以下に、実施の形態に係る災害判定装置、災害判定システム、災害判定方法、及び災害判定プログラムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。
《1》実施の形態1.
《1-1》構成
図1は、実施の形態1に係る災害判定システム100の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図1において、災害判定システム100は、ユーザ端末10と、災害判定装置20とを有している。ユーザ端末10と災害判定装置20とは、ネットワーク30を介して通信可能である。ネットワーク30は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、携帯電話通信網、などを介して接続されるインターネットである。なお、図1では、1台の災害判定装置20に1台のユーザ端末10が接続されているが、1台の災害判定装置20にユーザ端末10以外の1台以上の他のユーザ端末が接続されてもよい。
災害判定システム100では、ユーザとしての保険契約者が、ユーザ端末10を使用して、被災時における保険金払出し申請を行い、保険会社が管理する装置である災害判定装置20が、保険金払出し申請を受理し、真偽判定を行い、被災判定を行い、保険金支払い処理又は保険金支払い拒否の処理を実行する。例えば、災害判定装置20は、補償対象物に関する保険契約の内容を示す契約情報及び発生した災害に関する災害情報を取得し、ユーザ端末10から、被害を受けた対象物を撮影して得られた撮影画像とこの撮影画像が撮影された日時及び撮影画像が撮影された場所を含む日時位置情報とを含む保険金払出し申請を取得し、前記撮影画像、前記日時位置情報、及び前記災害情報に基づいて、前記撮影画像が前記災害情報によって推定される災害に対応する画像であるか否かを判定する真偽判定を行う。また、災害判定装置20は、撮影画像は災害情報によって推定される災害に対応すると判断した場合に、契約情報、撮影画像、日時位置情報、及び災害情報に基づいて、撮影画像に写る対象物が災害情報によって推定される前記災害によって被害を受けた前記補償対象物であるか否かを判定する被災判定を行う。
ユーザ端末10は、保険契約者によって操作される通信装置である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォン、タブレットPC(パーソナルコンピュータ)、携帯電話、パソコン、などのようなコンピュータである。図1に示されるように、ユーザ端末10は、画像取得部11と、日時位置情報取得部12と、端末制御部13と、通信部14と、入出力部15とを備えている。
ユーザ端末10は、ユーザ端末用ソフトウェア(以下「ユーザアプリ」とも言う。)がインストールされることにより、以下に説明する処理を実行可能である。なお、ユーザアプリは、インターネットを介して接続されたサーバからのダウンロードにより入手され、ユーザ端末10にインストールされる。或いは、ユーザアプリは、CD(Compact Disc)-ROM又はDVD(Digital Versatile Disc)-ROMなどの記録媒体に記録されて提供され、この記録媒体からユーザ端末10にインストールされてもよい。また、ユーザ端末10は、ユーザアプリをクラウドから提供されてもよく、この場合は、ユーザアプリがユーザ端末10にインストールされた場合と同様の機能を実現することができる。
画像取得部11は、保険契約者が補償対象物の写真を撮影するためのカメラである。カメラは、カラー画像又はモノクロ画像を撮影する撮像装置である。カメラは、レンズ、ミラー、などから構成される光学機構と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサである撮像素子とを備えている。カメラは、夜間撮影を可能にするために、赤外線センサ及び発光素子を有してもよい。カメラは、静止画撮影機能だけでなく、動画撮影機能を有してもよい。
日時位置情報取得部12は、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)などの測位システムからの測位情報(例えば、電波)を受け取り、現在の日時情報及びユーザ端末10の位置情報を含む日時位置情報を出力する。日時位置情報取得部12は、GPSの測位情報に基づく日時情報及び位置情報の計算に、公知の位置情報計算技術を利用する。また、日時位置情報取得部12は、GPS以外の航法衛星システムからの測位情報を使用又は併用してもよい。また、日時位置情報取得部12は、日時位置情報の取得にGPSの測位情報を使用しているが、携帯電話基地局又は無線LANのアクセスポイントから発信される情報又は電波を利用又は併用して、現在の日時及びユーザ端末10の位置情報を計算して取得してもよい。
端末制御部13は、ユーザ端末10の全体を制御する。端末制御部13は、例えば、情報処理用のプロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)、記憶装置としてのメモリ、及びその他の周辺回路で構成される。メモリは、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの揮発性のメモリ又はフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリ、又は、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、ユーザ端末10を動作させるためのファームウェア又は種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。この不揮発性のメモリに、上述したユーザアプリが記録されている。また、端末制御部13は、画像取得部11、日時位置情報取得部12、及びネットワーク30から通信部14を介して取得した各種情報を保存する。各種情報は、例えば、写真(すなわち、画像データ)、日時などの時間情報、及び測位されたユーザ端末10の位置情報である。
通信部14は、無線又は有線により、ネットワーク30との情報の送受信を行う通信モジュールである。
入出力部15は、例えば、表示部と操作部とを備える。表示部は、端末制御部13から出力されたユーザアプリの操作画面又は各種情報を表示する表示デバイスである。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機ELディスプレイ(OLED:Organic Electro-Luminescence Display)などである。操作部は、ユーザによるタッチ又はスライド、キー入力といった操作を検出して、その検出信号を端末制御部13へ出力する。操作部は、例えば、タッチパネル、ボタン、キーボードなどである。ユーザ端末10のユーザである保険契約者は、入出力部15に表示されたボタン又はメニューなどの表示項目を指又はタッチペンを用いてタッチ又はスライドさせることにより、ユーザ端末10を操作することができる。また、ユーザ端末10のユーザである保険契約者は、情報入力又は、入力したデータ又は処理結果などを確認することができる。入出力部15は、表示部と操作部とを一体に構成したものであってもよい。また、表示部と操作部とは、分離された構成であってもよい。
災害判定装置20は、保険契約者情報(例えば、契約情報、保険金支払い情報)又は災害情報などを格納及び管理し、申請内容に関する災害判定、申請処理、支払処理などを行う装置である。災害判定装置20は、例えば、サーバPC又はパソコンなどで構成される。災害判定装置20は、保険会社内のサーバ環境として構築されてもよい。或いは、災害判定装置20は、外部委託されたクラウドサーバを使用して構築されてもよい。災害判定装置20は、ネットワーク30を介して、ユーザ端末10と接続される。図1に示されるように、災害判定装置20は、データ取得部21と、真偽判定部22と、制御部23と、通信部24と、被災判定部25と、申請処理部26と、支払処理部27とを備えている。
データ取得部21は、例えば、保険契約に関する情報、ユーザ端末10から申請された写真としての撮影画像(すなわち、画像データ)、及び撮影日時、位置情報などの保険契約者情報を格納する記憶部を有する。また、データ取得部21は、例えば、保険会社の調査員により集められた災害情報、及びネットワーク30を介して外部情報機関から得た災害情報を格納する。災害情報は、例えば、被災位置情報(すなわち、被災地域、被災範囲など)、被災領域の写真である画像データ、被災時間情報(例えば、日時、期間)、被災状況情報、各自治体が作成した災害マップ、各河川の水位情報、各地域の降雨量情報、氾濫予想情報、避難情報、過去の災害情報などである。データ取得部21は、例えば、複数のHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などで構成され、大容量のデータを保存することができる。
また、データ取得部21は、ユーザの契約情報を格納する契約データベース(契約DB)、災害情報を格納する災害情報データベース(災害DB)を備えて、各種情報を格納してもよい。例えば、契約DBは、保険契約者がユーザ端末10を使用して、災害判定装置20にアクセスするときのユーザ認証に使用されるユーザ識別情報(例えば、ユーザID及びパスワード)と、そのユーザの保険契約に係る情報とを格納している。ユーザ識別情報の登録は、例えば、保険会社のオペレータが、ユーザにユーザIDを発行し、ユーザから保険の契約内容及びパスワードを取得してから、行われる。或いは、災害判定装置20が、ユーザ端末10に、ユーザの保険の契約内容又はパスワードについて入力を受け付ける画面情報を送信して、ユーザ端末10から入力済みの応答情報を取得した後に、ユーザIDを発行してもよい。災害情報DBは、例えば、災害発生の日時と場所(例えば、緯度及び経度などの位置情報)、及びその位置(例えば、地域)の災害情報を格納する。ただし、データ取得部21は、災害判定装置20の外部装置である記憶装置又はネットワーク30に接続された記憶装置から、上記した各種の情報を取得する装置であってもよい。
真偽判定部22は、ユーザ端末10から送信された保険金払出し申請に含まれる情報(例えば、撮影画像、日時位置情報)と、データ取得部21に格納された若しくはネットワーク30から得られた災害情報とに基づいて、撮影画像は、その災害情報が示す災害(すなわち、その災害情報から推定される災害)に対応する画像であるか否かの真偽判定を行う。例えば、真偽判定部22は、撮影日時の判定に際し、申請された対象物の写真(すなわち、撮影画像)又は動画の撮影日時が、得られた災害情報に基づいて指定された被災期間内であるか否かの判定を行う。また、真偽判定部22は、撮影位置の判定に際し、申請された対象物の写真又は動画の撮影場所が、得られた災害情報に基づいて指定された被災条件を満たした地域に含まれているか否かの判定を行う。
制御部23は、災害判定装置20の全体を制御する。制御部23は、例えば、情報処理用のプロセッサとしてのCPU、記憶装置としてのメモリ、及びその他の周辺回路で構成される。メモリは、例えば、SDRAMなどの揮発性のメモリ又はフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリ、又は、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、また、不揮発性のメモリには、災害判定装置20を動作させるためのファームウェア又は種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。
通信部24は、無線又は有線により、ネットワーク30との情報の送受信を行う通信モジュールである。
被災判定部25は、真偽判定部22によって行われた真偽判定の結果に基づいて、保険契約者から保険金払出し申請を受けた際に、送付された対象物の撮影画像が、真偽判定部22によって得られた災害情報に基づいて指定された災害で被災したものの画像であるか否かを判定する。また、被災判定部25は、撮影画像の被写体となっている補償対象物が保険契約上の対象物か否かを判定するために、申請画像の解析を行う。
申請処理部26は、真偽判定部22及び被災判定部25の判定結果に基づいて、保険契約者によって行われた保険金払出し申請に対する申請処理を行い、申請処理の結果を知らせる通知を、制御部23を介してユーザ端末10に送信する。
支払処理部27は、被災判定部25の判定結果に基づいて、支払い処理を実行する。実施の形態1に係る災害判定システム100は、災害保険に加入している被保険者に対して、災害発生時に迅速に保険金の払出しを行うことができる仕組みを提供する。なお、実施の形態1における災害保険は、災害が発生した際に保険会社から被保険者に対して保険金が払い出される保険を対象としている。実施の形態1における災害保険は、例えば、火災保険(例えば、住宅火災保険、住宅総合保険、地震保険、店舗総合保険)、自動車保険、傷害保険(例えば、地震、津波などの災害による傷害を想定した保険)、所得補償保険(例えば、災害により職場が失われる、就労困難になることなどを想定した保険)、などを含む。
実施の形態1では、被保険者と保険会社との間で災害保険の契約が完了しており、契約毎の契約内容を示す契約情報は、災害判定装置20に保存されている。契約情報は、例えば、被保険者の個人連絡先情報、被保険者の基本情報、契約済みの保険プランの内容を示す契約保険プラン情報、補償対象物に関する補償対象物情報、などを含む。
被保険者の個人連絡先情報は、被保険者の名前、住所、メールアドレス、電話番号などの情報を含む。被保険者の基本情報は、性別、生年月日、住所、保険料受け取り口座の情報を含む。契約保険プラン情報は、契約済み保険プランの保険プラン名、保険プランを提供する保険会社名、掛け金、補償期間、補償内容(例えば、支払い条件)、補償対象物、補償条件、契約日などの情報を含む。補償対象物情報は、補償対象物の住所、補償対象物の種別(例えば、一戸建て、マンション)、建物構造(例えば、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造)、資産価値面(例えば、築年数、経年劣化、骨董的希少価値、過去の災害による損壊など)、家財総額、建物の時価、面積(例えば、建物の延床面積又は区分所有部分の床面積)を含む。また、契約情報は、補償対象物を被写体として撮影された補償対象物の画像を含んでもよい。
なお、保険契約者は、保険会社に契約の申込みをして保険料を支払う人であり、契約の当事者である。被保険者は、保険の補償を受ける人又は保険の対象になる人である。保険契約者と被保険者とが、同一の人である場合を提示したが、保険契約者と被保険者は別人でもよい。
《1-2》動作
以下に、災害判定システム100の動作について説明する。保険契約者が台風又は豪雨により、水災の被害にあった場合を例として説明する。保険契約者は、被災時に、保険会社に対し、被災した補償対象物の保険金払出し申請を行う。以下、払出し申請を行う保険契約者を「申請者」とも言う。
図2は、実施の形態1に係る災害判定システム100におけるユーザ認証の処理を示すフローチャートである。図2に示されるように、申請者は、ユーザ端末10上で起動されたユーザアプリを用いて、災害判定装置20によって提供される申請用サイトにネットワーク30を介してアクセスする(ステップST000)。
災害判定装置20は、ユーザ端末10からアクセスを受けて、災害判定システム100へのログイン画面をユーザ端末10に送信する(ステップST001)。
申請者は、ユーザ端末10に提示された災害判定システム100のログイン画面でユーザID(ユーザ識別子)とパスワードを入力し、これらの送信を指示する(ステップST002)。
災害判定装置20は、受信したユーザIDとパスワードに基づいて、契約DBを検索し、ユーザIDとパスワードとの双方が、契約DBに登録されているものと一致するか否かを判定する(ステップST003)。ユーザID及びパスワードの一方又は両方が予め登録されているものと一致しない場合(ステップST003においてNO)、ユーザ端末10は、災害判定システム100へのアクセスができないことを伝えるメッセージを表示し、ユーザに再度、ユーザID及びパスワードを入力することを通知する(ステップST004)。ユーザIDとパスワードとの双方が予め登録されているものと一致する場合(ステップST003においてYES)、災害判定装置20は、契約DBから、該当するユーザID及びパスワードに関連付けられた契約情報を取得する(ステップST005)。災害判定装置20は、契約DBから取得した契約情報及び申請メニュー画面をユーザ端末10に送信する(ステップST006)。なお、ユーザログイン又はソフトウェアの起動時の認証には、予め契約者番号に紐づけられた個別番号であるユーザID及びパスワードを使用するなど、既存の認証技術又は方法を使用することができる。
次に、申請者は、ユーザ端末10上に表示された申請メニュー画面を用いて、図3に示される保険金払出し申請を行う。図3は、実施の形態1に係る災害判定システム100における保険金払出し申請の処理を示すフローチャートである。図3に示されるように、申請者は、ユーザ端末10上に表示された申請メニュー画面より、保険金払出し申請を選択し、払出し申請(例えば、申請内容の入力)を行う(ステップST010)。申請者は、申請内容の入力と補償対象物の被害状況を確認するための撮影画像である被災後画像を保険会社へ提出(すなわち、送付)し、保険金払出し申請を行う。被災後画像は、補償対象物を被写体とした被災後の撮影画像を保険会社へ提出し、保険金払出し申請を行う。なお、被災後画像は、ユーザ端末10によって撮影し、登録された撮影画像である。
次に、ユーザ端末10における払出し申請処理(ステップST010)について説明する。図4は、図3における払出し申請処理(ステップST010)を示すフローチャートである。図4に示されるように、端末制御部13は、申請者の操作を受けて、保険金払出し申請画面を提示する(ステップST100)。続いて、端末制御部13は、申請者に「申請内容を入力するか」を確認する(ステップST101)。申請内容入力するが選択された場合(ステップST101においてYES)、端末制御部13は、予め決められた入力欄への入力を促し、申請者による申請内容の入力を受け付ける。入力完了後、端末制御部13は、申請内容を格納する(ステップST102)。
端末制御部13は、申請者の入力作業完了の検出は、ユーザ端末10上に入力完了ボタンを設け、申請者に入力完了後に入力完了ボタンの操作を促し、申請者に入力完了ボタンによる作業完了操作を行わせることによって行う。また、端末制御部13は、申請者が入力欄から他の項目欄にカーソル移動した段階で、申請者に入力完了の確認画面を提示し、入力作業完了操作を行わせてもよい。
申請内容を入力しないが選択された場合(ステップST101においてNO)、端末制御部13は、次の補償対象物の被災後画像の登録確認を行う(ステップST103)。登録を行うが選択された場合(ステップST103においてYES)、端末制御部13は、補償対象物の被災後画像の登録を行う(ステップST104)。
図5は、図4における補償対象物の撮影画像の登録の処理(ステップST104)を示すフローチャートである。図5に示されるように、端末制御部13は、補償対象物の撮影画像の登録画面を表示する(ステップST110)。続いて、端末制御部13は、申請者に補償対象物を撮影するかのメッセージを提示し、撮影するか否かを確認する(ステップST111)。「撮影する」を選択した場合(ステップST111においてYES)、端末制御部13は、ユーザに補償対象物の撮影処理を実行させる(ステップST112)。
図6は、図5における補償対象物の撮影処理(ステップST112)を示すフローチャートである。図6に示されるように、端末制御部13は、補償対象物を撮影するために画像取得部11を起動し、撮影メニューを表示する(ステップST120)。次に、端末制御部13は、申請者により撮影メニューにおいて「撮影する」が選択されたか否かを判定する(ステップST121)。なお、申請者が「撮影する」を選択するとは、入出力部15の操作部で撮影ボタンを押す、撮影アイコンをタッチする、などの操作を意味する。「撮影する」を選択しないとは、入出力部15の操作部で撮影ボタン又は撮影アイコンをタッチするなどの操作が行われないことを意味する。
申請者が被写体として補償対象物に画像取得部11を向けて「撮影する」を選択した場合(ステップST121においてYES)、端末制御部13は、日時位置情報取得部12から、撮影情報(例えば、「撮影する」が選択された日時、場所)を取得する(ステップST122)。補償対象画像の撮影情報のうちの日時情報は、例えば、年月日及び時分秒を含む時間情報であり、補償対象画像の撮影情報のうちの撮影場所は、例えば、緯度及び経度で特定される位置情報である。
端末制御部13は、画像取得部11を制御して補償対象物の撮影を行い、被災後画像として保存する。また、端末制御部13は、被災後画像のヘッダ情報に日時位置情報取得部12から取得した撮影情報を付加する(ステップST123)。なお、保存する画像データのファイルフォーマットは、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、Exif (Exchangeable image file format)、又はTIFF (Tagged Image File Format)、などの公知のファイルフォーマットである。また、保存される画像データは、動画データであってもよい。端末制御部13は、申請者が「撮影する」を選択しない場合(ステップST121においてNO)、撮影を行わず、再度、撮影可能な状態に戻る(ステップST121)。
端末制御部13は、申請者に「撮影を終了」するかを確認し(ステップST124)、「撮影を終了する」が選択された場合(ステップST124においてYES)、画像取得部11の処理を終了する。「撮影を終了しない」が選択された場合(ステップST124においてNO)、端末制御部13は、再度、撮影可能な状態(ステップST121)に戻る。なお、端末制御部13は、一定時間経過しても「撮影する」が選択されない場合には、申請者に「撮影を終了」するかを確認する(ステップST124)に移行するように制御してもよい。
図5に戻り、端末制御部13は、申請者に補償対象物の撮影画像を登録するか否かを確認する(ステップST113)。申請者が「登録する」を選択した場合(ステップST113においてYES)、端末制御部13は、補償対象物の撮影画像の有無を確認し(ステップST114)、撮影したデータが「あり」の場合(ステップST114においてYES」、それらの登録候補を入出力部15の表示部に提示する。申請者は、提示された撮影画像から登録する撮影画像を選択する(ステップST115)。撮影したデータが「なし」の場合(ステップST114においてNO)、端末制御部13は、「補償対象物を撮影するか」を再度確認し(ステップST111)、以後、同様の処理を繰り返す。
申請者が「登録しない」を選択した場合(ステップST113においてNO)、端末制御部13は、画像登録を終了するか確認を行う(ステップST116)。画像登録を「終了する」を選択した場合(ステップST116においてYES)、端末制御部13は、補償対象物の処理を終了する。画像登録を「終了しない」を選択した場合(ステップST116においてNO)、端末制御部13は、「補償対象物を撮影するか」を再度確認し(ステップST111)、以降同様の処理を繰り返す。
図4に戻り、端末制御部13は、申請者に「保険金払出し申請するか」を確認する(ステップST105)。「申請する」を選択した場合には、端末制御部13は、申請内容が入力済みか否かを確認し(ステップST106)、被災後の撮影画像が登録済みであるか否かを確認し(ステップST107)、両者が完了している場合(ステップST106、ST107の両方においてYES)、払出し申請を実行する。具体的には、ユーザ端末10は、災害判定装置20へ申請情報を送信する(ステップST108)。申請内容が入力済みか否かの確認時に申請内容が入力されていない場合(ステップST106においてNO)、端末制御部13は、処理を申請内容入力へ進め(ステップST101)、以降同様の処理を行う。また、被災後の撮影画像の登録済み確認時に撮影画像が登録されていない場合(ステップST107においてNO)、端末制御部13は、処理を補償対象物の撮影画像の登録へ進め(ステップST103)、以降同様の処理を行う。
続いて、端末制御部13は、通信部14からネットワーク30を介して、保険金払出し申請の申請金額と被災後画像とを含む払出し申請情報を、災害判定装置20へ送信する。
図3に戻り、災害判定装置20は、ユーザ端末10から送信された払出し申請を受信し、払出し申請処理における被災判定を行う(ステップST011)災害判定装置20の払出し申請処理における被災判定の動作について説明する。図7は、図3における被災判定の処理(ステップST011)を示すフローチャートである。
図7に示されるように、災害判定装置20の制御部23では、災害判定装置用ソフトウェアが動作している。制御部23は、通信部24を介して、ユーザ端末10から払出し申請通知を受け取ると(ステップST200においてYES)、送付された申請情報を取得する(ステップST201)。続いて、制御部23は、取得した申請情報をユーザIDと紐づけて、データ取得部21に保存する(ステップST202)。また、制御部23は、申請対象情報に含まれる補償対象物の画像と撮影情報(撮影日時、撮影場所を含む)を取得する(ステップST203)。
次に、制御部23は、撮影日時に基づいて該当する日時の災害情報(被災エリアを含む)をデータ取得部21の災害DBから取得する(ステップST204)。また、制御部23は、取得した補償対象物の情報(撮影日時、撮影場所を含む)と該当する日時の災害情報を真偽判定部22へ送り、真偽判定の処理を行う。
真偽判定部22は、申請された補償対象物情報と災害情報とから、申請写真に写る被写体(すなわち、補償対象物)が災害情報によって推定される災害で被災したものであるのかどうかの真偽判定を行う(ステップST205)。申請写真に写る被写体が災害情報によって推定される災害で被災したものであるのかどうかは、例えば、申請写真が被災エリアで撮影されたものであるか又は被災エリア以外で撮影されたものかという意味である。申請された補償対象物情報は、例えば、補償対象物の写真(すなわち、画像データ)、撮影日時、撮影場所などである。
次に、真偽判定部22の真偽判定の処理について説明する。真偽判定部22は、補償対象物の撮影日時の真偽判定と補償対象物の撮影場所の真偽判定の結果に基づいて、真偽判定を行う。
図8は、図7における真偽判定の処理(ステップST205)を示すフローチャートである。図8に示されるように、真偽判定部22は、制御部23から真偽判定の実行通知を受け取ると(ステップST220)、補償対象物情報(例えば、撮影場所、日時)と災害情報とを取得する(ステップST221)。
図9(A)から(E)は、実施の形態1に係る災害判定装置20の真偽判定部22で使用される災害情報の例を示す図である。図9(A)から(E)には、災害情報として、災害発生位置を含む2次元マップが示されている。図9(A)から(E)に示されるように、災害情報には、予め決められたエリアの日時、位置(例えば、経度、緯度)、浸水高[m]の情報が含まれている。図9(A)から(E)は、それらを経度と緯度の2次元マップで可視化した例であり、エリアArea_o内の浸水高を濃淡又はカラーで示したものである。ここで、地点O(LAT_o,LON_o)に注目し、災害発生前から災害終息後までの浸水高の推移を説明する。
災害情報の時間軸の推移を、図9(A)の災害発生前、図9(B)の災害発生中(初期)、図9(C)の災害発生中(中期)、図9(D)の災害発生中(後期)、図9(E)の災害終息後として説明する。
まず、図9(A)に示される災害発生前の日時TIME_aでは、浸水高High_aは0mである。その後、豪雨により、日時TIME_bに災害発生し、それ以降、地点Oの浸水高は時間経過とともに変化していく。図9(B)に示される災害発生中(初期)の日時TIME_bでは、浸水高High_b<0.5mである。さらに、図9(C)に示される災害発生中(中期)の日時TIME_cでは、浸水高High_c≧0.5mとなる。日時TIME_cでは、エリアO内の浸水高は、0m、浸水高<0.5m、浸水高≧0.5m、浸水高≧1.0mに分布している。図9(D)に示される災害発生中(後期)の日時TIME_dでは、豪雨も収まり、地点Oの浸水高High_d<0.5mに下がっている。そして、図9(E)に示される災害終息後の日時TIME_eでは、災害が終息し、浸水高は0となっている。なお、災害情報の2次元マップは、人口密度などに応じて、エリアの大きさと精細度を変更してもよい。例えば、2次元マップは、都会などの人口密集地の場合にはエリアを狭くし、精細度を細かくし、田舎などの過疎地の場合には、エリアを広くとり、精細度を粗くするように作成してもよい。
図10は、実施の形態1に係る災害判定装置20の真偽判定部22で使用される災害情報の例を示す図である。図10は、日時-浸水高[m]の変化を、真偽判定の結果が「真」の場合を示している。図10に示されるように、エリアO(Area_o)内の地点O(LAT_o,LON_o)における浸水高が時間の経過とともに変化した例を示している。
図8及び図10を使用し、補償対象物の撮影日時の真偽判定処理ついて説明する。ここで、申請者より申請された補償対象物の撮影日時をTime_oとし、撮影情報の撮影場所を地点O(LAT_o,LON_o)とする。
真偽判定部22は、撮影日時の真偽判定を、被災対象有効期間TIME_validを算出する(ステップST222)。被災対象有効期間TIME_validは、災害情報から得られた災害発生日時TIME_b、災害終息日時TIME_e及び保険会社が定めた追加期間TIME_addより算出する。例えば、災害発生日時TIME_bから災害が終息した日時TIME_eの期間TIME_eableと、その期間に保険会社が定めた追加期間TIME_addとすると、被災対象有効期間TIME_validは、それらを加算したものである。真偽判定部22は、撮影日時の真偽判定に際し、被災対象有効期間TIME_valid内に、撮影日時TIME_oが含まれているかを判定する(ステップST223)。
真偽判定部22は、撮影日時の真偽判定の結果が「偽」の場合(ステップST223においてNO)、真偽判定の結果が「偽」であることを制御部23へ通知する(ステップST224)。また、真偽判定部22は、撮影日時の真偽判定の結果が「真」の場合(ステップST223においてYES)、続いて、補償対象物の撮影場所(すなわち、撮影位置)の真偽判定を行う。
真偽判定部22は、災害情報から、被災対象有効期間TIME_validにおける撮影場所O(LAT_o,LON_o)の浸水高を取得し(ステップST225)、その浸水高が保険会社の保険支払い条件を超えているかを確認する(ステップST226)。例えば、真偽判定部22は、水災時の支払い基準の条件が「地盤面から0.5m以上の浸水」の場合(ステップST225)、前述の被災対象期間内の撮影場所Oの浸水高が0.5mを超えているかを確認する(ステップST226)。真偽判定部22は、0.5mを超えている場合には、補償対象物の撮影場所(撮影位置)の真偽判定の結果を「真」と判定し、超えていない場合には「偽」と判定する。図10を例にとると、真偽判定部22は、被災対象有効期間TIME_valid内の日時TIME_cで、浸水高High_cとなり、0.5mを超えているため、この場合の補償対象物の撮影場所の真偽判定の結果を「真」と判定する。
図11は、実施の形態1に係る災害判定装置20の真偽判定部22で使用される災害情報(日時-浸水高[m]の真偽判定の結果が「偽」の場合)の例を示す図である。図11に示されるように、エリアO(Area_o)内の地点O(LAT_o,LON_o)における浸水高が時間の経過とともに変化したとする。被災対象有効期間TIME_validの各日時TIME_b、TIME_c、TIME_d、TIME_eにおいても補償対象物の撮影場所Oの浸水高が0.5mを超えておらず、水災時の支払い基準の条件「地盤面から0.5m以上の浸水」を満たしていないため、真偽判定部22は、この場合の補償対象物の撮影場所の真偽判定の結果を「偽」と判定する。
図8に戻り、真偽判定部22は、補償対象物の撮影日時の真偽判定の結果及び補償対象物の撮影場所の真偽判定の結果がともに「真」の場合には、制御部23へ真偽判定の結果が「真」であることを通知する(ステップST227)。また、真偽判定部22は、補償対象物の撮影日時の真偽判定の結果及び補償対象物の撮影場所の真偽判定の結果のいずれかが「偽」の場合には、制御部23へ真偽判定の結果が「偽」であることを通知する(ステップST224)。
図7に戻り、制御部23は、真偽判定部22からの真偽判定の結果を被災判定部25へ通知する。被災判定部25は、真偽判定の結果を確認し(ステップST206)、真偽判定の結果が「偽」の場合(ステップST206においてNO)、被災判定結果を「被災対象外」として、制御部23へ通知する(ステップST207)。
被災判定部25は、真偽判定の結果が「真」の場合(ステップST206においてYES)、補償対象物の撮影画像の真偽を判定する。撮影画像の被写体となっている補償対象物が、保険契約上の対象物か否かを判定するため、申請画像の解析を行う(ステップST208)。写真に写る被写体を画像解析により識別し、申請者の保険契約の内容と照らし合わせて補償対象物に該当するか否かを判定する。写真に写る被写体を画像解析により識別は、例えば、家財であれば、家具、家電製品、貴金属、宝石、美術品、自転車、原動機付自転車などの識別又は、貴金属、宝石、美術品などなら1個又は1組の価額が予め決められた金額以下か否かの識別である。また、保険契約の内容は、補償対象物が建物のみか、家財のみか、建物、家財の両方か、対象の家財であるか、などである。なお、画像解析には、パターンマッチング又はディープラーニングなどを活用した公知の画像解析技術を利用する。
被災判定部25は、申請画像の解析の結果を確認し(ステップST209)、被写体となっている補償対象物が保険契約上の対象物でない(つまり、申請画像解析結果が「偽」である)場合には、被災判定結果を「被災対象外」として、制御部23へ通知する(ステップST207)。また、保険契約上の対象物であれば(つまり、申請画像解析結果が「真」である)、被災判定結果を「被災対象」として、制御部23へ通知する(ステップST210)。
図3に戻り、制御部23は、被災判定部25からの被災判定結果を申請処理部26へ通知する。申請処理部26は、被災判定結果を確認し(ステップST012)、被災判定結果が「被災対象外」の場合(ステップST012においてNO)、制御部23へ申請結果が「否認」であること、及び否認理由を通知する。否認理由としては、例えば、「支払い条件(すなわち、浸水高が0.5m以上であること)を満たしていないため、補償対象外となります」、「被災対象期間を過ぎているため、補償対象外です」、又は「申請された対象物は、保険契約上の補償対象外の製品です」、などである。
制御部23は、ユーザ端末10へ申請結果を「否認」し、否認理由を通知する(ステップST013)。この場合、保険金の払出しは行われない。
申請処理部26は、被災判定結果が「被災対象」の場合(ステップST012においてYES)、申請結果を「承認」し、このことを制御部23へ通知する。制御部23は、支払処理部27へ、申請結果の「承認」を通知する。支払処理部27は、保険契約の補償対象条件に従い、保険金払出し処理を行う(ステップST014)。また、制御部23は、申請結果として、申請が「承認」されたことをユーザ端末10へ通知する(ステップST015)。なお、制御部23は、保険金支払い額などの関連情報を併せて通知してもよい。
なお、被災判定部25の被災判定又は申請処理部26を保険会社の支払い業務担当者による人手で作業する場合には、作業端末上に水災エリアと補償対象物の撮影場所情報を提示することで、効率的な判定作業を実施することが可能となる。
図12は、実施の形態1に係る災害判定装置20で処理した判定結果(例えば、被災対象)を2次元マップとして作業端末(例えば、表示装置)上に提示した例を示す図である。図12に示されるように、災害判定装置20は、被災対象期間の浸水範囲(予め決められた浸水高を超えて浸水した範囲)と補償対象物の撮影場所とを比較し、被災対象か否かを判定している。図12は、申請した補償対象物の撮影情報(例えば、日時、位置)から、被災対象となった例である。
図13は、実施の形態1に係る災害判定装置20で処理した判定結果(被災対象外)を2次元マップとして作業端末上に提示した例を示す図である。図13に示されるように、災害判定装置20は、被災対象期間の浸水範囲(予め決められた浸水高を超えて浸水した範囲)と補償対象物の撮影場所を比較し、被災対象か否かを判定している。図13は、申請した補償対象物の撮影情報(例えば、日時、位置)から、被災対象外となった例である。
また、災害判定装置20は、申請者へ保険金支払い申請に対する承認、否認の判定結果として、ユーザ端末10上へ、補償対象物の撮影位置と被災範囲又は水災エリアの位置関係が目視確認できるように図12、図13に示すようなマップ情報を提示してもよい。
図3に戻り、申請者は、ユーザ端末10によって、申請結果を確認する(ステップST016)。申請者は、申請結果に疑問又は質問がある場合には、災害判定装置20へ問合せを行うことができる。
また、申請者は申請結果が否認された場合、否認理由を確認した上で、再申請を行う場合、払出し申請処理(ステップST010)を再度行う。災害判定システム100は、申請者の保険金払出し申請の結果が承認された場合、保険金払出し申請処理を終了する。
次に、申請者が申請結果に疑問又は質問がある場合のユーザ端末10における問合せ処理について説明する。図14は、実施の形態1に係るユーザ端末10における問合せ処理を示すフローチャートである。図14に示されるように、申請者は、ユーザ端末10によって災害判定システムの申請メニューから問合せを選択し、災害判定装置20への問合せ内容を入力する(ステップST020)。
図15は、図14におけるユーザ端末による問合せの処理(ステップST020)を示すフローチャートである。図15に示されるように、端末制御部13は、問い合わせ内容画面を表示する(ステップST130)。また、端末制御部13は、申請者が問い合わせ内容の入力を完了すると、入力内容を保存する(ステップST131)。
なお、申請者の問合せ入力の入力作業完了の検出は、申請内容入力時と同様に、ユーザ端末10上に入力完了ボタンを設け、申請者に入力完了後にボタン操作を提示し、入力作業完了操作を行わせてもよい。或いは、申請者が入力欄から他の項目欄にカーソル移動した段階で、申請者に入力完了の確認画面を提示し、入力作業完了操作を行わせてもよい。
端末制御部13は、問い合わせ内容の登録確認を申請者へ提示し、登録するか否かを確認する(ステップST132)。端末制御部13は、申請者により、「登録」が選択されたら、災害判定装置20へ問合せ内容を送信し(ステップST133)、問合せ内容入力画面を終了する。問い合わせ内容の登録確認時に「登録」が選択さない場合には、申請結果確認画面を終了するかを申請者へ確認する(ステップST134)。「終了」が選択されない場合(ステップST134においてNO)、端末制御部13は、再度申請者の問合せ入力画面を提示し(ステップST130)、以降の処理は前述の処理と同様である。「終了」が選択された場合(ステップST134においてYES)、問合せ内容入力画面を終了する。
図14に戻り、災害判定装置20は、ユーザ端末10からの問合せ通知を受信した場合、問合せ処理を行う(ステップST021)。
次に、災害判定装置20の問合せ通知を受信した場合の処理について説明する。図16は、図14における災害判定装置20による問合せの処理(ステップST021)を示すフローチャートである。
図16に示されるように、災害判定装置20は、制御部23は申請者のユーザ端末10から問合せを受信した場合(ステップST240)、申請者の問合せ情報を契約情報に関連付けて、データ取得部21に保存する(ステップST241)。次に、災害判定装置20は、問合せ内容に対する回答作成し(ステップST242)、ユーザ端末10へ問合せ内容に対する回答を送信する(ステップST243)。なお、問合せ内容に対する回答作成は、問合せ入力内容文の自然言語処理による自動生成を行い回答してもよいし、人手による回答作成を行ってもよい。
図14に戻り、申請者は、ユーザ端末10によって、災害判定装置20から送信された問合せ結果を確認する。災害判定装置20から問合せ結果を受信した申請者はユーザ端末10の問合せ結果確認画面で問合せ結果を確認する。問合せ結果に「異議」ある場合には、申請メニューから再度、問い合わせ内容入力メニューを選択し、問い合わせ内容を入力し、災害判定装置20へ送信する。ユーザ端末10の処理は、前述の処理と同様であり、また問合せに対する災害判定装置20の動作も前述の問合せ処理のものと同様である。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、申請者は、ユーザ端末10によって保険金払出し申請入力又は問合せ入力の際に、災害判定システム100へのログイン及びユーザ認証をその都度行っているが、ログイン後一定時間はログイン状態を維持し、申請入力、申請結果確認、問合せ入力、問合せ結果確認などの作業を継続できるようにしてもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、災害判定装置20の被災判定において、水災時の保険金支払い基準の条件を「地盤面から0.5m以上の浸水」の1つの条件で説明した。しかし、災害判定装置20は、例えば、浸水高を地盤面から0.5m以上~1.0m未満、1.0m以上~2.0m未満、2.0m以上~3.0m未満、3.0m以上のように複数に分類し、それぞれの条件に合わせて、補償対象物の被災判定を行ってもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、被災時の被災判定に災害情報として、撮影場所の浸水高を使用した例ついて記載したが、浸水高が支払い条件を満たしていない場合でも、その他の支払要件に含まれる場合(例えば、対象物が再調達価額の予め決められた割合を超える損害を受けた場合など)には、台風又は豪雨による被災であることを判定するために、災害情報として撮影場所の降水量を使用し、予め決められた量以上の降水量があった地域を被災エリアとして、補償対象物の被災判定を行い、支払申請処理を行ってもよい。なお、「再調達価額」とは、例えば、保険の目的(例えば、建物又は家財)と同等のものを新しく建築し又は購入する際に必要となる金額のことであり、「再取得価額」又は「新価」なども同様の意味である。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、水災時の被災判定に災害情報として浸水高を使用した例ついて記載したが、台風又は豪雨による土砂崩れ、がけ崩れなどによる被災判定において、災害情報として撮影場所の降水量を使用し、土砂崩れ、がけ崩れの発生地域において予め決められた量以上の降水量があった地域を被災エリアとして、補償対象物の被災判定を行ってもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、水災時の被災判定に災害情報として浸水高を使用した例ついて記載したが、台風又は暴風雨などによる風災の被災判定において、災害情報として撮影場所の風力(又は風速)を使用し、風災の発生地域において、予め決められた風力以上の風力(又は風速)のあった地域を被災エリアとして、補償対象物の被災判定を行ってもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、水災時の被災判定に災害情報として浸水高を使用した例ついて記載したが、台風又は暴風雨などによる風災の被災判定において、台風、突風、竜巻、暴風の進路情報を使用し、進路上から予め決められた距離以内の地域を被災エリアとして、補償対象物の被災判定を行ってもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、水災時の被災判定に災害情報として浸水高を使用した例ついて記載したが、地震の被災判定において、災害情報として撮影場所の震度を使用し、地震の発生地域において、予め決められた震度以上の震度の地震があった地域を被災エリアとして、補償対象物の被災判定を行ってもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、水災時の被災判定に災害情報として、撮影場所の浸水高を使用した例ついて記載したが、豪雪による被災であることを判定するために、災害情報として撮影場所の降雪量を使用し、予め決められた量以上の降雪量があった地域を被災エリアとして、補償対象物の被災判定を行ってもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、保険契約者からの保険金支払い申請時に、災害判定装置20における真偽判定部22の真偽判定において、災害情報として被災対象となる有効期間(例えば、災害発生から災害終息まで)に被災後画像の撮影場所(すなわち、位置)の浸水高が保険契約条件の浸水高を超えたか否かで被災対象地域の判定を行っているが、その地域の現在の単位時間当たりの降水量、河川の水位増加量及び浸水想定区域情報(例えば、災害マップ、自治体の浸水マップなど)から、被災地域又は被災後画像の撮影場所の浸水日時又は浸水高を推定して、災害情報として使用し、被災対象地域か否かの判定を行ってもよい。また、これらの推定技術には、公知の推定技術を利用してもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、保険契約者からの保険金支払い申請時に、災害判定装置20における真偽判定部22の真偽判定において、災害情報として被災対象となる有効期間(例えば、災害発生から災害終息まで)に被災後画像の撮影場所の浸水高が保険契約条件の浸水高を超えたか否かで被災対象地域の判定を行っているが、その地域の現在の単位時間当たりの降水量、河川の水位増加量及び浸水想定区域情報(例えば、災害マップ、自治体の浸水マップなど)及び過去の災害情報(例えば、洪水情報、降水量、河川の水位、浸水高、浸水範囲など)から、被災地域又は被災後画像の撮影場所の浸水日時又は浸水高を推定して、災害情報として使用し、被災対象地域か否かの判定を行ってもよい。また、これらの推定技術は、公知の推定技術を利用してもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、災害発生後の保険契約者からの保険金支払い申請を受けて、保険金支払い処理を開始したが、保険契約者による保険金支払い申請漏れを防ぐために、災害判定装置20によって保険契約者の住所と上述の推定した災害情報から災害発生が予想される地域の保険契約者に対して、災害発生前に「当該地域が保険支払い申請の対象地域である」などの保険金支払い申請に関する通知を行ってもよい。
なお、実施の形態1に係る災害判定システム100では、保険会社の保険金支払いを想定した説明を行っているが、国、都道府県又は市町村などの自治体が震災などの災害に関する被災金を払う場合についても同様である。
《1-3》効果
以上のように、申請写真の被災判定を効率よく正確に行うことで、保険契約者への保険金支払いを正確かつ迅速に行うことができる。また、保険金支払い対象となる保険契約者を抽出した上で支払業務を進めておくことで、申請写真の被災判定を効率化し、保険契約者への保険金支払いを迅速に行うことができる。
《2》実施の形態2.
《2-1》構成
実施の形態2に係る災害判定システムは、災害判定装置20の処理に、申請者の近隣に住む、複数の保険契約者(つまり、複数の他の申請者)からの申請情報を使用した被災判定に関する処理が追加されている点において、実施の形態1に係る災害判定システム100と異なる。
被災判定の際に、申請者の位置真偽判定に加えて、申請者の近隣に住む複数の保険契約者からの申請情報を判定条件に加えることで、より正確な被災判定を行うことができる。
図17は、実施の形態2に係る災害判定システムの複数の保険契約者の位置関係を示す図である。図17に示されるように、申請者A、申請者B、申請者Cの3名の申請者がおり、3者の補償対象物の被災後撮影画像の撮影場所は、いずれも災害情報の被災エリアに含まれている。
図18は、実施の形態2に係る災害判定システムによって払出し申請を行う複数の申請者の申請内容の例を示す図である。図18に示されるように、申請者Aは、エアコン室外機A1を申請し、申請者Bは、エアコン室外機B1、エアコン室外機B2、原動機付き自転車B3を申請し、申請者Cは、エアコン室外機C1を申請したとする。
《2-2》動作
図19は、実施の形態2に係る災害判定システムの払出し申請処理を示すフローチャートである。図19に示されるように、被災判定において、申請者の近隣に住む(申請者以外の)複数の保険契約者(すなわち、複数の他の申請者)からの申請情報を使用し、被災判定処理及び被災判定結果通知を行う(ステップST031、ST032、ST033、ST034)。それ以外の処理は、実施の形態1における処理と同じである。
申請者は、ユーザ端末10上に表示された申請メニュー画面より、保険金払出し申請を選択し、払出し申請処理(申請内容を入力)を行う(ステップST010)。災害判定装置20は、ユーザ端末10からの払出し申請を受信し、払出し申請処理(被災判定)を行う(ステップST031)。
災害判定装置20の払出し申請処理における被災判定の動作について説明する。図20は、図19における災害判定装置20によって実行される被災判定の処理(ステップST031)を示すフローチャートである。図20に示されるように、被災判定時に、申請者の近隣に住む複数の保険契約者(複数の他の申請者)からの申請情報を使用し、被災判定処理及び被災判定結果通知を行う(ステップST211、ST212、ST213)。それ以外の処理は、実施の形態1における処理と同じである。
被災判定部25は、申請画像の解析の結果を確認し(ステップST209)、保険契約上の補償範囲内の対象物(申請画像解析結果が「真」である)の場合(ステップST209においてYES)、被災した地域の申請者以外の申請者の申請情報を取得する(ステップST211)。
ここで、申請者Bの被災判定を行うとする。この場合、申請者B(の撮影場所)の近隣地域に住む保険契約者である申請者A、申請者Cの申請情報を取得する。
図21は、実施の形態2に係る災害判定システムにおける複数の申請者の申請内容と判定結果を示す図である。図21に示されるように、既に申請が受理、承認されている申請者A及び申請者Cの申請情報では、申請した補償対象物であるエアコン室外機A1、エアコン室外機C1は、契約条件(0.5m以上)の浸水高(0.5m)を満たしており、また日時判定も被災対象有効期間内のため、日時、場所の真偽判定は「真」と判定されている。また、申請された災害後画像の画像解析(ステップST208)により推定される申請された補償対象物の浸水高は、エアコン室外機A1、エアコン室外機C1ともに、0.5mと推定され、近隣の申請情報による真偽判定の結果、「問題なし」と判定されたとする。また、最終的な被災判定結果は両者ともに承認されているものとする。
ここで、申請者Bの申請した補償対象物のエアコン室外機B1、エアコン室外機B2、原動機付き自転車B3について被災判定を行うとする。エアコン室外機B1、エアコン室外機B2、原動機付き自転車B3は、契約条件(0.5m以上)が災害情報の浸水高(0.5m)を満たしており、また日時判定も期間内で、日時、場所の真偽判定は、いずれも「真」と判定されている。
続いて、災害後画像の画像解析(ステップST208)において、申請者Bの被災後画像には、エアコン室外機B1は庭先、エアコン室外機B2は2階ベランダに、原動機付き自転車B3は駐車場に設置されている様子が含まれており、画像解析の結果により算出された補償対象物の設置位置から、エアコン室外機B1は0.5m、エアコン室外機B2は3.0m、原動機付き自転車B3は1.0mの浸水高と推定されている。なお、画像解析による設置高は、例えば、被写体の大きさ又は高さ、被写体の背景(建物の窓ガラス又は基礎の立ち上がり部、階段、柵又は塀、駐車場、ベランダ、屋根、建物、庭の木々など)から推定可能である。
被災判定部25は、申請者Bから申請された補償対象物の災害後画像の画像解析から求めた対象物の浸水高と、申請者A及び申請者Cから申請された補償対象物の災害後画像の画像解析から求めた対象物の浸水高を比較する(ステップST212)。
次に、申請者Bが申請したエアコン室外機B1、エアコン室外機B2、原動機付き自転車B3の3つの被災判定について説明する。
被災判定部25は、エアコン室外機B1について、日時、場所の真偽判定後、近隣の申請情報による真偽判定を行う。被災判定部25は、エアコン室外機B1の浸水高の推定値(0.5m)と、申請者A及び申請者Cの申請した対象物(エアコン室外機A1及びエアコン室外機C1)の浸水高の推定値(0.5m)を比較し、同等か否かを確認する(ステップST212)。三者の浸水高の推定値は0.5mであるため、三者を同等と判断し、近隣の申請情報による真偽判定は「問題なし」と判定する。被災判定部25は、エアコン室外機B1の被災判定結果を「被災対象」として制御部23へ通知する(ステップST210)。
続いて、被災判定部25は、エアコン室外機B2、原動機付き自転車B3の真偽判定を行う。申請された災害後画像の解析の結果では、エアコン室外機B2の浸水高は3.0m、原動機付き自転車B3の浸水高は1.0mと推定されている。これらの浸水高と申請者A及び申請者Cの浸水高の推定値(0.5m)と比較する(ステップST212)。その結果、エアコン室外機B2の浸水高は3.0m、原動機付き自転車B3の浸水高は1.0mと、近隣の申請情報(0.5m)とはかけ離れた値であるため、被災判定部25は、エアコン室外機B2及び原動機付き自転車B3の近隣の申請情報による真偽判定は、いずれも「問題あり」と判定する。
続いて、被災判定部25は、エアコン室外機B2及び原動機付き自転車B3の被災判定結果を「審議」として制御部23へ通知する(ステップST213)。
なお、前述の説明では、被災判定部25は、申請者Bの真偽判定を行う際に、画像解析から得られた申請者Bの申請した補償対象物の「設置高」から浸水高の推定を行っているが、画像解析により、災害後画像の被写体に付着した水位が分かるような汚れ又は背景に写る建物又は壁の汚れなどから浸水高を推定して、申請者Bの浸水高の推定値と申請者A及び申請者Cの浸水高の推定値を比較して、真偽判定を行ってもよい。
なお、前述の説明では、被災判定部25は、申請者Bの真偽判定を行う際に、画像解析から得られた申請者Bの申請した補償対象物の浸水高の推定値と、申請者A及び申請者Cの申請承認済みの補償対象物の浸水高の推定値をそれぞれ比較して判定しているが、近隣に住む多数の申請者の申請情報を使用する場合には、得られた申請情報(例えば、浸水高)の推定値から、その地域の申請情報の平均又は分散などの統計値を算出し、申請者の申請情報と比較することで、真偽判定を行ってもよい(例えば、申請者の申請情報が、統計値の予め決められた閾値内に含まれる場合には「問題なし」、予め決められた閾値を超える場合には「問題あり、審議」と判定する)。なお、「近隣の保険契約者(申請者)」の定義は、災害情報の浸水高が同じ被災エリアの保険契約者としてもよいし、浸水高が同じ被災エリア内で申請者位置(住所)の周囲で、予め決められた距離内の保険契約者としてもよい。
図19に戻り、制御部23は、被災判定部25からの被災判定結果を申請処理部26へ通知する。
申請処理部26は、被災判定結果を確認する(ステップST032)。まず、エアコン室外機B1は、被災判定結果が「被災対象」のため(ステップST032で被災対象)、申請処理部26は、申請結果を「承認」し、制御部23へ通知する。制御部23は、支払処理部27へ申請結果「承認」を通知する。支払処理部27は、保険契約の補償対象条件に従い、保険金払出し処理を行う(ステップST014)。
制御部23は、申請結果として、申請が「承認」されたことをユーザ端末10へ通知する(ステップST015)。なお、保険金支払い額などの関連情報を併せて通知してもよい。次に、エアコン室外機B2及び原動機付き自転車B3は、被災判定結果が「審議」のため(ステップST032で審議)、申請処理部26は、制御部23へ被災判定結果が「審議」であることを通知する。
制御部23は、「審議」通知を受けて、実施の形態2に係る災害判定システムへ「審議」を登録する(ステップST033)。また、ユーザ端末10へ申請結果を「否認」とし、併せて否認理由を通知する(ステップST034)。この場合、保険金払出し処理は行われない。
なお、被災判定結果が「審議」の場合の否認理由には、例えば、「申請された対象物は、保険契約上の補償対象外です」などである。
申請された補償対象物について、災害判定システムにおいて「審議」が登録された場合、保険会社の支払い業務担当者に通知される。保険会社の支払い業務担当者は、通知を受けて、審議内容を確認し、必要に応じて、現地への調査員派遣、電話又はメールなどによる申請者へのヒアリング、否認理由の説明、再申請の要請などの対応を行う。この場合には、ユーザ端末10へ通知する否認理由として「弊社保険金支払い担当者からご連絡します」など、申請内容確認手続中であることを伝えるメッセージを送付してもよい。
なお、実施の形態2に係る災害判定システムでは、被災判定部25の判定結果が「審議」の場合、制御部23は、ユーザ端末10へ申請結果を「否認」と、否認理由を通知しているが、申請結果を「調査中」とし、現地への調査員派遣又は電話又はメールなどによる申請者へのヒアリングで申請内容の確認及び再被災判定後に、申請結果(例えば、「承認」若しくは「否認」)を通知してもよい。
《2-3》効果
以上に説明したように、申請写真の被災判定を効率よく正確に行うことで、保険契約者への保険金支払いを正確かつ迅速に行うことができる。
《3》実施の形態3.
《3-1》構成
実施の形態3に係る災害判定システム100bは、ユーザ端末10bが日時位置情報補正部16を有し、日時位置情報補正部16が補償対象物の撮影日時と撮影場所とを示す日時位置情報を補正するための日時位置情報補正処理を行う点において、実施の形態1及び2に係る災害判定システムと異なる。実施の形態3に係る災害判定システム100bでは、ユーザ端末10bは、補償対象物の撮影日時と撮影場所とを示す日時位置情報を補正するための日時位置情報補正処理(すなわち、自己位置推定処理)を行うことで、電波の届かない場所に存在する補償対象物の被災判定を行うことができる。
図22は、実施の形態3に係る災害判定システム100bのユーザ端末10bの構成を概略的に示す機能ブロック図である。図22に示されるように、日時位置情報補正部16は、自律測位用センサ16a(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、カメラなど)と、それらのセンサ情報から自分の位置を推定(自己位置推定)するロケータ(自己位置推定部)16bとを備えている。日時位置情報補正部16は、電波受信可能地域で日時位置情報取得部12から取得した日時位置情報と、受信不能地域内でロケータから得られた時間、移動情報を使用して、ユーザ端末10bの位置情報及び日時情報を指定した周期(時間間隔)で計算し、更新を行う。
なお、それ以外の構成は、実施の形態1及び2に係る災害判定システム100の構成と同じである。
《3-2》動作
図23は、実施の形態3に係る災害判定システム100bのユーザ端末による電波受信地域及び申請者の位置関係を示す図である。図23に示されるように、申請者の補償対象物は、災害情報の被災エリアに含まれており、また電波の届かない電波受信不能地域内の地点Tにある。なお、電波受信不能地域とは、例えば、屋内又は地下室、建物の陰、ビルの間、森林又は林道などの、携帯端末の通信不能地域であり、GPS情報を受信ができない若しくはGPS情報の受信状況が不安定な場所である。
地点Sから移動情報分だけ移動すると地点T(tcur_last,pcur_last)に到着する。なお、移動情報である、合計移動時間と合計移動量は、それぞれ移動時間の累計値であるΣΔtと移動量の累計値であるΣΔpである。つまり、(合計移動時間,合計移動量)=(ΣΔt,ΣΔp)である。
次にユーザ端末10bにおける日時位置情報補正部16の日時位置情報の補正処理について説明する。
申請者は、保険支払い申請に使用する、被災した補償対象物の写真の撮影を行うために、補償対象物の設置位置である地点Tに移動する。このとき、移動前の地点Sは、電波受信可能地域であるため、ユーザ端末10bは、GPS情報の受信により、位置情報を取得している。その後、電波受信不能地域である地点Tへ移動した場合、ユーザ端末10bは、途中からGPS情報による位置情報の取得ができない状況となっている。電波受信不能地域である地点Tへ移動した場合は、例えば、電波受信可能な道路(例えば、地上)から地下の店舗に移動した場合又はGPS受信が不安定なビル街に入った場合などである。
図24は、実施の形態3に係る災害判定システム100bのユーザ端末10bの日時位置情報補正部16の処理を示すフローチャートである。図24に示されるように、日時位置情報補正部16は、申請者によりユーザアプリが起動されると、端末制御部13の制御に従い動作を開始する。端末制御部13は、日時位置情報取得部12から取得した電波受信情報を日時位置情報補正部16に渡す。日時位置情報補正部16は、電波受信情報を取得する(ステップST140)。
日時位置情報取得部12は、GPSから正常に測位情報が受信できない場合、若しくは、GPSから測位情報は正常に受信できたが、得られた現在の日時位置情報と過去(例えば、数秒前)の日時位置情報の連続性が満たされていない場合には、電波受信情報として「異常」を出力する。また、日時位置情報取得部12は、正常に測位情報が受信できかつ日時位置情報の連続性が満たされている場合には、電波受信情報として「正常」を出力する。
なお、「連続性」の有無は、過去(例えば、数秒前)のデータの統計処理を行い、現在データと比較し、その差が予め決められた基準範囲内に収まっているか場合に連続性あり、基準範囲外である場合に連続性無と判定される。これらの電波受信情報の推定には、公知の技術を利用することができる。
日時位置情報補正部16は、予め決められた周期(例えば、0.1秒間隔、0.5秒間隔、又は1秒間隔など)で、日時位置情報取得部12から電波受信情報の取得と電波受信情報の確認とを行う。予め決められた周期は、単位時間Δtとも言う。
ここでは、日時情報と位置情報とをまとめて、(日時情報,位置情報)の形で表記する。日時位置情報補正部16は、日時位置情報取得部12から取得されたユーザ端末10bの日時位置情報(Tgps,Pgps)を出力する。また、日時位置情報補正部16のロケータが出力するユーザ端末10bの移動時間及び移動量を(Δt,Δp)とする。また、ユーザ端末10bの現在の(すなわち、最新の)日時位置情報を(tcur,pcur)として説明する。
日時位置情報補正部16は、日時位置情報取得部12から得た電波受信情報を確認する(ステップST141)。移動前の地点Sは、電波受信可能地域であり、取得した電波受信情報は、「正常」である。ステップST141の判定が「正常」である場合、日時位置情報補正部16は、日時位置情報取得部12から日時位置情報(Tgps,Pgps)を取得し(ステップST142)、ユーザ端末10bの現在の日時位置情報(tcur,pcur)として保存する(ステップST143)。つまり、電波受信状況が正常な場合には、日時位置情報補正部16は、GPSの測位情報から得た日時位置情報(Tgps,Pgps)を現在の日時位置情報(tcur,pcur)として保存する。
次に、ユーザ端末10bが電波受信不能地域内に入った場合について説明する。日時位置情報補正部16は、電波受信情報を確認する(ステップST141)。ユーザ端末10bが電波受信不能地域内に入ると、日時位置情報取得部12から得た電波受信情報は、「異常」となる。
ステップST141の判定が「異常」である場合、日時位置情報補正部16は、ロケータからユーザ端末10bの単位時間(Δt)当たりの移動量(Δp)を取得する(ステップST144)。なお、単位時間Δtは、日時位置情報補正部16が電波受信状況を確認する一定周期の時間幅である。また、移動量Δpは、単位時間Δtでユーザ端末10bが移動した距離及び方向の情報を含んでもよい。
続いて、日時位置情報補正部16は、ユーザ端末10bの一周期前の日時位置情報(tpre,ppre)と、ロケータで推定したユーザ端末10bの移動時間及び移動量(Δt,Δp)を演算し、現在の日時位置(tcur,pcur)として更新、保存する(ステップST145)。
つまり、日時位置情報補正部16は、電波受信不能地域内に入った場合には、電波受信状況の正常時に取得したGPSの測位情報から得た日時位置情報(Tgps,Pgps)と、電波受信状況が異常となった後にロケータで算出した自己位置の移動量(Δt,Δp)とを使用し、現在の日時位置情報(tcur,pcur)を算出する。続いて、日時位置情報補正部16は、日時位置情報(tcur,pcur)を一周期前の日時位置情報(tpre,ppre)として保存する(ステップST147)。続いて、日時位置情報補正部16は、ユーザアプリの終了確認を行い(ステップST150)、ユーザアプリ本体が終了処理に移行していた場合には、動作を終了する。ユーザアプリが終了処理に移行していない場合には、日時位置情報取得部12から電波受信情報を取得(ステップST140)に戻り、動作を継続する。よって、日時位置情報補正部16は、ユーザアプリの起動中は、日時位置情報を更新し続ける。
図23に戻り、ユーザ端末10bが地点Sから撮影場所である地点Tに移動した場合、移動時間は単位時間の合計ΣΔtとなり、移動量は単位時間の移動量の合計ΣΔpとなる。地点Tの日時位置情報(tcur_last,pcur_last)は、電波受信状況が正常の時に取得した日時位置情報(Tgps,Pgps)と移動情報(ΣΔt、ΣΔp)を加算したもの、すなわち以下のようになる。
(tcur_last,pcur_last)
=(Tgps+ΣΔt,Pgps+ΣΔp)
図25は、実施の形態3に係る災害判定システム100bのユーザ端末10bによる補償対象物の撮影の処理(図5におけるステップST112)を示すフローチャートである。図25に示されるように、申請者は、ユーザ端末10bによって保険金払出し申請を行う際に、画像取得部11を起動し、補償対象物の災害後画像の撮影を行う。
端末制御部13は、申請者が被写体として補償対象物に画像取得部11を向けて「撮影する」を選択した場合(ステップST121においてYES)、日時位置情報補正部16から、撮影情報を取得する(ステップST160)。例えば、図23の地点Tで撮影した場合には、撮影情報として日時位置情報、すなわち、(日時,場所)=(tcur_last,pcur_last)を取得する。
続いて、端末制御部13は、画像取得部11を制御して補償対象物の撮影を行い、得られた画像データを被災後画像として保存する。また、被災後画像のヘッダ情報に、日時位置情報補正部16から取得した撮影情報、例えば、日時位置情報を付加する(ステップST123)。なお、上述のステップST160の動作以外に関し、保険金払出し申請に関する処理は、実施の形態1及び2に係る災害判定システム100の処理と同じである。
なお、実施の形態3に係るユーザ端末10bの日時位置情報補正部16は、自律測位用センサとロケータを含む構成としているが、ユーザ端末10bの外部に自律測位用センサとロケータを持ち、移動情報、すなわち、(移動時間、移動量)を取得してもよい。また自律測位用センサからの情報からロケータで行う移動時間及び移動量の計算手法は公知の技術を利用可能である。
《3-3》効果
以上に説明したように、補償対象物の撮影位置情報を取得する際に、撮影日時、場所情報の補正処理を加えることで、電波の届かない場所においても位置情報を取得し、被災判定を効率的に行うことができるため、保険契約者への保険金支払いを正確かつ迅速に行うことができる。
《4》変形例.
以下に、実施の形態1から3に係る災害判定システム100、100bとハードウェア構成の例を説明する。
図26は、実施の形態1から3に係る災害判定システム100、100bのユーザ端末10、10bのハードウェア構成の例を示す図である。
ユーザ端末10、10bにおける端末制御部13(図1、図22)及び日時位置情報補正部16(図22)の各機能は、処理回路により実現可能される。処理回路は、メモリ83に格納されるプログラムを実行するプロセッサ82である。プロセッサ82は、CPU、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)などともいう。また、処理回路は、複数のプロセッサを有してもよい。また、処理回路は、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASICなどであってもよい。
端末制御部13の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ83に格納される。プロセッサ82は、メモリ83に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
すなわち、ユーザ端末10、10bでは、プロセッサ82がメモリ83に格納されているプログラムを実行することによって、図2から図6、図14、図15、図19、図24及び図25に示される処理が実行される。また、これらのプログラムは、端末制御部13による処理手順又は方法をコンピュータに実行させるものである。メモリ83は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリであってもよい。また、メモリ83は、ハードディスク、フレキシブルディスクなどの磁気ディスクであってもよい。さらに、メモリ83は、ミニディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクであってもよい。
なお、入力装置81は、画像取得部11、日時位置情報取得部12、入出力部15の操作部である。出力装置85は、入出力部15の表示部である。通信装置84は、通信部14である。
図27は、実施の形態1から3に係る災害判定システム100、100bの災害判定装置20のハードウェア構成の例を示す図である。災害判定装置20における真偽判定部22、制御部23、被災判定部25、申請処理部26、及び支払処理部27の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリ93に格納されるプログラムを実行するプロセッサ92である。プロセッサ92は、CPU、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSPなどともいう。また、処理回路は、複数のプロセッサを有してもよい。また、処理回路は、FPGA又はASICなどであってもよい。
制御部23の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ93に格納される。プロセッサ92は、メモリ93に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、災害判定装置20は、プロセッサ92によりプログラムが実行されるときに、図2、図3、図7、図8、図14、図16、図19及び図20に示した処理が実行される。また、これらのプログラムは、制御部23の処理手順又は方法をコンピュータに実行させるものである。メモリ93は、例えば、RAM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。メモリ93は、ハードディスク、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、又は、ミニディスク、CD、DVDなどの光ディスクでもよい。データ取得部21がデータ保管部である場合、データ取得部21は、メモリ93により実現される。通信装置94は、図1における通信部24である。