JP7128632B2 - 医療用具用コーティング剤、医療用具用硬化性コーティング剤、医療用具用重合体、コーティング方法、医療用具及びその製造方法 - Google Patents

医療用具用コーティング剤、医療用具用硬化性コーティング剤、医療用具用重合体、コーティング方法、医療用具及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、医療用具用コーティング剤、及び医療用具用硬化性コーティング剤に関する。より詳しくは、抗血栓性に優れ、生体成分又は生体組織と接触して使用される医療用具のコーティングに好適な医療用具用コーティング剤、医療用具用硬化性コーティング剤、及び医療用具用重合体、並びにこれらを用いたコーティング方法、医療用具及びその製造方法に関する。
高分子化合物は、原料となる単量体を選択することで様々な特性のものを設計することが可能であり、工業製品から日用品まで様々な用途に幅広く用いられている。このような高分子化合物の用途の1つに医療用具用途がある。医療用具は、血液等の生体成分や生体組織と接触する環境下で使用され、医療用具表面と生体成分や生体組織との親和性が低い場合、例えば血液と接触した際、生体防御機構が活性化され、血液が凝固して血栓が形成される等の不具合が生じる。このため、医療用具は少なくとも生体成分や生体組織と接触する表面が生体適合性の高い材料で形成されていることが必要となる。
このような医療用具の材料として用いられる高分子化合物については、これまでに種々の化合物が提案されている。例えば、2-(メタクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPC)を原料とする重合体(特許文献1)や、2-メトキシエチルアクリレート(MEA)を原料とする重合体(特許文献2)が知られており、これらは抗血栓性コーティング剤として使用できることが知られている。また、特許文献3には、カルボン酸エステル構造を2つ有するアクリル酸誘導体由来の特定の構造単位を有する重合体が記載され、当該重合体が優れた生体適合性を有し、医療用具の生体組織や生体由来成分と接触する部分の材料等に好適に用いられることが記載されている。
特開2002-356519号公報 特開2006-158961号公報 特開2017-127531号公報 特表2017-513596号公報
しかしながら、MPCを原料とする重合体は、高コストな材料であることに加え、吸湿性が大きく取り扱い性に問題があり、MEAを原料とする重合体は、長期の抗血栓性が充分ではなく、基材への密着性にも問題があった。特許文献3に記載の重合体は、これらの点が改善されているが、医療用途により幅広く応用できるようにするために、生体適合性、特に抗血栓性に優れた新たな重合体材料を開発する必要があった。
一方、特許文献4には、コンタクトレンズ及び眼内レンズに適用可能な(メタ)アクリルアミドポリマーが記載されている。しかしながら、(メタ)アクリルアミドポリマーが抗血栓性に優れることは記載されていない。特に非架橋の(メタ)アクリルアミドポリマーの生体適合性、なかんずく抗血栓性に関する記載や示唆は全く見られない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、生体適合性に優れ、特に抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができる医療用具用コーティング剤、医療用具用硬化性コーティング剤、医療用具用重合体、これらを用いたコーティング方法、医療用具及びその製造方法を提供することを目的とする。
なお、本発明において、生体適合性という用語は、生体防御機構を活性化しない、すなわち、生体組織から異物と認識されない性質という意味で用いられる。
本発明者は、生体適合性に優れたコーティング膜を形成することができる重合体について種々検討したところ、(メタ)アクリルアミドモノマー由来の特定の構造単位を有する重合体を採用することにより、生体適合性に優れ、特に抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含むことを特徴とする医療用具用コーティング剤である。
Figure 0007128632000001
(一般式(1)中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。)
本発明はまた、下記一般式(2)で表される単量体を含むことを特徴とする医療用具用硬化性コーティング剤である。
Figure 0007128632000002
(一般式(2)中、Yは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。)
本発明はまた、上記一般式(1)で表される構造単位を有し、重量平均分子量が2000000以下であることを特徴とする医療用具用重合体である。
本発明はまた、基材と、上記基材表面上に上述の医療用具用コーティング剤又は医療用具用硬化性コーティング剤を用いてなるコーティング層を有することを特徴とする医療用具でもある。
本発明はまた、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具のコーティング方法であって、上記コーティング方法は、上述の医療用具用コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物を乾燥させて該基材表面上にコーティング層を形成する工程を有することを特徴とする医療用具のコーティング方法でもある。
本発明はまた、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具のコーティング方法であって、上記コーティング方法は、上述の医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物に対して活性エネルギー線照射をして上記基材表面上にコーティング層を形成する工程を含むことを特徴とする医療用具のコーティング方法でもある。
本発明はまた、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具の製造方法であって、上記製造方法は、上述の医療用具用コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物を乾燥させてコーティング層を形成する工程を含むことを特徴とする医療用具の製造方法でもある。
本発明はまた、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具の製造方法であって、上記製造方法は、上述の医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物に対して活性エネルギー線照射をしてコーティング層を形成する工程を含むことを特徴とする医療用具の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の医療用具用コーティング剤及び医療用具用硬化性コーティング剤は、生体適合性に優れ、特に抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができる。本発明の医療用具用コーティング剤及び医療用具用硬化性コーティング剤は、生体適合性に優れ、抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができるので、生体成分又は生体組織と接する医療用具のコーティングに好適に適用することができる。本発明の医療用具用コーティング剤又は医療用具用硬化性コーティング剤を用いれば、生体適合性に優れ、抗血栓性に優れた表面を有する医療用具を製造することができる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
1.医療用具用コーティング剤
本発明は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含むことを特徴とする医療用具用コーティング剤である。本発明の医療用具用コーティング剤は、特定の構造単位を有する重合体を含むため、生体適合性、特に抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができる。
Figure 0007128632000003
(一般式(1)中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。)
本発明の医療用具用コーティング剤が、上述した特定の構造単位を有する重合体を含むことにより、生体適合性に優れ、抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができるのは、上記重合体がアミド基と水酸基を有することで、高い強度と高い親水性を有する表面を有する膜が形成されるためであると推測される。
本発明の医療用具用コーティング剤に含まれる、上記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体(以下、「重合体(A)」とも記載する。)について説明する。
上記一般式(1)において、Xは、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(1)において、Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。上記アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
上記-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)としては、nが1~4の整数であるものが好ましく、1~3の整数であるものがより好ましく、1又は2であるものが更に好ましい。
としては、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~3の整数を表す。)であることが好ましく、水素原子、メチル基又は-(CHOH(nは1~3の整数を表す。)であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。
上記アルキル基としては、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、1-メチルエチル基、n-ブチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルエチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基又はn-エイコシル基を挙げることができる。なかでも、材料が有する親水・疎水性のバランスが良好となる点で、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
上記一般式(1)において、-CRとしては、例えば、-CHOH、-CH-CHOH、-CH(OH)-CHOH、-CH-CH(OH)-CHOH、-CH(CH)OH、-CH(CH)-CHOH、-CH(CH)-CH(OH)-CHOH、-C(CHOH、-C(CH-CHOH、-C(CH-CH(OH)-CHOH、-CH(CHOH)、-C(CHOH)、-CH(C)OH、-CH(C)-CHOH、-CH(C)-CH(OH)-CHOH、-C(COH、-C(C-CHOH、-C(CH)(CHOH)等が挙げられる。
なかでも、抗血栓性がより一層優れる点で、-CHOH、-CHCHOH、-CH(OH)-CHOH、-CH-CH(OH)-CHOH、-CH(CHOH)、又は-C(CHOH)が好ましく、-CH-CH(OH)-CHOH、又は-CH(CHOH)がより好ましい。
上記一般式(1)で表される構造単位として、具体的には、下記が好ましく挙げられる:
Figure 0007128632000004
(いずれも式中、Xは、水素原子又はメチル基を表し、R11は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CHOH又は-CHCHOHを表す。)
11は、より好ましくは、水素原子、メチル基、-CHOH又は-CHCHOHを表す。
上記一般式(1)で表される構造単位としては、具体的には、下記がより好ましく挙げられる。
Figure 0007128632000005
(いずれも式中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。)
上記重合体(A)は、上記一般式(1)で表される構造単位として、1種のみを有してよいし、2種以上を有していてもよい。
上記重合体(A)は、上記一般式(1)で表される構造単位を与える単量体を含む単量体成分を重合することや、他の単量体を重合してなる重合体の後変性によって、上記一般式(1)で表される構造単位を誘導することにより得ることができる。重合体構造の均一性の点からは、上記一般式(1)で表される構造単位を与える単量体を含む単量体成分を重合することによって得ることが好ましい。
上記一般式(1)で表される構造単位を与える単量体としては、好ましくは、下記一般式(2)で表される単量体を挙げることができる。
Figure 0007128632000006
(一般式(2)中、Yは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。)
上記一般式(2)において、Yは、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(2)において、Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。上記アルキル基及び-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)としては、上記一般式(1)におけるRが表すアルキル基及び-(CHOHと同様のものが好ましく挙げられる。
上記一般式(2)において、R、R、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。R、R、Rとしては、上記一般式(1)におけるR、R、Rと同様のものが好ましく挙げられる。
上記一般式(2)における-CRとしては、上記一般式(1)における-CRと同様のものが好ましく挙げられる。
上記一般式(2)で表される単量体としては、好ましくは、下記からなる群より選択される少なくとも一種の単量体が挙げられる。
Figure 0007128632000007
(いずれも式中、Yは、水素原子又はメチル基を表し、R12は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CHOH又は-CHCHOHを表す。)
12は、より好ましくは、水素原子、メチル基、-CHOH又は-CHCHOHを表す。
上記一般式(2)で表される単量体としては、より好ましくは、下記からなる群より選択される少なくとも一種の単量体が挙げられる。
Figure 0007128632000008
(いずれも式中、Yは、水素原子又はメチル基を表す。)
上記一般式(1)で表される構造単位の含有量は、重合体(A)の全構造単位100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましく、100質量%以下であることが好ましい。上記一般式(1)で表される構造単位の含有量が上述の範囲であると、抗血栓性がより一層優れる。
上記一般式(1)で表される構造単位の含有量は、重合体(A)の全構造単位100質量%に対して、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、また、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
上記重合体(A)は、上記一般式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。上記他の構造単位としては、例えば、以下のいずれかの単量体の炭素-炭素二重結合が単結合になった構造単位が挙げられる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸s-アミル、(メタ)アクリル酸t-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、α-ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α-ヒドロキシメチルアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン、o-クロロスチレン、2,5-ジクロロスチレン、3,4-ジクロロスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;メチルマレイミド、エチルマレイミド、イソプロピルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミドなどのN置換マレイミド類等。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが更に好ましく、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が1~8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが更により好ましく、(メタ)アクリル酸n-ブチルが特に好ましい。
上記重合体(A)は、上記他の構造単位として、これらの1種又は2種以上を有していてもよい。
上記他の構造単位の含有量は、重合体(A)の全構造単位100質量%に対して、0質量%以上であることが好ましく、90質量%以下であることが好ましい。抗血栓性がより一層優れる点で、上記他の構造単位の含有量は、重合体(A)の全構造単位100質量%に対して、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、また、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
上記重合体(A)において、一般式(1)で表される構造単位(a)と上記他の構造単位(b)との含有比(a)/(b)としては、モル比で1/99~100/0が好ましく、10/90~99/1がより好ましく、20/80~80/20が更に好ましい。
上記重合体(A)は、重量平均分子量が2000000以下であることが好ましい。重合体(A)の重量平均分子量が上述の範囲であると、医療用具用コーティング剤として好適なものとなる。重合体(A)の重量平均分子量は、より好ましくは10000~2000000であり、更に好ましくは30000~1500000であり、特に好ましくは50000~1000000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、実施例に記載の測定条件で測定することができる。
上記重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が-40~200℃であることが好ましい。重合体(A)のガラス転移温度が上述の範囲であると、医療用具用コーティング剤としてより好適なものとなる。重合体(A)のガラス転移温度は、より好ましくは-30℃以上であり、更に好ましくは-20℃以上であり、またより好ましくは150℃以下であり、更に好ましくは100℃以下である。
上記ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)により測定することができる。
上記重合体(A)は、溶剤溶解性を有することが好ましい。ここで、上記溶剤溶解性とは、上記重合体(A)が、水又は有機溶媒100質量部に対して0.1質量部以上溶解することができる性質をいう。上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドが挙げられ、なかでもN,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。
上記重合体(A)は、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド100質量部に対して0.1質量部以上溶解することができ、より好ましくは1質量部以上溶解することができ、更に好ましくは10質量部以上溶解することができる。
(重合体(A)の製造方法)
上記重合体(A)を製造する方法としては、特に制限されず、例えば、上述した一般式(1)で表される構造単位を与える単量体と、必要に応じて上記他の構造単位を与える単量体とを含む単量体成分を含む重合用単量体組成物を公知の方法で重合する方法が挙げられる。上記一般式(1)で表される構造単位を与える単量体としては、好ましくは上記一般式(2)で表される単量体が挙げられる。
重合反応の方法は、特に制限されるものではなく、例えば、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合等の従来公知の方法によって行うことができる。なかでも、上記重合用単量体組成物に対して、熱又は活性エネルギー線を用いて重合反応を行うことが好ましい。
熱を用いて重合反応を行う場合、加熱温度としては、40~200℃が好ましく、60~150℃がより好ましく、80~120℃が更に好ましい。加熱時間としては、1~360分間が好ましく、1~180分間がより好ましく、2~120分間が更に好ましく、3~60分間が特に好ましい。
熱を用いて上記重合用単量体組成物を重合させる場合、熱重合開始剤の存在下で重合反応を行うことが好ましい。熱重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2.2’-アゾビス-2-メチルプロピオン酸メチル、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’-アゾビス-1-シクロヘプタンニトリル、1,1’-アゾビス-1-フェニルエタン、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酢酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、過酸化アセチル、過酸化プロピオニル、過酸化ラウロイル、過酢酸tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等が好適である。これらの熱重合開始剤は、1種単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
熱重合開始剤の使用量は、重合反応に使用される単量体成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
活性エネルギー線を用いて重合反応を行う場合、用いる活性エネルギー線としては、例えば、放射線、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。これらは使用する上記重合用単量体組成物に応じて適宜選択することができる。なかでも、照射装置の入手が容易で、比較的低コストで用いることができる点より、紫外線が好ましい。
活性エネルギー線を用いて重合反応を行う場合、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤、又は光ラジカル重合開始剤等の光重合開始剤の存在下で重合反応を行うことが好ましい。なかでも、光ラジカル重合開始剤の存在下で重合反応を行うことがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-(4-メチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-エチルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ブチルフェニル)-2-ジメチルアミノ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ジメチルアミノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォルニル)フェニル]-1-ブタノン等のα-アミノケトン系化合物;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’ -テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’ -テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ),2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシケトン系化合物;等が挙げられる。これらは、1種単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
光重合開始剤の使用量は、重合反応に使用される単量体成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましく0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
熱重合開始剤および光重合開始剤は併用してもよく、その場合、熱重合と光重合を併用することで、より高反応率で重合反応を行うことができる。
また、重合反応において、連鎖移動剤を使用してもよい。上記連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸等のメルカプトカルボン酸類;メルカプト酢酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸n-オクチル、3-メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、3-メルカプトプロピオン酸ステアリル、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等のメルカプトカルボン酸エステル類;エチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、1,2-ジメルカプトエタン等のアルキルメルカプタン類;2-メルカプトエタノール、4-メルカプト-1-ブタノール等のメルカプトアルコール類;ベンゼンチオール、m-トルエンチオール、p-トルエンチオール、2-ナフタレンチオール等の芳香族メルカプタン類;トリス〔(3-メルカプトプロピオニロキシ)-エチル〕イソシアヌレート等のメルカプトイソシアヌレート類;2-ヒドロキシエチルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類;ベンジルジエチルジチオカルバメート等のジチオカルバメート類;α-メチルスチレンダイマー等の単量体ダイマー類;四臭化炭素等のハロゲン化アルキル類等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の使用量は、重合反応に使用される単量体成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましく0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
重合反応は、溶媒を使用せずに行ってもよいが、溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、例えば、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量としては、重合反応に使用される単量体成分の総量100質量部に対して10~10000質量部が好ましく、50~1000質量部がより好ましい。
重合反応は、大気下で行ってもよいが、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。また、重合反応は、常圧、加圧、減圧のいずれの条件下で行ってもよい。
上記重合体(A)の製造方法は、上記重合反応工程以外の他の工程を含んでいてもよい。例えば、熟成工程、中和工程、重合開始剤や連鎖移動剤の失活工程、希釈工程、乾燥工程、濃縮工程、精製工程等が挙げられる。これらの工程は、公知の方法により行うことができる。
本発明の医療用具用コーティング剤における上記重合体(A)の含有量としては、膜形成成分総量100質量%に対して1~100質量%が好ましい。上記重合体(A)の含有量が上述の範囲であると、生体適合性及び抗血栓性がより一層優れたコーティング膜を形成することができる。上記重合体(A)の含有量は、膜形成成分総量100質量%に対して25質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、また、99質量%以下がより好ましく、95質量%以下が更に好ましい。
なお、本明細書において、「膜形成成分総量」とは、コーティング剤中の、溶媒以外の成分の総量を意味する。
また、上記重合体(A)の含有量は、上記医療用具用コーティング剤中0.1~99質量%が好ましい。上記重合体(A)の含有量が上述の範囲であると、生体適合性及び抗血栓性がより一層優れたコーティング膜を好適に形成することができる。上記重合体(A)の含有量は、上記医療用具用コーティング剤中0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
本発明の医療用具用コーティング剤は、上記重合体(A)以外に、他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、溶媒;重合開始剤;連鎖移動剤;架橋剤;抗血小板剤、抗凝固剤、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、塩酸サルボクレラート、バピプロストプロスタサイクリン、プロスタサイクリン同族体、デキストラン、D-Phe-Pro-Arg-クロロメチルケトン、ディピリダモール、グリコプロテインIIb/IIIa血小板膜受容抗体、ビトロネクチン受容体拮抗物質及びトロンビン防止剤等の抗血栓性薬剤;酒石酸、リンゴ酸、又はクエン酸のエステル系の可塑剤等の安全性が確認されている可塑剤等が挙げられる。これらの含有量は、目的、用途に応じて適宜設計することができる。
上記溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤としては、例えば、上記重合体(A)の製造において使用される溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤と同様のものが挙げられる。
上記医療用具用コーティング剤は、上記重合開始剤を含んでもよい。上記重合開始剤を含むと形成されるコーティング膜の密着性をより一層向上させることができる。上記重合開始剤の含有量は、重合体100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、1~5質量部であることがより好ましい。
本発明の医療用具用コーティング剤における溶媒の量は、膜形成成分総量100質量部に対して1~100000質量部であることが好ましい。溶媒の量が上述の範囲であると、医療用具用コーティング剤として好適なものとなる。上記溶媒の量は、膜形成成分総量100質量部に対して、10~50000質量部であることが好ましく、100~10000質量部であることが更に好ましい。
<医療用具用重合体>
以上のように、本発明の医療用具用コーティング剤は、上記重合体(A)を含有することにより、生体適合性及び抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができる。
上記重合体(A)は、上記一般式(1)で表される構造単位を有するものであるが、更に重量平均分子量が2000000以下である場合、コーティング剤としてより一層好適に使用でき、生体適合性、特に抗血栓性に優れたコーティング膜を容易に形成することができる。このような、上記一般式(1)で表される構造単位を有し、重量平均分子量が2000000以下である医療用具用重合体も本発明の一つである。
上記医療用具用重合体は、上述の溶剤溶解性を有することが好ましい。また、抗血栓性であることが好ましい。
上記医療用具用重合体の構造、特性、製造方法としては、上述した重合体(A)と同様の構造、特性、製造方法が好ましく挙げられる。
2.医療用具用硬化性コーティング剤
上述のように、上記重合体(A)は、例えば、上記一般式(2)で表される単量体を含む単量体成分を重合することにより得られる。このような、上記重合体(A)を形成し得る単量体成分を含む医療用具用硬化性コーティング剤も本発明の好ましい態様の一つである。すなわち、本発明はまた、上記一般式(2)で表される単量体を含むことを特徴とする医療用具用硬化性コーティング剤である。単量体成分を含む医療用具用硬化性コーティング剤を用いれば、当該コーティング剤を基材に塗布した後に、活性エネルギー線照射して塗布物を硬化させることで、重合体(A)を含む塗布物を乾燥させる場合と比べて、密着性や塗膜強度がより一層優れたコーティング膜を形成することができる。
上記医療用具用硬化性コーティング剤における上記一般式(2)で表される単量体の含有量は、全単量体成分100質量%に対して10~100質量%であることが好ましい。上記一般式(2)で表される単量体の含有量が上述の範囲であると、生体適合性及び抗血栓性により一層優れたコーティング膜を形成することができる。
上記一般式(2)で表される単量体の含有量は、全単量体成分100質量%に対して20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、また、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
また、上記医療用具用硬化性コーティング剤は、他の単量体成分を含んでいてもよい。上記他の単量体成分としては、上述した重合体(A)における他の構造単位を与える単量体を挙げることができる。
上記医療用具用硬化性コーティング剤における上記他の単量体成分の含有量は、全単量体成分100質量%に対して0~90質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、また、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
上記医療用具用硬化性コーティング剤における、全単量体成分の総量は、膜形成成分総量100質量%に対して1~100質量%が好ましい。上記全単量体成分の総量が上述の範囲であると、生体適合性及び抗血栓性がより一層優れたコーティング膜を形成することができる。上記全単量体成分の総量は、膜形成成分総量100質量%に対して25質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、また、99質量%以下がより好ましく、95質量%以下が更に好ましい。
上記医療用具用硬化性コーティング剤は、上述した重合体(A)を形成し得る単量体成分を含むものであるが、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、上述の「1.医療用具用コーティング剤」において記載した他の成分と同様の成分が挙げられる。
上記医療用具用硬化性コーティング剤における溶媒の量は、膜形成成分総量100質量部に対して0~100000質量部であることが好ましい。溶媒の量が上述の範囲であると、医療用具用硬化性コーティング剤として好適なものとなる。上記溶媒の量は、膜形成成分総量100質量部に対して、0~10000質量部であることが好ましく、0~100質量部であることが更に好ましい。
本発明の医療用具用硬化性コーティング剤は、重合開始剤を更に含むことが好ましい。重合開始剤を含むと形成されるコーティング膜の密着性をより一層向上させることができる。重合開始剤の含有量は、単量体成分の総量100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、1~5質量部であることがより好ましい。上記重合開始剤としては、「1.医療用具用コーティング剤」において記載された重合開始剤(熱重合開始剤及び光重合開始剤)と同様のものが好ましく挙げられる。
以上のように、上述した医療用具用コーティング剤又は医療用具用硬化性コーティング剤を用いれば、生体適合性及び抗血栓性に優れたコーティング膜を好適に形成することができる。そのため、本発明の医療用具用コーティング剤及び医療用具用硬化性コーティング剤は、生体適合性、特に抗血栓性が要求されるものに好適に適用することができる。抗血栓性が要求されるものとしては、生体組織や生体成分(例えば、体液等)と接触して用いられる医療用具(の表面)が挙げられる。このように、本発明の医療用具用コーティング剤及び医療用具用硬化性コーティング剤は、抗血栓性のコーティング剤として好ましく使用することができる。このような抗血栓性コーティング剤も本発明の好ましい形態の一つである。
上記医療用具としては、具体的には、例えば、胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用(ED)チューブ等の経口又は経鼻的に消化器管内に挿入又は留置されるカテーテル類;酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブのチューブやカフ、気管切開チューブのチューブやカフ、気管内吸引カテーテル等の経口又は経鼻的に気道又は気管内に挿入又は留置されるカテーテル類;尿道カテーテル、導尿カテーテル、バルーンカテーテルのカテーテルやバルーン等の尿道又は尿管内に挿入又は留置されるカテーテル類;吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテル等の各種体腔、臓器、組織内に挿入又は留置されるカテーテル類;留置針、サーモダイリューションカテーテル、IVHカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテル及びダイレーターもしくはイントロデユーサ等の血管内に挿入又は留置されるカテーテル類;あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤー、スタイレット等;各種器官挿入用の検査器具や治療器具等;ステント類や人工血管、人工気管、人工気管支等;体外循環治療用の医療器(人工心臓、人工肺、人工腎臓、人工弁等)やその回路類;人工関節、人工骨頭、縫合糸、歯科材料、各種吸着体、血漿交換膜、CAPD、IABP、ペースメーカー、血液バッグ、採尿バッグ、輸血セット等が挙げられる。
3.コーティング方法
本発明の医療用具用コーティング剤又は医療用具用硬化性コーティング剤を用いて医療用具をコーティングする方法について説明する。
<コーティング方法(1)>
上述の医療用具用コーティング剤を用いて医療用具をコーティングする方法としては、例えば、上述の医療用具用コーティング剤を基材表面に塗布し、塗布物を乾燥させて上記基材表面上にコーティング層を形成する方法が挙げられる。
このように、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具のコーティング方法であって、上記コーティング方法は、上述の医療用具用コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物を乾燥させて上記基材表面上にコーティング層を形成する工程を有する医療用具のコーティング方法(以下、「コーティング方法(1)」とも記載する)もまた、本発明の一つである。
上記基材の材質は特に制限されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル樹脂、スチロール樹脂等のいずれかの材質のものであってもよい。また、金属、セラミックス及びこれらの複合材料等も例示でき、複数の基体より基材が構成されていてもよい。金属としては、金、銀等の貴金属、銅、鉄、チタン、アルミニウム、タングステン、ニッケル、クロム等の卑金属、及びこれらの金属の合金並びにこれらの表面が金メッキされたものが例示できるが、これらに限定されるものではない。金属は担体で用いてもよく、機能性を付与するために他の金属との合金又は金属の酸化物として用いてもよい。価格や入手の容易さの観点から、鉄、ニッケル、銅及びこれらを主成分とする金属を用いることが好ましい。ここで、主成分とは、上記基体を形成する材料のうち50質量%以上を占める成分をいう。
上記基材の形態も特に制限されず、成形体、繊維、不織布、多孔質体、粒子、フィルム、シート、チューブ、中空糸や粉末等のいずれの形態でもよい。
上記基材としては、例えば、医療用具に用いられる基材が挙げられ、上記医療用具としては、上述の「2.医療用具用コーティング剤」に記載の医療用具と同様のものが挙げられる。
上記医療用具用コーティング剤を塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、スピン塗布、ディップ塗布、スプレー塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等の公知の塗布手段が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記基材表面上に上記医療用具用コーティング剤を塗布する場合、基材表面の一部に塗布してもよいし、基材表面の全部に塗布してもよい。
上記医療用具用コーティング剤を上記基材表面上に塗布した後、塗布物を乾燥させることにより、コーティング層(コーティング膜)を形成する。
乾燥方法としては、塗布物中の溶媒が揮発してコーティング層が充分に形成されるのであれば特に制限されず、窒素等を循環させて乾燥してもよいし、風乾等の自然乾燥でもよいし、オーブン等を用いて加熱することにより乾燥を行ってもよい。乾燥温度としては、例えば20~200℃、好ましくは30~150℃、より好ましくは50~100℃が挙げられる。乾燥時間としては、例えば0.5~72時間、好ましくは2~24時間が挙げられる。
上記医療用具用コーティング剤に熱重合開始剤や架橋剤が含まれる場合、上記乾燥の後に、更に加熱を行ってもよい。更なる加熱を行うことにより、更に架橋されたコーティング層を形成することができ、塗膜強度が一層向上し、生体適合性、特に抗血栓性をより長期的に発揮することができる。上記加熱の温度としては、40~200℃が好ましく、60~150℃がより好ましく、80~120℃が更に好ましい。
また、上記コーティング方法(1)において、塗布物を乾燥させて上記基材表面上にコーティング層を形成した後、更に、形成されたコーティング層に活性エネルギー線を照射してもよい。用いる活性エネルギー線としては、放射線、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられ、紫外線が好ましく挙げられる。照射温度や照射量は、公知の方法から適宜選択するとよい。
<コーティング方法(2)>
上述の医療用具用硬化性コーティング剤を用いて医療用具をコーティングする方法としては、例えば、本発明の医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布し、塗布物に活性エネルギー線を照射して、上記基材表面上にコーティング層を形成する方法が挙げられる。このように、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具のコーティング方法であって、上記コーティング方法は、上述の医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物に対して活性エネルギー線照射をして上記基材表面上にコーティング層を形成する工程を有する医療用具のコーティング方法(以下、「コーティング方法(2)」とも記載する。)もまた、本発明の一つである。塗布物に対して活性エネルギー線照射をすることにより、より一層架橋されたコーティング層を形成することができ、生体適合性、特に抗血栓性をより一層向上させることができる。
上記コーティング方法(2)において、上記医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布する工程としては、上記コーティング方法(1)の塗布工程と同様の工程が挙げられる。
塗布物に対して活性エネルギー線照射する方法としては、上述の「1.医療用具用コーティング剤」における重合体(A)の製造方法において記載される活性エネルギー線を用いて重合反応を行う方法と同様の方法を挙げることができる。活性エネルギー線の照射温度や照射量は、公知の方法から適宜選択するとよい。
また、活性エネルギー線を照射した後、更に加熱する工程を有していてもよい。更に加熱することにより、硬化率を補完することができる。加熱温度としては、40~200℃が好ましく、60~150℃がより好ましい。
また、塗布物に対して活性エネルギー線照射する前に、塗布物を乾燥させてもよい。塗布物の乾燥は、上記コーティング方法(1)における塗布物の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。
また、塗布物が乾燥する前に活性エネルギー線照射を行ってもよい。
上記コーティング方法(1)又は(2)で形成されるコーティング層の厚みとしては、生体適合性や抗血栓性を発揮できるのであれば、特に限定されないが、0.01~5μmが好ましく、0.05~3μmがより好ましく、0.1~1μmが更に好ましい。
4.医療用具
上述したコーティング方法により、医療用具の基材表面に、コーティング層を形成することができる。上述の医療用具用コーティング剤又は医療用具用硬化性コーティング剤により形成されたコーティング層を有する医療用具の表面は、生体適合性に優れ、抗血栓性に優れる。このような、基材と、上記基材表面上に、上述の医療用具用コーティング剤又は医療用具用硬化性コーティング剤を用いてなるコーティング層を有する医療用具もまた本発明の一つである。上記医療用具は、表面の一部又は全部において上記コーティング層を有するのが好ましい。
5.医療用具の製造方法
上述した医療用具用コーティング剤又は医療用具用硬化性コーティング剤を使用して、医療用具を製造する方法も本発明の好ましい態様の一つである。すなわち、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具の製造方法であって、上記製造方法は、上述した医療用具用コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物を乾燥させてコーティング層を形成する工程を含む、医療用具の製造方法もまた本発明の一つである。
また、基材と、上記基材表面上にコーティング層を有する医療用具の製造方法であって、上記製造方法は、上述した医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物に対して活性エネルギー線照射をしてコーティング層を形成する工程を含む、医療用具の製造方法もまた本発明の一つである。
上記基材としては、上述の「3.コーティング方法」において記載した基材と同じものが挙げられる。また、塗布する工程、塗布物を乾燥させてコーティング層を形成する工程、及び、塗布物に対して活性エネルギー線照射をしてコーティング層を形成する工程としては、上述の「3.コーティング方法」において記載した乾燥、又は活性エネルギー線照射をして基材表面上にコーティング層を形成する工程と同じ方法が挙げられる。
上記医療用具の製造方法において、塗布物を乾燥させてコーティング層を基材表面上に形成する工程を有する場合、使用するコーティング剤として、上述した重合体(A)を含む医療用具用コーティング剤が好ましく挙げられる。
上記医療用具の製造方法において、塗布物に対して活性エネルギー線照射をしてコーティング層を基材表面上に形成する工程を有する場合、使用するコーティング剤として、上述した単量体成分を含む医療用具用硬化性コーティング剤が好ましく挙げられる。
以上のように、本発明の医療用具用コーティング剤、及び医療用具用硬化性コーティング剤は、生体適合性に優れ、特に抗血栓性に優れたコーティング膜を形成することができる。そのため、本発明の医療用具用コーティング剤、及び医療用具用硬化性コーティング剤は、生体組織又は生体成分に接触する医療用具のコーティングに好適に適用することができる。また、本発明の医療用具用コーティング、又は医療用具用硬化性コーティング剤を用いれば、生体適合性に優れ、抗血栓性に優れた表面を有する医療用具を製造することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
なお、製造例等において、各種物性等の評価は以下のようにして行った。
<重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布>
重合体をN,N-ジメチルホルムアミドで溶解・希釈し(0.1%)、孔径0.45μmのフィルターで濾過したものを、下記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置、及び条件で、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。測定されたMw及びMnの値から、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
・装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
・溶出溶媒:N,N-ジメチルホルムアミド
・標準物質:標準ポリスチレン(東ソー(株)製)
・分離カラム:TSKgel SuperAWM-H、TSKgel SuperAW2500(東ソー(株)製)
<ガラス転移温度(Tg)>
JIS K7121に準拠し、下記の示差走査熱量計及び条件で測定し、中点法によりガラス転移温度(Tg)を求めた。
・装置:DSC3100(ブルカー・エイエックスエス(株)製)
・昇温速度:10℃/分
・窒素フロー:50mL/分
<血小板粘着試験>
実施例で作製したコーティング膜上にクエン酸ナトリウムで抗凝固したヒト新鮮多血小板血漿0.2mLをピペットで滴下し、37℃で60分間静置した。続いてリン酸緩衝溶液でリンスし、グルタルアルデヒドで固定した後、基体を走査型電子顕微鏡(×2000倍)で観察し、1×10μmの面積に接着した血小板数をカウントした。血小板の形態変化の進行度により、1型(正常)、2型(偽足形成)、3型(伸展)の3種類に分類し、MS(モルフォロジカルスコア)を以下のように定義して算出した。算出したMSから、生体適合性を5段階(A~E)で評価した。結果を表2に示す。
MS=n1×1+n2×2+n3×3
(式中、n1は1型の血小板数、n2は2型の血小板数、n3は3型の血小板数を表す。)
A:MS=0以上100未満
B:MS=100以上300未満
C:MS=300以上600未満
D:MS=600以上1000未満
E:MS=1000以上
なお、MSが小さいほど血小板が付着しにくく、生体適合性に優れることを示す。
<密着性の評価>
実施例で作製したコーティング膜上に十文字に薄くカッターで切り込みを入れ、撹拌した純水中に24時間浸漬した。純水から取り出した後、クロス部分を顕微鏡(×100倍)を用いて確認し、下記の基準にて評価した。
〔評価基準〕
◎:剥がれなし
○:わずかに剥がれある
△:剥がれや塗膜浮きがある
×:剥がれが多い
(製造例1)重合体1の合成
攪拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管を付し、単量体Aとして2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリルアミド(以下、「DHPMA」とも記載する。)4g、単量体Bとしてブチルアクリレート(以下、「BA」とも記載する。)6g、溶媒としてメタノール40g、アゾ系ラジカル重合開始剤0.02g(和光純薬社製、商品名:V-65)を仕込み、窒素ガスを流しながら攪拌と昇温を開始した。内温65℃で重合を開始し、6時間反応を行った。
得られた反応液をアセトンで希釈し、大量のn-ヘキサン中に撹拌しながら投入することで再沈した。沈殿物を真空乾燥機によって、減圧下、40℃で12時間減圧乾燥し、固体の重合体1を得た。
得られた重合体1の重量平均分子量、分子量分布、ガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
(製造例2)重合体2の合成
単量体Aとして2,3-ジヒドロキシプロピルアクリルアミド(以下、「DHPAA」とも記載する。)4g、単量体Bとしてブチルアクリレート(BA)6g、溶媒としてメタノール15g、アゾ系ラジカル重合開始剤0.05g(和光純薬社製、商品名:V-65)を用いた以外は製造例1と同様にして、固体の重合体2を得た。得られた重合体2の重量平均分子量、分子量分布、ガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
(製造例3~6)重合体3~6の合成
単量体A及び単量体Bとして表1に記載のものを用いた以外は製造例2と同様にして、重合体3~6を得た。得られた重合体の重量平均分子量、分子量分布、ガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
(製造例7)重合体7の合成
攪拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管を付し、単量体として2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリルアミド(DHPMA)10g、溶媒として精製水90g、アゾ系ラジカル重合開始剤0.05g(和光純薬社製、商品名:V-50)を仕込み、窒素ガスを流しながら攪拌と昇温を開始した。内温65℃で重合を開始し、3時間反応を行った。
得られた反応液を大量のアセトン中に撹拌しながら投入することで再沈した。沈殿物を真空乾燥機によって、減圧下、40℃で12時間減圧乾燥し、固体の重合体7を得た。
得られた重合体7の重量平均分子量、分子量分布、ガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
(製造例8)重合体8の合成
攪拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管を付し、単量体としてブチルアクリレート(BA)10g、溶媒としてエタノール6.7g、アゾ系ラジカル重合開始剤0.001g(和光純薬社製、商品名:V-601)を仕込み、窒素ガスを流しながら攪拌と昇温を開始した。内温80℃で重合を開始し、6時間反応を行った。
得られた反応液をアセトンで希釈し、大量の精製水中に撹拌しながら投入することで再沈した。沈殿物を真空乾燥機によって、減圧下、80℃で4時間減圧乾燥し、固体の重合体8を得た。
得られた重合体8の重量平均分子量、分子量分布、ガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
Figure 0007128632000009
表1中の記載は下記を表す。
DHPMA:N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)メタクリルアミド
DHPAA:N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アクリルアミド
HEAA:2-ヒドロキシエチルアクリルアミド
THMAA:[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド
2DHPMA:N-[(1-ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]メタクリルアミド
2DHPAA:N-[(1-ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]アクリルアミド
BA:ブチルアクリレート
(実施例1~6、比較例2)
上記で得られた重合体1~6及び重合体8の1%メタノール溶液をそれぞれ調製してコーティング剤を得た。上記コーティング剤をPETフィルム上にスピンコートによって塗布し、25℃で24時間乾燥させた後、厚み0.1μmのコーティング膜を形成した。得られたコーティング膜において、血小板粘着試験、及び、密着性について評価した。比較例1は基材のみとし、同様に評価した。結果を表2に示す。
(実施例7)
上記で得られた重合体7の100部、光重合開始剤IRGACURE819(BASFジャパン社製)の3部を、エタノールに溶解させ、溶液中の重合体濃度1%のコーティング剤を調製した。上記コーティング剤をPETフィルム上にスピンコートにより塗布し、25℃で24時間乾燥させた後、紫外線照射(高圧水銀ランプ、10分)を行い、厚み0.1μmのコーティング膜を形成した。コーティング膜が形成されたフィルムを、50℃のメタノールに2時間浸漬することで、残存モノマー等の可溶分を抽出除去し、真空乾燥器を用いて60℃で3時間、減圧乾燥した。
得られたコーティング膜において、血小板粘着試験、及び、密着性について評価した。結果を表2に示す。
(実施例8)
単量体として、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリルアミド(DHPMA)1.2g、ブチルアクリレート(BA)1.8g、架橋剤としてネオペンチルグリコールジアクリレート(以下、「NPDA」とも称する。)0.045g、光重合開始剤(IRGACURE819、BASFジャパン社製)0.09gを混合して硬化性コーティング剤を調製した。上記硬化性コーティング剤をPETフィルム上にスピンコートによって塗布し、紫外線を照射して(高圧水銀ランプ、3分)を行い、厚み0.1μmのコーティング膜を形成した。
得られたコーティング膜において、血小板粘着試験、及び、密着性について評価した。結果を表2に示す。
Figure 0007128632000010
表2より、上記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含むコーティング剤を使用して得られたコーティング膜は、生体適合性に優れ、抗血栓性に特に優れることが確認された。また、上記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含むコーティング剤を使用すれば、密着性に優れたコーティング膜が得られることも確認された。
また、上記一般式(2)で表される単量体成分を含むコーティング剤を使用して得られたコーティング膜も、抗血栓性に優れ、密着性に優れたものであることが確認された。以上より、上記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体は、抗血栓性に優れたコーティング膜を形成するための材料として好適であることがわかった。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含み、
    該構造単位の含有量が、該重合体の全構造単位100質量%に対して、10質量%以上、100質量%以下である
    ことを特徴とする医療用具用コーティング剤(但し、下記一般式(a)で表される構造単位を有する重合体を含むものを除く。)。
    Figure 0007128632000011
    (一般式(1)中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。 が水素原子又はアルキル基である場合、-CR は、-CH(OH)-CH OH、-CH -CH(OH)-CH OH、-CH(CH )-CH(OH)-CH OH、-C(CH -CH(OH)-CH OH、-CH(CH OH) 、-CH(C )-CH(OH)-CH OH、又は、-C(CH )(CH OH) であり、R が-(CH OH(nは1~9の整数を表す。)である場合、-CR は、-CH OH、-CH -CH OH、-CH(CH )OH、-CH(CH )-CH OH、-C(CH OH、-C(CH -CH OH、-CH(C )OH、-CH(C )-CH OH、-C(C OH、又は、-C(C -CH OHである。
    Figure 0007128632000012
    (式中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。
  2. 下記一般式(2)で表される単量体を含み、
    該単量体の含有量が、全単量体成分100質量%に対して10~100質量%であることを特徴とする医療用具用硬化性コーティング剤(但し、下記一般式(d)で表される単量体を含むものを除く。)。
    Figure 0007128632000013
    (一般式(2)中、Yは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。 が水素原子又はアルキル基である場合、-CR は、-CH(OH)-CH OH、-CH -CH(OH)-CH OH、-CH(CH )-CH(OH)-CH OH、-C(CH -CH(OH)-CH OH、-CH(CH OH) 、-CH(C )-CH(OH)-CH OH、又は、-C(CH )(CH OH) であり、R が-(CH OH(nは1~9の整数を表す。)である場合、-CR は、-CH OH、-CH -CH OH、-CH(CH )OH、-CH(CH )-CH OH、-C(CH OH、-C(CH -CH OH、-CH(C )OH、-CH(C )-CH OH、-C(C OH、又は、-C(C -CH OHである。
    Figure 0007128632000014
    (式中、Yは、水素原子又はメチル基を表す。
  3. 下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体であり、
    該構造単位の含有量が、該重合体の全構造単位100質量%に対して、10質量%以上、100質量%以下であり、
    重量平均分子量が2000000以下であることを特徴とする医療用具用重合体(但し、下記一般式(a)で表される構造単位を有するものを除く。)。
    Figure 0007128632000015
    (一般式(1)中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又は-(CHOH(nは1~9の整数を表す。)を表す。R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表し、かつR、R及びRのうち少なくとも1つは、-OH、-CHOH又は-CH(OH)-CHOHを表す。 が水素原子又はアルキル基である場合、-CR は、-CH(OH)-CH OH、-CH -CH(OH)-CH OH、-CH(CH )-CH(OH)-CH OH、-C(CH -CH(OH)-CH OH、-CH(CH OH) 、-CH(C )-CH(OH)-CH OH、又は、-C(CH )(CH OH) であり、R が-(CH OH(nは1~9の整数を表す。)である場合、-CR は、-CH OH、-CH -CH OH、-CH(CH )OH、-CH(CH )-CH OH、-C(CH OH、-C(CH -CH OH、-CH(C )OH、-CH(C )-CH OH、-C(C OH、又は、-C(C -CH OHである。
    Figure 0007128632000016
    (式中、Xは、水素原子又はメチル基を表す。
  4. 溶剤溶解性を有することを特徴とする請求項3に記載の医療用具用重合体。
  5. 基材と、該基材表面上に、請求項1に記載の医療用具用コーティング剤、又は、請求項2に記載の医療用具用硬化性コーティング剤を用いてなるコーティング層を有することを特徴とする医療用具。
  6. 療用具のコーティング方法であって、
    該コーティング方法は、請求項1に記載の医療用具用コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物を乾燥させて該基材表面上にコーティング層を形成する工程を有することを特徴とする医療用具のコーティング方法。
  7. 療用具のコーティング方法であって、
    該コーティング方法は、請求項2に記載の医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物に対して活性エネルギー線照射をして該基材表面上にコーティング層を形成する工程を含むことを特徴とする医療用具のコーティング方法。
  8. 基材と、該基材表面上にコーティング層を有する医療用具の製造方法であって、
    該製造方法は、請求項1に記載の医療用具用コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物を乾燥させてコーティング層を形成する工程を含むことを特徴とする医療用具の製造方法。
  9. 基材と、該基材表面上にコーティング層を有する医療用具の製造方法であって、
    該製造方法は、請求項2に記載の医療用具用硬化性コーティング剤を基材表面に塗布する工程、及び、塗布物に対して活性エネルギー線照射をしてコーティング層を形成する工程を含むことを特徴とする医療用具の製造方法。
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