JP7120979B2 - ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法に関する。
ニッケル水素二次電池として、水酸化ニッケルを正極活物質とした正極、及び水素吸蔵合金を負極活物質とした負極を備えた電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたニッケル水素二次電池に用いられる水素吸蔵合金は、希土類元素の混合物であるミッシュメタルとニッケルとを含む合金の一部を、コバルトに置換したものである。
国際公開第2013/161128号
ところで、近年においては、電池特性が良好で低コストのニッケル水素二次電池が求められている。そこで、ニッケル水素二次電池の負極を構成する水素吸蔵合金に含まれ、近年価格が上昇しつつあるコバルト(Co)に着目し、コバルトの含有量を減少させることが検討されている。
しかし、コバルトの水素吸蔵合金への含有量を低減すると、負極合剤内で局所的に電池反応が起こる反応ムラが発生することが発明者らの研究で判明している。反応ムラが発生すると、電池の内部抵抗が上昇する等、電池特性が低下する可能性がある。また、反応ムラが発生すると、負極合剤の微粉化が促進されることで負極合剤の耐久性が低下する可能性がある。このため、良好な電池特性を維持しながら、コバルトの水素吸蔵合金への含有量を減少させることのできるニッケル水素二次電池について研究が進められている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ニッケル水素二次電池の電池特性を良好に維持しつつ、水素吸蔵合金へのコバルトの含有量を低減させることにある。
上記課題を解決するニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法は、正極合剤を備える正極板、水素吸蔵合金を含む負極合剤を備える負極板及び電解液を備えるニッケル水素二次電池において、前記水素吸蔵合金はコバルトを含み、前記電解液は、前記正極合剤に含まれる正極活物質の重量に対して1.0重量%以下のタングステン元素を含むとともに、前記コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol以下である場合に、前記正極板及び前記負極板の最短距離である前記極間距離が75μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記極間距離が75μm超100μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記極間距離が100μm超150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であって、前記コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合に、前記極間距離が100μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記極間距離が100μm超150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であって、前記コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合に、前記極間距離が150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合に、前記極間距離が200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上である。
上記構成によれば、正極板及び負極板の最短距離を200μm以下といった短い距離にすることで、電池反応に伴う正極板及び負極板の間の電子の授受が行われやすくなる。さらに、電解液にタングステン元素が含まれるため、正極板及び負極板の間でタングステン元素が、多数の水酸基を配位子とする錯体の層を形成する。これにより、電子の授受が錯体を構成する多数の水酸基を介して行われることにより促進される結果、負極合剤における反応ムラの発生が抑制される。特に、正極板及び負極板の最短距離、タングステン元素の比率及びコバルトの比率が、上記範囲に含まれる場合には、コバルトの比率を低減させながら、反応ムラの抑制効果を高めることができる。つまり、コバルトの比率を一定としたとき、極間距離が大きいほど、タングステン元素の比率を大きくして、多量の水酸基によって電子の授受が円滑に行えるようにすることができる。また、極間距離を一定としたとき、コバルトの比率を低減するほどタングステン元素の比率を大きくして、電子の授受を促進することにより、コバルトによって担われていた反応ムラの抑制効果を補うことができる。また、タングステンの比率を一定としたとき、コバルトの比率を低減するほど極間距離を小さくして、電子の授受が行われやすくすることができる。よって、電池性能を良好に維持しつつ、水素吸蔵合金へのコバルトの添加量を減少させることができる。
上記ニッケル水素二次電池について、複数の前記正極板及び複数の前記負極板がセパレータを介して交互に積層された電極群を有することが好ましい。
上記構成によれば、ニッケル水素二次電池は、正極板及び負極板が交互に重ねられる構成であるため、極板の最短距離を調整しやすく、且つ最短距離のばらつきも生じにくい。このため、1枚の負極板における反応ムラを抑制することができるだけでなく、極板群を構成する複数の負極板の間においても、反応ムラを抑制する効果を同等とすることができるので、コバルトを減少させても良好な電池特性を得ることができる。
上記課題を解決するニッケル水素二次電池及びニッケル水素二次電池の製造方法は、正極合剤を備える正極板、水素吸蔵合金を含む負極合剤を有する負極板及び電解液を備えるニッケル水素二次電池において、前記水素吸蔵合金はコバルトを含み、前記電解液は、前記正極合剤に含まれる正極活物質の重量に対して1.0重量%以下のタングステン元素を含むとともに、前記負極板は基材の両面に負極合剤を備え、一方の面に設けられた前記負極合剤の厚さをA、他方の面に設けられた前記負極合剤の厚さをBとするとき(A≧B)、前記厚さA及び前記厚さBの和に対する前記厚さA及び厚さBの差の百分率を偏肉度とし、前記コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が1.0重量%であって、前記コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上であって、前記コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であって、前記コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.2重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上である。
上記構成によれば、負極板の偏肉度を20%以上とすることにより、組み立て前の負極板が、負極合剤層の厚みが大きい面が負極合剤の厚みが小さい面に比べ曲率が大きくなるように反る。このため、製造工程において負極板を搬送しやすくなる。一方、負極板の偏肉度が高いと、負極板の反応ムラが生じることにより負極合剤が微粉化して耐食性が低下する。これに対し、上記のように電解液がタングステン元素を含有すると、そのタングステン元素が、正極板及び負極板の間で、多数の水酸基を配位子とする錯体を形成する。そして、電池反応に伴う正極板及び負極板の間の電子の授受が、錯体を構成する多数の水酸基を介して行われることにより促進され、反応ムラが抑制される。このため、負極の水素吸蔵合金に含まれるコバルトの量を減少させ、且つ搬送性を高めるために偏肉度を高くしても、反応ムラの発生を抑制することができる。特に、負極板の偏肉度、タングステン元素の比率及びコバルトの比率が上記範囲内である場合には、コバルトの割合を低減させながら、反応ムラの抑制効果が高めることができる。つまり、コバルトの割合を一定としたとき偏肉度が大きいほど、タングステン元素の比率を大きくして、多量の水酸基によって電子の授受が円滑に行えるようにする。また、偏肉度を一定としたとき、コバルトの比率を低減するほど、タングステン元素の比率を大きくして、コバルトによって担われていた反応ムラの抑制効果を補うことができる。また、タングステンの比率を一定としたとき、コバルトの比率を低減するほど偏肉度を小さくして反応ムラを抑制することができる。よって、電池性能を良好に維持しつつ、水素吸蔵合金へのコバルトの添加量を減少させることができる。
本発明によれば、ニッケル水素二次電池の電池特性を良好に維持しつつ、水素吸蔵合金へのコバルトの含有量を低減させることができる。
第1実施形態のニッケル水素二次電池の斜視図。 同実施形態のニッケル水素二次電池に設けられる極板群の断面図。 同実施形態における反応ムラの算出方法を説明するための模式図。 同実施形態における水素吸蔵合金に含有されるコバルトの割合を変化させた場合の反応ムラを示すグラフ。 同実施形態における電解液中のタングステン元素の重量比率を変化させた場合の反応ムラ解消効果を示すグラフ。 同実施形態における極間距離を変化させた場合の反応ムラ解消効果を示すグラフ。 同実施形態におけるコバルトのモル比率に対する電解液中のタングステン元素の重量比率、極間距離の好適な範囲を示す表。 第2実施形態のニッケル水素二次電池の負極板の要部断面図。 同実施形態の負極板の搬送工程を示す模式図。 同実施形態における負極板の偏肉度を変化させた場合の反応ムラ解消効果を示すグラフ。 同実施形態における水素吸蔵合金に含有されるコバルトの割合を変化させた場合の反応ムラ解消効果を示すグラフ。 同実施形態におけるコバルトのモル比率に対する電解液中のタングステン元素の重量比率、偏肉度の好適な範囲を示す表。
(第1実施形態)
以下、ニッケル水素二次電池について、その一実施形態を説明する。
ニッケル水素二次電池は、水酸化ニッケル(Ni(OH))を正極活物質とする正極と、水素吸蔵合金を負極活物質とする負極とを備える。
図1に示すように、ニッケル水素二次電池11は、複数の電池セル12を収容可能な電槽13と、電槽13の開口部を封止する蓋部14を備えている。電槽13には、電気的に直列に接続された複数の電池セル12が収容されている。これらの電池セル12の電力は、電槽13に設けられた正極端子13a及び負極端子13bから取り出される。なお、図1では、6つの電池セル12を電槽13に収容している。
図2に示すように、電池セル12は、複数の正極板15及び複数の負極板16がセパレータ17を介して交互に積層された極板群20を有している。正極板15の端部15aは、正極の集電部21に対して接合されている。負極板16の端部16aは、負極の集電部22に対して接合されている。
<正極>
正極板15について説明する。正極板15は、基材と、基材に設けられた正極合剤とを有している。基材は、正極合剤を保持する機能と、集電体の機能とを有する。正極合剤は、水酸化ニッケル(Ni(OH))を主成分とする正極活物質、導電材、増粘材、結着材等を含んでいる。正極活物質の粒子は、水酸化ニッケル粒子の表面に設けられた被覆層を有している。この被覆層は、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)を主成分とする。また、正極合剤に含まれるコバルトは、ニッケル水素二次電池が初めて充電されると、電気化学的に酸化されてオキシ水酸化コバルトとして析出する。充電前に形成された被覆層と、充電後に析出したオキシ水酸化コバルトにより、高密度な層が形成される。
<電解液>
次に、電解液について説明する。電解液は、セパレータ17に保持される。セパレータ17の材料は特に限定されないが、例えば不織布、多数の微細な孔が設けられた樹脂製の膜、その他の液体を保持可能なシート、又はそれらの組み合わせである。電解液は、水酸化カリウム(KOH)を溶質の主成分とするアルカリ性水溶液であり、少なくともタングステン元素(W)を含んでいる。タングステン元素は、溶質であるタングステン化合物に含有されるものである。
溶質であるタングステン化合物は、WO、WO3、などのタングステン酸化物(WxOy、x、yは実数)、WO・HO、W・HOなどのタングステン酸化物の水和物を用いることができる。ほかにも、ZrW、Al(WO、WC、CaWO、FeWO、MnWO、WCl、WBr、WCl、W(CO)、WOCl、LiWO、HWO、KWO、NaWO、LiWO・2HO、HWO・2HO、KWO・2HO、NaWO・2HO、(NHPO・12WO・3HO、Na(PO・12WO)・xHO、WF、WFなどを用いることができる。
<負極>
負極板16について説明する。負極板16は、基材と、基材に設けられた負極合剤とを備えている。
水素吸蔵合金は、水素の吸蔵と放出とを可逆的に進行させる合金であって、コバルト(Co)を含む。水素吸蔵合金は、「A」を水素化物を形成する元素、「B」を水素化物を形成しない元素としたとき、AB型、AB型、AB型、A型のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを用いることができる。AB型の水素吸蔵合金は、TiCo,ZrCo等を用いることができる。AB型の水素吸蔵合金は、MmNi等を用いることができる。なお、「Mm」は、複数の希土類元素が含まれる合金であるミッシュメタルを指す。特に、MmNiとしては、ニッケル(Ni)の一部をCo,Mn,Al等で置換を行ったMmNi5-x(Co,Mn,Al)系合金、MmNi5-x(Co,Mn,Al,Fe)系合金を好適に用いることができる。ミッシュメタルは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)等の少なくとも一つを含む。また、上記した合金に替えて若しくは加えて、バナジウム(V)系、マグネシウム(Mg)系を用いてもよい。
負極板16は、水素吸蔵合金に、カーボンブラック等の増粘材、スチレン-ブタジエン共重合体の結着材を添加してペースト状に加工した負極合剤を、金属材料からなる基材に付着させて、乾燥、圧延、及び切断することによって製造される。
水素吸蔵合金を構成するコバルトは、希少であって単位質量あたりの価格が高いため、水素吸蔵合金内でコバルトが占める割合を低下させることが好ましい。しかし、水素吸蔵合金に含有されるコバルトの割合を低下させると、水素吸蔵合金の表面が、ニッケル以外の金属元素を由来とする水酸化物、ニッケルを由来とするニッケル金属が析出して分相する。このように水素吸蔵合金の表面に水酸化物や金属の被膜がつくられると、ある程度の反応は可能であるものの、その反応性が低下する。また、この被膜は表面に部分的に生成される。一方、被膜がつくられていない部分においては、電子が集中し、局所的な過充電や過放電が発生する。その結果、負極板16内で反応ムラが生じ、負極全体として内部抵抗が上昇する。また、局所的な過充電や過放電が発生した部分においては、水素の吸蔵及び放出に伴う膨張及び収縮により微粉化が進行する。この傾向は、コバルトを合金として含む水素吸蔵合金においては、合金の組成に関係なく同様に見受けられる。
この問題に対し、発明者らの鋭意研究の結果、水素吸蔵合金内でコバルトの割合を低下させても、電解液にタングステン元素を含有させることで、負極で発生する反応ムラが抑制されることが判明した。
つまり、負極で部分的に被膜がつくられると、被膜が形成された部分においてもある程度反応が可能であるにも関わらず、被膜が無い部分に電子が集中してしまう。これに対し、タングステン元素を電解液に含有させると、タングステン元素を中心金属とし、水酸基を配位子とする錯体が形成される。配位子である水酸基は、電子の授受を円滑に進行させる。正極板15と負極板16との間に多数の錯体が均一に存在すると、電子が錯体から隣接する錯体へと移動して、負極板16に偏りなく到達する。このため、電解液にタングステン元素を含まない点だけが異なるニッケル水素二次電池に比べ、負極における反応ムラを抑制することができる。
次に、水素吸蔵合金に対するコバルトの割合及び電解液中のタングステン元素の比率と、反応ムラとの関係について説明する。
図3を参照して、反応ムラの測定方法について説明する。反応ムラは、VSM(Vibrating Sample Magnetometer)を用いて、1枚の負極板16における複数のポイントの磁化特性を測定することによって特定することができる。ニッケルは、水素吸蔵合金を構成する他の元素と合金化された状態にあっては磁性体としての性質を有さないものの、合金化の状態から非合金化の状態へと遷移することによって、非磁性体から強磁性体へと変化する。このため充電及び放電を1サイクルとする工程を複数繰り返した負極の磁化率を測定することにより、ニッケルの析出の度合い、つまり微粉化の進行度合いを評価することができる。また、同じ負極板16の複数箇所において磁化率が異なれば、反応ムラが生じており、磁化率のばらつきが大きくなるほど、反応ムラの度合いが大きいといえる。本実施形態において負極の磁化率のばらつきを測定する場合には、図3のように、負極板16の基材16bの一方の面に設けられた負極合剤層16cを6つの領域16A~16F等の複数の領域に分け、各領域の水素吸蔵合金の磁化率をそれぞれ測定する。そして、領域16A~16Fの磁化率のうち、最小値に対する最大値の比を磁化率のばらつきとし、磁化率のばらつきを反応ムラとする。
図4に示すグラフ100は、従来のニッケル水素二次電池のコバルトの割合を変化させたときの反応ムラを示す。ニッケル水素二次電池の電解液はタングステン元素を含まず、正極板15及び負極板16の最短距離は、200μmである。そして、ニッケル水素二次電池を、温度25℃、電流値3C、SOC(State Of Charge、充電状態)0%以上60%以下の範囲で充電及び放電した。さらにこの充電及び放電からなるサイクルを500回繰り返して反応ムラの評価を行った。グラフ100の横軸は水素吸蔵合金に合金として含有されるコバルトのモル比率(mol%)を示す。縦軸は、1枚の負極板16における磁化率のばらつきによって表される反応ムラの度合いを示しており、数値が高くなるほど、反応ムラが大きくなっている。プロット点110の各々は、コバルトのモル比率に対する反応ムラの度合いを示している。プロット点110の各々によって示されるように、コバルトのモル比率が小さくなるほど、反応ムラが大きくなっている。また、コバルトのモル比率が0.2mol%のとき、磁化率の最小値に対する最大値の比は「1倍」であり、反応ムラが生じていないことを示している。
図5は、電解液のタングステン元素の重量比率(重量%)の変化に対する反応ムラ解消効果を示す。以下において、「タングステン元素の重量比率」とは、正極合剤に含まれる正極活物質の重量に対するタングステン元素の重量の比率である。本実施形態において、正極活物質とは水酸化ニッケルであり、タングステン元素の重量比率は、正極合剤に含有される水酸化ニッケルの重量に対する比率である。なお、グラフ101を作成するにあたり用いた水素吸蔵合金におけるコバルトのモル比率は0.05mol%である。グラフ101の横軸は、タングステン元素の重量比率を示す。縦軸は、反応ムラの解消効果を示す。反応ムラの解消効果の評価では、コバルトのモル比率が0.05mol%、タングステン元素を添加していない電解液を用いた従来のニッケル水素二次電池を基準とした。また、各ニッケル水素二次電池において、上記の充電及び放電からなるサイクルを500回繰り返した。そして、評価の基準とする従来のニッケル水素二次電池の負極板の磁化率のばらつき、タングステン元素を含有する電解液を用いたニッケル水素二次電池における負極板の磁化率のばらつきとを用いて、反応ムラの解消効果を評価した。
グラフ101に示す曲線111は、タングステン重量比率に対する反応ムラ解消効果を示すプロット点112の各々に基づき、最小二乗法を用いて算出した関数である。タングステン元素の重量比率が、1.0重量%付近になると反応ムラ解消効果は一定になり、タングステン元素を1.0重量%以上添加しても効果は上昇しにくい。また、タングステン元素の重量比率が0.1重量%未満となると、タングステン元素を中心金属とする錯体が少なく、反応ムラを抑制する効果が十分に得られない。
このように、水素吸蔵合金に対するコバルトの割合を減少させても電解液にタングステン元素を含有させることで反応ムラを抑制する効果が得られるが、正極板15及び負極板16の最短距離(以下、極間距離という)を調整することでその効果をより高めることができる。極間距離は、正極板15のうち正極合剤層の表面を平坦面としたとき、その表面からセパレータ17を介して負極板16の負極合剤層の表面(平坦面とする)までの正極合剤層及び負極合剤層の法線方向における最短距離である。極間距離は、セパレータ17自体の厚さのほか、正極板15及び負極板16をセパレータ17を介して交互に積層した状態でその積層体に対して押圧力を加えることで調整することができる。電槽13の壁部と極板群20との間の距離はほぼ0であるため、極間距離は、電槽13の内寸から、複数(例えば12枚)の正極板15の厚さの合計及び複数(例えば13枚)の負極板16の厚さの合計の和を減算し、正極板15及び負極板16に挟まれた空間の数(例えば24)で除算することによって算出することができる。
図6は、極間距離の変化に対する負極内の水素吸蔵合金の磁化率のばらつきを示すグラフ102である。なお、グラフ102を作成するにあたり用いた水素吸蔵合金のコバルトのモル比率は0.05mol%である。また、コバルトのモル比率を同一とした、電解液中にタングステン元素を含有しないニッケル水素二次電池と、タングステン元素を0.5重量%含むニッケル水素二次電池とを用いた。グラフ102の横軸は、極間距離を示す。縦軸は、反応ムラ解消効果を示す。反応ムラ解消効果の評価は、タングステン元素の重量比率のグラフ101(図5)と同じ方法であり、電解液中にタングステン元素を含有せず、極間距離を200μmとするニッケル水素二次電池を基準とした。
曲線113は、電解液中にタングステン元素を含むニッケル水素二次電池の極間距離に対する反応ムラ解消効果を示すプロット点114に基づき、最小二乗法を用いて算出した関数である。曲線113は、極間距離が小さくなるほど、反応ムラ解消効果が高くなることを示している。曲線115は、タングステン元素を含まないニッケル水素二次電池の極間距離に対する反応ムラ解消効果を示すプロット点116に基づき、最小二乗法を用いて得たものである。曲線115もまた、極間距離が小さくなるほど、反応ムラ解消効果が高くなることを示すが、その効果は、タングステン元素を電解液に含有するニッケル水素二次電池に比べて低い。また、極間距離が200μm以下になると、反応ムラが従来のニッケル水素二次電池と同等であり、反応ムラ解消効果が得られない。さらに極間距離が小さくなるほど、従来のニッケル水素二次電池に比べ、反応ムラ解消効果が顕著になる。
極間距離と電解液中のタングステン元素の重量比率はいずれも反応ムラを抑制する効果に寄与するが、これらは反応ムラを抑制する効果を発揮する上で相関関係にある。極間距離が大きい場合に電解液のタングステン元素の重量比率が小さければ、タングステン元素を中心金属とする錯体の量が不足して、反応ムラを抑制する効果が十分に得られない。極間距離が大きく且つタングステン元素の重量比率が大きければ、タングステン元素を中心金属とする錯体の量も多くなるため、電子の授受が促進される。また、極間距離が小さい場合には、極間距離が大きい場合に比べ電子の授受が行われやすいため、電解液のタングステン元素の比率を低くすることができる。
つまり、水素吸蔵合金に対するコバルトの割合を一定としたとき、極間距離が大きいほど、電解液中のタングステン元素の重量比率を大きくして錯体の量を多くし、多量の水酸基によって電子の授受が円滑に行えるようにすることが好ましい。また、極間距離を一定としたとき、コバルトの割合を低減するほど電解液中のタングステン元素の重量比率を大きくして、錯体の量を多くし、反応ムラの抑制効果を高めることが好ましい。また、電解液中のタングステンの重量比率を一定としたとき、コバルトの割合を低減するほど極間距離を小さくして、正極板と錯体の層との間、負極板と錯体の層との間の電子の授受を促進させることが好ましい。
次に、極間距離、水素吸蔵合金に対するコバルトのモル比率、電解液中のタングステン元素の重量比率の好適な範囲について説明する。
コバルトの割合は、水素吸蔵合金に含有される金属元素の各々の質量(mol)の合計に対する質量(mol)の百分率で表すとき、コバルトのモル比率(mol%)は、0mol%超0.2mol%未満であることが好ましい。
また、電解液に含まれるタングステン元素の比率は、正極活物質の重量に対しての重量に対して、0.1重量%以上1.0重量%以下であることが好ましい。
さらに、極間距離は、200μm以下であることが好ましい。なお、極間距離の最小値は、正極板15及び負極板16の間に介在するセパレータ17の厚さ以上であり、各電池に採用されるセパレータ17によって異なる。
コバルトのモル比率、タングステン元素の重量比率、及び極間距離を上記範囲にすることによって、水素吸蔵合金に対するコバルトの割合を減少させつつ、反応ムラを抑制する効果を得ることができるが、タングステン元素の重量比率及び極間距離を以下の範囲にすることによってさらに反応ムラを抑制する効果を得ることができる。以下のタングステン元素の重量比率及び極間距離の範囲は、水素吸蔵合金におけるコバルトのモル比率が0.2mol%、極間距離200μm、電解液にタングステン元素を含有しないニッケル水素二次電池と同等の反応ムラを抑制する効果が得られるように決定している。
図7に示す表117においては、縦軸のコバルトのモル比率と横軸の極間距離とが交差するセルの値が、その条件下での電解液中のタングステン元素の重量比率の好適な範囲の下限値を示す。なお、各条件下において、タングステン元素の重量比率の上限値はいずれも1.0重量%である。
・コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol%以下の場合
極間距離が75μm以下である場合、タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であることが好ましく、極間距離が75μm超100μm以下である場合、タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であることが好ましく、極間距離が100μm超150μm以下である場合タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であることが好ましく、極間距離が150μm超200μm以下である場合タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であることが好ましい。
・コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合
極間距離が100μm以下である場合タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であることが好ましく、極間距離が100μm超150μm以下である場合タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であることが好ましく、極間距離が150μm超200μm以下である場合タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であることが好ましい。なお、極間距離が100μm未満である場合には、極間距離が十分短いために電子の授受が行われやすく、電解液にタングステン元素を含有させることで反応ムラ解消効果は若干大きくなるものの、電解液にタングステン元素を含有させなくても基準とするニッケル水素二次電池と同等の効果が得られる。
・コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合
極間距離が150μm以下である場合タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であることが好ましく、極間距離が150μm超200μm以下である場合タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であることが好ましい。なお、極間距離が150μm未満である場合には、極間距離が十分短いために電子の授受が行われやすく、電解液にタングステン元素を含有させることで反応ムラ解消効果は若干大きくなるものの、電解液にタングステン元素を含有させなくても基準とするニッケル水素二次電池と同等の効果が得られる。
・コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合
極間距離が200μm以下である場合においては、電解液にタングステン元素を含有させることで反応ムラ解消効果は若干大きくなる。
このようにコバルトのモル比率に応じて、タングステン元素の重量比率及び極間距離を変更することによって、反応ムラを抑制する効果を得ることができる。
第1実施形態の効果について説明する。
(1)正極板15及び負極板16の最短距離を200μm以下といった短い距離にすることで、電池反応に伴う正極板15及び負極板16の間の電子の授受が行われやすくなる。さらに、電解液にタングステン元素が含まれるため、正極板15及び負極板16の間でタングステン元素が、多数の水酸基を配位子とする錯体の層を形成する。これにより、電子の授受が錯体を構成する多数の水酸基を介して行われることにより促進される結果、負極合剤における反応ムラの発生が抑制される。特に、正極板15及び負極板16の最短距離、タングステン元素の比率及びコバルトの比率が、上記範囲に含まれる場合には、コバルトの比率を低減させながら、反応ムラの抑制効果を高めることができる。つまり、コバルトの比率を一定としたとき、極間距離が大きいほど、タングステン元素の比率を大きくして、多量の水酸基によって電子の授受が円滑に行えるようにすることができる。また、極間距離を一定としたとき、コバルトの比率を低減するほどタングステン元素の比率を大きくして、電子の授受を促進することにより、コバルトによって担われていた反応ムラの抑制効果を補うことができる。また、タングステンの比率を一定としたとき、コバルトの比率を低減するほど極間距離を小さくして、電子の授受が行われやすくすることができる。よって、電池性能を良好に維持しつつ、水素吸蔵合金へのコバルトの添加量を減少させることができる。
(2)極板群20は、正極板15及び負極板16が交互に重ねられる構成であるため、捲回式の電池に比べ、極間距離を調整しやすく、且つ極間距離のばらつきも生じにくい。このため、1枚の負極板16における反応ムラを抑制することができるだけでなく、極板群20を構成する複数の負極板16の間においても、反応ムラを抑制する効果を同等とすることができるので、コバルトを減少させても良好な電池特性を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、電解液にタングステン元素を含有させる点で第1実施形態と共通するが、負極板の負極合剤層の厚さを表面及び裏面で異ならせる点で相違する。以下では、主に第1実施形態と相違する構成について詳細に説明することとし、説明の便宜上、同様の構成については詳細な説明を割愛する。
図8に示すように、負極板16の基材16bの表面及び裏面には、負極合剤層16c,16dが設けられる。負極合剤層16c、16dは、厚さT1,T2が異なるように設けられている(例えば、厚さT2>厚さT1)。
図9に示すように、厚さが異なるペースト状の負極合剤層16c、16dを乾燥させると、厚さが大きい方の負極合剤層の曲がり具合(曲率)が大きくなるように負極板16が反る。その理由は、乾燥工程において負極合剤層16c、16dが乾燥により収縮するとき、その厚さが大きい方が収縮の度合いが大きいためである。
このように適度に負極板16を反らせることにより、反りが無い負極板16に比べて負極板16を搬送機構200によって搬送しやすくすることができる。搬送機構200は、保持部201を有し、保持部201は、負極板16をメカ的に保持する方式、負極板16を負の空気圧により吸引して保持する方式、静電気により吸引する方式等により負極板16を搬送する。いずれの方式であっても、反りが無い負極板16に比べて、負極板16に力を加えやすく保持しやすい。よって、適度な反りがある負極板16は、搬送にかかる時間を比較的短くすることができるため、生産効率を高めることができる。
負極合剤層16c、16dの厚さT1,T2の違いは、偏肉度(%)で表すことができる。偏肉度は、厚さT1,T2の和(T1+T2)に対する厚さT1,T2の差の絶対値の百分率である[{|T2-T1|/(T1+T2)}×100]。なお、厚さT1,T2は、「0μm」以上であり、乾燥工程後であって、正極板15と交互に積層される積層工程前の厚さである。
第1実施形態と同様に、水素吸蔵合金に対するコバルトのモル比率を低下させると、ニッケル金属の被膜が部分的に形成され、局所的に過充電及び過放電が発生する。特に負極板16の偏肉度が大きいと、負極板16の表面と裏面との間における反応のムラが大きくなる。表面及び裏面に設けられた負極合剤層のうち、厚さが大きい方の負極合剤層において過充電及び過放電が発生すると、内部抵抗が上昇するだけでなく、微粉化が進行して耐久性が低下する。
この問題に対し、第1実施形態と同様にタングステン元素を電解液に含有させると、正極板15及び負極板16の間の電解液内にタングステン元素を中心金属とする錯体を分布させることができるため、負極合剤に電子を広く移動させることができる。
次に、図10を参照して、偏肉度及びタングステン元素の比率と、反応ムラとの関係について説明する。図10に示すグラフ103は、負極板16の偏肉度を変化させたときの反応ムラを示している。グラフ103の横軸は、負極板16の偏肉度を示し、縦軸は1枚の負極板16の表面と裏面との磁化率に基づく反応ムラ解消効果を示している。反応ムラ解消効果は、電解液にタングステン元素を含まず、偏肉度20%の負極板16を用いたニッケル水素二次電池11を基準としている。また、グラフ103には、電解液中にタングステン元素を0.5重量%含有するニッケル水素二次電池11の反応ムラ解消効果を示すプロット点120と、電解液中にタングステン元素を含有しないニッケル水素二次電池11の反応ムラ解消効果を示すプロット点121とを記載している。負極板16の偏肉度は小さいほど、反応ムラ解消効果が高い。また、電解液にタングステン元素を含む場合は、電解液にタングステン元素を含まない場合に比べ、特に偏肉度が大きい範囲において反応ムラ解消効果の差が大きい。これは、偏肉度が大きい場合に、タングステン元素の錯体による反応ムラ解消効果への寄与が顕著であることを示す。
図11のグラフ104を参照して、水素吸蔵合金に対するコバルトの割合を変化させたときの反応ムラについて説明する。負極板16の偏肉度は、20%としている。電解液中にタングステン元素を含有せずコバルトのモル比率を0.3mol%としたニッケル水素二次電池を基準とする。また、グラフ104には、電解液中にタングステン元素を0.5重量%含有するニッケル水素二次電池11の反応ムラ解消効果を示すプロット点122と、電解液中にタングステン元素を含有しないニッケル水素二次電池11の反応ムラ解消効果を示すプロット点123とを記載している。コバルトのモル比率は小さいほど、反応ムラが大きくなる。また、電解液にタングステン元素を含む場合は、電解液にタングステン元素を含まない場合に比べ、特にコバルトのモル比率が低い範囲において反応ムラ解消効果が大きい。
つまり、水素吸蔵合金に対するコバルトの割合を一定としたとき、偏肉度が大きいほど、電解液中のタングステン元素の比率を大きくして錯体の層を多くし、多量の水酸基によって電子の授受が円滑に行えるようにすることが好ましい。また、偏肉度を一定としたとき、コバルトの割合を低減するほど、タングステン元素の重量比率を大きくして錯体の量を多くし、反応ムラの抑制効果を高めることが好ましい。また、電解液中のタングステンの重量比率を一定としたとき、コバルトの割合を低減するほど偏肉度を小さくして反応ムラを抑制することが好ましい。
次に、コバルトのモル比率、電解液中のタングステン元素の重量比率、及び偏肉度の好適な範囲について説明する。
コバルトの割合は、水素吸蔵合金に含有される金属元素の各々の質量(mol)の合計に対する質量(mol)の百分率で表すとき、第1実施形態と同様に0mol%超0.2mol%未満であることが好ましい。また、タングステン元素の重量比率も、第1実施形態と同様に、0.1重量%以上1.0重量%以下であることが好ましい。
負極板16の偏肉度は、20%以上100%以下であることが好ましい。偏肉度「100%」とは、基材16bの片面のみに負極合剤層を設けていることを意味する。
コバルトのモル比率、タングステン元素の重量比率、及び偏肉度を上記範囲にすることによって、水素吸蔵合金に対するコバルトの割合を減少させつつ、反応ムラを抑制する効果を得ることができるが、タングステン元素の重量比率及び偏肉度を以下の範囲にすることによってさらに反応ムラを抑制する効果を得ることができる。以下のタングステン元素の重量比率及び極間距離の範囲は、水素吸蔵合金におけるコバルトのモル比率が0.2mol%、偏肉度が0%、電解液にタングステン元素を含有しないニッケル水素二次電池と同等の反応ムラを抑制する効果が得られるように決定している。
図12に示す表119においては、縦軸のコバルトのモル比率と横軸の偏肉度とが交差するセルの値が、その条件下での電解液中のタングステン元素の重量比率の好適な範囲の下限値を示す。なお、各条件下において、タングステン元素の重量比率の上限値はいずれも1.0重量%である。
・コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol%以下の場合
偏肉度が20%である場合、タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であることが好ましく、偏肉度が20%超40%以下である場合、タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であることが好ましく、偏肉度が40%超60%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であることが好ましく、偏肉度が60%超80%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上であることが好ましく、偏肉度が80%超100%以下である場合タングステン元素の重量比率が1.0重量%であることが好ましい。
・コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合
偏肉度が20%である場合、タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であることが好ましく、偏肉度が20%超40%以下である場合、タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であることが好ましく、偏肉度が40%超60%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であることが好ましく、偏肉度が60%超80%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であることが好ましく、偏肉度が80%超100%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上であることが好ましい。
・コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合
偏肉度が20%である場合、タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であることが好ましく、偏肉度が20%超40%以下である場合、タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であることが好ましく、偏肉度が40%超60%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であることが好ましく、偏肉度が60%超80%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であることが好ましく、偏肉度が80%超100%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であることが好ましい。
・コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合
偏肉度が20%である場合、タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であることが好ましく、偏肉度が20%超40%以下である場合、タングステン元素の重量比率が0.2重量%以上であることが好ましく、偏肉度が40%超60%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であることが好ましく、偏肉度が60%超80%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であることが好ましく、偏肉度が80%超100%以下である場合タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であることが好ましい。
このようにコバルトのモル比率に応じて、タングステン元素の重量比率及び偏肉度を変更することによって、反応ムラを抑制する効果を得ることができる。
第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(3)負極板16の偏肉度を20%以上とすることにより、極板群20の組み立て前の負極板16が、負極合剤層の厚みが大きい面が負極合剤層の厚みが小さい面に比べ曲率が大きくなるように反る。このため、製造工程において負極板を搬送しやすくなる。一方、負極板16の偏肉度が高いと、負極板16の反応ムラが生じることにより負極合剤層が微粉化して耐食性が低下する。これに対し、上記のように電解液がタングステン元素を含有すると、そのタングステン元素が、正極板及び負極板の間で、多数の水酸基を配位子とする錯体を形成する。そして、電池反応に伴う正極板15及び負極板16の間の電子の授受が、錯体を構成する多数の水酸基を介して行われることにより促進され、反応ムラが抑制される。このため、負極の水素吸蔵合金に含まれるコバルトの量を減少させ、且つ搬送性を高めるために偏肉度を高くしても、反応ムラの発生を抑制することができる。特に、負極板16の偏肉度、タングステン元素の重量比率及びコバルトのモル比率が上記範囲内である場合には、コバルトの割合を低減させながら、反応ムラの抑制効果が高めることができる。つまり、コバルトの割合を一定としたとき偏肉度が大きいほど、タングステン元素の比率を大きくして、多量の水酸基によって電子の授受が円滑に行えるようにする。また、偏肉度を一定としたとき、コバルトの割合を低減するほど、タングステン元素の重量比率を大きくして、コバルトによって担われていた反応ムラの抑制効果を補うことができる。また、タングステンの重量比率を一定としたとき、コバルトの割合を低減するほど偏肉度を小さくして反応ムラを抑制することができる。よって、電池性能を良好に維持しつつ、水素吸蔵合金のコバルトの含有量を低減させることができる。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態では、電槽13内に6つの電池セル12を収容したが、電池セル12は1つでもよく、6つ以外の複数であってもよい。
・上記各実施形態では、ニッケル水素二次電池11を、複数の正極板15と複数の負極板16とをセパレータ17を介して交互に積層した積層型の電池とした。これに代えて、1枚の長尺な正極シート及び1枚の長尺な負極シートをセパレータを介して積層及び捲回した捲回型の電池としてもよく、その他の構造の電池としてもよい。
以下、上記各実施形態の一例である実施例1~14について具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
<電池の作製>
(実施例1)
コバルトのモル比率が0.05mol%であるMmNi5-x(Co,Mn,Al)系合金粉末、増粘材、結着材を添加して混錬し、負極合剤ペーストを形成した。また、負極合剤ペーストを、長尺状の金属基材(パンチングメタル)の両面に塗布した後、乾燥及び圧延し、所定の大きさに切断することにより負極板を作製した。
正極板については、発泡ニッケル基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質ペーストを充填した上で乾燥、圧延および切断することにより正極板を作製した。正極活物質は、オキシ水酸化コバルトによって被覆された水酸化ニッケルとし、この正極活物質に水、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び増粘剤等を混合してペーストを作製した。そして、ペーストを発泡ニッケル基板に充填し、乾燥した後、加圧成型することにより正極板を作製した。
さらに、水酸化カリウム、WO(タングステン化合物)を水に溶解した電解液を作製した。タングステン元素の重量%は、正極活物質である水酸化ニッケルの重量に対して0.1重量%となるように調整した。そして、上記した正極板・負極板を耐アルカリ性樹脂の不織布から構成されるセパレータを介して複数枚積層し、極間距離が75μmとなるように押圧した。極間距離は、上記実施形態と同様に、電槽13の内寸、正極板15の枚数及び厚さ、負極板16の枚数及び厚さを用いて求めた。さらにその積層体に集電部を接合した電極群を、電解液とともに電槽内に収容することで、ニッケル水素二次電池を作製した。
(実施例2)
極間距離を100μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.3重量%とし、それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例3)
極間距離を150μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.5重量%とし、それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例4)
極間距離を200μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.6重量%とし、それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例5)
コバルトのモル比率を0.1mol%とし、極間距離を100μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.1重量%とし、それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例6)
極間距離を150μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.3重量%とし、それ以外は実施例5と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例7)
極間距離を200μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.4重量%とし、それ以外は実施例5と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例8)
コバルトのモル比率を0.15mol%とし、極間距離を150μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.1重量%とし、それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例9)
極間距離を200μmとするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.3重量%とし、それ以外は実施例8と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例10)
負極合剤ペーストを、乾燥後に偏肉度が20%となるように基材に塗布した。基材の両面に塗布する負極合剤の重量及び体積は、実施例1と同じとした。また、コバルトのモル比率を0.05mol%とし、タングステン元素の重量比率を0.5重量%とし、それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作製した。
(実施例11)
偏肉度を40%とするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.6重量%とし、それ以外は実施例10と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例12)
偏肉度を60%とするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.7重量%とし、それ以外は実施例10と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例13)
偏肉度を80%とするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を0.8重量%とし、それ以外は実施例10と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(実施例14)
偏肉度を100%とするとともに、電解液に含まれるタングステン元素の重量比率を1.0重量%とし、それ以外は実施例10と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(参考例1)
水素吸蔵合金のコバルトのモル比率を0.2mol%、極間距離を200μmとし、タングステン元素を含めない電解液を電槽に注入した。それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
(参考例2)
水素吸蔵合金のコバルトのモル比率を0.2mol%、偏肉度を20%とし、タングステン元素を含めない電解液を電槽に注入した。それ以外は実施例1と同様にニッケル水素二次電池を作成した。
<評価>
得られたニッケル水素二次電池について、25℃の温度下で、電流値3CでSOCが0%から60%になるまで充電を行い、同じ条件でSOCが60%から0%になるまで放電を行った。1回の充電及び1回の放電を1サイクルとし、これを500回繰り返した。そして、ニッケル水素二次電池を分解して、負極板を取り出し、負極合剤層を仮想的に6つの領域に等分し、各領域においてサンプルを採取し、VSM(東英工業製、製品名:小型全自動振動試料型磁力計VSM-C7-10A)を用いて磁化率を測定した。
さらに得られた磁化率のうち、最小値に対する最大値の比率を算出した。なお、極間距離を異ならせる実施例1~9については、負極板の一方の面の負極合剤層の反応ムラを評価し、実施例10~14については、負極板の表面及び裏面の負極合剤層の反応ムラを評価した。また、実施例1~9については、それらの磁化率の比率を、参考例1の磁化率の比率で除算して、何倍の効果が得られているかを検証した。同様に、実施例10~14については、それらの磁化率の比率を参考例2の磁化率の比率で除算して、何倍の効果が得られているかを検証した。
その結果、実施例1~9については、水素吸蔵合金におけるコバルトのモル比率が0.2mol%の参考例1に対しておよそ同等(1倍の効果)が得られ、コバルトのモル比率を低減しても極間距離及び電解液中のタングステン元素の重量比率を調整することにより反応ムラが抑制できることが示された。また、実施例10~14については、水素吸蔵合金におけるコバルトのモル比率が0.2mol%の参考例2に対しておよそ同等(1倍の効果)が得られ、コバルトのモル比率を低減しても偏肉度及び電解液中のタングステン元素の重量比率を調整することにより反応ムラが抑制できることが示された。
11…ニッケル水素二次電池、12…電池セル、13…電槽、13a…正極端子、13b…負極端子、14…蓋部、15…正極板、15a…端部、16…負極板、16a…端部、16A-16F…領域、16b…基材、16c,16d…負極合剤層、17…セパレータ、18…負極板、20…極板群、21,22…集電部、200…搬送機構、201…保持部。

Claims (5)

  1. 正極合剤を備える正極板、水素吸蔵合金を含む負極合剤を備える負極板及び電解液を備えるニッケル水素二次電池において、
    前記水素吸蔵合金はコバルトを0mol%超0.2mol%未満含み、
    前記電解液は、前記正極合剤に含まれる正極活物質の重量に対して1.0重量%以下のタングステン元素を含むとともに、
    前記コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol以下である場合に、前記正極板及び前記負極板の最短距離である極間距離が75μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記極間距離が75μm超100μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記極間距離が100μm超150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であって、
    前記コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合に、前記極間距離が100μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記極間距離が100μm超150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であって、
    前記コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合に、前記極間距離が150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であって、
    前記コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合に、前記極間距離が200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上である
    ニッケル水素二次電池。
  2. 複数の前記正極板及び複数の前記負極板がセパレータを介して交互に積層された電極群を有する
    請求項1に記載のニッケル水素二次電池。
  3. 正極合剤を備える正極板、水素吸蔵合金を含む負極合剤を有する負極板及び電解液を備えるニッケル水素二次電池において、
    前記水素吸蔵合金はコバルトを0mol%超0.2mol%未満含み、
    前記電解液は、前記正極合剤に含まれる正極活物質の重量に対して1.0重量%以下のタングステン元素を含むとともに、
    前記負極板は基材の両面に負極合剤を備え、一方の面に設けられた前記負極合剤の厚さをA、他方の面に設けられた前記負極合剤の厚さをBとするとき(A≧B)、前記厚さA及び前記厚さBの和に対する前記厚さA及び厚さBの差の百分率を偏肉度とし、
    前記コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が1.0重量%であって、
    前記コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上であって、
    前記コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上であって、
    前記コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上であり、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.2重量%以上であり、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上であり、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上であり、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上である
    ニッケル水素二次電池。
  4. 正極合剤を備える正極板、水素吸蔵合金を含む負極合剤を備える負極板及び電解液を備えるニッケル水素二次電池の製造方法において、
    コバルトを合金として0mol%超0.2mol%未満含む前記水素吸蔵合金と、前記正極合剤に含まれる正極活物質の重量に対して1.0重量%以下のタングステン元素を含む電解液とを用いるとともに、
    前記コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol以下である場合に、前記正極板及び前記負極板の最短距離である極間距離が75μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.1重量%以上とし、前記極間距離が75μm超100μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.3重量%以上とし、前記極間距離が100μm超150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.5重量%以上とし、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.6重量%以上であって、
    前記コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合に、前記極間距離が100μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.1重量%以上とし、前記極間距離が100μm超150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.3重量%以上とし、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.4重量%以上とし、
    前記コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合に、前記極間距離が150μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.1重量%以上でとし、前記極間距離が150μm超200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.3重量%以上とし、
    前記コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合に、前記極間距離が200μm以下であるとき前記タングステン元素の重量比率を0.1重量%以上とする
    ニッケル水素二次電池の製造方法。
  5. 正極合剤を備える正極板、水素吸蔵合金を含む負極合剤を備える負極板及び電解液を備えるニッケル水素二次電池の製造方法において、
    コバルトを合金として0mol%超0.2mol%未満含む前記水素吸蔵合金と、前記正極合剤に含まれる正極活物質の重量に対して1.0重量%以下のタングステン元素を含む電解液とを用いるとともに、
    前記負極板の一方の面に設けられた負極合剤の厚さをA、他方の面に設けられた前記負極合剤の厚さをBとするとき(A≧B)、前記厚さA及び前記厚さBの和に対する前記厚さA及び厚さBの差の百分率を偏肉度とし、
    前記コバルトのモル比率が0mol%超0.05mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上とし、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上とし、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上とし、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上とし、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が1.0重量%とし、
    前記コバルトのモル比率が0.05mol%超0.1mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上とし、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上とし、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上とし、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上とし、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.8重量%以上とし、
    前記コバルトのモル比率が0.1mol%超0.15mol%以下の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上とし、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上とし、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上とし、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.6重量%以上とし、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.7重量%以上とし、
    前記コバルトのモル比率が0.15mol%超0.2mol%未満の場合、前記偏肉度が20%であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.1重量%以上とし、前記偏肉度が20%超40%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.2重量%以上とし、前記偏肉度が40%超60%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.3重量%以上とし、前記偏肉度が60%超80%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.4重量%以上とし、前記偏肉度が80%超100%以下であるとき前記タングステン元素の重量比率が0.5重量%以上とする
    ニッケル水素二次電池の製造方法。
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