JP7113991B1 - 浸水高計算システム、浸水高計算方法及び浸水高計算プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
条件1については、建物内部を目視すること、又は、建物内部を撮影した画像データを確認することによって容易に判断可能である。しかし、条件2については、査定員がメジャー等を用いて浸水高を計測する必要があり、手間がかかる。
本開示は、簡便に浸水高を計測可能にすることを目的とする。
壁面における浸水線を含む画像データから基準物を検知する検知部と、
前記検知部によって検知された前記基準物の前記画像データにおける高さ方向の画素数と、前記基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算する単位高さ計算部と、
前記画像データにおける床面から前記浸水線までの画素数と、前記単位高さ計算部によって計算された前記単位高さとから、前記床面から前記浸水線までの距離である浸水高を計算する浸水高計算部と
を備える。
前記浸水線の位置の指定を受け付ける浸水線設定部
を備え、
前記浸水高計算部は、前記浸水線設定部によって受け付けされた前記位置を前記浸水線として、前記浸水高を計算する。
コンピュータが、壁面における浸水線を含む画像データから基準物を検知し、
コンピュータが、前記基準物の前記画像データにおける高さ方向の画素数と、前記基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算し、
コンピュータが、前記画像データにおける床面から前記浸水線までの画素数と、前記単位高さとから、前記床面から前記浸水線までの距離である浸水高を計算する。
壁面における浸水線を含む画像データから基準物を検知する検知処理と、
前記検知処理によって検知された前記基準物の前記画像データにおける高さ方向の画素数と、前記基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算する単位高さ計算処理と、
前記画像データにおける床面から前記浸水線までの画素数と、前記単位高さ計算処理によって計算された前記単位高さとから、前記床面から前記浸水線までの距離である浸水高を計算する浸水高計算処理と
を行う浸水高計算システムとしてコンピュータを機能させる。
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る浸水高計算システム100の構成を説明する。
浸水高計算システム100は、ユーザ端末10と、浸水高計算装置20とを備える。ユーザ端末10と浸水高計算装置20とは、伝送路90を介して接続されている。
ユーザ端末10は、ユーザによって使用されるスマートフォン又はタブレット端末といったコンピュータである。ユーザ端末10は、浸水した場所を撮影して画像データを取得するためのコンピュータである。浸水高計算装置20は、クラウドシステムにおけるサーバといったコンピュータである。浸水高計算装置20は、ユーザ端末10によって取得された画像データに基づき浸水高を計算するコンピュータである。伝送路90は、具体例としては、インターネットである。
浸水高計算装置20は、伝送路91を介して保険会社のサーバと接続されている。伝送路91は、具体例としては、インターネットである。
ユーザ端末10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。ユーザ端末10は、通信インタフェース14を介してカメラ141と接続されている。あるいは、カメラ141はユーザ端末10と内部的に接続され一体化している。
ストレージ13には、ユーザ端末10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、ユーザ端末10の各機能構成要素の機能が実現される。
浸水高計算装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信インタフェース24とのハードウェアを備える。プロセッサ21は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
ストレージ23には、浸水高計算装置20の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ21によりメモリ22に読み込まれ、プロセッサ21によって実行される。これにより、浸水高計算装置20の各機能構成要素の機能が実現される。
図4から図7を参照して、実施の形態1に係る浸水高計算システム100の動作を説明する。
実施の形態1に係る浸水高計算システム100の動作手順は、実施の形態1に係る浸水高計算方法に相当する。また、実施の形態1に係る浸水高計算システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る浸水高計算プログラムに相当する。
(ステップS1:撮影処理)
ユーザ端末10の画像取得部111は、壁面における浸水線を含む画像データを取得する。浸水線は、水害により壁面に残った浸水跡である。浸水線は、浸水した上限位置を示す。
この際、画像取得部111は、基準物が含まれるように画像データを取得する。基準物は、事前に決められた物であって、サイズが特定可能な物である。基準物は、入手が容易であり、サイズの規格が定められている物が望ましい。具体例としては、基準物は、ペットボトル又はビール瓶等のボトルと、トイレットペーパー、牛乳パック等の紙パック、350ml等のアルミ缶といった物である。あるいは、基準物は、保険会社から契約者に事前に送付された箱等でもよい。
前提として、浸水高を計算するためのアプリケーションプログラムが実行される。これにより、画像取得部111と浸水線設定部112と画像送信部113との機能が起動される。また、アプリケーションプログラムを介してユーザ端末10が備えるカメラ141が起動される。
画像取得部111は、カメラ141により、浸水線と基準物とが同時に映った状態で撮影して画像データを取得する。ここでは、基準物は、床に置かれた状態とする。
浸水線設定部112は、ステップS11で取得された画像データにおける浸水線の位置を設定する。具体的には、図6に示すように、浸水線設定部112は、ユーザの操作に従い指定された浸水線の位置を設定する。例えば、ステップS11で取得された画像データ上で浸水線を設定するための線をドラッグして移動させることにより、浸水線の位置が指定される。
画像送信部113は、ステップS11で取得された画像データと、ステップS12で設定された浸水線の位置情報とを浸水高計算装置20に送信する。この際、画像送信部113は、ステップS13で画像データ等とともに、保険契約者の識別情報等保険契約書を識別できる情報も送信する。
浸水高計算装置20の検知部211は、画像データから基準物を検知する。具体的には、検知部211は、ステップS13で送信された画像データを、物体検知モデルに入力して、基準物を検知する。物体検知モデルは、ニューラルネットワーク等を用いて構成されたモデルである。
浸水高計算装置20の単位高さ計算部212は、ステップS2で検知された基準物の画像データにおける高さ方向の画素数を特定する。図7に示すように、基準物の高さ方向の画素数は、基準物の下端から上端までの画素数である。例えば、ステップS2において検知された基準物を囲む検知枠が得られた場合には、基準物の高さ方向の画素数は、検知枠の下辺から上辺までの画素数である。
単位高さ計算部212は、高さ方向の画素数と、基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算する。基準物はサイズが特定可能な物であるため、基準物の実際の高さは既知である。
実施の形態1では、単位高さ計算部212は、式1に示すように実高さを画素数で除すことにより、1画素当たりの高さである単位高さを計算する。
<式1>
単位高さ(センチメートル)=実高さ(センチメートル)/画素数
浸水高計算装置20の浸水高計算部213は、画像データにおける床面から浸水線までの画素数を特定する。実施の形態1では、図7に示すように、床面の位置は、基準物の下端である。浸水高計算部213は、特定された画素数と、ステップS3で計算された単位高さとから、床面から浸水線まで距離である浸水高を計算する。
具体的には、浸水高計算部213は、式2に示すように床面から浸水線までの画素数に単位高さを乗じることにより、浸水高を計算する。
<式2>
浸水高(センチメートル)=画素数×単位高さ(センチメートル)
浸水高計算装置20のデータ送信部214は、ステップS4で計算された浸水高とステップS13で受信した保険契約者の識別情報等とを、保険会社のサーバに送信する。
ユーザ端末10は、伝送路90を介して直接保険会社のサーバと接続する構成とし、アプリケーションプログラム起動時に、保険契約者の識別情報等を保険会社のサーバに送信し、ステップS5では浸水高計算装置20から保険会社のサーバへ浸水高のみ送信するように構成してもよい。この場合保険会社のサーバでは、ステップS5で受信した浸水高と予め受信している保険契約者の識別情報等との照合を実行する。
またステップS13において、ユーザ端末10は、画像データ等と保険契約者の識別情報等との送信先を保険会社のサーバとし、浸水高計算装置20は画像データ等を保険会社のサーバから受信するように構成してもよい。浸水高計算装置20では、上述したようにステップS2以降の処理を実行する。
以上のように、実施の形態1に係る浸水高計算システム100は、浸水線とともに基準物を含む画像データを取得する。浸水高計算システム100は、基準物に基づき単位高さを特定し、単位高さから浸水高を計算する。これにより、簡便に浸水高を計測可能である。
<変形例1>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例1として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例1について、実施の形態1と異なる点を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、ユーザ端末10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、浸水高計算装置20は、プロセッサ21とメモリ22とストレージ23とに代えて、電子回路25を備える。電子回路25は、各機能構成要素と、メモリ22と、ストレージ23との機能とを実現する専用の回路である。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
変形例2として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
実施の形態2は、基準物の壁面における位置を特定して単位高さを計算する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
図10を参照して、実施の形態2に係る浸水高計算装置20の構成を説明する。
浸水高計算装置20は、機能構成要素として、壁位置特定部215を備える点が、図3に示す浸水高計算装置20と異なる。壁位置特定部215の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
図11から図17を参照して、実施の形態2に係る浸水高計算システム100の動作を説明する。
実施の形態2に係る浸水高計算システム100の動作手順は、実施の形態2に係る浸水高計算方法に相当する。また、実施の形態2に係る浸水高計算システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態2に係る浸水高計算プログラムに相当する。
基準物がペットボトルであるため、基準物には奥行方向に厚みがある。そのため、図11に示すように、基準物を斜め上から撮影して得られた画像データでは、基準物の下端から上端までの距離は、基準物の厚みの影響を受けている。つまり、基準物の下端から上端までの距離は、基準物の高さを正確に表していない。そこで、実施の形態2では、浸水高計算システム100は、基準物の底部に対応する壁面における位置である壁底位置31と、基準物の上部対応する壁面における位置である壁上位置32とを特定する。そして、浸水高計算システム100は、壁面における底部及び上部の位置から単位高さを計算する。
(ステップS31:壁底位置特定処理)
浸水高計算装置20の壁位置特定部215は、壁底位置31を特定する。
壁底位置31の特定方法としては方法1,2の2つがある。
方法1は、幾何学的な推定による方法である。
基準物であるペットボトルは、壁面に接した状態で床面に置かれている。そのため、図13に示すように、ペットボトルの底面の上端位置33が、壁底位置31になる。しかし、画像データには、ペットボトルの底面の上端位置33は映っていない。そこで、壁位置特定部215は、幾何学的にペットボトルの底面の上端位置33を推定して、壁底位置31を特定する。具体的には、壁位置特定部215は、画像データにおけるペットボトルの底面の奥行方向の長さである底画像奥行34だけ、画像データにおけるペットボトルの下端35を上にずらした位置を壁底位置31として特定する。
壁位置特定部215は、ボトルの底面の奥行方向の実際の長さである底実奥行38に画像実比率を乗じて、底画像奥行34を計算する。つまり、壁位置特定部215は、式3に示すように、底画像奥行34を計算する。
<式3>
底画像奥行34=底実奥行38×蓋画像奥行36/蓋実奥行37
そして、壁位置特定部215は、底画像奥行34だけ、画像データにおけるペットボトルの下端35を上にずらした位置を壁底位置31として特定する。
物体検知モデルを用いること等により、画像データから蓋部分を検知することは可能である。しかし、蓋部分の上面だけを特定することは難しい場合がある。そこで、図15に示すように、壁位置特定部215は、蓋部分全体の縦方向の幅である蓋縦幅39に、蓋部分全体に対する上面部分の割合を表す上面比率を乗じて、蓋画像奥行36を計算する。つまり、壁位置特定部215は、式4に示すように蓋画像奥行36を計算する。
<式4>
蓋画像奥行36=蓋縦幅39×上面比率
<式5>
上面比率=傾き×(蓋縦幅39/蓋横幅40)+切片
方法2は統計的な推定による方法である。
基準物の撮影角度が概ね定まっているのであれば、ペットボトルの画像データにおける高さと、底画像奥行34との比率である奥行比率も概ね定まっている。ペットボトルの画像データにおける高さは、ペットボトルの下端から上端までの長さである。つまり、ペットボトルの画像データにおける高さは、実施の形態1で説明した基準物の高さ方向の画素数である。
そこで、壁位置特定部215は、基準物の撮影角度が概ね定まっていることを前提として、奥行比率を事前に設定しておく。壁位置特定部215は、ペットボトルの画像データにおける高さに、奥行比率を乗して、底画像奥行34を計算する。そして、壁位置特定部215は、底画像奥行34だけ、画像データにおけるペットボトルの下端35を上にずらした位置を壁底位置31として特定する。
浸水高計算装置20の壁位置特定部215は、壁上位置32を特定する。
具体的には、壁位置特定部215は、ステップS31の方法2と同様に、統計的な推定により壁上位置32を特定する。図16に示すように、基準物の撮影角度が概ね定まっているのであれば、ペットボトルの画像データにおける高さと、ずれ量41との比率であるずれ比率も概ね定まっている。ずれ量41は、ペットボトルの上端42と壁上位置32との間の距離である。
そこで、壁位置特定部215は、基準物の撮影角度が概ね定まっていることを前提として、ずれ比率を事前に設定しておく。壁位置特定部215は、ペットボトルの画像データにおける高さに、ずれ比率を乗して、ずれ量41を計算する。そして、壁位置特定部215は、ずれ量41だけ、画像データにおけるペットボトルの上端42を上にずらした位置を壁上位置32として特定する。
図17に示すように、浸水高計算装置20の単位高さ計算部212は、ステップS31で特定された壁底位置31から、ステップS32で特定された壁上位置32までの画像データにおける高さ方向の画素数を特定する。単位高さ計算部212は、高さ方向の画素数と、基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算する。
以上のように、実施の形態2に係る浸水高計算システム100は、基準物の壁面における位置を特定して単位高さを計算する。これにより、単位高さを精度よく計算することができる。その結果、浸水高を精度よく計算することができる。
<変形例3>
実施の形態2では、壁底位置31が計算により特定された。しかし、壁底位置31がユーザにより指定されてもよい。この場合には、図4のステップS1において、浸水線とともに壁底位置31が設定される。そして、画像データ等とともに、壁底位置31も浸水高計算装置20に送信される。
浸水高計算装置20は、ユーザによって設定された壁上位置32についても同様に妥当であるか否かを判定してもよい。そして、浸水高計算装置20は、妥当でないと判定された場合には、壁上位置32の再設定を求めてもよい。
実施の形態3は、撮影条件を満たした状態でカメラ141で撮影されて得られたカメラ画像を画像データとして取得する点が実施の形態1,2と異なる。撮影条件は、撮影するカメラ位置の条件である。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態3では、実施の形態1に変更を加えた場合について説明する。しかし、実施の形態2に変更を加えることも可能である。
図18を参照して、実施の形態3に係るユーザ端末10の構成を説明する。
ユーザ端末10は、機能構成要素として、ガイド表示部114を備える点が図2に示すユーザ端末10と異なる。ガイド表示部114の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
図19から図21を参照して、実施の形態3に係る浸水高計算システム100の動作を説明する。
実施の形態3に係る浸水高計算システム100の動作手順は、実施の形態3に係る浸水高計算方法に相当する。また、実施の形態3に係る浸水高計算システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態3に係る浸水高計算プログラムに相当する。
実施の形態1と同様に、前提として、浸水高を計算するためのアプリケーションプログラムが実行される。
図20に示すように、ガイド表示部114は、カメラ141によって得られたカメラ画像に重畳してガイド51を表示する。実施の形態3では、ガイド51は、高さ方向の上限位置52及び下限位置53を示す。
ガイド表示部114は、上限位置52と下限位置53との間の距離を変更した複数のガイド51を用意しておく。そして、ガイド表示部114は、使用するガイド51をユーザに選択させる。具体的には、浸水線の高さ等に応じて使用するガイド51を選択させる。ガイド表示部114は、選択されたガイド51をカメラ画像に重畳して表示する。例えば、浸水線が高い位置にある場合には、床面においた基準物を小さくしか映せない場合がある。
画像取得部111は、ガイド51に基準物が従った状態で、壁面における浸水線が映ったカメラ画像を画像データとして取得する。具体的には、画像取得部111は、ガイド51に基準物が従った状態になると、自動的にカメラ画像を画像データとして取得する。あるいは、画像取得部111は、ガイド51に基準物が従った状態になると、シャッターボタンを押せる状態にして、シャッターボタンが押されるとカメラ画像を画像データとして取得する。
この際、基準物の上端が上限位置52の位置に近く、基準物の下端が下限位置53の位置に近いことが望ましい。このようにすることで、予め意図した状態の画像データが取得される。そのため、ステップS11Aで適切なガイド51を選択する必要がある。
図20に示すように、ガイド表示部114は、水準器54を表示して、カメラ141の角度と指定角度とを示してもよい。これにより、ユーザが、カメラ141の角度が指定角度になるように調整し易くなる。
カメラ141の撮影範囲の外側ほど歪みが大きくなり、正確な浸水高の計算が困難になるためである。
以上のように、実施の形態3に係る浸水高計算システム100では、撮影条件を満たした状態でカメラ141で撮影されて得られたカメラ画像を画像データとして取得する。これにより、基準物が概ね定められた撮影角度で撮影された画像データが得られる。その結果、浸水高を精度よく計算することができる。
<変形例4>
実施の形態3では、ガイド51は上限位置52及び下限位置53を示した。ガイド51は、これに限らず、基準物の上端の位置に関して上限と下限とを示すとともに、基準物の下端に関して上限と下限とを示してもよい。そして、基準物の上端が、上端の位置に関する上限と下限との間にあり、かつ、基準物の下端が、下端に関する上限と下限との間にある場合に、ガイド51に基準物が従った状態となったとしてもよい。
実施の形態4は、ガイド51で示された範囲を拡大して基準物を検知する点が実施の形態3と異なる。実施の形態4では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
図22を参照して、実施の形態4に係る浸水高計算システム100の動作を説明する。
実施の形態4に係る浸水高計算システム100の動作手順は、実施の形態4に係る浸水高計算方法に相当する。また、実施の形態4に係る浸水高計算システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態4に係る浸水高計算プログラムに相当する。
以上のように、実施の形態4に係る浸水高計算システム100は、ガイド51で示された範囲を拡大して基準物を検知する。
画像認識における物体検知では、画像データ全体の大きさと比較した基準物の画像データにおける大きさが小さいと検知精度が低くなる傾向がある。また、基準物のサイズが小さいと、画像データにおける基準物が映っていない領域が大きくなり、基準物以外の物を基準物として誤検知してしまう可能性が高くなる。しかし、実施の形態4に係る浸水高計算システム100では、基準物がある範囲が拡大された拡大画像55から基準物が検知される。そのため、検知精度の低下及び誤検知を防ぐことができる。
<変形例5>
実施の形態2で説明した方法を用いる場合には、ペットボトルの蓋部分を検知する必要がある。この場合には、検知部211は、図4のステップS2で基準物であるペットボトルが検知された範囲のうち、上端側における左右方向の中央部を切り出して、拡大する。そして、検知部211は、拡大された画像データから蓋部分を検知してもよい。上端側における左右方向の中央部には、蓋部分が位置することが想定される。
実施の形態5は、基準物となるボトルに複数の種別が存在する点が実施の形態2と異なる。実施の形態5では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
図23を参照して、実施の形態5に係る浸水高計算装置20の構成を説明する。
浸水高計算装置20は、機能構成要素として、種別特定部216を備える点が図10に示す浸水高計算装置20と異なる。種別特定部216の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
図24及び図25を参照して、実施の形態5に係る浸水高計算システム100の動作を説明する。
実施の形態5に係る浸水高計算システム100の動作手順は、実施の形態5に係る浸水高計算方法に相当する。また、実施の形態5に係る浸水高計算システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態5に係る浸水高計算プログラムに相当する。
図24に示すように、ペットボトルには、容量が500mL(ミリリットル)の物と、容量が2L(リットル)の物と等、複数の種別が存在する。そして、種別毎にサイズが異なる。そのため、浸水高を計算するには、基準物として用いられたペットボトルがどの種別であるかを特定する必要がある。ここでは、基準物として、容量が500mLのペットボトルと、容量が2Lのペットボトルとのいずれかが用いられるものとして説明する。
(ステップS31A:種別特定処理)
浸水高計算装置20の種別特定部216は、基準物の種別を特定する。
実施の形態5では、種別特定部216は、図4のステップS2で検知されたペットボトルの蓋部分のサイズと、ペットボトルの胴部のサイズとからペットボトルの種別を特定する。
具体例としては、種別特定部216は、蓋部分の横幅を胴部の横幅で除した比率値が閾値Aよりも大きい場合には、500mLのペットボトルであると判定する。一方、種別特定部216は、比率値が閾値A以下である場合には、2Lのペットボトルであると判定する。
以上のように、実施の形態5に係る浸水高計算システム100は、基準物の種別を特定する。これにより、複数の種別の基準物のうちいずれかの種別の基準物を用いて浸水高を計算できる。水害発生時には、指定された基準物が手に入れづらい可能性がある。そのため、複数の種別の基準物のうちいずれかで浸水高を計算できることで利便性を高くすることができる。
実施の形態6は、計算された浸水高を補正する点が実施の形態1~5と異なる。実施の形態6では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態6では、実施の形態1に変更を加えた場合を説明する。しかし、実施の形態2~5に変更を加えることも可能である。
図26を参照して、実施の形態6に係る浸水高計算装置20の構成を説明する。
浸水高計算装置20は、機能構成要素として、補正部217を備える点が図3に示す浸水高計算装置20と異なる。補正部217の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
図27から図30を参照して、実施の形態6に係る浸水高計算システム100の動作を説明する。
実施の形態6に係る浸水高計算システム100の動作手順は、実施の形態6に係る浸水高計算方法に相当する。また、実施の形態6に係る浸水高計算システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態6に係る浸水高計算プログラムに相当する。
(ステップS41:高さ計算処理)
浸水高計算部213は、実施の形態1で説明したように、浸水高を計算する。
浸水高計算装置20の補正部217は、ステップS41で計算された浸水高に応じた補正量だけ、ステップS41で計算された浸水高を補正する。
図28に示すように、カメラ141で得られた画像データでは、中央ほど大きく映っている。つまり、カメラ141との距離が近い部分ほど大きく映っている。そのため、同じ距離であっても、画像データにおける中央部分ほど画素数が多くなる。そこで、図29に示すように、事前に浸水高毎の概ねのずれを補正量として統計的に事前に記録しておく。図29では、10センチメートル毎に補正量を記録している。
補正部217は、ステップS41で計算された浸水高に応じた補正量を読み出す。そして、読み出された補正量だけ、ステップS41で計算された浸水高を補正する。
以上のように、実施の形態6に係る浸水高計算システム100は、計算された浸水高に応じた補正量だけ、計算された浸水高を補正する。これにより、浸水高を精度よく計算することができる。
実施の形態7は、計算された浸水高の信頼度を計算する点が実施の形態1~6と異なる。実施の形態7では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態7では、実施の形態1に変更を加えた場合を説明する。しかし、実施の形態2~6に変更を加えることも可能である。
図31を参照して、実施の形態7に係る浸水高計算装置20の構成を説明する。
浸水高計算装置20は、機能構成要素として、信頼度計算部218を備える点が図3に示す浸水高計算装置20と異なる。補正部217の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
図32を参照して、実施の形態7に係る浸水高計算システム100の動作を説明する。
実施の形態7に係る浸水高計算システム100の動作手順は、実施の形態7に係る浸水高計算方法に相当する。また、実施の形態7に係る浸水高計算システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態7に係る浸水高計算プログラムに相当する。
(ステップS41A:高さ計算処理)
浸水高計算部213は、実施の形態1で説明したように、浸水高を計算する。
浸水高計算装置20の信頼度計算部218は、ステップS41で計算された浸水高の信頼度を計算する。
具体的には、信頼度計算部218は、画像データの撮影角度と、基準物の置かれた状態といった単位高さ又は浸水高の計算精度に関する情報に基づき、信頼度を計算する。この際、信頼度計算部218は、信頼度に応じて浸水高の誤差範囲を計算してもよい。誤差範囲は、信頼度が低いほど大きくなる。
実施の形態3で説明したように、ガイド51を表示して画像データが取得されたとする。この場合には、信頼度計算部218は、基準物がガイド51に従った程度に応じて信頼度を計算する。例えば、信頼度計算部218は、基準物の上端と上限位置52との間の距離と、基準物の下端と下限位置53との間の距離とに応じて信頼度を計算する。信頼度計算部218は、これらの距離の合計が短いほど信頼度を高くする。
なお、信頼度計算部218は、壁底位置31が基準物の下端から上端の間にない場合には、信頼度を大幅に低くしてもよい。壁底位置31は基準物の下端から上端の間にあるはずであるためである。
例えば、蓋部分の横幅を胴部の横幅で除した比率値を用いて500mLのペットボトルか2Lのペットボトルかを判定するとする。この場合には、比率値毎の判定結果の精度を設定しておく。これにより、判定結果の精度を特定することができる。
以上のように、実施の形態7に係る浸水高計算システム100は、浸水高の信頼度を計算する。これにより、保険会社は、計算された浸水高を信頼できるか否かを判定し易くなる。
浸水被害の保険申請では、ユーザがシステムを想定外の手順で使用した場合に、実際よりも高い保険金が計算される可能性がある。また、悪意のあるユーザが基準物を改変する等して、不当に高い保険金を請求するといったことも考えられる。基準物を改変する等することの例としては、基準物がペットボトルである場合に、特殊な形状のペットボトルを用いることが上げられる。そこで、例えば、信頼度が基準よりも低い場合には、保険会社職員により目視による確認を行うといった対応をとることが考えられる。
浸水被害の保険金は、浸水高の範囲毎に金額が決められている場合がある。そのため、例えば、保険会社は、以下のような対応をとることが考えられる。誤差範囲を考慮しても保険金が変わらない場合には、計算された浸水高を採用する。誤差範囲を考慮すると保険金が変わる恐れがある場合には、目視による確認を行う。
Claims (5)
- 壁面における浸水線を含む画像データから基準物を検知する検知部と、
前記検知部によって検知された前記基準物の前記画像データにおける高さ方向の画素数と、前記基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算する単位高さ計算部と、
前記画像データにおける床面から前記浸水線までの画素数と、前記単位高さ計算部によって計算された前記単位高さとから、前記床面から前記浸水線までの距離である浸水高を計算する浸水高計算部と
を備える浸水高計算システム。 - 前記浸水高計算システムは、さらに、
前記浸水線の位置の指定を受け付ける浸水線設定部
を備え、
前記浸水高計算部は、前記浸水線設定部によって受け付けされた前記位置を前記浸水線として、前記浸水高を計算する
請求項1に記載の浸水高計算システム。 - 前記浸水高計算部は、前記基準物の下端を前記床面として、前記浸水高を計算する
請求項1又は2に記載の浸水高計算システム。 - コンピュータが、壁面における浸水線を含む画像データから基準物を検知し、
コンピュータが、前記基準物の前記画像データにおける高さ方向の画素数と、前記基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算し、
コンピュータが、前記画像データにおける床面から前記浸水線までの画素数と、前記単位高さとから、前記床面から前記浸水線までの距離である浸水高を計算する浸水高計算方法。 - 壁面における浸水線を含む画像データから基準物を検知する検知処理と、
前記検知処理によって検知された前記基準物の前記画像データにおける高さ方向の画素数と、前記基準物の実際の高さである実高さとから、単位画素当たりの高さである単位高さを計算する単位高さ計算処理と、
前記画像データにおける床面から前記浸水線までの画素数と、前記単位高さ計算処理によって計算された前記単位高さとから、前記床面から前記浸水線までの距離である浸水高を計算する浸水高計算処理と
を行う浸水高計算システムとしてコンピュータを機能させる浸水高計算プログラム。
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