JP7134032B2 - トラクタの走行用伝動装置とこのトラクタの走行用伝動装置を備えたトラクタ - Google Patents
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Description
エンジンの動力が伝動装置入力軸に入力され、前記伝動装置入力軸に入力された動力が高低速切換え装置によって高速動力と低速動力とに変速され、かつ、前後進切換え装置によって前進動力と後進動力とに変換されて変速装置に入力され、前記変速装置によって複数段の変速動力に変速して走行装置に向けて出力されるトラクタの走行用伝動装置であって、前記高低速切換え装置に、入力される動力を高速側クラッチの入り作動によって高速動力に変速する高速変速経路と、入力される動力を低速側クラッチの入り作動によって低速動力に変速する低速変速経路と、が備えられ、前記前後進切換え装置に、入力される動力を前進側クラッチの入り作動によって前進動力に変換する前進変換経路と、入力される動力を後進側クラッチの入り作動によって後進動力に変換する後進変換経路と、が備えられ、前記伝動装置入力軸よりも後側に設けられ、かつ、前記変速装置の入力軸に連動連結された中継軸が備えられ、前記高速側クラッチ、前記低速側クラッチ、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチが同一の回転伝動軸に装着されており、前記高速変速経路及び前記低速変速経路は、前記伝動装置入力軸と前記中継軸とのうちの一方と、前記回転伝動軸と、にわたって設けられており、前記前進変換経路及び前記後進変換経路は、前記伝動装置入力軸と前記中継軸とのうちの他方と、前記回転伝動軸と、にわたって設けられ、前記高速側クラッチ、前記低速側クラッチ、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチは、湿式摩擦クラッチであり、前記高速側クラッチ、前記低速側クラッチ、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチのそれぞれに潤滑油を補給する一つの給油路が前記回転伝動軸に形成され、前記高速側クラッチ及び前記低速側クラッチが前記回転伝動軸の一端側部分に装着されており、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチが前記回転伝動軸の他端側部分に装着されており、前記給油路に前記回転伝動軸の外部から潤滑油を補給する補給油路が前記給油路のうち、前記一端側部分と前記他端側部分との間に対応する部位に接続されている。
また、本発明によるトラクタの走行用伝動装置の第2特徴構成は、
エンジンの動力が伝動装置入力軸に入力され、前記伝動装置入力軸に入力された動力が高低速切換え装置によって高速動力と低速動力とに変速され、かつ、前後進切換え装置によって前進動力と後進動力とに変換されて変速装置に入力され、前記変速装置によって複数段の変速動力に変速して走行装置に向けて出力されるトラクタの走行用伝動装置であって、前記高低速切換え装置と、前記前後進切換え装置と、前記変速装置とを収容するミッションケースを備え、前記高低速切換え装置に、入力される動力を高速側クラッチの入り作動によって高速動力に変速する高速変速経路と、入力される動力を低速側クラッチの入り作動によって低速動力に変速する低速変速経路と、が備えられ、前記前後進切換え装置に、入力される動力を前進側クラッチの入り作動によって前進動力に変換する前進変換経路と、入力される動力を後進側クラッチの入り作動によって後進動力に変換する後進変換経路と、が備えられ、前記伝動装置入力軸よりも後側に設けられ、かつ、前記変速装置の入力軸に連動連結された中継軸が備えられ、前記高速側クラッチ、前記低速側クラッチ、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチが同一の回転伝動軸に装着されており、前記高速変速経路及び前記低速変速経路は、前記伝動装置入力軸と前記中継軸とのうちの一方と、前記回転伝動軸と、にわたって設けられており、前記前進変換経路及び前記後進変換経路は、前記伝動装置入力軸と前記中継軸とのうちの他方と、前記回転伝動軸と、にわたって設けられ、前記伝動装置入力軸と、筒状の前記中継軸と、筒状の前記中継軸に対して相対回転可能に収容され回転軸とが同軸芯上に配置され、かつ、前記伝動装置入力軸の後端側と、前記中継軸の前端側とが前記ミッションケースの内部の壁部に回転可能に支持され、前記壁部に形成された補給油路からの潤滑油を、前記中継軸の内周と、前記回転軸の外周との境界に供給する潤滑流路が形成されている。
高速側クラッチ、低速側クラッチ、前進側クラッチ及び後進側クラッチの各クラッチを同一の回転軸芯上に位置させつつ高低速切換え装置と前後進切換え装置とを回転伝動軸の軸芯方向に並べて、高低速切換え装置及び前後進切換え装置の一方の出力が他方に入力されるようにできるので、高低速切換え装置及び前後進切換え装置のいずれもが潤滑油に深く入り込むことを回避しつつ、ミッションケース内の油面レベルを各クラッチなどに届き易いレベルに設定でき、高低速切換え装置及び前後進切換え装置のクラッチなどに潤滑油を届き易しつつ潤滑油による動力損失を抑制できる。また、高低速切換え装置及び前後進切換え装置の収容に必要なミッションケース内空間を従来に比して狭く済ませることができ、走行用伝動装置をあまり大きくならないようにできる。
また、一つの給油路を備えるだけの簡素な給油構造によって高速側クラッチ、低速側クラッチ、前進側クラッチ及び後進側クラッチに給油できる。補給油路から給油路に流入した潤滑油が給油路における流入箇所から高速側クラッチ及び低速側クラッチに向けて給油路を流れる距離と、前進側クラッチ及び後進側クラッチに向けて給油路を流れる距離とに差ができないとか、できてもあまり大きくならないようにできるので、各クラッチに簡素な給油構造によって給油するものでありながら、各クラッチに給油圧の差がないとか、あまりない状態で潤滑油を供給できる。
第2特徴構成によると、
壁部に形成された補給油路からの潤滑油を、潤滑流路から中継軸の内周と、回転軸の外周との境界に供給することが可能となる。
なお、以下の説明では、トラクタの車体に関し、図1に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」、紙面表側の方向を「車体左方」、紙面裏側の方向を「車体右方」とする。
図1に示されるように、トラクタは、走行装置としての左右一対の前車輪1が駆動可能かつ揺動操向可能に装備され、かつ、走行装置としての左右一対の後車輪2が駆動可能に装備された車体を備えている。車体の前部に、エンジン3を有する原動部4が形成されている。車体の後部に、運転座席5、及び、前車輪1を操向操作するステアリングホィール6を有する運転部7が形成されている。運転部7には、搭乗空間を覆うキャビン7aが備えられている。車体フレーム8の後部に、各種の作業装置を昇降操作可能に連結するリンク機構9が装備されている。
エンジン3の動力を前車輪1及び後車輪2に伝達する走行用伝動装置16が図2に示される如く構成されている。走行用伝動装置16は、ミッションケース11を備えている。走行用伝動装置16において、ミッションケース11の前後方向が車体の前後方向と一致し、ミッションケース11の上下方向が車体の上下方向と一致するように設定してある。ミッションケース11は、前側分割ミッションケース11aと、後側分割ミッションケース11bと、に分割可能に構成されている。
高低速切換え装置20Aは、図2,3に示されるように、伝動装置入力軸18と、伝動装置入力軸18の下方に伝動装置入力軸18に対して平行な状態で設けられた回転伝動軸31と、を備えている。伝動装置入力軸18の前部と、回転伝動軸31の前部とにわたって低速変速経路32が設けられている。低速変速経路32よりも後側において、伝動装置入力軸18と回転伝動軸31にわたって高速変速経路33が設けられている。
前後進切換え装置20Bは、図2,3に示されるように、回転伝動軸31と、回転伝動軸31の上方に回転伝動軸31に対して平行に設けられた中継軸40とを備えている。中継軸40は、伝動装置入力軸18の後側に、かつ、変速装置20Cの入力軸60の前側に設けられ、入力軸60に連動連結されている。中継軸40と伝動装置入力軸18と入力軸60とは、同一軸芯上に一直線状に並んで位置している。中継軸40は、筒軸によって構成され、回転軸29aに相対回転可能に外嵌されている。中継軸40は、入力軸60に連動連結されている。本実施形態では、中継軸40は、入力軸60に一体成形されて、入力軸60に動連結されている。これに限らず、中継軸40と入力軸60とをジョイントなどの連結部材によって連動連結する構成を採用してもよい。
図3に示されるように、高速側クラッチ39、低速側クラッチ36、前進側クラッチ49及び後進側クラッチ46は、湿式摩擦クラッチによって構成されている。本実施形態では、高速側クラッチ39、低速側クラッチ36、前進側クラッチ49及び後進側クラッチ46は、多板クラッチによって構成されている。これに限らず、単板クラッチの採用も可能である。高速側クラッチ39及び低速側クラッチ36は、回転伝動軸31の一端側部分としての前端側部分に装着され、前進側クラッチ49及び後進側クラッチ46は、回転伝動軸31の他端側部分としての後端側部分に装着されている。
変速装置20Cは、図2,3に示されるように、入力軸60、及び、入力軸60の下方に入力軸60に対して平行な状態で設けられた出力軸67を備えている。入力軸60は、筒軸によって構成され、回転軸29aに相対回転可能に外嵌されている。入力軸60と出力軸67とにわたって第1速ギヤ対61乃至第6速ギヤ対66が設けられている。
副変速装置20Dは、図2,4に示されるように、副変速軸としての回転軸29aと、変速装置20Cの出力軸67の後側に出力軸67と一直線状に並ぶ状態で設けられた副変速出力軸70とを備えている。回転軸29aに変速ギヤ71が相対回転可能に支持されている。変速ギヤ71の前部に、変速装置20Cの出力軸67に相対回転不能に備えられた出力ギヤ68に咬み合った第1減速ギヤ部71aが備えられている。変速ギヤ71の後部に、伝動ギヤ部71bが備えられている。伝動ギヤ部71bに咬み合った第2減速ギヤ72が副変速出力軸70に相対回転可能に支持されている。副変速出力軸70の前部に第1シフトギヤ73が相対回転不能にかつスライド可能に支持されている。副変速出力軸70の後部に備えられた支持部74に第2シフトギヤ75が相対回転不能にかつスライド可能に支持されている。
クリープ変速装置20Eは、図2,4に示されるように、副変速出力軸70の下方と、差動機構入力軸19aの下方とに亘って設けられたクリープ軸80を備えている。副変速出力軸70の出力ギヤ76に咬み合った第1クリープギヤ81がクリープ軸80の前部に相対回転不能に支持されている。クリープ軸80の後部に相対回転不能に備えられたクリープ軸ギヤ82に咬み合った第2クリープギヤ83が差動機構入力軸19aに相対回転可能に支持されている。
(1)上記した実施形態では、高低速切換え装置20Aを伝動装置入力軸18と回転伝動軸31とにわたって設け、前後進切換え装置20Bを回転伝動軸31と中継軸40とにわたって設けた例を示されているが、高低速切換え装置20Aを回転伝動軸31と中継軸40とにわたって設け、前後進切換え装置20Bを伝動装置入力軸18と回転伝動軸31とにわたって設けて実施してもよい。
2 走行装置(後車輪)
3 エンジン
18 伝動装置入力軸
20A 高低速切換え装置
20B 前後進切換え装置
20C 変速装置
32 低速変速経路
33 高速変速経路
36 低速側クラッチ
39 高速側クラッチ
40 中継軸
41 後進変換経路
42 前進変換経路
46 後進側クラッチ
49 前進側クラッチ
51 給油路
52 補給油路
60 入力軸
Claims (6)
- エンジンの動力が伝動装置入力軸に入力され、前記伝動装置入力軸に入力された動力が高低速切換え装置によって高速動力と低速動力とに変速され、かつ、前後進切換え装置によって前進動力と後進動力とに変換されて変速装置に入力され、前記変速装置によって複数段の変速動力に変速して走行装置に向けて出力されるトラクタの走行用伝動装置であって、
前記高低速切換え装置に、入力される動力を高速側クラッチの入り作動によって高速動力に変速する高速変速経路と、入力される動力を低速側クラッチの入り作動によって低速動力に変速する低速変速経路と、が備えられ、
前記前後進切換え装置に、入力される動力を前進側クラッチの入り作動によって前進動力に変換する前進変換経路と、入力される動力を後進側クラッチの入り作動によって後進動力に変換する後進変換経路と、が備えられ、
前記伝動装置入力軸よりも後側に設けられ、かつ、前記変速装置の入力軸に連動連結された中継軸が備えられ、
前記高速側クラッチ、前記低速側クラッチ、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチが同一の回転伝動軸に装着されており、
前記高速変速経路及び前記低速変速経路は、前記伝動装置入力軸と前記中継軸とのうちの一方と、前記回転伝動軸と、にわたって設けられており、
前記前進変換経路及び前記後進変換経路は、前記伝動装置入力軸と前記中継軸とのうちの他方と、前記回転伝動軸と、にわたって設けられ、
前記高速側クラッチ、前記低速側クラッチ、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチは、湿式摩擦クラッチであり、
前記高速側クラッチ、前記低速側クラッチ、前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチのそれぞれに潤滑油を補給する一つの給油路が前記回転伝動軸に形成され、
前記高速側クラッチ及び前記低速側クラッチが前記回転伝動軸の一端側部分に装着されており、
前記前進側クラッチ及び前記後進側クラッチが前記回転伝動軸の他端側部分に装着されており、
前記給油路に前記回転伝動軸の外部から潤滑油を補給する補給油路が前記給油路のうち、前記一端側部分と前記他端側部分との間に対応する部位に接続されているトラクタの走行用伝動装置。 - 前記中継軸は、前記回転伝動軸の上方の、かつ、前記入力軸と同一軸芯上の箇所に設けられている請求項1に記載のトラクタの走行用伝動装置。
- 前記伝動装置入力軸、前記中継軸及び前記入力軸は、同一軸芯上に位置している請求項1又は2に記載のトラクタの走行用伝動装置。
- 前記中継軸は、前記入力軸に一体形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載のトラクタの走行用伝動装置。
- 前記高速変速経路及び前記低速変速経路は、前記伝動装置入力軸と前記回転伝動軸とにわたって設けられており、
前記前進変換経路及び前記後進変換経路は、前記中継軸と前記回転伝動軸とにわたって設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載のトラクタの走行用伝動装置。 - 請求項1~5のいずれか一項に記載のトラクタの走行用伝動装置を備えたトラクタ。
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