JP7135367B2 - ポリアルキレンオキシド組成物および該ポリアルキレンオキシド組成物を含むポリウレタン形成性組成物 - Google Patents
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Description
特許文献1は、P=N結合を有する化合物を触媒として、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合して粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと、所定の固体酸とを接触させ、ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒残存量を150ppm以下に制御することを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法、および、該製造方法で得られるポリオキシアルキレンポリオールを開示している。
また、ポリアルキレンオキシドはウレタンなどの原料として有用であって、その用途には室内や車内で用いられる製品が含まれるため、臭気および濁りの発生の抑制が望まれている。
式(1)で示される2価のホスファゼニウム塩と、
ポリアルキレンオキシドと、を含む:
R1およびR2は、各々独立して、
水素原子、
炭素数1~20の炭化水素基、
R1とR2とが互いに結合した環構造を表す;
An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体を表す;
n及びmは、いずれか一方が1であり、他方が2である。
(A)上記ポリアルキレンオキシド組成物と、
(B)イソシアネート化合物と、を含む。
本発明の一態様にかかるポリアルキレンオキシド組成物は、
式(1)で示される2価のホスファゼニウム塩と、
ポリアルキレンオキシドと、を含む:
R1およびR2は、各々独立して、
水素原子、
炭素数1~20の炭化水素基、
R1とR2とが互いに結合した環構造を表す;
An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体を表す;
n及びmは、いずれか一方が1であり、他方が2である。
ポリアルキレンオキシドとしては、一般的にポリアルキレンオキシドとして知られている範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(1,2-ブチレンオキシド)、ポリ(2,3-ブチレンオキシド)、ポリイソブチレンオキシド、ポリブタジエンオキシド、ポリペンテンオキシド、ポリシクロヘキセンオキシド、ポリスチレンオキシド等が挙げられる。また、これらを共重合成分とするブロック共重合体およびランダム共重合体を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシドブロック共重合体であることが好ましい。
2価のホスファゼニウム塩としては、上記式(1)で示されるホスファゼニウム塩の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよい。
式(1)中、R1およびR2は、各々独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、R1とR2とが互いに結合した環構造を表す。
式(1)中、An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体である。有機スルホン酸の代わりに、塩酸、過塩素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、アジピン酸、安息香酸、シュウ酸などの有機カルボン酸;を用いた場合、ホスファゼニウム塩がポリアルキレンオキシド中から析出し、ポリアルキレンオキシド組成物が濁ったり、酸由来の臭気が発生したりするため、好ましくない。
有機スルホン酸としては、例えば、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、高級アルコール硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等が挙げられる。
有機ジスルホン酸としては、例えば、アルカンジスルホン酸、α-オレフィンジスルホン酸、高級アルコール二硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル二硫酸等が挙げられる。
揮発するアセトアルデヒド量が、0.9ppm以下であることが好ましく、
揮発するプロピオンアルデヒド量が3.0ppm以下であることが好ましい。
[測定方法]
(I):内容量30mlの容器に、サンプル10gを入れる。
(II):(I)の後に、65℃、2時間の加熱下、0.5L/minで窒素バブリングして揮発量を測定する。
(ii)揮発してきたガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)カートリッジに捕集し、
(iii)5mlの溶出液を用いて吸着成分を溶出し、
(iv)高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography;HPLC)測定を行う。
本発明の一態様にかかるポリウレタン形成組成物は、
(A)上記式(1)で示される2価のホスファゼニウム塩およびポリアルキレンオキシドを含むポリアルキレンオキシドと、
(B)イソシアネート化合物と、を含む。
添加剤としては、触媒、整泡剤、架橋剤、連通化剤、発泡剤、染料、有機顔料、無機顔料、無機補強材、可塑剤、加工助剤、紫外線吸収材、光安定剤、滑剤、ワックス、結晶核剤、離型剤、加水分解防止剤、防曇剤、防塵剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。
実施例および比較例において用いた評価・測定方法を示す。
JIS K-1557-1に記載の方法により算出した。
20mlのサンプル管に10gのポリアルキレンオキシド組成物を入れ、封をした状態で12時間静置後、開封し臭気の有無を評価した。
20mlのサンプル管に10gのポリアルキレンオキシド組成物を入れ、目視観察した際、濁りの有無を評価した。
JIS K-1557-5に記載の方法に従い、ポリアルキレンオキシド10gをイソプロパノール/水=10/6混合溶媒(60mL)に溶解し、YOKOGAWA社製pH/ORPメータPH72を使用して、ポリアルキレンオキシドのpHを測定した。
ポリアルキレンオキシド10gをインピンジャー(株式会社末永理化学社製、容量:30ml)に入れ、65℃で2時間加熱しながら、65℃でハイドロカーボントラップ通気済みの窒素ガスを0.5L/minの流速で吹き込んだ。通気後のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)カートリッジに捕集し、5mlの溶出液を用いて吸着成分を溶出した。溶出液の高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography;HPLC)測定を行い、ポリアルキレンオキシドからのアルデヒド揮発量を測定した。
製造直後のポリウレタン形成性組成物をサンプル瓶に入れ、密閉した状態で1時間静置した。開封した際の臭気の有無を評価した。
磁気回転子を付した100mlシュレンク管を窒素雰囲気下とし、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド5.7g(7.4mmol、Sigma-Aldrich社製)、2-プロパノール16mlを加え、25℃で攪拌し溶解させた。攪拌を維持したまま、85重量%水酸化カリウム0.53g(8.1mmol、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドに対して1.1mol当量)を2-プロパノールに溶解した溶液を加えた。25℃で5時間攪拌後、析出した副生塩を濾過により除去することによって、1価のホスファゼニウム塩(テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド)の2-プロパノール溶液33gが、濃度17質量%、収率98%で得られた。
スターラーバーを入れた0.2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、合成例1で得られた1価のホスファゼニウム塩の17質量%2-プロパノール溶液50g(11mmol)を加えた。そこへ、撹拌を維持しながら、ドデシルベンゼンスルホン酸7.5g(23mmol、1価のホスファゼニウム塩1molに対し2.1mol)を加えた。10分間攪拌を継続後、減圧下で溶媒を除去することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるR1がメチル基、R2がメチル基、[An-]mがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を得た。
攪拌翼を付した2リットルの4つ口フラスコに、アセトアルデヒド揮発量:0.92ppm、プロピオンアルデヒド揮発量:3.1ppm、pH:6.4(中性)、水酸基価は24mgKOH/gのポリプロピレンオキシド1200g、得られた2価のホスファゼニウム塩3.7gを加え、内温80℃にて1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるR1がメチル基、R2がメチル基、[An-]mがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)3100ppmを含有するポリアルキレンオキシド組成物1204gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、pHは7.4(中性)、水酸基価は24mgKOH/gであった。アセトアルデヒド揮発量は0.53ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.11ppmに低減された。
攪拌翼を付した2リットルのオートクレーブに、分子量600のポリプロピレントリオール100g、合成例1により得られた1価のホスファゼニウム塩の17質量%2-プロパノール溶液11g(2.5mmol)を加え、内温80℃、0.5kPaの減圧下で2-プロパノールを除去した。続いて、内温90℃、圧力0.3MPa以下を保持しながら、プロピレンオキシド946gを間欠的に供給し、プロピレンオキシドの重合反応をおこなった後、0.5kPaの減圧下で未反応のプロピレンオキシドを除去した。さらに、内温130℃、圧力0.3MPa以下を保持しながら、エチレンオキシド173gを間欠的に供給し、エチレンオキシドの重合反応をおこなった後、0.5kPaの減圧下で未反応のエチレンオキシドを除去した。その後、内温を85℃にて水30g、キョーワード700SEN-S(協和化学工業社製、吸着剤)12gを加え、1時間撹拌した。さらに、120℃に昇温し3時間撹拌し、0.5kPaの減圧下で3時間脱水処理をおこなった後、ろ過により吸着剤を除去し、2価のホスファゼニウム塩を含有しないポリアルキレンオキシド組成物1210gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、pHは6.9(中性)、水酸基価は24mgKOH/gであった。また、得られたポリアルキレンオキシド組成物は、アセトアルデヒド揮発量は0.95ppmと高く、プロピオンアルデヒド揮発量も3.3ppmと高かった。
スターラーバーを入れた0.2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、合成例1で得られた1価のホスファゼニウム塩の17質量%2-プロパノール溶液50g(11mmol)を加えた。そこへ、撹拌を維持しながら、ドデシルベンゼンスルホン酸3.6g(11mmol、1価のホスファゼニウム塩1molに対し1.0mol)を加えた。10分間攪拌を継続後、減圧下で溶媒を除去することによって、1価のホスファゼニウム塩(カチオン種がテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムカチオン、アニオン種がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体)を得た。
攪拌翼を付した2リットルの4つ口フラスコに、アセトアルデヒド揮発量:0.92ppm、プロピオンアルデヒド揮発量:3.1ppm、pH:6.4(中性)、水酸基価は24mgKOH/gのポリプロピレンオキシド1200g、得られた1価のホスファゼニウム塩2.8gを加え、内温80℃にて1時間撹拌することによって、1価のホスファゼニウム塩(カチオン種がテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムカチオン、アニオン種がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体)2300ppmを含有するポリアルキレンオキシド組成物1203gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、臭気があり、濁りが無く、pHは8.6で、塩基性を示した。
スターラーバーを入れた0.2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、合成例1で得られた1価のホスファゼニウム塩の17質量%2-プロパノール溶液50g(11mmol)を加えた。そこへ、撹拌を維持しながら、1.0mol/Lの塩酸溶液23mL(23mmol、1価のホスファゼニウム塩1molに対し2.1mol)を加えた。10分間攪拌を継続後、減圧下で溶媒を除去することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるR1がメチル基、R2がメチル基、[An-]mが塩素アニオンに相当するホスファゼニウム塩)を得た。
攪拌翼を付した2リットルの4つ口フラスコに、pH:6.4(中性)、水酸基価は24mgKOH/gのポリプロピレンオキシド1200g、得られた2価のホスファゼニウム塩2.1gを加え、内温80℃にて1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるR1がメチル基、R2がメチル基、[An-]mが塩素アニオンに相当するホスファゼニウム塩)2300ppmを含有するポリアルキレンオキシド組成物1202gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが有り、pHは7.1であった。
Claims (5)
- 下記測定方法により測定したとき、
揮発するアセトアルデヒド量が、0.9ppm以下であり、
揮発するプロピオンアルデヒド量が3.0ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリアルキレンオキシド組成物。
[測定方法]
(I):内容量30mlの容器に、サンプル10gを入れる。
(II):(I)の後に、65℃、2時間の加熱下、0.5L/minで窒素バブリングして揮発量を測定する。 - R1およびR2が、メチル基であり、
An-が、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、または、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)の脱プロトン化体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアルキレンオキシド組成物。 - JIS K-1557-5に記載の方法に従い測定した前記ポリアルキレンオキシド組成物のpHが、5以上8以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアルキレンオキシド組成物。
- (A)請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアルキレンオキシド組成物と、
(B)イソシアネート化合物と、を含むポリウレタン形成性組成物。
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