JP7119352B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟性と搬送性を両立する積層体に関する。
近年、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューターおよび液晶テレビ等、ディスプレイ搭載機器や、様々なデバイスの普及が広く進んでおり、それらの構成部材として、合成樹脂等からなるフィルムやシート材料が多数用いられている。このような状況の中、近年ではフレキシブルデバイス・ウェアラブルデバイスの研究開発が活発に行われており、変形可能な機器や部材の開発が進められている。
このような状況のため、従来のディスプレイやデバイスに使用されてきた材料では適用困難な技術領域が新たに生まれると考えられるため、高い柔軟性や伸縮性を有する新しい材料へのニーズが高まっていくものと予想される。
一方、柔軟性や伸縮性を有する既存材料の例として、特許文献1には「第1のポリエチレンからなる層と、前記第1のポリエチレンからなる層に積層された熱可塑性ポリウレタン層と、前記熱可塑性ポリウレタン層に積層された第2のポリエチレンからなる層と、を少なくとも有する積層体であって、前記第1のポリエチレンの結晶化熱量が前記第2のポリエチレンの結晶化熱量よりも大きいことを特徴とする熱可塑性ポリウレタン層を有する積層体。」が提案されている。
また、非特許文献1にはいわゆる「シリコーン材料」が挙げられており、シリコーン材料の一例としてシリコーンゴムを使ったシート材料が提案されている。
また、特許文献2には「スチレン成分が65~95質量%含まれるスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS-A)と、スチレン成分が5~40質量%含まれるスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS-B)を、(SBS-A)/(SBS-B)=75/25~95/5の組成比で混合したSBS樹脂組成物と、前記SBS樹脂組成物100質量部に対して20~45質量部の割合で配合されたフィラー(C)とを含み、比重が1.10~1.32とされていることを特徴とする弾性フィルム。」が提案されている。
また、特許文献3には「ウレタン樹脂、有機溶剤、水およびフッ素系界面活性剤の混合物をポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはメチルペンテンポリマーフィルムのいずれか一種のフィルムであって、片面に粘着剤を有する基材に塗布、加温することにより得られる発泡体を前記基材上に有する発泡ウレタンシートであって、前記有機溶剤がトルエンとメチルエチルケトンの混合溶液であり、前記発泡体が連続通気構造の微細セルで構成されることを特徴とする発泡ウレタンシート。」が提案されている。
特開2013-91223号公報 特開2008-88293号公報 特開2014-231170号公報
シリコーンハンドブック 株式会社日刊工業新聞社 1990
しかしながら、特許文献1に提案されている材料について本発明者らが確認したところ、一定の柔軟性や伸縮性は確認できたものの、高温時の耐熱性が不足しており、ディスプレイやデバイスの部材として適用するために必要な、加熱を伴う後加工に不適であった。
また、非特許文献1に提案されているシリコーンゴム材料については、柔軟性や伸縮性は得られるが、異素材への接着性が乏しく、後加工に不向きであった。
次に、特許文献2に提案されている材料については、一定の柔軟性は確認できたものの、伸縮性や透明性が不十分であることが分かった。
さらに、特許文献3に提案されている材料については、一定の柔軟性や伸縮性は確認できたものの、透明性が不十分であった。また、発泡部分の存在により、塗布を伴う後加工工程においても不適であることが分かった。
そこで、本発明の目的は柔軟性や伸縮性を持ちながら、搬送性に優れる積層体を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
<1>
支持基材の少なくとも一方の面に、樹脂層を有する積層体であって、以下の条件1から条件5のすべてを満たすことを特徴とする、積層体。
条件1: 樹脂層の5%歪み応力Sが10MPa以下。
条件2: 積層体の5%歪み応力Sが20MPa以上。
条件3: 支持基材と樹脂層の間の剥離力Rが1,000mN/50mm以下。
条件4: 積層体の150℃における長手方向熱収縮率が2.0%以下。
条件5: 積層体のヘイズが15%以下。
<2>
以下の条件6を満たすことを特徴とする、<1>に記載の積層体。
条件6: 変形量20%での引張試験法における、樹脂層の弾性復元率が70%以上。
<3>
以下の条件7および条件8を満たすことを特徴とする、<1>または<2>に記載の積層体。
条件7: 変形量100%での応力緩和試験法における、樹脂層の歪み量100%に伸張したときの応力Fと、その状態で1時間保持後の応力Fの比率である応力保持率F/F×100が、70%以上である。
条件8: 変形量100%でのヒステリシス試験法における、樹脂層を歪み量100%に伸張し、10秒間保持後に解放したときの伸張時と解放時の応力-歪み曲線に囲まれたヒステリシス面積が、1.0MPa未満である。
<4>
以下の条件9を満たすことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体。
条件9: 30℃における樹脂層の寸法を基準としたとき、150℃における樹脂層の寸法変化率について、その絶対値が10%以下。
<5>
以下の条件10を満たすことを特徴とする、<1>から<4>のいずれかに記載の積層体。
条件10:動的粘弾性法における、樹脂層のガラス転移温度が0℃以下。
<6>
以下の条件11および条件12を満たすことを特徴とする、<1>から<5>のいずれかに記載の積層体。
条件11: 樹脂層が、数平均分子量3,000以上のウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂組成物である。
条件12: 支持基材の少なくとも一方の表面に、離型層を有しており、支持基材と樹脂層が離型層を介して接している。
<7>
支持基材の少なくとも一方の面に、樹脂層を形成する積層体の製造方法であって、以下の条件13を満たすことを特徴とする、<1>から<6>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
条件13: 塗料組成物を支持基材上に塗布することにより、樹脂層が形成される。
本発明によれば、柔軟でありながら、搬送性が良好な積層体を得ることができる。
本発明における積層体の例である。 本発明における樹脂層の形成方法の一例を示す断面図である。 本発明における樹脂層の形成方法の一例を示す断面図である。 本発明における樹脂層の形成方法の一例を示す断面図である。 本発明における樹脂層のヒステリシス面積の一例を示す図である。
本発明の実施形態を説明する前に、従来技術の問題点、すなわち柔軟性と搬送性の両立について、本発明者の視点で考察する。
[本発明と従来技術の比較]
従来技術において、柔軟性や伸縮性を示す材料は存在するが、その柔軟性や伸縮性を有するために、搬送性や耐熱性および光学特性などが不足していた。そのため、特定用途では使用できるものの、ディスプレイ・デバイス・センサー等のような用途において、フィルム材料は様々な後加工が行われた上で使用されることが多いが、従来材料では後加工適性が十分とはいえず、適用困難であった。
そもそも柔軟性を示す材料において、特に搬送性が不足する理由として、Roll-to-Rollのような連続プロセスにおいて、材料に張力をかけて搬送を行うが、柔軟な材料ではこの張力により変形が発生してしまうことにある。具体的には、材料の延伸が起きたり、皺が発生したりするものであり、後加工工程として行われる印刷加工や貼合加工や塗布加工を阻害してしまうことがある。また、柔軟性を示す材料は、室温付近において材料の分子構造の運動性が高いことが特徴であるが、そのために高温では形状を維持することが困難となり、結果として耐熱性が不足してしまう。さらに、光学特性(特に透明性)が不足する場合、後加工を行った製品を検査する際、目視や光学センサーを使用した際の検査性が不足し、良品と不良品の判別が困難となる問題もある。
そこで、本発明者らは柔軟性と搬送性を両立する検討を行う上で、積層体の層構成に着目した。
ディスプレイ部材やデバイス部材等の用途において、部材の製造工程においては搬送性が求められるが、使用時には柔軟性や伸縮性が求められると考えられる。そこで、柔軟性を有する樹脂層と、搬送性を有する支持基材を組み合わせることで、積層体として搬送性を付与する方法を着想した。この際、支持基材と樹脂層の間の剥離力を一定以下に制御することによって、部材の製造工程や使用状況に合わせ任意のタイミングで支持基材を剥離することも可能となる。本構成により、印刷加工や貼合加工や塗布加工を行う際には積層体の構成として搬送性を確保し、使用のタイミングには支持基材を剥離することで、後加工性に優れる柔軟材料を提供することが可能となった。また、積層体の高温における寸法安定性を確保することで、特に加熱を伴う後加工でも品位の高い製品を得ることができる。さらに、積層体の透明性を高めることで、後加工後の検査性が向上するため、製品の生産性を向上することができる。
具体的には、樹脂層の5%歪み応力Sが10MPa以下であり、積層体の5%歪み応力Sが20MPa以上であり、支持基材と樹脂層の間の剥離力Rが1,000mN/50mm以下であり、積層体の150℃における長手方向熱収縮率が2.0%以下であり、積層体のヘイズが15%以下とすることが好ましい。
さらに、本発明の積層体の製造方法において、前述の塗布以外の方法として、例えば樹脂層と支持基材の貼合による製造方法が挙げられる。しかし、貼合の場合、例えば樹脂層と支持基材の間に粘着層を介在させて貼合するが、このような積層体を搬送したり加熱したりすると粘着剤が樹脂層に移行する(いわゆる糊残り)場合があるため、製品として不適となる場合がある。また、粘着剤を介在させずに貼合する場合、加熱や圧力により貼合を行うが、樹脂層が柔軟である場合に意図せぬ変形や熱収縮を起こしてしまい、シワ発生や品位低下の原因となる場合や製品として不適となる場合がある。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、前述の問題を解決する方法として、本発明の積層体の製造方法は、塗料組成物を支持基材上に塗布することにより、樹脂層が形成されることで、樹脂層への負荷を極力抑制しながら、搬送性を付与することができることを見出した。また、前述の製造方法において、支持基材の種類を選択することにより、樹脂層と支持基材の剥離力を制御することも可能となる。また、塗布により本発明の積層体を得ることにより、樹脂層の表裏両面における平滑性を高めることができることも見出した。
さらに、本発明者らは積層体の品位を向上する検討を行う上で、積層体を構成する材料の変形性に着目した。柔軟性や伸縮性を示す材料において、搬送性が不十分となることは前述の通りであるが、さらに、材料が柔軟であるために変形が起きやすいことが問題となる場合がある。具体的には、搬送工程において柔軟である樹脂層に細かな凹凸や傷やムラが発生し、製品にした際に品位が低下したりする場合や、後加工後の検査性が低下する場合がある。
一方、このような柔軟材料の搬送性を向上するために、従来、製品として許容可能な範囲で硬質化することや、厚膜化することで搬送性の向上がなされてきたが、本発明においては、積層体の層構成に着目することで搬送性を向上することができた。そこで、従来の設計では困難であった、樹脂層をより柔軟化した際に何が起きるか、詳細に検討を行った。その結果、樹脂層を極端に柔軟化することで、積層体の品位を向上可能であることを見出した。
本発明者らがこの効果を調べた結果、柔軟な材料では前述の通り凹凸や傷やムラが発生しやすくなるが、極端に柔軟な材料では後加工において、前述の凹凸や傷やムラが消失しやすくなることが分かった。これは、柔軟な材料では変形を受けやすいために凹凸や傷やムラが発生しやすいが、極端に柔軟な材料では、一度発生した凹凸や傷やムラが、後加工における加熱や圧力により平滑化され、消失したためと考えている。この効果により、積層体の品位を向上することができる。特に、樹脂層の変形性は温度に依存し、樹脂層のガラス転移温度を下げることで、前述の効果を高めることができることを見出した。
具体的には、動的粘弾性法における、樹脂層のガラス転移温度を0℃以下とすることが好ましい。
さらに、本発明者らは積層体の積層構造について、詳細に検討を行った結果、支持基材と樹脂層を特定の構成とすることで、剥離性と品位を向上可能であることを見出した。本発明の好ましい積層構成の一つとして、樹脂層と支持基材の剥離性を高めるために、支持基材の表面に離型層を設ける構成が挙げられる。一方、樹脂層が柔軟であるために変形性が大きく、支持基材と樹脂層を積層した後に樹脂層が大きく変形すると、搬送工程で意図せぬ剥離が部分的に発生する場合がある。特に、支持基材の表面に設けた離型層が非常に剥離性の高い処方であり、かつ、樹脂層が硬化する際に発生する硬化収縮が極端に大きい場合、硬化時に樹脂層の一部に剥離が発生したり、後工程でさらなる負荷が生じた際に樹脂層の一部に剥離が発生したりし、品位が低下したりする場合がある。
そこで、樹脂層の硬化収縮を抑制する方法を検討した結果、樹脂層に用いる樹脂組成物の数平均分子量を一定以上とすることで、前述の一部剥離を抑制することができ、品位を高められることを見出した。これは用途に合わせて支持基材の表面に設けた離型層の設計を変える必要が生じた場合(特に、剥離性を高める場合)にも適用でき、樹脂層の剥離性と積層体の品位を高めることが可能となる。
具体的には、樹脂層が、数平均分子量3,000以上のウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂組成物であり、かつ、支持基材の少なくとも一方の表面に、離型層を有しており、支持基材と樹脂層が離型層を介して接する構成とすることが好ましい。
さらに、従来の樹脂層では長期間の歪みを与えた後に、歪みを解放しても、元の長さに復元せずに弛みが生じることがわかった。そこで、本発明者らは積層体を構成する樹脂層の長期変形後の復元性を向上するため、樹脂層の応力緩和性に着目した。従来においては、応力緩和性が高いため、すなわち加えられた応力を低減するため、復元時の応力が小さくなり、復元性が小さくなることがわかった。そこで、樹脂層の応力緩和性を特定の範囲にすることで、長期間の歪みを樹脂層に与え続けても、高い復元性が得られることを見出した。
具体的には、変形量100%での応力緩和試験法における、樹脂層の歪み量100%に伸張したときの応力Fと、その状態で1時間保持後の応力Fの比率である応力保持率F/F×100が、70%以上であり、変形量100%でのヒステリシス試験法における、樹脂層を歪み量100%に伸張し、10秒間保持後に解放したときの伸張時と解放時の応力-歪み曲線に囲まれたヒステリシス面積が、1.0MPa未満であることが好ましい。
さらに、本発明者らは積層体の品位や後加工適性を検討するにあたり、加熱時における樹脂層と支持基材の変形挙動の違いに着目した。前述のように、本発明の積層体は後加工工程として印刷加工や貼合加工および塗布加工が行われることが利用方法の一例として挙げられるが、このような後加工工程では加熱を伴うことが多い。この積層体が加熱を受けた際の樹脂層と支持基材の変形挙動を観察したところ、加熱により生じる支持基材の変形に対し、加熱により生じる樹脂層の変形が大きい場合、積層体の厚み位置によって変形の向きや大きさにずれが生じるため、内部応力が生じることが分かった。この内部応力により表面性が悪化したり、極端な場合には樹脂層と支持基材が意図せぬ剥離を生じたりし、品位の悪化や後加工適性を悪化させる場合がある。
そこで、このような内部応力による意図せぬ減少を抑制する方法を検討した結果、特に変形を生じやすい樹脂層について、加熱時の寸法変化を抑制することが有効であることを見出した。加熱時の寸法変化を抑制することによって、積層体が様々な後加工工程に晒された場合においても、積層内に余計な内部応力が発生することを抑制することができ、品位や後加工適性を高めることができる。
具体的には、30℃における樹脂層の寸法を基準としたとき、200℃における樹脂層の寸法変化率について、その絶対値を10%以下とすることが好ましい。
さらに、本発明者らは積層体を検討するに当たり、熱可塑性ウレタンフィルム(TPU)についても検証を行った。熱可塑性ウレタンフィルムは様々な市販の製品が存在し、室温における搬送性等の観点において一定の特性を示した。しかし、熱可塑性ウレタンフィルムは熱可塑性を有するため、一定以上の高温に晒された場合において、変形を生じてしまう。特に、印刷加工や貼合加工および塗布加工のような後加工工程に晒された場合、熱可塑性ウレタンフィルムに大きな変形を生じてしまい、搬送性が不足してしまう。また、熱可塑性ウレタンフィルムには支持基材を有するものがあり、例えばポリエステルフィルムなどが支持基材として用いられているが、前述のように加熱時において熱可塑性ウレタンフィルムと支持基材に変形挙動の差が生じ、品位の悪化や後加工適性の悪化が生じることが分かった。
また、本発明者らは、熱可塑性ウレタンフィルム(TPU)について、その特性を詳細に検討した。前述の通り、本発明における積層体を構成する樹脂層の長期変形後の復元性を向上するには、樹脂層の応力緩和特性を前述のように一定の性質にすることが好ましい。しかし、熱可塑性ウレタンフィルムはその特性から、応力緩和特性を前述のように一定の性質にすることが困難であり、本発明の目的においては不適であることが分かった。
熱可塑性ウレタンフィルムはその名の通り熱可塑性を有する材料であるが、熱可塑性を有するということは塑性変形を生じやすいことを意味する。すなわち、塑性変形は樹脂を構成する高分子構造に由来する性質であり、加熱により大きな塑性変形が生じることが熱可塑性の特徴であるが、加熱は塑性変形を促進するにすぎず、室温や低温環境においても塑性変形は生じうる。特に、外部から長時間歪みを与え続けるような状況においては、たとえ加熱を伴わない状況においても塑性変形を生じてしまう。塑性変形が生じてしまうと、樹脂層が変形後、応力を開放しても元の形状に戻らないことを意味するため、復元性を損なう結果となる。したがって、様々な環境において高い復元性が求められる用途において、熱可塑性ウレタンフィルムは不適な材料であると考えられる。
[本発明の形態]
以下、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
上記課題、すなわち柔軟性と搬送性を満足するために、本発明の積層体は、支持基材の少なくとも一方の面に、樹脂層を有する積層体であって、以下の条件1から条件5のすべてを満たすことが好ましい。
条件1: 樹脂層の5%歪み応力Sが10MPa以下。
条件2: 積層体の5%歪み応力Sが20MPa以上。
条件3: 支持基材と樹脂層の間の剥離力が1,000mN/50mm以下。
条件4: 積層体の長手方向の150℃熱収縮率が2.0%以下。
条件5: 積層体のヘイズが15%以下。
5%歪み応力、剥離力、150℃熱収縮率、ヘイズの測定方法は後述する。柔軟性の観点から、本発明の積層体は、前記樹脂層における5%歪み応力Sが10MPa以下であることが好ましいが、より好ましくは5MPa以下であり、特に好ましくは3MPa以下である。Sを特定の範囲にすることで、柔軟性を高めることができる。
樹脂層の5%歪み応力Sが特定の範囲をとると、柔軟性が向上し好ましい。Sが低いと柔軟性が向上するが、過剰に低い場合は剛性が不足する場合があり、下限値は0.01MPa程度と考えられる。一方で、Sが10MPaより高い場合、樹脂層の柔軟性が低下するため、目的の用途に不適となる場合がある。
前記樹脂層の5%歪み応力Sを10MPa以下とするためには、例えば前記樹脂層に含まれる樹脂が後述に例示する材料を選択することで可能となる。
搬送性の観点から、本発明の積層体は、積層体における5%歪み応力Sが20MPa以上であることが好ましい。Sを特定の範囲にすることで、積層体としての搬送性を高めることができる。
積層体の5%歪み応力Sが特定の範囲をとると、搬送性が向上し好ましい。Sが高いと剛性が増して搬送性が向上する。一方で、Sが20MPaより低い場合、積層体の剛性が不足して搬送性が低下し、後加工の工程において不適となる場合がある。
前記積層体の5%歪み応力Sを20MPa以上とするためには、例えば支持基材に含まれる樹脂が後述に例示する材料を選択することで可能となる。
操作性の観点から、本発明の積層体は、支持基材と樹脂層の間の剥離力Rが1,000mN/50mm以下であることが好ましいが、より好ましくは800mN/50mm以下である。剥離力を特定の値以下とすることで、本発明の積層体を用いて製造される製品の製造工程や使用工程において、任意に支持基材を剥離することができる。
剥離力Rが低いと、本発明の積層体を用いて製造される製品において任意に支持基材を剥離することができるため、製品の操作性が向上し好ましい。剥離力Rは低いほどこの効果は大きいが、極端に低い場合、意図せぬ位置やタイミングで剥離が発生し、不適となる場合があるため、下限値は5mN/50mm程度と考えられる。一方で、剥離力Rが1,000mN/50mmより高いと、本発明の積層体を用いて製造される製品において、剥離が困難であったり、剥離の際に柔軟な樹脂層へ過剰な負荷がかかり、意図せぬ変形を受けたりし、不適となる場合がある。
剥離力Rを1,000mN/50mm以下とするためには、例えば後述するような特定の支持基材を選択することで可能となる。
搬送性の観点から、本発明の積層体は、150℃における長手方向熱収縮率が2.0%以下であることが好ましいが、より好ましくは1.0%以下である。長手方向熱収縮率を特定の範囲とすることで、本発明の積層体の搬送性や後加工性を高めることができる。
150℃における長手方向熱収縮率を前記範囲とすることで、加熱を伴う搬送工程や後加工工程において、意図せぬ変形を抑制することができるため、搬送性や後加工性が向上するため好ましい。一方、長手方向熱収縮率が前記範囲を満たさない場合、機能層塗布などのいわゆる後加工工程においてフィルムにシワや凹凸などのムラが発生する場合があり、製品として不適となる場合がある。
長手方向熱収縮率を前記範囲とするためには、例えば後述するような特定の支持基材を選択することで可能となる。
光学特性の観点から、本発明の積層体は、ヘイズが15%以下であることが好ましいが、より好ましくは10%以下であり、特に好ましくは7.0%以下である。積層体のヘイズを特定の範囲とすることで、本発明の積層体を使用した製品の光学品位を高めることや、製造工程における製品検査性を高めることができる。
積層体のヘイズを前記範囲とするためには、例えば樹脂層に後述する特定の樹脂を選択したり、後述するような特定の支持基材を選択したりすることで可能となる。
さらに、伸縮性の観点から、前記積層体は、以下の条件6を満たすことが好ましい。
条件6: 変形量20%での引張試験法における、樹脂層の弾性復元率が70%以上。
弾性復元率の測定方法は後述する。
伸縮性の観点から、本発明の積層体における樹脂層は、弾性復元率が70%以上であることが好ましいが、より好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。弾性復元率は樹脂層に歪みを与えた後の復元性を表しており、柔軟である樹脂層が意図せぬ変形を起こした場合でも元の形状に回復することが可能となる。
弾性復元率が大きいと、前述の効果により、樹脂層に大きな負荷がかかる場合でも元の形状に回復することができ、操作性が向上し好ましい。弾性復元率は高いほど好ましく、上限値は原則的に100%である。一方で、弾性復元率が70%より小さくなると、樹脂層に負荷が加わった場合に回復できない変形が発生し、製品として不適となる場合がある。
変形量20%での引張試験法における弾性復元率を70%以上とするためには、例えば前記樹脂層に含まれる樹脂が後述に例示する材料を選択することで可能となる。
さらに、長期変形後の復元性の観点から、前記積層体は、以下の条件7および条件8を満たすことが好ましい。
条件7: 変形量100%での応力緩和試験法における、樹脂層の歪み量100%に伸張したときの応力Fと、その状態で1時間保持後の応力Fの比率である応力保持率F/F×100が、70%以上である。
条件8: 変形量100%でのヒステリシス試験法における、樹脂層を歪み量100%に伸張し、10秒間保持後に解放したときの伸張時と解放時の応力-歪み曲線に囲まれたヒステリシス面積が、1.0MPa未満である。
なお、以下では、条件7における応力保持率を単に応力保持率ということがあり、条件8におけるヒステリシス面積を単にヒステリシス面積ということがある。
応力保持率とヒステリシス面積の測定方法は後述する。
伸縮性の観点から、本発明の積層体における樹脂層は、応力保持率が70%以上であることが好ましいが、より好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。応力保持率は樹脂層に一定歪みを与えた直後と長時間にわたって一定歪みを保持した後の応力の比率を表しており、樹脂層が変形を長時間受けた場合でもすぐに元の形状に回復することが可能となるかの指標となるパラメーターである。
応力保持率が大きいと、前述の効果により、樹脂層に大きな負荷が長時間かかる場合でもすぐに元の形状に回復することができ、伸縮性が向上し好ましい。応力保持率は高いほど好ましく、上限値は原則的に100%である。一方で、応力保持率が70%より小さくなると、樹脂層に長時間負荷が加わった場合に回復できない変形が発生し、製品として不適となる場合がある。
応力保持率を70%以上とするためには、例えば前記樹脂層に含まれる樹脂を後述に例示する材料から選択することで可能となる。
さらに、伸縮性の観点から、本発明の積層体における樹脂層は、ヒステリシス面積が、1.0MPa未満であることが好ましいが、より好ましくは0.5MPa以下であり、特に好ましくは0.3MPa以下である。ヒステリシス面積は樹脂層に一定歪み付与時と歪み解放時の各歪みにおける応力の差を表しており、樹脂層が変形を受けた場合でもすぐに元の形状に回復することが可能となるかの指標となるパラメーターである。
ヒステリシス面積が小さいと、前述の効果により、樹脂層に大きな負荷がかかる場合でもすぐに元の形状に回復することができ、伸縮性が向上し好ましい。ヒステリシス面積は小さいほど好ましく、下限値は原則的に0MPaである。一方で、ヒステリシス面積が1.0MPa以上になると、樹脂層に負荷が加わった場合にすぐに回復できない変形が発生し、製品として不適となる場合がある。
ヒステリシス面積を1.0MPa未満とするためには、例えば前記樹脂層に含まれる樹脂を後述に例示する材料から選択することで可能となる。
さらに、品位や後加工適性の観点から、前記樹脂層は、以下の条件9を満たすことが好ましい。
条件9: 30℃における樹脂層の寸法を基準としたとき、200℃における樹脂層の寸法変化率について、その絶対値が10%以下。
寸法変化率の詳細は後述する。
品位や後加工適性の観点から、本発明の積層体における樹脂層は、寸法変化率の絶対値が10%以下であることが好ましいが、より好ましくは8%以下であり、特に好ましくは5%以下である。樹脂層の寸法変化率の絶対値を一定以下とすることで、本発明の積層体が加熱にさらされた場合でも意図せぬ変形が生じにくく、品位や後加工適性を向上できるため好ましい。
前記寸法変化率の絶対値が一定以下の値をとると、前述のように品位や後加工適性が向上できるため好ましい。寸法変化率の寸法変化率が小さいほどこの効果は高まる。一方、前記寸法変化率の絶対値が10%を超える場合、前述の品位や後加工適性が不十分となる場合がある。
前記寸法変化率の絶対値を一定以下の値とするためには、例えば、前記樹脂層に含まれる樹脂およびその前駆体として、後述に例示する材料を選択することで可能となる。
さらに、品位の観点から、前記積層体は、以下の条件10を満たすことが好ましい。
条件10: 動的粘弾性法における、樹脂層のガラス転移温度が0℃以下。
動的粘弾性法の詳細は後述する。
品位の観点から、本発明の積層体において、動的粘弾性法における、樹脂層のガラス転移温度が0℃以下であることが好ましいが、より好ましくは-20℃以下であり、特に好ましくは-30℃以下である。ガラス転移温度を一定の値以下にすることで、積層体の品位を高めることができる。
樹脂層のガラス転移温度が一定の値を採ると、品位が向上し好ましい。ガラス転移温度が低いと品位が向上するが、過剰に低い場合は剛性が不足する場合があり、下限値は-150℃程度と考えられる。一方で、ガラス転移温度が0℃より高い場合、樹脂層の品位を高める効果が不十分となる場合がある。
前記樹脂層のガラス転移温度を一定の範囲にするためには、例えば、前記樹脂層に含まれる樹脂を後述に例示する材料から選択することで可能となる。
さらに、品位の観点から、前記積層体は、以下の条件11および条件12を満たすことが好ましい。
条件11: 樹脂層が、数平均分子量3,000以上のウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂組成物である。
条件12: 支持基材の少なくとも一方の表面に、離型層を有しており、支持基材と樹脂層が離型層を介して接している。
品位の観点から、本発明の積層体において、樹脂層が、数平均分子量3,000以上のウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂組成物であることが好ましいが、より好ましくは数平均分子量5,000以上である。樹脂層が、一定以上の数平均分子量のウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂組成物とすることで、前述の硬化により、積層体の品位を高めることができる。
前記数平均分子量が一定の値を採ると、品位が向上し好ましい。数平均分子量が大きいほどこの効果は高まるが、塗液を作成した場合のハンドリングを考慮すると、上限値は200,000程度と考えられる。一方で、前記数平均分子量が3,000未満の場合、前述の品位を高める効果が不十分となる場合がある。
前記数平均分子量を一定の値とするためには、例えば、前記樹脂層に含まれる樹脂およびその前駆体として、後述に例示する材料を選択することが可能となる。
さらに、前記積層体の製造方法において、以下の条件13を満たすことが好ましい。
条件13: 塗料組成物を支持基材上に塗布することにより、樹脂層が形成される。
前述の通り、樹脂層と支持基材の剥離力や、樹脂層を保護する等の観点から、本発明の積層体の製造方法は、塗料組成物を支持基材上に塗布することにより、樹脂層が形成されることが好ましい。
[積層体、および樹脂層]
本発明の積層体は、前述の物性を示す樹脂層を有していれば平面状態、または成形された後の3次元形状のいずれであってもよい。前記樹脂層の層数に特に限定はなく、1層から形成されていてもよいし、2層以上の層から形成されていてもよい。
前記樹脂層の厚みは特に限定はないが、その下限値として1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。また、その上限値として、500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましく、30μm以下が特に好ましい。前記樹脂層の厚みは、前述した他の機能に応じてその厚みを選択することができる。
前記樹脂層は、本発明の課題としている柔軟性、伸縮性の他に、光沢性、耐指紋性、成型性、意匠性、耐傷性、防汚性、耐溶剤性、反射防止、帯電防止、導電性、熱線反射、近赤外線吸収、電磁波遮蔽、易接着等の他の機能を有してもよい。
また、前記樹脂層の上に、さらに1つ以上の層を形成してもよく、例えば前述の機能を有する機能層、粘着層、電子回路層、印刷層、光学調整層等や他の機能層を設けてもよい。
[支持基材]
本発明の積層体に用いられる支持基材を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。支持基材を構成する樹脂は、成形性が良好であれば好ましく、その点から熱可塑性樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂は、十分な延伸性と追従性を備える樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、強度・耐熱性・透明性の観点から、特に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、もしくはメタクリル樹脂であることがより好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、酸成分およびそのエステルとジオール成分の重縮合によって得られる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またこれらに酸成分やジオール成分として他のジカルボン酸およびそのエステルやジオール成分を共重合したものであってもよい。これらの中で透明性、寸法安定性、耐熱性などの点でポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートが特に好ましい。
また、支持基材には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。支持基材は、単層構成、積層構成のいずれであってもよい。
支持基材の表面には、前記樹脂層を形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
また、支持基材の表面には、本発明の樹脂層とは別に易接着層、帯電防止層、アンダーコート層、紫外線吸収層、離型層などの機能性層をあらかじめ設けることも可能であり、本発明の積層体においては、支持基材と樹脂層の剥離力を低下させるため、特に離型層を設けることが好ましい。
前述の離型層が設けられたポリエステル樹脂により構成されたフィルムの例として、東レフィルム加工株式会社製の“セラピール”(登録商標)、ユニチカ株式会社製の“ユニピール”(登録商標)、パナック株式会社製の“パナピール”(登録商標)、東洋紡株式会社製の“東洋紡エステル”(登録商標)、帝人株式会社製の“ピューレックス”(登録商標)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
[塗料組成物]
本発明の積層体の製造方法は特に限定されないが、本発明の積層体は、前述の支持基材の少なくとも一方に、塗料組成物を塗布する工程、必要に応じて乾燥する工程や硬化する工程を経て、得ることができる。ここで「塗料組成物」とは、溶媒と溶質からなる液体であり、前述の支持基材上に塗布し、溶媒を乾燥工程で揮発、除去、硬化することにより樹脂層を形成可能な材料を指す。ここで、塗料組成物の「種類」とは、塗料組成物を構成する溶質の種類が一部でも異なる液体を指す。この溶質は、樹脂もしくは塗布プロセス内でそれらを形成可能な材料(以降これを前駆体と呼ぶ)、粒子、および重合開始剤、硬化剤、触媒、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤からなる。
また、本発明の積層体において、塗料組成物Aを用い、支持基材上に塗布することにより樹脂層を形成することが好ましい。
[塗料組成物A]
塗料組成物Aは、本発明の樹脂層を構成するのに適した材料を含む、もしくは形成可能な前駆体を含む液体であり、溶質として次の(1)から(3)のセグメントを含む樹脂もしくは前駆体を含むことが好ましい。
(1)ポリカプロラクトンセグメント、ポリカーボネートセグメントおよびポリアルキレングリコールセグメントからなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメント
(2)ウレタン結合
(3)フッ素化合物セグメント、ポリシロキサンセグメントおよびポリジメチルシロキサンセグメントからなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメント。
この樹脂層の表面におけるA層を構成する樹脂が含む各セグメントについては、TOF-SIMS、FT-IR等により確認することできる。
また、塗料組成物A中に含まれる前記(1)、(2)、(3)の質量部は、(1)/(2)/(3)= 95/5/1 ~ 50/50/15 が好ましく、(1)/(2)/(3)= 90/10/1 ~ 60/40/10 がより好ましい。以下、(1)、(2)、(3)の詳細について説明する。
前記(1)ポリカプロラクトンセグメント、ポリカーボネートセグメントおよびポリアルキレングリコールセグメントの詳細については後述するが、前記樹脂層の表面におけるA層を構成する樹脂がこれらのセグメントを有することで、樹脂層の伸縮性や柔軟性を向上させることができる。
前記ウレタン結合の詳細については後述するが、前記樹脂層の表面におけるA層を構成する樹脂がこの結合を有することで、樹脂層全体の強靭性や伸縮性を向上させることができる。
前記フッ素化合物セグメント、ポリシロキサンセグメントおよびポリジメチルシロキサンセグメントの詳細については後述するが、樹脂層を構成する樹脂がこれらを含むことにより最表面に低表面エネルギーを示す分子を高密度に存在させることができ、樹脂層の耐溶剤性を向上させることができる。
他にも、塗料組成物Aの溶質として好ましい樹脂の一例として、ウレタンアクリレートが挙げられる。ウレタンアクリレートは様々な汎用品が入手でき、また、目的に応じて様々な物性を持つ材料を合成することも可能となる。
本発明において、より好ましい形態の一つとして、樹脂層のガラス転移温度を下げる方法が挙げられるが、その手段の一つとしてウレタンアクリレートの種類を選択することができる。また、同様により好ましい形態の一つとして、一定の数平均分子量を有するウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂組成物を樹脂層に用いることが挙げられるが、その手段の一つとしてウレタンアクリレートの種類を選択することができる。
ウレタンアクリレートの市販されている例としては、亜細亜工業株式会社製のウレタンアクリレート、共栄社化学株式会社製のウレタンアクリレート、新仲村化学工業株式会社製のウレタンアクリレート、大成ファインケミカル株式会社製のウレタンアクリレート、第一工業製薬製の“ニューフロンティア”(登録商標)、ダイセル・オルネクス株式会社製の“EBECRYL”(登録商標)、日本合成株式会社製の“紫光”(登録商標)、DIC株式会社製のウレタンアクリレートなどを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
[ポリカプロラクトンセグメント、ポリカーボネートセグメント、ポリアルキレングリコールセグメント]
まず、ポリカプロラクトンセグメントとは化学式1で示されるセグメントを指す。ポリカプロラクトンには、カプロラクトンの繰り返し単位が1(モノマー)、2(ダイマー)、3(トライマー)のようなものや、カプロラクトンの繰り返し単位が35までのオリゴマーも含む。
Figure 0007119352000001
ここで、nは1~35の整数である。
ポリカプロラクトンセグメントを含有する樹脂は、少なくとも1以上の水酸基(ヒドロキシル基)を有することが好ましい。水酸基はポリカプロラクトンセグメントを含有する樹脂の末端にあることが好ましい。
ポリカプロラクトンセグメントを含有する樹脂としては、特に2~3官能の水酸基を有するポリカプロラクトンが好ましい。具体的には、化学式2で示されるポリカプロラクトンジオール、
Figure 0007119352000002
ここで、m+nは4~35の整数で、m、nはそれぞれ1~34の整数、RはC、COCまたはC(CH(CH
または化学式3で示されるポリカプロラクトントリオール、
Figure 0007119352000003
ここで、l+m+nは3~30の整数で、l、m、nはそれぞれ1~28の整数、RはCHCHCH、CHC(CHまたはCHCHC(CH
などのポリカプロラクトンポリオールや化学式4で示されるポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
Figure 0007119352000004
ここで、nは1~25の整数で、RはHまたはCHなどの活性エネルギー線重合性カプロラクトンを用いることができる。他の活性エネルギー線重合性カプロラクトンの例として、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
さらに本発明において、ポリカプロラクトンセグメントを含有する樹脂は、ポリカプロラクトンセグメント以外に、他のセグメントやモノマーが含有(あるいは、共重合)されていてもよい。たとえば、後述するポリジメチルシロキサンセグメントやポリシロキサンセグメント、イソシアネート化合物を含有する化合物が含有(あるいは、共重合)されていてもよい。
また、本発明において、ポリカプロラクトンセグメントを含有する樹脂中の、ポリカプロラクトンセグメントの重量平均分子量は500~2,500であることが好ましく、より好ましい重量平均分子量は1,000~1,500である。ポリカプロラクトンセグメントの重量平均分子量が500~2,500であると、伸縮性や柔軟性がより向上するため好ましい。
次にポリアルキレングリコールセグメントとは、化学式5で示されるセグメントを指す。ポリアルキレングリコールには、アルキレングリコールの繰り返し単位が2(ダイマー)、3(トライマー)のようなものや、アルキレングリコールの繰り返し単位が11までのオリゴマーも含む。
Figure 0007119352000005
nは2~4の整数、mは2~11の整数である。
ポリアルキレングリコールセグメントを含有する樹脂は、少なくとも1以上の水酸基(ヒドロキシル基)を有することが好ましい。水酸基はポリアルキレングリコールセグメントを含有する樹脂の末端にあることが好ましい。
ポリアルキレングリコールセグメントを含有する樹脂としては、弾性を付与するために、末端にアクリレート基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートであることが好ましい。ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのアクリレート官能基(またはメタクリレート官能基)数は限定されないが、硬化物の伸縮性や柔軟性の点から単官能であることが最も好ましい。
樹脂層を形成するために用いる塗料組成物中に含有されるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。それぞれ次の化学式6、化学式7、化学式8に代表される構造である。
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート:
Figure 0007119352000006
ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート:
Figure 0007119352000007
ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート:
Figure 0007119352000008
化学式6、化学式7、化学式8でRは水素(H)またはメチル基(-CH)、mは2~11となる整数である。
本発明では、好ましくは、後述するイソシアネート基を含有する化合物と(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの水酸基を反応させてウレタン(メタ)アクリレートとして樹脂層に用いることにより、樹脂層を構成する樹脂が、(2)ウレタン結合および(3)(ポリ)アルキレングリコールセグメントを有することができ、結果として樹脂層の強靱性を向上させると共に伸縮性や柔軟性を向上することができて好ましい。
イソシアネート基を含有する化合物とポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとのウレタン化反応の際に同時に配合するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が例示される。
次に、ポリカーボネートセグメントとは化学式9で示されるセグメントを指す。ポリカーボネートには、カーボネートの繰り返し単位が2(ダイマー)、3(トライマー)のようなものや、カーボネートの繰り返し単位が16までのオリゴマーも含む。
Figure 0007119352000009
nは2~16の整数である。
は炭素数1~8までのアルキレン基またはシクロアルキレン基を指す。
ポリカーボネートセグメントを含有する樹脂は、少なくとも1以上の水酸基(ヒドロキシル基)を有することが好ましい。水酸基は、ポリカーボネートセグメントを含有する樹脂の末端にあることが好ましい。
ポリカーボネートセグメントを含有する樹脂としては、特に2官能の水酸基を有するポリカーボネートジオールが好ましい。具体的には化学式10で示される。
ポリカーボネートジオール:
Figure 0007119352000010
nは2~16の整数である。Rは炭素数1~8までのアルキレン基またはシクロアルキレン基を指す。
ポリカーボネートジオールは、カーボネート単位の繰り返し数がいくつであってもよいが、カーボネート単位の繰り返し数が大きすぎるとウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の強度が低下するため、繰り返し数は10以下であることが好ましい。なお、ポリカーボネートジオールは、カーボネート単位の繰り返し数が異なる2種以上のポリカーボネートジオールの混合物であってもよい。
ポリカーボネートジオールは、数平均分子量が500~10,000のものが好ましく、1,000~5,000のものがより好ましい。数平均分子量が500未満になると好適な柔軟性が得難くなる場合があり、また数平均分子量が10,000を超えると耐熱性や耐溶剤性が低下する場合があるので前記程度のものが好適である。
また、本発明で用いられるポリカーボネートジオールとしては、UH-CARB、UD-CARB、UC-CARB(宇部興産株式会社)、PLACCEL CD-PL、PLACCEL CD-H(ダイセル化学工業株式会社)、クラレポリオールCシリーズ(株式会社クラレ)、デュラノールシリーズ(旭化成ケミカルズ株式会社)のなど製品を好適に例示することができる。これらのポリカーボネートジオールは、単独で、または二種類以上を組合せて用いることもできる。
さらに本発明において、ポリカプロラクトンセグメントを含有する樹脂は、ポリカプロラクトンセグメント以外に、他のセグメントやモノマーが含有(あるいは、共重合)されていてもよい。たとえば、後述するポリジメチルシロキサンセグメントやポリシロキサンセグメント、イソシアネート化合物を含有する化合物が含有(あるいは、共重合)されていてもよい。
本発明では、好ましくは、後述するイソシアネート基を含有する化合物とポリカーボネートジオールの水酸基を反応させてウレタン(メタ)アクリレートとして樹脂層に用いることにより、樹脂層を構成する樹脂が、前述の(2)ウレタン結合および(1)ポリカーボネートジオールセグメントを有することができ、結果として樹脂層の強靱性を向上させると共に伸縮性や柔軟性を向上させることができる。
[ウレタン結合、イソシアネート基を含有する化合物]
本発明において、「ウレタン結合」とは化学式11で示される結合を指す。
Figure 0007119352000011
前記樹脂層を構成する樹脂がこの結合を有することで、樹脂層全体の強靭性や伸縮性を向上させることができる。
塗料組成物Aが市販のウレタン変性樹脂を含むことにより、樹脂層を構成する樹脂がウレタン結合を有することが可能となる。また、樹脂層を形成する際に前駆体としてイソシアネート基を含有する化合物と水酸基を含有する化合物とを含む塗料組成物Aを塗布、乾燥、硬化することにより、ウレタン結合を生成させて、樹脂層にウレタン結合を含有させることもできる。
本発明ではイソシアネート基と水酸基とを反応させてウレタン結合を生成させることにより、樹脂層を構成する樹脂にウレタン結合を導入することが好ましい。イソシアネート基と水酸基とを反応させてウレタン結合を生成させることにより、樹脂層の強靱性を向上させると共に伸縮性を向上させることができる。
また、前述したポリカプロラクトンセグメント、ポリカーボネートセグメント、ポリアルキレングリコールセグメントを含有する樹脂や、水酸基を有する場合は、熱などによってこれら樹脂と前駆体としてイソシアネート基を含有する化合物との間にウレタン結合を生成させることも可能である。
イソシアネート基を含有する化合物と、後述する水酸基を有するポリシロキサンセグメントを含有する樹脂や、水酸基を有するポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂を用いて樹脂層を形成すると、樹脂層の強靱性および伸縮性に加えて、表面のすべり性を高めることができ、また、耐溶剤性の観点からもより好ましい。
本発明において、イソシアネート基を含有する化合物とは、イソシアネート基を含有する樹脂や、イソシアネート基を含有するモノマーやオリゴマーを指す。イソシアネート基を含有する化合物は、例えば、メチレンビス-4-シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンイソシアネートのビューレット体などの(ポリ)イソシアネート、および上記イソシアネートのブロック体などを挙げることができる。
これらのイソシアネート基を含有する化合物の中でも、脂環族や芳香族のイソシアネートに比べて脂肪族のイソシアネートが、伸縮性や柔軟性が高く好ましい。イソシアネート基を含有する化合物は、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートである。また、イソシアネート基を含有する化合物は、イソシアヌレート環を有するイソシアネートが耐熱性の点で特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が最も好ましい。イソシアヌレート環を有するイソシアネートは、伸縮性と耐熱特性を併せ持つ樹脂層を形成する。
[フッ素化合物セグメント、ポリシロキサンセグメント、ポリジメチルシロキサンセグメント]
本発明の積層体において、樹脂層を構成する樹脂が、フッ素化合物セグメント、ポリシロキサンセグメントおよびポリジメチルシロキサンセグメントからなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメントを有していることが好ましい。
さらに、フッ素化合物セグメント、ポリシロキサンセグメントおよびポリジメチルシロキサンセグメントからなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメントを含む樹脂、もしくは前駆体を含む塗料組成物Aを、樹脂層を形成する塗料祖生物の一つに用いることにより、樹脂層を構成する樹脂がこれらを有することができる。
以下、これらフッ素化合物セグメント、ポリシロキサンセグメント、ポリジメチルシロキサンセグメントについて説明する。
まず、フッ素化合物セグメントは、フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメントを指す。
ここで、フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基、フルオロオキシアルカンジイル基とはアルキル基、オキシアルキル基、アルケニル基、アルカンジイル基、オキシアルカンジイル基が持つ水素の一部、あるいは全てがフッ素に置き換わった置換基であり、いずれも主にフッ素原子と炭素原子から構成される置換基であり、構造中に分岐があってもよく、これらの部位を有する構造が複数連結したダイマー、トリマー、オリゴマー、ポリマー構造を形成していてもよい。
また、前記フッ素化合物セグメントとしては、フルオロポリエーテルセグメントが好ましく、これはフルオロアルキル基、オキシフルオロアルキル基、オキシフルオロアルカンジイル基などからなる部位で、より好ましくは化学式5、化学式6に代表されるフルオロポリエーテルセグメントであることはすでに述べたとおりである。
前記フルオロポリエーテルセグメントとは、フルオロアルキル基、オキシフルオロアルキル基、オキシフルオロアルカンジイル基などからなるセグメントで、化学式12、化学式13に代表される構造である。
Figure 0007119352000012
Figure 0007119352000013
ここで、n1は1~3の整数、n2~n5は1または2の整数、k、m、p、sは0以上の整数でかつp+sは1以上である。好ましくは、n1は2以上、n2~n5は1または2の整数であり、より好ましくは、n1は3、n2とn4は2、n3とn5は1または2の整数である。
このフルオロポリエーテルセグメントの鎖長には好ましい範囲があり、炭素数は4以上12以下が好ましく、4以上10以下がより好ましく、6以上8以下が特に好ましい。炭素数が、3以下では表面エネルギーが十分に低下しないため撥油性が低下する場合があり、13以上では溶媒への溶解性が低下するため、樹脂層の品位が低下する場合がある。
この樹脂層に含まれる樹脂がフッ素化合物セグメントを含む場合には、前述の塗料組成物Aが以下のフッ素化合物を含むことが好ましい。このフッ素化合物は化学式14で示される化合物である。
Figure 0007119352000014
ここでRf1はフッ素化合物セグメント、Rはアルカンジイル基、アルカントリイル基、およびそれらから導出されるエステル構造、ウレタン構造、エーテル構造、トリアジン構造を、Dは反応性部位を示す。
この反応性部位とは、熱または光などの外部エネルギーにより他の成分と反応する部位を指す。このような反応性部位として、反応性の観点からアルコキシシリル基およびアルコキシシリル基が加水分解されたシラノール基や、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。なかでも、反応性、ハンドリング性の観点から、ビニル基、アリル基、アルコキシシリル基、シリルエーテル基あるいはシラノール基や、エポキシ基、アクリロイル(メタクリロイル)基が好ましい。
フッ素化合物の一例は次に示される化合物である。3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリクロロシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリイソシアネートシラン、2-パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、2-パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、2-パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、2-パーフルオロオクチルエチルトリクロロシラン、2-パーフルオロオクチルイソシアネートシラン、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフロオロプロピルアクリレート、2-パーフルオロブチルエチルアクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロオクチルエチルアクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロデシルエチルアクリレート、2-パーフルオロ-3-メチルブチルエチルアクリレート、3-パーフルオロ-3-メトキシブチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロ-5-メチルヘキシルエチルアクリレート、3-パーフルオロ-5-メチルヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロ-7-メチルオクチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2-パーフルオロブチルエチルメタクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロデシルエチルメタクリレート、2-パーフルオロ-3-メチルブチルエチルメタクリレート、3-パーフルオロ-3-メチルブチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロ-5-メチルヘキシルエチルメタクリレート、3-パーフルオロ-5-メチルヘキシル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロ-7-メチルオクチルエチルメタクリレート、3-パーフルオロ-6-メチルオクチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1-トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、トリアクリロイル-ヘプタデカフルオロノネニル-ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
なお、フッ素化合物は1分子あたり複数のフルオロポリエーテル部位を有していてもよい。
上記フッ素化合物の市販されている例としては、RS-75(DIC株式会社)、オプツールDAC-HP(ダイキン工業株式会社)、C10GACRY、C8HGOL(油脂製品株式会社)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
次にポリシロキサンセグメントについて述べる。本発明においてポリシロキサンセグメントとは、後述の化学式15で示されるセグメントを指す。
ここで、ポリシロキサンには、シロキサンの繰り返し単位が100程度である低分子量のもの(いわゆるオリゴマー)およびシロキサンの繰り返し単位が100を超える高分子量のもの(いわゆるポリマー)の両方が含まれる。
Figure 0007119352000015
、Rは、水酸基または炭素数1~8のアルキル基のいずれかであり、式中においてそれぞれを少なくとも1つ以上有するものであり、nは100~300の整数である。
前記ポリシロキサンセグメント、ポリジメチルシロキサンセグメントの詳細については後述するが、前記樹脂層を構成する樹脂がこれらのセグメントを有することで耐熱性、耐候性の向上や、樹脂層の潤滑性による滑り性を向上することができる。より好ましくは後述する化学式16で表されるポリジメチルシロキサンセグメントを含むことが潤滑性の面から好ましい。
本発明では、加水分解性シリル基を含有するシラン化合物の部分加水分解物、オルガノシリカゾルまたは該オルガノシリカゾルにラジカル重合体を有する加水分解性シラン化合物を付加させた塗料組成物を、ポリシロキサンセグメントを含有する樹脂として用いることができる。
ポリシロキサンセグメントを含有する樹脂は、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシランなどの加水分解性シリル基を有するシラン化合物の完全もしくは部分加水分解物や有機溶媒に分散させたオルガノシリカゾル、オルガノシリカゾルの表面に加水分解性シリル基の加水分解シラン化合物を付加させたものなどを例示することができる。
また、本発明において、ポリシロキサンセグメントを含有する樹脂は、ポリシロキサンセグメント以外に、他のセグメント等が含有(共重合)されていてもよい。たとえば、ポリカプロラクトンセグメント、ポリジメチルシロキサンセグメントを有するモノマー成分が含有(共重合)されていてもよい。
ポリシロキサンセグメントを含有する樹脂が水酸基を有する共重合体である場合、水酸基を有するポリシロキサンセグメントを含有する樹脂(共重合体)とイソシアネート基を含有する化合物とを含む塗料組成物を用いて樹脂層を形成すると、効率的に、ポリシロキサンセグメントとウレタン結合とを有する樹脂層とすることができる。
次にポリジメチルシロキサンセグメントについて述べる。本発明において、ポリジメチルシロキサンセグメントとは、化学式16で示されるセグメントを指す。ポリジメチルシロキサンには、ジメチルシロキサンの繰り返し単位が10~100である低分子量のもの(いわゆるオリゴマー)およびジメチルシロキサンの繰り返し単位が100を超える高分子量のもの(いわゆるポリマー)の両方が含まれる。
Figure 0007119352000016
mは10~300の整数である。
樹脂層を構成する樹脂が、ポリジメチルシロキサンセグメントを有すると、ポリジメチルシロキサンセグメントが樹脂層の表面に配位することとなる。ポリジメチルシロキサンセグメントが樹脂層の表面に配位することにより、樹脂層表面の潤滑性が向上し、摩擦抵抗を低減することができる。また、耐溶剤性の観点からも好ましい。
本発明においては、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂としては、ポリジメチルシロキサンセグメントにビニルモノマーが共重合された共重合体を用いることが好ましい。
樹脂層の強靱性を向上させる目的で、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂は、イソシアネート基と反応する水酸基を有するモノマー等が共重合されていることが好ましい。
ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂が水酸基を有する共重合体である場合、水酸基を有するポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂(共重合体)とイソシアネート基を含有する化合物とを含む塗料組成物を用いて樹脂層を形成すると、効率的にポリジメチルシロキサンセグメントとウレタン結合とを有する樹脂層とすることができる。
ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂が、ビニルモノマーとの共重合体の場合は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂がビニルモノマーとの共重合体の場合、これを、ポリジメチルシロキサン系共重合体という。ポリジメチルシロキサン系共重合体は、リビング重合法、高分子開始剤法、高分子連鎖移動法などにより製造することができるが、生産性を考慮すると高分子開始剤法、高分子連鎖移動法を用いるのが好ましい。
高分子開始剤法を用いる場合には化学式17で示される高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を用いて他のビニルモノマーと共重合させることができる。またペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
Figure 0007119352000017
mは10~300の整数、nは1~50の整数である。
高分子連鎖移動法を用いる場合は、例えば、化学式18に示すシリコーンオイルに、HS-CHCOOHやHS-CHCHCOOH等を付加してSH基を有する化合物とした後、SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることでブロック共重合体を合成することができる。
Figure 0007119352000018
mは10~300の整数である。
ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体を合成するには、例えば、化学式19に示す化合物、すなわちポリジメチルシロキサンのメタクリルエステルなどとビニルモノマーとを共重合させることにより容易にグラフト共重合体を得ることができる。
Figure 0007119352000019
mは10~300の整数である。
ポリジメチルシロキサンとの共重合体に用いられるビニルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセチトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコールなどを挙げることができる。
また、ポリジメチルシロキサン系共重合体は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤などを単独もしくは混合溶媒中で溶液重合法によって製造されることが好ましい。
必要に応じてベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリルなどの重合開始剤を併用する。重合反応は50~150℃で3~12時間行うことが好ましい。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体中の、ポリジメチルシロキサンセグメントの量は、樹脂層の潤滑性や耐溶剤性の点で、ポリジメチルシロキサン系共重合体の全成分100質量%において1~30質量%であることが好ましい。またポリジメチルシロキサンセグメントの重量平均分子量は1,000~30,000とすることが好ましい。
本発明において、樹脂層を形成するために用いる塗料組成物として、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂を使用する場合は、ポリジメチルシロキサンセグメント以外に、他のセグメント等が含有(共重合)されていてもよい。たとえば、ポリカプロラクトンセグメントやポリシロキサンセグメントが含有(共重合)されていてもよい。
樹脂層を形成するために用いる塗料組成物には、ポリカプロラクトンセグメントとポリジメチルシロキサンセグメントの共重合体、ポリカプロラクトンセグメントとポリシロキサンセグメントとの共重合体、ポリカプロラクトンセグメントとポリジメチルシロキサンセグメントとポリシロキサンセグメントとの共重合体などを用いることが可能である。このような塗料組成物を用いて得られる樹脂層は、ポリカプロラクトンセグメントとポリジメチルシロキサンセグメントおよび/またはポリシロキサンセグメントとを有することが可能となる。
ポリカプロラクトンセグメント、ポリシロキサンセグメントおよびポリジメチルシロキサンセグメントを有する樹脂層を形成するために用いる塗料組成物中の、ポリジメチルシロキサン系共重合体、ポリカプロラクトン、およびポリシロキサンの反応は、ポリジメチルシロキサン系共重合体合成時に、適宜ポリカプロラクトンセグメントおよびポリシロキサンセグメントを添加して共重合することができる。
[溶媒]
前記塗料組成物は溶媒を含んでもよい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下、特に好ましくは1種類以上4種類以下である。
ここで「溶媒」とは、塗布後の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。
ここで、溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2-プロパノールと、n-プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
さらに、溶媒を含む場合には以下の特性を示す溶媒であることが好ましい。
条件1 酢酸n-ブチルを基準とした相対蒸発速度(ASTM D3539-87(2004))が最も低い溶媒を溶媒Bとした際に、溶媒Bの相対蒸発速度が0.4以下。
ここで、溶媒の酢酸n-ブチルを基準とした相対蒸発速度とは、ASTMD3539-87(2004)に準拠して測定される蒸発速度である。具体的には、乾燥空気下で酢酸n-ブチルが90質量%蒸発するのに要する時間を基準とする蒸発速度の相対値として定義される値である。
前記溶媒の相対蒸発速度が0.4よりも大きい場合には、前述のポリシロキサンセグメントおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメント、およびフッ素化合物セグメントの樹脂層中の最表面への配向に要する時間が短くなるため、得られる積層体における樹脂層の耐溶剤性の低下を生じる場合がある。また、前記溶媒の相対蒸発速度の下限は、乾燥工程において蒸発して塗膜から除去できる溶媒であれば問題なく、一般的な塗布工程においては、0.005以上であればよい。
溶媒としては、イソブチルケトン(相対蒸発速度:0.2)、イソホロン(相対蒸発速度:0.026)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(相対蒸発速度:0.004、)、ジアセトンアルコール(相対蒸発速度:0.15)、オレイルアルコール(相対蒸発速度:0.003)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(相対蒸発速度:0.2)、ノニルフェノキシエタノール(相対蒸発速度:0.25)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(相対蒸発速度:0.1)、シクロヘキサノン(相対蒸発速度:0.32)などがある。
[塗料組成物中のその他の成分]
また、前記塗料組成物Aは、重合開始剤や硬化剤や触媒を含むことが好ましい。重合開始剤および触媒は、樹脂層の硬化を促進するために用いられる。重合開始剤としては、塗料組成物に含まれる成分をアニオン、カチオン、ラジカル重合反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
重合開始剤、硬化剤および触媒は種々のものを使用できる。また、重合開始剤、硬化剤および触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の重合開始剤、硬化剤および触媒を同時に用いてもよい。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤を併用してもよい。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。また、ウレタン結合の形成反応を促進させる架橋触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどが挙げられる。
また、前記塗料組成物は、アルコキシメチロールメラミンなどのメラミン架橋剤、3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系架橋剤、ジエチルアミノプロピルアミンなどのアミン系架橋剤などの他の架橋剤を含むことも可能である。
光重合開始剤としては、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましい。アルキルフェノン形化合物の具体例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-フェニル)-1-ブタン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-フェニル)-1-ブタン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタン、1-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-エトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(2-フェニル-2-オキソ酢酸)オキシビスエチレン、およびこれらの材料を高分子量化したものなどが挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、樹脂層を形成するために用いる塗料組成物にレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を加えてもよい。これにより、樹脂層はレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を含有することができる。レベリング剤の例としては、アクリル共重合体またはシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、トリアジン系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が挙げられる。帯電防止剤の例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩が挙げられる。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の支持基材上に形成される樹脂層は、前述の樹脂層用塗料組成物を前述の支持基材上に塗布し、乾燥し、硬化することにより形成することが好ましい。以下、塗料組成物を塗布する工程を塗布工程、乾燥する工程を乾燥工程、硬化する工程を硬化工程と記述する。樹脂層用塗料組成物として、2種類以上の塗料組成物を逐次にまたは同時に塗布して、2層以上の層からなる樹脂層を形成しても良い。
ここで「逐次に塗布する」とは、支持基材上に、一種類の塗料組成物を塗布し、乾燥し、硬化した後、その上に、他の塗料組成物を、塗布し、乾燥し、硬化することにより2層以上の層からなる樹脂層を形成することを意味している。用いる塗料組成物の種類を適宜選択することにより、樹脂層の樹脂層側-支持基材側の柔軟性や伸縮性の大小や勾配、支持基材と樹脂層の柔軟性や伸縮性の大小などを制御することができる。さらに塗料組成物の種類、組成、乾燥条件および硬化条件を適宜選択することにより、樹脂層内の柔軟性や伸縮性の分布の形態を段階的、または連続的に制御することができる。
また、「同時に塗布する」とは塗布工程において、支持基材上に、二種類以上の塗料組成物を同時に塗布した後、乾燥および硬化することを意味している。
塗布工程において、塗料組成物を塗布する方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材に塗布することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法または、ダイコート法が塗布方法としてより好ましい。
また、2種類以上の塗料組成物を同時塗布する場合には、特に限定されないが、多層スライドダイコート、多層スロットダイコート、ウェット-オン-ウェットコートなどの方法を用いることができる。
多層スライドダイコートの例を図2に示す。多層スライドダイコートにおいては、2種類以上の塗料組成物からなる液膜を、多層スライドダイ17を用いて順に積層した後、支持基材上に塗布する。
多層スロットダイコートの例を図3に示す。多層スロットダイコートにおいては、2種類以上の塗料組成物からなる液膜を、多層スロットダイ18を用いて、支持基材上に塗布と同時に積層する。
ウェット-オン-ウェットコートの例を図4に示す。ウェット-オン-ウェットコートにおいては、支持基材上に、単層スロットダイ19から吐出された塗料組成物からなる1層の液膜を形成した後、該液膜が未乾燥の状態で、他の単層スロットダイ19から吐出された他の塗料組成物からなる液膜を積層させる。
塗布工程に次いで、乾燥工程によって、支持基材の上に塗布された液膜を乾燥する。得られる積層体中から完全に溶媒を除去する観点から、乾燥工程は、液膜の加熱を伴うことが好ましい。
乾燥工程における加熱方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などの方法が挙げられる。この中でも、精密に幅方向も乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱、または輻射伝熱を使用した方法が好ましい。
乾燥工程における液膜の乾燥過程は、一般的に(A)恒率乾燥期間、(B)減率乾燥期間に分けられる。前者は、液膜表面において溶媒分子の大気中への拡散が乾燥の律速になっているため、乾燥速度は、この区間において一定で、乾燥速度は大気中の被蒸発溶媒分圧、風速および温度により支配され、膜面温度は熱風温度と大気中の被蒸発溶媒分圧により決まる値で一定になる。後者は、液膜中における溶媒の拡散が律速となっているため、乾燥速度はこの区間において一定値を示さず低下し続け、液膜中の溶媒の拡散係数により支配され、膜面温度は次第に上昇する。ここで乾燥速度とは、単位時間、単位面積当たりの溶媒蒸発量を表わしたもので、g・m-2・s-1の次元からなる。
乾燥速度は、0.1g・m-2・s-1以上10g・m-2・s-1以下であることが好ましく、0.1g・m-2・s-1以上5g・m-2・s-1以下であることがより好ましい。恒率乾燥区間における乾燥速度をこの範囲にすることにより、乾燥速度の不均一さに起因するムラを防ぐことができる。
好ましい乾燥速度が得られるならば、特に限定されないが、上記乾燥速度を得るためには、温度が15℃から129℃であることが好ましく、50℃から129℃であることがより好ましく、50℃から99℃であることが特に好ましい。
減率乾燥期間においては、残存溶媒の蒸発と共に、前述のポリシロキサンセグメントおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメントやフッ素化合物セグメントの配向が行われる。この過程においては配向のための時間を必要とするため、減率乾燥期間における膜面温度上昇速度は、5℃/秒以下であることが好ましく、1℃/秒以下であることがより好ましい。
乾燥工程に続いて、熱または活性エネルギー線を照射することによる、さらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。
活性エネルギー線としては、汎用性の点から電子線(EB線)および/または紫外線(UV線)が好ましい。紫外線により硬化する場合は、酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度ができるだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下(窒素パージ)で硬化することがより好ましい。酸素濃度が高い場合には、最表面の硬化が阻害され、表面の硬化が弱くなり、靭性が低くなる場合がある。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いる場合、紫外線の照度が好ましくは100~3,000mW/cm、より好ましくは200~2,000mW/cm、さらに好ましくは300~1,500mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましい。紫外線の積算光量は、好ましくは100~3,000mJ/cm、より好ましくは200~2,000mJ/cm、さらに好ましくは300~1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましい。ここで、紫外線の照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計および被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
[用途例]
本発明の積層体は、光学特性、柔軟性、伸縮性、搬送性に優れるといった利点を活かし、特に高い柔軟性や伸縮性が求められる用途に好適に用いることができる。
一例を挙げると、メガネ・サングラス、化粧箱、食品容器などのプラスチック成形品、水槽、展示用などのショーケース、スマートフォンの筐体、タッチパネル、カラーフィルター、フラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、フレキシブルデバイス、ウェアラブルデバイス、センサー、回路用材料、電気電子用途、キーボード、テレビ・エアコンのリモコンなどの家電製品、ミラー、窓ガラス、建築物、ダッシュボード、カーナビ・タッチパネル、ルームミラーやウインドウなどの車両部品、および種々の印刷物、医療用フィルム、衛生材料用フィルム、医療用フィルム、農業用フィルム、建材用フィルム等、それぞれの表面材料や内部材料や構成材料や製造工程用材料に好適に用いることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。以下では実施例1~6、10を参考実施例1~6、10と読み替えるものとする。
[ウレタン(メタ)アクリレートA]
〔ウレタン(メタ)アクリレートA1の合成〕
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(三井化学株式会社製 “タケネート”(登録商標)D-170N)50質量部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA5)76質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、70℃で5時間保持した。その後、トルエン79質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートA1のトルエン溶液を得た。ウレタン(メタ)アクリレートA1の数平均分子量は2,000であった。
[ウレタン(メタ)アクリレートB]
〔ウレタン(メタ)アクリレートB1の合成〕
トルエン100質量部、メチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート(協和発酵キリン株式会社製 LDI)50質量部およびポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業株式会社製 “プラクセル”(登録商標)CD-210HL)119質量部を混合し、40℃にまで昇温して8時間保持した。それから、2-ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学株式会社製 ライトエステルHOA)28質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製 M-400)5質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を加えて70℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02質量部を加えて80℃で6時間保持した。そして、最後にトルエン97質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートB1のトルエン溶液を得た。ウレタン(メタ)アクリレートB1の数平均分子量は5,800であった。
[ウレタン(メタ)アクリレートC]
〔ウレタン(メタ)アクリレートC1の合成〕
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(三井化学株式会社製 “タケネート”(登録商標)D-170N、イソシアネート基含有量:20.9質量%)50質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油株式会社製 “ブレンマー”(登録商標)AE-150、水酸基価:264(mgKOH/g))53質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込んだ。そして、70℃で5時間保持して反応を行った。反応終了後、反応液にメチルエチルケトン(以下MEKということもある)102質量部を加え、固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートC1を得た。ウレタン(メタ)アクリレートC1の数平均分子量は2,000であった。
[ウレタン(メタ)アクリレートD]
〔ウレタン(メタ)アクリレートD1〕
ウレタン(メタ)アクリレートD1として数平均分子量4,600であるSUA-017(亜細亜工業株式会社製 固形分濃度100質量%)を使用した。
[ウレタン(メタ)アクリレートE]
〔ウレタン(メタ)アクリレートE1〕
ウレタン(メタ)アクリレートE1として数平均分子量13,000であるUV-3500BA(日本合成化学工業株式会社製 固形分濃度70質量%)を使用した。
[ポリオール化合物]
〔ポリオール化合物1〕
ポリオール化合物1として“プラクセル”(登録商標)210CP(ダイセル化学株式会社製 固形分濃度100質量%)を使用した。
[フッ素化合物]
〔フッ素化合物1〕
フッ素化合物1としてフルオロポリエーテルセグメントを含むアクリレート化合物(“メガファック”(登録商標) RS-75 DIC株式会社製 固形分濃度40質量% 溶媒(トルエンおよびメチルエチルケトン)60質量%)を使用した。
[光ラジカル重合開始剤]
〔光ラジカル重合開始剤1〕
光ラジカル重合開始剤1として“イルガキュア“(登録商標)184(BASFジャパン株式会社製 固形分濃度100質量%)を使用した。
[塗料組成物Aの調合]
〔塗料組成物A1〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A1を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートA1溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部。
〔塗料組成物A2〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A2を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部。
〔塗料組成物A3〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A3を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートC1溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・フッ素化合物1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部。
〔塗料組成物A4〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A4を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートA1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・フッ素化合物1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部。
〔塗料組成物A5〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A5を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部。
〔塗料組成物A6〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A6を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートD1(固形分濃度100質量%) 50質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部。
〔塗料組成物A7〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A7を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートB1(固形分濃度100質量%) 90質量部
・ポリオール化合物1(固形分濃度100質量%) 5質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部。
〔塗料組成物A8〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A8を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートD1(固形分濃度100質量%) 45質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートA1溶液(固形分濃度50質量%) 10質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部。
〔塗料組成物A9〕
以下の材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の塗料組成物A9を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートE1(固形分濃度70質量%) 71質量部
・光ラジカル重合開始剤1 1.5質量部。
[支持基材]
〔支持基材A1〕
支持基材A1として、“セラピール”(登録商標)SY(厚み38μm、東レフィルム加工株式会社製)を使用した。
〔支持基材B1〕
支持基材B1として、“ルミラー”(登録商標)U48(厚み50μm、東レ株式会社製)を使用した。
[熱可塑性ウレタンフィルム]
〔熱可塑性ウレタンフィルム1〕
熱可塑性ウレタンフィルム1として、“エスマー”(登録商標)URS PX98(厚み150μm、日本マタイ株式会社製)を使用した。
なお、“エスマー”(登録商標)URS PX98の構成を確認した結果、厚み50μmのポリエステルフィルムの層、厚み150μmの熱可塑性ウレタンフィルムの層、厚み75μmのポリエステルフィルムの層が、この順に積層された構成であった。そのため、50μmのポリエステルフィルムを剥離し、熱可塑性ウレタンフィルムと75μmのポリエステルフィルムが積層された状態を積層体として取扱い、参考例1とした。
[積層体、樹脂フィルムの製造方法]
〔積層体の作製〕
支持基材上に、前記塗料組成物Aをスロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、乾燥後の樹脂層の厚みが指定の膜厚になるようにスロットからの吐出流量を調整して塗布した。塗布から乾燥、硬化までの間に液膜にあたる乾燥風の条件は以下の通りである。
〔乾燥工程〕
送風温湿度 : 温度:80℃、相対湿度:1%以下
風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒
風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直
滞留時間 : 2分間
〔硬化工程〕
照射出力 : 400W/cm
積算光量 : 120mJ/cm
酸素濃度 : 0.1体積%。
〔樹脂フィルムの作製〕
支持基材上に、前記塗料組成物Aをスロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、乾燥後の樹脂層の厚みが指定の膜厚になるようにスロットからの吐出流量を調整して塗布した。塗布から乾燥、硬化までの間に液膜にあたる乾燥風の条件は以下の通りである。
さらに、樹脂層を支持基材から剥離して、これを樹脂フィルムとして扱い、積層体や樹脂層と同等の評価を行うこととした。
〔乾燥工程〕
送風温湿度 : 温度:80℃、相対湿度:1%以下
風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒
風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直
滞留時間 : 2分間
〔硬化工程〕
照射出力 : 400W/cm
積算光量 : 120mJ/cm
酸素濃度 : 0.1体積%。
以上の方法により実施例1~10、比較例1~2の積層体および樹脂フィルムを作成した。各実施例、比較例に対応する上記積層体および樹脂フィルムの作成方法、およびそれぞれの各層の膜厚は、後述の表2に記載した。
Figure 0007119352000020
[積層体、樹脂層、樹脂フィルムの評価]
積層体および樹脂層および樹脂フィルムについて、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表2に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
なお、樹脂フィルムについては、積層体および樹脂層と同等とみなし、同様の評価を行った。
また、比較例1と比較例2については、一部の評価結果で明らかに不適であると判断したため、一部の評価を省略した。
〔積層体、樹脂層、樹脂フィルムの厚み〕
電子顕微鏡(SEM)を用いて断面を観察することにより、積層体および樹脂層および樹脂フィルムの厚みを測定した。各層の厚みは、以下の方法に従い測定した。積層体および樹脂層および樹脂フィルムの断面の切片をSEMにより3,000倍の倍率で撮影した画像から、ソフトウェア(画像処理ソフトImageJ)にて各層の厚みを読み取った。合計で30点の層厚みを測定して求めた平均値を、測定値とした。
〔5%歪み応力〕
積層体の評価においては、積層体を10mm幅×150mm長の矩形に切り出し試験片とした。樹脂層および樹脂フィルムの評価においては、積層体を10mm幅×150mm長の矩形に切り出した後、支持基材から樹脂層を剥離し、試験片とした。なお、それぞれ150mm長の方向を積層体の長手方向に合わせた。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度300mm/minに設定し、測定温度23℃で引張試験を行った。
チャック間距離がa(mm)のときのサンプルにかかる荷重b(N)を読み取り、以下の式から、ひずみ量x(%)と応力y(N/mm)を算出した。ただし、試験前のサンプル厚みをk(mm)とする。
ひずみ量:x=((a-50)/50)×100
応力:y=b/(k×10)。
上記で得られたデータのうち、歪み量5%での応力を5%歪み応力とした。
〔剥離力R
積層体において、支持基材と樹脂層を予め端部から少し剥離しておき、引張試験機で測定するための掴みしろを形成した。次いで、23℃65%RH環境下にて、引張試験機を用いて300(mm/分)の速度で180度剥離した時の抵抗値(N)を測定した。なお、抵抗値(N)は支持基材および樹脂層の幅(mm)で除した後に50倍し、それぞれの幅が50mmに相当する剥離力(mN/50mm)に換算した。
〔熱収縮率〕
積層体を10mm幅×200mm長の矩形に切り出し、試験片とした。なお、200mm長の方向を積層体の長手方向に合わせた試験片を作成し、長手方向熱収縮率とした。
まず、切り出した試験片の200mm長の方向において、各端部から25mmの位置へ幅方向に標線をそれぞれ描き、各標線間の距離が150mmとなるようにした。次に、試験片の一端を熱風オーブンに固定し、もう一端には3gの荷重がかかるように重りを取り付けた。熱風オーブンは予め150℃に加熱しておき、試験片を設置した状態で30分間の加熱処理を行った。その後、熱風オーブンから試験片を取出し、試験片が室温まで冷却されたのを確認後、加熱処理前に付けた各標線間の距離x(mm)を測定した。
得られた数値を用いて、以下の式で150℃における熱収縮率(%)を算出した。
(熱収縮率)=((150-x)/150)×100。
〔ヘイズ〕
積層体を100mm幅×100mm長に切り出し、試験片とした。ヘイズ測定はJIS K 7136(2000)に基づき、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製 NDH-5000)を用いて測定した。
〔弾性復元率〕
樹脂層および樹脂フィルムを10mm幅×150mm長の矩形に切り出し試験片とした。なお、それぞれ150mm長の方向を積層体の長手方向に合わせた。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度50mm/minに設定し、測定温度23℃で引張試験を行った。その際、歪み量10mm(=20%)までサンプルを伸張後、サンプルへの引張荷重を解放した。この試験法を、変形量20%での引張試験法とする。
測定前に初期試長として印をつけていた距離を測定してLmmとして、以下の式から、弾性復元率z%を算出した。
弾性復元率:z=(1-(L-50)/20)×100 (%)。
〔応力保持率〕
樹脂層を10mm幅×120mm長の矩形に切り出し試験片とした。なお、比較例2は樹脂フィルム単体を試験片とした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて、初期引張チャック間距離を20mmとし、引張速度300mm/minに設定し、測定温度23℃で引張試験を行った。その際、歪み量20mm(=100%)までサンプルを伸張し、その状態で1時間保持した。伸張開始から、歪み量100%を1時間保持する間の応力を1秒間隔ごとに測定した。この試験法を、変形量100%での応力緩和試験法とする。
伸張開始から歪み量100%に達したときの応力をFとし、歪み量100%で1時間保持したときの応力をFとして、応力保持率F/F×100を算出した。
〔ヒステリシス面積〕
樹脂層を10mm幅×120mm長の矩形に切り出し試験片とした。なお、比較例2は樹脂フィルム単体を試験片とした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて、初期引張チャック間距離20mmとし、引張速度300mm/minに設定し、測定温度23℃で引張試験を行った。その際、歪み量20mm(=100%)までサンプルを伸張し、その状態で10秒間保持した後、同様に引張速度300mm/minにて歪み量0mm(=0%)まで復元した。伸張開始から、歪み量100%を10秒間保持し、歪み量0%まで復元する間の応力を0.01秒間隔ごとに測定した。この試験法を、変形量100%でのヒステリシス試験法とする。
伸張開始から、歪み量100%に達した間に得られる応力-歪み曲線と、歪み量100%を10秒間保持してから、歪み量0%まで復元する間に得られる応力-歪み曲線で囲まれたヒステリシス面積(MPa)を算出した。
ヒステリシス面積の一例を図5に示す。応力-歪み曲線で囲まれた斜線部の面積が、ヒステリシス面積(MPa)である。
〔寸法変化率〕
樹脂層および樹脂フィルムの評価において、積層体を10mm幅の矩形に切り出した後、支持基材から樹脂層を剥離し、試験片とした。
JIS K7244(1998)の引張振動-非共振法に基づき(これを動的粘弾性法とする)、セイコーインスツルメンツ株式会社製の動的粘弾性測定装置“DMS6100”を用いて樹脂層の貯蔵弾性率と損失弾性率を求めた。
測定モード:引張
チャック間距離:20mm
試験片の幅:10mm
周波数:1Hz
歪振幅:10μm
最小張力:20mN
力振幅初期値:40mN
測定温度:-100℃から200℃まで
昇温速度:5℃/分
この時、貯蔵弾性率や損失弾性率の測定と同時にdL値(LVDT(Linear Variable Differential Transformer)の出力値)が得られ、これが測定時の試験片の寸法に対応する値を表す。30℃におけるdL値をa30(μm)とし、150℃におけるdL値をa150(μm)として、以下の式にて寸法変化率を求めた。
(寸法変化率)=((a150-a30)/20,000)×100
さらに、上記式で得られた寸法変化率の絶対値を算出した。
〔ガラス転移温度〕
JIS K7244(1998)の引張振動-非共振法に基づき(これを動的粘弾性法とする)、セイコーインスツルメンツ株式会社製の動的粘弾性測定装置“DMS6100”を用いて樹脂層の貯蔵弾性率と損失弾性率を求めた。得られた値から損失正接を算出し、温度vs損失正接の曲線プロットを行い損失正接が極大値を示す温度をガラス転移温度とした。
なお、損失正接が極大値を示す温度が複数ある場合、貯蔵弾性率が10MPa以上の温度域に現れた損失正接の極大値を示す温度を優先してガラス転移温度とし、それでも損失正接が極大値を示す温度が一点に定まらない場合、損失正接の値が最大である極大値を示す温度を優先してガラス転移温度とした。
測定モード:引張
チャック間距離:20mm
試験片の幅:10mm
周波数:1Hz
歪振幅:10μm
力振幅初期値:40mN
測定温度:-100℃から100℃まで
昇温速度:5℃/分
損失正接:(損失弾性率)/(貯蔵弾性率)。
〔搬送性の評価〕
積層体および樹脂フィルムを150mm幅×250mm長に切り出し、このサンプルを180℃に調整された熱風オーブンに入れ、1分間静地した。その後、サンプルを熱風オーブンから取出し、積層体に発生するシワや凹凸の状態を目視で観察し、以下の基準に則り判定を行った。
10点: シワや凹凸やカールの発生がない。
7点: わずかにシワや凹凸やカールが発生する。
4点: 小さなシワや凹凸やカールが発生する。
1点: その他(大きなシワや凹凸やカールが発生する等)。
〔剥離性の評価〕
積層体において、支持基材と樹脂層を予め端部から少し剥離しておき、剥離部分を掴んで支持基材と樹脂層を180度方向に手で剥離を行い、以下の基準に則り判定を行った。
10点: 剥離の際、引っ掛かりを感じず剥離できる。
7点: 剥離の際、僅かに引っ掛かりを感じる。
4点: 剥離の際、強めの引っ掛かりを感じる。
1点: その他(剥離できない等)。
〔柔軟性の評価〕
積層体において、支持基材から樹脂層を剥離したのち、樹脂層に対して手で引張を行い、以下の基準に則り判定を行った。また、樹脂フィルムについては、樹脂層と同様の評価を行い、以下の基準に則り判定を行った。
10点: 非常に軽い力で変形することができる。
7点: 軽い力をかければ、変形することができる。
4点: やや強めの力をかければ、変形することができる。
1点: その他(変形するのに強い力が必要、等)。
〔伸縮性の評価〕
積層体において、支持基材から樹脂層を剥離したのち、樹脂層に対して手で軽い力をかけて引張変形を与え、以下の基準に則り判定を行った。また、樹脂フィルムについては、樹脂層と同様の評価を行い、以下の基準に則り判定を行った。
10点: 変形後に負荷を除けば、元の形状に復元する。
7点: 変形後に負荷を除けば、ほとんど元の形状に復元する。
4点: 変形後に負荷を除けば、少し元の形状に復元する。
1点: その他(全く復元しない、等)。
〔品位の回復性の評価〕
本評価では、積層体が搬送等で負荷を受け、樹脂層に凹凸などの変形が発生した後、後加工工程において凹凸等の変形が回復し、最終的に品位が良いかを評価した。
積層体において、支持基材と樹脂層を積層した状態で、樹脂層の表面に対し、ピンセットで表面を軽く押し込み、複数の凹みを付けた。次いで、凹みを付けた積層体を、予め50℃となるように予熱した熱風オーブンの中に5分静置した。その後、積層体を取り出し、樹脂層の表面状態を目視で観察し、以下の基準に則り判定を行った。
10点: 凹みが残っていない。
7点: 凹みが僅かに残っている。
4点: 少数の凹みが残っている。
1点: その他(多数の凹みが残っている、全ての凹みが残っている等)。
〔過酷条件下での品位の評価〕
本評価では、積層体が搬送時や後加工工程で過酷な負荷を受けた際、剥離などで品位が低下しないかを評価した。
積層体において、支持基材と樹脂層を積層した状態で、樹脂層の表面に対し、ガーゼ(川本産業株式会社製“ハイゼ”(登録商標)ガーゼNT-4)での摩耗を10往復行った。次いで、支持基材からの樹脂層の剥離状態を目視で観察し、以下の基準に則り判定を行った。
10点: 全く剥離が発生しないか、ほとんど剥離が発生しない。
7点: 僅かに剥離が発生する。
4点: 強めの剥離が発生する。
1点: その他(非常に強い剥離が発生する等)
〔長期変形後の復元性の評価〕
積層体において、支持基材から樹脂層を剥離したのち、樹脂層に対して手で歪み量100%の引張変形を1分間保持し、以下の基準に則り判定を行った。
10点:変形後に負荷を除けば、1秒間以内に元の形状に復元する。
7点: 変形後に負荷を除けば、1秒間を超えて5秒間以内に元の形状に復元する。
5点: 変形後に負荷を除けば、5秒間を超えて10秒間以内に元の形状に復元する。
3点: 変形後に負荷を除けば、10秒間を超えて30秒間以内に元の形状に復元する。
1点: 変形後に負荷を除けば、30秒間を超えて元の形状に復元する、またはその他(全く復元しない、等)。
表2および3に最終的に得られた積層体の評価結果をまとめた。
Figure 0007119352000021
Figure 0007119352000022
1 樹脂層
2 支持基材
3 多層スライドダイ
4 多層スロットダイ
5 単層スロットダイ
本発明の積層体は、光学特性、柔軟性、伸縮性、搬送性に優れるといった利点を活かし、特に高い柔軟性や伸縮性が求められる用途に好適に用いることができる。
一例を挙げると、メガネ・サングラス、化粧箱、食品容器などのプラスチック成形品、水槽、展示用などのショーケース、スマートフォンの筐体、タッチパネル、カラーフィルター、フラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、フレキシブルデバイス、ウェアラブルデバイス、センサー、回路用材料、電気電子用途、キーボード、テレビ・エアコンのリモコンなどの家電製品、ミラー、窓ガラス、建築物、ダッシュボード、カーナビ・タッチパネル、ルームミラーやウインドウなどの車両部品、および種々の印刷物、医療用フィルム、衛生材料用フィルム、医療用フィルム、農業用フィルム、建材用フィルム等、それぞれの表面材料や内部材料や構成材料や製造工程用材料に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 支持基材の少なくとも一方の面に、樹脂層を有する積層体であって、以下の条件1から条件5、および条件10~12のすべてを満たすことを特徴とする、積層体。
    条件1: 樹脂層の5%歪み応力SFが10MPa以下。
    条件2: 積層体の5%歪み応力SLが20MPa以上。
    条件3: 支持基材と樹脂層の間の剥離力Rbが1,000mN/50mm以下。
    条件4: 積層体の150℃における長手方向熱収縮率が2.0%以下。
    条件5: 積層体のヘイズが15%以下。
    条件10:動的粘弾性法における、樹脂層のガラス転移温度が0℃以下。
    条件11: 樹脂層が、数平均分子量3,000以上のウレタンアクリレートを硬化させてなる樹脂組成物である。
    条件12: 支持基材の少なくとも一方の表面に、離型層を有しており、支持基材と樹脂層が離型層を介して接している。
  2. 以下の条件6を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
    条件6: 変形量20%での引張試験法における、樹脂層の弾性復元率が70%以上。
  3. 以下の条件7および条件8を満たすことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の積層体。
    条件7: 変形量100%での応力緩和試験法における、樹脂層の歪み量100%に伸張したときの応力F1と、その状態で1時間保持後の応力F2の比率である応力保持率F2/F1×100が、70%以上である。
    条件8: 変形量100%でのヒステリシス試験法における、樹脂層を歪み量100%に伸張し、10秒間保持後に解放したときの伸張時と解放時の応力-歪み曲線に囲まれたヒステリシス面積が、1.0MPa未満である。
  4. 以下の条件9を満たすことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体。
    条件9: 30℃における樹脂層の寸法を基準としたとき、150℃における樹脂層の寸法変化率について、その絶対値が10%以下。
  5. 支持基材の少なくとも一方の面に、樹脂層を形成する積層体の製造方法であって、以下の条件13を満たすことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
    条件13: 塗料組成物を支持基材上に塗布することにより、樹脂層が形成される。
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