット端末2Cのセンサ部上に持ち来すようにすると、タブレット端末2Cは、電子ペン1Cからの信号として電子ペン用電子タグ発信器からの電子ペン用のタグ情報を受信すると共に、当該タブレット端末2C自身で、タブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報を受信する。そして、タブレット端末2Cは、その受信した電子ペン用のタグ情報およびタブレット端末用のタグ情報をパッド型端末3Cに送る。
パッド型端末3Cは、タブレット端末2Cから電子ペン用のタグ情報およびタブレット端末用のタグ情報を受け取った時には、それを通信ネットワーク4を通じてサーバ装置5Cに送って提供要求をする。サーバ装置5Cは、このタブレット端末2Cからの提供要求を受け取ると、電子ペン用のタグ情報およびタブレット端末用のタグ情報に対応付けられて記憶されているアプリと、提供情報を、要求してきたパッド型端末3Cに送る。
パッド型端末3Cは、サーバ装置5Cから送られてきたアプリを起動し、その表示画面に、例えば図22(A)、(B)に示したような各ルーム用の文書フォーマットに応じた表示画像を表示すると共に、タブレット端末2Cを通じて送られてくる電子ペン1Cによる指示位置の情報を処理して、提供情報である座標値-文書フォーマット対応テーブルの情報を用いて、表示画面に反映させるようにする。また、パッド型端末3Cは、座標値-文書フォーマット対応テーブルの情報を用いて、当該文書フォーマットについて、各項目ごとに、電子ペンによる指示位置の情報(文字テキストなど)を保存するようにする。
したがって、この実施形態においては、記入担当者は、電子ペン1C及びタブレット端末2C並びにパッド型端末3Cを持って各ルームに入ると、パッド型端末3Cの表示画面には、その入室したルーム用の文書フォーマットに応じた表示画像が表示される。記録用紙14には、各ルーム用の文書フォーマットが印刷されており、当該記録用紙14を、前述したように、タブレット端末2CAの所定の位置に紙挟み部21Xにより係止することで、記録用紙に印刷されている文書フォーマットの各項目欄のセンサ部上の座標位置が、サーバ装置5Cから取得した座標値-文書フォーマット対応テーブルにおける各項目の座標位置とが対応したものとなる。
したがって、電子ペン1Cによって、タブレット端末2Cに係止されている記録用紙の文書フォーマットの各項目に筆記入力すると、タブレット端末2Cでは、サーバ装置5Cから取得したアプリにより、座標値-文書フォーマット対応テーブルの情報を用いて、電子ペン1Cによる指示位置の情報を処理するので、パッド型端末3Cの表示画面に表示される文書フォーマットに応じた表示画像における各項目の欄には、電子ペン1Cにより記録用紙14に筆記入力した通りの内容の文字などが表示されることになる。したがって、記入担当者は、電子ペン1Cによるタブレット端末2Cに係止した記録用紙14への筆記入力に応じた電子データ(電子ペン1Cによる指示位置の情報としての筆跡データ)の内容を、パッド型端末3Cの表示画面において確認することができる。
この場合に、サーバ装置3Cから提供アプリ及び提供情報を取得するためには、タグ情報としては、電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報と、タブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報とのいずれか一方のみとしてもよい。しかし、上述の例のように、電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報と、タブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報との両方に応じて、サーバ装置3Cから提供アプリ及び提供情報を取得することができるようにすることにより、記入情報についてのセキュリティや、信頼性を高めることができる。
例えば、タブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報は、設置される各ルームに対応付ける。そして、電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報は、記入担当者の認証用とするようにする。すなわち、各ルームにおける記入担当者は、その権限が与えられた者とすることが多いが、電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報を受信することができる機能を備える電子ペン1Cは、記入担当者のみに配布するようにしておくものである。
このようにすれば、サーバ装置5Cでは、タブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報により、何れのルームのものであるかを認識することでき、そして、電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報により、タブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報により認識されたルームにおいて、記入担当者が所持している電子ペンにより指示入力がされていることを確認することができる。
この場合には、各ルームにタブレット端末2C及びパッド型端末3Cを設置しておくことも可能で、記入担当者は、電子ペン1Cのみを所持して、記入が必要なルームに赴けばよい。
なお、電子ペン1CのペンIDに対応して、権限を有する記入担当者をサーバ装置に登録して記憶しておき、パッド型端末3CからペンIDを含む情報提供を送るようにすれば、パッド型端末3Cでは、誰が記入担当者として記入したかをも記憶しておくことが可能となる。
なお、この第1の例において、各ルームにパッド型端末3Cの機能を備えるパソコンを用意しておき、そのパソコンとタブレット端末2Cとを無線接続、あるいは有線接続するように構成することもできる。また、前述したように、タブレット端末2Cとパッド型端末3Cの機能を備える1台の装置を用いる構成とすることもできるのは勿論である。
<第2の例>
この第4の実施形態における情報処理システムの利用例の第2の例は、店舗において、クレジットカードによる決済を、クレジットカードを用いずに、電子ペン1Cを用いることで可能とするようにする。すなわち、ここで、このような決済が可能な店舗には、電子ペン用電子タグ発信器と、タブレット端末用電子タグ発信器とが設置される。タブレット端末2C及びパッド型端末3Cは、店舗に設置されていてもよいし、利用者が所持していてもよい。そして、この例では、電子ペン1Cは、利用者個人用のものを使用する。
サーバ装置5Cのタグ情報対応情報記憶部に、図24に示すような対応テーブルが記憶されている。すなわち、店舗Aに設置されたタブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報TgTAに対応付けられて、当該設置店舗A用のクレジット決済用アプリケーション及び必要な提供情報が記憶される。また、店舗Bに設置されたタブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報TgTBに対応付けられて、当該設置店舗B用のクレジット決済用アプリケーション及び必要な提供情報が記憶される。
また、店舗Aに設置された電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報TgPAに対応付けられて、当該設置店舗A用の署名認証用アプリケーション及び必要な提供情報が記憶される。また、店舗Bに設置された電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報TgPBに対応付けられて、当該設置店舗B用の署名認証用アプリケーション及び必要な提供情報が記憶される。図24では省略したが、他の店舗についても同様にして、設置されたタブレット端末用電子タグ発信器からのタグ情報に対応付けられて、当該設置店舗用のクレジット決済用アプリケーション及び必要な提供情報が記憶され、設置された電子ペン用電子タグ発信器からのタグ情報に対応付けられて、当該設置店舗用の署名認証用アプリケーション及び必要な提供情報が記憶される。
また、サーバ装置5CのペンID対応情報記憶部には、図25に示すように、各利用者A,B,C・・・が所持する電子ペン1CA,電子ペン1B,電子ペン1C・・・のペンIDのデータIDA,IDB,IDC,・・・に対して、クレジットカードのカード番号と、各利用者A,B,C・・・の署名情報(筆跡情報)が記憶されている。このペンID対応情報記憶部への記憶は、サーバ装置5Cが、利用者による登録要求を受け付けて実行する。すなわち、利用者は、事前にサーバ装置5Cにアクセスし、自身が所有する電子ペン1CのペンIDをサーバ装置5Cに登録すると共に、そのペンIDに対応付けて、決済用のクレジットカードのカード番号を登録しておくようにするものである。
この第2の例におけるクレジット決済処理の流れを、図26のシーケンス図を用いて説明する。なお、この図26のシーケンス図の例は、利用者Aが自身の電子ペン1CAを用いて、店舗Aにおいてクレジット決済をする場合として説明する。そして、この例の場合、店舗Aには、当該店舗用として、タブレット端末2CAと、パッド型端末3CAとが設けられているものとする。
図26に示すように、店舗Aにおいては、当該店舗Aに設置されているタブレット端末用電子タグ発信器6TAからのタグ情報TgTAがタブレット端末2CAを通じてパッド型端末3CAに送られている。店舗Aの販売員は、パッド型端末3CAを操作して、サーバ装置5Cに対して、タブレット端末用電子タグ発信器6TAからのタグ情報TgTAを含む提供情報を送信するようにする。
すると、サーバ装置5Cからは、タグ情報対応記憶部に記憶されているタブレット端末用のタグ情報TgTAに対応する店舗A用のクレジット決済用アプリ及び提供情報がパッド型端末3CAに送られてくる。パッド型端末3CAは、サーバ装置5Cから受け取った店舗A用のクレジット決済用アプリを起動し、提供情報を用いて、その表示画面にクレジット決済用の表示画像を表示する。このときの表示画像中には、利用者による署名入力欄は表示されていない。店舗Aの販売員は、この表示画像を確認した後、タブレット端末2CAの紙挟み部21Xによって記録用紙14を所定の位置に係止させる。
そして、販売員は、利用者Aの電子ペン1CAを借りて、記録用紙14への必要な決済情報の入力をする。あるいは、利用者Aが、自身の電子ペン1CAにより、記録用紙14への必要な決済情報の入力をしてもよい。このとき、電子ペン1CAは、電子ペン用電子タグ発信器6PAからのタグ情報TgPAを受信しているので、タブレット端末2CAに対して、位置検出用信号と共に、タグ情報TgPを送るようにする。タブレット端末2CAは、位置検出用信号に基づいて電子ペン1CAによる指示位置の情報を検出し、その検出した指示位置の情報と、受信したタグ情報TgPと対応付けて一時記憶する。
そして、タブレット端末2CAは、電子ペン1CAから受信した情報中に、電子ペン用電子タグ発信器6PAからのタグ情報TgPAが含まれている場合には、そのタグ情報TgPAをパッド型端末3CAに送る。パッド型端末3CAは、このタグ情報TgPAを含む提供要求をサーバ装置5Cに送る。
すると、サーバ装置5Cからは、タグ情報対応記憶部に記憶されている電子ペン用のタグ情報TgPAに対応する店舗A用の署名用アプリ及び提供情報がパッド型端末3CAに送られてくる。パッド型端末3CAは、サーバ装置5Cから受け取った店舗A用の署名用アプリを起動する。署名用アプリは、パッド型端末3CAの表示画面に署名入力欄を表示して、その署名入力欄への電子ペン1CAによる署名入力が可能になったことを報知する。店舗Aの販売員は、このパッド型端末3CAの表示画面における署名入力欄を確認し、利用者に、記録用紙14の署名入力欄への署名入力を促すようにする。
そこで、利用者は、タブレット端末2CAに係止されている記録用紙14の署名入力欄に、電子ペン1CAのボールペン機能を用いて自身の署名を筆記入力する。すると、タブレット端末2CAは、この署名入力操作による署名入力情報を、電子ペン1Cによる指示位置の情報として検出し、電子ペン1CAのペンIDと対応付けて、パッド型端末3Cに送る。
パッド型端末3Cは、署名用アプリにより、タブレット端末2CAから受け取った署名入力情報とペンIDとを含む認証要求を、サーバ装置5Cに送る。
サーバ装置5Cは、この認証要求を受け取ると、ペンIDにより図25のペンID対応情報記憶部を参照し、記憶されている署名情報と、認証要求に含まれている署名入力情報とを比較して、両者の一致度により、署名についての認証を行う。そして、その署名についての認証の結果がOKであるときには、認証OKをパッド型端末3CAに通知する。パッド型端末3CAは、この認証OKの通知に基づいて、認証OKを表示画面に表示して、店舗Aの販売員や利用者に報知する。そして、パッド型端末3CAは、認証OKの通知の受信に基づいて、入力済みの決済情報をサーバ装置5Cに送る。
サーバ装置5Cは、署名認証がOKであると判定したときには、パッド型端末3CAからの決済情報を待ち、当該決済情報を受信した、認証要求に含まれていたペンIDに対応付けられているクレジットカード番号を用いて、クレジット決済を実行する。そして、サーバ装置5Cは、クレジット決済完了通知を、パッド型端末3CAに送る。
パッド型端末3CAは、サーバ装置5Cからのクレジット決済完了通知を受信すると、決済完了を表示画面に表示して、店舗Aの販売員及び利用者Aに報知する。
なお、記憶されている署名情報と、認証要求に含まれている署名入力情報とが一致していると認定できなかったときには、署名認証NGを送り、再度の署名入力を促したり、電子ペン1CAによるクレジット決済の拒否通知をしたりする。
また、サーバ装置5Cは、認証要求に含まれるペンIDに対応して、クレジットカード番号や、署名情報が記憶されていなかったときには、電子ペン1CAによるクレジット決済の拒否通知をする。その場合には、クレジットカードを用いた電子決済が実行できるようにしてもよい。
以上のようにして、この第2の例によれば、利用者は、自身が所持する電子ペン1CAのペンIDに対応付けて、サーバ装置5Cに登録しておくと共に、署名情報を登録しておくことで、クレジットカードを用いずに、電子ペン1CAにより、店舗でのクレジット決済が可能となる。
なお、この第2の例では、署名情報を用いた認証を行うようにしたが、電子ペンのペンIDのみにより、クレジット決済をすることができるようにしてもよい。ただし、この第2の例のように、署名情報をも用いたクレジット決済をするようにすれば、電子ペンを紛失したときに、悪意の利用者が当該電子ペンを用いてクレジット決済をするのを防止することができ、セキュリティ保護効果が高い。
なお、上述の例では、サーバ装置5Cには、電子ペンのペンIDに対応付けて、クレジットカード番号や署名情報を登録して記憶しておくようにしたが、タブレット端末2CAが、利用者の個人用とする場合には、ペンIDに代えて、タブレット端末2CAのIDに対応付けて、クレジットカード番号や署名情報を登録して記憶しておくようにしてもよい。この場合も、署名情報による認証をすることなく、タブレット端末2CAのIDのみによりクレジットカード番号を読み出すようにして、クレジット決済をすることができるようにしてもよい。
また、ペンIDやタブレット端末2CAのIDではなく、利用者が設定したパスワードに対応付けて、クレジットカード番号や署名情報を登録して記憶しておくようにしてもよい。この場合も、署名情報による認証をすることなく、利用者が設定したパスワードのみによりクレジットカード番号を読み出すようにして、クレジット決済をすることができるようにしてもよい。
<第3の例>
この第4の実施形態における情報処理システムの利用例の第3の例は、上述の第2の例と同様に、店舗において、クレジットカードによる決済を、クレジットカードを用いずに、電子ペン1Cを用いることで可能とする例である。ただし、電子ペン用電子タグ発信器6Pの近傍でしか、認証動作を行うことができない点が第2の例と異なる。
電子ペン用電子タグ発信器6Pは、タグ情報TgPの信号出力を調整することで、タグ情報TgPの伝達範囲を設定することができる。そこで、第3の例では、電子ペン用電子タグ発信器6Pを、例えば、店舗のレジ付近に置き、その付近でしかサイン照合による決済ができないようにする。
具体的には、タブレット端末2Cは、電子ペン1Cから電子ペン用電子タグ発信器6Pのタグ情報TgPを受け取って、そのタグ情報TgPをパット型端末3Cを通してサーバ装置5Cに送信する。この時、サーバ装置5Cは、タグ情報TgPAを受信したことを検出した場合は、署名入力欄を表示させるアプリを送信、または、パット型端末3Cにインストールされている署名入力欄を表示させるアプリを起動させる命令を、パット型端末3Cに返す。その命令を受けてパット型端末3Cは、署名入力欄を表示させる。パット型端末3Cの表示画面に、この署名入力欄が表示されることで、電子ペン1Cによる署名を入力することができ、サイン照合が可能となる。
一方、電子ペン1Cは、電子ペン用電子タグ発信器6P近傍でないときには、タグ情報TgPを受け取ることができない。そのため、パット型端末3Cに電子ペン1Cが近づいたとしても、タグ情報TgPをサーバ装置5Cに送ることができず、パット型端末3Cでは署名入力欄を表示させるアプリの起動が行われない。これにより、サイン照合をすることができず、決済は不可能となる。
したがって、この第3の例では、常に、販売員の見ている傍など、不正なペン入力を防止できる場所での決済動作を行うことができ、セキュリティー上好ましい。すなわち、例えば、決済を行う際、例えば他人の電子ペンを盗んだ悪意の決済者が、販売員の見ていないところで、電子ペンの所有者である他人のサインを見ながらそれを真似て入力したり、前記他人のサインをなぞって入力したりというような不正な行為を防止することできる。
なお、上述の第4の実施形態では、サーバ装置5Cから所得したアプリは、自動起動するようにしたが、パッド型端末が、サーバ装置5Cからアプリを取得した後、当該アプリが立ち上げ可能になったことを表示し、それに応じて記入担当者や店舗の販売員等が起動操作をすることで、起動させるようにしてもよい。
また、上述の第4の実施形態では、サーバ装置5Cからアプリを取得するようにしたが、アプリは、パッド型端末に予めインストールしておいて、当該アプリで使用する上述のような必要な情報のみを、タグ情報に基づいて、サーバ装置から取得するように構成してもよい。
[その他の実施形態または変形例]
上述の実施形態の電子ペンは、電磁誘導結合方式の電子ペンであったが、この発明の電子ペンは、自身が信号発信回路を有するアクティブ静電容量方式の電子ペンであっても、勿論よい。
図27は、アクティブ静電容量方式の電子ペン1Dと、当該電子ペン1Dと共に使用されるタブレット端末2Dの位置検出装置部の主要部の回路例を示す図である。この例は、第1の実施形態における電子ペン1に代わって、電子ペン1Dが用いられる場合として示している。
この例のアクティブ静電容量方式の電子ペン1Dは、電子タグ発信器6からのタグ情報Tgを受信する無線通信部109Dを備えると共に、信号発信部100Dを備える。そして、電子ペン1Dは、位置検出用信号として所定の周波数の交流信号を、導電性材料からなる芯体1SDから送出すると共に、付加情報として、筆圧情報、ペンID及び電子タグ発信器6から受信したタグ情報Tgを、芯体1SDから送出する。
タブレット端末2Dの位置検出装置部20Dは、図27に示すように、センサ部22Dと、このセンサ部22Dに接続される座標データ形成部201Dと、コントローラ(図27では図示を省略)で構成されている。
センサ部22Dは、下層側から順に、第1の導体群、絶縁層(図示は省略)、第2の導体群を積層して形成されたものである。第1の導体群は、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体221Y1、221Y2、…、221Ym(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。また、第2の導体群は、第1の導体221Y1、221Y2、…、221Ymの延在方向に対して交差する方向、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の導体222X1、222X2、…、222Xn(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
座標データ形成部201Dは、センサ部22Dとの入出力インターフェースとされる選択回路223Dと、増幅回路2013Dと、バンドパスフィルタ2014Dと、検波回路2015Dと、サンプルホールド回路2016Dと、AD(Analog to Digital)変換回路2017Dと、処理制御回路2010Dとからなる。
選択回路223Dは、処理制御回路2010Dからの制御信号に基づいて、第1の導体群221Y1、221Y2、…、221Ymおよび第2の導体群222X1、222X2、…、222Xnの中からそれぞれ1本の導体を選択する。選択回路223Dにより選択された導体は増幅回路2013Dに接続され、電子ペン1Dからの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路2013Dにより増幅される。この増幅回路2013Dの出力はバンドパスフィルタ2014Dに供給されて、電子ペン1Dから送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
バンドパスフィルタ2014Dの出力信号は検波回路2015Dによって検波される。この検波回路2015Dの出力信号はサンプルホールド回路2016Dに供給されて、処理制御回路2010Dからのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路2017Dによってデジタル値に変換される。AD変換回路2017Dからのデジタルデータは処理制御回路2010Dによって読み取られる。
制御回路2010Dは、AD変換回路2017Dからのデジタルデータから、電子ペン1Dによって指示されたセンサ部22D上の位置座標(電子ペン1Dによる指示位置の情報)を検出すると共に、電子ペン1Dから送られてくる筆圧情報、ペンID及びタグ情報などからなる付加情報を検出する。そして、処理制御回路2010Dは、検出した電子ペン1Dによる指示位置の情報と、付加情報とを、図示を省略したコントローラに供給する。コントローラは、受け取った電子ペン1Dによる指示位置の情報や付加情報を、上述した実施形態の場合と同様にして、その記憶部に記憶したり、外部に出力したりする。
この例の電子ペン1Dは、図28(C)に示すように、位置検出用信号送信期間と付加情報送信期間を1周期とするパターンの信号を繰り返し出力するようにする。図28(A)は、電子ペン1Dにおける送信制御信号の例を示すものである。この図28(A)の送信制御信号のハイレベルを維持する一定期間は、位置検出用信号送信期間として、この期間では、図28(B)に示すように、所定の周波数の発振信号をバースト信号として連続送信する。
位置検出用信号送信期間の長さは、タブレット端末2Dの座標データ形成部201Dにおいて、電子ペン1Dによるセンサ部22D上の指示位置を検出することが可能な時間長とされ、例えば第1の導体221Y及び第2の導体222Xの全てを1回以上、好ましくは複数回以上スキャンすることができる時間長とされる。
そして、電子ペン1Dにおいては、図28(A)に示すように、位置検出用信号送信期間の終了後の付加情報送信期間において、送信制御信号を所定の周期(Td)でハイレベルまたはローレベルに制御することにより、所定の周波数の交流信号をASK(Amplitude Shift Keying)変調する。ASK変調の代わりに、OOK(On Off Keying)信号とするようにしてもよい。
このとき、位置検出用信号送信期間の後の所定の周期(Td)の初回は必ずハイレベルとし、それを図28(C)のスタート信号とする。このスタート信号は、以降の付加情報送出タイミングをタブレット端末2Dの座標データ形成部201Dで正確に判定することができるようにするためのタイミング信号である。なお、このスタート信号に代えて、位置検出用信号送信期間のバースト信号をタイミング信号として利用することもできる。
電子ペン1Dは、付加情報送信期間において、スタート信号に続いて、複数ビットの筆圧情報、複数ビットのペンID及び複数ビットのタグ情報を順次送信する。この場合に、図28(A)及び(B)に示すように、送信データ(2進コード)が「0」のときは、送信制御信号(図28A)をローレベルとして交流信号の送出はせず、送信データ(2進コード)が「1」のときは送信制御信号をハイレベルとして交流信号を送出するように制御して、ASK変調を行うようにする。
タブレット端末2Dの座標データ形成部においては、処理制御回路2010Dは、位置検出用信号送信期間の受信信号から、電子ペン1Dによる指示位置を検出する。そして、処理制御回路2010Dは、位置検出用信号送信期間の終了を待ち、スタート信号を検出したら、付加情報送信期間の筆圧情報、ペンID及タグ情報のデータを検出して、それらを復元する動作を行う。そして、処理制御回路2010Dは、電子ペン1Dによる指示位置の情報と、筆圧情報と、ペンID及タグ情報を、コントローラに出力するようにする。
なお、電子タグ発信器(電子ペン用電子タグ発信器、タブレット端末用電子タグ発信器のいずれでもよい)は、腕輪やネックレスなど、人が身に着けるものに内蔵させたり、ポケットに入れて所持することができる小型のものにしたりすることで、電子ペンやタブレット端末を操作する利用者が、装着あるいは所持するようにしてもよい。
そのようにした場合には、例えば上述の第4の実施形態の第2の例および第3の例においては、クレジット決済ができる店舗には、利用者が装着あるいは所持する電子タグ発信器からのタグ情報を受信することができる電子ペンとタブレット端末を用意して設置しておくようにすれば、決済をしようとする利用者は、電子タグ発信器を装着あるいは所持することで、当該店舗でのクレジット決済が可能となる。
例えば、電子ペン用電子タグ発信器とタブレット端末用電子タグ発信器を内蔵する装身具を身に着けて、店舗に赴き、店舗に用意されている電子タグ発信器からのタグ情報の受信機能を有する電子ペンとタブレット端末を用いてクレジット決済をすることができる。
具体的には、サーバ装置5Cを通じて、タブレット端末用電子タグ発信器に関連付けられている情報が使用言語に関する情報で、電子ペン用電子タグ発信器に関連付けられている情報が利用者個人のクレジット決済に関する情報であるとする。利用者が店舗に備えられている電子ペンとタブレット端末に近づくと、サーバ装置5Cを通じて、タブレット端末には、利用者の使用する言語で店舗案内が表示され、電子ペンをタブレット端末に近づけると利用者のクレジット情報が表示されると共に、サーバ装置5Cを通してサイン認証がなされ、クレジット決済が行われる。
なお、電子タグ発信器の設置場所は、病室や店舗や工場などの固定的な場所だけではなく、自動車(タクシーなど)の車内など、移動体であってもよい。