JP7120779B2 - スプレー式製品およびスプレー式製品の製造方法 - Google Patents
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本発明の一実施形態のスプレー式製品について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態のスプレー式製品1の模式的な断面図である。図2は、図1に示される本実施形態のスプレー式製品1の加圧機構の断面図である。図1および図2に示されるスプレー式製品1は、噴射動作が行われていない状態(非噴射状態)である。本実施形態のスプレー式製品1は、原液と噴射剤とを含む内容物が充填された容器本体2と、容器本体2に取り付けられた加圧機構3と、加圧機構3に取り付けられる噴射部材4とを主に備える。噴射剤は、25℃における水に対するオストワルド係数が0.05~1.0である第1の圧縮ガスを含み、好適には25℃における水に対するオストワルド係数が0.01~0.03である第2の圧縮ガスをさらに含む。加圧機構3は、原液を貯留するハウジング5と、ハウジング5内の原液を加圧するステム機構8とを主に備える。ハウジング5は、空気を導入するための空気導入孔が形成されていない。ステム機構8は、ステム本体81とピストン部材82とを備える。スプレー式製品1は、ステム本体81が所定距離摺動される第1作動が行われると、外部と容器本体2内とを連通させる。また、スプレー式製品1は、ステム本体81がさらに所定距離摺動される第2作動が行われると、ピストン部材82によりハウジング5内の原液を加圧する。以下、本実施形態のスプレー式製品1の内容物および装置構成について、それぞれ説明する。
内容物は、容器本体2に充填され、原液と噴射剤とを含む。原液は、噴射部材4が操作されることにより、容器本体2から加圧機構3に供給され、噴射剤の圧力や加圧機構3によって加圧されることにより噴射される。具体的には、原液は、チューブ52の下端から取り込まれ、ハウジング5の空間S1を通過または空間S1に一時的に貯留された後、外部ステム85の外部ステム内通路85a、噴射ノズル41のノズル内通路41bに供給され、噴射孔43aより噴射される。
原液は、容器本体2に充填される液体成分である。原液は、従来公知の成分を含む。一例を挙げると、原液は、水、アルコール、油分、界面活性剤、増粘剤、パウダー、その他有効成分(保湿剤、ビタミン類、紫外線吸収剤、清涼化剤、スタイリング剤、消臭成分、殺菌消毒剤、害虫忌避剤、殺虫成分、香料、色素等)等を含む。
噴射剤は、原液を加圧して連続噴射するために配合される。また、後述するように、スプレー式製品は、ポンプ噴射が行われると、次に噴射される原液が、その都度容器本体内からハウジング内に供給(補充)される。噴射剤は、このように容器本体内からハウジング内に原液が供給される場合であっても、容器本体内の圧力低下を少なくし、これにより容器本体の変形を防止するために配合される。すなわち、スプレー式製品1は、噴射剤を含んでいることにより、原液を連続噴射したり、ポンプ噴射することができる。
次に、上記内容物を噴射するためのスプレー式製品1の装置構成について説明する。なお、以下に示されるスプレー式製品1の装置構成は一例である。すなわち、本実施形態のスプレー式製品1の装置構成は、容器本体2と加圧機構3とを備え、加圧機構3が空気導入孔の形成されていないハウジング5とステム機構8とを備え、これにより上記原液を加圧して噴射できる構成であればよい。
容器本体2は、内容物を充填するための容器であり、有底筒状の本体部21と、本体部21よりも小径であり本体部21の上部に一体的に設けられた筒状の首部22とを含む。本体部21は、中央部分が容器本体21の内側に向かって膨出した底部21aと、本体部21の側周を構成する円筒状の胴部21bと、胴部21bの上端から縮径し首部22の下端と連続する肩部21cを含む。首部22の上部には開口が形成されており、外周面にはネジキャップ9を取り付けるためのネジ部が形成されている。開口は、原液を充填する際の充填口であり、原液の充填後に加圧機構3により封止される。
加圧機構3は、容器本体2に取り付けられることで容器本体2内を封止して噴射剤を閉じ込めるとともに、容器本体2から原液を取り込んで噴射するための部材である。加圧機構3は、筒状のハウジング5と、ハウジング5内に収容されるバルブ本体6と、後述するピストン部材の上方向への変位を制御する当接部材7と、ネジキャップ9とを主に備える。バルブ本体6は、ハウジング5内を上下方向に摺動自在に収容されるステム機構8を含む。ステム機構8は、ステム本体81と、ステム本体81と協働してハウジング5内を上下方向に摺動するピストン部材82と、ステム本体81を上方に付勢するバネ部材83とを備える。ステム本体81の内部ステム84とピストン部材82とは、非噴射状態において当接しており、シール部を形成している。このシール部は、後述するように、ステム本体81が所定距離だけ下方に摺動される第1作動が行われると、開放される。これにより、外部とハウジング5内とが連通し、原液は、容器本体内の圧力により連続噴射される(連続噴射状態)。一方、ピストン部材は、ステム本体81がさらに所定距離だけ下方に摺動される第2作動が行われると、ハウジング5内の原液を加圧して噴射する(ポンプ噴射状態)。このように、加圧機構3は、非噴射状態から、ステム本体81の第1作動により原液を連続噴射する連続噴射状態に変位することができ、さらにステム本体81の第2作動によりハウジング5内の原液を加圧して噴射するポンプ噴射状態に変位することが可能である。
ハウジング5は、筒状のハウジング本体51を備える。
バルブ本体6は、容器本体2から取り込まれた原液を噴射部材4に送るための部材であり、ハウジング本体51内に上下方向に摺動自在に収容されるステム機構8を含む。ステム機構8は、ステム本体81と、ステム本体81と協働してハウジング5内を上下方向に摺動するピストン部材82と、ステム本体81を上方に付勢するバネ部材83とを備える。
当接部材7は、ハウジング本体51の開口部に嵌入されて外部ステム85のスカート部85bと筒状部85cとの間に形成された段部と当接してステム本体81を位置決めし、さらにピストン部材82の上部外側摺動部87aの上端と当接してピストン部材82を位置決めする部材である。
噴射部材4は、外部ステム85に装着される噴射ノズル41と、ネジキャップ9に装着される操作部42とを含む。
次に、上記構成のスプレー式製品1を用いて原液を噴射する場合における加圧機構3の変位が、図1および図2に加えて図3~図6を参照して説明される。図3は、連続噴射を行う連続噴射状態に変位している加圧機構3の模式的な断面図である。図4は、加圧機構3がポンプ噴射を行うポンプ噴射状態に変位しているスプレー式製品1の模式的な断面図である。図5は、ポンプ噴射を行うポンプ噴射状態に変位している加圧機構3の模式的な断面図である。図6は、ポンプ噴射後に原液がハウジング内に導入される状態を説明するためのスプレー式製品1の模式的な断面図である。なお、加圧機構3は、非噴射状態から連続噴射状態に変位させてもよく、非噴射状態からポンプ噴射状態に変位されてもよい。なお、本実施形態の加圧機構3は、たとえば使用者によって噴射部材4が短時間でトリガー部42gを大きく操作されることにより、実質的に連続噴射状態に変位されることなく(または短時間の連続噴射状態への変位を経て)、非噴射状態からポンプ噴射状態に変位される。
まず、原液を噴射しない非噴射状態(噴射前の状態)では、図1に示されるように、バネ部材83により内部ステム84、外部ステム85およびピストン部材82が上方へ付勢された状態で維持される。この場合、ピストン部材82は、下部内側摺動部86bを当接溝84cと当接させシール部を形成している。そのため、原液は噴射部材4への通路が遮断されており噴射されない。
一方、加圧機構3は、非噴射状態から連続噴射を行う連続噴射状態に容易に変位することができる。具体的には、使用者がトリガー部42gを操作することにより噴射ノズル41が下方向にいくらか押し下げられると、内部ステム84と外部ステム85とは、一体となって下方へいくらか(たとえば1~2mm)摺動する(第1作動)。このときピストン部材82は外部ステム85と当接しないため移動しない。その結果、図3に示されるように、この変位により、下部内側摺動部86bの下端は、当接溝84cから離れる。これにより、空間S1から噴射部材4への通路が開放され、すなわち、第1作動によりピストン部材82の下部内側摺動部86bと内部ステム84の当接溝84cとによるシール部が開放されて容器本体2内と外部とが連通される。この際、本実施形態のスプレー式製品1は、外部との圧力差に従って、原液がボール54bを上方向に持ち上げて、空間S1に供給される。さらに、この原液は、下部内側摺動部86bと当接溝84cとの隙間、外部ステム内通路85aを通過して、噴射孔43a(図1参照)より連続噴射される。図3において、矢印A1は、容器本体2から取り込まれる原液の流れを示している。
加圧機構3は、非噴射状態または連続噴射状態からポンプ噴射状態に容易に変位することができる。具体的には、図4に示されるように、使用者はトリガー部42gをさらに操作することにより、噴射ノズル41がさらに下方向に押し下げられる。この際、図5に示されるように、内部ステム84と外部ステム85とは、スカート部85bの当接段部85dがピストン部材82の上部内側摺動部86aの上端に当接するまで一体となって下方へ摺動し、その後、内部ステム84、外部ステム85およびピストン部材82が一体となってさらに下方へ(たとえば3~10mm)摺動する(第2作動)。その結果、スプレー式製品1は、空間S1の容積が減少する。この際、ボール54bは、空間S1の容積の減少による下方向への付勢によって沈み、原液取込孔51cを閉止する。また、空間S1に貯留された原液(図示せず)は、加圧され、下部内側摺動部86bと当接溝84cとの隙間、外部ステム内通路85aを通過して、噴射孔43a(図1参照)より噴射される。
本発明の一実施形態のスプレー式製品の製造方法は、上記したスプレー式製品を製造するための方法であり、耐圧容器内に原液を入れ、5℃以下に冷却する工程と、原液に、噴射剤を飽和溶解させる工程と、噴射剤が飽和溶解している原液を、容器本体に充填し、加圧機構を取り付けて密封する工程と、常温に戻すことにより、噴射剤が飽和溶解している原液から、噴射剤の一部を気化させて、容器本体内の圧力を0.05MPa(25℃、ゲージ圧)以上に調整する工程と、を含む。噴射剤は、25℃における水に対するオストワルド係数が0.05~1.0である第1の圧縮ガスを含む。加圧機構は、原液を貯留するハウジングと、ハウジング内の原液を加圧するステム機構とを備える。ハウジングは、空気を導入するための空気導入孔が形成されていない。
気密にできる耐圧容器に、5℃に冷却した精製水を充填し、次いで炭酸ガスを充填し、耐圧容器内を気密状態にして、炭酸ガスを飽和溶解させた。炭酸ガスが飽和溶解している精製水150mLを、容器本体(PETボトル、満注量200mL、胴部の厚み0.5mm)に充填し、容器本体のネジ部に加圧機構のネジ部を螺合させ、密封した。これを25℃の恒温室内で1日静置し、容器本体内の圧力(平衡圧力)を測定したところ、0.26MPa(ゲージ圧)であった。
容器本体(PETボトル、満注量200mL、胴部の厚み0.5mm)に精製水150mLを充填し、容器本体のネジ部に加圧機構のネジ部を螺合させ、隙間から窒素ガスを充填し、完全にネジ締めして密封した。これを25℃の恒温室内で1日静置し、容器本体内の圧力(平衡圧力)を測定したところ、0.45MPa(ゲージ圧)であった。
気密にできる耐圧容器に、5℃に冷却した精製水を充填し、次いで炭酸ガスを充填し、耐圧容器内を気密状態にして、炭酸ガスを飽和溶解させた。炭酸ガスが飽和溶解している精製水150mLを、容器本体(PETボトル、満注量200mL、胴部の厚み0.5mm)に充填し、容器本体のネジ部に加圧機構のネジ部を螺合させ、隙間から窒素ガスを充填し、完全にネジ締めして密封した。これを25℃の恒温室内で1日静置し、容器本体内の圧力(平衡圧力)を測定したところ、0.45MPa(ゲージ圧)であった。
気密にできる耐圧容器に、5℃に冷却した精製水を充填し、次いで炭酸ガスと窒素ガスとの混合ガス(質量比:42:58)を充填し、耐圧容器内を気密状態にして、上記混合ガスを飽和溶解させた。混合ガスが飽和溶解している精製水150mLを、容器本体(PETボトル、満注量200mL、胴部の厚み0.5mm)に充填し、容器本体のネジ部に加圧機構のネジ部を螺合させ密封した。これを25℃の恒温室内で1日静置し、容器本体内の圧力(平衡圧力)を測定したところ、0.33MPa(ゲージ圧)であった。
スプレー式製品を正立させ、噴射部材を押し下げて5秒間連続噴射して、正常にエアゾール噴射できることを確認した。ハウジング内を精製水(原液)で満たし、使用途中の状態にした。次いで、容器本体を倒立させ、噴射部材を1回押し下げてポンプ噴射し、気相部分のガスを排出した。その後、容器本体を正立に戻し、噴射部材を繰り返し操作して、ポンプ噴射を繰り返したときの容器本体の状態を評価した。
10a ハウジング
10b 外部ステム
10c 内部ステム
10d バネ部材
10e ハウジング本体
10f フランジ部
10g 小径部
10h 第1筒状部
10i 第2筒状部
10j ガスケット
10k 蓋
10l シールリング
10m チューブ
10n 筒状部
10o ピストン部
10p テーパー面
10q 棒状部
10r 筒状部
10s 原液取込孔
10t ピストン部
10u 円筒シール
10v 段部
2、2a 容器本体
21 本体部
21a 底部
21b 胴部
21c 肩部
22 首部
3 加圧機構
4、4a 噴射部材
41 噴射ノズル
41a 回動軸
41b ノズル内通路
42 操作部
42a レバー支持部
42b レバー
42c 本体部
42d 支持アーム
42e 環状溝
42f 回動軸
42g トリガー部
43、43a 先端ノズル
43a 噴射孔
43b ノズルチップ
5 ハウジング
51 ハウジング本体
51a フランジ部
51b 小径部
51c 原液取込孔
51d 当接段部
52 チューブ
53 ガスケット
54 逆止弁機構
54a 凹部
54b ボール
6 バルブ本体
7 当接部材
71 天面部
72 当接脚部
8 ステム機構
81 ステム本体
82 ピストン部材
83 バネ部材
84 内部ステム
84a 椀状部
84b 円筒部
84c 当接溝
84d 切欠き溝
85 外部ステム
85a 外部ステム内通路
85b スカート部
85c 筒状部
85d 当接段部
86 内側摺動部
86a 上部内側摺動部
86b 下部内側摺動部
87 外側摺動部
87a 上部外側摺動部
87b 下部外側摺動部
88 連結環
9 ネジキャップ
9a 天板
9b 側周部
9c 装着部
9d カバー部
9e 係合部
A1 原液の流れ
S1 空間
Claims (5)
- 原液と噴射剤とを含む内容物が充填された容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体内を封止する加圧機構とを備え、
前記噴射剤は、25℃における水に対するオストワルド係数が0.05~1.0である第1の圧縮ガスを含み、
前記加圧機構は、前記原液を貯留するハウジングと、前記ハウジング内の前記原液を加圧するステム機構とを備え、
前記ハウジングは、空気を導入するための空気導入孔が形成されていない、スプレー式製品。 - 前記噴射剤は、25℃における水に対するオストワルド係数が0.01~0.03である第2の圧縮ガスをさらに含む、請求項1記載のスプレー式製品。
- 前記第1の圧縮ガスは、炭酸ガスであり、
前記第2の圧縮ガスは、窒素ガスまたは空気である、請求項2記載のスプレー式製品。 - 耐圧容器内に原液を入れ、5℃以下に冷却する工程と、
前記原液に、噴射剤を飽和溶解させる工程と、
前記噴射剤が飽和溶解している前記原液を、容器本体に充填し、加圧機構を前記容器本体に取り付けて、前記容器本体内を密封する工程と、
常温に戻すことにより、前記噴射剤が飽和溶解している前記原液から、前記噴射剤の一部を気化させて、前記容器本体内の圧力を0.05MPa(25℃、ゲージ圧)以上に調整する工程と、を含み、
前記噴射剤は、25℃における水に対するオストワルド係数が0.05~1.0である第1の圧縮ガスを含み、
前記加圧機構は、前記原液を貯留するハウジングと、前記ハウジング内の前記原液を加圧するステム機構とを備え、
前記ハウジングは、空気を導入するための空気導入孔が形成されていない、スプレー式製品の製造方法。 - 前記噴射剤は、25℃における水に対するオストワルド係数が0.01~0.03である第2の圧縮ガスをさらに含む、請求項4記載のスプレー式製品の製造方法。
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