JP7136145B2 - 連続式鋼材加熱炉の冷却装置及び冷却方法 - Google Patents
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Description
これに対して、炉体内の燃焼バーナのすべてを蓄熱式切替燃焼バーナとした加熱炉の場合には、すべての蓄熱式切替燃焼バーナから、発生した排ガスの80~100%が吸引され、その吸引された排ガスは蓄熱体を通して排ガス誘引ファンに導かれ、その後、煙突に戻されて外部に排出される。一方、蓄熱式切替燃焼バーナによって吸引されなかった0~20%の排ガスは煙道に設置された炉圧ダンパを通過して煙突から外部に排出される。
なお、特許文献1に記載したような冷却水を霧状(ミスト)にして炉内に噴霧する方法においては、ミストを発生させるノズルは液滴径を小さくする必要があることから噴射できる水量をあまり大きくとれず、冷却効果が限定的であったり、ノズルが詰まってしまうことがあった。ノズルが詰まってしまうと、液滴径が大きくなり、加熱炉内に水たまりができることで、炉内耐火物を傷めるなどの問題が生じていた。
また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1において、連続式鋼材加熱炉1は、被加熱材としての鋼材Sを加熱するものであり、鋼材Sの搬送方向である炉長方法(図1の左右で示される前後方向)に延びる炉体2を備えている。この炉体2は、鋼材Sの装入側から抽出側に向けて炉長方向に沿って燃焼制御帯としての予熱帯3、第1加熱帯4、第2加熱帯5及び均熱帯6をこの順に備えている。なお、図1においては、予熱帯3の抽出側では炉体2の幅方向である左右方向が上下で図示され、予熱帯3の装入側では炉体2の高さ方向である上下方向が上下で図示されている。
また、予熱帯3、第1加熱帯4、第2加熱帯5、及び均熱帯6の各々には、複数(本実施形態にあっては6つ、上部に3つ、下部に3つ)の燃焼バーナ20が設けられている。複数の燃焼バーナ20のすべては蓄熱式燃焼切替バーナで構成されており、炉体2内の燃焼バーナ20のすべては蓄熱式燃焼切替バーナとされている。以後、この蓄熱式燃焼切替バーナを蓄熱式切替燃焼バーナ20として説明する。
また、排ガス集合管25には、すべての蓄熱式切替燃焼バーナ20からの吸引排ガスの吸引排ガス流量調整弁26と、この吸引排ガス流量調整弁26を介して吸引排ガスを吸引する吸引排ガス吸引用ファン27とが設置されている。
また、炉体2において、排ガス流れにおいて最も下流側の燃焼制御帯よりも下流側(後側)の位置、即ち予熱帯3よりも下流側の位置には、煙道8が設置されている。炉体2内において排ガスは、炉体2の抽出側から装入側に向けて流れるため、予熱帯3よりも下流側の位置というのは予熱帯3よりも装入側(図1では後側)の位置ということになる。煙道8内には、炉圧を調整するための炉圧ダンパ9が設置されている。
この冷却装置10は、前述の装入扉7a及び抽出扉7bと、炉体2の排ガス流れにおいて最も下流側の燃焼制御帯、即ち予熱帯3よりも下流側の位置に設けられた煙道8内に設置され、炉圧を調整する前述の炉圧ダンパ9及び炉圧ダンパ9を通過した炉尻排ガスを排出する前述の煙突11を備えた炉尻排ガス排出装置12とを備えている。
これに対して、炉体2の冷却を早めるためにだけに通常操業時に不必要なほど煙突を高くすることは、通常操業時の炉圧調整を困難な状況にしてしまうため、侵入空気の増加などの影響があり望ましくない。
なお、蓄熱式切替燃焼バーナ20による最大燃焼負荷時に発生する排ガス流量をXNm3/Hとしたときに、吸引排ガス吸引用ファン27は、流量が1.0XNm3/H以上で温度が300℃以下の吸引排ガスを吸引し、煙突11は、流量が1.2XNm3/H以上でかつ温度が300℃~500℃の炉尻排ガスを排出し、炉尻排ガス吸引用ファン16は、0.4XNm3/H以上でかつ温度が900℃以下の炉尻排ガスを吸引することが好ましい。
また、煙突11が、流量が1.2XNm3/H以上の炉尻排ガスを排出すると規定した理由は、燃焼により生成されるガスと装入扉7a及び抽出扉7bから侵入する空気を加味して多少の余裕を持たせたガスを排出できるようにする必要があるためであり、温度が300℃~500℃の炉尻排ガスを排出すると規定した理由は、蓄熱式切替燃焼バーナ20から排出される300℃以下のガスと、炉尻から排出される500~800℃のガスの混合であるためである。
ここで、冷却装置10が炉尻排ガス吸引用ファン16で吸引された炉尻排ガスが導入される保熱ピット17を備えている意味について詳細に説明する。
冷却制御部18は、上位計算機19から冷却開始指示を受けると、連続式鋼材加熱炉1の冷却制御を開始する。
この冷却制御に際し、先ず、冷却制御部18は、装入扉7a及び抽出扉7bを全開にする。この理由は、炉体2の周囲の空気を吸引し易くするためである。
最後に、冷却制御部18は、炉尻排ガス流量調整弁15の弁開度を全開にして炉尻排ガス吸引用ファン16を駆動するよう制御する。これにより、最も下流側の予熱帯3からの空気(炉尻排ガスを含む)を排ガス排出路13、炉尻排ガス流量調整弁15を介して吸引し、保熱ピット17に排出する。
これにより、炉体2内の燃焼バーナのすべてを蓄熱式切替燃焼バーナ20として煙突11の高さhが40mと低い場合であっても、不足したドラフト効果を蓄熱式切替燃焼バーナ20からの吸引排ガスの吸引排ガス吸引用ファン27を使用することで補って炉体2内の排気量を増やし、更に、炉体2内の空気を直接排出できる炉尻排ガス吸引用ファン16を使用して炉体2内の排気量を増やし、炉体2の冷却時間を短縮することができる。
これにより、本実施形態に係る連続式鋼材加熱炉の冷却装置10及び冷却方法によれば、炉体2内の燃焼バーナのすべてを蓄熱式切替燃焼バーナ20とした連続式鋼材加熱炉1において、炉体2内の耐火物を傷めることなく、冷却時間を短縮することができる連続式鋼材加熱炉の冷却装置及び冷却方法を提供できる。
この制御に際し、先ず、冷却制御部18は、装入扉7a及び抽出扉7bを閉じる。
この保熱ピット17内には、連続式鋼材加熱炉1によって加熱予定の鋼材Sが保管されており、保熱ピット17内に導入された高温の炉尻排ガスにより鋼材Sが予熱される。
比較例1では、煙突11からドラフト効果のみの排気を行い、吸引排ガス吸引用ファン27による吸引排ガスの排気、炉尻排ガス吸引用ファン16による排気は行わなかった。また、比較例1では、すべての蓄熱式切替燃焼バーナ20から炉体2内に燃焼用空気は送らなかった。
表1からわかるように、比較例1による炉内全体の排気量は146476Nm3/H、比較例2による炉内全体の排気量は146591Nm3/Hであり、蓄熱式切替燃焼バーナ20から炉体2内に燃焼用空気を送っても炉内全体の排気量は増大しない。また、炉内冷却時間も比較例1の場合45.3Hr、比較例2の場合45.2Hrと短縮しない。
表1からわかるように、比較例1による炉内全体の排気量は146476Nm3/H、比較例3による炉内全体の排気量は192198Nm3/Hであり、炉内冷却時間が35.2Hrに短縮された。吸引排ガス吸引用ファン27による吸引排ガスの排気によって炉内全体の排気量を増大させる効果はあったが、後に述べる実施例1の場合や実施例2の場合に比べて炉内全体の排気量の増大効果は小さい。
また、通常操業時に発生する排ガスのうち最も下流側の予熱帯3からの炉尻排ガスを保熱ピット17に導入して鋼材Sの予熱を行って鋼材Sの加熱を行う場合(本発明例2)と、通常操業時に発生する排ガスのうち最も下流側の予熱帯3からの炉尻排ガスを排出し、鋼材Sの予熱を行わずに鋼材Sの加熱を行う場合(本発明例1)との比較を行った。その結果を表2に示す。
2 炉体
3 予熱帯(燃焼制御帯)
4 第1加熱帯(燃焼制御帯)
5 第2加熱帯(燃焼制御帯)
6 均熱帯(燃焼制御帯)
7a 装入扉
7b 抽出扉
8 煙道
9 炉圧ダンパ
10 冷却装置
11 煙突
12 炉尻排ガス排出装置
13 排ガス排出路
14 排ガス管
15 炉尻排ガス流量調整弁
16 炉尻排ガス吸引用ファン
17 保熱ピット
18 冷却制御部
19 上位計算機
20 蓄熱式切替燃焼バーナ
20a,20b 蓄熱式バーナ
21a,21b 蓄熱体
22a,22b 排ガス切替弁
23a,23b 排ガスヘッダ管
24a 第1排ガス集合管
24b 第2排ガス集合管
25 排ガス集合管
26 吸引排ガス流量調整弁
27 吸引排ガス吸引用ファン
28a,28b 燃焼用空気切替弁
29a,29b 燃焼用空気ヘッダ管
30a,30b 燃焼用空気集合管
31a,31b 燃焼用空気流量調節弁
32a 第1燃焼用空気集合管
32b 第2燃焼用空気集合管
33 燃焼用空気供給本管
34 燃焼用空気ブロワ
S 鋼材
Claims (4)
- 炉長方向に沿って複数の燃焼制御帯を有する炉体と、前記複数の燃焼制御帯の各々に設置された複数の燃焼バーナとを備え、該複数の燃焼バーナのすべてを蓄熱式切替燃焼バーナとした連続式鋼材加熱炉の冷却装置であって、
すべての前記蓄熱式切替燃焼バーナからの吸引排ガスを吸引排ガス流量調整弁を介して吸引する吸引排ガス吸引用ファンと、
前記炉体の排ガス流れにおいて最も下流側の燃焼制御帯よりも下流側の位置に設けられた煙道内に設置され、炉圧を調整する炉圧ダンパ及び炉圧ダンパを通過した炉尻排ガスを排出する煙突を備えた炉尻排ガス排出装置と、
前記炉体の排ガス流れにおいて最も下流側の燃焼制御帯よりも下流側の位置に設けられた排ガス排出路に接続され、前記最も下流側の燃焼制御帯からの炉尻排ガスを炉尻排ガス流量調整弁を介して吸引する炉尻排ガス吸引用ファンとを備えていることを特徴とする連続式鋼材加熱炉の冷却装置。 - 前記蓄熱式切替燃焼バーナによる最大燃焼負荷時に発生する排ガス流量をXNm3/Hとしたときに、前記吸引排ガス吸引用ファンは、流量が1.0XNm3/H以上で温度が300℃以下の吸引排ガスを吸引し、前記煙突は、流量が1.2XNm3/H以上でかつ温度が300℃~500℃の炉尻排ガスを排出し、前記炉尻排ガス吸引用ファンは、流量が0.4XNm3/H以上でかつ温度が900℃以下の炉尻排ガスを吸引することを特徴とする請求項1に記載の連続式鋼材加熱炉の冷却装置。
- 前記炉尻排ガス吸引用ファンで吸引された炉尻排ガスが導入される保熱ピットを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続式鋼材加熱炉の冷却装置。
- 請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の連続式鋼材加熱炉の冷却装置を用いて連続式鋼材加熱炉の炉体内の冷却を行う連続式鋼材加熱炉の冷却方法であって、
前記炉体内の冷却を行う際に、装入扉及び抽出扉を全開にした状態で、前記吸引排ガス流量調整弁の弁開度を全開にして前記吸引排ガス吸引用ファンを駆動することによって前記吸引排ガスを吸引して排出し、前記炉圧ダンパを全開にして前記炉圧ダンパを通過した空気を前記煙突から排出し、前記炉尻排ガス流量調整弁の弁開度を全開にして前記炉尻排ガス吸引用ファンを駆動するによって最も下流側の燃焼制御帯からの空気を吸引して排出することを特徴とする連続式鋼材加熱炉の冷却方法。
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