JP7124344B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

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Description

本開示は、金属アルミニウム膜を有するガスバリアフィルムに関する。
ガスバリアフィルムは、酸素や水蒸気等の透過を遮断する性能、すなわちガスバリア性能を有するフィルムであり、食品の包装材、医薬品類の外装材、インクジェットタンクの外装材、ハードディスクの包装材、半導体モジュールの包装材、太陽電池のバックシート、真空断熱材の外装材等に用いられている。
ガスバリアフィルムとしては、例えば、蒸着によりアルミニウム等の金属膜が少なくとも片面に形成されたプラスチックフィルムが公知である(特許文献1)。中でも金属アルミニウム膜を有するガスバリアフィルムは、比較的低コストで高い水蒸気バリア性能を有することが可能である。
特開2005-255761号公報
金属アルミニウム膜を有するガスバリアフィルムは、金属アルミニウム膜の膜状態によっては、十分な水蒸気バリア性能を発揮することができない場合がある。
本開示は、初期の水蒸気バリア性能が良好であり、屈曲による水蒸気バリア性能の劣化を抑制可能なガスバリアフィルムを提供することを主目的とする。
本開示は、基材と、上記基材の一方の面に形成された金属アルミニウム膜と、を有し、上記金属アルミニウム膜が、下記式(1)および式(2)を満たす、ガスバリアフィルムを提供する。
1.0×10-3≦(I/I)/T≦3.5×10-3 … (1)
(A/B)/T≧3.8×10-3 … (2)
(上記式(1)および式(2)中、Iは、上記金属アルミニウム膜に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=38.5°±1.0°に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Iは、金属アルミニウム箔に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=44.6°±1.0°に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Aは、蛍光X線分析により測定される上記金属アルミニウム膜のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Bは、蛍光X線分析により測定される金属アルミニウム箔のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Tは上記金属アルミニウム膜の厚み(nm)を表す。)
本開示のガスバリアフィルムによれば、初期の水蒸気バリア性能が良好であり、屈曲による水蒸気バリア性能の劣化を抑制可能であるという効果を奏する。
本開示のガスバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
以下、本開示のガスバリアフィルムについて、詳細に説明する。なお、本開示においては、「シート」および「フィルム」を同義として用いる場合がある。
本開示のガスバリアフィルムは、基材と、上記基材の一方の面に形成された金属アルミニウム膜と、を有し、上記金属アルミニウム膜が、下記式(1)および式(2)を満たすものである。
1.0×10-3≦(I/I)/T≦3.5×10-3 … (1)
(A/B)/T≧3.8×10-3 … (2)
(上記式(1)および式(2)中、Iは、上記金属アルミニウム膜に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=38.5°±1.0°に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Iは、金属アルミニウム箔に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=44.6°±1.0°に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Aは、蛍光X線分析により測定される上記金属アルミニウム膜のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Bは、蛍光X線分析により測定される金属アルミニウム箔のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Tは上記金属アルミニウム膜の厚み(nm)を表す。)
図1は、本開示のガスバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。本開示のガスバリアフィルム10は、基材1と、基材1の一方の面に形成された金属アルミニウム膜2と、を有する。金属アルミニウム膜2は、上記式(1)および式(2)を満たす。
本開示によれば、金属アルミニウム膜が、上記式(1)および式(2)の関係を満たすことで、高膜密度かつ高結晶性を有する膜状態となるため、初期段階から高い水蒸気バリア性能を発揮することができ、また、屈曲応力を受ける場合であっても金属アルミニウム膜に欠陥が生じにくくなるため、欠陥発生による水蒸気バリア性能の劣化を抑制することができる。つまり、本開示によれば、初期の水蒸気バリア性能が良好であり、屈曲による水蒸気バリア性能の劣化を抑制可能なガスバリアフィルムとすることができる。
本開示において、金属アルミニウム膜は、金属アルミニウムをアルミニウム源として蒸着法により成膜される、金属アルミニウムを主成分とする薄膜であり、成膜方法および厚みの点から金属アルミニウム箔と区別される。なお、金属アルミニウム箔の厚みは、一般に数μm~数100μmである。また、本開示において金属アルミニウム膜は、酸化アルミニウム膜や水酸化アルミニウム膜等の、アルミニウム化合物を主成分とするアルミニウム化合物膜とは区別される。アルミニウム化合物膜は、例えばアルミニウム化合物をアルミニウム源として蒸着法により成膜される。アルミニウム源である金属アルミニウムには、不純物が含まれていてもよい。金属アルミニウム膜が、経時で酸化または水酸化することで一部がアルミニウム化合物に性状変化した場合も、金属アルミニウム膜に分類することができる。
本開示において、金属アルミニウム膜が「基材の一方の面に形成され」るとは、基材の一方の面に直接金属アルミニウム膜が形成されていることをいう。
以下、本開示のガスバリアフィルムの構成等について詳細に説明する。
1.金属アルミニウム膜
本開示における金属アルミニウム膜は、基材の一方の面に形成され、下記式(1)および式(2)の関係を満たす。
1.0×10-3≦(I/I)/T≦3.5×10-3 … (1)
(A/B)/T≧3.8×10-3 … (2)
(上記式(1)および式(2)中、Iは、上記金属アルミニウム膜に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=38.5°付近に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Iは、金属アルミニウム箔に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=44.6°付近に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Aは、蛍光X線分析により測定される上記金属アルミニウム膜のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Bは、蛍光X線分析により測定される金属アルミニウム箔のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Tは上記金属アルミニウム膜の厚み(nm)を表す。)
本開示における金属アルミニウム膜は、上記式(1)および(2)により膜状態、具体的には、金属アルミニウム膜の結晶性および膜密度を規定することができる。
上記式(1)中の(I/I)/Tは、金属アルミニウム膜の結晶性を規定するものである。(I/I)/Tの値が大きいほど金属アルミニウム膜の結晶性が高いことを示し、この値が小さいほど金属アルミニウム膜の結晶性が低いことを示す。金属アルミニウム膜は、結晶性が高すぎると、膜硬度が高く、屈曲等の変形による歪みに対して破損が生じやすくなる。そのため、屈曲による水蒸気バリア性能の劣化が生じやすくなる場合がある。一方、結晶性が低すぎると、初期の段階で高い水蒸気バリア性能を発揮することが困難となる場合がある。
ここで、金属アルミニウム膜の結晶性が、(I/I)/Tの値により規定できるのは、測定装置の感度を考慮し、特定の合金番号を有する金属アルミニウム箔(合金番号A8021、厚み6μm以上)の、CuKα線を用いたX線回折測定における2θ=44.6°付近のピークIを基準ピークとして用いることで、一般化した結晶性指標として利用できるからである。したがって、金属アルミニウム箔に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=44.6°付近に位置する回折ピークのピーク強度Iを基準とし、金属アルミニウム膜に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=38.5°付近に位置する回折ピークのピーク強度Iを、I値を1としたときの相対強度に換算し、それを上記金属アルミニウム膜の厚みで除することで、上記金属アルミニウム膜の単位厚みあたりの結晶性を規定することができる。
(I/I)/Tの値は、1.0×10-3以上であればよいが、中でも1.4×10-3以上であることが好ましく、1.5×10-3以上であることがより好ましい。また、(I/I)/Tの値は、3.5×10-3以下であればよいが、中でも3.0×10-3以下であることが好ましく、2.5×10-3以下であることがより好ましい。(I/I)/Tを上記範囲とすることで、膜硬度と常態での水蒸気バリア性能とのバランスの取れた結晶性の金属アルミニウム膜となり、良好な初期水蒸気バリア性能を発揮し、且つ屈曲による水蒸気バリア性能の劣化を抑制することができる。なお、(I/I)/Tの値の単位は、(nm-1)とすることができる。
上記式(1)中のIは、上記金属アルミニウム膜に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=38.5°付近に位置する回折ピークのピーク強度を表す。2θ=38.5°付近とは、具体的には、2θ=38.5°±1.0°の範囲をいう。Iの値は、(I/I)/Tの値が上記範囲となれば特に限定されない。
上記式(1)中のIの値は、ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜を測定面として下記の条件でX線回折測定を行ったときの、得られた回折スペクトルにおける2θ=38.5°付近に位置する回折ピークの高さとする。金属アルミニウム膜の基材とは反対側の面に、他の部材が配置されている場合は、ダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断して露出させた金属アルミニウム膜の断面を測定面とすることができる。あるいは金属アルミニウム膜の基材とは反対側の面に配置された他の部材が溶剤に可溶な場合は、適した溶剤で上記他の部材を拭き取り、露出させた金属アルミニウム膜面を測定しても良い。測定は、汎用のX線回折装置を用いて行うことができ、例えばリガク製 SmartLabを用いることができる。なお、非晶ハローピークの影響を排除するため、得られた回折スペクトルにおいて半値幅が6°以下となる波形を回折ピークと定義する。ガスバリアフィルムにおいて3か所以上で測定し、その平均値をそのガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のIの値とする。
(X線回折測定条件)
光源:CuKα線(波長1.5418A)
走査軸:2θ/θ
管電圧:45kV
管電流:200mA
光学系:平行ビーム光学系
スリット構成:入射側スリット(ソーラースリット5.0°、入射スリット5mm)、受光側スリット(パラレルスリットアナライザー(PSA)0.5°)
検出器:SC-70
測定範囲:2θ=3°~80°
スキャンスピード:6.0°/分
スキャンステップ:0.01°
また、上記式(1)中のIは、金属アルミニウム箔に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=44.6°付近に位置する回折ピークのピーク強度を表す。2θ=44.6°付近とは、具体的には、2θ=44.6°±1.0°の範囲内をいう。Iの値は、(I/I)/Tの値が上記範囲となれば特に限定されない。
上記式(1)中のIの値は、厚み6.0μmの金属アルミニウム箔(UACJ社製 BESPA)を用い、上記金属アルミニウム箔のミラー面を測定面として、Iの値の測定と同じ上記条件でX線回折測定を行ったときの、得られた回折スペクトルにおける2θ=44.6°付近に位置する回折ピークの高さとする。なお、非晶ハローピークの影響を排除するため、得られた回折スペクトルにおいて半値幅が6°以下となる波形を回折ピークと定義する。金属アルミニウム箔において3か所以上で測定し、その平均値をその金属アルミニウム箔のIの値とする。
上記式(1)中のTは、金属アルミニウム膜の厚みを表す。上記式(1)中のTの値としては、金属アルミニウム膜の成膜方法や成膜条件等に応じて適宜決定されるが、例えば5nm以上、好ましくは10nm以上とすることができ、また、上記Tの値は、200nm以下、好ましくは150nm以下とすることができる。
上記式(1)中のTは、以下の方法で測定した値とする。まず、ガスバリアフィルムから所望のサイズにサンプルを切り出し、上記サンプルの外周を硬化樹脂で固めて固定する。固定された上記サンプルを、ダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断して断面を露出させ、もしくは切片を切り出して、走査型電子顕微鏡(SEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて露出した断面もしくは切片の画像を取得する。上記画像は、断面観察であれば走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で10万倍程度、切片観察であれば走査型透過電子顕微鏡(STEM)による観察で20万倍程度の倍率で取得する。走査型電子顕微鏡(SEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)は、上市されている装置を用いることができ、例えば走査型電子顕微鏡として日立ハイテク社製SU-8000を用いることができる。取得した画像中において、金属アルミニウム膜について、およそ等間隔で3点の厚みを計測する。この操作を1つのガスバリアフィルムにつき3つのサンプルに対して行い、計9点での厚みの計測値の平均を、そのガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜の厚み(上記式(1)中のT)とする。
一方、上記式(2)中の(A/B)/Tは、金属アルミニウム膜の膜密度を規定するものである。(A/B)/Tの値が大きいほど金属アルミニウム膜の膜密度が高いことを示し、この値が小さいほど金属アルミニウム膜の膜密度が低いことを示す。金属アルミニウム膜は、膜密度が高いほど、初期の段階で高い水蒸気バリア性能を発揮することが可能となる。一方、膜密度が低すぎると、膜中に存在する空隙や不純物、歪、膜の不均一性に起因して、金属アルミニウム膜の成膜時に欠陥が生じやすくなり、上記欠陥の存在により初期の段階で高い水蒸気バリア性能を発揮することが困難となる場合がある。また、低膜密度の金属アルミニウム膜は、屈曲により破損が生じやすくなる場合がある。
ここで、金属アルミニウム膜の膜密度が、(A/B)/Tの値により規定できるのは、測定装置の感度を考慮し、特定の合金番号を有する金属アルミニウム箔(合金番号A8021、厚み6μm以上)の、蛍光X線分析により測定されるアルミニウム元素のピーク強度Bを基準として用いることで、一般化した結晶性指標として利用できるからである。したがって、蛍光X線分析により測定される金属アルミニウム箔のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)Bを基準とし、蛍光X線分析により測定される上記金属アルミニウム膜のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)Aを、B値を1としたときの相対強度に換算し、それを上記金属アルミニウム膜の厚みで除することで、上記金属アルミニウム膜の単位厚みあたりの膜密度を規定することができる。
(A/B)/Tの値は、3.8×10-3以上であればよいが、中でも3.9×10-3以上であることが好ましく、4.0×10-3以上であることがより好ましい。(A/B)/Tの値を上記範囲とすることで、成膜性や膜強度と常態での水蒸気バリア性能とのバランスの取れた膜密度の金属アルミニウム膜となり、良好な初期水蒸気バリア性能を発揮し、且つ屈曲による水蒸気バリア性能の劣化を抑制することができる。なお、(A/B)/Tの値の上限は特に限定されないが、例えば9.0×10-3以下とすることができ、中でも7.0×10-3以下とすることができる。また、(A/B)/Tの値の単位は、(nm-1)とすることができる。
上記式(2)中のAは、蛍光X線分析により測定される上記金属アルミニウム膜のアルミニウム元素のピーク強度(AlKα線強度またはNET強度ともいう。)を表す。Aの値としては、(A/B)/Tの値が上記範囲となれば特に限定されない。
上記式(2)中のAの値は、ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜を測定面として下記の条件で蛍光X線分析を行い、得られたAlKα線の、140°~148°の範囲を直線でつないだベースラインからのピークの高さとする。金属アルミニウム膜の、基材とは反対側の面に他の部材が配置されている場合は、ダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断して露出させた金属アルミニウム膜の断面を測定面とすることができる。あるいは金属アルミニウム膜の基材とは反対側の面に配置された他の部材が溶剤に可溶な場合は、適した溶剤で上記他の部材を拭き取り、露出させた金属アルミニウム膜面を測定面としても良い。測定は、汎用の蛍光X線分析装置を用いて行うことができ、上記装置として、例えばRIX-3100(Rigaku製 波長分散型蛍光X線分析装置)を用いることができる。ガスバリアフィルムにおいて3か所以上で測定し、その平均値をそのガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のAの値とする。
(蛍光X線分析条件)
X線源:Rh管球・4.0kW
測定真空度:13Pa
励起条件:管電圧50kV、管電流80mA
測定径(X線照射範囲):30mmφ
測定2θ角:140°~148°
測定元素:Al(金属アルミニウム)
上記式(2)中のBは、蛍光X線分析により測定される金属アルミニウム箔のアルミニウム元素のピーク強度(AlKα線強度またはNET強度ともいう。)を表す。Bの値としては、(A/B)/Tの値が上記範囲となれば特に限定されない。
上記式(2)中のBの値は、厚み6.0μmの金属アルミニウム箔(UACJ社製 BESPA)を用い、上記金属アルミニウム箔のミラー面を測定面として、Aの値の測定と同じ上記条件で蛍光X線分析を行い、得られたAlKα線の、140°~148°の範囲を直線でつないだベースラインからのピークの高さとする。金属アルミニウム箔において3か所以上で測定し、その平均値をその金属アルミニウム箔のBの値とする。
上記式(2)中のTは、金属アルミニウム膜の厚みを表す。上記式(1)中のTの値および測定方法は、上述した上記式(1)中のTの値および測定方法と同様である。
2.基材
本開示における基材は、金属アルミニウム膜を支持する部材であれば特に限定されないが、例えば樹脂基材が好適に用いられる。上記樹脂基材として具体的には、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂フィルム;環状オレフィンコポリマーフィルム:環状オレフィンポリマーフィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)フィルム;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)フィルム;ポリ(メタ)アクリル樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリビニルアルコール(PVA)やエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂フィルム;エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物フィルム;各種のナイロン等のポリアミド樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;ポリウレタン樹脂フィルム;アセタール樹脂フィルム;トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース樹脂フィルム;その他の各種の樹脂フィルムないしシートを挙げることができる。中でもポリエステル樹脂フィルムが好ましくPETフィルムがより好ましい。耐熱性があり且つコシがあるため、金属アルミニウム膜を蒸着法により形成しやすいからである。
上記基材は、例えば、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、塩素捕獲剤等の任意の添加剤が含まれていてもよい。
上記基材の厚みは、金属アルミニウム膜を支持することが可能な強度を有する大きさとすることができ、特に限定されないが、例えば2μm以上400μm以下とすることができる。
上記基材は、可撓性を有してもよく有さなくてもよいが、有することが好ましい。また、上記基材は、光透過性を有していてもよく有さなくてもよい。また、上記基材は透明であってもよく、半透明であってもよく、不透明であってもよい。
上記基材は、金属アルミニウム膜と接する面に表面処理がされていてもよい。また、上記基材は、金属アルミニウム膜と接する面にプライマー層やアンダーコート層等の任意の層が配置されていてもよい。上記金属アルミニウム膜に対する密着性を高めることができるからである。
3.任意の構成
本開示のガスバリアフィルムは、任意の構成を有していてもよい。任意の構成としては、例えば、オーバーコート層、アンダーコート層、ヒートシール層、保護層、ハードコート層等、一般的なガスバリアフィルムの構成に含まれる部材を挙げることができる。
4.その他
本開示のガスバリアフィルムの水蒸気透過度は、低いほど好ましく、例えば0.5g/(m・day)以下であることが好ましく、中でも0.2g/(m・day)以下、特に0.1g/(m・day)以下であることが好ましい。上記水蒸気透過度の値は、初期水蒸気透過度とすることができる。
水蒸気透過度は、JIS K7129:2008(付属書B:赤外線センサ法)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜側の面と、厚み12μmのPETフィルム(ユニチカ製 エンブレット-PTMB)を接着剤(ロックペイント製 主剤RU-77T、硬化剤H-7)でラミネートしたサンプルを作製する。上記サンプルから所望のサイズに試験片を切り出し、上記試験片を、ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜側の面が高湿度側(水蒸気供給側)となるように水蒸気透過度測定装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、米国MOCON社製の「PERMATRAN」を用いることができる。水蒸気透過度の測定は、1つのガスバリアフィルムにつき、少なくとも3つの試験片に対して行い、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。
また、本開示のガスバリアフィルムの水蒸気バリア性能は、擬似的な水蒸気透過度係数(以下、疑似水蒸気透過度係数とする。)により規定することができる。疑似水蒸気透過度係数とは、ガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜の単位厚みあたりの水蒸気透過度を示すものであり、上述した方法で測定した水蒸気透過度と金属アルミニウム膜の厚みとの積で表される。本開示のガスバリアフィルムは、疑似水蒸気透過度係数が低いほど好ましく、例えば30(g・nm)/(m・day)以下であることが好ましく、中でも20(g・nm)/(m・day)以下、特に15(g・nm)/(m・day)以下であることが好ましい。上記疑似水蒸気透過度係数の値は、初期疑似水蒸気透過度係数とすることができる。
上記ガスバリアフィルムの疑似水蒸気透過度係数は、1つのガスバリアフィルムにつき少なくとも3つの試験片の水蒸気透過度を求め、得られた水蒸気透過度の平均値と金属アルミニウム膜の厚みとの積の値を、その条件での疑似水蒸気透過度係数とする。金属アルミニウム膜の厚みは、上記「1.金属アルミニウム膜」の項で説明した測定方法により得られた値(平均値)とする。
また、本開示のガスバリアフィルムの酸素透過度は、低いほど好ましく、例えば0.5cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.2cc/(m・day・atm)以下であることがより好ましい。上記酸素透過度の値は、初期酸素透過度とすることができる。
酸素透過度は、JIS K7126-2:2006(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考にして、酸素ガス透過度測定装置を用いて、温度23℃、湿度60%RHの条件で測定することができる。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。測定には、水蒸気透過度の測定と同様に、ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜側の面にPETフィルムをラミネートしたサンプルを作製し、上記サンプルから所望のサイズに切り出した試験片を用いる。酸素透過度の測定は、1つのガスバリアフィルムにつき、少なくとも3つの試験片に対して行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とすることができる。
5.製造方法
本開示のガスバリアフィルムの製造方法は、上記式(1)および(2)を具備する金属アルミニウム膜を形成することが可能な方法であれば特に限定されないが、例えば抵抗加熱式による真空蒸着法が挙げられる。具体的には、基材を巻き出し装置にセットし、上記基材を走行させながら減圧した真空蒸着機に通し、上記真空蒸着機内で、抵抗加熱部にアルミワイヤをフィードして溶融し気化した金属アルミニウムを、走行する上記基材の片面に付着堆積させる方法が挙げられる。このとき、基材の走行速度と抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)との関係、真空蒸着機内に通す回数(すなわち蒸着回数)に応じて、得られる金属アルミニウム膜の上記式(1)および(2)の値を調整することができる。
上記の製造方法においては、例えば、上記蒸着ボード電力値を高くすることで、金属アルミニウム膜の結晶性を高くすることができる。これは、以下の理由によるものと推量される。すなわち、蒸着ボート電力値が高いほど、金属アルミニウムの気化量(金属アルミニウム蒸気量)が多くなり、金属アルミニウム蒸気が有する熱エネルギーも大きくなるため、基材に付着堆積される際に、結晶を形成しやすくなるためと推量される。なお、蒸着ボート電力値が高すぎると、金属アルミニウムと共に気化された不純物等が金属アルミニウム膜に混在する場合や、基材に付着堆積される際に金属アルミニウム膜に欠陥が生じる場合がある。また、金属アルミニウムの結晶化エネルギーの発生や蒸着ボート側からの輻射熱の発生等により熱エネルギーが高くなりすぎることで、金属アルミニウムが膜から抜けだし結晶欠陥が生じる場合がある。一方、蒸着ボート電力値が低すぎると、金属アルミニウムの気化量(金属アルミニウム蒸気量)が十分に得られず、所望の厚みの金属アルミニウム膜が得られにくい場合がある。
また、上記の製造方法においては、例えば、上記基材の走行速度を遅くすることで、金属アルミニウム膜の膜密度を低くすることができる。これは、以下の理由によるものと推量される。すなわち、蒸着ボート電力値が高いと輻射熱が発生するが、基材の走行速度が遅いと上記基材が輻射熱に曝される時間が長くなり、熱エネルギーにより上記基材の表面温度が上昇して微小な変形が加わることで、気化された金属アルミニウムが緻密に付着堆積されず、その結果膜内に空隙が生じて膜密度が低くなるためと推測される。
6.用途
本開示のガスバリアフィルムは、ガスバリア性能が求められる用途に使用することができる。中でも、屈曲して用いられる用途に好適に用いることができる。このような用途としては、例えば、食品用包材、医薬品用包材、電池用包材、真空断熱材用外包材等の包装用途、樹脂等の輸送用包材用途、太陽電池、電子ペーパー、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル等の電子デバイス用部材の用途等に用いられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
基材としてポリエチレンテレフタレート(以下、PETとする。)フィルム(東レ加工フィルム製 P60)を連続式真空蒸着機(APPLIED MATERIALS社製 TopMet)の巻き出し装置にセットし、走行速度310m/minで走行させながら1回蒸着により片面に金属アルミニウム膜を形成後、得られたガスバリアフィルムを巻き取った。上記金属アルミニウム膜は、1.0×10-1Pa未満に減圧した真空蒸着機内で、抵抗加熱部にアルミワイヤをフィードして溶融し、気化した金属アルミニウムを走行するPETフィルムの片面に付着堆積させて形成した。このとき抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)は7.8kW~8.0kWの範囲とした。得られたガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ74nmであった。
[実施例2]
基材としてPETフィルム(東レ加工フィルム製 ルミラーP60)を連続式真空蒸着機(APPLIED MATERIALS社製 TopMet)の巻き出し装置にセットし、走行速度440m/minで走行させながら片面に気化した金属アルミニウムを付着堆積させて(1回目蒸着)中間体フィルムを形成し、その後巻き取った。1回目蒸着では、1.0×10-1Pa未満に減圧した真空蒸着機内で、抵抗加熱部にアルミワイヤをフィードして溶融し、気化した金属アルミニウムを走行するPETフィルムの片面に付着堆積させた。このとき抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)は7.5kW~8.0kWの範囲とした。巻き取った中間フィルムを、再度巻き出し装置にセットして、走行速度440m/minで走行させながら、中間フィルムの金属アルミニウム付着面に、さらに気化した金属アルミニウムを付着堆積させた(2回目蒸着)。2回の蒸着工程を経て、PETフィルムの片面に金属アルミニウム膜が形成されたガスバリアフィルムを得た。その後、得られたガスバリアフィルムを巻き取った。2回目蒸着では、抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)を8.0kW~8.5kWの範囲としたこと以外は1回目と同じ条件で金属アルミニウムを付着堆積した。得られたガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ134nmであった。
[実施例3]
PETフィルムの走行速度を425m/minとし、抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)を8.0kW~8.5kWの範囲としたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。得られたガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ42nmであった。
[比較例1]
PETフィルムの片面に金属アルミニウム蒸着膜が形成された市販品のガスバリアフィルム(東レフィルム加工社製 TAF1519)を用いた。金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ70nmであった。
[比較例2]
PETフィルムの走行速度を325m/minとし、抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)を9.0kW~9.5kWの範囲としたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。得られたガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ76nmであった。
[比較例3]
1回目蒸着において、PETフィルムの走行速度を415m/minとし、抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)を8.0kW~8.5kWの範囲としたこと、ならびに、2回目蒸着において、中間フィルムの走行速度を250m/minとし、抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)を9.0kW~9.5kWの範囲としたこと以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルムを得た。得られたガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ136nmであった。
[比較例4]
PETフィルムの走行速度を300m/minとし、抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)を8.0kW~9.0kWの範囲としたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。得られたガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ49nmであった。
[比較例5]
PETフィルムの走行速度を230m/minとし、抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)を8.0kW~9.0kWの範囲としたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。得られたガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜の厚みを下記の方法で計測したところ75nmであった。
実施例1~3および比較例2~5で得た各ガスバリアフィルムの成膜条件、および得られた金属アルミニウム膜の厚みの一覧を表1に示す。
Figure 0007124344000001
[評価]
(評価1.金属アルミニウム膜の厚みT測定)
実施例1~3および比較例1~5で得た各ガスバリアフィルムから、所望のサイズにサンプルを切り出し、切り出したサンプルの外周を硬化樹脂(丸本ストルアス製 冷間埋め込み樹脂エポフィックス)で固めて固定した。固定された上記サンプルを、ダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断して断面を露出させ、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク製 SU-8000)を用いて露出した断面の画像を倍率10万倍程度で取得し、画像中でおよそ等間隔の3点で厚みを計測した。この操作を各ガスバリアフィルムにつき3つのサンプルに対して行い、計9個の計測値の平均を各ガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜の厚みTの値とした。
(評価2.X線回折測定)
(1)ガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のIの値
実施例1~3および比較例1~5で得た各ガスバリアフィルムをX線回折装置の試料台の上に置き、金属アルミニウム膜を測定面として下記の条件でX線回折測定(XRD)を行い、回折スペクトルにおける2θ=38.5°付近に位置する回折ピークの高さを求めた。なお、非晶ハローピークの影響を排除するため、得られた回折スペクトルにおいて半値幅が6°以下となる波形を回折ピークと定義した。各ガスバリアフィルムにおいて3か所以上で測定し、得られた回折ピークの高さの平均値を、そのガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のIの値とした。
(XRD測定条件)
X線回折装置:リガク製 SmartLab
光源:CuKα線(波長1.5418A)
走査軸:2θ/θ
管電圧:45kV
管電流:200mA
光学系:平行ビーム光学系
スリット構成:入射側スリット(ソーラースリット5.0°、入射スリット5mm)、受光側スリット(パラレルスリットアナライザー(PSA)0.5°)
検出器:SC-70
測定範囲:2θ=3°~80°
スキャンスピード:6.0°/分
スキャンステップ:0.01°
(2)金属アルミニウム箔のIの値
厚み6.0μmの金属アルミニウム箔(UACJ社製 BESPA)を用い、ミラー面を測定面として、Iの値の測定と同じ上記条件でX線回折測定を行い、得られた回折スペクトルにおける2θ=44.6°付近に位置する回折ピークの高さを求めた。なお、非晶ハローピークの影響を排除するため、得られた回折スペクトルにおいて半値幅が6°以下となる波形を回折ピークと定義した。金属アルミニウム箔において3か所以上で測定し、得られた回折ピークの高さの平均値を、その金属アルミニウム箔のIの値とした。
(3)式(1)の(I/I)/Tの値
ガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のIの値および金属アルミニウム箔のIの値、ならびに上記評価1で求めた金属アルミニウム膜の厚みTの値から、(I/I)/Tの値を算出した。
(評価3.蛍光X線分析)
(1)ガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のAの値
実施例1~3および比較例1~5で得た各ガスバリアフィルムについて、ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜を測定面として、下記の条件で蛍光X線分析(XRF)を行い、得られたAlKα線の、140°~148°の範囲を直線でつないだベースラインからのピークの高さを求めた。各ガスバリアフィルムにおいて3か所以上で測定し、得られたAlKα線のピークの高さの平均値を、そのガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のAの値とした。
(XRF条件)
X線源:Rh管球・4.0kW
測定真空度:13Pa
励起条件:管電圧50kV、管電流80mA
測定径(X線照射範囲):30mmφ
測定2θ角:140°~148°
測定元素:Al(金属アルミニウム)
(2)金属アルミニウム箔のBの値
厚み6.0μmの金属アルミニウム箔(UACJ社製 BESPA)を用い、ミラー面を測定面として、Aの値の測定と同じ上記条件で蛍光X線分析を行い、得られたAlKα線の、140°~148°の範囲を直線でつないだベースラインからのピークの高さを求めた。金属アルミニウム箔において3か所以上で測定し、得られたAlKα線のピークの高さの平均値を、その金属アルミニウム箔のBの値とした。
(3)式(2)の(A/B)/T
ガスバリアフィルムにおける金属アルミニウム膜のAの値および金属アルミニウム箔のBの値、ならびに上記評価1で求めた金属アルミニウム膜の厚みTの値から、(A/B)/Tの値を算出した。
(評価4.初期水蒸気透過度)
実施例1~3および比較例1~5で得た各ガスバリアフィルムについて、初期水蒸気透過度を測定した。水蒸気透過度は、JIS K7129:2008(付属書B:赤外線センサ法)に準拠して、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製 「PERMATRAN」)を用いて、以下の手順により測定した。まず、実施例1~3および比較例1~5で得た各ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜側の面と、厚み12μmのPETフィルム(ユニチカ製 エンブレット-PTMB)とを接着剤(ロックペイント製 主剤RU-77T、硬化剤H-7)でラミネートしたサンプルを作製した。上記サンプルから所望のサイズに試験片を切り出し、上記試験片を、ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜側の面が高湿度側(水蒸気供給側)となるように水蒸気透過度測定装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行った。1つのガスバリアフィルムにつき、測定した試験片は3つとし、それらの測定値の平均をそのガスバリアフィルムの水蒸気透過度の値とした。
(評価5.初期疑似水蒸気透過度係数)
実施例1~3および比較例1~5で得た各ガスバリアフィルムについて、上記評価4で得た水蒸気透過度の測定値の平均値と上記評価1で求めた金属アルミニウム膜の厚みTの値との積を、そのガスバリアフィルムの初期疑似水蒸気透過度係数の値とした。
(評価6.常温屈曲処理後の水蒸気透過度)
実施例1~3および比較例1~5で得た各ガスバリアフィルムから、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形の個片を採取し、ASTM F392に準拠して、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製 BE1006)により、上記個片に対し屈曲処理を行った。上記屈曲処理は、上記個片の両短辺をゲルボフレックステスターのつかみ具に取り付け、上記個片を最大ねじれ角が440°となるようにねじりながら、3.5インチだけ縮め、次いで上記個片をねじらずに2.5インチだけさらに縮め、その後、上記個片を逆の行程で、最初の状態に戻すことを1サイクルとし、各個片について3サイクル実施した。屈曲処理後の各個片について、上記評価4の項で説明した方法および条件で水蒸気透過度を測定した。
評価1から評価6までの結果を表2に示す。
Figure 0007124344000002
表2の結果より、実施例1~3のガスバリアフィルムは、比較例1~5のガスバリアフィルムと比較して、初期水蒸気透過度(評価4)、初期疑似水蒸気透過度係数(評価5)および屈曲試験後の水蒸気透過度(評価6)がいずれも低かった。これにより、(I/I)/Tおよび(A/B)/Tがそれぞれ所定の範囲にあるガスバリアフィルムは、初期の水蒸気バリア性能が良好であり、屈曲による水蒸気バリア性能の劣化を抑制可能であることが示唆された。
1 … 基材
2 … 金属アルミニウム膜
10 … ガスバリアフィルム

Claims (1)

  1. 基材と、前記基材の一方の面に形成された金属アルミニウム膜と、を有し、
    前記金属アルミニウム膜が、下記式(1)および式(2)を満たす、ガスバリアフィルム。
    1.0×10-3≦(I/I)/T≦3.5×10-3 … (1)
    (A/B)/T≧3.8×10-3 … (2)
    (前記式(1)および式(2)中、Iは、前記金属アルミニウム膜に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=38.5°±1.0°に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Iは、合金番号A8021、厚み6μm以上の金属アルミニウム箔に対するCuKα線を用いたX線回折測定において2θ=44.6°±1.0°に位置する回折ピークのピーク強度(cps)を表し、Aは、蛍光X線分析により測定される前記金属アルミニウム膜のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Bは、蛍光X線分析により測定される、合金番号A8021、厚み6μm以上の金属アルミニウム箔のアルミニウム元素のピーク強度(kcps)を表し、Tは前記金属アルミニウム膜の厚み(nm)を表す。)
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