JP7129159B2 - 液量算出装置および移動体の重心変更装置 - Google Patents
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本発明の液量算出装置は、第一傾斜検出部と、液位検出部と、演算部と、を備える。
第一傾斜検出部は、移動体の移動に伴う容器の状態量の変化に基づいて、液面の傾斜角を検出する。液位検出部は、容器に貯留される液面の位置を検出する。また、演算部は、第一傾斜検出部が検出した液面の傾斜角と、液位検出部が検出した液面の位置と、容器の仕様と、に基づいて、容器に貯留される液体の量を算出する。なお、本発明において、液面の傾斜角は、液体を貯留する容器の容積部分に対する、液面の傾斜角として定義される。
複数の液位検出部として、第一方向の一方端に偏って配置される第一液位検出部と、第一方向の他方端に偏って配置される第二液位検出部とを備えることができる。
また、複数の液位検出部として、第二方向の一方端に偏って配置される第三液位検出部と、第二方向の他方端に偏って配置される第四液位検出部と、を備えることができる。
また、本発明における液量算出装置において、第一傾斜検出部は、移動体に設けられた機体姿勢センサであってもよい。この形態は、複数の容器が存在する場合に、容器とは独立して単数または複数の第一傾斜検出部が設けられることを包含している。
この伸縮体は、揺動中心を介して容器に支持されるとともに、軸線方向に伸縮する。浮体は、伸縮体に支持されるとともに、液面に浮く。測距部は、揺動中心から浮体までの距離を検出する。また、第二傾斜検出部は、鉛直方向に対する伸縮体の傾斜角を検出する。
したがって、本発明の液量算出装置によれば、例えば容器の傾斜角が大きいために一対の液位検出部の一方が液面を検出できなくても、他方の液位検出部が液面と接していれば、液面の傾斜角と液面の位置を用いて液体の量を算出できるので、検出できる液量の範囲の制約を小さくできる。
本実施形態は第1実施形態と第2実施形態を含み、両者は一対の液位検出部としての液位センサがタンク20の長手方向(第一方向)に間隔をあけて配置される点で共通する。ただし、第1実施形態は、航空機の姿勢によらず、タンクに対する液位センサの姿勢が維持される例に該当し、第2実施形態は、航空機の姿勢によって、タンクに対する姿勢が変わる例に該当する。以下、第1実施形態、第2実施形態の順に説明する。
第1実施形態の重心変更装置10は、図1に示すように、航空機100の飛行試験時において航空機100の胴体部分100Aに取り付けられる。重心変更装置10は、複数のタンク20を有しており、各々のタンク20には旅客や貨物を想定したウエイトとして機能する液体(水)が貯留される。そして、重心変更装置10は、これらのタンク20の間で水を移動させることで航空機100の胴体部分100Aにおける重心位置を変更する。
ここで、以下の説明において、航空機100の前後方向はXで示し、航空機100の左右方向はYで示し、航空機100の上下方向はZで示す。また、航空機100のピッチ方向はPで示し、航空機100のロール方向はRで示す。
重心変更装置10は、図2に示すように、タンク20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20Hと、マニホールド部30A,30Bと、ポンプ40と、制御部50とを有している。
ここで、タンク20A-20Hは同様の構成を有しており、個々の要素を区別する必要がないときにはタンク20と総称する。同様に、マニホールド部30A,30Bは同様の構成を有しており、個々の要素を区別する必要がないときにはマニホールド部30と総称する。
次に、各々のタンク20に対応する液量算出装置60の構成を説明する。なお、各々の液量算出装置60の構成は共通するので、タンク20Aの液量算出装置60Aを説明し、重複説明は省略する。
第1実施形態の液量算出装置60Aは、図3に示すように、タンク20Aに設けられており、第一傾斜センサ61と、一対の液面検出センサ62A,62Bと、演算部63とを有している。ここで、液面検出センサ62A,62Bは同様の構成を有しているので、個々の要素を区別する必要がないときには液面検出センサ62と総称する。
第一傾斜センサ61は、タンク20の状態量の変化に基づいてタンク20の水平面に対する傾斜角、換言すると水の液面の傾斜角を検出する第一傾斜検出部の一例である。
第一傾斜センサ61は、例えば振動型のジャイロセンサで構成され、タンク20と相対位置が一定であるタンク20の外側上面に取り付けられている。第一傾斜センサ61は、航空機100の動きに伴ってタンク20の傾斜角が変化したときに、センサに加わるコリオリの力からピッチ方向Pとロール方向Rにおける角速度を検出する。そして、第一傾斜センサ61は、これらの角速度を積分演算することで、タンク20におけるピッチ方向Pとロール方向Rのそれぞれの傾斜角を検出する。なお、第一傾斜センサ61が検出したタンク20における傾斜角の情報は、演算部63に出力される。また、角速度は状態量の一例である。
液面検出センサ62は、液位検出部の一例である。液面検出センサ62は、タンク20内の水面22の位置を検出する。この位置は、タンク20の高さ方向の位置である。液面検出センサ62が検出する水面22の位置は、水平面に対するタンク20の傾斜角に応じて変化する。なお、液面検出センサ62が検出した水面22の位置の情報は、演算部63に出力される。
なお、液面検出センサ62の構成は、例えば、静電容量型の水位センサなどの他の公知の水位センサであってもよい。
図4(a)において破線で示すように、タンク20の長さ方向Lの中央のみに液面検出センサ62を配置したとすると、この液面検出センサ62は水面22に接触しない。
図4(a)において実線で示すように、タンク20の長さ方向Lの中央よりも後側に位置している液面検出センサ62Bが、タンク20の後側に溜まっている水の水面22に接触する。同様に、図4(b)において実線で示すように、タンク20の長さ方向Lの中央よりも前側に位置している液面検出センサ62Aが、タンク20の前側に溜まっている水の水面22に接触する。
なお、ここでは水量が少ない場合を想定したが、傾斜角が大きい場合にも同様のことが当てはまる。
なお、図4を用いた説明はあくまで液体の量が少ないか、または傾斜角が大きいことを前提としている。本実施形態において、この前提がない場合には長さ方向Lの中央のみに液面検出センサを設けることを許容する。
なお、液面検出センサ62の数やそれらの配置位置は、タンク20の仕様、水平面に対するタンク20の傾斜角の範囲、あるいはタンク20に貯留される水(液体)の量の範囲を考慮して、適宜設定することができる。したがって、本実施形態において、液面検出センサ62はタンク20内に1つのみ設置してもよい。あるいは、本実施形態において、長さ方向Lや幅方向Wに3つ以上の液面検出センサ62を設置するようにしてもよい。
次に、演算部63は、タンク20の仕様情報、第一傾斜センサ61で検出した傾斜角の情報(傾斜角情報)および液面検出センサ62で検出した水面22の位置の情報(水面位置情報)を用いて、タンク20に貯留されている現在の水量を算出する。演算部63は、タンク20の形状および寸法の仕様を示す仕様情報を保持する記憶媒体64を有している。記憶媒体64は、タンク20の仕様情報として以下の情報を保持する。
(i)タンク20の長手寸法L
(ii)タンク20の幅寸法B
(iii)タンク20の高さ寸法H
(iv)タンク20における液面検出センサ62の取付位置
(v)液位センサ62のタンク20に対する姿勢は直角で維持される
なお、演算部63は、専用のハードウエアで構築されたプロセッサであってもよく、制御部50内における演算処理によってソフトウェア的に実現されてもよい。
(ステップ1):演算部63は、タンク20の仕様情報((i)~(iv))を記憶媒体64から読み出す。
(ステップ2):演算部63は、タンク20におけるピッチ方向Pの傾斜角α1およびロール方向Rの傾斜角α2を第一傾斜センサ61から取得する。これら傾斜角情報α1,α2は、タンク20の水平面に対する傾斜角を示す。
(ステップ3):演算部63は、水面位置情報hを液面検出センサ62から取得する。この水面位置情報hは、タンク20の上面21において、センサ本体65の一端が固定されている箇所から水面22までセンサ本体65に沿った方向の距離hを示す。また、この水面位置情報hは、液面検出センサ62A,62Bのそれぞれで検出された水面位置情報haと水面位置情報hbを含んでいる。
演算部63は、水面位置情報ha,hbの一方しか取得できないときには取得できた水面位置情報ha,hbを用い、水面位置情報ha,hbの両方を取得したときには、例えば、水量の算出のときに予め決定されている一方の液面検出センサ62の水面位置情報を用いる。
なお、液面検出センサ62が1つのみの場合は、その液面検出センサ62の水面位置情報を用いる。
また、後述する第2実施形態においては、α1=β1の関係およびα2=β2の関係が成り立つわけではない。
V:水量
L:タンク20の長手寸法
B:タンク20の幅寸法
H:タンク20の高さ寸法
A1:容積部分の長さ方向Lにおけるタンク20の端から液面検出センサまでの距離
A2:容積部分の幅方向Wにおけるタンク20の端から液面検出センサまでの距離
α1:容積部分のピッチ方向Pの傾斜角
α2:容積部分のロール方向Rの傾斜角
h:センサ本体65におけるタンクの上面から水面までの距離
β1:センサ本体65における鉛直方向からピッチング方向Pへの傾斜角(=α1)
β2:センサ本体65における鉛直方向からロール方向Rへの傾斜角(=α2)
本実施形態の液量算出装置60は、タンク20の状態量の変化に基づいてそのタンク20の傾斜角を検出し、この傾斜角に基づいてタンク20の水量を算出する。傾斜角を検出するためには、液面検出センサ62A,62Bの少なくとも一方が水面22に接していなければならないが、液面検出センサ62A,62Bの両方が液面22に接している必要はない。
したがって、本実施形態の液量算出装置60によれば、一対の液面検出センサ62A,62Bの一方だけしか水面22と接していなくても、他方の液面検出センサが液面22と接していれば、液面22の傾斜角と液面22の位置を用いて水量を算出できる。この結果として、液量演算装置60は、検出する液量について、水量が少ない、または、液面の傾斜角が大きいといった制約の範囲を小さくできる。
次に、図1,図2を参照して、液量算出装置60を備える第1実施形態の重心変更装置10の動作を説明する。
制御部50は、現在の重心変更装置10の設定における機体の重心位置をすでに算出している。この算出は、以下の手順で行われる。
制御部50は、各々のタンク20に設けられる液量算出装置60の演算部63から、各々のタンク20に貯留されている水量の情報を取得する。そして、制御部50は、各タンク20の水量および各タンク20の平面方向(XY方向)の位置に基づいて、現在の重心変更装置10の設定における機体の重心位置を算出する。
以上のようにして、重心変更装置10は、航空機100の胴体部分100Aにおける重心位置を変更できる。
第1実施形態の重心変更装置10は、液量算出装置60を有することにより、タンク20がピッチ方向やロール方向に傾いていても各タンク20の水量を正しく検出できる。そのため、第1実施形態の重心変更装置10によれば、航空機100の機体がピッチ方向またはロール方向に傾いている状態でも機体の重心位置を正確に変更できる。
つまり、第1実施形態の重心変更装置10によれば、機体の重心位置を変更するときに、タンク20の水量を検出するために機体の姿勢を安定させる必要がなくなるので、試験飛行時の飛行時間を短縮できる。また、第1実施形態の重心変更装置10によれば、離陸後から試験飛行の高度に達するまでの時間のように、航空機100の姿勢が安定していないときにも機体の重心位置を変更できるので、飛行試験時の上昇時間を有効に利用できる。
次に、図7,図8を参照しつつ、第2実施形態の液量算出装置60’の構成を説明する。第2実施形態の液量算出装置60’は、図1,図2に示す重心変更装置10において、第1実施形態の液量算出装置60に置き換えて使用される。
なお、以下の第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一の要素には同じ符号を付して重複説明を省略する。
第2実施形態の液量算出装置60’において、タンク20内における2つの液面検出センサ70A,70Bの配置は、図3の場合と同様である。なお、液面検出センサ70A,70Bは同様の構成を有しており、個々の要素を区別する必要がないときには液面検出センサ70と総称する。
液面検出センサ70は、水面22に浮く浮体71と、浮体71を支持する伸縮体72と、揺動中心として伸縮体72を揺動可能に支持する自在継手73と、伸縮センサ74と、第二傾斜センサ75とを有している。
伸縮体72は、それぞれ径の異なる複数の筒体72A1,72A2,72A3が入れ子状に収納された構成である。伸縮体72は、筒体72A1,72A2,72A3の相互の進退によりその軸線方向に伸縮する。
自在継手73は、タンク20の上面21と伸縮体72の他端とを接続する。浮体71が取り付けられた伸縮体72は、自在継手73を介してタンク20の容積部分を自由に揺動運動する。この揺動運動は、容器20の上面21に干渉しない範囲で行われる。
第二傾斜センサ75は、例えば伸縮体72に内蔵されたジャイロセンサで構成され、鉛直方向に対する伸縮体72のピッチ方向およびロール方向の傾斜角を検出する。第二傾斜センサ75が検出した伸縮体22の傾斜角の情報は、演算部63に出力される。なお、第二傾斜センサ75は、第二傾斜検出部の一例である。
以上の構成を有するので、液面検出センサ70における伸縮体72の一端から他端までの距離は変動し、浮体71は水面22の変動に応じて自由に位置が変わる。
また、図10(a)は、第1実施形態の図6(a)に対応し、幅方向Wからみたときに水の領域の形状が台形をなし、演算部63が第二演算式(2p)により水量Vを算出する場合を示している。図10(b)は、第1実施形態の図6(b)に対応し、長さ方向Lからみたときに水の領域の形状が台形をなし、演算部63が第二演算式(2r)により水量Vを算出する場合を示している。
β1:鉛直方向に対する伸縮体72のピッチ方向の傾斜角
β2:鉛直方向に対する伸縮体72のロール方向の傾斜角
第2実施形態の液量算出装置60’も、第1実施形態の液量算出装置60と同様の効果を得ることができる。
つまり、図4(a),(b)に破線で示した液面検出センサ62を液面検出センサ70に代替したとすれば、浮体71が水面22に浮くように、伸縮体72が揺動しかつ伸長することができる。したがって、第2実施形態によれば、第1実施形態よりも水面22の位置を検出できる範囲が広くなるので、検出できる水量の範囲が広がる。
20,20A-20H タンク
21 上面
22 水面
30,30A,30B マニホールド部
31,33 配管
32 弁
40 ポンプ
50 制御部
51 機体姿勢センサ
60,60’,60A 液量算出装置
61 姿勢検出センサ
62,62A,62B 液面検出センサ
63 演算部
64 記憶媒体
65 センサ本体
65A 検出領域
70,70A,70B 液面検出センサ
71 浮体
72 伸縮体
72A1-A3 筒体
73 自在継手
74 伸縮センサ
75 傾斜センサ
100 航空機
100A 胴体部分
Claims (7)
- 移動体に搭載される容器に貯留される、燃料を除く液体の量を算出する液量算出装置であって、
前記移動体の移動に伴う前記容器の状態量の変化に基づいて、前記液体の液面の傾斜角を検出する第一傾斜検出部と、
前記第一傾斜検出部に対して別の要素であって、前記容器に貯留される前記液体の液面の位置を検出する液位検出部と、
前記第一傾斜検出部が検出する前記液面の傾斜角と、前記液位検出部が検出する前記液面の位置と、前記容器の仕様と、に基づいて、前記容器に貯留される前記液体の量を算出する演算部と、を備え、
複数の前記液位検出部が、平面方向における前記容器の第一方向および前記第一方向と直交する第二方向の少なくとも一つの方向に間隔をあけて前記容器内に配置され、
前記液位検出部は、
揺動中心を介して前記容器に支持されるとともに、軸線方向に伸縮する伸縮体と、
前記伸縮体に支持されるとともに、前記液面に浮く浮体と、
前記揺動中心から前記浮体までの距離を検出する測距部と、
鉛直方向に対する前記伸縮体の傾斜角を検出する第二傾斜検出部と、を含み、
前記液位検出部は、前記伸縮体の伸縮および揺動運動により前記浮体が前記液面の変動に追従するように構成されている、
ことを特徴とする液量算出装置。 - 複数の前記液位検出部は、
前記第一方向の一方端に偏って配置される第一液位検出部と、
前記第一方向の他方端に偏って配置される第二液位検出部と、を備える、
請求項1に記載の液量算出装置。 - 複数の前記液位検出部は、
前記第二方向の一方端に偏って配置される第三液位検出部と、
前記第二方向の他方端に偏って配置される第四液位検出部と、を備える、
請求項1または2に記載の液量算出装置。 - 前記第一傾斜検出部は、
前記容器に対応して設けられ、前記液面の前記傾斜角を検出する、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の液量算出装置。 - 前記第一傾斜検出部は、
前記移動体に設けられた機体姿勢センサである、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の液量算出装置。 - 前記移動体は、航空機であり、
前記液面の傾斜角および前記液位検出部の傾斜角は、前記航空機のピッチ方向およびロール方向の成分を含む、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の液量算出装置。 - 請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の液量算出装置を複数有する移動体の重心変更装置であって、
前記液量算出装置の前記容器同士を接続する配管と、
前記配管を介して複数の前記容器の間で前記液体を移動させるポンプと、
前記液量算出装置で算出した各々の前記容器における前記液体の量と、前記移動体における前記容器の配置に基づいて、複数の前記容器間における前記液体の移動量が生ずるように前記ポンプの動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする移動体の重心変更装置。
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