JP2019189694A - 組成物、塗膜、塗膜付き基材、及び、塗膜付き基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿潤環境下における優れた接着性を有する塗膜を形成できる組成物、塗膜、塗膜付き基材、及び、塗膜付き基材の製造方法の提供。【解決手段】下記式(1)で表される繰り返し単位A、及び、下記式(2)で表される繰り返し単位Bを有する重合体を含有する組成物。式2中、R1は炭素数4個以上の炭化水素基を表す。【選択図】なし
Description
本発明は、組成物、塗膜、塗膜付き基材、及び、塗膜付き基材の製造方法に関する。
ポリビニルアセタールは、一般にポリビニルアルコール(以下「PVA」ともいう。)をアルデヒド基を有する化合物(以下「アルデヒド化合物」ともいう。)を用いてアセタール化することにより得られる重合体であり、分子内にアセタール構造を有し、かつ、ビニルアルコールに由来するヒドロキシ基を有する。
このようなポリビニルアセタールを含有する組成物は種々の用途に用いられ、特許文献1には、「フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤を含むポリビニルアセタール樹脂であって、該酸化防止剤はその分子構造にリン原子を有さない酸化防止剤であり、かつ該ポリビニルアセタール樹脂中のリン原子濃度が5ppm以下である、ポリビニルアセタール樹脂」が記載されている。
このようなポリビニルアセタールを含有する組成物は種々の用途に用いられ、特許文献1には、「フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤を含むポリビニルアセタール樹脂であって、該酸化防止剤はその分子構造にリン原子を有さない酸化防止剤であり、かつ該ポリビニルアセタール樹脂中のリン原子濃度が5ppm以下である、ポリビニルアセタール樹脂」が記載されている。
本発明者はポリビニルアセタールを含有する組成物を用いて基材上に塗膜を形成し、基材に対する塗膜の接着性について検討した。
その結果、特許文献1に記載されたようなポリビニルアセタールを含有する組成物を用いて得られた塗膜は、基材に対する密着性が不十分となる場合があることを知見した。
その結果、特許文献1に記載されたようなポリビニルアセタールを含有する組成物を用いて得られた塗膜は、基材に対する密着性が不十分となる場合があることを知見した。
この傾向は、特に、体内に留置して、又は、体内に挿入して使用するような医療デバイスの表面上にポリビニルアセタールを含有する組成物を用いて塗膜を形成した場合に顕著であることを本発明者は知見した。
本発明は、体内に留置して、又は、体内に挿入して使用するような医療デバイスを基材とし、上記基材上に塗膜を形成した場合であっても、上記塗膜付き医療デバイスの使用に際して剥離が生じにくい塗膜を形成可能な組成物、言い換えれば、湿潤環境下における基材への優れた接着性(以下単に、「湿潤環境下における接着性」ともいう。)を有する塗膜を形成できる組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は塗膜、塗膜付き基材、及び、塗膜付き基材の製造方法を提供することも課題とする。
また、本発明は塗膜、塗膜付き基材、及び、塗膜付き基材の製造方法を提供することも課題とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決することができることを見出した。
[1] 後述する式(1)で表される繰り返し単位A、及び、後述する式(2)で表される繰り返し単位Bを有する重合体を含有する組成物。
[2] 式(2)中のR1の炭素数が4〜15個である[1]に記載の組成物。
[3] 上記重合体中における式(1)で表される繰り返し単位の含有量に対する、上記式(2)で表される繰り返し単位の含有量の含有モル比が0.03〜0.50である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 更に、薬剤を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 更に、上記繰り返し単位A、及び、上記繰り返し単位Bのいずれとも異なる繰り返し単位Cを有する[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 医療デバイスのコーティング用である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の組成物を用いて形成された塗膜。
[8] 基材と、上記基材上に形成された、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物を用いて形成される塗膜と、を有する塗膜付き基材。
[9] 基材と[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物とを接触させ、基材上に塗膜を形成する工程を有する、塗膜付き基材の製造方法。
[2] 式(2)中のR1の炭素数が4〜15個である[1]に記載の組成物。
[3] 上記重合体中における式(1)で表される繰り返し単位の含有量に対する、上記式(2)で表される繰り返し単位の含有量の含有モル比が0.03〜0.50である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 更に、薬剤を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 更に、上記繰り返し単位A、及び、上記繰り返し単位Bのいずれとも異なる繰り返し単位Cを有する[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 医療デバイスのコーティング用である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の組成物を用いて形成された塗膜。
[8] 基材と、上記基材上に形成された、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物を用いて形成される塗膜と、を有する塗膜付き基材。
[9] 基材と[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物とを接触させ、基材上に塗膜を形成する工程を有する、塗膜付き基材の製造方法。
本発明によれば、湿潤環境下における優れた接着性を有する塗膜を形成できる組成物を提供できる。また、本発明によれば、塗膜、塗膜付き基材、及び、塗膜付き基材の製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子群)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。このことは、各化合物についても同義である。
[組成物]
本発明の実施形態に係る組成物は、後述する繰り返し単位A(以下、「単位A」ともいう。)、及び、後述する繰り返し単位B(以下、「単位B」ともいう。)を有する重合体を含有する組成物である。上記組成物によって本発明の課題が解決される機序は必ずしも明らかではないが、本発明者は以下のとおり推測する。
なお、以下に説明する機序は推測であり、本発明の組成物により効果が得られる機序を制限するものではない。言い換えると、以下の機序以外の機序により所望の効果が得られる場合であっても本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施形態に係る組成物は、後述する繰り返し単位A(以下、「単位A」ともいう。)、及び、後述する繰り返し単位B(以下、「単位B」ともいう。)を有する重合体を含有する組成物である。上記組成物によって本発明の課題が解決される機序は必ずしも明らかではないが、本発明者は以下のとおり推測する。
なお、以下に説明する機序は推測であり、本発明の組成物により効果が得られる機序を制限するものではない。言い換えると、以下の機序以外の機序により所望の効果が得られる場合であっても本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施形態に係る組成物は、後述する単位Aと後述する単位Bとを有する重合体を含有する。単位Aは、ビニルアルコールに基づく繰り返し単位であり、親水性が比較的高い。そのため、単位Aを有する重合体を用いて形成される塗膜は、優れた親水性を有する。結果として、上記組成物を、後述する医療デバイスのコーティングに用いた場合、得られる塗膜は優れた生体適合性を有する。
しかし、単位Aのみを有する重合体を含有する組成物は、得られる塗膜の湿潤環境下における基材への接着性が不十分であるという問題がある。
例えば、ポリビニルアセタールとしては、特許文献1に具体的に示されたポリビニルブチラールが従来知られている。しかし、上記ポリビニルブチラールを含有する組成物を用いて基材上に塗膜を形成した場合、湿潤環境下における基材への接着性が不十分であることを、本発明者は、はじめて知見している。
なお、本明細書にいて、「湿潤環境下における基材への密着性」とは、後述する実施例に記載された方法により測定される塗膜の物性を意味する。
しかし、単位Aのみを有する重合体を含有する組成物は、得られる塗膜の湿潤環境下における基材への接着性が不十分であるという問題がある。
例えば、ポリビニルアセタールとしては、特許文献1に具体的に示されたポリビニルブチラールが従来知られている。しかし、上記ポリビニルブチラールを含有する組成物を用いて基材上に塗膜を形成した場合、湿潤環境下における基材への接着性が不十分であることを、本発明者は、はじめて知見している。
なお、本明細書にいて、「湿潤環境下における基材への密着性」とは、後述する実施例に記載された方法により測定される塗膜の物性を意味する。
本発明者が鋭意検討した結果、驚くべきことに、単位BにおけるR1が炭素数4個以上の炭化水素基である場合、湿潤環境下における基材への優れた密着性を有する塗膜が形成できることを知見し、本発明を完成させたものである。
以下、本発明の実施形態に係る組成物に含有される各成分について説明する。
以下、本発明の実施形態に係る組成物に含有される各成分について説明する。
〔重合体(特定重合体)〕
本発明の実施形態に係る組成物は、下記式(1)で表される単位A、及び、下記式(2)で表される単位Bを有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)を含有する。
本発明の実施形態に係る組成物は、下記式(1)で表される単位A、及び、下記式(2)で表される単位Bを有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)を含有する。
なお、上記式(2)中、R1は、炭素数4個以上の炭化水素基を表し、炭素数4個以上の直鎖状、分岐鎖状、又は、環状のアルキル基が好ましく、炭素数4個以上の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
組成物の全質量に対する特定重合体の含有量としては特に制限されず、形成されるべき塗膜の厚み、及び、組成物の取り扱い性等に応じて任意に変更できる。特定重合体の含有量としては、一般に、組成物の全質量に対して、0.001〜99質量%が好ましく、0.01〜30質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましい。
特定重合体の分子量としては特に制限されないが、湿潤環境下における基材へのより優れた接着性を有する塗膜が得られる点で、重量平均分子量として、40,000〜200,000が好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)を用いて測定されるポリスチレン換算の分子量を意味する。
また、特定重合体の重合度としては特に制限されないが、一般に、800〜5000が好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)を用いて測定されるポリスチレン換算の分子量を意味する。
また、特定重合体の重合度としては特に制限されないが、一般に、800〜5000が好ましい。
<単位A>
特定重合体は式(1)で表される単位Aを有する。特定重合体中における単位Aの含有量としては特に制限されないが、得られる塗膜が優れた親水性を有する点で、特定重合体が有する全繰り返し単位100モル%に対して、40〜99モル%が好ましく、51〜97モル%がより好ましく、60〜96モル%が更に好ましい。
特定重合体は式(1)で表される単位Aを有する。特定重合体中における単位Aの含有量としては特に制限されないが、得られる塗膜が優れた親水性を有する点で、特定重合体が有する全繰り返し単位100モル%に対して、40〜99モル%が好ましく、51〜97モル%がより好ましく、60〜96モル%が更に好ましい。
特定重合体中における単位Aの含有量に対する、特定重合体における後述する単位Bの含有量の含有モル比(特定重合体中における単位Bの含有量(モル%)/特定重合体中における単位Aの含有量(モル%)以下、単に「単位B/単位A」ともいう。)としては特に制限されないが、得られる塗膜が、より優れた血小板付着抑制性能を有する点で、0.03〜0.50が好ましく、0.05〜0.45がより好ましく、0.10〜0.43が更に好ましく、0.20〜0.35が特に好ましく、0.20〜0.30が最も好ましい。
なお、後述するように、特定重合体が2種以上の単位Bを含有する場合、単位Bの含有量は、2種以上の単位Bの合計含有量を意味する。
なお、後述するように、特定重合体が2種以上の単位Bを含有する場合、単位Bの含有量は、2種以上の単位Bの合計含有量を意味する。
なお、本明細書において、単位B/単位Aは、1H−NMR(nuclear magnetic resonance)法の測定結果から計算により求めた値を意味し、少数第3位を四捨五入して求めた値である。
より具体的には、特定重合体の1H−NMRスペクトルの化学シフトから、R1の末端に由来するピーク(典型的には、−CH3のピーク)、及び、ヒドロキシ基及びアセタール基に結合する炭素原子に結合する水素原子に由来するピークの比率から計算できる。
より具体的には、特定重合体の1H−NMRスペクトルの化学シフトから、R1の末端に由来するピーク(典型的には、−CH3のピーク)、及び、ヒドロキシ基及びアセタール基に結合する炭素原子に結合する水素原子に由来するピークの比率から計算できる。
体内に留置される医療デバイス、又は、体内に挿入して用いられる医療デバイスは、体内において血液と接触することにより、その表面に血栓が形成されやすい。単位B/単位Aが上記範囲内であると、得られる塗膜には血小板がより付着しにくいため、結果として、塗膜上には血栓が形成されにくいという優れた効果が得られる。
<単位B>
特定重合体は上記式(2)で表される単位Bを有する。
特定重合体中における単位Bの含有量としては特に制限されないが、得られる塗膜が優れた親水性を有する点で、特定重合体が有する全繰り返し単位に対して、1〜60モル%が好ましく、3〜49モル%がより好ましく、4〜40モル%が更に好ましい。
なお、特定重合体は単位Bの1種を単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。特定重合体が2種以上の単位Bを有する場合には、2種以上の単位Bの合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
特定重合体は上記式(2)で表される単位Bを有する。
特定重合体中における単位Bの含有量としては特に制限されないが、得られる塗膜が優れた親水性を有する点で、特定重合体が有する全繰り返し単位に対して、1〜60モル%が好ましく、3〜49モル%がより好ましく、4〜40モル%が更に好ましい。
なお、特定重合体は単位Bの1種を単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。特定重合体が2種以上の単位Bを有する場合には、2種以上の単位Bの合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
式(2)において、R1の炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は、環状のいずれであってもよいが、得られる塗膜がより優れた血小板付着抑制性能を有する点で、直鎖状、又は、分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
また、R1の炭素数としては4個以上であれば特に制限されないが、5個以上が好ましく、6個以上がより好ましく、20個以下が好ましく、15個以下がより好ましく、13個以下が更に好ましく、12個以下が特に好ましく、10個以下が最も好ましく、7個以下がより最も好ましい。
また、R1の炭素数としては4個以上であれば特に制限されないが、5個以上が好ましく、6個以上がより好ましく、20個以下が好ましく、15個以下がより好ましく、13個以下が更に好ましく、12個以下が特に好ましく、10個以下が最も好ましく、7個以下がより最も好ましい。
R1のアルキル基の具体例としては、*−CpH2p+1(pは4以上の整数を表し、*は結合位置を表す。)が挙げられ、pは5以上が好ましく、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、13以下が更に好ましく、12以下が特に好ましく、10以下が最も好ましく、8以下がより最も好ましい。
<単位C>
特定重合体は、上記単位A及び単位Bのいずれとも異なる単位Cを有していてもよい。特定重合体中における単位Cの含有量としては特に制限されないが、特定重合体が単位Cを含有する場合、特定重合体が有する全繰り返し単位に対して、一般に0.001〜2モル%好ましい。なお、特定重合体は単位Cの1種を単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。特定重合体が2種以上の単位Cを有する場合は、2種以上の単位Cの合計含有量が、上記範囲内であることが好ましい。
特定重合体は、上記単位A及び単位Bのいずれとも異なる単位Cを有していてもよい。特定重合体中における単位Cの含有量としては特に制限されないが、特定重合体が単位Cを含有する場合、特定重合体が有する全繰り返し単位に対して、一般に0.001〜2モル%好ましい。なお、特定重合体は単位Cの1種を単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。特定重合体が2種以上の単位Cを有する場合は、2種以上の単位Cの合計含有量が、上記範囲内であることが好ましい。
特定重合体が含有する単位Cとしては特に制限されないが、例えば、以下の式(3)で表される単位が挙げられる。
<特定重合体の製造方法>
特定重合体は従来公知の方法により製造することができる。特定重合体の製造方法としては、典型的には、ビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによってビニルアルコールを得て、上記ビニルアルコールをアルデヒド化合物によってアセタール化することにより製造可能である。このような特定重合体の製造方法としては特に制限されないが、特開2018−21149号公報の0020〜0022段落の記載が参照でき、上記記載は本明細書に組み込まれる。
特定重合体は従来公知の方法により製造することができる。特定重合体の製造方法としては、典型的には、ビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによってビニルアルコールを得て、上記ビニルアルコールをアルデヒド化合物によってアセタール化することにより製造可能である。このような特定重合体の製造方法としては特に制限されないが、特開2018−21149号公報の0020〜0022段落の記載が参照でき、上記記載は本明細書に組み込まれる。
〔その他の成分〕
組成物は、本発明の効果を奏する範囲内において、特定重合体以外のその他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、薬剤、及び、溶媒等が挙げられる。各成分について詳述する。
組成物は、本発明の効果を奏する範囲内において、特定重合体以外のその他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、薬剤、及び、溶媒等が挙げられる。各成分について詳述する。
<薬剤>
組成物は薬剤を含有することが好ましい。組成物が薬剤を含有する場合、薬剤の含有量としては特に制限されず、組成物の全質量に対して、0.0001〜10質量%が好ましい。
組成物は、薬剤の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。組成物が2種以上の薬剤を有する場合は、2種以上の薬剤の合計含有量が、上記範囲内であることが好ましい。
組成物は薬剤を含有することが好ましい。組成物が薬剤を含有する場合、薬剤の含有量としては特に制限されず、組成物の全質量に対して、0.0001〜10質量%が好ましい。
組成物は、薬剤の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。組成物が2種以上の薬剤を有する場合は、2種以上の薬剤の合計含有量が、上記範囲内であることが好ましい。
薬剤としては特に制限されず、例えば、抗がん剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、NO供与剤、カルシウム拮抗薬、抗高脂血症薬、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、血管造影剤、インターフェロン、成長因子、及び、これらの組み合わせ等が挙げられる。
<溶媒>
組成物は溶媒を含有することが好ましい。
組成物が溶媒を含有する場合、組成物の全質量に対して固形分が0.001〜99.9質量%となるよう溶媒の含有量を調整することが好ましい。
溶媒としては例えば、水、及び、有機溶剤が挙げられる。
組成物は溶媒を含有することが好ましい。
組成物が溶媒を含有する場合、組成物の全質量に対して固形分が0.001〜99.9質量%となるよう溶媒の含有量を調整することが好ましい。
溶媒としては例えば、水、及び、有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤としては特に制限されず、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、グリセリン、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルアセトアミド、及び、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;アセトニトリル、及び、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;酢酸メチル、及び、酢酸エチル等のエステル系溶剤;ジメチルカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶剤;エーテル系溶剤;グリコール系溶剤;アミン系溶剤;チオール系溶剤;及び、ハロゲン系溶剤等が使用できる。
なかでも、アルコール系溶剤が好ましい。
なかでも、アルコール系溶剤が好ましい。
組成物は溶媒の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。組成物が2種以上の溶媒を含有する場合は、溶媒は少なくとも水を含有すことが好ましく、水と、アルコール系溶剤とを含有することが好ましい。
組成物が2種以上の溶媒を含有する場合は、2種以上の溶媒の合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
組成物が2種以上の溶媒を含有する場合は、2種以上の溶媒の合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
組成物は、上記以外にも本発明の効果を奏する範囲内において、フィラー、架橋剤、pH調整剤、界面活性剤、及び、酸化防止剤等を含有していてもよい。
上記組成物の製造方法としては特に制限されず、上記で説明した各成分を混合することにより製造可能である。
上記組成物を用いると、後述する方法によって、基材上に容易に塗膜を形成することができる。上記塗膜は、特定重合体を含有し、湿潤環境下における基材への優れた接着性を有する。本発明の実施形態に係る組成物は、基材が医療デバイス(特に生体内に留置して、又は、生体内に挿入して使用する医療デバイス)である場合に、言い換えれば、医療デバイスのコーティング用である場合に、特に、得られる塗膜が湿潤環境下における基材への優れた接着性を有する。
上記組成物を用いると、後述する方法によって、基材上に容易に塗膜を形成することができる。上記塗膜は、特定重合体を含有し、湿潤環境下における基材への優れた接着性を有する。本発明の実施形態に係る組成物は、基材が医療デバイス(特に生体内に留置して、又は、生体内に挿入して使用する医療デバイス)である場合に、言い換えれば、医療デバイスのコーティング用である場合に、特に、得られる塗膜が湿潤環境下における基材への優れた接着性を有する。
本発明の組成物を適用することが好ましい医療デバイス(基材)としては、例えば、ガイドワイヤ等のワイヤインターベンションデバイス;圧力ワイヤ等の診断デバイス;泌尿器用カテーテル、バルーンカテーテル、及び、血管カテーテル等のカテーテル;バルーン;血管アクセスポート;透析ポート;ステント(冠動脈ステント、末梢血管ステント、脳、尿道、尿管、胆管、気管、消化管、及び、食道ステント等);ステントグラフト;血管グラフト;腹部大動脈瘤(AAA)デバイス(AAAステント、及び、AAAグラフト等);フィルタ(大静脈フィルタ、及び、遠位保護デバイス用メッシュフィルタ等)、脳動脈瘤充填コイル等の塞栓デバイス(グリエルミ着脱式コイル、及び、金属コイル等);塞栓剤;中隔欠損遮断デバイス;デバイスの遠位側の動脈部分の治療において動脈に配置するように構成された薬剤デポ;心筋プラグ;ペースメーカ;ペースメーカリード等のリード;除細動リード及びコイル;脊髄刺激コード等の神経刺激リード;脳深部刺激リード;末梢神経刺激リード;人工内耳リード、及び、網膜移植リード;左心室補助心臓及びポンプ等の心室補助デバイス;完全人工心臓;シャント;心臓弁、及び、血管弁等の弁;吻合クリップ、及び、リング;組織膨化デバイス;縫合アンカー;手術部位の組織ステープル及び結紮クリップ;カニューレ;金属ワイヤ結紮糸;靱帯取り付け及び半月板修復用鋲;人工関節;脊椎円板及び脊髄核;骨移植等の整形外科用プロテーゼ;骨プレート;フィン及び融合デバイス;足首、膝、及び手部の干渉ネジ等の整形外科用固定デバイス;骨折固定用のロッド及びピン;頭蓋顎顔面修復用のネジ及びプレート;歯科インプラント;等が挙げられるが上記に制限されない。
[塗膜付き基材]
本発明の実施形態に係る塗膜付き基材は、基材と、上記基材上に形成された上記の組成物を用いて形成される塗膜とを有する塗膜付き基材である。
基材としては特に制限されず、有機材料、無機材料、及び、これらの組み合わせであってもよい。なかでも、より優れた本発明の効果を有する塗膜付き基材が得られる点で、基材としてはすでに説明した医療デバイスであることが好ましい。
本発明の実施形態に係る塗膜付き基材は、基材と、上記基材上に形成された上記の組成物を用いて形成される塗膜とを有する塗膜付き基材である。
基材としては特に制限されず、有機材料、無機材料、及び、これらの組み合わせであってもよい。なかでも、より優れた本発明の効果を有する塗膜付き基材が得られる点で、基材としてはすでに説明した医療デバイスであることが好ましい。
なお、本発明の実施形態に係る塗膜付き基材において、塗膜は基材上の少なくとも一部を覆うように配置されていることが好ましく、基材の表面積の少なくとも50%以上を覆うように配置されていることがより好ましく、基材の表面積の70%以上を覆うように配置されていることが更に好ましく、基材上の全体を覆うように配置されていることが好ましい。
塗膜の厚みとしては特に制限されず、用途、及び、基材の種類等に応じて調整可能である。
塗膜の厚みとしては特に制限されず、用途、及び、基材の種類等に応じて調整可能である。
なお、本発明の実施形態に係る塗膜付き基材は、基材上に上記塗膜を有していれば特に制限されず、基材と塗膜との間に別の層を有していてもよい。別の層としては特に制限されないが、例えば、プライマー層(易接着層等)が挙げられる。
また、基材は、表面処理済み基材であってもよく、表面処理の方法としては特に制限されないが、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、及び、放射線照射処理等が挙げられるが、これに制限されない。
[塗膜付き基材の製造方法]
本発明の実施形態に係る塗膜付き基材の製造方法は、基材とすでに説明した組成物とを接触させ、塗膜を形成する工程を有する、塗膜付き基材の製造方法である。
なお、上記塗膜付き基材の製造方法は、更に、塗膜にエネルギーを付与して塗膜を硬化させる工程を更に有していてもよい。
本発明の実施形態に係る塗膜付き基材の製造方法は、基材とすでに説明した組成物とを接触させ、塗膜を形成する工程を有する、塗膜付き基材の製造方法である。
なお、上記塗膜付き基材の製造方法は、更に、塗膜にエネルギーを付与して塗膜を硬化させる工程を更に有していてもよい。
基材と組成物とを接触させる工程としては特に制限されないが、組成物を基材に塗布する方法、組成物を基材に噴霧する方法、及び、組成物に基材を浸漬する方法等が挙げられる。
より具体的には、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(ダイコート法)、又は、マイクログラビアコート法等が挙げられ、なかでも、ディップコート法が好ましい。
より具体的には、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(ダイコート法)、又は、マイクログラビアコート法等が挙げられ、なかでも、ディップコート法が好ましい。
塗膜にエネルギーを付与して硬化させる方法としては特に制限されないが、例えば、塗膜を加熱する方法、塗膜に紫外線、及び/又は、電離放射線等を放射する方法等が挙げられる。加熱の温度としては特に制限されないが、一般に0〜100℃程度が好ましい。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[合成例1:特定重合体1の合成]
ポリビニルアルコール(PVA、Mw=88,000、けん化度98.5%以上)、及び、ヘキサナール(C6H12O)を準備した。
まず、PVAの10gを、80℃に加熱した超純水98mLに溶解し、PVA水溶液を得た。次に、PVA水溶液にジメチルスルホキシド(DMSO)100mLと1N(1規定)塩酸2mLとを添加し、1v/v%の1N塩酸を含有する5w/v%のPVA溶液の200mLを調製した。次に、PVA溶液にヘキサナールを添加し、50℃で1時間反応させて、反応液を得た。次に、反応液を600mLの氷冷エタノールに沈殿させ、1時間攪拌して沈殿物を得た。次に、沈殿物をろ別し、300mLのエタノールで3回洗浄し、DMSO、及び、未反応のヘキサナールを除去し、洗浄後の沈殿物を得た。次に、洗浄後の沈殿物からエタノールを減圧留去し、乾燥させて、特定重合体1を得た。
ポリビニルアルコール(PVA、Mw=88,000、けん化度98.5%以上)、及び、ヘキサナール(C6H12O)を準備した。
まず、PVAの10gを、80℃に加熱した超純水98mLに溶解し、PVA水溶液を得た。次に、PVA水溶液にジメチルスルホキシド(DMSO)100mLと1N(1規定)塩酸2mLとを添加し、1v/v%の1N塩酸を含有する5w/v%のPVA溶液の200mLを調製した。次に、PVA溶液にヘキサナールを添加し、50℃で1時間反応させて、反応液を得た。次に、反応液を600mLの氷冷エタノールに沈殿させ、1時間攪拌して沈殿物を得た。次に、沈殿物をろ別し、300mLのエタノールで3回洗浄し、DMSO、及び、未反応のヘキサナールを除去し、洗浄後の沈殿物を得た。次に、洗浄後の沈殿物からエタノールを減圧留去し、乾燥させて、特定重合体1を得た。
特定重合体1は、単位A及び単位B(式2におけるR1:*−C5H11)を有し、1H−NMRで求めた、特定重合体1中における、単位Aの含有量に対する単位Bの含有量の含有モル比(単位B/単位A)は、0.05(少数第3位を四捨五入)だった。
[実施例1:組成物1の調製と塗膜付き基材の製造]
得られた特定重合体1を水/エタノール(20/80)混合溶媒に溶解し、固形分1質量%の組成物1を調製した。
次に、紫外線照射(波長185nm及び284nm(MIYATA ELEVAM,Kanagawa,Japan))を常温で1分間行ったポリプロピレンフィルム(以下「PPフィルム」ともいう)、直径10mm、厚さ200μm)を準備した。
次に、上記紫外線照射済みPPフィルム(基材に該当する)を組成物1に5秒間浸漬し、紫外線照射済みPPフィルム上に組成物1の層を形成した。
次に、上記組成物1の層を、24時間常温で風乾し、塗膜を形成し、塗膜付き基材1を得た。
得られた特定重合体1を水/エタノール(20/80)混合溶媒に溶解し、固形分1質量%の組成物1を調製した。
次に、紫外線照射(波長185nm及び284nm(MIYATA ELEVAM,Kanagawa,Japan))を常温で1分間行ったポリプロピレンフィルム(以下「PPフィルム」ともいう)、直径10mm、厚さ200μm)を準備した。
次に、上記紫外線照射済みPPフィルム(基材に該当する)を組成物1に5秒間浸漬し、紫外線照射済みPPフィルム上に組成物1の層を形成した。
次に、上記組成物1の層を、24時間常温で風乾し、塗膜を形成し、塗膜付き基材1を得た。
[合成例2〜5:特定重合体2〜5の合成]
単位B/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとヘキサナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして特定重合体2及び3を合成した(合成例2及び3)。
また、ヘキサナールに代えてノナナールを用い、単位B(式2におけるR1:*−C8H17)/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとノナナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして特定重合体4を合成した(合成例4)。
また、ヘキサナールに代えてドデカナールを用い、単位B(式2におけるR1:*−C11H23)/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとドデカナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして特定重合体5を合成した(合成例5)。
単位B/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとヘキサナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして特定重合体2及び3を合成した(合成例2及び3)。
また、ヘキサナールに代えてノナナールを用い、単位B(式2におけるR1:*−C8H17)/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとノナナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして特定重合体4を合成した(合成例4)。
また、ヘキサナールに代えてドデカナールを用い、単位B(式2におけるR1:*−C11H23)/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとドデカナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして特定重合体5を合成した(合成例5)。
[合成例C1〜C3:重合体C1〜C3の合成]
また、ヘキサナールに代えてプロパナールを用い、単位B(式2におけるR1:*−C2H5)/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとプロパナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして重合体C1〜C3を合成した。
また、ヘキサナールに代えてプロパナールを用い、単位B(式2におけるR1:*−C2H5)/単位Aが表1に記載した値となるようにPVAとプロパナールの仕込み比を調製したこと以外は合成例1と同様にして重合体C1〜C3を合成した。
[実施例2〜5:組成物2〜5の調製と塗膜付き基材の製造]
特定重合体1に代えて特定重合体2〜5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、組成物2〜5を調製した。
次に、組成物1に代えて、組成物2〜5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗膜付き基材2〜5を得た。
特定重合体1に代えて特定重合体2〜5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、組成物2〜5を調製した。
次に、組成物1に代えて、組成物2〜5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗膜付き基材2〜5を得た。
[比較例1〜3:組成物C1〜C3の調製と塗膜付き基材の製造]
特定重合体1に代えて重合体C1〜C3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、組成物C1〜C3を調製した。
次に、組成物1に代えて、組成物C1〜C3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗膜付き基材C1〜C3を得た。
特定重合体1に代えて重合体C1〜C3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、組成物C1〜C3を調製した。
次に、組成物1に代えて、組成物C1〜C3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗膜付き基材C1〜C3を得た。
[湿潤環境下における接着性評価]
上記により得られた塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3を生理食塩水に浸漬し、37℃で30分間保持した。その後、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置を用いて、赤外分光スペクトルを測定した。
浸漬前後における赤外分光スペクトルの3300cm−1付近の吸収(OH伸縮振動)の変化を測定し、基材上に塗膜が残留しているか否か、すなわち、塗膜の湿潤環境下における基材へ接着性を評価した。結果は、以下の基準により評価した。結果を表1の「湿潤環境下における接着性」の欄に示した。なお、Aが最も優れた湿潤環境下における接着性を有し、BはAについで優れた湿潤環境下における接着性を有し、Cは所望の接着性を有しなかったことを表す。
上記により得られた塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3を生理食塩水に浸漬し、37℃で30分間保持した。その後、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置を用いて、赤外分光スペクトルを測定した。
浸漬前後における赤外分光スペクトルの3300cm−1付近の吸収(OH伸縮振動)の変化を測定し、基材上に塗膜が残留しているか否か、すなわち、塗膜の湿潤環境下における基材へ接着性を評価した。結果は、以下の基準により評価した。結果を表1の「湿潤環境下における接着性」の欄に示した。なお、Aが最も優れた湿潤環境下における接着性を有し、BはAについで優れた湿潤環境下における接着性を有し、Cは所望の接着性を有しなかったことを表す。
A:浸漬前後で3300cm−1の吸収ピークの大きさにほとんど変化はなかった。
B:浸漬後に3300cm−1の吸収ピークの大きさが減少した。
C:浸漬後に3300cm−1の吸収ピークがほとんど消失したか、又は、消失した。
B:浸漬後に3300cm−1の吸収ピークの大きさが減少した。
C:浸漬後に3300cm−1の吸収ピークがほとんど消失したか、又は、消失した。
[血小板付着抑制性能評価]
Wisterラットの血液から調製した血小板多血漿(PRP)200μLを塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3上に播種し、37℃、1時間インキュベートした。その後、塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3をリン酸緩衝液で洗浄し、次に、10%中性緩衝ホルマリンで2時間固定してサンプルを作成した。次に、サンプルを超純水で洗浄し、t−ブチルアルコールを用いて臨界点乾燥を行い、電子顕微鏡観察用試料を調製した。
評価は、電子顕微鏡観察用試料の表面に接着した血小板の個数を電子顕微鏡(SEM:走査型電子顕微鏡、S4800、Hitachi、Tokyo、Japan)画像から計数した。結果は以下の基準により評価し、表1に示した。血小板の接着数が少ないほど、塗膜はより優れた血小板付着抑制性能を有する。血小板接着数を表1の「血小板接着数」の欄に示すとともに、結果を以下の基準により評価し、表1に示した。
Wisterラットの血液から調製した血小板多血漿(PRP)200μLを塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3上に播種し、37℃、1時間インキュベートした。その後、塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3をリン酸緩衝液で洗浄し、次に、10%中性緩衝ホルマリンで2時間固定してサンプルを作成した。次に、サンプルを超純水で洗浄し、t−ブチルアルコールを用いて臨界点乾燥を行い、電子顕微鏡観察用試料を調製した。
評価は、電子顕微鏡観察用試料の表面に接着した血小板の個数を電子顕微鏡(SEM:走査型電子顕微鏡、S4800、Hitachi、Tokyo、Japan)画像から計数した。結果は以下の基準により評価し、表1に示した。血小板の接着数が少ないほど、塗膜はより優れた血小板付着抑制性能を有する。血小板接着数を表1の「血小板接着数」の欄に示すとともに、結果を以下の基準により評価し、表1に示した。
A:血小板の接着数が1.00×105cells/cm2以下だった。
B:血小板の接着数が1.00×105cells/cm2を超え、1.50×105cells/cm2以下だった。
C:血小板の接着数が1.50×105cells/cm2を超え、2.00×105cells/cm2以下だった。
D:血小板の接着数が2.00×105cells/cm2を超え、2.50×105cells/cm2以下だった。
E:血小板の接着数が2.50×105cells/cm2を超えた。
B:血小板の接着数が1.00×105cells/cm2を超え、1.50×105cells/cm2以下だった。
C:血小板の接着数が1.50×105cells/cm2を超え、2.00×105cells/cm2以下だった。
D:血小板の接着数が2.00×105cells/cm2を超え、2.50×105cells/cm2以下だった。
E:血小板の接着数が2.50×105cells/cm2を超えた。
なお、各試料の電子顕微鏡写真を図1に示した。図1におけるサンプル名と、各実施例及び比較例との対応関係は表1に示したとおりである。
[血栓形成抑制性能評価]
塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3を7〜11週齢のWisterラットの全血1mLに入れ、37℃で30分間保持した。その後、塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3を取り出し、生理食塩水で洗浄してサンプルを得た。サンプルは、10%中性緩衝ホルマリンで2時間固定後、超純水で洗浄し、t−ブチルアルコールを用いて臨界点乾燥を行った。得られた乾燥後サンプルを電子顕微鏡(SEM:走査型電子顕微鏡、S4800、Hitachi、Tokyo、Japan)で観察し、血小板粘着及びフィブリンネットワーク形成を観察した。各試料の写真を図2に、電子顕微鏡写真を図3に示した。なお、図2及び図3におけるサンプル名と、各実施例及び比較例との対応関係は表1に示したとおりである。
また、図2における破線は、試料の境界を表しており、円形の破線で囲まれた内部の領域が各試料に該当する。
塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3を7〜11週齢のWisterラットの全血1mLに入れ、37℃で30分間保持した。その後、塗膜付き基材1〜5、及び、塗膜付き基材C1〜C3を取り出し、生理食塩水で洗浄してサンプルを得た。サンプルは、10%中性緩衝ホルマリンで2時間固定後、超純水で洗浄し、t−ブチルアルコールを用いて臨界点乾燥を行った。得られた乾燥後サンプルを電子顕微鏡(SEM:走査型電子顕微鏡、S4800、Hitachi、Tokyo、Japan)で観察し、血小板粘着及びフィブリンネットワーク形成を観察した。各試料の写真を図2に、電子顕微鏡写真を図3に示した。なお、図2及び図3におけるサンプル名と、各実施例及び比較例との対応関係は表1に示したとおりである。
また、図2における破線は、試料の境界を表しており、円形の破線で囲まれた内部の領域が各試料に該当する。
図2及び図3に示した結果から、各実施例に係る組成物を用いて形成された塗膜上には血栓が形成されにくいことが分かった。一方、比較例1及び比較例2の組成物を用いて形成された塗膜上には、血栓が形成されていた。
表1に示した結果から特定重合体1〜5を含有する組成物1〜5(実施例1〜5)を用いて形成された塗膜は、湿潤環境下において、基材への優れた接着性を有していることが分かった。一方、重合体C1〜C3を含有する組成物C1〜C3を用いて形成された塗膜は、所望の接着性を有していなかった。
また、単位B/単位Aが0.05〜0.45である、実施例1〜3は、実施例4及び5と比較して、より優れた血小板抑制性能を有していた。
また、単位B/単位Aが0.10〜0.43である実施例2及び3は、実施例1と比較してより優れた湿潤環境下における接着性を有していた。
また、単位B/単位Aが0.1〜0.43である実施例2は、実施例1及び実施例3と比較して、より優れた湿潤環境下における接着性、及び、より優れた血小板付着抑制性能を有していた。
また、R1の炭化水素基の炭素数が5〜10である、実施例1〜4は、実施例5と比較して、より優れた血小板付着抑制性能を有していた。
また、R1の炭化水素基の炭素数が5〜7である、実施例1〜3は、実施例4と比較して、更に優れた血小板付着抑制性能を有していた。
また、単位B/単位Aが0.05〜0.45である、実施例1〜3は、実施例4及び5と比較して、より優れた血小板抑制性能を有していた。
また、単位B/単位Aが0.10〜0.43である実施例2及び3は、実施例1と比較してより優れた湿潤環境下における接着性を有していた。
また、単位B/単位Aが0.1〜0.43である実施例2は、実施例1及び実施例3と比較して、より優れた湿潤環境下における接着性、及び、より優れた血小板付着抑制性能を有していた。
また、R1の炭化水素基の炭素数が5〜10である、実施例1〜4は、実施例5と比較して、より優れた血小板付着抑制性能を有していた。
また、R1の炭化水素基の炭素数が5〜7である、実施例1〜3は、実施例4と比較して、更に優れた血小板付着抑制性能を有していた。
Claims (9)
- 下記式(1)で表される繰り返し単位A、及び、下記式(2)で表される繰り返し単位Bを有する重合体を含有する組成物。
前記式(2)中、R1は炭素数4個以上の炭化水素基を表す。 - 前記R1の炭素数が4〜15個である請求項1に記載の組成物。
- 前記重合体中における前記式(1)で表される繰り返し単位の含有量に対する、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有量の含有モル比が0.03〜0.50である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 更に、薬剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 更に、前記繰り返し単位A、及び、前記繰り返し単位Bのいずれとも異なる繰り返し単位Cを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- 医療デバイスのコーティング用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成された塗膜。
- 基材と、前記基材上に形成された、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成される塗膜と、を有する塗膜付き基材。
- 基材と請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物とを接触させ、前記基材上に塗膜を形成する工程を有する、塗膜付き基材の製造方法。
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