以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.レンズの基本構成
2.作用・効果
3.撮像装置への適用例
4.レンズの数値実施例
5.応用例
6.その他の実施の形態
<1.レンズの基本構成>
ミラーレスデジタルカメラと呼ばれる、カメラ本体内にクイックリターンミラーを持たないレンズ交換式デジタルカメラが注目されている。ミラーレスデジタルカメラは、最も像面側に配置されたレンズから撮像素子までの距離(バックフォーカス)が従来のレフレックスカメラより短いという一般的特徴を有する。ミラーレスデジタルカメラの普及に伴い、バックフォーカスが短いという特徴を生かした光学全長が短い小型の撮像レンズの開発が求められている。
従来から提案されているレトロフォーカスタイプの撮像レンズは、フランジバックを確保しながら広角化が比較的容易であるではあるものの、長いフランジバックが必要ではないミラーレスタイプのカメラシステムにとってはレンズシステムの大型化につながり小型化の制約となっている。
特許文献1(特開2016-012034号公報)に記載の光学系では、後群を開口絞りに対して対称なガウスタイプの構成とすることで、大口径化に伴う諸収差を補正している。一方、像面側は正の屈折力が強く全長短縮には不利な構成となっている。さらに、特許文献1に記載の光学系では、フォーカス群内に開口絞りを含む構成となっており、フォーカス群の重量が重くなりAF(オートフォーカス)時のアクチュエータへの負荷が大きい。
特許文献2(特開2016-126279号公報)に記載の光学系では、開口絞りを固定とすることでフォーカス群を軽量化している一方、後群はガウスタイプに近い対称な光学系を維持しているため、像面側の正の屈折力が強く、全長短縮には不利な構成となっている。
そこで、全長の短縮化、および大口径化を可能とする広角レンズの開発が望まれる。
以下の本開示の一実施の形態に係る撮像レンズは、例えばミラーレスデジタルカメラに用いられる広角レンズに適している。
図1は、本実施の形態に係る第1の構成例の撮像レンズ1を示している。図4は、第2の構成例の撮像レンズ2を示している。図7は、第3の構成例の撮像レンズ3を示している。図10は、第4の構成例の撮像レンズ4を示している。図13は、第5の構成例の撮像レンズ5を示している。これらの構成例に具体的な数値を適用した数値実施例は後述する。図1等において、Z1は光軸を示す。撮像レンズ1~5と像面IMGとの間には、撮像素子保護用のカバーガラス等の光学部材が配置されていてもよい。また、カバーガラスの他にも、ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等の各種の光学フィルタが配置されていてもよい。
以下、本開示の一実施の形態に係る撮像レンズの構成を、適宜図1等に示した各構成例の撮像レンズ1~5に対応付けて説明するが、本開示による技術は、図示した構成例に限定されるものではない。
本実施の形態に係る撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、少なくとも、第1群GR1と、第2群GR2とを備えている。F値を決定する開口絞りStは、第2群GR2よりも物体側に配置されている。
第1群GR1は、合焦時に像面IMGに対して固定とされている。
第2群GR2は、複数のレンズ成分を有し、全体として正の屈折力を有している。第2群GR2は、第1群GR1よりも像面側に配置されると共に、合焦時に光軸方向に沿って移動する。なお、図1、図4、図7、図10、および図13では、無限遠合焦時のレンズ配置を示している。近距離へと合焦する際には、第2群GR2は物体側に移動する。
ここで、本開示において、「レンズ成分」とは単レンズに限らず、接合レンズをも含む意味である。
第2群GR2は、物体側より順に、前群(第2a群GR2a)と、後群(第2b群GR2b)とで構成されている。
第2a群GR2aは、全体として正の屈折力を有している。第2b群GR2bは、少なくとも2組の負のレンズ成分を有し、全体として負の屈折力を有している。
その他、本実施の形態に係る撮像レンズは、後述する所定の条件式等を満足することが望ましい。
<2.作用・効果>
次に、本実施の形態に係る撮像レンズの作用および効果を説明する。併せて、本実施の形態に係る撮像レンズにおける望ましい構成を説明する。
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
本実施の形態に係る撮像レンズによれば、全体として少なくとも2つの群で構成し、各群の構成の最適化を図るようにしたので、全長の短縮化と大口径化とが可能となる。本実施の形態に係る撮像レンズによれば、高い結像性能を保ちながら大口径化が可能であり、かつ、バックフォーカスが短く小型の広角レンズを実現することができる。
本実施の形態に係る撮像レンズは、正または負の第1群GR1と正の第2群GR2とを有するレトロフォーカスタイプの構成となっている。このレトロフォーカスタイプの構成において、第2群GR2を、前群(第2a群GR2a)と後群(第2b群GR2b)とで構成し、像面側に負の屈折力を配置することで、広画角でかつ高い結像性能を達成しつつバックフォーカスを短縮し、小型にすることが可能になる。
本実施の形態に係る撮像レンズでは、F値を決定する開口絞りStを第2群GR2よりも物体側に配置することが、小絞り時の周辺光量特性がよく、また合焦時に可動する第2群GR2とも分離できるため、好ましい。
また、本実施の形態に係る撮像レンズでは、負の屈折力を有する後群(第2b群GR2b)に少なくとも2組の負のレンズ成分を配置することで、非点収差、コマ収差、および倍率色収差といった軸外収差を適切に補正することが可能になる。なお、小型化の観点では、第2b群GR2bにおいて、負のレンズ成分が2組のみで構成されるとさらに好ましい。
本実施の形態に係る撮像レンズは、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
-2<f2b/f2a<0 ……(1)
ただし、
f2a:前群(第2a群GR2a)の焦点距離(f2a>0)
f2b:後群(第2b群GR2b)の焦点距離(f2b<0)
とする。
条件式(1)は、第2群GR2内の物体側に配置された第2a群GR2aと像面側に配置された第2b群GR2bとの焦点距離を適切に設定するための条件式である。条件式(1)を満足することで、光学系の射出瞳位置を像面側に近づけることが可能となり、光学系の全長を短縮することができる。条件式(1)において下限値を下回った場合、第2b群GR2bの負の屈折率が相対的に弱くなってしまい、光学系の射出瞳位置を像面側に十分に近づけることが困難となる。このため光学全長が長くなり好ましくない。
なお、条件式(1)の下限値は、-1.9とすることで、全長短縮効果が強くなるので、好ましい。さらに、条件式(1)の下限値は、-1.8とすることで、全長短縮効果がさらに強くなるので、より好ましい。
また、条件式(1)の上限値は、-1.0とすることで第2群GR2により発生するコマ収差や非点収差を抑制することができるので、好ましい。さらに、条件式(1)の上限値は、-1.2とすることで第2群GR2により発生するコマ収差や非点収差をさらに抑制することができので、より好ましい。
また、本実施の形態に係る撮像レンズでは、第2a群GR2aの最も像面側に、第2群GR2内の複数のレンズ成分のうち、最も強い正の屈折力を有するレンズ成分が配置されていることが望ましい。一般的なレトロフォーカス光学系では、第2群GR2の最も像面側に強い正の屈折力を配置するのに対し、本実施の形態に係る撮像レンズでは、第2群GR2内において像面側に負の屈折力を配置することで全長の短縮化を図っている。その際、上記のように第2a群GR2aの最も像面側に強い正の屈折力を有するレンズ成分を配置することで、全長短縮時にも高い結像性能を保つことが可能になる。
また、本実施の形態に係る撮像レンズでは、第2b群GR2bにおいて、少なくとも2組の負のレンズ成分が、物体側より順に連続して配置されていることが好ましい。この構成により、第2b群GR2bに負の屈折力を持たせつつ非点収差やコマ収差といった軸外の単色収差と倍率色収差とを適切に補正することができる。また、小型化の観点では物体側より連続配置する負のレンズ成分は2枚の負レンズであるとより望ましい。
また、本実施の形態に係る撮像レンズでは、第2b群GR2bにおいて、少なくとも2組の負のレンズ成分のうち、最も像面側に配置された負のレンズ成分が、光軸Z1からレンズ周辺部に向かって負の屈折力が強くなるように形成された非球面レンズであることが望ましい。本実施の形態に係る撮像レンズの構成において、光学全長の短縮を図る場合、負の像面湾曲が発生しやすくなる。その際、第2b群GR2bにおける最も像面側に配置された負のレンズ成分では、軸上の光線高さと軸外の光線高さとの差が大きくなる。このため、第2b群GR2bにおいて、最も像面側の負のレンズ成分として、周辺部において負の屈折力が強くなる非球面レンズを配置することでレンズ枚数を大幅に増加させることなく像面湾曲を補正することが可能になり、小型化と高い結像性能を同時に達成することができる。また、本実施の形態に係る撮像レンズでは、従来のレトロフォーカスタイプの構成に対して、第2b群GR2bに負の屈折力を有するため、光学系全体が対称系に近くなり、歪曲収差をはじめとした軸外収差の補正に対して有利である。さらに上記のような非球面形状を付与することで歪曲収差の補正効果も高まり、光学系全体の小型化が可能になる。
また、本実施の形態に係る撮像レンズでは、第2群GR2の複数のレンズ成分の1つとして、第2a群GR2a内で最も像面側に配置された正レンズを含むことが望ましい。第2a群GR2a内で最も像面側に正レンズが配置されることで、球面収差およびコマ収差を補正しつつ正の屈折力を持つ第2群GR2の像面側に負の屈折力を配置することができ、結果として全長の短縮が可能となる。
本実施の形態に係る撮像レンズは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
1.8<nd2ap ……(2)
ただし、
nd2ap:前群(第2a群GR2a)内で最も像面側に配置された正レンズのd線に対する屈折率
とする。
条件式(2)は、第2a群GR2a内で最も像面側に配置された正レンズの屈折率を適切に設定するための条件式である。条件式(2)の下限を下回ると、第2a群GR2a内で最も像面側に配置された正レンズの正の屈折力が弱くなってしまい、結果として第2b群GR2bの負の屈折力も弱まり、全長短縮化に対して好ましくない。
また、本実施の形態に係る撮像レンズにおいて、第2a群GR2aは、複数のレンズ成分の1つとして、負レンズと正レンズとからなる接合レンズを少なくとも1組含むことが望ましい。この場合、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
νp>80 ……(3)
ただし、
νp:第2a群GR2a内の接合レンズにおける正レンズのアッベ数
とする。
第2a群GR2aが、上記の構成をとることで、軸上色収差および倍率色収差を効果的に補正することができる。
また、本実施の形態に係る撮像レンズにおいて、開口絞りStは、合焦時に像面に対して固定されていることが望ましい。開口絞りStの位置を第2群GR2よりも物体側に配置し、かつ合焦時に像面IMGに対して固定とすることで、合焦時のアクチュエータへの負荷を軽くすることが可能となり、レンズシステムの小型化およびAF(オートフォーカス)の高速化に対して望ましい。
また、本実施の形態に係る撮像レンズは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
1.0<f2/f<3.0 ……(4)
ただし、
f2:第2群GR2の焦点距離
f:全系の焦点距離
とする。
条件式(4)は、本実施の形態に係る撮像レンズにおける第2群GR2の相対的な屈折力を規定する式であり、第2群GR2で合焦をする際に解像性能と小型化とを両立するための条件式である。条件式(4)の下限を下回ると、第2群GR2の屈折力が強くなりすぎ、合焦に際して無限遠から至近距離までの球面収差およびコマ収差の補正が困難になり好ましくない。条件式(4)の上限を上回ると、第2群GR2の屈折力が弱くなりすぎ、フォーカシング時の第2群GR2の移動距離が長くなるため光学系の全長拡大につながり好ましくない。
なお、条件式(4)の下限値は、1.3とすることで、合焦に際して無限遠から至近距離までの球面収差およびコマ収差変動の抑制が容易となるので、好ましい。また、条件式(4)の下限値は、1.5とすることで、合焦に際して無限遠から至近距離までの球面収差およびコマ収差変動の抑制がさらに容易となるので、より好ましい。
また、条件式(4)の上限値は、2.6とすることで、合焦に際する第2群GR2の移動距離が長くなりすぎず、好ましい。さらに、条件式(4)の上限値は、2.3とすることで、合焦に際する第2群GR2の移動距離がさらに長くなりすぎず、より好ましい。
(より望ましい構成)
本実施の形態に係る撮像レンズは、さらに以下のような構成にすることがより望ましい。
第1群GR1の最も物体側には、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズが配置されることが、歪曲収差を補正しつつ広角化する上で望ましい。さらに上記負のメニスカスレンズを非球面レンズとすることで、歪曲収差の補正効果が高くなり、より望ましい。
第1群GR1は、物体側より少なくとも2枚の負レンズが連続して配置されることで、軸外の収差、特に、歪曲収差と非点収差との発生を抑える上で望ましい。上記の2枚の負レンズのうち少なくとも1枚は、アッベ数が80以上のレンズ硝材とすることが望ましい。これにより、倍率色収差を適切に補正することができる。
また、第1群GR1は、全体として正の屈折力(後述の実施例1,2,3,5)でも負の屈折力(後述の実施例4)どちらでも良い。
第2群GR2は、物体側より正レンズおよび負レンズの順で並ぶ接合レンズが2組連続配置される構成が球面収差を良好に保ちつつ、軸上色収差と倍率色収差とを良好に補正するために最も効果が高い(後述の実施例1,3,4,5)。なお、上記の2組の接合レンズに代えて、1枚の単レンズと、3枚のレンズを互いに張り合わせた3枚1組の接合レンズとから構成しても効果は同じである。
本実施の形態に係る撮像レンズにおいて、合焦に際しては、第2群GR2を一体で可動させることがメカ機構の簡易化を図れるため最も望ましい。ただし、合焦時に像面湾曲の変動をより抑制するために、第2群GR2内の複数のレンズ成分を、所定の空気間隔を隔てて2つ以上のフォーカス群に分け、各フォーカス群を異なる移動比で移動させるいわゆるフローティングフォーカスを採用しても良い。
第2群GR2より像面側には、像面IMGに対して固定された第3群GR3を配置(後述の実施例1,2,4)してもよいし、全体として2群構成(後述の実施例3,5)としても良い。第3群GR3を追加することで、レンズ交換式カメラにおいてレンズの防塵性能を高めることが可能になる。また、全体として2群構成にした場合は、第2群GR2を像面IMGにより近づけることが可能になり、光学系全体の全長をより短縮することが可能になる。
<3.撮像装置への適用例>
次に、本実施の形態に係る撮像レンズ1~5の撮像装置への適用例を説明する。
図16は、本実施の形態に係る撮像レンズ1~5を適用した撮像装置100の一構成例を示している。この撮像装置100は、例えばデジタルスチルカメラであり、カメラブロック10と、カメラ信号処理部20と、画像処理部30と、LCD(Liquid Crystal Display)40と、R/W(リーダ/ライタ)50と、CPU(Central Processing Unit)60と、入力部70と、レンズ駆動制御部80とを備えている。
カメラブロック10は、撮像機能を担うものであり、撮像レンズ11を含む光学系と、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子12とを有している。撮像素子12は、撮像レンズ11によって形成された光学像を電気信号へ変換することで、光学像に応じた撮像信号(画像信号)を出力するようになっている。撮像レンズ11として、図1、図4、図7、図10、および図13に示した各構成例の撮像レンズ1~5を適用可能である。
カメラ信号処理部20は、撮像素子12から出力された画像信号に対してアナログ-デジタル変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行うものである。
画像処理部30は、画像信号の記録再生処理を行うものであり、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行うようになっている。
LCD40は、ユーザの入力部70に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。R/W50は、画像処理部30によって符号化された画像データのメモリカード1000への書き込み、およびメモリカード1000に記録された画像データの読み出しを行うものである。メモリカード1000は、例えば、R/W50に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリーである。
CPU60は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能するものであり、入力部70からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御するようになっている。入力部70は、ユーザによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等からなる。入力部70は例えば、シャッタ操作を行うためのシャッタレリーズボタンや、動作モードを選択するための選択スイッチ等によって構成され、ユーザによる操作に応じた指示入力信号をCPU60に対して出力するようになっている。レンズ駆動制御部80は、カメラブロック10に配置されたレンズの駆動を制御するものであり、CPU60からの制御信号に基づいて撮像レンズ11の各レンズを駆動する図示しないモータ等を制御するようになっている。
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
撮影の待機状態では、CPU60による制御の下で、カメラブロック10において撮影された画像信号が、カメラ信号処理部20を介してLCD40に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、例えば入力部70からのズーミングやフォーカシングのための指示入力信号が入力されると、CPU60がレンズ駆動制御部80に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部80の制御に基づいて撮像レンズ11の所定のレンズが移動する。
入力部70からの指示入力信号によりカメラブロック10の図示しないシャッタが動作されると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部20から画像処理部30に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W50に出力され、メモリカード1000に書き込まれる。
なお、フォーカシングは、例えば、入力部70のシャッタレリーズボタンが半押しされた場合や記録(撮影)のために全押しされた場合等に、CPU60からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部80が撮像レンズ11の所定のレンズを移動させることにより行われる。
メモリカード1000に記録された画像データを再生する場合には、入力部70に対する操作に応じて、R/W50によってメモリカード1000から所定の画像データが読み出され、画像処理部30によって伸張復号化処理が行われた後、再生画像信号がLCD40に出力されて再生画像が表示される。
なお、上記した実施の形態においては、撮像装置をデジタルスチルカメラ等に適用した例を示したが、撮像装置の適用範囲はデジタルスチルカメラに限られることはなく、他の種々の撮像装置に適用可能である。例えば、デジタル一眼レフカメラ、デジタルノンレフレックスカメラ、デジタルビデオカメラ、および監視カメラ等に適用することができる。また、カメラが組み込まれた携帯電話や、カメラが組み込まれた情報端末等のデジタル入出力機器のカメラ部等として広く適用することができる。また、レンズ交換式のカメラにも適用することができる。
<4.レンズの数値実施例>
次に、本実施の形態に係る撮像レンズ1~5の具体的な数値実施例について説明する。ここでは、図1、図4、図7、図10、および図13に示した各構成例の撮像レンズ1~5に、具体的な数値を適用した数値実施例を説明する。
なお、以下の各表や説明において示した記号の意味等については、下記に示す通りである。「Si」は物体側から数えてi番目の面を意味する面番号を示す。「ri」は物体側から数えて第i番目の面の曲率半径を示す(単位:mm)。「di」は物体側から数えて第i番目の面と第i+1番目の面との間の軸上面間隔を示す(単位:mm)。「ni」は物体側に第i面を有する硝材または素材のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示す。「νi」は物体側に第i面を有する硝材または素材のd線に対するアッベ数を示す。曲率半径に関し「∞」は、当該面が平面であることを示す。面番号の欄の「ASP」は、当該面が非球面形状で構成されていることを示す。面番号の欄の「STO」は該当位置に開口絞りStが配置されていることを示す。「f」はレンズ全系の焦点距離を示す(単位:mm)。「Fno」は開放F値(Fナンバー)を示す。「ω」は半画角を示す(単位:°)。「β」は撮影倍率を示す。また、「E-i」は10を底とする指数表現、すなわち、「10-i」を表しており、例えば、「0.12345E-05」は「0.12345×10-5」を表している。
また、各数値実施例において用いられるレンズには、レンズ面が非球面によって構成されるものがある。レンズ面の頂点から光軸方向の距離(サグ量)を「x」、光軸と垂直な方向の高さを「y」、レンズ頂点での近軸曲率を「c」、円錐(コーニック)定数を「k」とすると、非球面は、
x=y2c2/(1+(1-(1+k)y2c2)1/2)
+A4・y4+A6・y6+A8・y8+A10・y10+A12・y12
によって定義されるものとする。なお、A4、A6、A8、A10およびA12は、それぞれ第4次、第6次、第8次、第10次および第12次の非球面係数である。
[各数値実施例に共通の構成]
以下の数値実施例1~5が適用される撮像レンズ1~5はいずれも、上記した<1.レンズの基本構成>を満足した構成となっている。
すなわち、撮像レンズ1~5はいずれも、物体側から像面側に向かって順に、少なくとも、第1群GR1と、第2群GR2とを備えている。開口絞りStは、第2群GR2よりも物体側に配置されている。
第1群GR1は、合焦時に像面IMGに対して固定とされている。
第2群GR2は、複数のレンズ成分を有し、全体として正の屈折力を有している。第2群GR2は、第1群GR1よりも像面側に配置されると共に、合焦時に光軸方向に沿って移動する。第2群GR2は、物体側より順に、前群(第2a群GR2a)と、後群(第2b群GR2b)とで構成されている。
第2a群GR2aは、全体として正の屈折力を有している。第2b群GR2bは、少なくとも2組の負のレンズ成分を有し、全体として負の屈折力を有している。
[数値実施例1]
[表1]に、図1に示した撮像レンズ1に具体的な数値を適用した数値実施例1の基本的なレンズデータを示す。また、[表2]には、非球面における係数(k,A4,A6,A8,A10,A12)の値を示す。また、[表3]には、無限遠合焦時と近距離合焦時とにおける焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)、および撮影倍率(β)を示す。[表3]にはさらに、無限遠合焦時と近距離合焦時とで可変となる面間隔の値を示す。また、[表4]には、各群の開始面の番号と各群の焦点距離とを示す。また、[表5]には、第2群GR2中の第2a群GR2aと第2b群GR2bとのそれぞれの開始面の番号と焦点距離とを示す。
数値実施例1に係る撮像レンズ1は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1群GR1と、正の屈折力を有する第2群GR2と、正の屈折力を有する第3群GR3とから構成されている。
第1群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両面が凹面の負レンズL12と、両面が凸面の正レンズL13と、両面が凹面の負レンズL14と、両面が凸面の正レンズL15と、開口絞りStとから構成されている。負メニスカスレンズL11は、両面に非球面形状が形成された非球面レンズである。負レンズL12と正レンズL13は、互いに貼り合わされて接合レンズを形成する。
以上のように、第1群GR1は、5枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、4つのレンズ成分より構成されている。
第2群GR2は、物体側から像面側に向かって順に、両面が凸面の正レンズL21と、両面が凹面の負レンズL22と、両面が凸面の正レンズL23と、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と、両面が凸面の正レンズL25と、物体側に凸面を向けた負レンズL26と、両面が凹面の負レンズL27とから構成されている。正レンズL21と負レンズL22は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。また、正レンズL23と負メニスカスレンズL24は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。負レンズL27は、両面に非球面が形成された非球面レンズである。
以上のように、第2群GR2は、7枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成される。また、第2群GR2は、最も物体側の正レンズL21から最も正の屈折力が強いレンズ成分である正レンズL25までが前群(第2a群GR2a)となっている。負レンズL26と負レンズL27とが、後群(第2b群GR2b)となっている。
第3群GR3は、両面が凸面の正レンズL31のみから構成されている。
無限遠から近距離への合焦に際しては、第2群GR2が光軸方向に移動する。なお、合焦に際しては第2群GR2内の複数のレンズ成分を、所定の空気間隔を隔てて、前後に2のフォーカス群に分け、各フォーカス群を異なる移動比で移動させるいわゆるフローティングフォーカスを採用しても良い。例えば、負メニスカスレンズL24と正レンズL25との間の所定の空気間隔が変化するように、所定の空気間隔の前後の各レンズ成分を動かすとなおよい。
数値実施例1に係る撮像レンズ1では、以上の構成により、F1.4という大口径を実現しつつ小型化を実現している。
図2には、数値実施例1における無限遠合焦時の諸収差を示す。図3には、数値実施例1における近距離合焦時の諸収差を示す。図2および図3には、諸収差として、球面収差、非点収差(像面湾曲)、および歪曲収差を示す。球面収差図では、一点鎖線はC線(波長545.3nm)、実線はd線(波長587.6nm)、破線はg線(波長435.8nm)における値を示す。非点収差図では、実線(S)はd線のサジタル像面、破線(M)はd線のメリディオナル像面をにおける値を示す。歪曲収差図では、d線における値を示す。以降の他の数値実施例における収差図についても同様である。
各収差図から分かるように、数値実施例1に係る撮像レンズ1は、無限遠合焦時、および近距離合焦時において、各収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
[数値実施例2]
[表6]に、図4に示した撮像レンズ2に具体的な数値を適用した数値実施例2の基本的なレンズデータを示す。また、[表7]には、非球面における係数(k,A4,A6,A8,A10,A12)の値を示す。また、[表8]には、無限遠合焦時と近距離合焦時とにおける焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)、および撮影倍率(β)を示す。[表8]にはさらに、無限遠合焦時と近距離合焦時とで可変となる面間隔の値を示す。また、[表9]には、各群の開始面の番号と各群の焦点距離とを示す。また、[表10]には、第2群GR2中の第2a群GR2aと第2b群GR2bとのそれぞれの開始面の番号と焦点距離とを示す。
数値実施例2に係る撮像レンズ2は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1群GR1と、正の屈折力を有する第2群GR2と、正の屈折力を有する第3群GR3とから構成されている。
第1群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、両面が凹面の負レンズL14と、両面が凸面の正レンズL15と、両面が凸面の正レンズL16と、開口絞りStとから構成されている。負メニスカスレンズL11は、両面に非球面形状が形成された非球面レンズである。負レンズL14と正レンズL15は、互いに貼り合わされて接合レンズを形成する。
以上のように、第1群GR1は、6枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成されている。
第2群GR2は、物体側から像面側に向かって順に、両面が凸面の正レンズL21と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22と、両面が凹面の負レンズL23と、両面が凸面の正レンズL24と、両面が凹面の負レンズL25と、両面が凹面の負レンズL26とから構成されている。正メニスカスレンズL22と負レンズL23は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。負レンズL26は、両面に非球面が形成された非球面レンズである。
以上のように、第2群GR2は、6枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成される。また、第2群GR2は、最も物体側の正レンズL21から最も正の屈折力が強いレンズ成分である正レンズL24までが前群(第2a群GR2a)となっている。負レンズL25と負レンズL26とが、後群(第2b群GR2b)となっている。
第3群GR3は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL31のみから構成されている。
無限遠から近距離への合焦に際しては、第2群GR2が光軸方向に移動する。なお、合焦に際しては第2群GR2内の複数のレンズ成分を、所定の空気間隔を隔てて、前後に2のフォーカス群に分け、各フォーカス群を異なる移動比で移動させるいわゆるフローティングフォーカスを採用しても良い。例えば、負レンズL23と正レンズL24との間の所定の空気間隔が変化するように、所定の空気間隔の前後の各レンズ成分を動かすとなおよい。
数値実施例2に係る撮像レンズ2では、以上の構成により、F1.4という大口径を実現しつつ小型化を実現している。
図5には、数値実施例2における無限遠合焦時の諸収差を示す。図6には、数値実施例2における近距離合焦時の諸収差を示す。
各収差図から分かるように、数値実施例2に係る撮像レンズ2は、無限遠合焦時、および近距離合焦時において、各収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
[数値実施例3]
[表11]に、図7に示した撮像レンズ3に具体的な数値を適用した数値実施例3の基本的なレンズデータを示す。また、[表12]には、非球面における係数(k,A4,A6,A8,A10,A12)の値を示す。また、[表13]には、無限遠合焦時と近距離合焦時とにおける焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)、および撮影倍率(β)を示す。[表13]にはさらに、無限遠合焦時と近距離合焦時とで可変となる面間隔の値を示す。また、[表14]には、各群の開始面の番号と各群の焦点距離とを示す。また、[表15]には、第2群GR2中の第2a群GR2aと第2b群GR2bとのそれぞれの開始面の番号と焦点距離とを示す。
数値実施例3に係る撮像レンズ3は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1群GR1と、正の屈折力を有する第2群GR2とから構成されている。
第1群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、両面が凹面の負レンズL14と、両面が凸面の正レンズL15と、両面が凸面の正レンズL16と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL17と、開口絞りStとから構成されている。負メニスカスレンズL11は、両面に非球面形状が形成された非球面レンズである。負メニスカスレンズL12と正メニスカスレンズL13は、互いに貼り合わされて接合レンズを形成する。
以上のように、第1群GR1は、7枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成されている。
第2群GR2は、物体側から像面側に向かって順に、両面が凸面の正レンズL21と、両面が凹面の負レンズL22と、両面が凸面の正レンズL23と、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と、両面が凸面の正レンズL25と、両面が凹面の負レンズL26と、物体側の面の近軸曲率が0で像面側に凹面を向けた負レンズL27とから構成されている。正レンズL21と負レンズL22は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。また、正レンズL23と負メニスカスレンズL24は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。負レンズL27は、両面に非球面が形成された非球面レンズである。
以上のように、第2群GR2は、7枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成される。また、第2群GR2は、最も物体側の正レンズL21から最も正の屈折力が強いレンズ成分である正レンズL25までが前群(第2a群GR2a)となっている。負レンズL26と負レンズL27とが、後群(第2b群GR2b)となっている。
無限遠から近距離への合焦に際しては、第2群GR2が光軸方向に移動する。なお、合焦に際しては第2群GR2内の複数のレンズ成分を、所定の空気間隔を隔てて、前後に2のフォーカス群に分け、各フォーカス群を異なる移動比で移動させるいわゆるフローティングフォーカスを採用しても良い。例えば、負メニスカスレンズL24と正レンズL25との間の所定の空気間隔が変化するように、所定の空気間隔の前後の各レンズ成分を動かすとなおよい。
数値実施例3に係る撮像レンズ3では、以上の構成により、F1.4という大口径を実現しつつ小型化を実現している。
図8には、数値実施例3における無限遠合焦時の諸収差を示す。図9には、数値実施例3における近距離合焦時の諸収差を示す。
各収差図から分かるように、数値実施例3に係る撮像レンズ3は、無限遠合焦時、および近距離合焦時において、各収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
[数値実施例4]
[表16]に、図10に示した撮像レンズ4に具体的な数値を適用した数値実施例4の基本的なレンズデータを示す。また、[表17]には、非球面における係数(k,A4,A6,A8,A10,A12)の値を示す。また、[表18]には、無限遠合焦時と近距離合焦時とにおける焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)、および撮影倍率(β)を示す。[表18]にはさらに、無限遠合焦時と近距離合焦時とで可変となる面間隔の値を示す。また、[表19]には、各群の開始面の番号と各群の焦点距離とを示す。また、[表20]には、第2群GR2中の第2a群GR2aと第2b群GR2bとのそれぞれの開始面の番号と焦点距離とを示す。
数値実施例4に係る撮像レンズ4は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1群GR1と、正の屈折力を有する第2群GR2と、正の屈折力を有する第3群GR3とから構成されている。
第1群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、両面が凸面の正レンズL13と、両面が凹面の負レンズL14と、両面が凹面の負レンズL15と、両面が凸面の正レンズL16と、開口絞りStとから構成されている。負メニスカスレンズL11は、両面に非球面形状が形成された非球面レンズである。正レンズL13と負レンズL14は、互いに貼り合わされて接合レンズを形成する。
以上のように、第1群GR1は、6枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成されている。
第2群GR2は、物体側から像面側に向かって順に、両面が凸面の正レンズL21と、両面が凹面の負レンズL22と、両面が凸面の正レンズL23と、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と、両面が凸面の正レンズL25と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL26と、両面が凹面の負レンズL27とから構成されている。正レンズL21と負レンズL22は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。また、正レンズL23と負メニスカスレンズL24は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。負レンズL27は、両面に非球面が形成された非球面レンズである。
以上のように、第2群GR2は、7枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成される。また、第2群GR2は、最も物体側の正レンズL21から最も正の屈折力が強いレンズ成分である正レンズL25までが前群(第2a群GR2a)となっている。負メニスカスレンズL26と負レンズL27とが、後群(第2b群GR2b)となっている。
第3群GR3は、物体側に凸面を向けた正レンズL31のみから構成されている。
無限遠から近距離への合焦に際しては、第2群GR2が光軸方向に移動する。なお、合焦に際しては第2群GR2内の複数のレンズ成分を、所定の空気間隔を隔てて、前後に2のフォーカス群に分け、各フォーカス群を異なる移動比で移動させるいわゆるフローティングフォーカスを採用しても良い。例えば、負メニスカスレンズL24と正レンズL25との間の所定の空気間隔が変化するように、所定の空気間隔の前後の各レンズ成分を動かすとなおよい。
数値実施例4に係る撮像レンズ4では、以上の構成により、F1.4という大口径を実現しつつ小型化を実現している。
図11には、数値実施例4における無限遠合焦時の諸収差を示す。図12には、数値実施例4における近距離合焦時の諸収差を示す。
各収差図から分かるように、数値実施例4に係る撮像レンズ4は、無限遠合焦時、および近距離合焦時において、各収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
[数値実施例5]
[表21]に、図13に示した撮像レンズ5に具体的な数値を適用した数値実施例5の基本的なレンズデータを示す。また、[表22]には、非球面における係数(k,A4,A6,A8,A10,A12)の値を示す。また、[表23]には、無限遠合焦時と近距離合焦時とにおける焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)、および撮影倍率(β)を示す。[表23]にはさらに、無限遠合焦時と近距離合焦時とで可変となる面間隔の値を示す。また、[表24]には、各群の開始面の番号と各群の焦点距離とを示す。また、[表25]には、第2群GR2中の第2a群GR2aと第2b群GR2bとのそれぞれの開始面の番号と焦点距離とを示す。
数値実施例5に係る撮像レンズ5は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1群GR1と、正の屈折力を有する第2群GR2とから構成されている。
第1群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両面が凹面の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と、開口絞りStと、両面が凸面の正レンズL15とから構成されている。負メニスカスレンズL11は、両面に非球面形状が形成された非球面レンズである。
以上のように、第1群GR1は、5枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、5つのレンズ成分より構成されている。
第2群GR2は、物体側から像面側に向かって順に、両面が凸面の正レンズL21と、両面が凹面の負レンズL22と、両面が凸面の正レンズL23と、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と、両面が凸面の正レンズL25と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL26と、両面が凹面の負レンズL27と、両面が凸面の正レンズL28とから構成されている。正レンズL21と負レンズL22は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。また、正レンズL23と負メニスカスレンズL24は、互いに貼りあわされて接合レンズを形成する。負レンズL27は、両面に非球面が形成された非球面レンズである。
以上のように、第2群GR2は、8枚のレンズによって構成されている。レンズ成分としては、6つのレンズ成分より構成される。また、第2群GR2は、最も物体側の正レンズL21から最も正の屈折力が強いレンズ成分である正レンズL25までが前群(第2a群GR2a)となっている。負メニスカスレンズL26と負レンズL27と正レンズL28とが、後群(第2b群GR2b)となっている。
無限遠から近距離への合焦に際しては、第2群GR2が光軸方向に移動する。なお、合焦に際しては第2群GR2内の複数のレンズ成分を、所定の空気間隔を隔てて、前後に2のフォーカス群に分け、各フォーカス群を異なる移動比で移動させるいわゆるフローティングフォーカスを採用しても良い。例えば、負メニスカスレンズL24と正レンズL25との間の所定の空気間隔が変化するように、所定の空気間隔の前後の各レンズ成分を動かすとなおよい。
数値実施例5に係る撮像レンズ5では、以上の構成により、F1.4という大口径を実現しつつ小型化を実現している。
図14には、数値実施例5における無限遠合焦時の諸収差を示す。図15には、数値実施例5における近距離合焦時の諸収差を示す。
各収差図から分かるように、数値実施例5に係る撮像レンズ5は、無限遠合焦時、および近距離合焦時において、各収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
[各実施例のその他の数値データ]
[表26]には、上述の各条件式に関する値を、各数値実施例についてまとめたものを示す。[表26]から分かるように、各条件式について、各数値実施例の値がその数値範囲内となっている。
<5.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図17に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図17では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
ここで、図18は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図18には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
図17に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
なお、図17に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
以上説明した車両制御システム7000において、本開示の撮像レンズ、および撮像装置は、撮像部7410、および撮像部7910,7912,7914,7916,7918に適用することができる。
<6.その他の実施の形態>
本開示による技術は、上記実施の形態および実施例の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。
例えば、上記各数値実施例において示した各部の形状および数値は、いずれも本技術を実施するための具体化のほんの一例に過ぎず、これらによって本技術の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
また、上記実施の形態および実施例では、実質的に少なくとも2つの群からなる構成について説明したが、実質的に屈折力を有さないレンズをさらに備えた構成であってもよい。
また例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
[1]
合焦時に像面に対して固定の第1群と、
複数のレンズ成分を有し、前記第1群よりも像面側に配置されると共に、合焦時に光軸方向に沿って移動し、全体として正の屈折力を有する第2群と、
前記第2群よりも物体側に配置された開口絞りと
を備え、
前記第2群は、物体側より順に、全体として正の屈折力を有する前群と、少なくとも2組の負のレンズ成分を有し、全体として負の屈折力を有する後群とから構成され、
以下の条件式を満足する
撮像レンズ。
-2<f2b/f2a<0 ……(1)
ただし、
f2a:前記前群の焦点距離(f2a>0)
f2b:前記後群の焦点距離(f2b<0)
とする。
[2]
前記前群の最も像面側に、前記第2群内の前記複数のレンズ成分のうち、最も強い正の屈折力を有するレンズ成分が配置されている
上記[1]に記載の撮像レンズ。
[3]
前記後群において、前記少なくとも2組の負のレンズ成分が、物体側より順に連続して配置されている
上記[1]または[2]に記載の撮像レンズ。
[4]
前記後群において、前記少なくとも2組の負のレンズ成分のうち、最も像面側に配置された負のレンズ成分は、光軸からレンズ周辺部に向かって負の屈折力が強くなるように形成された非球面レンズである
上記[1]ないし[3]のいずれか1つに記載の撮像レンズ。
[5]
前記第2群の前記複数のレンズ成分の1つとして、前記前群内で最も像面側に配置された正レンズを含み、
さらに以下の条件式を満足する
上記[1]ないし[4]のいずれか1つに記載の撮像レンズ。
1.8<nd2ap ……(2)
ただし、
nd2ap:前記前群内で最も像面側に配置された正レンズのd線に対する屈折率
とする。
[6]
前記前群は、前記複数のレンズ成分の1つとして、負レンズと正レンズとからなる接合レンズを少なくとも1組含み、
さらに以下の条件式を満足する
上記[1]ないし[5]のいずれか1つに記載の撮像レンズ。
νp>80 ……(3)
ただし、
νp:前記接合レンズにおける前記正レンズのアッベ数
とする。
[7]
前記開口絞りは、合焦時に像面に対して固定されている
上記[1]ないし[6]のいずれか1つに記載の撮像レンズ。
[8]
さらに以下の条件式を満足する
上記[1]ないし[7]のいずれか1つに記載の撮像レンズ。
1.0<f2/f<3.0 ……(4)
ただし、
f2:前記第2群の焦点距離
f:全系の焦点距離
とする。
[9]
撮像レンズと、前記撮像レンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを含み、
前記撮像レンズは、
合焦時に像面に対して固定の第1群と、
複数のレンズ成分を有し、前記第1群よりも像面側に配置されると共に、合焦時に光軸方向に沿って移動し、全体として正の屈折力を有する第2群と、
前記第2群よりも物体側に配置された開口絞りと
を備え、
前記第2群は、物体側より順に、全体として正の屈折力を有する前群と、少なくとも2組の負のレンズ成分を有し、全体として負の屈折力を有する後群とから構成され、
以下の条件式を満足する
撮像装置。
-2<f2b/f2a<0 ……(1)
ただし、
f2a:前記前群の焦点距離(f2a>0)
f2b:前記後群の焦点距離(f2b<0)
とする。
[10]
実質的に屈折力を有さないレンズをさらに備えた
上記[1]ないし[8]のいずれか1つに記載の撮像レンズ。
[11]
前記撮像レンズは、実質的に屈折力を有さないレンズをさらに備える
上記[9]に記載の撮像装置。
本出願は、日本国特許庁において2017年10月13日に出願された日本特許出願番号第2017-199501号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。