JP7115995B2 - 連続式加熱炉の炉圧制御方法、炉圧制御装置及び連続式加熱炉 - Google Patents
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Description
しかしながら、かかるダンパーにより炉圧を制御するに当たり、燃焼負荷量が小さくなって、炉内から煙道までの排ガスの流れにより圧力損失に比べて煙道のドラフトが大きくなった場合は、ダンパーによって炉内の下部領域まで正圧に保つことは困難となる。この場合、装入扉及び抽出扉からの空気の侵入を確実に防ぐことは困難であった。
従って、本発明はこの従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄熱式バーナを有する連続式加熱炉において、装入扉及び抽出扉が開いた際の炉圧低下を抑制し、その炉圧低下に伴う侵入空気を抑制することができる連続式加熱炉の炉圧制御方法、炉圧制御装置及び連続式加熱炉を提供することにある。
図1に示す連続式加熱炉1は、被加熱材としての鋼材Sを加熱するものであり、鋼材Sを装入する装入口2a及び加熱された鋼材Sを抽出する抽出口2b有する炉体2を備えている。そして、炉体2の装入口2aは装入扉12によって開閉され、抽出口2bは抽出扉13によって開閉される。
また、図3に示すように、一方側の蓄熱式バーナ21の蓄熱体21bは、バーナ21aへの燃焼用空気の供給を遮断する燃焼用空気用開閉弁51を介して図示しない燃焼用空気供給ラインに接続されている。また、他方側の蓄熱式バーナ22の蓄熱体22bは、バーナ22aへの燃焼用空気の供給を遮断する燃焼用空気用開閉弁52を介して図示しない燃焼用空気供給ラインに接続されている。
ここで、排ガス用開閉弁61及び62と、燃焼用空気用開閉弁51及び52とは、実際には、図2に示す切換弁24で構成されている。
また、図1に戻って、炉体2の第1加熱帯3の入側には、燃焼によって生じた排ガス(前述の蓄熱式バーナ21,22から排出される排ガスを除いた炉体2内の排ガス)を外部に排出するための煙道14が設けられている。そして、この煙道14には、ダンパー15が設置されている。
炉圧制御装置30は、連続式加熱炉1の炉体2内の炉圧を制御するものであり、煙道14に設置されたダンパー15の開度を調整することにより炉圧を制御する炉圧制御部31を備えている。
この炉圧制御部31は、炉体2内の均熱帯9のパスラインPL近傍に設置された炉圧計16(図1及び図3参照)に接続されるとともに、ダンパー15に接続されている。そして、炉圧制御部31は、常時、パスラインPL近傍に設置された炉圧計16によって測定された圧力が目標圧力値、例えば、10Pa程度となるように、ダンパー15の開度を調整している。目標圧力値は、後述する上位計算機32から炉圧制御部31に入力される。
そして、装入扉12あるいは抽出扉13が開くと、図5に示すように、炉体2内の炉圧は全体的に低下し、装入扉12及び抽出扉13が閉じている時のパスラインPL近傍における炉圧が10Pa程度のときには、炉底の炉圧は負圧となってしまう。
これにより、炉外から装入扉12あるいは抽出扉13から空気を吸い込み、冷たい空気が炉体2内に侵入する。炉外の空気が炉内に侵入すると、炉内温度の低下を招くため、蓄熱式バーナ21,22による燃焼量を増加させる必要があり燃料原単位が増加してコストの上昇を招く。また、炉内に空気が侵入すると、炉内雰囲気の酸素濃度が上昇するため、鋼材Sの表面酸化が促進され、表面品質の低下を招くことになる。
なお、炉圧制御部31によって排ガス吸引率を低下させる蓄熱式バーナ21,22は、開いた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22又は開いた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22であるので、他の流量制御帯4,7,8,10に設けられた蓄熱式バーナ21,22の排ガス吸引率を低下させるよりも、炉圧の低下を抑制させる効果が高い。
炉圧制御部31は、常時、煙道14に設置されたダンパー15の開度を調整することにより炉圧を制御しているが、以下に説明する装入扉12及び抽出扉13の開閉時における制御も同時に行う。
炉圧制御部31によるこの制御は、装入扉12及び抽出扉13が閉じている状態からスタートし、炉圧制御部31は、先ず、ステップS1にて、装入扉12又は抽出扉13が開いたか否かを判定する(扉開き判定工程)。
そして、判断結果がYESのとき、即ち、装入扉12又は抽出扉13が開いたと判定したとき、装入扉12の開指令あるいは抽出扉13の開指令を受信したときには、ステップS2に移行し、判断結果がNoのときにはステップS1を繰り返す。
次いで、ステップS2において、炉圧制御部31は、開いた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22又は開いた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22におけるバーナ21a,22aから蓄熱体21b,22bへの排ガス吸引率を、装入扉12及び抽出扉13が閉じている時の排ガス吸引率から低下させる(排ガス吸引率低下工程)。
ここで、装入扉12及び抽出扉13が閉じている時から低下させた排ガス吸引率、即ち、装入扉12又は抽出扉13が開いた際の、開いた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22又は開いた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22の排ガス吸引率を40%以下とするように炉圧制御部31は制御する。
具体的に述べると、炉圧制御部31は、上位計算機32から開いた装入扉12の閉指令あるいは抽出扉13の閉じ指令を受信したか否かを判定する。
そして、判断結果がYESのとき、即ち、開いた装入扉12又は抽出扉13が閉じたと判定したとき、開いた装入扉12の閉指令あるいは抽出扉13の閉指令を受信したときには、ステップS4に移行し、判断結果がNoのときにはステップS3を繰り返す。
つまり、炉圧制御部31は、閉じた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22又は閉じた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22における蓄熱体21b,22bからの排ガス流量を、排ガス流量計63で測定された装入扉12及び抽出扉13を閉じていた時の排ガス流量と同じ排ガス流量となるように、排ガス流量制御弁64を制御する。
これにより、装入扉12及び抽出扉13の開閉時における炉圧制御部31の処理は終了する。
このように、本実施形態に係る連続式加熱炉の炉圧制御方法、炉圧制御装置及び連続式加熱炉によれば、装入扉12又は抽出扉13が開いた際に、開いた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22又は開いた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22におけるバーナ21a,22aから蓄熱体21b,22bへの排ガス吸引率を、装入扉12及び抽出扉13が閉じている時の排ガス吸引率から低下させる(排ガス吸引率低下工程:ステップS4、炉圧制御部31)。
そして、炉圧制御部31によって排ガス吸引率を低下させる蓄熱式バーナ21,22は、開いた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22又は開いた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22である。これにより、他の流量制御帯4,7,8,10に設けられた蓄熱式バーナ21,22の排ガス吸引率を低下させるよりも、炉圧の低下を抑制させる効果を高めることができる。
例えば、ステップS2(排ガス吸引率低下工程)において排ガス吸引率を低下させる蓄熱式バーナ21,22は、開いた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22、開いた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22に限られず、他の流量制御帯4,7,8,10を含めた全体の流量制御帯4,5,7,8,10,11に設けられた複数対の蓄熱式バーナ21,22のうち少なくとも一対の蓄熱式バーナ21,22であればよい。
また、ステップS2(排ガス吸引率低下工程)において排ガス吸引率を低下させる蓄熱式バーナ21,22として、開いた装入扉12に隣接する炉体下部の流量制御帯5に設けられた蓄熱式バーナ21,22又は開いた抽出扉13に隣接する炉体下部の流量制御帯11に設けられた蓄熱式バーナ21,22とする場合、それぞれ複数対の蓄熱式バーナ21,22とする必要は必ずしも必要はなく、それぞれ一対の蓄熱式バーナ21,22であってもよい。
また、装入扉12及び抽出扉13が閉じている際の蓄熱式バーナ21,22からの排ガス吸引率は、70~80%程度としてあるが、この値に限定されるものではない。
2 炉体
2a 装入口
2b 抽出口
3 第1加熱帯
4,5 流量制御帯
6 第2加熱帯
7,8 流量制御帯
9 均熱帯
10,11 流量制御帯
12 装入扉
13 抽出扉
14 煙道
15 ダンパー
16 炉圧計
21,22 蓄熱式バーナ
21a,22a バーナ
21b、22b 蓄熱体
23a,23b 兼用通路
24 切換弁
30 炉圧制御装置
31 炉圧制御部
32 上位計算機
41,42 燃料ガス用開閉弁
51,52 燃焼用空気用開閉弁
61,62 排ガス用開閉弁
63 排ガス流量計
64 排ガス流量制御弁
65 排ガスライン
66 排ガスファン
PL パスライン
S 鋼材(被加熱材)
Claims (3)
- 被加熱材を装入する装入口を開閉する装入扉と、加熱された被加熱材を抽出する抽出口を開閉する抽出扉と、炉長方向に沿って設けられた複数の流量制御帯と、各流量制御帯の炉壁に対向して設けられ、各々がバーナと蓄熱体からなる複数対の蓄熱式バーナと、煙道に設置されたダンパーとを備えた連続式加熱炉において、前記ダンパーの開度を調整することにより炉圧を制御する連続式加熱炉の炉圧制御方法であって、
前記装入扉又は前記抽出扉が開いた際に、前記複数対の蓄熱式バーナのうち少なくとも一対の蓄熱式バーナにおける前記バーナから前記蓄熱体への排ガス吸引率を、前記装入扉及び前記抽出扉が閉じている時の排ガス吸引率から低下させて炉圧を制御する排ガス吸引率低下工程を含み、
前記排ガス吸引率低下工程において前記排ガス吸引率を低下させる蓄熱式バーナは、開いた前記装入扉に隣接する炉体下部の流量制御帯に設けられた少なくとも一対の蓄熱式バーナであり、
前記排ガス吸引率低下工程では、前記装入扉及び前記抽出扉が閉じている時の排ガス吸引率70~80%から低下させた排ガス吸引率を40%以下として前記装入扉又は前記抽出扉が開いた際の炉底の炉圧を6Pa以上上昇させて正圧とし、炉圧低下に伴う炉体内への侵入空気を抑制することを特徴とする連続式加熱炉の炉圧制御方法。 - 被加熱材を装入する装入口を開閉する装入扉と、加熱された被加熱材を抽出する抽出口を開閉する抽出扉と、炉長方向に沿って設けられた複数の流量制御帯と、各流量制御帯の炉壁に対向して設けられ、各々がバーナと蓄熱体からなる複数対の蓄熱式バーナと、煙道に設置されたダンパーとを備えた連続式加熱炉において、前記ダンパーの開度を調整することにより炉圧を制御する炉圧制御部を備えた連続式加熱炉の炉圧制御装置であって、
前記炉圧制御部は、前記装入扉又は前記抽出扉が開いた際に、前記複数対の蓄熱式バーナのうち少なくとも一対の蓄熱式バーナにおける前記バーナから前記蓄熱体への排ガス吸引率を、前記装入扉及び前記抽出扉が閉じている時の排ガス吸引率から低下させて炉圧を制御するものであり、
前記炉圧制御部によって前記排ガス吸引率を低下させる蓄熱式バーナは、開いた前記装入扉に隣接する炉体下部の流量制御帯に設けられた少なくとも一対の蓄熱式バーナであり、
前記炉圧制御部は、前記装入扉及び前記抽出扉が閉じている時の排ガス吸引率70~80%から低下させた排ガス吸引率を40%以下として前記装入扉又は前記抽出扉が開いた際の炉底の炉圧を6Pa以上上昇させて正圧とし、炉圧低下に伴う炉体内への侵入空気を抑制することを特徴とする連続式加熱炉の炉圧制御装置。 - 請求項2に記載の炉圧制御装置を有することを特徴とする連続式加熱炉。
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