本実施形態を図1乃至図8に基づいて詳細に説明する。
以下に、第1~第3実施形態に係るディスクブレーキ1a~1cを図1乃至図8に基づいてそれぞれ説明する。以下の説明において、図1、図2、図4、図6、図8における右側をディスクブレーキ1aにおける一端側とし、図1、図2、図4、図6、図8における左側をディスクブレーキ1aにおける他端側とする。また、図1、図2、図4、図6、図8における左右方向をディスクブレーキ1aにおける軸方向とする。
まず、第1実施形態に係るディスクブレーキ1aを図1~図4に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係るディスクブレーキ1aは、車両の回転部(図示略)に取り付けられたディスクロータD(ロータ)を挟んで該ディスクロータDの軸方向両側に配置された一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3と、浮動型のキャリパ4と、を備える。一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3、及び浮動型のキャリパ4は、車両のナックル等の非回転部(図示略)に固定されたブラケット5によって軸方向へ移動可能に支持される。
キャリパ4の主体であるキャリパ本体6は、基端側(一端側)に形成されたシリンダ部7と、該シリンダ部7からディスクロータDを跨ぐように他端側に延び、その先端側(他端側)に形成された爪部8と、を有する。シリンダ部7には、ピストン18が軸方向に沿って摺動可能に嵌装されるシリンダ10が形成される。シリンダ10は、他端側が開口された大径開口部10Aと、一端側が軸孔12を有する底部13によって閉じられた有底の小径開口部10Bと、を有する。シリンダ10の大径開口部10Aで、その他端側の内壁面に環状溝14が形成される。当該環状溝14にピストンシール16が設けられる。
ピストン18は、底部19と円筒部20とからなるカップ状に形成される。ピストン18は、底部19がインナブレーキパッド2に対向するように配置される。ピストン18は、シリンダ10の大径開口部10Aに軸方向に沿って摺動可能に嵌装される。ピストン18の円筒部20の外周面が、ピストンシール16に接触される。ピストン18とシリンダ10の底部13との間には、ピストンシール16によって区画された液圧室21が形成される。液圧室21には、シリンダ部7に設けられたポート(図示省略)を介して、マスタシリンダ、液圧制御ユニット等の液圧源(図示省略)から液圧が供給される。
ピストン18の底部19の外周縁部には、凹部25が形成される。凹部25には、インナブレーキパッド2の背面に形成された凸部26が係合される。これにより、ピストン18は、シリンダ10、延いてはキャリパ本体6に対して相対回転不能となる。ピストン18の底部19と、シリンダ10の大径開口部10Aとの間には、ダストブーツ27が設けられる。ピストン18の底部19の一端側には、円形凹部30と、該円形凹部30に連続して一端側へ向かうにつれて拡径される環状の傾斜部31とが形成される。
キャリパ本体6には、電動モータ35と減速機構とを内蔵したモータギヤユニット36と、回転直動変換機構としてのピストン推進機構37と、が設けられる。ピストン推進機構37は、モータギヤユニット36の回転運動(出力)を直線運動に変換してピストン18を推進させる(他端側へ移動させる)と共に、該ピストン18を制動位置に保持するものである。モータギヤユニット36には、電動モータ35を制御する電子制御ユニット38が接続される。電子制御ユニット38には、パーキングブレーキのON/OFF時に操作されるパーキングスイッチ39が接続される。なお、電子制御ユニット38は、パーキングスイッチ39の操作によらず、車両側からの信号に基づいてパーキングブレーキを作動させることができる。また、モータギヤユニット36の減速機構は、例えば、平歯多段減速機構、遊星歯車減速機構を含む。
図2及び図3も参照して、ピストン推進機構37は、スピンドル48と、滑りねじ係合部45と、ローラねじ機構46と、を備えている。スピンドル48は、一端側に形成される軸部49と、他端側に形成される雄ねじ部50と、軸部49と雄ねじ部50との間に形成されるフランジ部51と、を備えている。スピンドル48の軸部49の一端には、モータギヤユニット36の出力部材(例えば、遊星減速歯車機構のキャリア等)に一体的に接続される多角形軸部53(図3参照)が形成される。本実施形態では、多角形軸部53は六角形軸部に形成される。これにより、モータギヤユニット36からの回転トルクがスピンドル48に伝達される。なお、スピンドル48の軸部49と、モータギヤユニット36の出力部材との接続は、多角形軸部53による回り止めの他、スプライン、キー等、回転トルクを伝達可能な機械要素を用いることができる。スピンドル48の雄ねじ部50は、その他端がピストン18の底部19に設けた円形凹部30に近接して配置される。スピンドル48のフランジ部51の一端面には、スラストボール65の転動面54(図3参照)が形成される。スピンドル48のフランジ部51の他端面には、凸部55が周方向に沿って複数形成される。
なお、シリンダ10の底部13に形成された軸孔12の内周面に、ガイドスリーブ56が嵌着される。スピンドル48の軸部49は、このガイドスリーブ56を介して、キャリパ本体6によって回転可能に支持される。シリンダ10の軸孔12と、スピンドル48の軸部49との間は、シールリング57によってシールされる。該シールリング57は、ガイドスリーブ56より他端側に配置される。
シリンダ10内でその底部13付近にベースプレート60が配置される。ベースプレート60は、後述するナット部材77の一端内周側に配置される。詳しくは、ベースプレート60は、スピンドル48のフランジ部51の一端側(転動面54)に対向するようにして、ナット部材77の大径ナット部151の一端内周側に配置される。該ベースプレート60は、軸孔61を有する円板形状に形成される。該軸孔61には、スピンドル48の軸部49が摺動可能に嵌合される。ベースプレート60の他端面には、スラストボール65の転動面63が形成される。そして、スピンドル48のフランジ部51の一端面に設けた転動面54と、ベースプレート60の他端面に設けた転動面63の間に、複数のスラストボール65が転動自在に配置される。複数のスラストボール65は、リテーナ66によって周方向へ一定の間隔をあけて保持される。
ベースプレート60の外周面には、一端側に向かって縮径される傾斜面68が形成される。なお、後述するナット部材77のリテーニング溝部158と、ベースプレート60の傾斜面68との間にC形(円弧状)のリテーニングリング70が装着され、ベースプレート60がナット部材77に対し一端側に移動しないように規制する。該リテーニングリング70は、断面円形をなす穴用止め輪であり、圧縮(縮径)された状態で、ナット部材77のリテーニング溝158に装着される。なお、ベースプレート60の外周面には、ブレーキ液を軸方向へ流通させるための複数個の切欠き部71(図3参照)が形成される。
滑りねじ係合部45は、スピンドル48の雄ねじ部50と、後述するシャフト部材75の雌ねじ部84との間の螺合部にて構成される。滑りねじ係合部45は、スピンドル48がアプライ方向またはリリース方向へ回転されると、シャフト部材75を回転方向、及び軸方向へ移動可能に構成される。なお、滑りねじ係合部45は、逆効率が0以下に設定されており、シャフト部材75に作用する軸方向への推力によってスピンドル48を回転させることができない。すなわち、滑りねじ係合部45は、スピンドル48の回転トルクを、シャフト部材75に軸方向への推力に変換することができるが、シャフト部材75の軸方向への推力を、スピンドル48の回転トルクに変換することはできない。
ローラねじ機構46は、軸部材としてのシャフト部材75と、転動体としてのプラネタリローラ76と、筒状部材としてのナット部材77と、を備えている。シャフト部材75は、スピンドル48の周りに配置される。シャフト部材75は、円筒状に形成される。シャフト部材75は、一端側に形成される小径シャフト部79と、他端側に形成される大径シャフト部80とが一体的に接続されて構成される。小径シャフト部79の一端面には、周方向へ間隔をあけて複数の凸部81(図3参照)が形成される。該小径シャフト部79の一端側外周面には、軸方向に沿って所定ピッチで円環状溝部83が形成される。当該各円環状溝部83が、各プラネタリローラ76の外周面に設けられた各円環状山部110に係合される。
小径シャフト部79の内周面には、雌ねじ部84が形成される。この雌ねじ部84に、スピンドル48の雄ねじ部50が螺合されて滑りねじ係合部45として作用する。大径シャフト部80には、その周壁部に径方向に沿って貫通する連通孔86が形成される。大径シャフト部80の他端面には、スラストボール99の転動面88が形成される。大径シャフト部80の軸孔の他端側には、後述するベアリングホルダ103が嵌着される、雌ねじ部84より大径のホルダ嵌合孔89が形成される。なお、シャフト部材75の小径シャフト部79の一端面に設けた複数の凸部81と、スピンドル48のフランジ部51の他端面に設けた複数の凸部55とが干渉したとき、両者の相対回転が規制される。これにより、スピンドル48(雄ねじ部50)のシャフト部材75(雌ねじ部84)への過度のねじ込みによる固着(噛み込み)が防止される。
シャフト部材75(大径シャフト部80)の他端面と対向するように、スラストプレート92が配置される。スラストプレート92は、スピンドル48の雄ねじ部50が挿通される軸孔93を有する円環状に形成される。スラストプレート92の軸孔93の内径は、大径シャフト部80のホルダ嵌合孔89の内径に略一致する。スラストプレート92の外周面には、ブレーキ液を軸方向へ流通させるための複数の切欠き部95(図3参照)が形成される。スラストプレート92の他端面には、ピストン18の底部19に設けた傾斜部31に当接される当接面94が形成される。スラストプレート92の一端面には、スラストボール99の転動面97が形成される。そして、複数のスラストボール99が、スラストプレート92の転動面97とシャフト部材75(大径シャフト部80)の転動面88との間に転動自在に配置される。複数のスラストボール99は、リテーナ100によって周方向へ一定の間隔をあけて保持される。
スラストプレート92の軸孔93の内周面から大径シャフト部80のホルダ嵌合孔89内に亘って、ベアリングホルダ103が挿通される。ベアリングホルダ103は、円筒状に形成される。ベアリングホルダ103の他端外周面には、径方向外方に突設される環状の環状係止部105が形成される。ベアリングホルダ103は、その外周面に弾性片106が180°ピッチで2箇所設けられている。各弾性片106は、ベアリングホルダ103の外周壁を切り込んで形成される。各弾性片106の先端には、係止爪部107が径方向外方に向かって突設される。係止爪部107は、弾性片106が弾性変形することにより、ベアリングホルダ103の外周面から径方向に沿って出没可能となる。ベアリングホルダ103は、その環状係止部105がスラストプレート92の他端面に当接されると共に、各弾性片106の係止爪部107が、大径シャフト部80の連通孔86内に内側から係合されることで、スラストプレート92を、リテーナ100を含むスラストボール99と共にシャフト部材75の他端に一体的に保持することができる。
シャフト部材75の小径シャフト部79の外周には、周方向に沿って間隔を置いて複数のプラネタリローラ76が係合される。本実施形態では、プラネタリローラ76は6本配置される。プラネタリローラ76には、その外周面に軸方向に沿って所定ピッチで円環状山部110が形成される。プラネタリローラ76の各円環状山部110が、シャフト部材75(小径シャフト部79)の外周面に設けた各円環状溝部83に係合される。これにより、シャフト部材75と各プラネタリローラ76とは、軸方向への相対移動が規制される。これらプラネタリローラ76は、ローラ保持ユニット120aによって保持される。
図2~図4に示すように、当該ローラ保持ユニット120aは、各プラネタリローラ76を、隣接するプラネタリローラ76が互いに干渉しないように保持する機能と、各プラネタリローラ76に対して、一端側及び他端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)を付与する与圧機構としての機能と、を有するものである。ローラ保持ユニット120aは、シャフト部材75の外周面に係合される複数のプラネタリローラ76を、カラー部材122及び圧縮コイルバネ123と共にローラケージ124に一体化して保持するものである。なお、ローラケージ124が、第1付勢部材に相当する。カラー部材122が、第2付勢部材に相当する。圧縮コイルバネ123が、弾性部材に相当する。このローラ保持ユニット120aは、シャフト部材75の周りに該シャフト部材75に対して回転自在で、且つ後述するナット部材77に対して軸方向に摺動自在に支持される。ローラケージ124は、円筒状に形成される。ローラケージ124の周壁部には、プラネタリローラ76をそれぞれ収容する第1及び第2ローラ収容孔127、128が形成される。本実施形態では、第1ローラ収容孔127が3箇所、第2ローラ収容孔128が3箇所形成される。
第1及び第2ローラ収容孔127、128は、周方向に沿って交互に形成される。第1及び第2ローラ収容孔127、128は、軸方向に長い平面視略矩形状に形成される。第1及び第2ローラ収容孔127、128は、その開口面積は全て同じである。第1及び第2ローラ収容孔127、128の周方向の長さ(幅長)は、プラネタリローラ76を収容できる寸法であり、プラネタリローラ76の外径と略一致する。第1及び第2ローラ収容孔127、128の軸方向の長さは、プラネタリローラ76の長さより若干大きくなる。なお、図4から解るように、各第1及び第2ローラ収容孔127、128にプラネタリローラ76をそれぞれ収容すると、ローラケージ124の周壁部と、各プラネタリローラ76の径方向中心を結ぶ円形状とが略一致するように配置される。これにより、各プラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部、及び各プラネタリローラ76とナット部材77との係合部へのローラケージ124の巻き込みが抑制されて、精度良く各プラネタリローラ76の位置を保持することができる。
図4から解るように、第1及び第2ローラ収容孔127、128は、その開口位置が軸方向に沿って互いにずれている。詳しくは、各第1ローラ収容孔127は、各第2ローラ収容孔128よりも、プラネタリローラ76(シャフト部材75)の円環状山部110(円環状溝部83)の1ピッチ分程度、一端側にずれている。図3も参照して、ローラケージ124の他端には、バネ受け片130、130が、周方向に間隔を置いて複数形成されている。ローラケージ124の他端面には、各第1ローラ収容孔127と対応する位置に、平面視略矩形状の切欠き溝131がそれぞれ形成されている。これら切欠き溝131の底部には、径方向外方に向かう小突起部132がそれぞれ形成される。なお、ローラケージ124の周壁部において、第1及び第2ローラ収容孔127、128の間に、径方向内側に突設する補強リブ135、135が複数形成されている。また、ローラケージ124は、その複数の補強リブ135の内壁面が、シャフト部材75の外周面に当接されることで、シャフト部材75に対して回転自在に支持され、ひいてはローラ保持ユニット120aが、シャフト部材75に対して回転自在に支持される。
ローラケージ124内で、第1及び第2ローラ収容孔127、128より他端側にカラー部材122が配置されている。カラー部材122は、円筒状に形成される。カラー部材122の外周面が、ローラケージ124の内周面に当接される。図3を参照して、カラー部材122の一端面には、ローラケージ124に設けた補強リブ135と係合する係合凹部137がそれぞれ形成されている。カラー部材122の周壁部で、係合凹部137が形成される部位の一箇所に軸方向に延びる隙間138が設けられている。カラー部材122の他端側に、圧縮コイルバネ123が配置されている。圧縮コイルバネ123は、その外周面がローラケージ124の内周面に当接される。なお、本実施形態では、カラー部材122は、ローラケージ124の径方向内側に配置されているが、径方向外側に配置してもよい。
そして、ローラ保持ユニット120aを構成するローラケージ124の第1及び第2ローラ収容孔127、128内に、プラネタリローラ76をそれぞれ収容して、各プラネタリローラ76の各円環状山部110をシャフト部材75の各円環状溝部83に係合する。このとき、各第1ローラ収容孔127内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合位置は、各第2ローラ収容孔128内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合位置よりも、プラネタリローラ76(シャフト部材75)の円環状山部110(円環状溝部83)の1ピッチ分、一端側にずれている。続いて、ローラケージ124内に他端側からカラー部材122を挿入して、カラー部材122の各係合凹部137に、ローラケージ124の各補強リブ135を係合させる。これにより、これらローラケージ124とカラー部材122とが相対回転不能に連結される。続いて、ローラケージ124内に他端側から圧縮コイルバネ123を圧縮状態でローラケージ124内に収容して、圧縮コイルバネ123の一端をカラー部材122の他端面に当接させつつ、ローラケージ124の各バネ受け片130を径方向内側に折り曲げて、各バネ受け片130により圧縮コイルバネ123を保持する。
これにより、このローラ保持ユニット120aでは、図4から解るように、圧縮コイルバネ123の付勢力により、カラー部材122の一端面が各第2ローラ収容孔128内に収容された各プラネタリローラ76の他端面に当接して、各プラネタリローラ76を一端側に向かって付勢する。このとき、各第2ローラ収容孔128に収容されたプラネタリローラ76の一端面と、各第2ローラ収容孔128の一端面との間にはクリアランスが設けられる。その結果、圧縮コイルバネ123の付勢力により、各第2ローラ収容孔128内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、一端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、この係合部に対して、一端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される。
一方、このローラ保持ユニット120aでは、圧縮コイルバネ123の付勢力により、ローラケージ124の各第1ローラ収容孔127の一端面が、各第1ローラ収容孔127に収容された各プラネタリローラ76の一端面に当接して、各プラネタリローラ76を他端側に向かって付勢する。この時、各第1ローラ収容孔127に収容されたプラネタリローラ76の他端面と、第1ローラ収容孔127の他端面及びカラー部材122の一端面との間にはクリアランスが設けられる。その結果、圧縮コイルバネ123の付勢力により、各第1ローラ収容孔127内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、他端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、この係合部に対して、他端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される。
要するに、このローラ保持ユニット120aは、ローラケージ124の各第2ローラ収容孔128内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部においては、一端側に向かう荷重(接触圧、摩擦力)が付与される一方、各第1ローラ収容孔127内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部においては、他端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される与圧機構として機能する。
また、図1及び図2に示すように、ナット部材77は、段付円筒形状に形成される。ナット部材77は、一端側に開口される大径ナット部151と、他端側に開口される小径ナット部152とが一体的に接続されて構成される。図3を参照して、大径ナット部151の一端面からは、ストッパ壁部160、160が対向するように突設されている。各ストッパ壁部160、160が、キャリパ本体6のシリンダ10の底部13に設けた係合凹部(図示略)にそれぞれ係合される。これにより、ナット部材77は、キャリパ本体6に対する相対回転が規制される。大径ナット部151の一端は、シリンダ10の底部13に近接した位置に配置される。大径ナット部151には、その周壁部を径方向に貫通してブレーキ液を流通させる複数の通路157が設けられる。大径ナット部151の内周面には、リテーニングリング70が装着される、環状のリテーニング溝部158が形成される。小径ナット部152の他端は、軸方向で、シャフト部材75に設けた連通孔86よりの若干他端側に位置する。小径ナット部152の内周面には雌ねじ部155が形成される。この雌ねじ部155は、小径ナット部152の軸方向略全域に亘って設けられている。
このナット部材77の雌ねじ部155が、各プラネタリローラ76の各円環状山部110と係合される(噛み合わされる)。ナット部材77の雌ねじ部155とプラネタリローラ76の各円環状山部110とは、雌ねじ部155のピッチと各円環状山部110のピッチ(軸方向間隔)とが同一で、かつ雌ねじ部155の条数をプラネタリローラ76の数量の整数倍に設定することにより、相互に噛み合わされる。例えば、6個のプラネタリローラ76を用いて、雌ねじ部155及び各円環状山部110のピッチを1mmとした場合、雌ねじ部155の条数を6(6個×1倍)に設定することにより、ナット部材77の雌ねじ部155とプラネタリローラ76の各円環状山部110とを噛み合わせることができる。なお、このときのリードは6mmである。
次に、第1実施形態のディスクブレーキ1aの作用を説明する。
運転者によってブレーキペダル(図示略)が踏み込まれると、ブレーキペダルの踏力に応じた液圧が、マスタシリンダ、液圧回路(以上、図示省略)を経由し、キャリパ本体6(シリンダ10)内の液圧室21へ供給される。これにより、ピストン18は、ピストンシール16を弾性変形させながら、非制動時の原位置(図1参照)から他端側へ移動し、インナブレーキパッド2をディスクロータDに押し付ける。続いて、キャリパ4は、ピストン18の反力によってブラケット5に対して一端側へ移動し、爪部8に当接されたアウタブレーキパッド3をディスクロータDに押し付ける。その結果、ディスクロータDが一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3によって挟み付けられて摩擦力が発生して、車両の制動力が発生する。
一方、運転者によってブレーキペダルが戻されると、マスタシリンダから液圧室21への液圧の供給が停止し、液圧室21内の液圧が低下する。これにより、ピストン18が、ピストンシール16の弾性変形の復元力によって原位置まで後退し、車両の制動力が解除される。なお、インナ及びアウタブレーキパッド2、3の摩耗に伴って、ピストン18の移動量が増大してピストンシール16の弾性変形の限界を越えると、ピストン18とピストンシール16との間に滑りが生じ、当該滑りによってキャリパ本体6に対するピストン18の原位置が移動する。これにより、インナ及びアウタブレーキパッド2、3が摩耗した場合でも、パッドクリアランスが一定に調整される。
次に、第1実施形態に係るディスクブレーキ1aによる、車両の停止状態を維持するパーキングブレーキの作用を説明する。
電子制御ユニット38は、パーキングブレーキの解除状態からパーキングスイッチ39の操作等によるアプライ指令(パーキングブレーキ作動指令)を受けると、モータギヤユニット36の電動モータ35へ通電してスピンドル48をアプライ方向へ回転させる。スピンドル48へ伝達された回転トルクは、スピンドル48の雄ねじ部50とシャフト部材75の雌ねじ部84との滑りねじ係合部45を介して、シャフト部材75へ伝達される。なお、シャフト部材75には、スピンドル48から伝達される回転トルクに対して、各プラネタリローラ76からの回転抵抗トルクが反力として付与されるため、シャフト部材75は、スピンドル48に対して相対回転すると共に、他端側への軸方向推力が付与される。
シャフト部材75へ伝達された回転トルクは、シャフト部材75の各円環状溝部83とプラネタリローラ76の各円環状山部110との係合部を介して、プラネタリローラ76へ伝達される。プラネタリローラ76へ伝達された回転トルクは、プラネタリローラ76の各円環状山部110とナット部材77の各雌ねじ部155との係合部(噛み合い部)を介して、ナット部材77へ伝達される。ナット部材77は、シリンダ部7に対して相対回転不能に支持されているために、各プラネタリローラ76は、自身の回転軸を中心に自転しながらナット部材77の軸線を中心にアプライ方向へ公転する。このとき、各プラネタリローラ76には、伝達された回転トルクに応じた他端側への軸方向推力が発生する。各プラネタリローラ76に発生した推力は、プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部を介して、シャフト部材75へ伝達される。その結果、シャフト部材75が回転しながら他端側へ移動する。
一方、スピンドル48の雄ねじ部50とシャフト部材75の雌ねじ部84との間の滑りねじ係合部45では、シャフト部材75からプラネタリローラ76へ伝達される回転トルクとほぼ等しい回転トルクを、スピンドル48からシャフト部材75へ伝達している。このため、上述したように、滑りねじ係合部45には、伝達トルクに応じた他端側への軸方向推力が発生する。当該滑りねじ係合部45に発生した軸方向推力により、シャフト部材75は、スピンドル48に対して他端側への軸方向推力を受ける。このように、シャフト部材75は、滑りねじ係合部45においてスピンドル48から伝達される回転トルクによる他端側への軸方向推力と、ローラねじ機構46のナット部材77と各プラネタリローラ76との間に発生した他端側への軸方向推力と、を合わせた軸方向推力を受ける。
これらの他端側への軸方向推力を受けたシャフト部材75は、ナット部材77の雌ねじ部155に沿うように回転しながら他端側へ移動し、スラストボール99を介してスラストプレート92の当接面94をピストン18の底部19の傾斜部31に押し付ける。これにより、ピストン18は、他端側へ移動し、インナブレーキパッド2に押し付けられる。その結果、インナ及びアウタブレーキパッド2、3がディスクロータDに押し付けられ、車両の制動力が発生する。電子制御ユニット38は、シャフト部材75がピストン18を押し付ける力、換言すると、車両の制動力が、予め定められた所定値に到達すると、モータギヤユニット36の電動モータ35への通電を停止し、スピンドル48のアプライ方向への駆動(回転)を停止させる。なお、電子制御ユニット38は、シャフト部材75がピストン18を押し付ける力(シャフト部材75の推力)を、例えば、電動モータ35の電流値に基づき算出することができる。
前述したように、滑りねじ係合部45は、逆効率が0以下であるので、スピンドル48の回転トルクをシャフト部材75の他端側への軸方向推力に変換することができるが、シャフト部材75への軸方向推力をスピンドル48の回転トルクに変換することができない。これにより、電子制御ユニット38が電動モータ35への通電を停止したとき、シャフト部材75は、ピストン18を介してディスクロータDからの押圧力の反力が作用しても、停止状態を維持することができる。その結果、ピストン18が制動位置に保持され、パーキングブレーキの作動が完了する。パーキングブレーキの作動が完了した状態では、ディスクロータDからの押圧力の反力が、スラストプレート92、スラストボール99、シャフト部材75、スピンドル48、スラストボール65、およびベースプレート60を介してキャリパ本体6のシリンダ10の底部13へ伝達され、ピストン18の保持力となる。
そして、電子制御ユニット38は、パーキングスイッチ39の操作等のリリース指令(パーキングブレーキ解除指令)を受けると、モータギヤユニット36の電動モータ35へ通電し、スピンドル48をリリース方向へ回転させる。スピンドル48へ伝達された回転トルクは、スピンドル48の雄ねじ部50とシャフト部材75の雌ねじ部84との滑りねじ係合部45を介して、シャフト部材75へ伝達され、シャフト部材75をリリース方向へ相対回転させる。シャフト部材75へ伝達された回転トルクは、シャフト部材75の各円環状溝部83とプラネタリローラ76の各円環状山部110との係合部を介して、プラネタリローラ76へ伝達される。
プラネタリローラ76へ伝達された回転トルクは、各プラネタリローラ76の各円環状山部110とナット部材77の各雌ねじ部155との係合部(噛み合い部)を介して、ナット部材77へ伝達される。ナット部材77は、シリンダ部7に対して相対回転不能に支持されているために、各プラネタリローラ76は、自身の回転軸を中心に自転しながらナット部材77の軸線を中心にリリース方向へ公転する。このとき、各プラネタリローラ76には、伝達された回転トルクに応じて一端側、すなわち、アプライ作動時とは反対方向への軸方向推力が発生する。各プラネタリローラ76に発生した軸方向推力は、各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部を介して、シャフト部材75へ伝達される。
そして、各プラネタリローラ76からシャフト部材75に一端側への軸方向推力が伝達される、換言すると、ねじ効率が高いローラねじ機構46にアプライ作動時とは反対方向への軸方向推力が発生すると同時に、シャフト部材75の雌ねじ部84とスピンドル48の雄ねじ部50との滑りねじ係合部45には、当該滑りねじ係合部45が緩められる方向へ作用するトルク反力が発生する。その結果、シャフト部材75は、ナット部材77の雌ねじ部155に沿うように回転しながら一端側へ移動し、インナ及びアウタブレーキパッド2、3によるディスクロータDの押圧力が解除される。電子制御ユニット38は、ピストン18の底部19の傾斜部31とスラストプレート92の当接面94との間に予め定められた距離(クリアランス)が確保された初期状態に戻ると、モータギヤユニット36の電動モータ35への通電を停止する。
なお、リリース作動時には、シャフト部材75がスピンドル48に対して相対回転しながら一端側に移動するが、シャフト部材75の一端面に形成した凸部81が、スピンドル48のフランジ部51の他端面の凸部55に係合されることで、シャフト部材75のスピンドル48に対する相対回転が規制される。これにより、スピンドル48の雄ねじ部50の、シャフト部材75の雌ねじ部84への過度なねじ込みが抑制される。
ところで、従来技術においては、ローラねじ機構として、シャフト部材とプラネタリローラとの間の係合部に対して一端側(ディスクロータ側と反対側)に向かって付勢力を付与する圧縮コイルバネ(与圧機構)を備えている。その結果、リリース作動時、特に、クリアランス領域において、シャフト部材には、スピンドルのリリース方向への回転による戻し方向への軸方向荷重(一端に向かう方向への軸方向荷重)が付与され、このシャフト部材の戻し方向への軸方向荷重と、圧縮コイルバネによる与圧荷重とがほぼ等しくなるタイミングが生じる。このシャフト部材への戻し方向の軸方向荷重、及び圧縮コイルバネによる与圧荷重の方向は同じであり、共に一端側に向かう方向であるために、シャフト部材と各プラネタリローラとの係合部には、圧縮コイルバネによる与圧荷重からシャフト部材の戻し方向への軸方向荷重を差し引いた分だけが軸方向荷重(接触圧、摩擦力)として加わることになる。
つまり、このタイミングでは、シャフト部材と各プラネタリローラとの係合部に付与される軸方向荷重がほぼゼロになり、これに伴って、シャフト部材と各プラネタリローラとの係合部における回転抵抗トルク(摩擦力)が小さくなる。結果として、圧縮コイルバネによる与圧荷重によって生じる、各プラネタリローラとローラケージとの間の回転抵抗トルク(摩擦力)が、シャフト部材と各プラネタリローラとの係合部における回転抵抗トルク(摩擦力)よりも大きくなるために、リリース作動時、各プラネタリローラは自身の回転軸を中心に自転することなく、各プラネタリローラ及びローラケージは、シャフト部材に対する相対回転が停止されて、シャフト部材と共に一体的に回転しまう。すなわち、シャフト部材と、各プラネタリローラと、ナット部材とが互いに相対回転することで得られる遊星減速作用がなくなるために、シャフト部材の回転に伴って、各プラネタリローラのリリース方向への軸方向移動量が大きくなってしまう。この現象は、各構成部材間の摩擦係数が関係するために、同じサンプルであっても、作動毎に各プラネタリローラのリリース方向への軸方向移動量(リード)がバラツキ、この影響でアプライ作動時間もバラツキ、そのアプライ作動時間が所望時間を超えてしまう、という問題が発生していた。
これに対して、第1実施形態に係るディスクブレーキ1aでは、ローラ保持ユニット120aにおいて、圧縮コイルバネ123の付勢力により、ローラケージ124の各第2ローラ収容孔128内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、一端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、一端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与され、すなわち各第2ローラ収容孔128内に収容された各プラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部においては、一端側に向かう軸方向荷重が付与される。一方、圧縮コイルバネ123の付勢力により、ローラケージ124の各第1ローラ収容孔127内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110を他端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、他端側に向かう軸方向荷重が付与され、すなわち各第1ローラ収容孔127内に収容された各プラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部においては、他端側に向かう軸方向荷重が付与される。
これにより、リリース作動時、特に、クリアランス領域において、シャフト部材75に、スピンドル48のリリース方向への回転による戻し方向への軸方向荷重(一端側への軸方向荷重)が付与された場合でも、各プラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部には、少なくとも、ローラケージ124の各第1ローラ収容孔127内に収容された各プラネタリローラ76とシャフト部材75の係合部における軸方向荷重(他端側への軸方向荷重)以上の軸方向荷重が付与される。これにより、各プラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部において、必要十分な摩擦力(接触圧)を確保することができる。その結果として、圧縮コイルバネ123による与圧荷重によって生じる、各プラネタリローラ76とローラケージ124との間の回転抵抗トルク(摩擦力)が、シャフト部材75と各プラネタリローラ76との係合部における回転抵抗トルク(摩擦力)よりも小さくなるために、リリース作動時、各プラネタリローラ76は自身の回転軸を中心に自転して、各プラネタリローラ76及びローラケージ124は、シャフト部材75に対して相対回転することができる。
すなわち、シャフト部材75と、各プラネタリローラ76と、ナット部材77とが互いに相対回転することで得られる遊星減速作用を奏することができるために、シャフト部材75の回転に伴って、各プラネタリローラ76のリリース方向への軸方向移動量を小さくすることができる。そして、リリース作動時において、各構成部材間の摩擦係数や他の条件に関係なく、各プラネタリローラ76のリリース方向への軸方向移動量(リード)のバラツキ幅を縮小することができる。その結果、アプライ作動時間のバラツキ幅を縮小することができ、ひいてはそのアプライ作動時間を所望時間内に抑えることができる。言い換えれば、アプライ及びリリース作動時間、ひいては作動音の聞こえる長さを安定させることができるので、運転者の聴感上のフィーリングを向上させることができる。
なお、上述した本実施形態では、圧縮コイルバネ123の付勢力により、全てのプラネタリローラ76(本実施形態では6本)のうち、半数のプラネタリローラ76(本実施形態では3本)とシャフト部材75との係合部には、一端側に向かう軸方向荷重が予め付与され、残り半数のプラネタリローラ76(本実施形態では3本)とシャフト部材75との係合部には、他端側に向かう軸方向荷重が予め付与されているが、全てのプラネタリローラ76のうち、1本以上のプラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部に、一方への軸方向荷重を予め付与して、残りのプラネタリローラ76のうち1本以上のプラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部に、他方への軸方向荷重を予め付与してもよい。
例えば、全てのプラネタリローラ76のうち、1本のプラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部に、一方への軸方向荷重を予め付与して、残りのプラネタリローラ76のうち1本のプラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部に、他方への軸方向荷重を予め付与して、残りのプラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部には、軸方向荷重を予め付与しない形態を採用してもよい。また、全てのプラネタリローラ76のうち、1本のプラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部に、一方への軸方向荷重を予め付与して、残りのプラネタリローラ76とシャフト部材75との係合部に、他方への軸方向荷重を予め付与してもよく、その組み合わせについて限定されることはない。
また、上述した実施形態では、ローラケージ124に設けた、各第1ローラ収容孔127は、各第2ローラ収容孔128よりも、プラネタリローラ76(シャフト部材75)の円環状山部110(円環状溝部83)の1ピッチ分、一端側にずれているが、2ピッチ以上一端側に形成してもよい。
次に、第2実施形態に係るディスクブレーキ1bを図5及び図6に基づいて説明する。第2実施形態に係るディスクブレーキ1bは、第1実施形態に係るディスクブレーキ1aと、ローラ保持ユニット120bの構成が相違するために、当該ローラ保持ユニット120bの構成についてのみ詳細に説明する。
第2実施形態に係るディスクブレーキ1bに採用したローラ保持ユニット120bは、シャフト部材75の外周面に係合される各プラネタリローラ76を、カバー部材201及び圧縮コイルバネ202と共にローラケージ203に一体化して保持するものである。なお、ローラケージ203が第1付勢部材に相当する。カバー部材201が第2付勢部材に相当する。圧縮コイルバネ202が弾性部材に相当する。このローラ保持ユニット120bは、シャフト部材75の周りに該シャフト部材75に対して回転自在で、且つナット部材77に対して軸方向に摺動自在に支持される。
ローラケージ203は、全体として円筒形状に形成される。該ローラケージ203は、大径ケージ部207と、該大径ケージ部207から一端側に向かって縮径されるテーパ状ケージ部208と、該テーパ状ケージ部208の一端に接続される小径ケージ部209と、を一体的に備えている。大径ケージ部207は、小径ケージ部209より軸方向の長さが相当長く形成される。大径ケージ部207の他端面には、周方向に間隔を置いて複数の係止凸部212が形成される。本実施形態では、係止凸部212は3箇所形成される。
大径ケージ部207からテーパ状ケージ部208に亘ってその周壁部に、各プラネタリローラ76を収容する第1及び第2ローラ収容孔214、215がそれぞれ形成される。第1及び第2ローラ収容孔214、215は、周方向に沿って交互に形成される。本実施形態では、第1ローラ収容孔214が3箇所、第2ローラ収容孔215が3箇所形成される。第1及び第2ローラ収容孔214、215は、軸方向に長い平面視略矩形状に形成される。第1及び第2ローラ収容孔214、215の周方向の長さ(幅長)は、プラネタリローラ76を収容できる寸法であり、プラネタリローラ76の外径と略一致する。第1及び第2ローラ収容孔214、215の軸方向の長さは、プラネタリローラ76の長さより若干大きくなる。
各第1ローラ収容孔214の一端面と、各第2ローラ収容孔の一端面とは略同一平面上に位置して、テーパ状ケージ部208と小径ケージ部209との境目付近に位置する。一方、各第2ローラ収容孔215の他端面は、各第1ローラ収容孔214の他端面よりも他端側に位置している。大径ケージ部207の周壁部で、第1及び第2ローラ収容孔214、215の間の他端側には、径方向内側に突設する補強リブ217が複数形成されている。また、ローラケージ203は、小径ケージ部209の内周面、及び各補強リブ217の内壁面が、シャフト部材75の外周面に当接されて、シャフト部材75に対して回転自在に支持され、ひいてはローラ保持ユニット120bが、シャフト部材75に対して回転自在に支持される。
ローラケージ203の径方向外側にカバー部材201が配置される。カバー部材201は、円筒状のカバー本体部220と、該カバー本体部220から他端側に突設される複数のバネ受支持部221と、を備えている。カバー本体部220は、その軸方向の長さがローラケージ203の軸方向の長さと略一致する。カバー本体部220の周壁部には、各プラネタリローラ76が挿入される第1及び第2ローラ挿入孔224、225が形成される。第1及び第2ローラ挿入孔224、225は、ローラケージ203に設けた第1及び第2ローラ収容孔214、215に対応して、周方向に沿って交互に形成される。第1及び第2ローラ挿入孔224、225は、軸方向に長い平面視略矩形状に形成される。第1及び第2ローラ挿入孔224、225の周方向の長さ(幅長)は、ローラケージ203に設けた第1及び第2ローラ収容孔214、215の周方向の長さ(幅長)より若干大きい。第1及び第2ローラ挿入孔224、225の軸方向の長さは、プラネタリローラ76の長さより若干大きくなる。各第1ローラ挿入孔224の他端面と、各第2ローラ挿入孔225の他端面とは略同一平面上に位置して、一方、第2ローラ挿入孔225の一端面が、第1ローラ挿入孔224の一端面よりも他端側に位置している。
カバー本体部220の他端面には、バネ受支持部221が他端側に向けて複数突設される。これらバネ受支持部221は、周方向に間隔を置いて複数突設される。これらバネ受支持部221は、カバー本体部220より若干、径方向内側に位置するように形成される。各バネ受支持部221間に係止凹部227がそれぞれ形成される。本実施形態では、バネ受支持部221及び係止凹部227は3箇所形成される。各バネ受支持部221の先端(他端)には、内方に突設するバネ受け部229が形成される。各バネ受支持部221の外径が、ローラケージ203の大径ケージ部207の外径に略一致する。ローラケージ203の他端側で、カバー部材201の各バネ受支持部221内に、圧縮コイルバネ202が配置される。圧縮コイルバネ202の外径は、各バネ受支持部221の内径に略一致する。そして、圧縮コイルバネ202の一端は、ローラケージ203の他端面に当接すると共に、その他端はカバー部材201の各バネ受支持部221のバネ受け部229に当接される。
そして、カバー部材201内に一端側から圧縮コイルバネ202を挿入して、圧縮コイルバネ202の他端を、カバー部材201の各バネ受支持部221のバネ受け部229に当接させる。続いて、カバー部材201内にローラケージ203を収容すると共に、カバー部材201の各係止凹部227にローラケージ203の各係止凸部212を係合する。これにより、これらローラケージ203とカバー部材201とが相対回転不能に連結される。このとき、カバー部材201の各第1ローラ挿入孔224とローラケージ203の各第1ローラ収容孔214とが対向すると共に、カバー部材201の各第2ローラ挿入孔225とローラケージ203の各第2ローラ収容孔215とが対向するようにして圧縮コイルバネ202を圧縮させてローラケージ203の他端面を圧縮コイルバネ202の一端に当接させる。続いて、対向する、カバー部材201の第1ローラ挿入孔224及びローラケージ203の第1ローラ収容孔214内にプラネタリローラ76をそれぞれ収容すると共に、第2挿入孔225及び第2ローラ収容孔215内にプラネタリローラ76をそれぞれ収容して、各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、シャフト部材75の各円環状溝部83に係合する。
これにより、このローラ保持ユニット1bでは、図6から解るように、圧縮コイルバネ202の付勢力により、ローラケージ203の各第1ローラ収容孔214の他端面が、カバー部材201の各第1ローラ挿入孔224及びローラケージ203の各第1ローラ収容孔214内に配置された各プラネタリローラ76の他端面に当接して、各プラネタリローラ76を一端側に向かって付勢する。このとき、当該各プラネタリローラ76の一端面と、カバー部材201の各第1ローラ挿入孔224及びローラケージ203の各第1ローラ収容孔214の一端面との間にはクリアランスが設けられている。その結果、圧縮コイルバネ202の付勢力により、当該各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、一端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、この係合部に対しては、一端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される。
一方、圧縮コイルバネ202の付勢力により、カバー部材201の各第2ローラ挿入孔225の他端面が、カバー部材201の各第2ローラ挿入孔225及びローラケージ203の各第2ローラ収容孔215内に配置されたプラネタリローラ76の一端面に当接して、各プラネタリローラ76を他端側に向かって付勢する。このとき、当該各プラネタリローラ76の他端面と、カバー部材201の各第2ローラ挿入孔225及びローラケージ203の各第2ローラ収容孔215の他端面との間にはクリアランスが設けられている。その結果、圧縮コイルバネ202の付勢力により、当該各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、他端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、この係合部に対しては、他端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される。
要するに、このローラ保持ユニット1bでは、カバー部材201の各第1ローラ挿入孔224及びローラケージ203の各第1ローラ収容孔214内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部においては、一端側に向かう荷重(接触圧、摩擦力)が付与される一方、カバー部材201の各第2ローラ挿入孔225及びローラケージ203の各第2ローラ収容孔215内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部においては、他端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される与圧機構として機能する。
そして、第2実施形態に係るディスクブレーキ1bでは、上述した、第1実施形態に係るディスクブレーキ1aと同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態に係るディスクブレーキ1bに採用したローラ保持ユニット120bでは、第1実施形態に係るローラ保持ユニット120aのような、ローラケージ124の各バネ受け片130を径方向内側に折り曲げて、圧縮コイルバネ123を保持するような塑性変形を伴う組付作業がないので、組立作業が容易となる。また、このローラ保持ユニット120bでは、カバー部材201は、第1及び第2ローラ挿入孔224、225に対して、その一端側の軸方向位置をずらし、ローラケージ203は、第1及び第2ローラ収容孔214、215に対して、その他端側の軸方向の位置をずらすことで、上述した作用効果を奏することができるので、第1実施形態に係るローラ保持ユニット120aよりも、プラネタリローラ76の各円環状山部110の数量を増加させることができ、耐久性を向上させることができる。
次に、第3実施形態に係るディスクブレーキ1cを図7及び図8に基づいて説明する。第3実施形態に係るディスクブレーキ1cは、第1実施形態に係るディスクブレーキ1aと、ローラ保持ユニット120cの構成が相違するために、当該ローラ保持ユニット120cの構成についてのみ詳細に説明する。
第3実施形態に係るディスクブレーキ1cに採用したローラ保持ユニット120cは、シャフト部材75の外周面に係合される各プラネタリローラ76を、ベース部材301及び圧縮コイルバネ302と共にローラケージ303に一体化して保持するものである。なお、ローラケージ303が第1付勢部材に相当する。ベース部材301が第2付勢部材に相当する。圧縮コイルバネ302が弾性部材に相当する。このローラ保持ユニット120cは、シャフト部材75の周りに該シャフト部材75に対して回転自在で、且つナット部材77に対して軸方向に摺動自在に支持される。各プラネタリローラ76には、他端側に向かって小径ローラ部76Aが一体的に突設されている。ローラケージ303は円筒状に形成される。ローラケージ303は、ローラケージ本体部307と、該ローラケージ本体部307の他端外周面から径方向外方に一体的に突設される環状のバネ受け部308と、ローラケージ本体部307の一端内周面の一範囲に設けられる平面壁部309と、を備えている。
ローラケージ本体部307の周壁部には、各プラネタリローラ76を収容する第1及び第2ローラ収容孔314、315がそれぞれ形成される。第1及び第2ローラ収容孔314、315は、周方向に沿って交互に形成される。第1及び第2ローラ収容孔314、315は、ローラケージ303の軸方向に沿って長い長孔に形成される。第1及び第2ローラ収容孔314、315は、プラネタリローラ76の各円環状山部110の範囲に対応する、幅広で略矩形状の幅広収容孔部317と、該幅広収容孔部317から他端側に形成され、プラネタリローラ76の小径ローラ部76Aに対応する、幅狭で略矩形状の幅狭収容孔部318と、から構成される。第1ローラ収容孔314の一端面と、第2ローラ収容孔315の一端面とは略同一平面上に位置して、ローラケージ303の他端に近接した位置となる。一方、第2ローラ収容孔315の他端面は、第1ローラ収容孔314の他端面よりも他端側に位置している。平面壁部309は、ローラケージ本体部307の一端内周面の一範囲から内方に突設して、その端面が直線状に延びる。この平面壁部309は、各第1ローラ収容孔314のうちいずれか一箇所の第1ローラ収容孔314と、周方向に沿う位置が一致する。
ローラケージ303の径方向内側にベース部材301が配置される。該ベース部材301は、円筒状に形成される。ベース部材301の軸方向の長さは、ローラケージ303の軸方向の長さよりも長い。ベース部材301の他端外周面には、環状のバネ受け部320が径方向外方に向かって突設されている。ベース部材301は、その外周面がローラケージ303の内周面に当接する。ベース部材301の周壁部には、各プラネタリローラ76が挿入される第1及び第2ローラ挿入孔324、325が形成される。第1及び第2ローラ挿入孔324、325は、軸方向に長い平面視略矩形状に形成される。第1及び第2ローラ挿入孔324、325は、ローラケージ303に設けた第1及び第2ローラ収容孔314、315と対応して、周方向に沿って交互に形成される。第1及び第2ローラ挿入孔324、325の周方向の長さ(幅長)は、第1及び第2ローラ収容孔314、315の周方向の長さ(幅長)より若干大きい。第1及び第2ローラ挿入孔324、325の軸方向の長さは、プラネタリローラ76の長さより若干大きくなる。
なお、各第1ローラ挿入孔324のうち一箇所の第1ローラ挿入孔324は、その他端が開放されて平面視U字状を呈している。各第1ローラ挿入孔324の他端面と、各第2ローラ挿入孔325の他端面とは略同一平面上に位置して、ベース部材301の他端側に位置している。一方、第2ローラ挿入孔325の一端面は、第1ローラ挿入孔324の一端面よりも他端側に位置している。ベース部材301のバネ受け部320と、ローラケージ303のバネ受け部308との間に圧縮コイルバネ302が配置される。なお、ベース部材301は、その内周面がシャフト部材75の外周面に当接されることで、シャフト部材75に対して回転自在に支持され、ひいてはローラ保持ユニット120cが、シャフト部材75に対して回転自在に支持される。
そして、ベース部材301の一端側から、その外周面に沿って圧縮コイルバネ302を装着して、圧縮コイルバネ302の他端をベース部材301のバネ受け部320に当接させる。続いて、ベース部材301の一端側から、その外周面に沿ってローラケージ303を装着して、ローラケージ303のバネ受け部308を圧縮コイルバネ302の一端に当接させながら圧縮コイルバネ302を圧縮させつつ、ベース部材301の、U字状を呈する第1ローラ挿入孔324から一端側に連続した対向する壁部間に、ローラケージ303に設けた平面壁部309を嵌合する。これにより、これらローラケージ303とベース部材301とが相対回転不能に連結される。このとき、ベース部材301の各第1ローラ挿入孔324とローラケージ303の各第1ローラ収容孔314とが対向すると共に、ベース部材301の各第2ローラ挿入孔325とローラケージ303の各第2ローラ収容孔315とを対向するように配置する。続いて、ベース部材301の各第1ローラ挿入孔314及びローラケージ303の各第1ローラ収容孔324内にプラネタリローラ76をそれぞれ収容すると共に、ベース部材301の各第2ローラ挿入孔315及びローラケージ303の各第2ローラ収容孔325内にプラネタリローラ76をそれぞれ収容して、各プラネタリローラ76の各円環状山部110をシャフト部材75の各円環状溝部83に係合する。
これにより、このローラ保持ユニット120cでは、図8から解るように、圧縮コイルバネ302の付勢力により、ローラケージ303の各第1ローラ収容孔314の他端面が、ベース部材301の各第1ローラ挿入孔324及びローラケージ303の各第1ローラ収容孔314内に配置されたプラネタリローラ76の小径ローラ部76Aの他端面に当接されて、各プラネタリローラ76を一端側に向かって付勢する。このとき、当該各プラネタリローラ76の一端面と、ベース部材301の各第1ローラ挿入孔324及びローラケージ303の各第1ローラ収容孔314の一端面との間にはクリアランスが設けられている。その結果、圧縮コイルバネ302の付勢力により、当該各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、一端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、この係合部に対しては、一端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される。
一方、圧縮コイルバネ302の付勢力により、ベース部材301の各第2ローラ挿入孔325の他端面が、ベース部材301の各第2ローラ挿入孔325及びローラケージ303の各第2ローラ収容孔315内に配置されたプラネタリローラ76の一端面に当接されて、各プラネタリローラ76を他端側に向かって付勢する。このとき、当該プラネタリローラ76の小径ローラ部76Aの他端面と、ベース部材301の各第2ローラ挿入孔325及びローラケージ303の各第2ローラ収容孔315の他端面との間にはクリアランスが設けられている。その結果、圧縮コイルバネ302の付勢力により、当該各プラネタリローラ76の各円環状山部110を、他端側に向かってシャフト部材75の各円環状溝部83に押し付けることで、この係合部に対しては、他端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される。
要するに、このローラ保持ユニット120cでは、ベース部材301の各第1ローラ挿入孔324及びローラケージ303の各第1ローラ収容孔314内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部においては、一端側に向かう荷重(接触圧、摩擦力)が付与される一方、ベース部材301の各第2ローラ挿入孔325及びローラケージ303の各第2ローラ収容孔315内に収容された各プラネタリローラ76の各円環状山部110とシャフト部材75の各円環状溝部83との係合部においては、他端側に向かう軸方向荷重(接触圧、摩擦力)が付与される与圧機構として機能する。
そして、第3実施形態に係るディスクブレーキ1cでは、第1実施形態に係るディスクブレーキ1cと同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態に係るディスクブレーキ1cに採用したローラ保持ユニット120cでは、ローラケージ303がベース部材301を介してシャフト部材75に回転自在に、且つ軸方向に移動自在に支持されているので、第1及び第2実施形態に係るローラ保持ユニット120a、120bのローラケージ124、203に設けた補強リブ135、135を形成する必要がなく、その製造コストを削減することができる。
以上説明した実施形態に基づくディスクブレーキ1a、1b、1cとして、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様は、ロータ(D)を挟んで該ロータ(D)の軸方向両側に配置される一対のパッド(2、3)と、前記一対のパッド(2、3)のうち一方のパッド(2)を前記ロータ(D)に押し付けるピストン(18)と、前記ピストン(18)が摺動可能に嵌装されるシリンダ(10)を有するキャリパ本体(6)と、前記キャリパ本体(6)に設けられるモータ(35)と、前記キャリパ本体(6)に設けられ、前記モータ(35)の回転運動を直線運動に変換してピストンを推進させる回転直動変換機構(37)と、を備え、前記回転直動変換機構(37)は、筒状部材(77)と、該筒状部材(77)の内側に配置され、前記モータ(35)からの回転運動が伝達される軸部材(75)と、該軸部材(75)と前記筒状部材(77)との間に配置され、前記軸部材(75)及び前記筒状部材(77)と係合される複数の転動体(76)と、を備え、前記複数の転動体(76)のうちの一部の転動体(76)は、前記筒状部材(77)の軸方向において一方の軸方向からの付勢力を受け、前記複数の転動体(76)のうち他の転動体(76)は、前記筒状部材(77)の軸方向において他方の軸方向からの付勢力を受ける。
第2の態様は、第1の態様において、前記回転直動変換機構(37)は、周壁部に前記転動体(76)が収容される収容孔(127、128)が周方向に沿って複数設けられる筒状の第1付勢部材(124)と、該第1付勢部材(124)の径方向内側または径方向外側に配置され、前記第1付勢部材(124)の端部に一端が当接するように配置され、前記筒状部材(77)の軸方向に沿って付勢力を付与する弾性部材(123)と、前記第1付勢部材(124)の径方向内側または径方向外側に配置され、前記転動体(76)と前記弾性部材(123)の他端との間に配置される第2付勢部材(122)と、を備え、前記弾性部材(123)の付勢力により、前記第1付勢部材(124)が、前記一部の転動体(76)に対して、前記一方の軸方向から付勢力を付与して、前記第2付勢部材(122)が、前記他の転動体(76)に対して、前記他方の軸方向から付勢力を付与する。
第3の態様は、第1の態様において、前記回転直動変換機構(37)は、周壁部に前記転動体(76)が収容される収容孔(214、215、314、315)が周方向に沿って複数設けられる筒状の第1付勢部材(203、303)と、該第1付勢部材(203、303)の径方向内側または径方向外側に配置され、前記転動体(76)が挿入される挿入孔(224、225、324、325)が周方向に沿って複数設けられる筒状の第2付勢部材(201、301)と、前記第1付勢部材(203、303)と前記第2付勢部材(201、301)との間に配置され、両者を軸方向に沿って離間させる方向に付勢力を付与する弾性部材(202、302)と、を備え、前記弾性部材(202、302)の付勢力により、前記第1付勢部材(203、303)が、前記一部の転動体(76)に対して、前記一方の軸方向から付勢力を付与して、第2付勢部材(202、302)が、前記他の転動体(76)に対して、前記他方の軸方向から付勢力を付与する。