JP4418053B2 - 連続焼鈍炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷間圧延工程において加工硬化した鋼帯を加熱、焼鈍処理する直火型加熱炉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼帯製造プロセスでは冷間圧延工程を経ることにより、鋼帯は加工硬化を生ずるために、冷間圧延工程後に鋼帯の加熱、焼鈍処理が行われる。
従来の技術による連続焼鈍炉の一例を図3に示す。図3において、連続焼鈍炉100は、加熱帯102と予熱帯104から成り、冷間圧延工程後に連続焼鈍炉100へ給送された鋼帯Wは、図3において右端側から連続焼鈍炉100の入口に設けられたガスシール部106を通過して、連続焼鈍炉100の入口側に配設された予熱帯104において予め所定の温度まで昇温され、次いで、加熱帯102へ移送されて所定の焼鈍温度まで加熱される。
【0003】
従来の連続焼鈍炉の予熱帯104では、加熱帯102で生成された燃焼ガスGを予熱帯104へ供給し、該燃焼ガスGを予熱帯104内で、シール部106を通って給送された鋼帯Wの移送方向に対向するように流動させて、両者間の対流熱伝達により鋼帯Wを予熱している。このとき、鋼帯Wは常温から200〜300°C程度に昇温され、また、加熱帯102では、こうして予熱された鋼帯Wが所定の焼鈍温度、例えば700°Cに加熱される。
【0004】
このように、加熱帯102および予熱帯104において鋼帯Wを所定温度に加熱するためには、加熱帯102において加熱バーナ108、110による燃焼ガス温度を1300〜1500°Cの高温に維持し、かつ、加熱帯102から予熱帯104への燃焼ガスの温度を1000°C以上に維持しなければならない。そのために、加熱バーナ108、110への空気および燃料ガスの温度を350°C程度に昇温する必要があり、空気予熱器112を用いて空気を加熱している。一方、空気予熱器112において熱交換した後の排ガスも600°C程度の温度を有しているため、空気予熱器112の下流に配設された水冷式の熱交換器114により他用途に使用される工業用水の加熱を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術による連続焼鈍炉100では、予熱帯104における燃焼ガスの流速が低く鋼帯W表面での熱伝達率が小さいため、連続焼鈍炉100が長くなる問題がある。また、予熱帯104における炉効率(熱効率)が低く予熱帯104の出口側の燃焼ガスが高いため、焼鈍炉の熱を有効利用を目的として空気予熱器112および熱交換器114を設ける必要があった。
【0006】
本発明はこうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、連続焼鈍炉の予熱帯での熱効率を改善して、以て、従来技術において必要とされてきた空気予熱器その他の付加的な熱交換器を不要とすると共に、予熱帯ひいては炉全体の炉長を短くした連続焼鈍炉を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、移動する鋼帯に向けて予熱気体を噴出して前記鋼帯を所定の予熱温度に昇温する予熱帯と、前記鋼帯の移送方向に対して前記予熱帯の下流に配設され、前記予熱温度に昇温させた鋼帯に向けて燃焼ガスを噴出して前記鋼帯を前記予熱温度よりも高い所定の焼鈍温度に加熱する加熱帯とを具備する連続焼鈍炉において、
前記予熱帯と加熱帯とは、前記加熱帯で生成した燃焼ガスが前記鋼帯に向けて噴出した後に前記予熱帯へ流入するように配設されており、
前記鋼帯に向けて予熱気体を噴出するために少なくとも第1と第2のノズル群を含む複数の予熱ノズルから成る複数のノズル群を前記予熱帯に設け、前記第1と第2のノズル群は、一方のノズル群が予熱気体を噴出している間、他方のノズル群が前記加熱帯から前記予熱帯に流入した燃焼ガスを吸引するようになっており、該燃焼ガスにより蓄熱体を加熱し、この加熱した蓄熱体との熱交換により空気を加熱して予熱気体として前記鋼帯に向けて噴出するようにした連続焼鈍炉を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明第1の実施形態による連続焼鈍炉の概略図であり、図2は本発明第2の実施形態による連続焼鈍炉の概略図である。
先ず図1を参照すると、本発明第1の実施形態による連続焼鈍炉10は、水平に隣接させた加熱帯12と予熱帯14とを具備している。鋼帯Wは、冷間圧延工程を経た後に、連続焼鈍炉10の入口を形成するガスシールローラ16を通過して、焼鈍炉の上流側に配設された予熱帯14へ移送される。予熱帯14には複数の予熱気体のためのノズル18が配設されており、後述する予熱気体供給装置30からノズル18を介して予熱帯14に供給される予熱気体と、加熱帯12から予熱帯14に流入する燃焼ガスとにより、予熱帯14へ給送された鋼帯Wを予め所定の温度まで加熱する。
【0009】
予熱帯14を通過する間に所定の予熱温度まで予熱された鋼帯Wは、次いで、鋼帯Wの移動方向に関して予熱帯14の下流側に設けられた加熱帯12に導入される。加熱帯12には、通過する鋼帯Wを挟んで上下両側に複数の加熱バーナ20、22が配設されており、加熱バーナ20、22からの高温の燃焼ガスにより、鋼帯Wは所定の焼鈍温度まで加熱される。送風機24、26から加熱バーナ20、22へ燃焼空気が供給され、図示しない燃料ガス供給装置から燃料ガス、例えば天然ガスや転炉ガスが供給される。加熱帯12において生成した燃焼ガスは、従来技術と同様に予熱帯14へ供給される。また、加熱帯22において所定の焼鈍温度に加熱された鋼帯Wは、次いで均熱帯28へ供給される。
【0010】
以下、予熱気体供給装置30を詳細に説明する。
本実施形態において予熱気体供給装置30は、予熱帯14を通過する鋼帯Wへ向けて後述する予熱気体を噴出する複数の予熱ノズル18と、予熱ノズル18に連通する蓄熱部32、切換弁38、送気用送風機34、排気用送風機36を主要な構成要素として含んで成る。予熱ノズル18は、第1と第2のノズル群18a、18bから構成されており、第1と第2のノズル群18a、18bを形成する各予熱ノズルは、各々のノズル群内で同期して作用し一体のノズルとして作用する。
【0011】
蓄熱部32は、例えばセラミックス、シャモット煉瓦材または金属材料から球形、楕円体または直方体等の粒状に造粒した蓄熱体、或いは、ハニカム状に形成した蓄熱体を含んで成る。更に、蓄熱部32は第1と第2の蓄熱部32a、32bを含んで成り、第1と第2の蓄熱部32a、32bの各々は、管路48a、48bを介して第1と第2のノズル群18a、18bに接続されると共に、管路46a、46bを介して切換弁38に接続されている。切換弁38は管路42、44を介して送気用送風機34と、排気用送風機36の各々に接続されている。
【0012】
切換弁38は、従来周知の構成を有する切換弁または方向制御弁であって、第1と第2の位置の間で動作可能となっており、切換弁38が第1の位置にあるとき、送気用送風機34が、管路42、切換弁38、第1の蓄熱部32a、管路48aを介して第1のノズル群18aに連通すると共に、排気用送風機36が、管路44、切換弁38、第2の蓄熱部32b、管路48bを介して第2のノズル群18bに連通するようになっている。また、第1と第2のノズル群18a、18bは、鋼帯Wを一様に加熱するために、第1と第2のノズル群18a、18bの個々のノズルが交互に或いは千鳥状に配設されている。ノズル18は、スリット状の隙間から予熱気体を吹き出して一様に加熱するようにしてもよい。
【0013】
以下、本実施形態の作用を説明する。
先ず、鋼帯Wは、冷間圧延工程を経た後に、連続焼鈍装置10へ給送される。例えば、連続亜鉛めっき設備における連続焼鈍炉では、鋼帯Wは導入速度100m/min から200m/min の高速で連続焼鈍炉10へ給送される。連続焼鈍炉10へ給送されると、鋼帯Wは、ガスシールローラ16から予熱帯14へ給送され、予熱帯14を通過する間に所定の予熱温度に加熱される。鋼帯Wは、予熱帯14を通過する間に所定の温度に加熱された後に加熱帯12へ給送される。
【0014】
加熱帯12では、鋼帯Wは、加熱バーナ20、22からの高温の燃焼ガス、例えば約1300°Cの燃焼ガスにより所定の焼鈍温度、例えば約700°Cまで加熱される。加熱帯12において焼鈍温度に加熱された鋼帯Wは、次いで均熱帯28へ給送される。加熱帯12において発生した燃焼ガスは、鋼帯Wとの熱交換により温度を漸次低下させながら、鋼帯Wの移送方向とは反対方向に予熱帯14内へ流入する。予熱帯14に流入した燃焼ガスは、後述するように第1と第2のノズル群18a、18bの何れか一方のノズル群からの予熱気体と共に、連続焼鈍炉10へ給送された鋼帯Wを前記予熱温度に加熱する。
【0015】
このとき、予熱帯14内には、加熱帯12からの燃焼ガスと、予熱ノズル18からの予熱気体との混合気体が充満している。この混合気体は、鋼帯Wとの熱交換後にも約1000°Cの温度を有しており、第1と第2のノズル群18a、18bの他方のノズル群から吸引される。例えば、切換弁38が第1の位置にあるとき、予熱帯14内の混合気体は、第2のノズル群18b、管路48b、第2の蓄熱部32b、管路46b、切換弁38、管路44を介して排気用送風機36から連続焼鈍炉10の外部へ排気される。このとき、第2のノズル群18bから第2の蓄熱部32b内へ吸引された混合気体は、第2の蓄熱部32b内の蓄熱体との熱交換により、蓄熱体を加熱すると共にその温度を約300°Cに低下して排気用送風機36から排気される。
【0016】
第2のノズル群18bが燃焼ガスの吸入に供されている間、送気用送風機34からは、第1の蓄熱部32aに空気が供給され続けており、この空気は、従前に熱を貯えた第1の蓄熱部32aの蓄熱体との熱交換により高温となり予熱気体として第1のノズル群18aから、予熱帯14へ給送された鋼帯Wへ向けて50m/sec から150m/sec の高速の流速にて噴出される。従って、予熱気体から鋼帯Wへの伝熱は衝突噴流による熱伝達となり、熱伝達率が非常に高くなるために、鋼帯Wの予熱が速やかに行われ、その昇温温度も400°Cないし500°Cと従来に比べ高温に到達させることが可能となる。一方、蓄熱部32において蓄熱体と熱交換した混合気体の温度は約300°Cまで低下させることができ炉効率を大幅に向上可能となる。
【0017】
次いで、第1のノズル群18aからの予熱気体温度または第1の蓄熱部32a内の温度が所定温度に低下したとき、或いは、第2の蓄熱部32b内の温度が所定温度に上昇したときに、切換弁38が第1の位置から第2の位置へ移動する。これにより、送気用送風機34からの空気は、管路42、切換弁38、管路46b、第2の蓄熱部32b、管路48bを介して第2のノズル群18bから予熱帯14へ給送された鋼帯Wへ向けて噴出されると共に、予熱帯14内の前記混合気体が、第1のノズル群18a、管路48a、第1の蓄熱部32a、管路46a、切換弁38、管路44を介して排気用送風機36から連続焼鈍炉10の外部に排気される。このとき、従前のサイクルにより送気用送風機34からの空気との熱交換により温度が低下した第1の蓄熱部32a内の蓄熱体が、第1のノズル群18aから吸引される高温の前記混合気体により加熱される。このように、切換弁38により、第1と第2のノズル群18a、18bは、高温の予熱気体の噴出と、高温の混合気体の吸引とを交互に繰り返し、これにより予熱帯14内に給送された鋼帯Wを間断無く加熱し、鋼帯Wが均一かつ効果的に予熱される。
【0018】
既述したように、本実施形態では、予熱帯14内の混合気体と熱交換を行う蓄熱部32を有する予熱気体供給装置30を設け、該蓄熱部32と交番的に熱交換した高温の予熱気体を鋼帯Wに衝突させることにより、鋼帯Wを予熱するようにした点を主要な特徴としている。蓄熱部32で交番的に熱回収した高温ガスを高速で衝突させることにより熱伝達率を大幅に向上可能となり、予熱帯14における鋼帯Wの予熱を効率的に行うことが可能となる。
【0019】
また、本実施形態では、予熱帯14における鋼帯Wの予熱を効率的に行うことが可能となることから、加熱バーナ20、22への空気温度を予め昇温して、加熱バーナからの燃焼ガスの温度を低減することが可能となる。そのために、従来技術において必要とされた空気予熱器、温水熱交換器などの熱交換器を設ける必要がなくなり、外気温のまま空気送風機24、26から加熱バーナ20、22へ供給し燃焼に供している。こうして、加熱帯12出口の燃焼ガス温度は1250°C程度と低くなるが、既述したように、予熱帯14において効果的に鋼帯Wの予熱を行うことが可能となるので、こうした低い温度の燃焼ガスによっても鋼帯Wを所定の温度まで加熱可能となる。
【0020】
また、予熱帯14についても、排気燃焼ガスのエネルギの熱回収により、熱交換量が増大するため炉の熱効率が向上すると共に、高温、高速噴流による熱伝達率の向上により予熱帯14の炉長の短縮が可能となる。
【0021】
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。
本発明の第2実施形態による連続焼鈍炉50は、加熱帯52と予熱帯54とを垂直配置または逆L型配置にしたものであり、第1の実施形態との主たる相違点は、鋼帯Wの進行方向を水平位置から鉛直位置へ、或いは、鉛直位置から水平方向へ方向を変換する方向転換ローラ70、72を設けると共に、加熱帯52と予熱帯54の間にバイパス通路74が設けられている。その余の構成は第1の実施形態と概ね同様である。
【0022】
すなわち、図2において、本発明第2の実施形態による連続焼鈍炉50は、鉛直に設けられた加熱帯52と予熱帯54とを具備し、鋼帯Wは、冷間圧延工程を経た後に、連続焼鈍炉50の入口を形成するガスシールローラ56を通過して、焼鈍炉の上流側に配設された予熱帯54へ移送される。予熱帯54には複数の予熱気体のための予熱ノズル58が配設されており、第1の実施形態と同様に構成された予熱気体供給装置60から予熱ノズル58を介して予熱帯54に予熱気体が供給され、かつ、燃焼ガスが吸引される。
【0023】
予熱帯54を通過する間に所定の予熱温度まで予熱された鋼帯Wは、次いで、第1の方向転換ローラ70により、水平方向から鉛直下方へその移動方向を転換して、鉛直に設けられた加熱帯52に導入される。加熱帯52には、通過する鋼帯Wを挟んで左右両側に複数の加熱バーナ62a、62bが配設されており、加熱バーナ62a、62bからの高温の燃焼ガスにより、鋼帯Wは所定の焼鈍温度まで加熱される。送風機64、66から加熱バーナ62a、62bへ燃焼空気が供給され、図示しない燃料ガス供給装置から燃料ガス、例えば天然ガスや転炉ガスが供給される。加熱帯52において生成した燃焼ガスは、バイパス通路74により予熱帯54へ供給される。また、加熱帯52において所定の焼鈍温度に加熱された鋼帯Wは、次いで加熱帯52の下方部位に配設された第2の方向転換ローラ72により、鉛直方向から水平方向にその移動方向を転換して均熱帯68へ供給される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明がこれら実施形態に限定されず、その範囲を逸脱することなく種々の変更、修正が可能であることは当業者の当然とするところである。
例えば、既述の実施形態では予熱ノズルは第1と第2のノズル群を形成している旨記載したが、本発明はこれに限定されず、3以上のノズル群を設けるようにしてもよい。この場合は、ノズル群の数に対応した数の蓄熱部が設けられることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1の実施形態の概略図である。
【図2】本発明第1の実施形態の概略図である。
【図3】従来技術の概略図である。
【符号の説明】
10…連続焼鈍炉
12…加熱帯
14…予熱帯
16…ガスシールローラ
18…予熱気体ノズル
20…加熱バーナ
22…加熱バーナ
30…予熱気体供給装置
32…蓄熱部
34…送気用送風機
36…排気用送風機
38…切換弁
W…鋼帯
Claims (1)
- 移動する鋼帯に向けて予熱気体を噴出して前記鋼帯を所定の予熱温度に昇温する予熱帯と、前記鋼帯の移送方向に対して前記予熱帯の下流に配設され、前記予熱温度に昇温させた鋼帯に向けて燃焼ガスを噴出して前記鋼帯を前記予熱温度よりも高い所定の焼鈍温度に加熱する加熱帯とを具備する連続焼鈍炉において、
前記予熱帯と加熱帯とは、前記加熱帯で生成した燃焼ガスが前記鋼帯に向けて噴出した後に前記予熱帯へ流入するように配設されており、
前記鋼帯に向けて予熱気体を噴出するために少なくとも第1と第2のノズル群を含む複数の予熱ノズルから成る複数のノズル群を前記予熱帯に設け、前記第1と第2のノズル群は、一方のノズル群が予熱気体を噴出している間、他方のノズル群が前記加熱帯から前記予熱帯に流入した燃焼ガスを吸引するようになっており、該燃焼ガスにより蓄熱体を加熱し、この加熱した蓄熱体との熱交換により空気を加熱して予熱気体として前記鋼帯に向けて噴出するようにした連続焼鈍炉。
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