JP7117446B1 - 等速ジョイント - Google Patents
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Abstract
Description
外輪部材には円周方向に複数のボルト挿通孔が均等に設けられており、変速機側のコンパニオンフランジにボルトを螺合して接続することで、パッキンは高い軸力を受けて挟持されることで高いシール性を得ている。
ところで、等速ジョイントを使用する中で、温度上昇が加わり、パッキンが不用意に移動してしまい、グリースが漏出するという問題がある。
そこで、このような問題に対して、例えば特許文献1,2のような対応技術が提案されている。
本発明は、前述の点に鑑みてなされたものであり、製造コストの増大を招くことなく高いシール性を有する等速ジョイントを提供することを目的とする。
(1)等速ジョイントを取り付けるボルトの頭部着座面に配置されるワッシャが、ボルト締結の軸力を受けて皿バネ状に弾性変形し、内径側が外輪部材に指向する方向に撓む。これは、外輪部材の端面におけるボルト挿通孔の座面が、ボルト挿通孔の全周にわたって形成されていないことによるものである。
(2)ワッシャが皿バネ状に変形することによりブーツの金具部材の裏面に配置されているパッキンが、特に内径側に高い圧縮力が作用して、それによりパッキンを回転軸側に移動させる荷重が作用する。
(3)このため、パッキンの回転軸側への移動を抑制する係止手段が有効であること、ワッシャの変形を抑えることが有効であること、前記係止部の径よりもパッキンの内径を大きくすることが有効であること、となる知見を得て、これらを元に以下の構成として本発明を完成させた。
本発明の第1実施形態の等速ジョイント1のシール構造SSについて、図1~図4を参照して詳細に説明する。
なお、説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
等速ジョイント1は、入力側の回転運動を出力側に伝達する接手で、入力側の回転軸と出力側の回転軸の間に角度があっても、同一速度で回転を伝達することができるものである。
等速ジョイント1は、コンパニオンフランジ11(入力側)と、スタブシャフト12(出力側)とを等速で継ぐ自在継手である。
等速ジョイント1は、外輪部材21、シールキャップ31、内輪部材41、球体51、ケージ52、ブーツ61、パッキン81を備えている。
また、等速ジョイント1は、ブーツ61と外輪部材21との間、およびシールキャップ31と外輪部材21との間に、シール構造SSが配置されている。
外輪部材21は、コンパニオンフランジ11に連結される部材であり、外輪部材本体22、外輪部材側溝23、ボルト挿通孔24を備えている(図1~図3参照)。
外輪部材本体22は、略円筒形状を備えた部材で構成されており、回転軸A21が車両前後方向に沿うように配置されている。
外輪部材本体22の内周面に複数(たとえば8本)の外輪部材側溝23が形成されている。
また、外輪部材側溝23は、それぞれが同一の半円溝形状を有している。
そして、外輪部材側溝23は、各溝内を球体51が転動可能な半径に設定されている。
ボルト挿通孔24は、周方向において、隣接する外輪部材側溝23の中間に配置されている。
なお、ボルト挿通孔24には、後述する締結ボルト72が挿通される。
シールキャップ31は、円盤の中央部が板面から突出したハット形状を有しており、ハット形状の縁部に外嵌部32が設けられている。
そして、シールキャップ31は、外輪部材本体22に外嵌されて、コンパニオンフランジ11との間に固定されている。
内輪部材41は、スタブシャフト12に連結される部材であり、外輪部材本体22と同軸、且つ、回転軸方向に重なって配置されている(図1~図3参照)。
内輪部材41は、内輪部材本体42、内輪部材側溝43、スプライン44を備えている。
これら内輪部材側溝43は、内輪部材本体42の周方向において、等間隔に配置されるとともに、回転軸A41に沿って延在している。
また、内輪部材側溝43は、それぞれが同一の半円溝形状を有している。
そして、内輪部材側溝43は、各溝内を球体51が転動可能な半径に設定されている。
スプライン44は、スタブシャフト12の一端に形成された軸スプライン12aとスプライン嵌合している。
球体51は、外輪部材21の回転力を内輪部材41に伝える伝達子であって、各球体溝54内に1つずつに配置されている(図1~図3参照)。
そして、球体51は、球体溝54内で、周方向に対して係合し、軸方向に対して転動する。
球体51は、外輪部材21と内輪部材41のそれぞれの回転軸がなす角の二等分面上に配置されることにより、外輪部材21と内輪部材41との間で、回転力が球体51を介して等速運動するようになっている。
ケージ52は、球体溝54内における球体51の位置を、外輪部材21と内輪部材41のそれぞれの回転軸がなす角の二等分面上に配置させるための部材である(図1~図3参照)。
このため、ケージ52は、外輪部材21と内輪部材41との間に、外輪部材21、および内輪部材41に対して相対的に移動自在に配置されている。
ケージ52は、その外形形状が樽型の円筒形状を有している。
また、ケージ52は、周方向に球体溝54と同数の窓53が形成され、孔内を球体51が転動可能な形状に開口している。
ブーツ61は、外輪部材本体22の後端側と、スタブシャフト12との間を封止するための部材である(図1~図4参照)。
ブーツ61は、ブーツ本体62、ブーツアダプタ63を備えている。
ブーツ本体62の径方向内側端部は、スタブシャフト12に外嵌しており、その外周には、バンド64が巻き掛けられている。
また、ブーツ本体62の径方向外側端部は、ブーツアダプタ63の後述するカシメ部63bに加締められている。
アダプタ本体63aは、略円筒状を有している。
カシメ部63bは、アダプタ本体63aの後端部に配置されている。
また、カシメ部63bは、アダプタ本体63aとブーツ本体62との間の気密性を保持するために加締められている。
なお、ブーツ61は、後述する締結ボルト72によって、外輪部材21の第1の端面22Rに固定される。
シール構造SSは、外輪部材21と内輪部材41の間に封入されるグリース等の潤滑剤が、外部に漏出するのを防止するための構成である(図2~図4参照)。
シール構造SSは、後側シール構造SR、前側シール構造SFで構成されている。
後側シール構造SRは、外輪部材21の第1の端面22Rと、ブーツアダプタ63の外嵌フランジ部63cとの間に設定されている。
後側シール構造SRは、パッキン取付溝25、パッキン81、外嵌フランジ部63c(キャップ部材)、ワッシャ73を備えている。
パッキン取付溝25は、その円環形状の外周側が、ボルト挿通孔24に連通するとともに、円環形状の内周側が、外輪部材側溝23に連通している。
さらに、パッキン取付溝25は、平面部26、係止部27を備えている(図4参照)。
平面部26は、径方向、および周方向において、深さ一定の平坦な溝底面を備えている。
係止部27は、パッキン取付溝25の円環形状における内径側を構成している。
つまり、係止部27は、平面部26の内径側に連続して形成されている。
また、係止部27は、径方向において、回転軸A21に近づくにしたがって、第1の端面に指向する傾斜面を呈し、溝深さが直線的に浅くなっている。
パッキン81は、その外径寸法D81aがパッキン取付溝25の外径寸法D25より僅かに小径に設定されている。
8つの外周側凹部82の直径は、それぞれがボルト挿通孔24の孔径と同一径に設定されている。
パッキン81は、その内周に、外輪部材側溝23の断面形状と同一形状の凹部(内周側凹部83)が形成されている。
なお、パッキン81は、パッキン取付溝25内に配置される際に、両面テープ(図示せず)を用いて、パッキン取付溝25の溝底に貼着されても良い。
締結手段71は、締結ボルト72、ワッシャ73を備えている(図2参照)。
そして、締結ボルト72は、その先端の雄ネジ部72aが、コンパニオンフランジ11の雌ネジ部11aに螺着している。
外嵌フランジ部63cとパッキン取付溝25との間で圧縮されたパッキン81は、径方向内側へズレようとするが、係止部27によって、移動が制限される。
そして、パッキン81の移動が制限されることで、パッキン81のシール性が安定する。
ワッシャ73は、外輪部材21の第1の端面22Rと同様の円環形状を有する板状部材で構成されている。
これによって、ボルト締結時に、外嵌フランジ部63cが、パッキン81の内径側縁部から外径側縁部に至る径方向の全域を押圧することができる。
そして、締結手段71の締結力によって、パッキン81がパッキン取付溝25、および外嵌フランジ部63cに密着し、潤滑剤の外部への漏出が防止される。
前側シール構造SFは、外輪部材21の第2の端面22Fと、シールキャップ31の外嵌部32との間に設定されている。
前側シール構造SFは、パッキン取付溝25、パッキン81、シールキャップ31(キャップ部材)、コンパニオンフランジ11を備えている。
シールキャップ31を構成する外嵌部32が、後側シール構造SRにおける外嵌フランジ部63cと同様の働きをする。
コンパニオンフランジ11は、後側シール構造SRにおけるワッシャ73と同様の働きをする。
本実施形態の等速ジョイント1は、パッキン取付溝25に、テーパー状の係止部27が設けられている。
これによって、外嵌フランジ部63cとパッキン取付溝25との間で圧縮されたパッキン81は、径方向内側へズレようとした際に、係止部27に乗り上げて、移動が制限される。
つまり、パッキン取付溝25の一部に係止部27を設けることで、シール構造SSは、製造コストの増大を招くことなく、高いシール性を安定して発揮することができる。
また、係止部27を設けることで、パッキン81は厚さ一定のシート材から打ち抜いて形成され、コストの上昇を招来せずに高いシール性を発揮することができるようになった。
さらに、ブーツアダプタ63は、パッキン81を係止するための特別な形状にする必要もなく、コストの上昇を招来せずに高いシール性を発揮することができるようになった。
次に、本発明の第2実施形態の等速ジョイント1について、図3と図4を参照して説明する。
なお、説明において、前述の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の等速ジョイント1では、パッキン取付溝25は、その外径寸法D25がボルト挿通孔24のボルトピッチサークル径D24よりも小径に設定されている。
本実施形態の等速ジョイント1では、上記構成によって、締結ボルト72をコンパニオンフランジ11の雌ネジ部11aに螺着した際に、ワッシャ73の内径側が外輪部材21に指向する皿バネ状に変形することが抑制されている。
これによって、ブーツアダプタ63(外嵌フランジ部63c)を介してパッキン81へ作用する荷重が低減されて、パッキン81が所定の位置に保持されるため、シール構造SSは、より高いシール性を発揮することができる。
次に、本発明の第3実施形態の等速ジョイント1について、図4を参照して説明する。
なお、説明において、前述の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の等速ジョイント1では、パッキン81は、その内径寸法D81bが、係止部27の内径寸法D27よりも大きく設定されている。
より具体的に説明すると、係止部27の内径寸法D27がパッキン81の内径寸法D81bよりも小径に設定されている。
本実施形態の等速ジョイント1では、パッキン81の内径が係止部の径よりも大きく設定されている。
このため、ワッシャ73が皿バネ状に変形してブーツアダプタ63を介してパッキン81を押圧する荷重が作用したとしても、パッキン81を回転軸側に移動する荷重としては作用せず、パッキン81が所定の位置に保持される。
これによって、シール構造SSは、より高いシール性を発揮することができる。
21 外輪部材
22R 第1の端面
22F 第2の端面
24 ボルト挿通孔
25 パッキン取付溝
26 平面部
51 球体
61 ブーツ
27 係止部
31 シールキャップ
41 内輪部材
81 パッキン
A21 回転軸
D25 パッキン取付溝の外径寸法
D24 ボルト挿通孔のボルトピッチサークル径
D27 係止部の内径寸法
D81b パッキンの内径寸法
Claims (3)
- 回転軸方向に第1の端面と第2の端面を備え、
前記第1の端面から前記第2の端面へ貫通する複数のボルト挿通孔が前記回転軸を中心にして複数形成され、
前記第1の端面、及び、前記第2の端面の一方に、外径側が前記一方の端面と平行な平面部と、前記平面部から回転軸に近づくにつれて前記一方の端面に指向する係止部を有するパッキン取付溝と、
を備える外輪部材と、
前記外輪部材と同軸上に配置される内輪部材と、
前記外輪部材と前記内輪部材との間に配置される複数の球体と、
前記第1の端面に取着されるブーツと、
前記第2の端面に取着されるシールキャップと、
前記パッキン取付溝に取着されるパッキンと、
を有する等速ジョイント。 - 前記パッキン取付溝の外径寸法が、
該ボルト挿通孔のボルトピッチサークル径よりも小径に設定された、
請求項1に記載の等速ジョイント。 - 前記係止部の内径寸法が、
前記パッキンの内径寸法よりも小径に設定された、
請求項1、または請求項2に記載の等速ジョイント。
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2021
- 2021-12-23 JP JP2021209268A patent/JP7117446B1/ja active Active
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2022
- 2022-02-16 WO PCT/JP2022/006256 patent/WO2023119678A1/ja unknown
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JP2010138974A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Ntn Corp | 等速自在継手 |
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