JP7123706B2 - 巨大胚芽米玄米の発酵液とトラネキサム酸類を含有する皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
特許文献3において、トラネキサム酸、コメ発酵液は、それぞれ抗炎症剤、美白植物抽出物の選択肢の一つとして挙げられているが、実際に組合せた例は記載されていない。
本発明者が、トラネキサム酸類と玄米発酵液を含有する化粧料を検討したところ、長期保存すると経時的に外観の色が変化してしまうという問題を発見した。
1.巨大胚芽米玄米をサッカロミセス・ベローナで発酵させた発酵液と、トラネキサム酸類を含有する皮膚外用剤。
玄米を発芽させるとγ-アミノ酪酸が増加することが知られている。本発明で用いる巨大胚芽米は玄米そのままでもよく、米の生理作用によってγ-アミノ酪酸を富化させた玄米でもよい。
また、水に浸漬する発芽方法では、栄養成分の流出や、菌の繁殖の恐れがあるため、水に浸漬せず、緩慢な加水により発芽させる方法でも良い。あらかじめ水分10~15%に調整した巨大胚芽米を、水分20~30%の範囲となるように0.5~2.0質量%/hの加水速度で緩慢な加水を行い(加水工程)、次いでこの玄米をタンクに投入して通気条件下で2~10時間の調質(テンパリング)を行い(調質工程)、巨大胚芽米を発芽させた(発芽工程)後、100℃の蒸気で5~30分間蒸煮し(蒸煮工程)、さらに送風乾燥させる(乾燥工程)方法により、γ-アミノ酪酸が富化される。
さらに、あらかじめ水分10~15%に調整した巨大胚芽米を、0.5~2.0質量%/hの加水速度で水分を16~20質量%になるまで加水し(加水工程)、さらに通気条件下で調質(テンパリング)を行い(調質・発芽工程)、巨大胚芽米を発芽させた後、巨大胚芽米の中心品温が40~60℃になるように加温設定し(加温工程)、98~100℃の蒸気で蒸煮し(蒸煮工程)、さらに乾燥させる(乾燥工程)方法により、米のγ-アミノ酪酸を富化しても良い。この方法を用いると乾燥時間の短縮が可能となる。
あらかじめ水分14%前後に調整した巨大胚芽米玄米(金のいぶき)を用い、これに水分20~30%の範囲となるように緩慢な加水を行った。この緩慢な加水処理は胴割れを生じさせないように、徐々に行った。具体的には、横形ドラム内にて巨大胚芽米玄米を撹拌しながら、ドラム内側に設置された2流体式噴霧ノズルによって、水が垂れ落ちないようにして加水した。水温は水道水の温度で、pH調整は行なわなかった。ノズルからの噴霧は、水が巨大胚芽米玄米から垂れ落ちないように霧状の水滴として巨大胚芽米玄米の表面に付着させた。巨大胚芽米玄米は撹拌されながらこの霧状の水滴に接触することによって均一に加水されるようにした。加水に使用する水としては、水道水を用いた。加水終了後はタンクに移し換えて調質(テンパリング)を行った。このテンパリング時の最適環境温度は16~24℃とし、タンク内に外気を取り入れて換気を行った。一連の工程は20℃程度の室温で行い、テンパリング終了後は、巨大胚芽米玄米を、蒸気処理した。蒸気処理は、連続蒸米機を用いて2kg/h、100℃の蒸気中にて所定時間蒸煮することにより行った。さらに、この蒸煮終了後の巨大胚芽米玄米を常温の送風温度で乾燥し、水分約15%のγ-アミノ酪酸が富化された巨大胚芽米玄米を得た。γ-アミノ酪酸が富化された巨大胚芽米玄米に含まれるγ-アミノ酪酸の濃度は21mg/100gであった。
得られたγ-アミノ酪酸が富化された巨大胚芽米玄米を粉砕し、γ-アミノ酪酸が富化された巨大胚芽米玄米10重量部に対して、1000重量部の水を加え、110℃5分間加熱滅菌した。その後、1.0重量部のアミラーゼと1.0重量部のサッカロミセス・ベローナを加え、30℃に加温して、20時間発酵させた。その後、110℃で加熱して殺菌し、発酵を停止した。得られた発酵物をろ過し、発酵液(以下、巨大胚芽米玄米発酵液という。)を得た。巨大胚芽米玄米発酵液の蒸発残分は0.46w/v%だった。
γ-アミノ酪酸が富化された巨大胚芽米玄米のかわりに一般的なγ-アミノ酪酸を富化した玄米(ななつぼし)を用いて同様に発酵液(以下、玄米発酵液という。)を得た。
下記表1に示す処方で実施例1、比較例1~2の試料を調製した。調製した試料は、胴径40.5mm、高さ74.0mm、口内径24.7mmの透明なガラス軽量規格6K瓶に入れ、50℃恒温槽で90日間保存した。
測色試験は、日本電色工業株式会社の分光変角色差計(GC5000)を用いた。実施例及び比較例の試料を直径3.1cmの石英製シャーレに5g加えて光路長約6mmにて透過測定を行い、b*を求めた。
試料を調製した直後に分光変角色差計でb*を求め、初期値とした。試料作成後、50℃恒温槽で10,14,28,56,90日経過後の試料について分光変角色差計にて透過測定するとともに、試料の入った規格6K瓶の外観を目視確認した。
測色試験の結果を表1、図1に示す。
実施例1、比較例1~2のいずれも、調製直後のb*は約ゼロであり、目視確認では無色透明だった。
精製水とトラネキサム酸を添加した比較例1では、保存期間中においてb*は変化せず、目視確認においても変化しなかった。
玄米発酵液とトラネキサム酸を添加した比較例2では、保存28日目において、b*は約4で変化が小さく、目視確認では変化は確認できなかった。しかし、保存56日目において、b*は約25に増大し、目視確認では、茶褐色に変色した。保存90日目において、b*は約50に増大し、目視確認では、保存56日目に比べてその着色の度合いがさらに増大した。
一方、巨大胚芽米玄米発酵液とトラネキサム酸を添加した実施例1では、保存56日目においても、b*は約5で変化が小さく、目視確認では、着色の度合いは、かすかに黄色味をおびる程度で極めて軽微だった。保存90日目においても、b*は約7で変化が小さく、目視確認でも、着色の度合いは、かすかに黄色味をおびる程度で極めて軽微であり、経時安定性に優れていた。
(化粧水)
1.巨大胚芽米玄米発酵液(蒸発残分0.2%) 92.5%
2.トラネキサム酸 2.0%
3.グリセリン 5.0%
4.フェノキシエタノール 0.5%
1~4を撹拌混合し、化粧水を得た。
1.巨大胚芽米玄米発酵液(蒸発残分0.5%) 40.0%
2.トラネキサム酸 1.0%
3.ジグリセリン 8.0%
4.1,3-ブチレングリコール 10.0%
5.キサンタンガム 0.2%
6.ヒアルロン酸Na 0.001%
7.精製水 残余
4に5を添加し分散させる。2と6をそれぞれ7の一部で溶解させ、残りを添加し混合する。
1.巨大胚芽米玄米発酵液(蒸発残分5.58%) 2.0%
2.トラネキサム酸 2.0%
3.ジプロピレングリコール 6.0%
4.ペンチレングリコール 1.0%
5.PEG-75 0.5%
6.トリメチルグリシン 2.0%
7.スクワラン 3.0%
8.キサンタンガム 0.1%
9.SIMULGEL NS 2.5%
10.精製水 残余
3に8を分散させる(分散物)。7と9を混合する(混合物)。2を10の一部で溶解させる(溶解物)。溶解物以外の残りを溶解させたものに、徐々に分散物を添加し溶解させ、その後徐々に混合物を加え、ホモミクサーで撹拌する。最後に溶解物を加えた後、再度ホモミクサーで撹拌させる。
※SIMULGEL NS(SEPPIC社製;(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、スクワラン、ポリソルベート60、水、イソステアリン酸ソルビタンの混合物)
Claims (1)
- 巨大胚芽米玄米をサッカロミセス・ベローナで発酵させた発酵液と、トラネキサム酸類を含有する皮膚外用剤。
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---|---|---|---|
JP2018167325A JP7123706B2 (ja) | 2018-09-06 | 2018-09-06 | 巨大胚芽米玄米の発酵液とトラネキサム酸類を含有する皮膚外用剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018167325A JP7123706B2 (ja) | 2018-09-06 | 2018-09-06 | 巨大胚芽米玄米の発酵液とトラネキサム酸類を含有する皮膚外用剤 |
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JP2020040890A JP2020040890A (ja) | 2020-03-19 |
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Citations (3)
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JP2016056172A (ja) | 2014-09-10 | 2016-04-21 | 忠洋 嶋田 | 発泡性の化粧料 |
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2018
- 2018-09-06 JP JP2018167325A patent/JP7123706B2/ja active Active
Patent Citations (3)
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Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Brightening Facial Lotion,ID 4873695,Mintel GNPD[online],2017年6月,[検索日2022.02.10],URL,https://www.portal.mintel.com |
展望台,食品と科学 57巻1号 ,岸 直邦 株式会社食品と科学社,p.9 |
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JP2020040890A (ja) | 2020-03-19 |
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