JP7123288B1 - 樹脂複合材料皮膜及び樹脂複合材料皮膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、実施の形態1に係る樹脂複合材料皮膜1が基材9に設けられた状態を示す模式図である。樹脂複合材料皮膜1は、例えば冷暖房機器の熱交換器あるいは他の電子機器の表面に設けられ、これらの機器表面に柔軟性と撥水撥油性を付与することで、機器表面への衝撃を緩和し、且つ汚れの付着を防止する。また、樹脂複合材料皮膜1は、熱伝導性を有する複数の無機粒子3を有し、樹脂複合材料皮膜1が設けられた機器表面から放熱させる機能を有する。以下、図1に基づき、実施の形態1の樹脂複合材料皮膜1の構成について説明する。
以下、皮膜表面の表面粗さを、二乗平均平方根高さを用いて説明する。二乗平均平方根高さは、高さ分布の標準偏差に相当するもので、RMS値ともいわれる。皮膜表面凹凸1aの二乗平均平方根高さは、40μm以上である。皮膜表面凹凸1aの二乗平均平方根高さは、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは140μm以上である。皮膜表面凹凸1aの二乗平均平方根高さが40μm以上であることによって、樹脂複合材料皮膜1の表面積が増大し、熱放射性を高めることができる。一方で、皮膜表面凹凸1aの二乗平均平方根高さが40μm未満であると、樹脂複合材料皮膜1の表面に水滴または油滴などの液滴が付着した際に、皮膜表面凹凸1aの凹部に液滴が浸透することによって、撥水撥油性が低下するため好ましくない。また、皮膜表面凹凸1aの二乗平均平方根高さは、600μm以下であり、より好ましくは540μm以下、さらに好ましくは520μm以下である。皮膜表面凹凸1aの二乗平均平方根高さが600μm以下であることによって、樹脂複合材料皮膜1の表面に水滴または油滴などの液滴が付着した際に、皮膜表面凹凸1aの凸部が液滴を保持し、凹部および液滴の間に空気層が形成されることで、優れた撥水撥油性を発揮することができる。一方で、皮膜表面凹凸1aの二乗平均平方根高さが600μmを超えると、皮膜表面凹凸1aが擦過などで脱落しやすくなるため、高い撥水撥油性および熱放射性を長期間確保することができなくなる。
無機粒子3は、樹脂複合材料皮膜1中において熱伝導性を発揮するものである。樹脂複合材料皮膜1を構成する複数の無機粒子3は、樹脂複合材料皮膜1の熱伝導性を向上させる観点から、例えば、針状粒子、繊維状粒子、鱗片状粒子、板状粒子、扁平状粒子および不定形状粒子などから選ばれる少なくとも1種で構成される。樹脂複合材料皮膜1を構成する複数の無機粒子3は、針状粒子および繊維状粒子から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、針状粒子を含むことがさらに好ましい。図1に示される例では、無機粒子3が針状粒子であるものと定義している。
樹脂粒子2は、樹脂粉末の粒子であり、樹脂複合材料皮膜1の撥水撥油性を向上させる観点から、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂およびフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種で構成される。樹脂粒子2の粒径は、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。樹脂粒子2の粒径が1μm以上であると、後述する皮膜形成の工程において、樹脂粒子2は、樹脂粒子2および無機粒子3と強固に密着されるため、樹脂複合材料皮膜1を機械強度の高い皮膜とすることができる。一方で、樹脂粒子2の粒径が1μm未満であると、後述する混合粉末を作製する工程において、塊となった樹脂粒子2を解すことができず、樹脂複合材料皮膜1に無機粒子3を均一に分散させることが困難であるため、高い放熱性を確保できなくなる。また、樹脂粒子2の粒径は、好ましくは400μm以下であり、より好ましくは100μm以下である。樹脂粒子2の粒径が400μm以下であることによって、樹脂複合材料皮膜1の表面に露出した樹脂粒子2の単位体積当たりの表面積が増大し、樹脂複合材料皮膜1の高い熱放射性を発揮することが可能となる。一方で、樹脂粒子2の粒径が400μmを超えると、皮膜表面凹凸1aが過度に粗大となり、水滴または油滴が皮膜表面凹凸1aの凹部に入り込むことで、高い撥水撥油性を確保できなくなる。さらに、樹脂粒子2の粒径が400μmを超えると、後述する皮膜形成の工程において、樹脂粒子2の樹脂粒子2および無機粒子3との密着性が不十分となり、樹脂複合材料皮膜1の皮膜としての実用性を確保できなくなる。
実施の形態2は、樹脂複合材料皮膜1の製造方法に関するものである。図3は、実施の形態2に係る樹脂複合材料皮膜1の製造工程を示す図である。
ここで、実施例および比較例のいずれにおいても共通の条件について説明する。基材9としては、JIS H4000に規定する合金番号がA3003のアルミニウムからなる板厚2mmのアルミニウム板を用いた。
表1の「実施例1」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、エムテック化学株式会社製PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粉末HMP-30を用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と無機粒子3とを混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例2は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例2」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9202Zを用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP20を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度200℃、ガス圧0.45MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例3は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例3」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、エムテック化学株式会社製PTFE粉末HMP-70を用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度400℃、ガス圧0.55MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例4は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例4」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、PolySciences社製PTFE粉末Microdispers-3000を用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP20を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例5は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例5」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、AGC株式会社製Fluon(登録商標)G350を用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例6は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例6」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、エムテック化学株式会社製PTFE粉末HMP-50を用いた。無機粒子3には、昭和電工株式会社製窒化ホウ素フィラーUHP-2を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例7は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例7」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、PolySciences社製PTFE粉末Microdispers-3000を用いた。無機粒子3には、タテホ化学工業株式会社製窒化炭化ケイ素ウィスカーSilar(登録商標)SCWを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例8は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例8」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、AGC株式会社製Fluon(登録商標)G163を用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP10を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.4MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例9は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例9」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、AGC株式会社製Fluon(登録商標)G190を用いた。無機粒子3には、河合石灰工業株式会社製ベーマイトフィラーBMF-920を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.6MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例10は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3の体積割合と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例10」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9205を用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度250℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例11は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例11」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9201Zを用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP20を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度350℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例12は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「実施例12」に、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を示す。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9207Zを用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度350℃、ガス圧0.7MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例13は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「実施例13」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、エムテック化学株式会社製PTFE粉末HMP-50を用いた。無機粒子3には、昭和電工株式会社製窒化ホウ素フィラーUHP-1Kを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例14は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「実施例14」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、PolySciences社製PTFE粉末Microdispers-3000を用いた。無機粒子3には、タテホ化学工業株式会社製窒化ケイ素ウィスカーNCWを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例15は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「実施例15」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、AGC株式会社製Fluon(登録商標)G163を用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP05を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.4MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例16は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「実施例16」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、AGC株式会社製Fluon(登録商標)G190を用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーFlakes CFF 200-15を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.6MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例17は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「実施例17」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9205を用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP20を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度250℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例18は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3の体積割合と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「実施例18」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9201Zを用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度350℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
実施例19は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「実施例19」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9207Zを用いた。無機粒子3には、タテホ化学工業株式会社製窒化ケイ素ウィスカーNCWを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度400℃、ガス圧0.7MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
比較例1は、樹脂複合材料皮膜1に無機粒子3を含んでいない例であり、その他は実施例1と同様である。つまり、表1の「比較例1」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径を用いた。樹脂粒子2には、エムテック化学株式会社製PTFE粉末HMP-30を用いた。樹脂粒子2を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂皮膜を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。
比較例2は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「比較例2」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、スリーエム社製ダイニオン(登録商標)TF9202Zを用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP20を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度150℃、ガス圧0.4MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。比較例2の樹脂複合材料皮膜1では、表面凹凸の大きさが適度な表面凹凸よりも小さく、36μmであった。
比較例3は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス温度と、樹脂複合材料皮膜1を形成する際のガス圧と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「比較例3」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、エムテック化学株式会社製PTFE粉末HMP-70を用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度500℃、ガス圧0.6MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。比較例3の樹脂複合材料皮膜1では、表面凹凸の大きさが適度な表面凹凸よりも大きく、623μmであった。
比較例4は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「比較例4」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、PolySciences社製PTFE粉末Microdispers-200を用いた。無機粒子3には、DIC株式会社製アルミナフィラーAP20を用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。比較例4の樹脂複合材料皮膜1では、表面凹凸の大きさが適度な表面凹凸よりも小さく、32μmであった。
比較例5は、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2と、無機粒子3と、が実施例1と異なるものであり、その他は実施例1と同様である。表1の「比較例5」に示す、樹脂複合材料皮膜1を構成する樹脂粒子2の粒径と、無機粒子3の短径と、無機粒子3のアスペクト比と、無機粒子3の体積割合と、を用いた。樹脂粒子2には、ダイキン工業株式会社製PTFE粉末F-104を用いた。無機粒子3には、スリーエム社製窒化ホウ素フィラーPlatelets CFP 012Pを用いた。樹脂粒子2と、無機粒子3と、を混合した混合粉末を用いて、コールドスプレーによりガス温度300℃、ガス圧0.5MPaにて基材9に樹脂複合材料皮膜1を形成した。樹脂複合材料皮膜1の形成後、走査型電子顕微鏡による断面観察から、面方向D1に対する無機粒子3の角度を測定した。レーザー顕微鏡による表面観察から、皮膜表面凹凸を測定した。結果を表1に示す。比較例5の樹脂複合材料皮膜1では、表面凹凸の大きさが適度な表面凹凸よりも大きく、703μmであった。
1:接触角が150°以上のもの。
2:接触角が130°以上、150°未満のもの。
3:接触角が110°以上、130°未満のもの。
4:接触角が90°以上、110°未満のもの。
5:接触角が90°未満のもの。
1:接触角が80°以上のもの。
2:接触角が70°以上、80°未満のもの。
3:接触角が60°以上、70°未満のもの。
4:接触角が50°以上、60°未満のもの。
5:接触角が50°未満のもの。
1:放熱温度が12℃以上のもの。
2:放熱温度が8℃以上、12℃未満のもの。
3:放熱温度が4℃以上、8℃未満のもの。
4:放熱温度が0℃以上、4℃未満のもの。
5:放熱温度が0℃未満のもの。
Claims (11)
- 母相を構成する複数の粉末状の樹脂粒子と、熱伝導性を有する複数の無機粒子と、を含む樹脂複合材料皮膜であって、
前記無機粒子は、薄い円柱状の扁平状粒子または針状粒子であって、長軸方向が膜厚方向に配向され、長径を短径にて除した値であるアスペクト比が平均10以上かつ200以下であり、
皮膜表面には、二乗平均平方根高さが40μm以上且つ600μm以下となる表面粗さを有した表面凹凸が形成されている、
樹脂複合材料皮膜。 - 複数の前記樹脂粒子は、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂およびフッ素樹脂のうち1種類以上の樹脂を含む、
請求項1に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 複数の前記樹脂粒子の平均粒径は、1μm以上かつ400μm以下である、
請求項1又は2に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 複数の前記無機粒子は、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、黒鉛、窒化アルミニウム、酸化スズ、窒化ホウ素、雲母、タルク、ベーマイト、ムライト、炭素繊維およびこれらの複合酸化物または混合物のうち少なくとも1種以上で構成されたものである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 複数の前記無機粒子の平均短径は、0.2μm以上かつ20μm以下である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 前記無機粒子を5体積%以上かつ40体積%未満含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 前記無機粒子は、面方向に対して長軸が70°以上傾斜するように配向されている
請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 前記樹脂複合材料皮膜は、基材上に設けられており、
前記表面凹凸が形成された前記皮膜表面は、前記基材の側の面とは反対側の面であり、
前記表面凹凸の凸部分は、配向された前記無機粒子の少なくとも一部分と、当該一部分を覆うように配されて前記凸部分の表面を構成する複数の前記樹脂粒子と、を有する
請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 複数の前記無機粒子は、前記母相中において面方向および膜厚方向で分散するように配置されている
請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂複合材料皮膜。 - 母相を構成する複数の粉末状の樹脂粒子と、薄い円柱状の扁平状粒子または針状粒子であり、長径を短径にて除した値であるアスペクト比が平均10以上かつ200以下である熱伝導性を有する複数の無機粒子と、を含む樹脂複合材料皮膜の製造方法であって、
複数の前記樹脂粒子と複数の前記無機粒子とを含む混合粉末を基材に吹き付けることによって、前記無機粒子を長軸方向が膜厚方向になるように配向させ、且つ皮膜表面に、二乗平均平方根高さが40μm以上且つ600μm以下となる表面粗さを有した表面凹凸を形成する工程を備える
樹脂複合材料皮膜の製造方法。 - 前記工程において、前記混合粉末を固相状態で前記基材へ衝突させる
請求項10に記載の樹脂複合材料皮膜の製造方法。
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