JP7123817B2 - 水中航走体 - Google Patents
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Description
特許文献1には、水中航走体(水中ビークル)に機体フレームに設けられた出没体(アンテナ)を備えた構成が開示されている。この棒状体は、出没体に設けた先端ネジ部材をモータで回転させることで、機体フレームから外方に向かって出没する。
しかし、上記のように棒状体を駆動する油圧シリンダやモータは、一般に、水中航走体の耐圧構造の外側に配置される。このように油圧シリンダやモータを耐圧構造の外側に配置すると、油圧シリンダやモータの作動時に発生した作動音(騒音)が周囲に伝播する可能性がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、静粛性を向上させることができる水中航走体を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、水中航走体は、水中で中空の内部空間を形成する耐圧構造と、前記耐圧構造の外周面に設けられ、前記外周面から外方に向かって延びる筒状の出没体格納構造と、前記出没体格納構造内に収容され、前記出没体格納構造内から前記外方に向かって出没可能な出没体と、前記出没体格納構造内に収容され、前記出没体の出没方向への出没動作をガイドするガイド部材と、前記出没体を前記出没体格納構造内から前記外方に向かって出没させる駆動部と、前記出没体格納構造内に収容され、前記出没体を下方から支持する支持部材と、を備え、前記駆動部は、前記出没体を前記出没方向にスライド移動させる送りネジと、前記耐圧構造内に設けられ、前記送りネジを中心軸回りに回転させる電動機と、を備え、前記駆動部および前記支持部材は、前記出没体の中心軸に対し、前記耐圧構造の進行方向の後方にオフセットして配置され、前記出没体は、常に前記進行方向の前方に傾いている。
さらに、送りネジを駆動する電動機を耐圧構造内に設けることで、電動機の作動音が耐圧構造の外部に伝播することを抑制できる。その結果、静粛性を向上させることができる。
このように構成することで、送りネジが水中に露出しない。これにより、送りネジの水との接触による腐食を抑え、耐久性を高めることができる。
このように構成することで、固定容器に対して可動容器が出没すると、耐圧容器全体が伸縮する。そのため、この可動容器の出没動作によって出没体を出没させることができる。
このように構成することで、出没体の出没動作にともなって、蛇腹状の耐圧容器が伸縮し、送りネジが外部の水と接触することを抑制できる。
このように耐圧容器に弾性変形部を設けることで、耐圧容器の外部の圧力、つまり水圧が高まると、これに応じて弾性変形部が弾性変形し、耐圧容器内の圧力を外部の水圧と均圧化することができる。これによって、耐圧容器が外部の圧力によって変形することを抑制できるとともに、耐圧容器内の圧力が高まることを抑制できる。
このように構成することで、耐圧容器の内外で互いに対向する第一磁石と第二磁石とが磁力により互いに引きつけあうことで、耐圧容器内で送りネジに沿ってナットがスライドすると、ナットと一体にスライドする第一磁石とともに、出没体に固定された第二磁石がスライド移動する。これによって、耐圧容器内に送りネジを収容しても、耐圧容器外に設けた出没体をスライド移動させて駆動させることができる。
このように構成することで、ガイド部材と出没体との間の隙間に付勢部材を設けて、出没体とガイド部材とを互いに離間する方向に付勢することで、出没体とガイド部材との隙間によるガタつきを抑えることができる。これによって、出没体をガイド部材に沿って移動させたときに、出没体とガイド部材との干渉音が生じることを抑制できる。
このように構成することで、出没体は、固定子との間に生じる磁界に応じて移動する可動子とともに、出没方向に移動する。すなわち、出没体は、送りネジおよび電動機からなる直動機構による移動動作と、固定子および可動子からなるリニアモータ機構による移動操作とを行うことができる。したがって、例えば、直動機構およびリニアモータ機構の一方が故障した場合に、直動機構およびリニアモータ機構の他方で出没体の出没動作を実行することができる。さらに、出没体の出没動作を、直動機構とリニアモータ機構とで協働して行えば、直動機構、リニアモータ機構のそれぞれの出力を小さくすることができ、低コスト化を図ることが可能となる。
このようにガイド部材への連結部と前記送りネジへの螺合部との間に変位吸収部を備えることで、ガイド部材と送りネジとが完全に平行ではなく芯ズレしていた場合、連結部および螺合部をガイド部材、送りネジに沿って移動させたときに連結部と螺合部との間に生じる相対変位を、変位吸収部で吸収することができる。したがって、ガイド部材と送りネジとの芯ズレを許容した構成とすることができる。
このように構成することで、出没体をその出没方向にバランス良くスライド移動させることができる。したがって、出没体のスライド移動動作が不安定となって他の部材と干渉することを抑制できる。
このように構成することで、固定子と可動子への通電を停止した場合においても、出没体の位置を維持することができる。
このように構成することで、駆動部で第一段出没体をスライド移動させると、連動機構によって、第二段出没体を第一段出没体のスライド移動にともなってスライド移動させることができる。これにより、駆動部を作動させると、第二段出没体は、第一段出没体のスライド移動量の倍のストロークでスライド移動する。したがって、第二段出没体を、効率良く出没動作させることができる。
(第一実施形態)
図1は、この実施形態の水中航走体の概略構成を示す断面図である。図2は、出没体装置の構成を示す断面図である。図3は、被ガイド部材の構成を示す図であり、ガイド部材の軸線に直交する断面図である。図4は、上記出没体装置において出没体を出没体格納構造から突出させた状態を示す断面図である。
図1に示すように、この実施形態の水中航走体1は、内部空間Sを有する中空の耐圧構造10と、出没体格納構造11と、を備え、図示しない推進装置により水中で航走可能となっている。
出没体格納構造11は、耐圧構造10の外周面10fから外方に突出するよう、略筒状をなしている。出没体格納構造11内には、出没体装置20Aが設けられている。出没体格納構造11には、耐圧構造10の外周面10f側とは反対側の端部に、出没体装置20Aの出没体21を出没させる開口部12が形成されている。
このとき、図3に示すように、各被ガイド部材26においては、押圧シュー27が付勢部材28によってガイド部材22に押圧されることで、出没体21は、複数本のガイド部材22に対し、ガタつきを抑えつつ、スムーズにスライド可能となっている。
内筒31の基端部31cには、送りネジ34に螺合するナット部33が形成されている。ナット部33は、筒状部31aよりも外周側に張り出しており、外筒30の段部30cに突き当たることで、内筒31の耐圧構造10の外周面10fから離間する方向への突出寸法を規制する。
送りネジ34の先端部34bは、軸受36Aを介して内筒31内で中心軸回りに回動自在に支持されている。この軸受36Aは、内筒31内で、ガイド部材(図示無し)によって、その中心軸回りの回転を拘束しつつ、中心軸方向にスライド移動可能となっている。 送りネジ34の基端部34aは、耐圧構造10の内周面10gに固定された軸受ホルダ37内で、二つの軸受36Bを介して回動自在に支持されている。
モータ35の駆動軸35sにはプーリ38Aが設けられ、送りネジ34の基端部34aにはプーリ38Bが設けられている。これらプーリ38Aと、プーリ38Bとの間には、無端状のベルト38Cが掛けわたされている。
さらに、送りネジ34を駆動するモータ35を耐圧構造10内に設けることで、モータ35の作動音が耐圧構造10の外部に伝播することを抑制できる。
したがって、この水中航走体1によれば、静粛性を向上させることができる。
さらに、出没体昇降機構23Aおよび支持部材25は、出没体21の中心軸Cに対し、水中航走体1の進行方向Fに対して後方にオフセットして配置されているので、ガイド部材22との間にガタつきが有ったとしても、常に出没体21は進行方向F側に僅かに傾くことになるので、これによって出没体21の傾く方向が変化することによるガタ付きを抑えることができる。
第一実施形態では、出没体昇降機構23Aを、外筒30に対して内筒31が出没することで、出没体21を駆動するようにしたが、これに限るものではない。
図5は、上記水中航走体の第一実施形態の第一変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。
図5に示すように、この変形例における出没体装置20Bは、出没体格納構造11の内側に配置され、出没体21と、ガイド部材22と、出没体昇降機構23Bと、支持部材25と、を備える。
さらに、閉塞部40cには、ロッド41が挿通されるロッド挿通孔40rが形成されている。ロッド挿通孔40rには、ロッド41の外周面との隙間をシールする環状のシール部材43が設けられている。
上述した第一実施形態では、出没体昇降機構23Aを、出没体21の中心軸Cに対し、水中航走体1の進行方向後方にオフセットして配置したが、これに限るものではない。 図6は、上記水中航走体の第一実施形態の第二変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。図7は、上記出没体装置において出没体を出没体格納構造から突出させた状態を示す断面図である。
この図6、図7に示すように、この変形例における出没体装置20Cにおいては、出没体昇降機構23Aを、出没体21の中心軸C、つまり出没体21の重心に一致するよう配置してもよい。
また、上記第一実施形態およびその第二変形例では、外筒30に対して内筒31が出没するようにし、その第一変形例では、一本のロッド41がベースハウジング40に対して出没するようにしたが、これらの構成に限られない。
図8は、上記水中航走体の第一実施形態の第三変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。図9は、図8のB-B矢視断面図である。
この図8に示すように、出没体装置20Dの出没体昇降機構23Dは、例えば金属製の耐圧容器である基部部材48と、基部部材48から耐圧構造10の外周面10fに直交する方向に出没するロッド部材49と、を備える。
基部部材48の閉塞部48cには、各ロッド部49rが貫通する部分に、閉塞部48cとロッド部49rとの間のシール性を維持するシール部材49sが設けられている。
次に、この発明にかかる水中航走体の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態に対し、送りネジを用いて出没体を直接駆動する構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図10は、この実施形態の水中航走体の出没体装置の構成を示す断面図である。図11は、図10のD-D矢視断面図である。図12は、上記出没体装置に設けられた連結部材を示す斜視図である。
図10に示すように、この実施形態の水中航走体1は、耐圧構造10と、出没体格納構造11と、を備える。
さらに、モータ35およびプーリ61A,61B、およびベルト61Cを均圧容器63内に収容することで、モータ35およびプーリ61A,61B、およびベルト61Cで生じる音が均圧容器63の外部に漏れにくい。しかも、均圧容器63は、その内部空間の圧力を外部の水圧と均圧化するので、均圧容器63が外部の水圧によって変形するのを抑えることができる。
このような水中航走体1によれば、静粛性を向上させることができる。
上述した第二実施形態では、送りネジ56が、水中に露出しているが、これに限らない。
図13は、上記水中航走体の第二実施形態の第一変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。
図13に示すように、送りネジ56を覆うように、出没体格納構造11の先端部11sと、支持部材55との間に、筒状の蛇腹部材(耐圧容器)65A,65Bを設け、蛇腹部材65A,65B内に、油等を封入してもよい。ここで、ナット部57の一方の側に配置された蛇腹部材65Aは、その両端を出没体格納構造11の先端部11sと、ナット部57とに固定する。ナット部57の他方の側に配置された蛇腹部材65Bは、その両端を、ナット部57と支持部材55とに固定する。さらに、ナット部57には、ナット部57の一方の側の蛇腹部材65A内の空間S1と、ナット部57の他方の側の蛇腹部材65B内の空間S2との間で、油が行き来できるよう、オリフィス孔57hを形成する。
さらに、蛇腹部材65A,65Bは、ナット部57の一方の側と他方の側とに設けられているので、送りネジ56の回転にともなってナット部57がスライドしても、これに追従して蛇腹部材65A,65Bが伸縮する。さらに、ナット部57に形成されたオリフィス孔57hを通して、ナット部57の一方の側の空間S1との他方の側の空間S2とで油が行き来することで、空間S1,S2の均圧化を図ることができる。これによって、ナット部57のスライド移動に対して抵抗力が生じるのを抑えるとともに、蛇腹部材65A,65Bが外部の水圧によって潰れたり、蛇腹部材65A,65B内の油の圧力が上昇することを抑制できる。
図14は、上記水中航走体の第二実施形態の第二変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。
図14に示すように、送りネジ56を覆うように、出没体格納構造11の先端部11sと、基台13の基板部13bとの間に、筒状の耐圧容器66を設け、耐圧容器66内に、油66d等を封入してもよい。この場合、耐圧容器66には、例えば蛇腹状のコンペンセータ66cを設けて、このコンペンセータ66cが耐圧容器66の周囲の海水等の圧力に応じて伸縮することで、耐圧容器66内の油66dと、周囲の海水等とが均圧化される。
この場合、基台13の基板部13bに貫通孔13hを形成することで、モータ60、プーリ61A,61B、およびベルト61Cを収容する均圧容器63のコンペンセータ63cを省略することができる。
なお、図14の構成に限定されず、第一磁石67Aを電磁石、第二磁石67Bを永久磁石とする方式や、第一磁石67A、第二磁石67Bともに電磁石とする方式もある。
さらに、耐圧容器66は、コンペンセータ66cを備えているので、耐圧容器66内の油66dと、周囲の海水等との均圧化を図り、耐圧容器66内における油66dの圧力上昇を抑えることができる。
さらに、耐圧容器66の内外で互いに対向する第一磁石67Aと第二磁石67Bとが磁力により互いに引きつけあうことで、耐圧容器66内で送りネジ56に沿ってナット部57がスライドすると、ナット部57と一体にスライドする第一磁石67Aとともに、出没体51に固定された第二磁石67Bがスライド移動する。これによって、第一磁石67Aおよび第二磁石67Bを介してナット部57の動きが支持ブラケット53に伝達され、耐圧容器66内に送りネジ56を収容しても、耐圧容器66外に設けた出没体21をスライド移動させて駆動させることができる。
次に、この発明にかかる水中航走体の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一、第二実施形態に対し、リニアモータ機構を用いて出没体を駆動する構成のみが異なるので、第一、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図15は、この発明の第三実施形態の水中航走体の出没体装置の構成を示す断面図である。図16は、図15のF-F矢視断面図である。図17は、可動子に設けた均圧容器を示す断面図である。
図15に示すように、この実施形態の水中航走体1は、耐圧構造10と、出没体格納構造11と、を備える。
ここで、第三実施形態では、可動子76を、油57fを封入した均圧容器77内に設けるようにしたが、これに限るものではない。
図18は、上記水中航走体の第三実施形態の変形例における、可動子を示す断面図である。
この図18に示すように、例えば、可動子76は、防錆塗装や樹脂コーティング等を施すことで表面に保護膜76mを形成することで、海水との接触による腐食を抑えることができる。さらに、防錆塗装や樹脂コーティングは、固定子75側にも同様に施すことができる。
次に、この発明にかかる水中航走体の第四実施形態について説明する。以下に説明する第四実施形態においては、第一~第三実施形態に対し、出没体を駆動する機構として、第二実施形態で示した送りネジ機構と、第三実施形態で示したリニアモータ機構とを組み合わせて用いる構成のみが異なるので、第一~第三実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図19は、この発明の第四実施形態の水中航走体の出没体装置の構成を示す断面図である。図20は、図19のG-G矢視断面図である。
図19に示すように、この実施形態の水中航走体1は、耐圧構造10と、出没体格納構造11と、を備える。
さらに、可動子76に通電して帯磁させると、固定子75との間に生じる磁力によって、可動子76を外周部に備えた支持ブラケット53が、ガイド部材72に沿ってスライド移動する。これによっても、支持ブラケット53に支持された出没体51は、出没体格納構造11に対して出没する。
さらに、モータ35およびプーリ61A、プーリ61B、およびベルト61Cを均圧容器63内に収容することで、モータ35およびプーリ61A、プーリ61B、およびベルト61Cで生じる音が均圧容器63の外部に漏れにくい。しかも、均圧容器63は、その内部空間の圧力を外部の水圧と均圧化するので、均圧容器63が外部の水圧によって変形するのを抑えることができる。
このような水中航走体1によれば、静粛性を向上させることができる。
ここで、第四実施形態では、送りネジ56が、海水中に露出しているが、これに限らない。
図21は、上記水中航走体の第四実施形態の第一変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。
図21に示すように、送りネジ56を覆うように、出没体格納構造11の先端部11sと、支持部材55との間に、筒状の蛇腹部材65A,65Bを設け、蛇腹部材65A,65B内に、油等を封入してもよい。ここで、ナット部57の一方の側に配置された蛇腹部材65Aは、その両端を出没体格納構造11の先端部11sと、ナット部57とに固定する。ナット部57の他方の側に配置された蛇腹部材65Bは、その両端を、ナット部57と支持部材55とに固定する。さらに、ナット部57には、ナット部57の一方の側の蛇腹部材65A内の空間S1と、ナット部57の他方の側の蛇腹部材65B内の空間S2との間で、油が行き来できるよう、オリフィス孔57hを形成する。
さらに、例えば、直動機構およびリニアモータ機構の一方が故障した場合に、他方で出没体51の出没動作を実行することができる。さらに、出没体51の出没動作を、直動機構とリニアモータ機構とで協働して行えば、直動機構、リニアモータ機構のそれぞれの出力を小さくすることができ、低コスト化を図ることが可能となる。
さらに、蛇腹部材65A,65Bは、ナット部57の一方の側と他方の側とに設けられているので、送りネジ56の回転にともなってナット部57がスライドしても、これに追従して蛇腹部材65A,65Bが伸縮する。さらに、ナット部57に形成されたオリフィス孔57hを通して、ナット部57の一方の側の空間S1との他方の側の空間S2とで油が行き来することで、空間S1,S2の均圧化を図ることができる。これによって、ナット部57のスライド移動に対して抵抗力が生じることを抑制できるとともに、蛇腹部材65A,65Bが外部の水圧によって潰れたり、蛇腹部材65A,65B内の油の圧力が上昇することを抑制できる。
図22は、上記水中航走体の第四実施形態の第二変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。
この図22に示すように、送りネジ56を覆うように、出没体格納構造11の先端部11sと、基台13の基板部13bとの間に、筒状の耐圧容器66を設け、耐圧容器66内に、油66d等を封入してもよい。この場合、耐圧容器66には、例えば蛇腹状のコンペンセータ66cを備え、耐圧容器66の周囲の海水等の圧力に応じてコンペンセータ66cが伸縮することで、耐圧容器66内の油66dと、周囲の海水等とが均圧化されている。
この場合、基台13の基板部13bに貫通孔13hを形成することで、モータ60、プーリ61A,61B、およびベルト61Cを収容する均圧容器63との均圧化を図り、コンペンセータ63c(図21参照)を省略することができる。
耐圧容器66内のナット部57には永久磁石である第一磁石67Aが一体に設けられ、出没体51を支持する支持ブラケット53には、電磁石である第二磁石67Bが一体に設けられている。第一磁石67A、第二磁石67Bは、耐圧容器66を挟んでその内周側と外周側とで対向している。第一磁石67A、第二磁石67Bに通電して励磁することで、ナット部57の送りネジ56に沿った移動が、出没体51を支持する支持ブラケット53に伝達される。
なお、図22の構成に限定されず、第一磁石67Aを電磁石、第二磁石67Bを永久磁石とする方式や、第一磁石67A、第二磁石67Bともに電磁石とする方式もある。
さらに、例えば、直動機構およびリニアモータ機構の一方が故障した場合に、他方で出没体51の出没動作を実行することができる。さらに、出没体51の出没動作を、直動機構とリニアモータ機構とで協働して行えば、直動機構、リニアモータ機構のそれぞれの出力を小さくすることができ、低コスト化を図ることが可能となる。
さらに、耐圧容器66は、コンペンセータ66cを備えているので、耐圧容器66内の油66dと、周囲の海水等との均圧化を図り、耐圧容器66内における油66dの圧力上昇を抑えることができる。
さらに、第一磁石67A、第二磁石67Bを介してナット部57の動きが支持ブラケット53に伝達される。
この変形例は、上記第一実施形態の第二変形例の構成に、リニアモータ機構を組み合わせたものである。
図23は、上記水中航走体の第四実施形態の第三変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。図24は、上記出没体装置において出没体を出没体格納構造から突出させた状態を示す断面図である。
さらに、例えば、直動機構およびリニアモータ機構の一方が故障した場合に、直動機構およびリニアモータ機構の他方で出没体21の出没動作を実行することができる。さらに、出没体21の出没動作を、直動機構とリニアモータ機構とで協働して行えば、直動機構、リニアモータ機構のそれぞれの出力を小さくすることができ、低コスト化を図ることが可能となる。
次に、この発明にかかる水中航走体の第五実施形態について説明する。以下に説明する第五実施形態においては、第一実施形態に対して連動機構を備える点のみが異なるので、第一と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図25は、この発明の第五実施形態の水中航走体の出没体装置の構成を示す断面図である。図26は、上記出没体装置において出没体を出没体格納構造から突出させた状態を示す断面図である。
図25に示すように、この実施形態の水中航走体1は、耐圧構造10と、出没体格納構造11と、を備える。
このような被ガイド部材26を備えた出没体91は、ガイド部材92に沿って被ガイド部材26がスライド移動することで、耐圧構造10の外周面10fから外方に向かってスライド移動し、先端部91sが出没体格納構造11から外方に向かって出没可能となっている。
第一段昇降機構93Aは、耐圧構造10の外周面10fに固定された外筒100と、外筒100内に挿入された内筒101と、送りネジ104と、モータ105と、を有する。
モータ105の駆動軸105sと、送りネジ104の基端部104aとには、それぞれプーリ107A,107Bが設けられている。これらプーリ107A,107Bとの間に、無端状のベルト107Cが掛け渡されている。
支持ブラケット123には、これらガイド部材122が挿通され、出没体91内で、ガイド部材122に沿って耐圧構造10の外周面10fに直交する方向にスライド移動可能とされている。
ワイヤ124Aは、滑車123Aに掛け回され、両端が、外筒100と、支持ブラケット123とにそれぞれ固定されている。
ワイヤ124Bは、滑車123Bに掛け回され、両端が、支持ブラケット123と、出没体格納構造11の上部に設けられたブラケット127とにそれぞれ固定されている。
このような第五実施形態においても、第四実施形態と同様、出没体本体を駆動する機構として、送りネジ機構とリニアモータ機構とを組み合わせて用いることができる。
図27は、この発明の第五実施形態の水中航走体の変形例における出没体装置の構成を示す断面図である。
すなわち、図27に示すように、出没体昇降機構23Jの第二段昇降機構93Bは、出没体91内に固定されたガイド部材122に対し、出没体本体121をスライド移動させるため、固定子125および可動子126をさらに備えている。
これにより、第一段昇降機構93Aで出没体91が出没体格納構造11から外方へ向かって突出する方向に移動するのと並行して、第二段昇降機構93Bで出没体本体121が出没体91から外方に向かって突出する。つまり、出没体91の移動ストロークと同じストロークだけ、出没体本体121も突出する。
さらに、例えば、直動機構およびリニアモータ機構の一方が故障した場合であっても、直動機構およびリニアモータ機構の他方で出没体本体121および出没体91の出没動作を実行することができる。さらに、出没体本体121および出没体91の出没動作を、直動機構とリニアモータ機構とで協働して行えば、直動機構、リニアモータ機構のそれぞれの出力を小さくすることができ、低コスト化を図ることが可能となる。
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
10 耐圧構造
10f 外周面
10g 内周面
10h 貫通孔
11 出没体格納構造
11f 内周面
11s 先端部
12 開口部
13 基台
13a 脚部
13b 基板部
13h 貫通孔
20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20J 出没体装置
21 出没体
21a 筒状部
21c 基端部
21f 外周面
21s 先端部
22 ガイド部材
22a 対向面
23A,23B,23D,23E,23F,23G,23H 出没体昇降機構
23J 出没体昇降機構(連動機構)
25 支持部材
26 被ガイド部材
26a 対向部
26b 側部
27 押圧シュー
28 付勢部材
30 外筒(固定容器)
30a 基部
30b 筒状部
30c 段部
30h 挿通孔
31 内筒(可動容器)
31a 筒状部
31b 閉塞端部
31c 基端部
32 シール部材
33 ナット部
34 送りネジ
34a 基端部
34b 先端部
35 モータ(電動機)
35s 駆動軸
36A,36B,36C 軸受
37 軸受ホルダ
38 防振マウント
38A,38B プーリ
38C ベルト
39 シャフト
40 ベースハウジング(耐圧容器)
40a 基部
40b 筒状部
40c 閉塞部
40h 挿通孔
40r ロッド挿通孔
41 ロッド
42 軸受
43 シール部材
44 送りネジ
44a 基端部
44b 先端部
45 ナット部
46 ブラケット
47 先端ロッド
48 基部部材
48a 基部
48b 筒状部
48c 閉塞部
49 ロッド部材
49b ベースプレート
49r ロッド部
49s シール部材
51 出没体
52 ガイド部材
53 支持ブラケット(連結部)
55 支持部材
56 送りネジ
57 ナット部(螺合部、ナット)
57f 油
57h オリフィス孔
58A、58B 軸受
59 連結部材(変位吸収部)
59s スリット
60 モータ
60s 駆動軸
61A,61B プーリ(伝達機構)
61C ベルト(伝達機構)
63 均圧容器
63c コンペンセータ
63d 油
65A,65B 蛇腹部材(耐圧容器)
66 耐圧容器
66c コンペンセータ
66d 油
67A 第一磁石
67B 第二磁石
71 出没体
72 ガイド部材
73 支持ブラケット
74 位置拘束機構
75 固定子
76 可動子
76m 保護膜
77 均圧容器
77d 油
78 パッド
83 支持ブラケット
83h 挿通孔
85 固定子
86 可動子
91 出没体(第一段出没体)
91a 筒状部
91d 基端部
91s 先端部
92 ガイド部材
93A 第一段昇降機構
93B 第二段昇降機構
100 外筒
100a 基部
100b 筒状部
100c 段部
100h 挿通孔
101 内筒
101a 筒状部
101b 閉塞端部
102 シール部材
103 ナット部
104 送りネジ
104a 基端部
104b 先端部
105 モータ
105s 駆動軸
106B,106C 軸受
106J 軸受
107 軸受ホルダ
107A プーリ
107C ベルト
108 防振マウント
109 シャフト
110 受け容器
121 出没体本体(第二段出没体)
121b 基端部
122 ガイド部材
123 支持ブラケット
123A、123B 滑車
123h 挿通孔
124A、124B ワイヤ
124a 一端
124b 他端
124c 一端
124d 他端
125 固定子
126 可動子
127 ブラケット
C 中心軸
Claims (12)
- 水中で中空の内部空間を形成する耐圧構造と、
前記耐圧構造の外周面に設けられ、前記外周面から外方に向かって延びる筒状の出没体格納構造と、
前記出没体格納構造内に収容され、前記出没体格納構造内から前記外方に向かって出没可能な出没体と、
前記出没体格納構造内に収容され、前記出没体の出没方向への出没動作をガイドするガイド部材と、
前記出没体を前記出没体格納構造内から前記外方に向かって出没させる駆動部と、
前記出没体格納構造内に収容され、前記出没体を下方から支持する支持部材と、を備え、
前記駆動部は、
前記出没体を前記出没方向にスライド移動させる送りネジと、
前記耐圧構造内に設けられ、前記送りネジを軸回りに回転させる電動機と、
を備え、
前記駆動部および前記支持部材は、前記出没体の中心軸に対し、前記耐圧構造の進行方向の後方にオフセットして配置され、
前記出没体は、常に前記進行方向の前方に傾いている水中航走体。 - 前記送りネジを覆う筒状の耐圧容器をさらに備える請求項1に記載の水中航走体。
- 前記耐圧容器は、
前記耐圧構造に固定された固定容器と、
前記送りネジの回転にともなって前記固定容器に対して前記出没方向に出没する可動容器と、
を備える請求項2に記載の水中航走体。 - 前記耐圧容器は、前記出没体がスライド移動するのにともなって前記送りネジに沿って伸縮する蛇腹状に形成されている請求項2に記載の水中航走体。
- 前記耐圧容器は、前記耐圧容器の外部の圧力に応じて弾性変形する弾性変形部をさらに備える請求項2から4の何れか一項に記載の水中航走体。
- 前記駆動部は、
前記耐圧容器内に設けられ、前記送りネジに螺合し、前記送りネジの前記軸回りの回転にともなって前記送りネジに沿ってスライド移動するナットと、
前記ナットに設けられる第一磁石と、
前記耐圧容器の外部に設けられ、前記第一磁石に対向配置されるとともに前記出没体に固定される第二磁石と、を備える請求項2から5の何れか一項に記載の水中航走体。 - 前記ガイド部材と前記出没体との隙間に設けられ、前記出没体と前記ガイド部材とを互いに離間する方向に付勢する付勢部材と、
をさらに備える請求項1から6の何れか一項に記載の水中航走体。 - 前記駆動部は、
前記出没方向に延びる固定子と、
前記出没体に設けられ、前記固定子との間に生じる磁界に応じて前記固定子に沿って移動する可動子と、を備える請求項1から7の何れか一項に記載の水中航走体。 - 前記出没体は、前記ガイド部材へ連結される連結部と前記送りネジへ螺合される螺合部との間に、前記出没方向の強度に対する前記出没方向以外への剛性が低く、前記ガイド部材と前記送りネジとの芯ズレによる変位を吸収する変位吸収部を備える請求項1から8の何れか一項に記載の水中航走体。
- 前記固定子と前記可動子とは、前記出没体の周囲に複数組設けられている請求項8に記載の水中航走体。
- 前記駆動部は、前記出没方向における前記出没体の位置を拘束する位置拘束機構を備える請求項8又は10に記載の水中航走体。
- 前記駆動部によって前記出没方向にスライド移動する第一段出没体と、
前記第一段出没体に対し、前記出没方向に相対的にスライド移動可能に設けられた第二段出没体と、
前記第一段出没体のスライド移動にともなって、前記第二段出没体を前記第一段出没体に対してスライド移動させる連動機構と、
をさらに備える請求項1から11の何れか一項に記載の水中航走体。
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