JP7120464B2 - 誘導加熱コイル及びこれを用いた単結晶製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、FZ法(フローティングゾーン法)による単結晶の製造に用いる誘導加熱コイル及びこれを用いた単結晶製造装置に関する。
シリコン単結晶を育成する方法の一つとしてFZ法が知られている。FZ法では、多結晶の原料ロッドの一部を加熱して溶融帯を形成し、溶融帯の上方及び下方にそれぞれ位置する原料ロッド及び単結晶をゆっくり引き下げることにより、単結晶を徐々に成長させる。FZ法では融液を支持するルツボを使用しないので、シリコン単結晶の品質がルツボの影響を受けることがなく、CZ法よりも高純度な単結晶を育成することが可能である。
原料ロッドの加熱手段には誘導加熱コイルが用いられる。誘導加熱コイルに関し、例えば特許文献1には、少なくとも二巻の金属管からなる誘導加熱コイルの最外巻部表面を耐熱性絶縁物で被覆することによりフラッシュオーバーを防止することが記載されている。また特許文献2には、多結晶原料棒、単結晶棒、溶融帯のいずれかと誘導加熱コイルとの間の放電を防ぐために、誘導加熱コイルの表面の全部又は一部に絶縁性材料の被膜を形成することが記載されている。
特許文献3には、スリットを中心にして20度以上80度以下の範囲のコイル裏面に設けられた平坦部と、該平坦部を除いた範囲のコイル裏面に設けられ、内周方向から外周方向へ厚くなるテーパー部とを有する誘導加熱コイルが記載されている。また特許文献4には、赤外波長域の電磁波に対して高い反射率を有する反射膜を誘導加熱コイルの表面にコーティングすることにより、被加熱部材からのコイルを含む加熱装置や周囲空気への放熱損失を抑制することが記載されている。さらに特許文献5には、冷却水が流通する冷却水路を有し、冷却水路の内部に酸化を防止するための被膜が形成された誘導加熱コイルが記載されている。
特開昭50-37346号公報 特開2006-169060号公報 特開2013-168345号公報 特開2015-43262号公報 特開2012-101980号公報
FZ法によるシリコン単結晶の製造では、抵抗率の面内分布の均一化が重要な技術的課題の一つである。シリコン単結晶の抵抗率の面内分布のばらつきを改善するためには、溶融帯の温度分布が作る対流やシリコン原料の融解の仕方を調整する必要があり、これまでは誘導加熱コイルの形状を変更するという方法が採られてきた。しかしながら、コイル形状を変更するとコイルから発生する電磁気力の分布が変化し、溶融帯がこぼれやすくなるなど、意図しない効果が出てしまうという問題がある。
したがって、本発明の目的は、コイル形状を変更することなく溶融帯及び原料ロッドの温度分布を調整し、これにより単結晶の抵抗率分布をできるだけ均一にすることが可能な誘導加熱コイル及びこれを用いた単結晶製造装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による誘導加熱コイルは、FZ法によるシリコン単結晶の製造に用いられる誘導加熱コイルであって、略円環状の導体板からなるコイル導体と、前記コイル導体の周方向に隣接する前記コイル導体の一端及び他端にそれぞれ設けられた一対の端子電極とを備え、前記コイル導体は、前記コイル導体の中心部に形成された開口部と、前記開口部から径方向に延びて前記一対の端子電極の接続位置を周方向に分断するスリットと有し、前記コイル導体の少なくとも下面が複数の領域に区画されており、各領域の輻射率が異なっていることを特徴とする。
本発明によれば、誘導加熱コイルの形状を変えることなく、溶融帯や原料ロッドの温度分布を調整することができる。したがって、FZ法により育成される単結晶の抵抗率の面内分布のばらつきを低減することができる。
本発明において、前記複数の領域は前記コイル導体の径方向に分割されていることが好ましい。この場合において、前記コイル導体の下面は、前記開口部に隣接する内周領域と、前記内周領域よりも径方向の外側に位置する中間領域と、前記中間領域よりも径方向の外側に位置する外周領域とを有することが好ましい。これにより、単結晶の抵抗率の面内ばらつきを低減することができる。
原料ロッドの半径をRとするとき、前記コイル導体の半径は1.5R以上であり、前記内周領域は、コイル中心から径方向に0.8R未満の領域であり、前記中間領域は、コイル中心から径方向に0.8R以上1.2R未満の領域であり、前記外周領域は、コイル中心から径方向に1.2R以上の領域であることが好ましい。これにより、単結晶の抵抗率の面内ばらつきを低減することができる。
本発明において、前記中間領域の輻射率は、前記内周領域及び前記外周領域の輻射率よりも高いことが好ましい。FZ法により製造される単結晶はその外周部の抵抗率が高くなりやすいが、溶融帯の外周部に近接するコイル導体の下面の中間領域の輻射率を高くして抜熱効果を高めることにより、単結晶の外周部の抵抗率を低く抑えることが可能となる。
本発明において、前記内周領域の輻射率は、前記外周領域の輻射率以上であることが好ましい。コイル導体の内周領域の輻射率を外周領域よりも高くすることにより、単結晶の中心部における抵抗率の低下を抑制することができる。
前記内周領域の輻射率は0.03以上0.3以下であり、前記中間領域の輻射率は0.5以上0.8以下であり、前記外周領域の輻射率は0.03以上0.1以下であることが好ましい。これにより、抵抗率の面内分布ができるだけ均一な単結晶を製造することができる。
前記複数の領域は前記コイル導体の周方向に分割されていることが好ましい。これにより、スリットが誘導加熱コイルの輻射率分布に与える影響を緩和することができ、周方向にできるだけ均一な輻射率分布を形成することができる。
前記内周領域は、前記スリットに隣接する第1内周領域と、前記第1内周領域よりも前記スリットから離れた第2内周領域とを有し、前記中間領域は、前記スリットに隣接する第1中間領域と、前記第1中間領域よりも前記スリットから離れた第2中間領域とを有することが好ましい。
前記第1内周領域は、前記スリットを中心とする20度以上80度以下の領域であり、前記第2内周領域は、前記内周領域から前記第1内周領域を除いた領域であり、前記第1中間領域は、前記スリットを中心とする20度以上80度以下の領域であり、前記第2中間領域は、前記中間領域から前記第1中間領域を除いた領域であることが好ましい。
前記第2内周領域の輻射率は、前記第1内周領域の輻射率以上であり、前記第1中間領域の輻射率は、前記第2中間領域の輻射率よりも高いことが好ましい。
前記第1内周領域の輻射率は0.03以上0.1以下であり、前記第2内周領域の輻射率は0.03以上0.3以下であることが好ましい。また、前記第1中間領域の輻射率は0.6以上0.8以下であり、前記第2中間領域の輻射率は0.5以上0.6未満であることが好ましい。輻射率の周方向の対称性を崩すことにより溶融帯の撹拌効果を高めることができる。したがって、抵抗率の面内分布ができるだけ均一な単結晶を製造することができる。
前記コイル導体の下面は、コイル中心に向かって上りの傾斜面であることが好ましく、前記コイル導体の上面は、コイル中心に向かって下りの傾斜面であることが好ましい。この構成により、溶融帯に対して適切な電磁圧力を付与することができ、単結晶上で溶融帯を安定的に保持することができる。
前記輻射率は、前記コイル導体の表面粗さを変えることにより設定することが好ましい。これにより、コイル形状を変えることなく輻射率を部位ごとに調整することができる。
前記輻射率は、前記コイル導体の表面を覆う被膜により設定することが好ましい。これにより、コイル形状を変えることなく輻射率を部位ことに調整することができる。
また、本発明による単結晶製造装置は、原料ロッド及び種結晶上に成長した単結晶を収容する反応炉と、前記原料ロッドを回転可能及び昇降可能に支持する上軸と、種結晶を回転可能及び昇降可能に支持する下軸と、前記原料ロッドの下端部を加熱して溶融帯を形成する上述した本発明による誘導加熱コイルとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、FZ法において抵抗率の面内分布ができるだけ均一な単結晶の製造歩留まりを高めることができる。
さらにまた、本発明による誘導加熱コイルの設計方法は、FZ法による単結晶の製造に用いられる誘導加熱コイルであって、略円環状の導体板からなるコイル導体の少なくとも下面を複数の領域に区画し、各領域の輻射率が異なっていることを特徴とする。
本発明によれば、FZ法において抵抗率の面内分布ができるだけ均一な単結晶の製造歩留まりを高めることができる。
本発明によれば、コイル形状を変更することなく溶融帯及び原料ロッドの温度分布を調整し、これにより単結晶の抵抗率分布をできるだけ均一にすることが可能な誘導加熱コイル及びこれを用いた単結晶製造装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態による単結晶製造装置の構成を概略的に示す側面断面図である。 図2は、誘導加熱コイルの構成を示す略斜視図である。 図3(a)及び(b)は、誘導加熱コイルの輻射率を部位ごとに規定する複数の分割領域の一例を示す平面図である。 図4は、誘導加熱コイルに流れる電流の経路を説明するための模式図である。 図5は、溶融帯と誘導加熱コイルとの位置関係を示す略側面断面図である。 図6は、誘導加熱コイルの下面側の輻射率分布の設定例を示す模式図である。 図7は、誘導加熱コイルの上面側の輻射率分布の設定例を示す模式図である。 図8は、誘導加熱コイルの輻射率を規定する複数の分割領域の他の例を示す平面図である。 実施例1による誘導加熱コイルの輻射率分布を示す平面図である。 実施例1による誘導加熱コイルを用いてFZ法により製造されたシリコンウェーハの抵抗率分布を従来と比較して示すグラフである。 実施例2による誘導加熱コイルの輻射率分布を示す平面図である。 実施例2による誘導加熱コイルを用いてFZ法により製造されたシリコンウェーハの抵抗率分布を従来と比較して示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態による単結晶製造装置の構成を概略的に示す側面断面図である。
図1に示すように、この単結晶製造装置1は、FZ法によりシリコン単結晶を育成するための装置であって、原料ロッド2及び種結晶3上に成長するシリコン単結晶4が収容される反応炉10と、原料ロッド2を回転可能及び昇降可能に支持する上軸11と、種結晶3及びシリコン単結晶4を回転可能及び昇降可能に支持する下軸12と、原料ロッド2の下端部を加熱する誘導加熱コイル13と、結晶成長が進んで大型化したシリコン単結晶4の重量を支える単結晶重量保持具14と、原料ロッド2とシリコン単結晶4との間の溶融帯5(シリコン融液)にドープガスを供給するガスドープ装置15とを備えている。
原料ロッド2はモノシラン等のシリコン原料を精製して得られた高純度多結晶シリコンからなり、原料ロッド2の上端部は原料保持具16を介して上軸11の下端部に取り付けられている。種結晶3の下端部は種結晶保持具17を介して下軸の上端部に取り付けられている。上軸11及び下軸12は、図示しない駆動機構によってそれぞれ回転及び昇降駆動される。
誘導加熱コイル13は、原料ロッド2又は溶融帯5を取り囲む略1ターンの高周波コイルであり、図示しない交流電源に接続されている。誘導加熱コイル13は主に銅又は銀からなることが好ましい。誘導加熱コイル13に高周波電圧を印加することにより、原料ロッド2の一部は誘導加熱されて溶融帯5が生成される。原料ロッド2を誘導加熱コイル13で加熱する前に、原料ロッド2は予備加熱されることが好ましい。こうして生成された溶融帯5に種結晶3を融着させた後、原料ロッド2及びシリコン単結晶4を回転させながら下降させることにより、溶融帯5からシリコン単結晶4を成長させることができる。
単結晶重量保持具14は、シリコン単結晶4のテーパー部4aに当接してシリコン単結晶4を保持する。単結晶重量保持具14がシリコン単結晶4の重量の大部分を受け止めることにより、種結晶3にシリコン単結晶4の重量がほとんど掛からないようにすることができる。
ガスドープ装置15は、ドープガスが高圧状態で収容されたガスボンベ15aと、ドープガスの流量を制御する流量制御部15bと、溶融帯5にドープガスを吹き付けるドープガスノズル15cとを備える。溶融帯5へのドーパントの供給量はドープガス流量を変えることによって調整される。ドーパントの供給量を安定的に制御するためにはドープガス濃度を一定に維持し、ドープガス流量のみを調整することが好ましい。
シリコン単結晶4の上方に設置された原料ロッド2は誘導加熱によって溶融され、シリコン融液がシリコン単結晶4の上部で保持される。シリコン融液は誘導加熱コイル13によって加熱され、また誘導加熱コイル13が発生させる電磁気力によって保持される。シリコン融液の気液界面形状は、重力、表面張力、メルト内外圧力差及び電磁気力等のバランスによって決定される。
FZ法により育成されるシリコン単結晶4において重要な品質は抵抗率分布である。ドーパントは例えば溶融帯5にドーパントガスを吹き付けることで供給される。そのため、抵抗率分布のばらつきを低減するためには溶融帯5をよく撹拌しなくてはならない。溶融帯5は結晶回転による強制対流の他に、溶融帯5の温度分布に由来する熱対流によっても撹拌される。
シリコン単結晶4の抵抗率分布を改善する方法として、誘導加熱コイル13の形状の変更する方法がある。コイル形状を変更することによって温度分布を変化させ、熱対流を変化させることができる。しかしながら、コイル形状を変更する方法ではシリコン融液に意図しない変化が起こる場合がある。上記のようにシリコン融液は電磁気力によって保持されているため、コイル形状を変更すると電磁気力の分布が変化し、融液対流や気液界面形状に影響を与える。その結果、シリコン融液の意図しない変化につながり、最悪の場合、シリコン融液を保持することができなくなる。
そこで本実施形態においては、電磁場分布を変化させずに温度分布を変化させるため、誘導加熱コイル13の表面を複数の領域に区画し、各領域の赤外線の輻射率を独立に設定することにより、誘導加熱コイル13の表面の赤外線の輻射率を部分的に変化させる。
図2は、誘導加熱コイル13の構成を示す略斜視図である。
図2に示すように、誘導加熱コイル13は、略円環状の導体板からなるコイル導体21と、コイル導体21に高周波電圧を印加するための一対の端子電極22,22とを有している。
コイル導体21は、円板状の導体の中心部に開口部23が形成され、さらに開口部23から径方向に伸びるスリット24によって円環状の導体の一部が周方向に分断された構成を有している。スリット24は周方向に近接する一対の端子電極22,22の間に配置されており、一対の端子電極22,22の接続位置を周方向に分断している。コイル導体21の外径は原料ロッド2及びシリコン単結晶4の直径(直胴部4bの直径)よりも大きく、コイル導体21の内径(開口部23の直径)は原料ロッド2及びシリコン単結晶4の直径よりも小さい。
誘導加熱コイル13の上面13aは、外周端から中心部(開口部23)に向かって下りの傾斜面であることが好ましく、誘導加熱コイル13の下面13bは、外周端から中心部に向かって上りの傾斜面であることが好ましい。すなわち、誘導加熱コイル13断面形状は、外周端から内周端に向かって徐々に厚さが薄くなるテーパー形状を有することが好ましい。この場合に、上面13aの傾斜角度と下面13bの傾斜角度は同じあってもよく、異なっていてもよい。誘導加熱コイル13がこのような形状を有する場合、溶融帯5や原料ロッド2に対して適切な電磁圧力や輻射熱を付与することができ、溶融帯5をシリコン単結晶4上で安定的に保持することができる。
誘導加熱コイル13は水冷構造を有し、コイル導体21の内部には冷却水の流路が設けられていてもよい。これにより、誘導加熱コイル13の消耗を抑えることができる。
図3(a)及び(b)は、誘導加熱コイル13の輻射率を部位ごとに規定する複数の分割領域の一例を示す平面図である。
図3(a)に示すように、誘導加熱コイル13の上面13a及び下面13bは、その輻射熱が周囲に与える影響に応じて、径方向の3つの領域に区画することができる。具体的には、コイル中心に近い内周領域Saと、内周領域Saの外側であってコイル中心からの距離が原料ロッド2の半径又はシリコン単結晶4の半径に近い中間領域Sbと、中間領域Sbの外側であってコイル中心からの距離が原料ロッド2の半径又はシリコン単結晶4の半径よりも遠い外周領域Scに分けることができる。
原料ロッド2の半径をRとするとき、内周領域Saは、コイル中心から径方向に0.8R未満の領域、中間領域Sbは、コイル中心から径方向に0.8R以上1.2R未満の領域、外周領域Scは、コイル中心から径方向に1.2R以上の領域であることが好ましい。コイル導体21の外周半径は1.5R以上であることが好ましい。
さらに図3(b)に示すように、内周領域Sa及び中間領域Sbは、周方向の2つの領域に区画ことができる。すなわち、内周領域Saは、スリット24に近い領域である第1内周領域Sa1と、第1内周領域Sa1よりもスリット24から離れた領域である第2内周領域Sa2とに分けることができる。また、中間領域Sbは、スリット24に近い領域である第1中間領域Sb1と、スリット24から離れた領域である第2中間領域Sb2とに分けることができる。
第1内周領域Sa1は、スリット24を中心として角度θの内側の領域であり、第2内周領域Sa2は、内周領域Saから第1内周領域Sa1を除いた領域である。同様に、第1中間領域Sb1は、スリット24を中心として角度θの内側の領域であり、第2中間領域Sb2は、中間領域Sbから第1中間領域Sb1を除いた領域である。角度θは20度以上80度以下であることが好ましい。
図4は、誘導加熱コイル13に流れる電流の経路を説明するための模式図である。
図4に示すように、電流Iは誘導加熱コイル13の一対の端子電極22,22間の距離が最も短くなる経路を流れる。そのため、第1内周領域Sa1の電流密度は小さく、この領域に近い溶融帯5の中心部の発熱量は小さい。一対の端子電極22,22に近い第1中間領域Sb1の電流密度は大きいため、この領域に近い溶融帯5の外周部の発熱量は大きい。
第2内周領域Sa2及び第2中間領域Sb2は、スリット24のない軸対称な誘導加熱コイル13と同様の発熱分布になる。第2内周領域Sa2の電流密度は大きいため、この領域に近い溶融帯5の中心部の発熱量は多い。第2中間領域Sb2の電流密度は小さいため、この領域に近い溶融帯5の外周部の発熱量は小さい。さらに、外周領域Scの電流密度は小さく、さらに外周領域Scは溶融帯5から離れているため、外周領域Scが溶融帯5の発熱分布に与える影響は少ない。
図5は、溶融帯5と誘導加熱コイル13との位置関係を示す略側面断面図である。
図5に示すように、誘導加熱コイル13の第1中間領域Sb1及び第2中間領域Sb2の上面は原料ロッド2から離れているため、第1中間領域Sb1及び第2中間領域Sb2に近い原料ロッド2の発熱量は少ない。反対に、第1中間領域Sb1及び第2中間領域Sb2の下面から溶融帯5までの距離は比較的近いため、第1中間領域Sb1及び第2中間領域Sb2に近い溶融帯5の外周部の発熱量は多くなる。
外周領域Scは原料ロッド2及び溶融帯5から離れているため発熱分布への影響は少ない。ただし、外周領域Scの輻射率は原料ロッド2及び溶融帯5の保温性に関わるため無視できず、できるだけ小さくすることが望ましい。
FZ法により製造されるシリコンウェーハはその外周部の抵抗率のばらつきが大きくなりやすく、外周部の抵抗率のばらつきを低く抑えることが品質面での課題である。ウェーハ外周部の抵抗率のばらつきが大きくなる原因は、図示のように、溶融帯5の外周部にマランゴニ対流5mが発生するためであると考えられる。
マランゴニ対流5mは溶融帯5の表面の温度分布に由来する融液対流であり、溶融帯5の外周部では結晶回転による撹拌効果とマランゴニ対流による撹拌効果が競合することで融液対流が抑制され、撹拌力が弱くなるため、外周部のドーパント濃度がばらつきやすくなる。そこで本実施形態では溶融帯5の外周部からの抜熱を行うことによりマランゴニ対流を抑制し、回転による撹拌の効果を大きくすることにより、径方向のドーパント濃度のばらつきを抑制することができる。
外周部と対照的にシリコンウェーハの中心部の抵抗率は低くなりやすい。これは、溶融帯5の中心部では結晶回転による撹拌効果が小さいからである。そこで本実施形態では誘導加熱コイル13の下面13bの第1内周領域Sa1及び第2内周領域Sa2の輻射率を相対的に小さくすることで、溶融帯5の中心部の温度分布を調整する。これにより、結晶回転の中心を跨ぐような融液対流を発生させて撹拌の効果を高めることができる。
誘導加熱コイル13による原料ロッド2の融解では、コイル形状の非対称性のために融解が不安定であり、偏った融解や、ツララ状の溶け残りが発生して誘導加熱コイル13と接触するなどの問題が発生する。そのため、シリコン原料の融解面の温度分布をできるだけ均一化し、安定に融解させることが重要になる。したがって、誘導加熱コイル13の下面13bにおいては電流量が多い第1中間領域Sb1及び第2内周領域Sa2の輻射率を大きくし、電流量が少ない第1内周領域Sa1及び第2中間領域Sb2の輻射率を小さくすることが望ましい。
図6は、誘導加熱コイル13の下面13b側の輻射率分布の設定例を示す平面図である。
図6に示すように、誘導加熱コイル13の下面13bの内周領域Saの輻射率は0.03以上0.3以下、中間領域Sbの輻射率は0.5以上0.8以下、外周領域Scの輻射率は0.03以上0.1以下にそれぞれ設定されることが好ましい。さらに、第1内周領域Sa1の輻射率は0.03以上0.1以下、第2内周領域Sa2の輻射率は0.03以上0.3以下に設定されることが好ましい。また、第1中間領域Sb1の輻射率は0.6以上0.8以下、第2中間領域Sb2の輻射率は0.5以上0.6未満に設定されることが好ましい。
誘導加熱コイル13の表面の輻射率を変える方法は特に限定されないが、表面粗さを変える方法や表面に被膜を形成する方法を挙げることができる。輻射率を表面粗さにより変える場合、表面粗さが大きいほど輻射率は大きくなる。鏡面加工された誘導加熱コイル13の表面の輻射率は小さくなる。
誘導加熱コイル13の表面に形成される皮膜は導電性でも絶縁性でもよいが、高温に耐えられなければならない。絶縁性皮膜としては、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、ポリテトラフルオロエチレン、酸化ケイ素、アモルファスダイヤモンドなどを上げることができる。これらの皮膜はCVD法やPVD法によって形成することができる。導電性皮膜には金属めっきがある。金属はクロム、ニッケル、亜鉛、錫、金又はこれらを含む合金を用いることができ、めっき加工の方法によって色を変化させることができる。さらに、形成された皮膜の表面粗さを変えることにより、輻射率を微調整することも可能である。
誘導加熱コイル13の表面の輻射率は0.02から0.9まで変化させることができる。例えば、良く研磨された銅や銀の表面の輻射率は0.02であり、黒色めっきされた表面の輻射率は0.9である。
誘導加熱コイル13の上面13aの輻射率分布は、下面13bの輻射率分布と同じであってもよく、異なっていてもよい。誘導加熱コイル13の上面13aの輻射率分布は、原料ロッド2を安定で均一に融解する目的で設定されるものである。原料ロッド2の安定で均一な融解により、融液中のドーパント濃度のばらつきも抑制できる。誘導加熱コイル13の上面13aの輻射率分布を下面13bと異ならせる場合、上面13aの各領域の輻射率が下面13bと同様に独立に設定されてもよく、或いは複数の領域に対してすべて同じ輻射率を設定してもよい。誘導加熱コイル13の上面13aの温度分布は原料ロッド2の融解の仕方に影響を与えるため、輻射率の周方向の対称性を崩すことにより溶融帯の撹拌効果を高めることができる。
図7は、誘導加熱コイル13の上面13a側の輻射率分布の設定例を示す平面図である。
図7に示すように、誘導加熱コイルの上面13aの内周領域Saの輻射率は0.03以上0.3以下、中間領域Sbの輻射率は0.03以上0.8以下、外周領域Scの輻射率は0.03以上0.1以下にそれぞれ設定されることが好ましい。さらに、第1内周領域Sa1の輻射率は0.03以上0.1以下、第2内周領域Sa2の輻射率は0.03以上0.3以下に設定されることが好ましい。また、第1中間領域Sb1の輻射率は0.3以上0.8以下、第2中間領域Sb2の輻射率は0.03以上0.3以下に設定されることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態による誘導加熱コイル13は、その少なくとも下面13bを複数の領域に区画し、各領域の輻射率が異なっているので、コイル形状を変えることなく溶融帯5及び原料ロッド2の温度分布を調整することができる。これにより、シリコン単結晶の抵抗率の面内分布をできるだけ均一にすることができる。
上記実施形態においては、誘導加熱コイル13を径方向に対して3分割し、さらに内周領域Sa及び中間領域Sbを2つの領域にそれぞれ分割し、全体として5つの領域に分けているが、本発明において複数の領域の分け方は特に限定されず、任意に分割することができる。
図8は、誘導加熱コイル13の輻射率を部位ごとに規定する複数の分割領域の他の例を示す平面図である。
図8に示すように、誘導加熱コイル13の上面13a及び下面13bは、コイル中心に近く且つスリット24に近い第1内周領域Sa1と、コイル中心に近く且つスリット24から遠い第2内周領域Sa2と、コイル中心から遠く且つスリット24に近い第1外周領域Sc1と、コイル中心から遠く且つスリット24から遠い第2外周領域Sc2と、コイル中心から遠く且つ第2外周領域Sc2よりもさらにスリット24から遠い第3外周領域Sc3という5つの領域に分かれている。スリット近傍領域である第1内周領域Sa1及び第1外周領域Sc1は、スリットを中心とする角度θではなく、スリットの幅方向における開口部23の直径によって規定されており、開口部23の直径よりも内側を第1内周領域Sa1及び第1外周領域Sc1としている。第3外周領域Sc3は、開口部23から見て第1外周領域Sc1と反対側に形成された領域である。
このように、本実施形態による誘導加熱コイル13の分割形状は、図3(a)及び(b)に示した分割形状と少し異なるが、誘導加熱コイル13の輻射率を部位ごとに規定することができる。したがって、コイル形状を変えることなく溶融帯5及び原料ロッド2の温度分布を調整することができ、シリコン単結晶の抵抗率の面内分布ができるだけ均一になるように調整することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、FZ法によるシリコン単結晶の製造方法を例に挙げたが、本発明による誘導加熱コイルはシリコン単結晶の製造方法に限定されるものではなく、種々の単結晶の製造に適用可能である。また、輻射率を変える方法として表面粗さや被膜を形成する方法を例に挙げたが、他の方法により輻射率を変えることも可能である。
また上記実施形態においては、シリコン単結晶をドーピングする方法としてガスドープ装置15を用いて溶融帯5にドープガスを供給する方法を例に挙げたが、予めドーピングされた原料ロッド2を用いる方法であってもよい。
また上記実施形態においては、誘導加熱コイル上の領域を同心円状に分割すると共に、周方向にはスリット近傍領域とそれ以外の領域とに分けているが、それ以外にも、周方向に対して放射状に分割してもよく、格子状に分割してもよく、さらにそれらの分割方法を組み合わせることも可能である。
<実施例1>
誘導加熱コイル13の下面13bを上記のように5つの領域に分け、各領域を以下のように定義した。まず第1内周領域Sa1はコイル中心から0.8R未満(Rは原料ロッドの半径)の領域であってスリット24を中心として角度θの内側の領域とし、第2内周領域Sa2はコイル中心から0.8R未満の領域であってスリット24を中心として角度θよりも外側の領域とした。また第1中間領域Sb1は、コイル中心から0.8R以上1.2R未満の領域であってスリットを中心として角度θの内側の領域とし、第2中間領域Sb2は、コイル中心から0.8R以上1.2R未満の領域であってスリットを中心として角度θよりも外側の領域とした。さらに外周領域Scは、コイル中心から1.2R以上の領域とした。
次に、ウェーハ外周部の抵抗率分布を改善するため、誘導加熱コイル13の下面13bの5つの領域の輻射率を以下のように設定した。すなわち、発熱量が多い第1中間領域Sb1及び第2中間領域Sb2から抜熱を行い、溶融帯5の外周部の温度が下がるようにした。特に、スリット24に近い第1中間領域Sb1の発熱量が多いため、第2中間領域Sb2よりも第1中間領域Sb1の輻射率を大きくした。また第1内周領域Sa1は第2内周領域Sa2よりも発熱量が少ないので、保温性を高めるために輻射率を小さくした。外周領域Scも輻射率を低くして保温性を失わないようにした。
具体的には、図9に示すように、第1内周領域Sa1の輻射率:0.03、第1中間領域Sb1の輻射率:0.80、第2内周領域Sa2の輻射率:0.03、第2中間領域Sb2の輻射率:0.57、外周領域Scの輻射率:0.03とした。
第1内周領域Sa1、第2内周領域Sa2、及び外周領域Scは研磨面とし、第1中間領域Sb1及び第2中間領域Sb2は輻射率を上げるため黒色めっき面とした。なお第1内周領域Sa1と第2内周領域Sa2の輻射率は同じ値であるため、第1内周領域Sa1と第2内周領域Sa2との境界を規定する角度θに特別な意味はない。
各領域の輻射率を以上のように定義した誘導加熱コイルにおいて、スリット近傍領域を規定する角度θを0度(第1中間領域Sb1無し)、20度、40度、80度、120度、360度(第2中間領域Sb2無し)とする6種類の誘導加熱コイルを用意し、これらを用いてFZ法による直径約200mmのシリコン単結晶4の育成を行った。その後、シリコン単結晶4から切り出したシリコンウェーハの抵抗率を四探針法により測定し、抵抗率の面内分布を評価した。その評価結果を表1に示す。
Figure 0007120464000001
表1に示すように、スリット近傍領域の角度θ=40度のときに抵抗率のばらつきが最も小さくなり、ウェーハ外周部の抵抗率分布の形状はフラットになった。逆に、角度θ=120度のときに抵抗率のばらつきが大きくなった。角度θ=0度及び360度のとき抵抗率分布はウェーハ外周部で上向きになった。
図10は、シリコンウェーハの抵抗率分布の変化を示すグラフであって、横軸はウェーハ中心からの距離(相対値)、縦軸は抵抗率の変動率(%)をそれぞれ示している。
図10に示すように、輻射率分布を調整していない従来(比較例)の誘導加熱コイルを用いた場合、ウェーハ外周部でのハネ上がりが大きな抵抗率分布となった。これに対し、輻射率分布を調整した実施例1による誘導加熱コイル13を用いた場合、ウェーハ外周部での抵抗率のハネ上がりを抑えることができた。
<実施例2>
次に、ウェーハ中心部の抵抗率分布をさらに改善するため、誘導加熱コイル13の下面13bの5つの領域のうち、第2内周領域Sa2の輻射率εを調整し、これにより温度分布の対称性を崩して対流を発生させることを試みた。
具体的には、図11に示すように、第2内周領域Sa2の輻射率εを0.03、0.1、0.3、0.5とする4種類の誘導加熱コイルを用意し、これらを用いてFZ法によるシリコン単結晶4の育成を行った。その後、シリコン単結晶4から切り出したシリコンウェーハの抵抗率を四探針法により測定し、抵抗率の面内分布を評価した。その評価結果を表2に示す。
Figure 0007120464000002
表2に示すように、第2内周領域Sa2の輻射率ε=0.03のときウェーハ外周部の抵抗率分布はフラットとなったが、ウェーハ中心部において抵抗率の低下がみられた。輻射率ε=0.1のときウェーハ中心部の抵抗率分布はフラットとなり、ウェーハ中心部における抵抗率の低下も見られなかった。輻射率ε=0.3のときウェーハ中心部の抵抗率分布のばらつきが大きくなった。輻射率ε=0.5のとき抵抗率分布のばらつきは全体的に大きくなり、輻射率ε=0.60以上では抜熱効果が大きすぎてシリコン融液の保持が困難であった。
図12は、シリコンウェーハの抵抗率分布の変化を示すグラフであって、横軸はウェーハ中心からの距離(相対値)、縦軸は抵抗率の変動率(%)をそれぞれ示している。
図12に示すように、第2内周領域Sa2の輻射率ε=0.1に設定した実施例2による誘導加熱コイル13を用いた場合、実施例1(ε=0.03)よりもウェーハ中心部での抵抗率の低下を小さくすることができ、抵抗率の面内ばらつきをさらに小さくすることができた。
1 単結晶製造装置
2 原料ロッド
3 種結晶
4 シリコン単結晶
4a テーパー部
4b 直胴部
5 溶融帯
5m マランゴニ流
10 反応炉
11 上軸
12 下軸
13 誘導加熱コイル
13a 誘導加熱コイルの上面
13b 誘導加熱コイルの下面
14 単結晶重量保持具
15 ガスドープ装置
15a ガスボンベ
15b 流量制御部
15c ドープガスノズル
16 原料保持具
17 種結晶保持具
21 コイル導体
22 端子電極
23 開口部
24 スリット
Sa 内周領域
Sa1 第1内周領域
Sa2 第2内周領域
Sb 中間領域
Sb1 第1中間領域
Sb2 第2中間領域
Sc 外周領域
Sc1 第1外周領域
Sc2 第2外周領域
Sc3 第3外周領域

Claims (18)

  1. FZ法によるシリコン単結晶の製造に用いられる誘導加熱コイルであって、
    略円環状の導体板からなるコイル導体と、
    前記コイル導体の周方向に隣接する前記コイル導体の一端及び他端にそれぞれ設けられた一対の端子電極とを備え、
    前記コイル導体は、前記コイル導体の中心部に形成された開口部と、前記開口部から径方向に延びて前記一対の端子電極の接続位置を周方向に分断するスリットと有し、
    前記コイル導体の少なくとも下面が複数の領域に区画されており、各領域の輻射率が異なっていることを特徴とする誘導加熱コイル。
  2. 前記複数の領域は前記コイル導体の径方向に分割されている、請求項1に記載の誘導加熱コイル。
  3. 前記コイル導体の下面は、
    前記開口部に隣接する内周領域と、
    前記内周領域よりも径方向の外側に位置する中間領域と、
    前記中間領域よりも径方向の外側に位置する外周領域とを有する、請求項1又は2に記載の誘導加熱コイル。
  4. 原料ロッドの半径をRとするとき、
    前記コイル導体の半径は1.5R以上であり、
    前記内周領域は、コイル中心から径方向に0.8R未満の領域であり、
    前記中間領域は、コイル中心から径方向に0.8R以上1.2R未満の領域であり、
    前記外周領域は、コイル中心から径方向に1.2R以上の領域である、請求項3に記載の誘導加熱コイル。
  5. 前記中間領域の輻射率は、前記内周領域及び前記外周領域の輻射率よりも高い、請求項4に記載の誘導加熱コイル。
  6. 前記内周領域の輻射率は、前記外周領域の輻射率以上である、請求項4又は5に記載の誘導加熱コイル。
  7. 前記内周領域の輻射率は0.03以上0.3以下であり、
    前記中間領域の輻射率は0.5以上0.8以下であり、
    前記外周領域の輻射率は0.03以上0.1以下である、請求項5又は6に記載の誘導加熱コイル。
  8. 前記複数の領域は前記コイル導体の周方向に分割されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱コイル。
  9. 前記内周領域は、
    前記スリットに隣接する第1内周領域と、
    前記第1内周領域よりも前記スリットから離れた第2内周領域とを有し、
    前記中間領域は、
    前記スリットに隣接する第1中間領域と、
    前記第1中間領域よりも前記スリットから離れた第2中間領域とを有する、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の誘導加熱コイル。
  10. 前記第1内周領域は、前記スリットを中心とする20度以上80度以下の領域であり、
    前記第2内周領域は、前記内周領域から前記第1内周領域を除いた領域であり、
    前記第1中間領域は、前記スリットを中心とする20度以上80度以下の領域であり、
    前記第2中間領域は、前記中間領域から前記第1中間領域を除いた領域である、請求項9に記載の誘導加熱コイル。
  11. 前記第2内周領域の輻射率は、前記第1内周領域の輻射率以上であり、
    前記第1中間領域の輻射率は、前記第2中間領域の輻射率よりも高い、請求項9又は10に記載の誘導加熱コイル。
  12. 前記第1内周領域の輻射率は0.03以上0.1以下であり、
    前記第2内周領域の輻射率は0.03以上0.3以下である、請求項11に記載の誘導加熱コイル。
  13. 前記第1中間領域の輻射率は0.6以上0.8以下であり、
    前記第2中間領域の輻射率は0.5以上0.6未満である、請求項11又は12に記載の誘導加熱コイル。
  14. 前記コイル導体の下面は、コイル中心に向かって上りの傾斜面である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の誘導加熱コイル。
  15. 前記コイル導体の上面は、コイル中心に向かって下りの傾斜面である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の誘導加熱コイル。
  16. 前記輻射率は、前記コイル導体の表面粗さを変えることにより設定する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の誘導加熱コイル。
  17. 前記輻射率は、前記コイル導体の表面を覆う被膜により設定する、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の誘導加熱コイル。
  18. 原料ロッド及び種結晶上に成長した単結晶を収容する反応炉と、
    前記原料ロッドを回転可能及び昇降可能に支持する上軸と、
    種結晶を回転可能及び昇降可能に支持する下軸と、
    前記原料ロッドの下端部を加熱して溶融帯を形成する請求項1乃至17のいずれか一項に記載の誘導加熱コイルとを備えることを特徴とする単結晶製造装置。
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